純性(purity)とは、正則スキームで余次元の小さい閉集合は低い次数の不変量に影響しない、あるいは不変量が変わる場所は余次元 $1$ に集中する、という型の定理の総称である。Zariski–Nagata の純性は正則スキーム上の有限被覆の分岐跡が余次元 $1$ であること、コホモロジー的純性は余次元 $c$ の滑らかな閉部分に台をもつエタールコホモロジーが次数 $2c$ 未満で消え次数 $2c$ で Gysin 同型をもつこと、Brauer 群の純性は正則スキームの Brauer 群が余次元 $1$ の点の局所環の Brauer 群の共通部分に等しいことを主張する。いずれも Hartogs の拡張定理の代数版であり、余次元 $2$ 以上の閉集合に台をもつ局所コホモロジー(係数 $\mathbb{G}_m$ または $\mathbb{Z}/n$)の低い次数での消滅として統一的に見られる。
前提知識: スキーム, 正則局所環, エタール射, エタールコホモロジー, 局所コホモロジー, Brauer群
代数幾何で純性(purity)と呼ばれる主張は、いずれも「余次元の小さい閉集合を取り除いても、ある不変量は変わらない」あるいは「不変量が変わる原因となる『悪い場所』は余次元 $1$ に集中している」という型の命題である。同じ語が、少なくとも次の 3 つの異なる定理を指して使われる。
$X$ を局所 Noether スキーム(Noether環)、$Z\subset X$ を閉集合、$U:=X\setminus Z$ をその補集合の開部分スキームとする。点 $z\in X$ に対し $\dim\mathcal{O}_{X,z}$ を点 $z$ の余次元といい、$Z$ のすべての点の余次元が $c$ 以上であることを $\operatorname{codim}(Z,X)\ge c$ と書く。$X$ が正則であるとは、すべての局所環 $\mathcal{O}_{X,x}$ が正則局所環であることをいい、正規であるとは、すべての局所環が整閉整域(正規環)であることをいう。正則スキームは正規である(Mat86 Theorem 20.3:正則局所環は一意分解整域であり、とくに整閉である)。
射 $f\colon Y\to X$ が有限エタールであるとは、有限射かつエタール射であることをいう。$X$ 上の有限エタールスキームの圏を $\mathrm{F\acute{E}t}(X)$ と書く。エタールな点の集合 $\{y\in Y\mid f\text{ は }y\text{ でエタール}\}$ は $Y$ の開集合である(Mil80 I §3)。
エタール層 $F$ と閉集合 $Z$ に対し、$Z$ に台をもつコホモロジー $H^i_Z(X,F)$ とその層版 $\mathcal{H}^i_Z(F)$ は 局所コホモロジー の記事の意味にとる。基本となるのは長完全列
$$
\cdots\to H^i_Z(X,F)\to H^i(X,F)\to H^i(U,F)\to H^{i+1}_Z(X,F)\to\cdots
$$
と、$Z$ を含む開集合 $V\subset X$ に対する切除 $H^i_Z(X,F)\cong H^i_Z(V,F)$ である(Mil80 III §1)。$\mu_n$ は $1$ の $n$ 乗根の層、$F(-c)$ は Tate捻り $F\otimes\mu_n^{\otimes(-c)}$ を表す。
$X$ を正則な局所 Noether スキーム、$Y$ を正規スキーム、$f\colon Y\to X$ を有限全射(より一般に準有限で支配的な射)とする。$Y$ の点 $y$ で $f$ がエタールでないものの全体
$$
R_f:=\{y\in Y\mid f\text{ は }y\text{ でエタールでない}\}
$$
を $f$ の分岐跡(ramification locus)といい、その像 $f(R_f)\subset X$ を分岐因子または branch locus という。$R_f$ はエタールな点の集合の補集合なので $Y$ の閉集合である。
def-purity-branch-locus の設定で、分岐跡 $R_f$ は空であるか、または $Y$ において純余次元 $1$ である。すなわち $R_f$ の各既約成分は $Y$ の余次元 $1$ の既約閉集合である。
言い換えると、$f$ が $Y$ の余次元 $2$ 以上の点 $y$ でエタールでないならば、$y$ に特殊化する余次元 $1$ の点 $y'$($y\in\overline{\{y'\}}$)で $f$ がエタールでないものが存在する。
証明は SGA1 Exposé X, Théorème 3.1 と SGA2 Exposé X に譲る。$X$ が体上の代数多様体の場合を Zariski が、一般の正則スキームの場合を Nagata が示し、SGA 1 で局所 Noether の枠組みに整理された(SGA1 X 3.1 の注記)。$X$ の正則性は外せない(ex-purity-counterexample-cone)。$Y$ の正規性も外せない:$\mathbb{A}^2_k\sqcup\mathbb{A}^2_k$ の 2 つの原点を 1 点に貼り合わせたスキーム $Y$(対応する環は $\{(g,h)\in k[x,y]^2\mid g(0,0)=h(0,0)\}$)から $\mathbb{A}^2_k$ への射は有限全射で、貼り合わせた点以外では自明な 2 重被覆なのでエタールだが、その点では $Y$ が正則でない(正則スキーム上エタールなスキームは正則である)のでエタールでなく、分岐跡は余次元 $2$ の 1 点である。
