スキームの貼り合わせ(gluing of schemes)とは、スキームの族 $\{X_i\}$、開集合 $U_{ij}\subset X_i$、開部分スキームの同型 $\varphi_{ij}\colon U_{ij}\to U_{ji}$ からなるデータから、各 $X_i$ を開部分スキームとして含み重なりを $\varphi_{ij}$ で同一視したスキームを作る操作である。コサイクル条件 $\varphi_{jk}\circ\varphi_{ij}=\varphi_{ik}$ の下で、貼り合わせは同型を除いてただ 1 つに定まり、そこから出る射は各片からの射の整合する族と一対一に対応する。射影空間はこうして作られ、各片がアフィンなら分離性は重なりの環で判定できる。同じ 2 枚のアフィン直線から、同一視の仕方によって射影直線と原点を2つもつ直線ができる。
スキームの貼り合わせ(gluing of schemes)とは、スキームの族 $\{X_i\}$ と、各 $X_i$ の開部分スキームどうしの同型の族から、各 $X_i$ を開部分スキームとして含むスキーム $X$ を作る操作である。アフィンスキームを何枚か用意し、重なりの部分を同型で同一視するのは、具体的なスキームを作るもっとも基本的な方法である。射影空間はこうして作られ、スキームのファイバー積 の存在のような一般論も、局所的に作ったものをこの操作でつなぐ。
同一視の同型が 3 枚の重なりで食い違わないこと(コサイクル条件)が、貼り合わせができるための条件である。この記事では、この条件の下で貼り合わせが同型を除いてただ 1 つに定まり、貼り合わせたスキームからの射が各片からの射の整合する族と一対一に対応することを証明する(thm-glue-main)。続いて、大域切断と分離性を各片のデータから読み取る方法を示し、射影直線 と 原点を2つもつ直線 で確かめる。最後に、コサイクル条件を外すと貼り合わせが存在しない例を挙げる。
以下、スキーム $X$ の開集合 $U$ には開部分スキームの構造 $(U,\mathcal{O}_X|_U)$ を入れる。
スキームの族 $\{X_i\}_{i\in I}$ と、各 $i,j\in I$ についての開集合 $U_{ij}\subset X_i$ と開部分スキームの同型 $\varphi_{ij}\colon U_{ij}\to U_{ji}$ の組で、$U_{ii}=X_i$、$\varphi_{ii}=\mathrm{id}_{X_i}$ であり、次の貼り合わせ条件をみたすものを貼り合わせのデータという。
条件 2 の前半により、$\varphi_{ij}$ は $U_{ij}\cap U_{ik}$ を $\varphi_{jk}$ の定義域 $U_{jk}$ の中へ写すので、後半の合成が意味をもつ。条件 1 は条件 2 から従う。実際、$k=i$ とおくと $U_{ij}\cap U_{ii}=U_{ij}$ の上で $\varphi_{ji}\circ\varphi_{ij}=\varphi_{ii}=\mathrm{id}$ であり、$i$ と $j$ を入れ替えれば $\varphi_{ij}\circ\varphi_{ji}=\mathrm{id}$ も得られる。
スキームの族 $\{X_i\}$、開集合 $U_{ij}\subset X_i$、開部分スキームの同型 $\varphi_{ij}\colon U_{ij}\to U_{ji}$ の組 $(\{X_i\},\{U_{ij}\},\{\varphi_{ij}\})$(貼り合わせ条件は仮定しない)の貼り合わせとは、スキーム $X$ と開埋め込みの族 $\psi_i\colon X_i\to X$ の組 $(X,\{\psi_i\})$ で、$V_i:=\psi_i(X_i)$ とおくとき
$$
X=\bigcup_{i\in I}V_i,\qquad \psi_i(U_{ij})=V_i\cap V_j,\qquad U_{ij}\text{ の上で }\psi_j\circ\varphi_{ij}=\psi_i
$$
をみたすものをいう。
貼り合わせ条件は、貼り合わせが存在するための必要条件でもある。$(X,\{\psi_i\})$ を貼り合わせとすると、$\psi_j$ は $X_j$ から $V_j$ への同型で、$\psi_i(U_{ij})\subset V_j$ だから、$U_{ij}$ の上で $\varphi_{ij}=\psi_j^{-1}\circ\psi_i$ と書ける。すると $\varphi_{ij}(U_{ij}\cap U_{ik})=\psi_j^{-1}(V_i\cap V_j\cap V_k)=U_{ji}\cap U_{jk}$ であり、$U_{ij}\cap U_{ik}$ の上で $\varphi_{jk}\circ\varphi_{ij}=\psi_k^{-1}\circ\psi_j\circ\psi_j^{-1}\circ\psi_i=\psi_k^{-1}\circ\psi_i=\varphi_{ik}$ である。
