Neumann問題(Neumann problem)とは、領域の内部で $-\Delta u+u=f$ や $-\Delta u=f$ を課し、境界では法線微分 $\partial u/\partial n$ を指定する境界値問題である。弱い定式化では試験関数を $H^1(\Omega)$ 全体にとり、境界条件は式から自然に出てくる。$C^1$ 級の有界な開集合では、$-\Delta u+u=f$、$\partial u/\partial n=0$ の弱解は各 $f\in L^2$ についてただ 1 つある。$-\Delta u=f$、$\partial u/\partial n=g$ では、領域が連結なら $\int_\Omega f+\int_{\partial\Omega}g=0$ が弱解の存在の必要十分条件で、解は定数の差を除いて一意である。
前提知識: Greenの公式, Lax–Milgramの定理, Sobolev空間の基本事項
Neumann問題(Neumann problem)は、領域の内部で楕円型の方程式を課し、境界では解の値ではなく 法線方向の微分 $\partial u/\partial n$ を指定する境界値問題である。典型は
$$
-\Delta u+u=f\quad(\Omega\text{ 内}),\qquad\frac{\partial u}{\partial n}=0\quad(\partial\Omega\text{ 上})
$$
と、0 階の項のない
$$
-\Delta u=f\quad(\Omega\text{ 内}),\qquad\frac{\partial u}{\partial n}=g\quad(\partial\Omega\text{ 上})
$$
である。熱の釣り合いでは、境界を通って出ていく熱の流れ(熱流束)を指定することにあたる。値を指定する Dirichlet問題 と違い、Neumann 条件は弱い定式化の空間には課さず、試験関数を Sobolev 空間 $H^1(\Omega)$ 全体にとることで式の中から自然に出てくる(自然境界条件)。後者の問題では定数を足しても解のままなので、解は定数の差を除いてしか決まらず、右辺には「$f$ の積分と $g$ の境界の上の積分の和が $0$」という可解条件が必要になる。
この記事では、Green の公式を使って古典解と弱解の関係を示し、Lax–Milgram の定理で弱解の存在と一意性を示す。次に、0 階の項のない問題では Lax–Milgram の定理がそのままでは使えないことを確かめ、平均が $0$ の関数の空間に移して可解条件のもとでの存在を証明する。最後に、境界が 2 点になる区間の場合を、端点での値を使って具体的に扱う。
$N\ge2$ とし、$\Omega\subset\mathbb{R}^N$ を $C^1$ 級の有界な開集合(Greenの公式 の定義「$C^1$ 級の有界な開集合」)、$\Gamma:=\partial\Omega$、$n$ を外向きの単位法線、$\sigma$ を $\Gamma$ の面積測度とする。関数は実数値で、$\|\cdot\|$ は $L^2(\Omega)$ のノルム、$\|v\|_{H^1}^2=\|v\|^2+\|\nabla v\|^2$ である。$\gamma\colon H^1(\Omega)\to L^2(\Gamma,\sigma)$ は Greenの公式 の定理「トレースの存在と一意性」のトレース作用素で、同じ記事の補題「トレースの評価」により $\|\gamma v\|_{L^2(\Gamma)}\le C_\Gamma\|v\|_{H^1}$ となる定数 $C_\Gamma$ がある。$U$ はつねに $\overline\Omega$ を含む開集合を表す。
$f\in L^2(\Omega)$ とする。問題
$$
-\Delta u+u=f\quad(\Omega\text{ 内}),\qquad\frac{\partial u}{\partial n}=0\quad(\Gamma\text{ 上})\qquad(\mathrm{P})
$$
について、
$f$ が連続なら、古典解の方程式は $\Omega$ の各点で成り立つ(両辺が連続で、ほとんど至る所等しいので)。Dirichlet 問題の弱解(楕円型偏微分方程式 の定義「弱解」)では解も試験関数も零境界値 Sobolev 空間 $H^1_0(\Omega)$ からとるのに対し、(1) では $H^1(\Omega)$ 全体からとる。この違いが境界条件の違いになる。
$f\in L^2(\Omega)$ とする。
$u\in C^2(U)$ とし、$\varphi\in C^\infty_c(\mathbb{R}^N)$、$v:=\varphi|_\Omega$ とする。Greenの公式 の定理「Greenの公式(古典的な形)」から
$$
\int_\Omega\bigl(\nabla u\cdot\nabla v+uv-fv\bigr)\,dx=\int_\Omega\bigl(-\Delta u+u-f\bigr)v\,dx+\int_\Gamma\frac{\partial u}{\partial n}\,v\,d\sigma.\qquad(2)