Zariski–Nagata の純性は、次の「延長定理」の形でも述べられ、応用ではこちらの形で使われることが多い。
証明は SGA2 Exposé X, Théorème 3.4 に譲る(同じ定理は、$X$ が局所完全交叉で $\operatorname{codim}(Z,X)\ge3$ の場合にも成り立つ)。thm-purity-zariski-nagata からこの形を導く筋は次のとおりである。$U$ 上の連結な有限エタール被覆 $V\to U$ が与えられたとき、$X$ を $V$ の関数体の中で正規化して得られる $Y\to X$ は有限全射で $Y$ は正規、$Y\times_XU\cong V$ である($X$ が正規で $U$ が稠密なので、正規化は $U$ 上では $V$ を復元する)。$Y\to X$ の分岐跡は $Z$ の逆像に含まれ、その余次元は $2$ 以上であるから、純性により分岐跡は空、すなわち $Y\to X$ は有限エタールである。充満忠実性は、$X$ 上の有限エタールスキームが正規で、その各連結成分が $U$ 上に稠密な開集合をもつことから従う(prop-purity-h1-injective の証明と同じ議論)。
$X$ をスキーム、$i\colon Z\hookrightarrow X$ を $\operatorname{codim}(Z,X)\ge c$ なる閉部分スキーム、$n$ を $X$ 上可逆な整数、$F$ を $\mathbb{Z}/n$ 加群のエタール層とする。
$k$ を体、$X$ を $k$ 上滑らかなスキーム(滑らかな射)、$Z\subset X$ を $k$ 上滑らかで $X$ において純余次元 $c$ の閉部分スキーム、$n$ を $k$ の標数と素な整数、$F$ を $\mathbb{Z}/n$ 加群の局所定数な構成可能層とする。このとき対 $(X,Z)$ は $F$ について純性を満たす。すなわち $\mathcal{H}^j_Z(F)=0$($j\ne2c$)かつ $\mathcal{H}^{2c}_Z(F)\cong i_*(i^*F(-c))$ であり、
$$
H^j_Z(X,F)=0\ (j<2c),\qquad H^{j}_Z(X,F)\cong H^{j-2c}\bigl(Z,i^*F(-c)\bigr)\ (\text{すべての }j)
$$
が成り立つ。
証明は SGA4 Exposé XVI, Théorème 3.7 と Mil80 VI Theorem 5.1 に譲る。この同型を通して定まる $H^{j}(Z,i^*F(-c))\to H^{j+2c}(X,F)$ が Gysin写像 であり、長完全列を書き直した Gysin 完全列と、その帰結($j\le2c-2$ で制限 $H^j(X,F)\to H^j(U,F)$ が同型、$j=2c-1$ で単射)は Gysin写像 の記事が扱う。滑らかな対の仮定を外し、$X$ を正則スキーム、$Z$ を余次元 $c$ の正則な閉部分スキーム、$n$ を $X$ 上可逆な整数とした同じ主張を絶対純性(absolute purity)といい、Gabber により証明された(Fujiwara Fuj02)。$Z$ が滑らか(正則)でない場合にも、$Z$ を滑らかな部分に層化して帰納法を回すことで半純性 $\mathcal{H}^j_Z(F)=0$($j<2c$)は保たれる(Mil80 VI §5)。$n$ が標数で割れるときは純性は成り立たない(ex-purity-counterexample-char-p)。
$X$ を正則な Noether 整スキーム、$K$ をその関数体とする。$X$ のコホモロジー的Brauer群 $\operatorname{Br}'(X):=H^2(X_{\mathrm{et}},\mathbb{G}_m)$ は捩れ群であり、制限 $\operatorname{Br}'(X)\to\operatorname{Br}(K)$ は単射である(GrBrII §1、Mil80 III Example 2.22)。同じことが各点の局所環 $\mathcal{O}_{X,x}$(これも正則整域)についても成り立つので、$\operatorname{Br}'(\mathcal{O}_{X,x})$ を $\operatorname{Br}(K)$ の部分群とみなせる。
上の設定で、$X$ が Brauer 群の純性を満たすとは、$\operatorname{Br}(K)$ の中で
$$
\operatorname{Br}'(X)=\bigcap_{x\in X^{(1)}}\operatorname{Br}'(\mathcal{O}_{X,x})
$$
が成り立つことをいう。ここで $X^{(1)}$ は $X$ の余次元 $1$ の点の全体である。包含 $\subset$ はつねに成り立つので、内容は「$\operatorname{Br}(K)$ の元が余次元 $1$ のすべての点で不分岐($\mathcal{O}_{X,x}$ 上の類に延びる)ならば、$X$ 全体の類に延びる」という延長の主張である。
$X$ を正則な Noether 整スキームとする。
1 は Auslander–Goldman AG60 と GrBrII §2 による。2 は Fuj02 と Ces19 に譲る。同じ性質は、余次元 $2$ 以上の閉部分スキーム $Y\subset X$ について局所コホモロジー層 $\mathcal{H}^3_Y(\mathbb{G}_m)$ が消えるという層の形でも述べられ、その形での定義・低い次数の計算・成立する場合・反例は Brauer群の純性 の記事が扱う。層の形から群の形が従うことも同記事の帰結の節にある。本記事では群の形だけを述べ、証明はすべて委ねる。
