等差数列と等比数列(arithmetic and geometric sequences)とは、隣り合う項の差が一定の数列($a_{n+1}=a_n+d$)と、隣り合う項の比が一定の数列($a_{n+1}=ra_n$)である。一般項は $a+(n-1)d$、$ar^{n-1}$ で、第 $n$ 項までの和はそれぞれ $\frac{n\{2a+(n-1)d\}}{2}$、$r\ne1$ のとき $\frac{a(1-r^n)}{1-r}$($r=1$ のときは $na$)になる。項がすべて正の等比数列の対数は等差数列であり、2 つは指数・対数で移り合う。$|r|<1$ なら無限等比級数は $\frac{a}{1-r}$ に収束し、$a\ne0$、$|r|\ge1$ なら収束しない。どちらも二項間漸化式の最も簡単な例で、等比数列の和は母関数 $\frac{1}{1-x}$ の出発点になる。
数学 B の数列は、「同じ数を足していく数列」と「同じ数を掛けていく数列」から始まる。前者を等差数列、後者を等比数列という。まず 2 つの足し算で、それぞれの和の求め方の考え方を見る。
$S=1+2+3+\dots+100$ を求める。同じ和を逆の順に並べて、縦に足す。
$$
\begin{aligned}
S&=\ \ 1\ +\ \ 2\ +\ \ 3\ +\dots+\ 99\ +100\\
S&=100+\ 99\ +\ 98\ +\dots+\ \ 2\ +\ \ 1
\end{aligned}
$$
縦に並んだ 2 数の和は、$1+100=101$、$2+99=101$、$3+98=101$ と、どこでも $101$ である。このような組が $100$ 組あるので
$$
2S=100\cdot101=10100,\qquad S=5050
$$
である。この工夫は Gauss が子どものころに使ったという話で知られる(Lev24 §4.2.4 の脚注)。
$T=1+2+4+8+\dots+512$ を求める。$512=2^9$ なので、$T=2^0+2^1+\dots+2^9$ で、項は $10$ 個ある。両辺を $2$ 倍すると
$$
\begin{aligned}
2T&=\phantom{1+{}}2+4+8+\dots+512+1024\\
T&=1+2+4+8+\dots+512
\end{aligned}
$$
となる。上の式から下の式を引くと、$2$ から $512$ までは共通なので消え、
$$
2T-T=1024-1,\qquad T=1023
$$
が残る。
例 1 では「順番を逆にして足す」、例 2 では「公比倍して引く」という操作で、長い和が 1 回の掛け算・引き算になった。この記事では、この 2 つの工夫がいつでも使えることを確かめ、次の問いに答える。
| 高校の計算 | この記事での見方 | ボックス |
|---|---|---|
| 逆順に並べて足す | どの組も同じ和になる(首尾の対称性) | thm-ags-arith-sum |
| $S-rS$ | ずらして引くと中の項が打ち消し合う | thm-ags-geom-sum |
| $x^n-1=(x-1)(x^{n-1}+\dots+1)$ | 等比数列の和の公式を多項式で読む | cor-ags-factor |
| 等比数列の $\log$ は等差数列 | 指数関数と 1 次関数の対応 | prop-ags-log |
| $0.999\cdots=1$ | 公比の絶対値が $1$ より小さい等比数列の和の極限 | thm-ags-infinite |
数列 $\{a_n\}$($n=1,2,3,\dots$)が、ある定数 $d$ について、すべての $n\ge1$ で
$$
a_{n+1}=a_n+d
$$
を満たすとき、$\{a_n\}$ を等差数列といい、$d$ をその公差という。$a_1$ を初項という。隣り合う 2 項の差 $a_{n+1}-a_n$ がいつも同じ数 $d$ である、と言っても同じである。
初項 $a$、公差 $d$ の等差数列の第 $n$ 項は
$$
a_n=a+(n-1)d\qquad(n\ge1)
$$
である。