$$
1:$u$ が古典解なら (2) の右辺は $0$ である。左辺は $v$ について $H^1(\Omega)$ のノルムで連続な線形汎関数(Cauchy–Schwarz の不等式)で、$\{\varphi|_\Omega\}$ は $H^1(\Omega)$ で稠密(Greenの公式 の注意「稠密性」)なので、(1) がすべての $v\in H^1(\Omega)$ について成り立つ。また $u$ と $\nabla u$ は $\overline\Omega$ の上で有界なので $u\in H^1(\Omega)$ である。
2:$u$ が弱解なら (2) の左辺は $0$ である。まず $\varphi\in C^\infty_c(\Omega)$ にとると境界の項は消え、$\int_\Omega(-\Delta u+u-f)\varphi\,dx=0$ がすべての $\varphi$ について成り立つ。$-\Delta u+u-f$ は局所可積分なので、ほとんど至る所 $-\Delta u+u=f$ である。これを (2) に戻すと、すべての $\varphi\in C^\infty_c(\mathbb{R}^N)$ について $\int_\Gamma\frac{\partial u}{\partial n}\varphi\,d\sigma=0$ となる。Greenの公式 の例「境界の上の積分が 0 なら 0」により、$\sigma$ についてほとんど至る所 $\partial u/\partial n=0$ である。$\partial u/\partial n=\nabla u\cdot n$ は $\Gamma$ の上で連続で、$\Gamma$ の空でない相対開集合は $\sigma$ について正の測度をもつ(局所的にグラフで表すと、$\mathbb{R}^{N-1}$ の空でない開集合の上の正の関数の積分になる)ので、$\Gamma$ の各点で $\partial u/\partial n=0$ である。$\square$
試験関数を $H^1(\Omega)$ 全体にとったことで、2 の後半で $\varphi$ の境界の値を自由に動かせた。これが「Neumann 条件は空間に課さなくても式から出てくる」ことの中身である。$H^1_0(\Omega)$ の試験関数だけでは境界の項は初めから $0$ で、境界条件について何も分からない。
各 $f\in L^2(\Omega)$ について、(P) の弱解 $u\in H^1(\Omega)$ がただ 1 つ存在し、$\|u\|_{H^1}\le\|f\|$ である。さらに $u$ は
$$
J(v):=\frac12\int_\Omega\bigl(\lvert\nabla v\rvert^2+v^2\bigr)\,dx-\int_\Omega fv\,dx\qquad(v\in H^1(\Omega))
$$
の最小値をとるただ 1 つの元である。
$\Omega$ が $C^1$ 級であることは、この定理の証明には使っていない。$C^1$ 級の仮定は、弱解と古典解を結ぶ prop-np-classical-weak と、次の節のトレースに使う。
$g\in L^2(\Gamma,\sigma)$ とし、境界条件を $\partial u/\partial n=g$ に替えると、弱い定式化は
$$
\int_\Omega\bigl(\nabla u\cdot\nabla v+uv\bigr)\,dx=\int_\Omega fv\,dx+\int_\Gamma g\,\gamma v\,d\sigma\qquad(v\in H^1(\Omega))
$$
になる(prf-np-classical-weak の (2) で境界の項が $\int_\Gamma gv\,d\sigma$ に置き換わる)。右辺は $\lvert\cdot\rvert\le(\|f\|+C_\Gamma\|g\|_{L^2(\Gamma)})\|v\|_{H^1}$ をみたす有界線形汎関数なので、prf-np-weak と同じ議論で弱解がただ 1 つ存在し、$\|u\|_{H^1}\le\|f\|+C_\Gamma\|g\|_{L^2(\Gamma)}$ である。
Dirichlet 条件の弱解の最大値原理は 最大値原理(楕円型偏微分方程式) の定理「弱解の最大値原理」にある。
$f\in L^2(\Omega)$、$g\in L^2(\Gamma,\sigma)$ とし、
$$
-\Delta u=f\quad(\Omega\text{ 内}),\qquad\frac{\partial u}{\partial n}=g\quad(\Gamma\text{ 上})\qquad(\mathrm{Q})
$$
を考える。def-np-solutions と同じく、$u\in H^1(\Omega)$ がすべての $v\in H^1(\Omega)$ について
$$
a(u,v):=\int_\Omega\nabla u\cdot\nabla v\,dx=\int_\Omega fv\,dx+\int_\Gamma g\,\gamma v\,d\sigma=:\ell(v)\qquad(3)