複素解析の Hartogs の拡張定理は、余次元 $2$ 以上の解析的部分集合を除いた領域上の正則関数が全体に延びることを主張する。代数幾何の純性はその類似であり、「余次元 $2$ 以上の閉集合は、低い次数の不変量からは見えない」と要約できる。正則スキーム $X$ と余次元 $2$ 以上の閉集合 $Z$、$U=X\setminus Z$ について、
$k$ を分離閉体(分離閉包)、$d\ge1$、$X=\mathbb{A}^d_k$(アフィン空間)、$Z=\{0\}$ を原点、$n$ を $k$ の標数と素な整数、$F=\mu_n^{\otimes j}$ とする。原点は $k$ 上滑らかで余次元 $d$ の閉部分スキームなので、thm-purity-smooth-pair により
$$
H^i_{\{0\}}(\mathbb{A}^d_k,\mu_n^{\otimes j})\cong H^{i-2d}\bigl(\operatorname{Spec}k,\mu_n^{\otimes(j-d)}\bigr)=\begin{cases}\mu_n^{\otimes(j-d)}(k)\cong\mathbb{Z}/n,& i=2d,\\ 0,& i\ne2d\end{cases}
$$
である($k$ が分離閉なので $\operatorname{Spec}k$ の正の次数のコホモロジーは消え、$\mu_n^{\otimes(j-d)}(k)$ は位数 $n$ の巡回群である)。
これから $U=\mathbb{A}^d_k\setminus\{0\}$ のコホモロジーが計算できる。$\mathbb{A}^d_k$ は非輪状、すなわち $H^i(\mathbb{A}^d_k,\mu_n^{\otimes j})=0$($i>0$)である(Mil80 VI §4)。長完全列 $H^i(\mathbb{A}^d)\to H^i(U)\to H^{i+1}_{\{0\}}(\mathbb{A}^d)\to H^{i+1}(\mathbb{A}^d)$ で $i\ge1$ とすれば両端が $0$ なので $H^i(U,\mu_n^{\otimes j})\cong H^{i+1}_{\{0\}}(\mathbb{A}^d,\mu_n^{\otimes j})$ であり、$i=0$ では $H^0(\mathbb{A}^d)\to H^0(U)$ が同型(どちらも $\mu_n^{\otimes j}(k)$)で $H^1_{\{0\}}=0$ である。よって
$$
H^i(\mathbb{A}^d_k\setminus\{0\},\mu_n^{\otimes j})\cong\begin{cases}\mu_n^{\otimes j}(k),& i=0,\\ \mu_n^{\otimes(j-d)}(k),& i=2d-1,\\ 0,& \text{その他}\end{cases}
$$
となる。これは複素数体上で $\mathbb{C}^d\setminus\{0\}$ が $S^{2d-1}$ とホモトピー同値であることの代数版である。$d=1$ では $U=\mathbb{G}_m$ で $H^1(\mathbb{G}_m,\mu_n)\cong\mathbb{Z}/n$ となり、Kummer完全列による計算 $H^1(\mathbb{G}_m,\mu_n)\cong k[t,t^{-1}]^*/(k[t,t^{-1}]^*)^n\cong\mathbb{Z}/n$(生成元は $t$ の類)と一致する。
$k$ を体、$d\ge2$、$U=\mathbb{A}^d_k\setminus\{0\}$ とする。原点は余次元 $d\ge2$ であり $\mathbb{A}^d_k$ は正則なので、prop-purity-hartogs-functions と prop-purity-pic-extension により
$$
\mathcal{O}(U)=k[x_1,\dots,x_d],\qquad \operatorname{Pic}(U)=\operatorname{Pic}(\mathbb{A}^d_k)=0
$$
である。とくに $U$ はアフィンスキームでない:もしアフィンなら $U=\operatorname{Spec}\mathcal{O}(U)=\mathbb{A}^d_k$ となり矛盾する。さらに thm-purity-etale-cover-extension により、$U$ の有限エタール被覆はすべて $\mathbb{A}^d_k$ の有限エタール被覆の制限である。$d=1$ では関数の延長も被覆の延長も成り立たない:$\mathcal{O}(\mathbb{G}_m)=k[t,t^{-1}]\ne k[t]$ であり、$k$ の標数と素な $n\ge2$ について $t\mapsto t^n$ は $\mathbb{G}_m$ の次数 $n$ の有限エタール被覆だが $\mathbb{A}^1_k$ には延びない(ex-purity-counterexample-codim-one)。
純性の「余次元 $2$ 以上」の仮定は外せない。$k$ を体とする。
$k$ を標数 $2$ でない体、$B=k[x,y]$、$\sigma$ を $\sigma(x)=-x$、$\sigma(y)=-y$ で定まる $B$ の $k$ 代数自己同型、$G=\{1,\sigma\}$ とし、$A:=B^G$ を不変式環、$X=\operatorname{Spec}A$、$Y=\operatorname{Spec}B=\mathbb{A}^2_k$、$f\colon Y\to X$ を包含 $A\subset B$ に対応する射とする。
