Schurの定理(和のない集合)

同義語:Schurの定理(和のない分割)Schur's theorem on sum-free partitions

概要

Schurの定理(和のない集合)(Schur's theorem on sum-free partitions)とは、色の数 $k$ を固定すると、$1,\dots,N$ をどう $k$ 色で塗り分けても、$N\ge\lfloor k!\,e\rfloor$ なら同じ色の数 $x,y,z$ で $x+y=z$ となるもの($x=y$ も許す)が必ずある、という組合せ論の定理である。たとえば $\{1,2,3,4\}$ は $\{1,4\}$ と $\{2,3\}$ に分けられるが、$\{1,\dots,5\}$ は 2 色では分けられない。I. Schur はこれを使い、$m$ を固定すると十分大きい素数 $p$ では $x^m+y^m\equiv z^m\pmod p$ が $p$ で割り切れない解をもつことを示した。表現論の Schur の補題とは別の定理である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 鳩の巣原理, Ramseyの定理, 完全グラフ, 合同式
$1,2,3,4$ の 4 つの数を 2 つの組に分けて、どちらの組にも「$x+y=z$」となる 3 数($x=y$ でもよい)が入らないようにしたい。$\{1,4\}$ と $\{2,3\}$ に分けると、$1+1=2$、$1+3=4$、$2+2=4$ などの和はどれも組をまたぐので、うまくいく。ところが $1,2,3,4,5$ の 5 つの数は、どう 2 組に分けても、どちらかの組に $x+y=z$ が現れる(prop-schur-sumfree-two)。組を 3 つに増やすと $1$ から $13$ までは
$$ \{1,4,10,13\},\qquad\{2,3,11,12\},\qquad\{5,6,7,8,9\} $$
のように分けられるが、$1$ から $14$ までは分けられないことが知られている(rem-schur-sumfree-values)。
一般に、組の数 $k$ を決めておくと、$1,2,\dots,N$ を $k$ 組に分けるとき、$N$ が十分大きければどれかの組に $x+y=z$ が必ず現れる。これが I. Schur が 1916 年に証明した Schur の定理 である(Sch16)。Schur は、Fermat の方程式 $x^m+y^m=z^m$ を素数 $p$ を法として考えると、$p$ が大きければ $p$ で割り切れない解がつねにあることを示すためにこの定理を使った(thm-schur-sumfree-fermat)。Schur の定理は、十分大きな構造には必ず規則的な部分構造が現れるという Ramsey理論 の最初期の結果の 1 つである。
同じ名前の定理に、表現論の Schurの補題、行列の三角化に関する定理、対称関数の Schur多項式 などがあるが、本記事の定理はそれらとは別のものである。

定義

以下、正の整数全体を $\mathbb{Z}_{>0}$ と書き、$[N]:=\{1,2,\dots,N\}$ とおく。

和のない集合

$A\subset\mathbb{Z}_{>0}$ が 和のない集合(sum-free set)であるとは、$x+y=z$ を満たす $x,y,z\in A$ が存在しないことをいう。ここで $x=y$ も許す。すなわち、$A$ の 2 つの元(同じ元を 2 回使ってもよい)の和は $A$ に属さない。

$k$ 個の組への分割は、各数に組の番号を割り当てる写像 $\chi\colon[N]\to\{1,\dots,k\}$($k$ 色による塗り分け)と同じことである。$\chi(x)=\chi(y)=\chi(z)$ かつ $x+y=z$ となる $x,y,z\in[N]$ を 単色の解 という。各色の数の集合がすべて和のない集合であることと、単色の解がないことは同じである。

Schur数

$k\ge1$ とする。$[N]$ を $k$ 個の和のない集合に分割できる(単色の解のない $k$ 色の塗り分けがある)ような最大の $N$ を Schur 数 といい、$S(k)$ と書く。

$S(k)$ が有限であること($N$ が大きいと分割できなくなること)が Schur の定理の内容である。$[N]$ が $k$ 色で塗り分けられれば $[N-1]$ も塗り分けられるので、「$N\le S(k)$ なら塗り分けられ、$N>S(k)$ なら塗り分けられない」。また $r\le k$ なら、$r$ 色の塗り分けは $k$ 色の塗り分けでもあるので $S(r)\le S(k)$ である。