$(\{X_i\},\{U_{ij}\},\{\varphi_{ij}\})$ を貼り合わせのデータとする。
1.位相空間。 $Y:=\coprod_iX_i$ を位相空間の直和とし、その点を $(i,x)$($x\in X_i$)と書く。$(i,x)\sim(j,y)$ を「$x\in U_{ij}$ かつ $y=\varphi_{ij}(x)$」で定める。$\varphi_{ii}=\mathrm{id}$ から反射律が、条件 1 から対称律が従う。推移律:$(i,x)\sim(j,y)\sim(k,z)$ なら $y=\varphi_{ij}(x)\in U_{ji}\cap U_{jk}$ なので、条件 2 の前半により $x\in U_{ij}\cap U_{ik}$ であり、コサイクル条件により $z=\varphi_{jk}(\varphi_{ij}(x))=\varphi_{ik}(x)$、すなわち $(i,x)\sim(k,z)$ である。$X:=Y/{\sim}$ に商位相を入れ、$\psi_i\colon X_i\to X$ を $x\mapsto[(i,x)]$ とおく。$(i,x)\sim(i,y)$ は $y=\varphi_{ii}(x)=x$ を意味するので $\psi_i$ は単射で連続である。$X_i$ の開集合 $W$ について、各 $j$ で $\psi_j^{-1}(\psi_i(W))=\varphi_{ij}(W\cap U_{ij})$ は $U_{ji}$ の開集合、したがって $X_j$ の開集合なので、$\psi_i(W)$ は $X$ の開集合である。よって $V_i:=\psi_i(X_i)$ は開集合で、$\psi_i\colon X_i\to V_i$ は同相写像であり、$X=\bigcup_iV_i$ である。同値関係の定義から、$U_{ij}$ の上で $\psi_j\circ\varphi_{ij}=\psi_i$(点の写像として)であり、$\psi_i(x)\in V_j$ と $x\in U_{ij}$ は同値なので $\psi_i(U_{ij})=V_i\cap V_j$ である。
1.構造層。 $V_i$ の上に環の層 $\mathcal{O}_i:=\psi_{i*}\mathcal{O}_{X_i}$ を置く。開集合 $W\subset V_i\cap V_j$ について $\psi_i^{-1}(W)\subset U_{ij}$ と $\psi_j^{-1}(W)=\varphi_{ij}(\psi_i^{-1}(W))$ が成り立つので、$\varphi_{ij}$ に伴う層の射は環の同型
$$
\varphi_{ij}^\sharp\colon\mathcal{O}_j(W)=\mathcal{O}_{X_j}(\psi_j^{-1}(W))\longrightarrow\mathcal{O}_{X_i}(\psi_i^{-1}(W))=\mathcal{O}_i(W)
$$
を与える。その逆を $\Phi_{ij}\colon\mathcal{O}_i|_{V_i\cap V_j}\to\mathcal{O}_j|_{V_i\cap V_j}$ とおく。合成の層の射は $(\varphi_{jk}\circ\varphi_{ij})^\sharp=\varphi_{ij}^\sharp\circ\varphi_{jk}^\sharp$ なので、コサイクル条件 $\varphi_{jk}\circ\varphi_{ij}=\varphi_{ik}$ は $V_i\cap V_j\cap V_k$ の上の $\Phi_{ik}=\Phi_{jk}\circ\Phi_{ij}$ を与える。したがって $(\mathcal{O}_i,\Phi_{ij})$ は開被覆 $\{V_i\}$ に関する環の層の貼り合わせデータであり、コサイクル条件 の定理「層の貼り合わせ」の 1 と 4 により、$X$ 上の環の層 $\mathcal{O}_X$ と環の層の同型 $\chi_i\colon\mathcal{O}_X|_{V_i}\to\mathcal{O}_i$ で、$V_i\cap V_j$ の上で $\Phi_{ij}\circ\chi_i=\chi_j$ となるものがある。