$$
をみたすとき、$u$ を (Q) の弱解という。$u\in C^2(U)$、$g$ が連続のとき、(Q) を古典的にみたすことと弱解であることが同値なのは、prop-np-classical-weak と同じ証明による。
$H^1(\Omega)$ の上の双線形形式 $a$ は強圧的でない。実際、定数関数 $1$ は $\|1\|_{H^1}^2=\lvert\Omega\rvert>0$ だが $a(1,1)=0$ なので、$a(v,v)\ge\alpha\|v\|_{H^1}^2$ となる $\alpha>0$ はない。したがって Lax–Milgramの定理 の仮定はみたされない。これは解がないという意味ではない。定数 $c$ を足した $u+c$ も (3) の左辺を変えないので、解は一意になりえず、また $v=1$ を (3) に入れると右辺に条件が付く。Lax–Milgram の定理が使えなくても解が存在することは 1 次元の連立系の Neumann 問題でも起こり(そちらでは解はすべての右辺についてただ 1 つある)、そこでは $\varepsilon\int u\cdot v$ を足して強圧的にした問題の解の $\varepsilon\to0$ の極限として解を得る(Bre11 Exercise 8.36 の -B-、p. 256。この記事では解かない)。
$\Omega$ を $C^1$ 級の有界な 連結 開集合とし、$f\in L^2(\Omega)$、$g\in L^2(\Gamma,\sigma)$ とする。
必要性:$v=1\in H^1(\Omega)$ は $\nabla v=0$、$\gamma v=1$ をみたす($1$ は $C^\infty_c(\mathbb{R}^N)$ の関数の制限にとれる)ので、(3) に入れると $0=\ell(1)$、すなわち (4) である。
十分性:$V:=\{v\in H^1(\Omega)\mid\int_\Omega v\,dx=0\}$ とおく。$v\mapsto\int_\Omega v\,dx$ は $H^1(\Omega)$ の上の有界線形汎関数($\lvert\int_\Omega v\rvert\le\lvert\Omega\rvert^{1/2}\|v\|$)なので、$V$ はその核として閉部分空間であり、Hilbert 空間である。$\Omega$ は有界・連結・$C^1$ 級なので、Poincaré–Wirtingerの不等式 の定理「有界で連結な $C^1$ 級の領域でのPoincaré–Wirtingerの不等式」($p=2$)により、$v\in V$ について $\|v\|\le C_P\|\nabla v\|$ となる定数 $C_P$ がある。よって $V$ の上で
$$
a(v,v)=\|\nabla v\|^2\ge\frac1{1+C_P^2}\bigl(\|v\|^2+\|\nabla v\|^2\bigr)=\frac1{1+C_P^2}\|v\|_{H^1}^2
$$
であり、$a$ は $V$ の上で有界かつ強圧的である。$\ell$ は $\lvert\ell(v)\rvert\le(\|f\|+C_\Gamma\|g\|_{L^2(\Gamma)})\|v\|_{H^1}$ をみたす。Lax–Milgramの定理 の定理「Lax–Milgramの定理」により、$u\in V$ で $a(u,w)=\ell(w)$($w\in V$)をみたすものがただ 1 つあり、$w=u$ とおいて $\|u\|_{H^1}\le(1+C_P^2)(\|f\|+C_\Gamma\|g\|_{L^2(\Gamma)})$ を得る。
この $u$ が (3) をすべての $v\in H^1(\Omega)$ についてみたすことを示す。$\bar v:=\lvert\Omega\rvert^{-1}\int_\Omega v\,dx$ とおくと $v-\bar v\in V$ で、$\nabla(v-\bar v)=\nabla v$ だから
$$
a(u,v)=a(u,v-\bar v)=\ell(v-\bar v)=\ell(v)-\bar v\,\ell(1)=\ell(v)
$$
である。最後の等号に (4)、すなわち $\ell(1)=0$ を使った。
2:$u_1,u_2$ が弱解なら、$w:=u_1-u_2$ はすべての $v$ について $a(w,v)=0$ をみたし、$v=w$ として $\|\nabla w\|=0$ である。$\Omega$ は連結なので、弱微分 の定理「弱勾配が $0$ なら定数」により $w$ はほとんど至る所定数である。平均が $0$ の弱解は $V$ の中で $a(u,w)=\ell(w)$ をみたすので、上の一意性からただ 1 つで、評価も上で得た。$\square$