定理

Schurの定理

$k\ge1$ とし、$N\ge\lfloor k!\,e\rfloor$ とする($e$ は自然対数の底)。$[N]$ をどのように $k$ 色で塗り分けても単色の解がある。すなわち、どれかの色の数 $x,y,z$ で $x+y=z$ となるものがある。したがって $S(k)\le\lfloor k!\,e\rfloor-1$ である。

証明の方針

数 $0,1,\dots,N$ を頂点とする完全グラフを考え、頂点 $i,j$ を結ぶ辺を数 $|i-j|$ の色で塗る。同じ色の三角形 $i< j< l$ があれば、$x=j-i$、$y=l-j$、$z=l-i$ が単色の解 $x+y=z$ になる。同じ色の三角形の存在は、Ramseyの定理 の多色版の、三角形の場合(lem-schur-sumfree-triangle)から従う。必要な頂点数は次の数 $T_k$ で与えられる。

数列T_kと k!e

$T_0:=1$、$T_k:=kT_{k-1}+1$($k\ge1$)で数列を定める。このとき
$$ T_k=k!\sum_{i=0}^{k}\frac1{i!} $$
であり、$k\ge1$ なら $T_k=\lfloor k!\,e\rfloor$ である。

第 1 式は $k$ に関する帰納法で示す。$k=0$ では両辺が $1$ である。$k-1$ で成り立てば
$$ T_k=k\cdot(k-1)!\sum_{i=0}^{k-1}\frac1{i!}+1=k!\sum_{i=0}^{k-1}\frac1{i!}+\frac{k!}{k!}=k!\sum_{i=0}^{k}\frac1{i!} $$
である。次に $e=\sum_{i=0}^\infty\frac1{i!}$ より、$k\ge1$ のとき
$$ k!\,e-T_k=\sum_{i=k+1}^\infty\frac{k!}{i!}=\frac1{k+1}+\frac1{(k+1)(k+2)}+\cdots<\sum_{j=1}^\infty\frac1{(k+1)^j}=\frac1k\le1 $$
であり、左辺は正である。$T_k$ は整数なので $T_k=\lfloor k!\,e\rfloor$ である。$\square$

$T_1,\dots,T_5$ は $2,5,16,65,326$ である。

多色の単色三角形

$k\ge1$ とする。$T_k+1$ 個の頂点をもつ完全グラフの辺を $k$ 色以下で塗ると、3 辺がすべて同じ色の三角形がある。

$k$ に関する帰納法で示す。頂点 $v$ を 1 つ選ぶ。$v$ に接続する辺は $T_k=kT_{k-1}+1$ 本ある。どの色も $v$ で高々 $T_{k-1}$ 本しか使われないとすると、辺の本数は高々 $kT_{k-1}< T_k$ となって矛盾するので、ある色 $c$ の辺が $v$ で $T_{k-1}+1$ 本以上使われる(鳩の巣原理)。それらの辺の $v$ でない端点の集合を $W$ とすると、$|W|\ge T_{k-1}+1\ge2$ である。
$W$ の 2 頂点 $w,w'$ を結ぶ辺が色 $c$ なら、$v,w,w'$ は 3 辺がすべて色 $c$ の三角形である。そのような辺がないとする。$k=1$ なら色は $c$ しかなく、$|W|\ge2$ なので $W$ の中に辺があり、それは色 $c$ であって矛盾する。$k\ge2$ なら、$W$ の中の辺は $c$ 以外の $k-1$ 色以下で塗られているので、$W$ の $T_{k-1}+1$ 個の頂点に帰納法の仮定を使えば、同じ色の三角形がある。$\square$

Schurの定理の証明

$\chi\colon[N]\to\{1,\dots,k\}$ を塗り分けとする。$0,1,\dots,N$ を頂点とする完全グラフを考え、$i\ne j$ を結ぶ辺を色 $\chi(|i-j|)$ で塗る($1\le|i-j|\le N$ なので色は定まる)。lem-schur-sumfree-tk により $N+1\ge\lfloor k!\,e\rfloor+1=T_k+1$ なので、lem-schur-sumfree-triangle により 3 辺が同じ色の三角形がある。その頂点を $i< j< l$ とし、
$$ x:=j-i,\qquad y:=l-j,\qquad z:=l-i $$
とおく。$x,y,z\in[N]$ であり、辺 $ij$、$jl$、$il$ の色がそれぞれ $\chi(x),\chi(y),\chi(z)$ で等しい。$x+y=z$ なので、これは単色の解である。後半は $S(k)$ の定義から従う。$\square$