$\psi_i$ に層の射 $\psi_i^\sharp:=\chi_i\colon\mathcal{O}_X|_{V_i}\to\psi_{i*}\mathcal{O}_{X_i}$ を合わせると、$\psi_i$ は環付き空間の同型 $X_i\to(V_i,\mathcal{O}_X|_{V_i})$ になる。$U_{ij}$ の上の等式 $\psi_j\circ\varphi_{ij}=\psi_i$ は層の射まで成り立つ。開集合 $W\subset V_i\cap V_j$ の上で $(\psi_j\circ\varphi_{ij})^\sharp=\varphi_{ij}^\sharp\circ\chi_j=\varphi_{ij}^\sharp\circ\Phi_{ij}\circ\chi_i=\chi_i$ となるからである。
1.スキームであること。 点 $x\in V_i$ の茎は $\mathcal{O}_{X,x}\cong\mathcal{O}_{X_i,\psi_i^{-1}(x)}$ なので局所環であり、$X$ は局所環付き空間である。$\psi_i^{-1}(x)$ を含む $X_i$ のアフィン開集合 $U$ をとれば、$\psi_i(U)$ は $x$ を含み $U$ と同型な開集合である。よって $X$ はスキームで、各 $\psi_i$ は開部分スキーム $V_i$ への同型、すなわち開埋め込みであり、$(X,\{\psi_i\})$ は貼り合わせである。
2. $\psi_i^{-1}\colon V_i\to X_i$ は開部分スキームからの同型なので、$g_i:=f_i\circ\psi_i^{-1}\colon V_i\to T$ は射である。$V_i\cap V_j=\psi_i(U_{ij})$ の上では $\psi_j^{-1}=\varphi_{ij}\circ\psi_i^{-1}$ なので
$$
g_j=f_j\circ\varphi_{ij}\circ\psi_i^{-1}=f_i\circ\psi_i^{-1}=g_i
$$
である。スキーム の補題「射は開被覆で決まり貼り合わさる」により、$f|_{V_i}=g_i$(すべての $i$)となる射 $f\colon X\to T$ がただ 1 つあり、これは $f\circ\psi_i=f_i$ と同値である。ここで使ったのは貼り合わせの定義の 3 条件だけなので、1 で作ったものに限らず任意の貼り合わせについて成り立つ。
3. 2 を $T=X'$、$f_i=\psi'_i$ に使う($\psi'_j\circ\varphi_{ij}=\psi'_i$ は $(X',\{\psi'_i\})$ が貼り合わせであることによる)と、$g\circ\psi_i=\psi'_i$ となる $g\colon X\to X'$ がただ 1 つある。役割を入れ替えて $g'\circ\psi'_i=\psi_i$ となる $g'\colon X'\to X$ をとると、$g'\circ g\circ\psi_i=\psi_i=\mathrm{id}_X\circ\psi_i$ なので、2 の一意性($T=X$、$f_i=\psi_i$)により $g'\circ g=\mathrm{id}_X$ であり、同様に $g\circ g'=\mathrm{id}_{X'}$ である。
4. 構造射を $\pi_i\colon X_i\to S$ とすると、$\varphi_{ij}$ が $S$ 上の同型であることは $\pi_j\circ\varphi_{ij}=\pi_i$ を意味する。2 により $\pi\circ\psi_i=\pi_i$ となる $\pi\colon X\to S$ がただ 1 つあり、これが求める構造である。$T$ の構造射を $\rho$ とし $f_i$ が $S$ 射なら、$\rho\circ f\circ\psi_i=\rho\circ f_i=\pi_i=\pi\circ\psi_i$ なので、2 の一意性($f_i$ を $\pi_i$ に替えたもの)により $\rho\circ f=\pi$ である。$\square$
位相空間と構造層を作る段は、環付き空間の貼り合わせ(コサイクル条件 の命題「環付き空間の貼り合わせ」)と同じ構成である。存在は Har77 II 章の演習 2.12(p. 80)に、$S$ 上の版の存在と同型を除く一意性は Liu02 Lemma 2.3.33(pp. 49–50)にある。2 は、包含 $U_{ij}\hookrightarrow X_i$ と $U_{ij}\xrightarrow{\varphi_{ij}}U_{ji}\hookrightarrow X_j$ からなる図式の余極限が $X$ であることを述べており、$X$ から出る射を作るときに使う。