方針:第 $n$ 項までに公差 $d$ を $n-1$ 回足していることを、$n$ についての数学的帰納法で確かめる。
段 1($n=1$)。右辺は $a+0\cdot d=a$ で、初項 $a_1=a$ と等しい。
段 2($n=k$ から $n=k+1$)。$a_k=a+(k-1)d$ と仮定する。等差数列の定義(def-ags-arith)から
$$
a_{k+1}=a_k+d=a+(k-1)d+d=a+kd=a+\bigl((k+1)-1\bigr)d
$$
である。2 つ目の等号で仮定を使った。これは $n=k+1$ のときの式である。
段 1・段 2 から、すべての $n\ge1$ で $a_n=a+(n-1)d$ である。$\square$
一般項 $a_n=a+(n-1)d=dn+(a-d)$ は $n$ の 1 次式である。逆に、$a_n=pn+q$($p,q$ は定数)と書ける数列は、$a_{n+1}-a_n=p(n+1)+q-(pn+q)=p$ なので公差 $p$ の等差数列である。等差数列の項を座標平面に点 $(n,a_n)$ として描くと、傾き $d$ の直線の上に並ぶ(後の図3の左)。
3 つの数が等差数列をなすかどうかは、真ん中の数で判定できる。
3 つの数 $a,b,c$ がこの順に等差数列をなす($b-a=c-b$)ことと、
$$
2b=a+c
$$
は同値である。このとき $b=\dfrac{a+c}2$ を $a$ と $c$ の等差中項という。
方針:定義の式を移項して、もう一方の式にする。
段 1。$b-a=c-b$ の両辺に $a+b$ を足すと $2b=a+c$ になる。
段 2。逆に $2b=a+c$ の両辺から $a+b$ を引くと $b-a=c-b$ になる。$\square$
例 1 の「逆順に並べて足す」は、どの等差数列にも使える。逆順にした列も等差数列(公差 $-d$)なので、縦に足すと $+d$ と $-d$ が打ち消し合うからである。
初項 $a$、公差 $d$ の等差数列 $\{a_n\}$ の、初項から第 $n$ 項までの和 $S_n=a_1+a_2+\dots+a_n$ は
$$
S_n=\frac{n(a_1+a_n)}2=\frac{n\{2a+(n-1)d\}}2
$$
である。
方針:$S_n$ を前から書いた式と後ろから書いた式を足す。各項の組の和が、どこでも $a_1+a_n$ に等しいことを示す。
段 1(2 通りに書く)。
$$
\begin{aligned}
S_n&=a_1+a_2+\dots+a_{n-1}+a_n\\
S_n&=a_n+a_{n-1}+\dots+a_2+a_1
\end{aligned}
$$
上の式の $k$ 番目の項は $a_k$、下の式の $k$ 番目の項は $a_{n+1-k}$ である($k=1,2,\dots,n$)。
段 2(組の和が一定)。prop-ags-arith-term により
$$
a_k+a_{n+1-k}=\bigl(a+(k-1)d\bigr)+\bigl(a+(n-k)d\bigr)=2a+(n-1)d
$$
である。右辺は $k$ によらない。$k=1$ のときの左辺は $a_1+a_n$ なので、どの組の和も $a_1+a_n=2a+(n-1)d$ に等しい。
段 3(足す)。段 1 の 2 つの式を縦に足すと、段 2 の和が $n$ 組並ぶので
$$
2S_n=n(a_1+a_n)=n\{2a+(n-1)d\}
$$
である。両辺を $2$ で割ると結論を得る。$\square$
$\frac{a_1+a_n}2$ は最初と最後の項の平均である。定理は「等差数列の和は、項の個数 × 最初と最後の項の平均」と読める。図で見ると、$1+2+\dots+n$ の階段を 2 つ、片方を逆さにして組み合わせると、縦 $n+1$、横 $n$ の長方形になる(図1)。
$1+2+3+4+5$ の階段(青)と、それを逆さにした $5+4+3+2+1$ の階段(橙)を組み合わせると、縦 6、横 5 の長方形になる。どの列も青と橙の個数の和が 6 であることを見る図。