まず $A$ の構造を調べる。$\sigma$ は単項式 $x^ay^b$ を $(-1)^{a+b}x^ay^b$ に送り、$-1\ne1$ なので、多項式が不変であることは偶数次の単項式だけからなることと同値である。偶数次の単項式は $x^2,xy,y^2$ の積である($a,b$ がともに偶数なら $(x^2)^{a/2}(y^2)^{b/2}$、ともに奇数なら $xy\cdot(x^2)^{(a-1)/2}(y^2)^{(b-1)/2}$)。よって $A=k[x^2,xy,y^2]$ であり、$u\mapsto x^2$、$v\mapsto xy$、$w\mapsto y^2$ で定まる全射 $k[u,v,w]\to A$ の核は $uw-v^2$ を含む。$uw-v^2$ は既約なので $k[u,v,w]/(uw-v^2)$ は次元 $2$ の整域、$A$ も次元 $2$ の整域($x^2,y^2\in A$ により $B$ は $A$ 上整で $\dim A=\dim B=2$)であり、有限生成 $k$ 代数である整域の間の次元を保つ全射は同型なので
$$
A\cong k[u,v,w]/(uw-v^2)
$$
である。$X$ は 2 次錐(2次曲面の錐)である。$B$ は $A$ 加群として $1,x,y$ で生成される(奇数次の単項式は $x$ または $y$ と偶数次の単項式の積である)ので $f$ は有限であり、整拡大なので全射である。
次に $X$ が正規だが正則でないことを見る。$z\in\operatorname{Frac}(A)$ が $A$ 上整ならば $B$ 上整で、$B$ は正規なので $z\in B$、また $z\in\operatorname{Frac}(A)\subset k(x,y)^G$ なので $\sigma(z)=z$、よって $z\in B^G=A$ である。ゆえに $A$ は整閉で $X$ は正規である。原点 $\mathfrak{m}=(u,v,w)$ では $\mathfrak{m}/\mathfrak{m}^2$ が $u,v,w$ を基底とする $3$ 次元空間(関係式 $uw-v^2$ は $\mathfrak{m}^2$ に属する)なので、埋め込み次元 $3$ は $\dim A_{\mathfrak{m}}=2$ より大きく、$A_{\mathfrak{m}}$ は正則でない。
$f$ が原点以外でエタールであることを示す。$X$ の点 $\mathfrak{p}$ が $u,w\in\mathfrak{p}$ を満たせば $v^2=uw\in\mathfrak{p}$ から $v\in\mathfrak{p}$、よって $\mathfrak{p}=\mathfrak{m}$ である。ゆえに $U:=X\setminus\{\mathfrak{m}\}=D(u)\cup D(w)$ である。$D(u)$ 上では $B_u=B[1/x^2]$ であり、$\sigma$ による固有分解 $B_u=B_u^+\oplus B_u^-$($\pm1$ 固有空間、$2$ が可逆なので直和)で $B_u^+=A_u$ である。奇な元 $z\in B_u^-$ は $z=x\cdot(x^{-1}z)$ と書け $x^{-1}z$ は偶なので、$B_u^-=xA_u$ であり、$x$ は非零因子なので $B_u=A_u\oplus xA_u\cong A_u[T]/(T^2-u)$ は自由 $A_u$ 加群である。$\frac{d}{dT}(T^2-u)=2T$ は $T^2=u$ のもとで $2T\cdot T=2u$ が $A_u$ の単元なので $A_u[T]/(T^2-u)$ において単元であり、この拡大は標準エタールである(Mil80 I §3)。$D(w)$ 上も $y$ を用いて同様である。よって $f$ は $U$ 上有限エタール(次数 $2$)である。
最後に $f$ が原点でエタールでないことを示す。$f$ の $\mathfrak{m}$ 上のファイバーは $B/\mathfrak{m}B=k[x,y]/(x^2,xy,y^2)$ であり、$x\ne0$ かつ $x^2=0$ なので被約でない。エタール射のファイバーは有限個の分離拡大体のスペクトルの直和で被約だから(Mil80 I §3)、$f$ は $\mathfrak{m}$ 上の唯一の点である $Y$ の原点 $0=(x,y)$ でエタールでない。
したがって $f\colon Y\to X$ は正規な $Y$ から正規な $X$ への有限全射で、分岐跡は $R_f=\{0\}$、$Y=\mathbb{A}^2_k$ において余次元 $2$ である。この例は「$X$ が正則」という仮定だけを満たさず、thm-purity-zariski-nagata の結論「分岐跡は空か純余次元 $1$」を満たさない。同時に、$U$ の連結な有限エタール被覆 $Y\times_XU\to U$ は $X$ の有限エタール被覆に延びない(延びたとすると、ex-purity-counterexample-codim-one の 2 と同じ議論で、それは $X$ の $k(x,y)$ における正規化 $Y$ に一致し、$f$ が原点でエタールでないことに反する)ので、thm-purity-etale-cover-extension も破れる。