この証明で三角形を探す手順を数の言葉に直すと、Moser の本の証明(Mos11 第 7 章、印刷 p. 60/PDF p. 68)になる。Moser は、最も多い色の数を $a_1< a_2<\cdots$ とし、差 $a_j-a_1$ をとり、その中で最も多い色の数の差をさらにとり、…と繰り返して矛盾を導いている。差 $a_j-a_1$ をとることは、上の証明で頂点 $a_1$ から出る辺を見ることにあたる。$k=2$ の場合は、Ramseyの定理 の記事の命題「6 人の問題」($6$ 頂点の完全グラフを 2 色で塗ると単色の三角形がある)から、頂点 $0,1,\dots,5$ を使って $S(2)\le4$ が従う。

小さい場合と下からの構成

2色の場合

$S(2)=4$ である。すなわち $[4]$ は 2 つの和のない集合に分割できるが、$[5]$ はできない。

$\{1,4\}$ と $\{2,3\}$ はどちらも和のない集合である($1+1=2$、$1+4=5$、$4+4=8$、$2+2=4$、$2+3=5$、$3+3=6$ はどれも同じ組に入らない)。
$[5]$ を赤と青の 2 色で、単色の解がないように塗れたとする。色の名前を入れ替えて $1$ を赤としてよい。$1+1=2$ なので $2$ は青である。$2+2=4$ なので $4$ は赤である。$1+3=4$ で $1,4$ が赤なので $3$ は青である。すると $5$ は、$1+4=5$($1,4$ は赤)から赤でなく、$2+3=5$($2,3$ は青)から青でもない。これは矛盾である。$\square$

thm-schur-sumfree-main の上界は $k=2$ で $\lfloor2e\rfloor-1=4$ となり、ちょうど $S(2)$ に一致する。

下からの構成

$k\ge1$ とする。$[N]$ が $k$ 個の和のない集合に分割できるなら、$[3N+1]$ は $k+1$ 個の和のない集合に分割できる。したがって $S(k+1)\ge3S(k)+1$ であり、$S(k)\ge\frac{3^k-1}{2}$ である。

$[N]=A_1\cup\cdots\cup A_k$ を和のない集合への分割とする。$i=1,\dots,k$ について $A_i':=A_i\cup\{a+2N+1\mid a\in A_i\}$ とおき、$A_{k+1}':=\{N+1,N+2,\dots,2N+1\}$ とおく。これらは $[3N+1]$ の分割である($A_i'$ の後半は $2N+2$ から $3N+1$ までの数を分け合う)。
$A_{k+1}'$ の 2 数の和は $2N+2$ 以上で、$A_{k+1}'$ の最大の数 $2N+1$ を超えるので、$A_{k+1}'$ は和のない集合である。$A_i'$($i\le k$)の中に $x+y=z$ があるとする。$x,y$ がともに後半($2N+2$ 以上)なら $z\ge4N+4>3N+1$ となり不可能である。$x,y$ がともに前半($N$ 以下)なら $z\le2N$ なので $z$ も前半であり、$x,y,z\in A_i$ となって $A_i$ が和のない集合であることに反する。$x$ が前半、$y=b+2N+1$($b\in A_i$)が後半なら、$z=(x+b)+2N+1$ は後半なので $z=c+2N+1$($c\in A_i$)と書け、$x+b=c$ となって再び矛盾する。よって $A_i'$ も和のない集合である。
$S(1)=1$($\{1\}$ は和のない集合で、$\{1,2\}$ は $1+1=2$ を含む)なので、$S(k)\ge\frac{3^k-1}2$ は $k$ に関する帰納法で $S(k+1)\ge3\cdot\frac{3^k-1}{2}+1=\frac{3^{k+1}-1}{2}$ から従う。$\square$