数列 $\{a_n\}$ が、ある定数 $r$ について、すべての $n\ge1$ で
$$
a_{n+1}=ra_n
$$
を満たすとき、$\{a_n\}$ を等比数列といい、$r$ をその公比という。項がすべて $0$ でなければ、隣り合う 2 項の比 $\frac{a_{n+1}}{a_n}$ がいつも同じ数 $r$ である、と言っても同じである。
初項 $a$、公比 $r$ の等比数列の第 $n$ 項は
$$
a_n=ar^{n-1}\qquad(n\ge1)
$$
である($r=0$ のときも $r^0=1$ と約束する)。
方針:第 $n$ 項までに公比 $r$ を $n-1$ 回掛けていることを、$n$ についての数学的帰納法で確かめる。
段 1($n=1$)。右辺は $ar^0=a$ で、初項と等しい。
段 2($n=k$ から $n=k+1$)。$a_k=ar^{k-1}$ と仮定する。等比数列の定義(def-ags-geom)から
$$
a_{k+1}=ra_k=r\cdot ar^{k-1}=ar^{k}=ar^{(k+1)-1}
$$
である。2 つ目の等号で仮定を使った。
段 1・段 2 から、すべての $n\ge1$ で $a_n=ar^{n-1}$ である。$\square$
等差数列の等差中項(prop-ags-arith-mean)にあたるものが、等比数列にもある。ただし $0$ の項があると成り立たなくなるので、仮定に注意する。
$a,b,c$ を $0$ でない数とする。$a,b,c$ がこの順に等比数列をなす(ある $r$ で $b=ra$、$c=rb$)ことと、
$$
b^2=ac
$$
は同値である。
方針:一方向は公比 $r$ を消去し、逆方向は $r=\frac ba$ とおいて $c=rb$ を確かめる。
段 1(等比数列なら $b^2=ac$)。$b=ra$、$c=rb=r^2a$ なので $ac=a\cdot r^2a=(ra)^2=b^2$ である。
段 2($b^2=ac$ なら等比数列)。$a\ne0$ なので $r:=\frac ba$ とおける。すると $b=ra$ である。さらに、$b^2=ac$ の両辺を $a$ で割ると $c=\frac{b^2}a=\frac ba\cdot b=rb$ である。よって $a,b,c$ は公比 $r$ の等比数列をなす。$\square$
段 1 では $0$ でないことを使っていない。段 2 で $a$ で割るところに $a\ne0$ を使った。$0$ を許すと段 2 が崩れる例は ex-ags-zero-mean で見る。
例 2 の「公比倍して引く」は、公比が $1$ でないどの等比数列にも使える。
初項 $a$、公比 $r$ の等比数列の、初項から第 $n$ 項までの和 $S_n=a+ar+ar^2+\dots+ar^{n-1}$ は
$$
S_n=\begin{cases}\dfrac{a(1-r^n)}{1-r}&(r\ne1)\\[2mm] na&(r=1)\end{cases}
$$
である。$r\ne1$ の式は $\dfrac{a(r^n-1)}{r-1}$ とも書ける(分子と分母に $-1$ を掛けた)。
方針:$S_n$ と $rS_n$ を、項を 1 つずらして並べて引く。中の項が打ち消し合い、両端だけが残る。
段 1($r=1$)。すべての項が $a$ なので、$S_n=a+a+\dots+a=na$ である。
段 2($rS_n$ を書く)。$r\ne1$ とする。$S_n$ の各項に $r$ を掛けると
$$
\begin{aligned}
S_n&=a+ar+ar^2+\dots+ar^{n-1}\\
rS_n&=\phantom{a+{}}ar+ar^2+\dots+ar^{n-1}+ar^n
\end{aligned}
$$
である。$ar$ から $ar^{n-1}$ までの $n-1$ 個の項は、2 つの式に共通して現れる。
段 3(引く)。上の式から下の式を引くと、共通の項が消えて
$$
S_n-rS_n=a-ar^n,\qquad\text{すなわち}\qquad(1-r)S_n=a(1-r^n)
$$
