正規化

同義語:スキームの正規化正規化射normalization

概要

正規化(normalization)とは、スキームを局所的な座標環の整閉包から作る正規なスキームに置き換える操作である。整スキームの正規化射は整・全射・双有理で、正規な開部分では同型になる。体上局所有限型のスキームでは有限射となり、曲線の尖点や結節点の枝を調べるのに使う。関数体の拡大の中で行う正規化は、通常の双有理な正規化と区別する。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 整閉包, スキーム, 整拡大

正規化で何が変わるか

曲線 $y^2=x^3$ の原点には尖点がある。パラメータ表示 $x=t^2,\ y=t^3$ を使うと、パラメータ直線から曲線への写像が得られ、尖点を滑らかな点で置き換えられる。この操作の代数的な中身は、座標環 $k[t^2,t^3]$ を同じ分数体の中で整閉な環 $k[t]$ に広げることである。環での 整閉包 をスキーム全体に貼り合わせたものを正規化(normalization)という。
正規化は特異点を調べる基本的な手段だが、その意味は「常に滑らかな空間に直す」ことではない。正規化後の空間は正規になり、曲線では条件のもとで非特異になる。高次元では正規な特異点も残りうる。また正規化射はいつも整かつ全射だが、有限射になるには条件が要る。以下ではまず整スキームで構成を定義し、複数の成分がある場合に広げる。

整スキームの正規化

$X$ を整スキームとする。アフィン開集合 $U=\operatorname{Spec}A\subset X$ ごとに、$A$ の商体 $K=\operatorname{Frac}(A)$ における整閉包 $A^\nu$ をとる。局所化と整閉包の可換性によって $\operatorname{Spec}A^\nu$ は重なり上で貼り合わさり、スキーム $X^\nu$ と射
$$ \nu:X^\nu\longrightarrow X $$
を得る。これを $X$ の正規化と正規化射という。

ここで $A^\nu$ は分数体の中にある $A$ 上整な元をすべて加えた環である。環としての正規化は 整閉包 に詳しい。射 $\nu$ は、空間の各アフィン部分で $\operatorname{Spec}A^\nu\to\operatorname{Spec}A$ と書けることが本記事の出発点となる。整閉包と局所化が可換であることは、選ぶアフィン開被覆を変えても同じ $X^\nu$ になる理由である(Stacks Tag 035E)。
この射について、整スキームの場合には次が成り立つ。$A^\nu$ は $A$ の整拡大で、商体は $K$ のままなので、$\nu$ は整で全射かつ双有理である。$A^\nu$ は整閉整域だから $X^\nu$ は正規スキームになる。全射性は整拡大の lying over、双有理性は生成点での関数体が同じであることから分かる。ここには Noether 性も有限型性も仮定していない。

正規な空間では変わらない

$X$ を整スキームとし、$U\subset X$ を正規な開部分スキームとする。正規化射を $U$ に制限した $\nu^{-1}(U)\to U$ は同型である。したがって $X$ が正規なら $\nu:X^\nu\to X$ は同型であり、逆も成り立つ。

$U$ のアフィン開集合 $V=\operatorname{Spec}A$ をとる。$U$ が正規なので $A$ は商体の中で整閉であり、$A^\nu=A$ である。よって $\nu^{-1}(V)=\operatorname{Spec}A^\nu=V$ となる。アフィン開集合が $U$ を覆うので、これらの同型を貼り合わせて $\nu^{-1}(U)\cong U$ を得る。$U=X$ とすれば前半の十分条件が従う。逆に $\nu$ が同型なら、$X^\nu$ は正規なので $X$ も正規である。$\square$

この命題は「正規化が変更する部分は非正規な点の上に限られる」という意味である。滑らかな点は正規だから、その上では変わらない。ただし非正規な点の上に何点現れるかは一律ではない。尖点では一つ、結節点では二つの枝に分かれる。この違いを後で具体的に計算する。
正規化は任意の特異点に対して「もっとも滑らかな」空間を選ぶ操作ではない。構成を決めるのは関数体内の整な元であり、どの特異点を何回ブローアップするかという選択は入らない。このため正規化射は関数体を変えずに一意に定まり、後で別の特異点解消と比べる基準にもなる。

正規な空間からの普遍性

正規化は「正規な空間から $X$ へ向かう写像を受け止める」という性質でも特徴づけられる。条件に支配性が必要であることに注意する。支配的とは、像が $X$ で稠密であり、整スキームなら生成点が生成点へ写ることである。

正規化への一意な持ち上げ

$X$ を整スキーム、$Y$ を正規な整スキームとし、$f:Y\to X$ を支配的な射とする。このとき $f$ は正規化射を通って一意に分解する。すなわち $\nu\circ\widetilde f=f$ となる射 $\widetilde f:Y\to X^\nu$ がただ一つ存在する。