$k=2$ の分割 $\{1,4\},\{2,3\}$ にこの構成を使うと、冒頭の $[13]$ の 3 分割 $\{1,4,10,13\}$、$\{2,3,11,12\}$、$\{5,6,7,8,9\}$ が得られる。さらにもう一度使うと、$[40]$ の 4 分割が得られる。

2 の冪で区切る分割

より簡単な構成として、$i=1,\dots,k$ について $B_i:=\{2^{i-1},2^{i-1}+1,\dots,2^i-1\}$ とおくと、$B_1,\dots,B_k$ は $[2^k-1]$ の分割であり、$B_i$ の 2 数の和は $2\cdot2^{i-1}=2^i$ 以上で $B_i$ の最大の数 $2^i-1$ を超えるので、どれも和のない集合である(Mos11 第 7 章、印刷 p. 59/PDF p. 67)。したがって $S(k)\ge2^k-1$ である。これは prop-schur-sumfree-lower の下界 $\frac{3^k-1}2$ より弱い($k\ge2$ で)。この例は、色の数 $k$ を固定しなければ Schur の定理の結論が成り立たないことも示している。$[N]$ を $\lfloor\log_2N\rfloor+1$ 色で上のように塗れば、$N$ がどれだけ大きくても単色の解は現れない。

知られている値

$S(1)=1$、$S(2)=4$、$S(3)=13$、$S(4)=44$ は Golomb と Baumert(1965)によって知られており、$S(5)=160$ は Heule が計算機(充足可能性判定の大規模な並列計算)で決定した(Heu18。$S(1),\dots,S(4)$ の値とその出典も同論文の序論による)。$S(3)=13$ の下界は冒頭の分割が与え、thm-schur-sumfree-main の上界は $\lfloor3!\,e\rfloor-1=15$ である。一般の $k$ について $S(k)$ の正確な値や増え方は分かっていない。Moser は、上界 $\lfloor k!\,e\rfloor$ を大幅に下げられるかという問題を挙げている(Mos11 第 7 章、印刷 p. 59/PDF p. 67)。

Fermat の合同式への応用

Fermatの方程式の合同式での可解性

$m\ge1$ とし、$p$ を $p-1>S(m)$ を満たす素数とする(たとえば $p>\lfloor m!\,e\rfloor$ ならよい)。このとき、$p$ で割り切れない整数 $u,v,w$ で
$$ u^m+v^m\equiv w^m\pmod p $$
を満たすものがある。

$G:=(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})^\times$ を法 $p$ の既約剰余類の乗法群とする(位数 $p-1$)。$G$ は可換なので、$\varphi(g):=g^m$ は群準同型 $\varphi\colon G\to G$ であり、その像を $H$ とする。$H$ は $G$ の部分群で、準同型定理により $|G|=|\ker\varphi|\cdot|H|$ である。$\ker\varphi$ は体 $\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ での多項式 $t^m-1$ の根の集合なので、$|\ker\varphi|\le m$ である。したがって $H$ の剰余類の個数 $r:=|G|/|H|=|\ker\varphi|$ は $m$ 以下である。
$H$ の剰余類 $g_1H,\dots,g_rH$ は $G$ を分割する。$[p-1]$ の各数 $n$ に、$n$ の剰余類 $n\bmod p$ が属する $g_iH$ の番号 $i$ を割り当てると、$[p-1]$ の $r$ 色の塗り分けが得られる。$p-1>S(m)\ge S(r)$ なので、単色の解 $x+y=z$($x,y,z\in[p-1]$、同じ $g_iH$ に属する)がある。$x\equiv g_iu^m$、$y\equiv g_iv^m$、$z\equiv g_iw^m\pmod p$ となる整数 $u,v,w$($p$ で割り切れない)をとると、$g_i(u^m+v^m)\equiv g_iw^m\pmod p$ であり、$g_i$ は法 $p$ で可逆なので $u^m+v^m\equiv w^m\pmod p$ である。
最後の括弧内の主張は、thm-schur-sumfree-main により $S(m)\le\lfloor m!\,e\rfloor-1$ であることから従う。$\square$