$\Omega=B(0,1)\subset\mathbb{R}^N$、$f=x_1$、$g=0$ とする。$f$ は奇関数なので $\int_\Omega f\,dx=0$ で、(4) が成り立つ。$u:=x_1(3-\lvert x\rvert^2)/(2N+4)$ とおくと、$\Delta(x_1\lvert x\rvert^2)=x_1\Delta\lvert x\rvert^2+2\nabla x_1\cdot\nabla\lvert x\rvert^2=(2N+4)x_1$ から $-\Delta u=x_1$ である。単位球面の上では $n=x$ で、$k$ 次の斉次多項式 $p$ について $x\cdot\nabla p=kp$(Euler の恒等式)なので、$\partial u/\partial n=(3x_1-3x_1\lvert x\rvert^2)/(2N+4)=0$ である。$u$ は奇関数で平均が $0$ なので、thm-np-pure の 2 の解であり、ほかの解は $u+c$($c$ は定数)である。
この節だけは 1 次元で考える。$I:=(0,1)$ とし、境界は 2 点 $0,1$、外向きの法線微分は右端で $u'(1)$、左端で $-u'(0)$ である。$H^1(I)$ の元は 1次元Sobolev空間 の定理「連続な代表」の連続な代表と同一視する。その定理により $v\in H^1(I)$ は $[0,1]$ 上で絶対連続で $v(x)-v(y)=\int_y^xv'$ をみたし、同じ記事の定理「一様ノルムの評価」と Cauchy–Schwarz の不等式により
$$
\lvert v(0)\rvert,\ \lvert v(1)\rvert\le\|v\|+\|v'\|\le\sqrt2\,\|v\|_{H^1}
$$
である($\|\cdot\|$ は $L^2(I)$ のノルム。$H^1(I)$ の内積は $(u,v)_{H^1}:=\int_0^1(u'v'+uv)\,dx$、ノルムは $\|v\|_{H^1}^2=\|v\|^2+\|v'\|^2$ とする)。トレースの役は端点での値が果たす。$v$ の端点の値には意味があるが、$v'$ の端点の値には $v\in H^1(I)$ だけでは意味がない($v=x^{3/4}$ は $H^1(I)$ に属するが $v'(x)=\frac34x^{-1/4}$ は $0$ の近くで有界でない)。境界条件 $u'(0)=\alpha$ に意味をもたせるには、まず $u'\in H^1(I)$ を示す必要がある。
$f\in L^2(I)$、$\alpha,\beta\in\mathbb{R}$ とし、
$$
-u''+u=f\quad(I\text{ 内}),\qquad u'(0)=\alpha,\quad u'(1)=\beta\qquad(\mathrm{P}_1)
$$
を考える。
要点:(5) の左辺は $H^1(I)$ の内積で、右辺は端点の値の評価から有界な線形汎関数なので、thm-np-weak と同じく Riesz の表現定理で解が決まる。境界条件は、部分積分で残る端点の項に 1 次関数 $v=x$ と $v=1-x$ を入れて取り出す。
1:$\ell(v):=\int_0^1fv-\alpha v(0)+\beta v(1)$ は、上の評価から $\lvert\ell(v)\rvert\le\bigl(\|f\|+\sqrt2(\lvert\alpha\rvert+\lvert\beta\rvert)\bigr)\|v\|_{H^1}$ をみたす。$H^1(I)$ は Hilbert 空間なので、Rieszの表現定理 により $(u,v)_{H^1}=\ell(v)$($v\in H^1(I)$)をみたす $u$ がただ 1 つあり、$v=u$ とおいて評価を得る。
2:$u$ が (5) をみたすとする。$\varphi\in C^\infty_c(I)$ を入れると端点の項は消え、$\int_0^1u'\varphi'=-\int_0^1(u-f)\varphi$ である。$u-f\in L^2(I)$ なので、$u'\in H^1(I)$ で弱導関数は $u''=u-f$ である。$u'$ と $v\in H^1(I)$ の連続な代表は $[0,1]$ 上で絶対連続なので、絶対連続関数 の系「導関数が0なら定数・部分積分」の 2 により $\int_0^1u'v'=u'(1)v(1)-u'(0)v(0)-\int_0^1u''v$ である。これと $u''=u-f$ から、すべての $v\in H^1(I)$ について $$\int_0^1(u'v'+uv-fv)=u'(1)v(1)-u'(0)v(0)$$ であり、(5) は $\bigl(u'(1)-\beta\bigr)v(1)-\bigl(u'(0)-\alpha\bigr)v(0)=0$ と同値になる。$v=x$ で $u'(1)=\beta$、$v=1-x$ で $u'(0)=\alpha$ を得る。逆に $u'\in H^1(I)$、$u''=u-f$、$u'(0)=\alpha$、$u'(1)=\beta$ なら、同じ部分積分の式から (5) が出る。
3:$h:=v-u$ とおくと、(5) により $J(u+h)=J(u)+\bigl((u,h)_{H^1}-\ell(h)\bigr)+\frac12\|h\|_{H^1}^2=J(u)+\frac12\|h\|_{H^1}^2$ で、$J(v)\ge J(u)$、等号は $v=u$ のときに限る。