$k$ を標数 $p>0$ の代数閉体、$X=\mathbb{A}^1_k=\operatorname{Spec}k[t]$、$Z=\{0\}$、$U=\mathbb{G}_m=\operatorname{Spec}k[t,t^{-1}]$、$F=\mathbb{Z}/p$ とする。$n$ が $p$ と素なら ex-purity-affine-space-punctured により $H^2_Z(X,\mathbb{Z}/n)\cong\mathbb{Z}/n$ は有限であるが、$H^2_Z(X,\mathbb{Z}/p)$ は $\mathbb{F}_p$ 上無限次元である。したがって、$H^2_Z(X,\mathbb{Z}/p)$ が一点 $Z$ 上の有限な層の切断群と同型になるという Gysin 同型の形の結論は $n=p$ では成り立たない。
証明。Artin–Schreier 列 $0\to\mathbb{Z}/p\to\mathbb{G}_a\xrightarrow{\wp}\mathbb{G}_a\to0$($\wp(f)=f^p-f$)はエタール位相で完全であり(Mil80 III §4)、アフィンスキーム $V$ 上では $H^1(V,\mathbb{G}_a)=H^1(V,\mathcal{O}_V)=0$(Mil80 III §3、Har77 III 3.5)なので
$$
H^1(V,\mathbb{Z}/p)\cong\mathcal{O}(V)/\wp\bigl(\mathcal{O}(V)\bigr)
$$
である。$V=X,U$ に適用し、$H^0(X,\mathbb{Z}/p)\to H^0(U,\mathbb{Z}/p)$ が全射(どちらも $\mathbb{Z}/p$)であることと長完全列から、
$$
\operatorname{coker}\bigl(k[t]/\wp(k[t])\to k[t,t^{-1}]/\wp(k[t,t^{-1}])\bigr)\hookrightarrow H^2_Z(X,\mathbb{Z}/p)
$$
を得る。この余核が無限次元であることを示す。$p$ で割れない正整数 $m$ に対する $t^{-m}$ の類が $\mathbb{F}_p$ 上一次独立であることをいえばよい。$\sum_m c_mt^{-m}=f^p-f+g$($c_m\in\mathbb{F}_p$、有限和、$f\in k[t,t^{-1}]$、$g\in k[t]$)とし、$f_-$ を $f$ の負冪の部分とする。標数 $p$ では $(\sum a_it^i)^p=\sum a_i^pt^{pi}$ なので、両辺の負冪の部分をとると $\sum_mc_mt^{-m}=f_-^p-f_-$ である。$f_-\ne0$ とし、その最低次の項を $at^{-e}$($a\ne0$、$e\ge1$)とすると、$f_-^p-f_-$ の最低次の項は $a^pt^{-pe}$ で係数が $0$ でないが、左辺の $t^{-pe}$ の係数は $pe$ が $p$ で割れるので $0$ であり矛盾する。よって $f_-=0$ で、すべての $c_m=0$ である。$\square$
この例は「$n$ が $X$ 上可逆」という仮定だけを満たさず、thm-purity-smooth-pair の結論を満たさない。なお $H^1_Z(X,\mathbb{Z}/p)=0$ は $n=p$ でも成り立つ(prop-purity-h1-injective。$X$ は正規である)。
$X$ を正規な Noether 整スキーム、$Z\subset X$ を $\operatorname{codim}(Z,X)\ge2$ なる閉集合、$j\colon U=X\setminus Z\hookrightarrow X$ とする。このとき $\mathcal{O}_X\to j_*\mathcal{O}_U$ は同型であり、とくに制限 $\mathcal{O}(X)\to\mathcal{O}(U)$ は同型である。
$X$ のアフィン開集合 $V=\operatorname{Spec}A$ をとる。$X$ が正規な整スキームなので $A$ は整閉な Noether 整域であり、$K$ をその分数体($X$ の関数体)とする。余次元は局所環で決まるので $\operatorname{codim}(Z\cap V,V)\ge2$ であり、$V$ の生成点も高さ $1$ の素イデアル $\mathfrak{p}$ に対応する点も $Z$ に属さない。よって $V\cap U$ は $V$ の空でない開集合で、高さ $1$ の素イデアルに対応する点をすべて含む。整スキームでは空でない開集合上の切断は関数体に埋め込まれるので、$A=\mathcal{O}(V)\to\mathcal{O}(V\cap U)\subset K$ は単射である。全射を示す。$s\in\mathcal{O}(V\cap U)$ をとる。高さ $1$ の各素イデアル $\mathfrak{p}$ について、点 $\mathfrak{p}$ は $V\cap U$ に属するので $s$ の $\mathfrak{p}$ における茎は局所化 $A_{\mathfrak{p}}\subset K$ の元であり、それは $K$ の元としての $s$ に等しい。よって
$$
s\in\bigcap_{\operatorname{ht}\mathfrak{p}=1}A_{\mathfrak{p}}=A
$$
である。最後の等号は整閉 Noether 整域について成り立つ(Mat86 Theorem 11.5)。ゆえに $\mathcal{O}_X(V)\to(j_*\mathcal{O}_U)(V)=\mathcal{O}_U(V\cap U)$ はすべてのアフィン開集合 $V$ で同型であり、アフィン開集合は $X$ の開基をなすので $\mathcal{O}_X\to j_*\mathcal{O}_U$ は層の同型である。大域切断をとれば $\mathcal{O}(X)\cong\mathcal{O}(U)$ を得る。$\square$