3乗の場合

$m=3$ のとき、thm-schur-sumfree-fermat は $p-1>S(3)=13$、すなわち $p\ge17$ の素数で解の存在を保証する($S(3)=13$ を使わず上界 $15$ を使っても同じ範囲になる)。小さい素数では解がないことがある。$p=7$ では $p$ で割り切れない数の 3 乗の剰余は $1,6$ だけで、$1+1=2$、$1+6=7\equiv0$、$6+6=12\equiv5$ のどれも $1,6$ にならないので、$u^3+v^3\equiv w^3\pmod7$ は $7$ で割り切れない解をもたない。$p=13$ でも 3 乗の剰余は $1,5,8,12$ で、2 つの和($2,6,9,0,10,0,3,4,7,11$)はどれもこの中にないので解がない。なお $p\equiv2\pmod3$ を満たす奇素数では $u\mapsto u^3$ が法 $p$ の既約剰余類の全単射になる(核が自明)ので、$1+1=2$ から直ちに解が得られる($p=5,11$ など)。

Fermat の最終定理との関係

Fermatの最終定理($m\ge3$ なら $x^m+y^m=z^m$ は正の整数解をもたない)を証明するための自然な方法として、ある素数 $p$ を法として方程式が $p$ で割り切れない解をもたないことを示す、というものが考えられる。thm-schur-sumfree-fermat は、$m$ を固定すると十分大きい素数ではこの方法が必ず失敗することを示している(Mos11 第 7 章、印刷 p. 60/PDF p. 68)。Schur はこの結果を、Dickson が示していた定理の別証明として与えた(Sch16)。

例と反例

反例:x と y を相異なるものに限る場合

def-schur-sumfree-set では $x=y$ を許した。$x\ne y$ の解だけを禁じる約束に変えると、数が変わる。たとえば $[8]$ は
$$ \{1,2,4,8\},\qquad\{3,5,6,7\} $$
に分けると、どちらの組にも相異なる $x,y$ で $x+y=z$ となるものはない(第 1 組の相異なる 2 数の和は $3,5,6,9,10,12$、第 2 組では $8,9,10,11,12,13$)。しかし第 1 組は $1+1=2$ を含むので、$x=y$ を許す約束では和のない集合ではない。$x=y$ を許す約束では $[5]$ ですでに 2 分割できない(prop-schur-sumfree-two)ので、この例は「$x\ne y$ の約束でも $[5]$ は 2 分割できない」という主張を破る。thm-schur-sumfree-main の証明で見つかる三角形 $i< j< l$ は $j-i=l-j$ となることもあり、そのとき得られる解は $x=y$ の形なので、この証明は $x\ne y$ の約束での主張までは示していない。Schur 数の値は約束によって異なる。文献を読むときは、どちらの約束かを確かめる必要がある。

補足

歴史と文献の注意

Schur の論文 Sch16 は『ドイツ数学者協会年報』第 25 巻に載った。この巻の年は 1916 年とされることが多いが、1917 年とする文献もある(Mos11 と Heu18 は 1917 年とする)。Moser は第 7 章でこの定理を 2 の冪で区切る構成から導入し、$[(3^k-1)/2]$ の $k$ 分割の表を載せているが、$k=3$ の表では $3$ と $4$ が入れ替わっている(表の通りに読むと第 1 の組に $3+10=13$ が現れる。正しくは冒頭の $\{1,4,10,13\}$、$\{2,3,11,12\}$、$\{5,\dots,9\}$。Mos11 印刷 p. 59/PDF p. 67)。Schur の定理と同じ型の結果に、自然数を有限色で塗ると任意の長さの単色の等差数列があるという van der Waerdenの定理 がある(Mos11 第 7 章、印刷 pp. 60–61)。

関連項目

参考文献

[2]
Issai Schur, Über die Kongruenz x^m + y^m ≡ z^m (mod p), Jahresbericht der Deutschen Mathematiker-Vereinigung 25, pp. 114–117, 1916, 和のない分割の定理と Fermat の合同式への応用
[3]
Marijn J. H. Heule, Schur Number Five, Proceedings of the AAAI Conference on Artificial Intelligence 32(1), doi:10.1609/aaai.v32i1.12209, 2018, S(5)=160 の決定と既知の値 S(1) から S(4)

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