$(X,\{\psi_i\})$ を貼り合わせとし、$V_i:=\psi_i(X_i)$ とおく。点 $x\in X_i$ について $\mathcal{O}_{X,\psi_i(x)}\cong\mathcal{O}_{X_i,x}$ なので、茎で決まる性質(被約・正規・正則など)は、すべての $X_i$ がもてば $X$ ももつ。$I$ が有限で各 $X_i$ が準コンパクトなら、$X$ は準コンパクトな $V_i$ の有限個の和なので準コンパクトである。切断は次のように各片のデータから計算できる。
開集合 $W\subset X$ について、$W_i:=\psi_i^{-1}(W)\subset X_i$ とおく。写像 $s\mapsto(\psi_i^\sharp(s|_{W\cap V_i}))_i$ は、環の同型
$$
\mathcal{O}_X(W)\xrightarrow{\ \sim\ }\Bigl\{(s_i)_i\in\prod_{i\in I}\mathcal{O}_{X_i}(W_i)\ \Bigm|\ \text{すべての }i,j\text{ で }s_i|_{W_i\cap U_{ij}}=\varphi_{ij}^\sharp\bigl(s_j|_{W_j\cap U_{ji}}\bigr)\Bigr\}
$$
を与える。ここで $\varphi_{ij}^\sharp\colon\mathcal{O}_{X_j}(W_j\cap U_{ji})\to\mathcal{O}_{X_i}(W_i\cap U_{ij})$ は $\varphi_{ij}$ に伴う環の同型である($\varphi_{ij}(W_i\cap U_{ij})=W_j\cap U_{ji}$)。とくに $W=X$ とすれば $\Gamma(X,\mathcal{O}_X)$ が求まる。
$\psi_i^\sharp$ は同型 $\mathcal{O}_X(W\cap V_i)\cong\mathcal{O}_{X_i}(W_i)$ を与える。$U_{ij}$ の上の $\psi_i=\psi_j\circ\varphi_{ij}$ から、$W\cap V_i\cap V_j$ 上の切断 $t$ について $\psi_i^\sharp(t)=\varphi_{ij}^\sharp(\psi_j^\sharp(t))$ である。層の条件により、$\mathcal{O}_X(W)$ は $W\cap V_i\cap V_j$ への制限が一致する族 $(t_i)\in\prod_i\mathcal{O}_X(W\cap V_i)$ の全体と同型であり、これを $\psi_i^\sharp$ で移すと右辺の条件になる。$\square$
貼り合わせたスキームは分離的とは限らない(分離射)。各片がアフィンなら、分離性は重なりの環で判定できる。
$S=\operatorname{Spec}A$ をアフィンスキームとし、$S$ 上の貼り合わせのデータで各 $X_i=\operatorname{Spec}B_i$ がアフィンなものを考える。$S$ 上の貼り合わせ $X$ について、次は同値である。
$X$ は $S$ のアフィン開集合 $S$ 自身の逆像であり、$V_i\cong X_i$ はそのアフィン開被覆である。分離射 の命題「アフィン開被覆による分離性の判定」の 1 と 3 の同値により、$X$ が $S$ 上分離的であることは、各 $i,j$ で $V_i\cap V_j$ がアフィンであり、$\mathcal{O}_X(V_i)\otimes_A\mathcal{O}_X(V_j)\to\mathcal{O}_X(V_i\cap V_j)$ が全射であることと同値である。$\psi_i$ は $U_{ij}$ と $V_i\cap V_j$ の同型を与えるので、前者は $U_{ij}$ がアフィンであることと同値である。$\psi_i^\sharp$、$\psi_j^\sharp$ で $\mathcal{O}_X(V_i)=B_i$、$\mathcal{O}_X(V_j)=B_j$、$\mathcal{O}_X(V_i\cap V_j)=\mathcal{O}_{X_i}(U_{ij})$ と同一視すると、$V_i$ からの制限は $B_i\to\mathcal{O}_{X_i}(U_{ij})$ の制限に、$V_j$ からの制限は $\psi_i^\sharp=\varphi_{ij}^\sharp\circ\psi_j^\sharp$ により $b'\mapsto\varphi_{ij}^\sharp(b'|_{U_{ji}})$ になる。よって後者は 2 の全射性と同値である。$\square$