4:$u''=u-f$ はほとんど至る所 $[0,1]$ 上の連続関数 $u-f$ に等しいので、$u'(x)-u'(y)=\int_y^x(u-f)$ から $u'\in C^1([0,1])$、$u\in C^2([0,1])$ で、$-u''+u=f$ は各点で成り立つ。$\square$
thm-np-interval は Bre11 §8.4 の Example 3・4 と Proposition 8.17・8.18(pp. 225–226)にある。0 階の項を落とすと、多次元の thm-np-pure と同じく可解条件が現れる。区間では解を式で書ける。
$f\in L^2(I)$、$\alpha,\beta\in\mathbb{R}$ とする。すべての $v\in H^1(I)$ について
$$
\int_0^1u'v'\,dx=\int_0^1fv\,dx-\alpha v(0)+\beta v(1)\qquad(6)
$$
をみたす $u\in H^1(I)$ が存在するためには
$$
\int_0^1f\,dx=\alpha-\beta\qquad(7)
$$
が必要十分である。このとき (6) の解は
$$
u(x)=c+\alpha x-\int_0^x\!\!\int_0^tf(s)\,ds\,dt\qquad(c\in\mathbb{R})
$$
で尽くされ、$u'\in H^1(I)$、ほとんど至る所 $-u''=f$、$u'(0)=\alpha$、$u'(1)=\beta$ である。とくに同次の条件 $u'(0)=u'(1)=0$ では、可解条件は $\int_0^1f\,dx=0$ である。
必要性:$v=1$ を (6) に入れると $0=\int_0^1f-\alpha+\beta$ である。
十分性:$F(t):=\int_0^tf$ は $[0,1]$ 上で絶対連続で、ほとんど至る所 $F'=f$ である。上の式の $u$ は $C^1$ 級で $u'=\alpha-F$ なので、$u'\in H^1(I)$、$u''=-f$、$u'(0)=\alpha$、(7) から $u'(1)=\alpha-\int_0^1f=\beta$ である。prf-np-interval の 2 と同じ部分積分により、$v\in H^1(I)$ について $\int_0^1u'v'=u'(1)v(1)-u'(0)v(0)+\int_0^1fv$ で、これは (6) である。
一意性:2 つの解の差 $w$ はすべての $v$ について $\int_0^1w'v'=0$ をみたし、$v=w$ として $w'=0$ がほとんど至る所成り立つ。絶対連続関数 の系「導関数が0なら定数・部分積分」の 1 により $w$ は定数である。$\square$
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 可解条件 (4)(thm-np-pure) | $\Omega=B(0,1)$、$f=1$、$g=0$ | (Q) の弱解が存在しない |
| $\Omega$ の連結性(thm-np-pure) | $\Omega=B(-3e_1,1)\cup B(3e_1,1)$、$f$ は前の球で $1$、後の球で $-1$、$g=0$ | (4) をみたすのに弱解が存在しない |
| (P) の 0 階の項 $u$(thm-np-weak) | $\Omega=B(0,1)$、$-\Delta u=1$、$\partial u/\partial n=0$ | すべての $f\in L^2$ について弱解が存在する、が成り立たない |
1 行目:$\int_\Omega f\,dx=\lvert B(0,1)\rvert\ne0$ なので、thm-np-pure の必要性の議論($v=1$ を入れる)から弱解はない。
2 行目:$\Omega$ は 2 つの交わらない開球の和で、$C^1$ 級の有界な開集合である。$\int_\Omega f\,dx=\lvert B\rvert-\lvert B\rvert=0$ なので (4) は成り立つ。前の球で $1$、後の球で $0$ となる関数 $v$ は、2 つの球の閉包の近くでそれぞれ $1$ と $0$ になる $C^\infty_c(\mathbb{R}^N)$ の関数の制限にとれるので $v\in H^1(\Omega)$、$\nabla v=0$ である。これを (3) に入れると $0=\int_{B(-3e_1,1)}1\,dx\ne0$ となり、矛盾する。各成分ごとに (4) が要り、解は成分ごとに定数を足す自由度をもつ。
3 行目:(P) から 0 階の項を落とした問題は $f=1$、$g=0$ の (Q) で、1 行目と同じく弱解をもたない。0 階の項があれば thm-np-weak によりすべての $f\in L^2$ について弱解がある。
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する