$X$ を正則な Noether 整分離スキーム、$Z\subset X$ を $\operatorname{codim}(Z,X)\ge2$ なる閉集合、$U=X\setminus Z$ とする。このとき制限 $\operatorname{Pic}(X)\to\operatorname{Pic}(U)$ は同型である。
正則局所環は一意分解整域である(Mat86 Theorem 20.3)ので $X$ は局所分解的であり、$U$ も同様である。したがって Weil因子の類群 $\operatorname{Cl}$(因子類群)と Picard群 の間に、可逆層に有理切断の因子を対応させる同型 $\operatorname{Pic}(X)\cong\operatorname{Cl}(X)$、$\operatorname{Pic}(U)\cong\operatorname{Cl}(U)$ がある(Har77 II 6.16)。有理切断を $U$ に制限すればその因子も制限されるので、この同型は制限写像と両立する。よって $\operatorname{Cl}(X)\to\operatorname{Cl}(U)$ が同型であることを示せばよい。
素因子 $Y\subset X$ に $Y\cap U$(空なら $0$)を対応させる写像 $\operatorname{Cl}(X)\to\operatorname{Cl}(U)$ は全射であり、その核は $Z$ に含まれる素因子の類で生成される(Har77 II 6.5)。素因子は余次元 $1$ の既約閉部分集合であり、その生成点は余次元 $1$ の点なので $Z$ に属さない。ゆえに $Z$ に含まれる素因子は存在せず、核は $0$ である。したがって $\operatorname{Cl}(X)\to\operatorname{Cl}(U)$ は同型であり、$\operatorname{Pic}(X)\to\operatorname{Pic}(U)$ も同型である。$\square$
$\mathbb{Z}/n$ を $X$ 上の定数層とみなす。$H^1(X,\mathbb{Z}/n)$ は $X$ 上の $\mathbb{Z}/n$ トーサーの同型類の群であり、$\mathbb{Z}/n$ は有限エタール群スキーム $\bigsqcup_{a\in\mathbb{Z}/n}X$ なので、トーサー $P\to X$ はエタール局所的に $\bigsqcup_{a}X\to X$ と同型、したがって次数 $n$ の有限エタール射である(Mil80 III §4)。トーサーが自明であることと $X$ 上の切断をもつことは同値である。
$X$ を正規な Noether 整スキーム、$U\subset X$ を空でない開集合、$n\ge1$ を任意の整数とする($n$ が $X$ 上可逆である必要はない)。このとき制限 $H^1(X,\mathbb{Z}/n)\to H^1(U,\mathbb{Z}/n)$ は単射である。
群の準同型なので核が $0$ であることを示せばよい。$P\to X$ を $\mathbb{Z}/n$ トーサーとし、$P_U:=P\times_XU$ が自明、すなわち切断 $s\colon U\to P_U$ をもつとする。$P_U\to U$ は有限エタール、とくに分離かつ不分岐なので、$s$ は開かつ閉な埋め込みであり(Mil80 I §3)、$S:=s(U)\subset P_U$ は $U$ と同型な、$P_U$ の開かつ閉な部分スキームである。とくに $S$ は既約である。
$P$ は正規スキーム上エタールなので正規であり(Mil80 I §3)、$X$ 上有限なので Noether である。正規 Noether スキームの局所環は整域なので既約成分は互いに交わらず、既約成分は有限個で、各既約成分は開かつ閉である。$S$ は既約なのでただ一つの既約成分 $P_1$ に含まれる。$P_1$ は $P$ の開かつ閉な部分スキームなので、合成 $P_1\to P\to X$ は有限エタールである。
$P_1\times_XU=P_1\cap P_U$ は既約スキーム $P_1$ の空でない開集合なので既約、したがって連結である。$S$ は $P_U$ で開かつ閉なので $P_1\cap P_U$ でも開かつ閉であり、空でないから $P_1\cap P_U=S$ である。ゆえに $P_1\to X$ の $U$ 上の制限は $S\cong U$、すなわち次数 $1$ である。有限エタール射は有限局所自由であり、その階数は底の上で局所定数なので、$X$ が連結(整スキーム)であることから $P_1\to X$ の階数は $X$ 全体で $1$ である。階数 $1$ の有限局所自由射 $g\colon P_1\to X$ は $\mathcal{O}_X\to g_*\mathcal{O}_{P_1}$ が同型なので同型である。その逆写像 $X\to P_1\subset P$ は $P\to X$ の切断であり、$P$ は自明である。$\square$
$X$ を正則な Noether 整スキーム、$Z\subset X$ を $\operatorname{codim}(Z,X)\ge2$ なる閉集合、$U=X\setminus Z$、$n\ge1$ を任意の整数とする。このとき制限 $H^1(X,\mathbb{Z}/n)\to H^1(U,\mathbb{Z}/n)$ は同型である。したがって
$$
H^1_Z(X,\mathbb{Z}/n)=0,\qquad H^2_Z(X,\mathbb{Z}/n)\to H^2(X,\mathbb{Z}/n)\text{ は単射}