Liu02 Proposition 3.3.6(pp. 100–101)は $S=\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ の場合のこの判定を述べている。
$k$ を体とし、$X_1=\operatorname{Spec}k[t]$、$X_2=\operatorname{Spec}k[s]$、$U_{12}=D(t)=\operatorname{Spec}k[t,t^{-1}]$、$U_{21}=D(s)=\operatorname{Spec}k[s,s^{-1}]$ とする。同型 $\varphi_{12}\colon U_{12}\to U_{21}$ を 1 つ選び $\varphi_{21}:=\varphi_{12}^{-1}$ とおけば、添字が 2 つなので貼り合わせ条件は成り立つ(条件 2 の添字 $i,j,k$ のうち 2 つは等しい)。
thm-glue-main の仮定を 1 つずつ外すと、次のように結論が崩れる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| コサイクル条件 | 3 枚の $\mathbb{A}^1_k$ を $D(t)$ で貼り、$\varphi_{13}$ だけを $t\mapsto t^{-1}$ にする | 貼り合わせが存在すること |
| $U_{ij}$ が開集合であること | 2 本の $\mathbb{A}^1_k$ を原点という閉集合で同一視する | 各片が開部分スキームとして入ること |
1 行目:$X_1=X_2=X_3=\operatorname{Spec}k[t]$、$i\neq j$ について $U_{ij}=D(t)$ とし、$\sigma\colon D(t)\to D(t)$ を環の自己同型 $t\mapsto t^{-1}$ が定める同型とする($\sigma^{-1}=\sigma$)。$\varphi_{12}=\varphi_{21}=\varphi_{23}=\varphi_{32}=\mathrm{id}$、$\varphi_{13}=\varphi_{31}=\sigma$ とおくと、条件 1 と条件 2 の前半は成り立つが、$D(t)$ の上で $\varphi_{23}\circ\varphi_{12}=\mathrm{id}\neq\sigma=\varphi_{13}$ である。貼り合わせ $(X,\{\psi_i\})$ があったとすると、$D(t)$ の上で $\psi_1=\psi_2\circ\varphi_{12}=\psi_2=\psi_3\circ\varphi_{23}=\psi_3$ かつ $\psi_1=\psi_3\circ\varphi_{13}=\psi_3\circ\sigma$ である。$\psi_3$ の $D(t)$ への制限は開埋め込みなのでモノ射であり(開埋め込み の命題「開埋め込みはモノ射」)、$\psi_3\circ\sigma=\psi_3$ から $\sigma=\mathrm{id}$ となって矛盾する。したがって貼り合わせは存在しない。条件が必要であることは def-glue-gluing の後の段落でも示した。
2 行目:$C:=\operatorname{Spec}k[x,y]/(xy)$ は 2 本の直線 $L_1=V(y)$、$L_2=V(x)$(どちらも $\mathbb{A}^1_k$ と同型)の和で、$L_1\cap L_2$ は原点 1 点である。$L_1$ は $C$ の開集合でない。開集合なら補集合 $L_2\setminus\{0\}$ が $C$ の、したがって $L_2$ の閉集合になるが、$L_2\cong\mathbb{A}^1_k$ の空でない開集合は稠密なので、その閉包は $L_2$ 全体である。よって $C$ は 2 本の直線を開部分スキームとして含む貼り合わせではない。環の側では、$f\mapsto(f(x,0),f(0,y))$ が同型 $k[x,y]/(xy)\cong\{(g,h)\in k[x]\times k[y]\mid g(0)=h(0)\}$ を与え(核は $(x)\cap(y)=(xy)$、$(g,h)$ の逆像の 1 つは $g(x)+h(y)-g(0)$)、閉集合に沿った同一視は環のファイバー積で表される。これはこの記事の構成とは別の操作である。
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