である。$r\ne1$ なので $1-r\ne0$ であり、両辺を $1-r$ で割って $S_n=\dfrac{a(1-r^n)}{1-r}$ を得る。$\square$
3 の計算を図にすると、面積 $1$ の正方形から半分、残りの半分、…と切り取っていく様子になる(図2)。$n$ 枚切り取った面積の和は $1-\bigl(\frac12\bigr)^n$ で、残りは $\bigl(\frac12\bigr)^n$ である。上の 3 の和は、$1+\frac12+\dots+\frac1{16}=2\bigl(\frac12+\frac14+\dots+\frac1{32}\bigr)$ なので、$n=5$ のときの切り取った面積の和 $1-\bigl(\frac12\bigr)^5$ を $2$ 倍した $2-2\bigl(\frac12\bigr)^5$ にあたる。
面積 1 の正方形から、面積 $\frac12,\frac14,\frac18,\dots$ の長方形を順に切り取る。切り取った部分の和 $\frac12+\frac14+\dots+\frac1{2^n}$ は、残りの小さな長方形の面積 $\frac1{2^n}$ だけ 1 に足りないことを見る図。
等比数列の和の公式は、$a=1$、$r=x$ として分母を払うと、多項式の因数分解の公式として読める。
$n\ge1$ とする。すべての数 $x$ について
$$
x^n-1=(x-1)(x^{n-1}+x^{n-2}+\dots+x+1)
$$
が成り立つ。
方針:右辺を展開すると、thm-ags-geom-sum の証明の段 3 と同じ打ち消し合いが起きることを見る。
段 1。分配法則で
$$
(x-1)(x^{n-1}+\dots+x+1)=(x^n+x^{n-1}+\dots+x)-(x^{n-1}+\dots+x+1)
$$
である。1 つ目の括弧は $x\cdot(x^{n-1}+\dots+1)$、2 つ目は $1\cdot(x^{n-1}+\dots+1)$ を展開したものである。
段 2。$x^{n-1}$ から $x$ までの $n-1$ 個の項は 2 つの括弧に共通なので消え、$x^n-1$ が残る。$\square$
等差数列の一般項 $a+(n-1)d$ は $n$ の 1 次式、等比数列の一般項 $ar^{n-1}$ は $n$ の指数関数である。足し算を掛け算に、掛け算を足し算に取り替える指数と対数で、2 つの数列は互いに移り合う。
$c>0$、$c\ne1$ とする。
方針:隣り合う項の関係 $a_{n+1}=ra_n$(または $b_{n+1}=b_n+d$)に $\log_c$(または $c^{\,\cdot}$)を施す。
段 1(1)。すべての項が正なので $\log_ca_n$ が定義できる。$a_{n+1}=ra_n$ の両辺の $\log_c$ をとり、積の対数の法則 $\log_c(xy)=\log_cx+\log_cy$($x,y>0$)を使うと
$$
b_{n+1}=\log_c(ra_n)=\log_cr+\log_ca_n=b_n+\log_cr
$$
である。よって $\{b_n\}$ は公差 $\log_cr$ の等差数列で、初項は $b_1=\log_ca$ である。
段 2(2)。$b_{n+1}=b_n+d$ と指数法則 $c^{x+y}=c^x\cdot c^y$ から
$$
a_{n+1}=c^{b_{n+1}}=c^{b_n+d}=c^d\cdot c^{b_n}=c^d\,a_n
$$
である。よって $\{a_n\}$ は公比 $c^d$ の等比数列で、初項は $a_1=c^{b}$ である。$\square$
左は、等差数列 $3+4(n-1)$(青の丸)と等比数列 $3\cdot2^{n-1}$(赤の四角)を並べたもの。等差数列は直線の上に並び、等比数列は指数関数の曲線の上に並んで急に大きくなる。右は、等比数列の $\log_2$ をとると、傾き 1 の直線の上に並ぶことを見る図。
この対応は、常用対数で大きな数の桁数を調べるときにも使う(常用対数と桁数)。