$$
である。
単射性は prop-purity-h1-injective による。全射性を示す。$Q\to U$ を $\mathbb{Z}/n$ トーサーとする。$Q$ は $U$ 上有限エタールなので、thm-purity-etale-cover-extension の圏同値により $X$ 上の有限エタールスキーム $P$ と同型 $P\times_XU\cong Q$ がある。各 $a\in\mathbb{Z}/n$ の作用 $\tau_a\colon Q\to Q$ は $U$ 上の有限エタールスキームの射なので、充満忠実性により $X$ 上の $P$ の射 $\tilde\tau_a$ にただ一通りに延び、一意性から $\tilde\tau_a\tilde\tau_b=\tilde\tau_{a+b}$、$\tilde\tau_0=\mathrm{id}$ である。よって $\mathbb{Z}/n$ は $P$ に $X$ 上作用する。射
$$
\Phi\colon\bigsqcup_{a\in\mathbb{Z}/n}P\to P\times_XP,\qquad (a,p)\mapsto(p,\tilde\tau_a p)
$$
は $X$ 上の有限エタールスキームの射であり($P\times_XP$ は有限エタール射の底変換として有限エタール)、$U$ 上の制限は $Q$ のトーサー条件を表す同型 $\bigsqcup_aQ\to Q\times_UQ$ である。その逆射は充満忠実性により $X$ 上の射 $\Psi\colon P\times_XP\to\bigsqcup_aP$ に延び、$\Psi\Phi$ と $\Phi\Psi$ は $U$ 上恒等なので忠実性により恒等である。ゆえに $\Phi$ は同型である。$P\to X$ の次数は $U$ 上で $n$ なので $X$ 全体で $n\ge1$ であり全射である。したがって $P$ は $\mathbb{Z}/n$ の作用をもつ $X$ 上の有限エタール全射で $\Phi$ が同型なものであり、エタール被覆 $P\to X$ 上で切断(対角)をもつので $\mathbb{Z}/n$ トーサーである。その類は $Q$ の類に制限される。
後半は長完全列
$$
0\to H^0_Z(X)\to H^0(X)\to H^0(U)\to H^1_Z(X)\to H^1(X)\to H^1(U)\to H^2_Z(X)\to H^2(X)
$$
(係数 $\mathbb{Z}/n$)から従う。$X$ と $U$ は連結なので $H^0(X)\to H^0(U)$ は同型 $\mathbb{Z}/n\to\mathbb{Z}/n$ であり、$H^0(U)\to H^1_Z(X)$ は零写像である。$H^1(X)\to H^1(U)$ が単射なので $H^1_Z(X)\to H^1(X)$ も零写像であり、$H^1_Z(X)$ における完全性から $H^1_Z(X)=0$ である。$H^1(X)\to H^1(U)$ が全射なので $H^1(U)\to H^2_Z(X)$ は零写像であり、$H^2_Z(X)\to H^2(X)$ は単射である。$\square$
コホモロジー的純性の最も簡単な場合、$1$ 次元の正則スキーム上の閉点の場合は、狭義 Hensel 離散付値環の分数体の Galois コホモロジーに帰着して計算できる。
$A$ を狭義 Hensel 的な離散付値環(狭義Hensel局所環)、$x$ をその閉点、$\kappa$ を剰余体、$K$ を分数体、$\pi$ を素元とし、$n$ を $A$ で可逆な整数とする。このとき
$$
H^0_x(\operatorname{Spec}A,\mu_n)=H^1_x(\operatorname{Spec}A,\mu_n)=0,\qquad H^2_x(\operatorname{Spec}A,\mu_n)\cong\mathbb{Z}/n
$$
であり、$H^2_x$ の同型は $\pi$ の Kummer 類を $1$ に送る。
$\operatorname{Spec}A$ は閉点 $x$ と生成点からなり、$\operatorname{Spec}A\setminus\{x\}=D(\pi)=\operatorname{Spec}K$ である。$A$ が狭義 Hensel 局所環なので $\operatorname{Spec}A$ 上の大域切断関手は幾何的点 $x$ での茎をとる関手に等しく完全であり、$H^i(\operatorname{Spec}A,F)=0$($i>0$)である(Mil80 III §1)。したがって長完全列は
$$
0\to H^0_x\to\mu_n(A)\to\mu_n(K)\to H^1_x\to0,\qquad H^{i-1}(K,\mu_n)\xrightarrow{\ \cong\ }H^i_x\ (i\ge2)
$$
を与える。ここで $H^j(K,\mu_n)=H^j(\operatorname{Spec}K,\mu_n)$ は $K$ の Galoisコホモロジー $H^j(\operatorname{Gal}(K^{\mathrm{sep}}/K),\mu_n(K^{\mathrm{sep}}))$ である。
$A\subset K$ なので $H^0_x=0$ である。$\zeta\in K$ が $\zeta^n=1$ を満たせば $\zeta$ は $A$ 上整で、$A$ は整閉なので $\zeta\in A$ である。よって $\mu_n(A)=\mu_n(K)$ で $H^1_x=0$ である。
$H^2_x\cong H^1(K,\mu_n)\cong K^*/(K^*)^n$ である(Kummer完全列、Hilbert の定理 90)。$K^*$ の元は $u\pi^m$($u\in A^*$、$m\in\mathbb{Z}$)と一意に書ける。$A^*$ が $n$ 可除であることを示す。$u\in A^*$ とし、$g(T)=T^n-u\in A[T]$ の剰余体への像 $\bar g(T)=T^n-\bar u$ を考える。$\bar u\ne0$ で $n$ は $\kappa$ で可逆なので $\bar g'=nT^{n-1}$ は $\bar g$ の根で消えず、$\bar g$ は分離多項式である。$\kappa$ は分離閉なので $\bar g$ は根 $\bar a\in\kappa$ をもち、$\bar g'(\bar a)\ne0$ である。Hensel の補題(Hensel局所環)により $\bar a$ は $g$ の根 $a\in A$ に持ち上がり、$a^n=u$ である。したがって付値 $v\colon K^*\to\mathbb{Z}$、$u\pi^m\mapsto m$ は同型 $K^*/(K^*)^n\cong\mathbb{Z}/n$ を誘導する:$v$ は全射で、$v(u\pi^m)\in n\mathbb{Z}$ なら $u=a^n$ をとって $u\pi^m=(a\pi^{m/n})^n\in(K^*)^n$ であり、逆に $(K^*)^n\subset v^{-1}(n\mathbb{Z})$ である。この同型は $\pi$ の類を $1$ に送る。$\square$
prop-purity-curve-point の設定で、さらに $H^i_x(\operatorname{Spec}A,\mu_n)=0$($i\ge3$)が成り立つ。証明の長完全列により $H^i_x\cong H^{i-1}(K,\mu_n)$($i-1\ge2$)なので、これは $n$ を割る各素数 $\ell$ について $K$ の $\ell$ コホモロジー次元が $1$ 以下であることと同値である。$A$ が完備な場合は Ser02 II §4.3, Proposition 12($\operatorname{cd}_\ell(K)\le1+\operatorname{cd}_\ell(\kappa)$。$\kappa$ は分離閉なので $\operatorname{cd}_\ell(\kappa)=0$)による。完備でない Hensel 的離散付値環の場合は、$K$ とその完備化の絶対 Galois 群が一致するという事実に帰着するが、本記事はこの一致を確かめておらず、標準的事実として引用するにとどめる。
$X$ を $1$ 次元の正則 Noether スキーム、$x$ を閉点、$n$ を $X$ 上可逆な整数とする。層 $\mathcal{H}^i_x(\mu_n)$ の $x$ の幾何的点 $\bar x$ における茎は $H^i_{\bar x}(\operatorname{Spec}\mathcal{O}^{\mathrm{sh}}_{X,\bar x},\mu_n)$ であり(Mil80 III §1、Brauer群の純性 の茎の公式)、$\mathcal{O}^{\mathrm{sh}}_{X,\bar x}$ は狭義 Hensel 的な離散付値環である。よって prop-purity-curve-point と rem-purity-curve-point-higher は、$\mathcal{H}^i_x(\mu_n)=0$($i\ne2$)と $\mathcal{H}^2_x(\mu_n)\cong i_*(\mathbb{Z}/n)=i_*(i^*\mu_n(-1))$ を与える(付値による同型は $\kappa(x)$ の Galois 群の作用と両立するので、茎の同型は層の同型である)。これは def-purity-cohomological の純性の $c=1$、$X$ が $1$ 次元の場合である。$X$ が分離閉体 $k$ 上の滑らかな曲線で $x$ が閉点なら $\mathcal{O}^{\mathrm{h}}_{X,x}=\mathcal{O}^{\mathrm{sh}}_{X,x}$ であり、切除と極限の交換により $H^i_x(X,\mu_n)\cong H^i_x(\operatorname{Spec}\mathcal{O}^{\mathrm{sh}}_{X,x},\mu_n)$ なので、群の形 $H^2_x(X,\mu_n)\cong\mathbb{Z}/n$、$H^i_x(X,\mu_n)=0$($i\ne2$)が得られる。Gysin写像 $H^0(x,\mathbb{Z}/n)\to H^2(X,\mu_n)$ による $1$ の像が点 $x$ の類である。
滑らかな対に対するコホモロジー的純性(thm-purity-smooth-pair)を、体上という仮定を外して正則スキームと正則な閉部分スキームの対に拡張した主張が Gabber の絶対純性定理である(Fujiwara Fuj02)。これにより、正則スキーム上の不分岐コホモロジーや Brauer群の双有理不変性など、もともと体上滑らかな場合に限って知られていた帰結が一般の正則スキームに拡張された。歴史的には、Zariski–Nagata の純性(1958–59 年)、SGA 4 の滑らかな対の純性(1963–64 年)、Grothendieck の Brauer 群の純性(1968 年)、Gabber の絶対純性(1990 年代)の順に確立された(SGA1、SGA4、GrBrII、Fuj02)。
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