ex-ags-geom-sum の 3 では、項を増やすと和が $2$ に近づいていった。項を限りなく足したものの値(和の極限)を考える。
この節の定理・証明・例($0.999\cdots=1$ や、正方形を半分ずつ切る図2の見方)は、無限級数の和と収束判定 の無限等比級数の定理とほぼ同じ内容である。ここでは等比数列の和の公式から続けて読めるように、この記事の中でも証明をつけて示す。無限級数の収束・発散の定義や、ほかの級数との比べ方は、そちらで詳しく扱う。
初項 $a$、公比 $r$ の等比数列の和 $S_n=a+ar+\dots+ar^{n-1}$ について、次が成り立つ。
方針:1 は thm-ags-geom-sum の式で $r^n\to0$ を示せばよい。そのために、$h>0$ に対する不等式 $(1+h)^n\ge1+nh$ を使う。2 は、和が収束するなら項は $0$ に近づくはずだが、そうならないことを示す。
段 0(不等式)。$h>0$、$n\ge1$ とする。二項定理で $(1+h)^n=1+nh+\binom n2h^2+\dots+h^n$ と展開すると、3 番目以降の項はすべて $0$ 以上なので、$(1+h)^n\ge1+nh$ である(二項定理と組合せの恒等式)。
段 1($|r|<1$ なら $r^n\to0$)。$r=0$ なら $n\ge1$ で $r^n=0$ である。$0<|r|<1$ とし、$h:=\frac1{|r|}-1>0$ とおくと $|r|=\frac1{1+h}$ である。段 0 から
$$
0<|r^n|=\frac1{(1+h)^n}\le\frac1{1+nh}
$$
であり、右辺は $n\to\infty$ で $0$ に近づく。はさみうちにより $|r^n|\to0$、よって $r^n\to0$ である。
段 2(1 の結論)。$|r|<1$ なら $r\ne1$ なので、thm-ags-geom-sum から $S_n=\dfrac a{1-r}-\dfrac a{1-r}\,r^n$ である。段 1 から第 2 項は $0$ に近づくので、$S_n\to\dfrac a{1-r}$ である。
段 3(2)。$|r|\ge1$、$a\ne0$ とする。項の絶対値は $|ar^{n-1}|=|a|\,|r|^{n-1}\ge|a|>0$ である。もし $S_n$ がある値 $S$ に収束するなら、$S_{n-1}$ も同じ $S$ に収束するので、第 $n$ 項 $ar^{n-1}=S_n-S_{n-1}$ は $S-S=0$ に近づくはずである。これは $|ar^{n-1}|\ge|a|>0$ に反する。よって $S_n$ は収束しない。$\square$
同じ定理は 無限級数の和と収束判定 にもあり、そこでは、ほかの級数の収束を比べる基準として使う。項が等比数列でない無限級数の収束の判定も、そちらで扱う。二項展開の項を捨てて $(1+h)^n$ を下から押さえる方法と、はさみうちの原理は、はさみうちと評価の技法 で詳しく扱う。
この記事の命題の仮定を外すと、結論が崩れる。
| 外した仮定 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| $r\ne1$(thm-ags-geom-sum の上の式) | $S_n=\frac{a(1-r^n)}{1-r}$ | ex-ags-r-one |
| 項が $0$ でない(prop-ags-geom-mean) | $b^2=ac$ なら等比数列 | ex-ags-zero-mean |
| 項が正(prop-ags-log の 1) | 対数をとると等差数列 | ex-ags-negative-log |
| $\lvert r\rvert<1$(thm-ags-infinite の 1) | 和が $\frac a{1-r}$ に収束する | ex-ags-divergent |
| 公比が同じ(和をとる操作) | 等比数列の和の数列も等比数列 | ex-ags-not-closed |
$5,5,5,\dots$($a=5$、$r=1$)の和は $S_n=5n$ である。上の式に $r=1$ を入れると $\frac{5(1-1^n)}{1-1}=\frac00$ となって、値が決まらない。
満たす性質:等比数列。満たさない性質:$r\ne1$。破る主張:thm-ags-geom-sum の $r\ne1$ の式。崩れるのは証明の段 3 の「$1-r$ で割る」ところである。$r=1$ の等比数列は公差 $0$ の等差数列でもあり、和は thm-ags-arith-sum の $\frac{n(5+5)}2=5n$ でも求まる。
$a=0$、$b=0$、$c=5$ とすると、$b^2=0=0\cdot5=ac$ である。しかし $0,0,5$ は等比数列ではない。どんな $r$ でも $c=rb=r\cdot0=0$ となり、$5$ にならないからである。
満たす性質:$b^2=ac$。満たさない性質:$a,b,c$ がすべて $0$ でない。破る主張:prop-ags-geom-mean の「$b^2=ac$ なら等比数列」。崩れるのは証明の段 2 の「$a$ で割る」ところである。
$-2,4,-8,16,\dots$($a=-2$、$r=-2$)は等比数列だが、$\log_2(-2)$ は定義されない。絶対値をとった $2,4,8,16,\dots$ の $\log_2$ は $1,2,3,4,\dots$ で等差数列になるが、符号の情報は失われる。公比 $0$ の $7,0,0,\dots$ でも、$\log0$ が定義されないので同じ操作はできない。
満たす性質:等比数列。満たさない性質:すべての項が正。破る主張:prop-ags-log の 1。
$2^n$($2,4,8,\dots$)と $3^n$($3,9,27,\dots$)はどちらも等比数列だが、項ごとに足した $5,13,35,\dots$ は、比が $\frac{13}5=2.6$、$\frac{35}{13}=2.69\cdots$ と変わるので等比数列ではない。
これに対し、等差数列どうしを項ごとに足すと等差数列になる。$3,7,11,\dots$(公差 $4$)と $100,93,86,\dots$(公差 $-7$)を足すと $103,100,97,\dots$ で、公差 $4+(-7)=-3$ の等差数列である。一般に $(a_{n+1}+b_{n+1})-(a_n+b_n)=(a_{n+1}-a_n)+(b_{n+1}-b_n)$ で、公差が足し算されるからである。
満たす性質:2 つとも等比数列。満たさない性質:公比が等しい(公比が等しい $r$ なら、$ar^{n-1}+br^{n-1}=(a+b)r^{n-1}$ で等比数列になる)。
数列 $\{a_n\}$ を 1 つ左にずらして $\{a_{n+1}\}$ を作る操作を $E$ と書き、差をとる操作を $\Delta:=E-1$($(\Delta a)_n=a_{n+1}-a_n$)と書く。この言葉では
cor-ags-factor を $x^n-1=(x-1)(1+x+\dots+x^{n-1})$ と読むと、$|x|<1$ で $n\to\infty$ とした thm-ags-infinite は
$$
1+x+x^2+x^3+\cdots=\frac1{1-x}\qquad(|x|<1)
$$
になる。右辺の関数 $\frac1{1-x}$ は、数列 $1,1,1,\dots$ を係数に並べた冪級数の「まとめ」になっている。数列を係数とする冪級数で数列を調べる方法を母関数といい、母関数:数列を関数として扱う で扱う。等比数列の和は、その最も基本的な計算である。
等差数列の和も、大学では積分の類似として見られる。$1+2+\dots+n=\frac{n(n+1)}2$ は、$\int_0^nx\,dx=\frac{n^2}2$ と主要な部分 $\frac{n^2}2$ が一致し、差の $\frac n2$ は図1の階段のはみ出しにあたる(積分と和の類似)。
数学オリンピックの問題は、この記事の主題(一般項と和の公式)に直接合うものを選べなかったので入れていない。
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