アフィン開集合 $V=\operatorname{Spec}A\subset X$ と、その逆像の中のアフィン開集合 $W=\operatorname{Spec}B\subset Y$ をとる。支配性から環写像 $A\to B$ は単射で、商体の埋め込み $\operatorname{Frac}(A)\to\operatorname{Frac}(B)$ を与える。$b\in A^\nu$ は $A$ 上整なので、その像は $B$ 上も整である。$Y$ が正規だから $B$ は整閉整域であり、この像は $B$ に属する。ゆえに $A^\nu\to B$ が定まり、$W\to\operatorname{Spec}A^\nu$ を得る。構成は分数体への埋め込みで決まるので重なり上で一致し、全体に貼り合わさる。一意性も、各 $A^\nu$ が $\operatorname{Frac}(A)$ の部分環で、写像が $f$ の誘導する分数体写像に一致しなければならないことから従う。$\square$

支配的でない任意の射に同じ主張を適用してはいけない。たとえば結節点だけへ写す一点からの射は、正規化の上にある二つの枝の点のどちらへ持ち上げるかを一意に決めない。上の命題は、関数体の写像が決まる支配的な状況での一意性である。より一般のスキームでの正確な条件は Stacks Tag 035E の Lemma 29.55.5 にある。

尖点と結節点

体 $k$ 上の曲線では、正規化射を具体的なパラメータ $t$ で書けることが多い。二つの例は「特異点が何点に分かれるか」を区別する。どちらも正規化後はアフィン直線だが、尖点の原点は一つの点に、結節点の原点は二つの点に対応する。以下の環は $k[t]$ の部分環として扱う。

尖点の正規化

$A=k[t^2,t^3]\cong k[x,y]/(y^2-x^3)$ とする。$t=t^3/t^2$ は $\operatorname{Frac}(A)$ に属し、$t^2\in A$ だから $t$ は $T^2-t^2=0$ を満たして $A$ 上整である。$A[t]=k[t]$ は整閉整域なので、$A$ の整閉包は $k[t]$ である。したがって正規化射は
$$ \nu:\mathbb{A}^1_k=\operatorname{Spec}k[t]\longrightarrow\operatorname{Spec}A, \qquad t\longmapsto(t^2,t^3) $$
である。$t^2\in A$ なので $k[t]=A+At$ は有限 $A$ 加群であり、$\nu$ は有限射である。尖点 $(x,y)=(0,0)$ の逆像は $t=0$ の一つの点である。$x\ne0$ の場所では $t=y/x$ で逆を与えられ、正規化は同型になる。

例の「$k[t]$ は整閉だからこれが整閉包である」という一歩は、$A\subset k[t]\subset\operatorname{Frac}(A)$ と、$k[t]$ が $A$ 上整であることを使う。$k[t]$ は $A$ の商体の中の整閉な中間環で、$A$ の整閉包はすべての整閉な中間環に含まれる。一方 $t$ 自身が整なので $k[t]$ は整閉包に含まれ、両者が等しい(整閉包 の命題「中間の環の整閉包」)。

結節点の二つの枝

$\operatorname{char}k\ne2$ とし、$A=k[x,y]/(y^2-x^2(x+1))$ とする。$t=y/x$ を関数体の元として考えると $t^2=x+1$、よって $x=t^2-1$、$y=t(t^2-1)$ である。$t$ は $T^2-(x+1)=0$ により $A$ 上整で、$k[t]$ は整閉なので $A^\nu=k[t]$ となる。原点 $(x,y)=(0,0)$ の逆像は $t^2-1=0$、すなわち $t=1$ と $t=-1$ の二点である。$\operatorname{char}k\ne2$ なので二点は異なる。像は一つの結節点でも、正規化では交わる二つの枝が分離される。具体的な環計算は 整閉包 の例「結節点をもつ曲線の正規化」にある。

尖点と結節点では、どちらも正規化射は有限かつ双有理で、特異点以外では同型である。しかし正規化射は一般に位相空間の同相写像とは限らない。結節点の二つの点を一つに写すからである。また尖点のように点の数が変わらなくても、局所環が変わるため同型ではない。「点を増減させる操作」とだけ理解すると尖点を取り逃す。

複数の既約成分と非被約スキーム

正規化は整スキームだけに限られない。$X$ の各準コンパクトな開集合に既約成分が有限個あると仮定する。これは局所 Noether スキームなどで満たされる。まず被約化 $X_{\mathrm{red}}$ をとり、各既約成分に被約誘導構造を入れてそれぞれを正規化し、得られた空間の直和を $X^\nu$ とする。この構成はアフィン開集合上では全商環の中の整閉包に一致する(Stacks Tag 035E, Lemma 29.55.2、29.55.3、29.55.6)。

成分ごとの正規化

$X$ が上の有限成分の条件を満たし、$Z_i$ を $X_{\mathrm{red}}$ の既約成分とする。$Z_i^\nu$ を各成分の正規化とすると、$X$ の正規化は
$$ X^\nu=\coprod_i Z_i^\nu\longrightarrow X_{\mathrm{red}}\longrightarrow X $$
で与えられる。したがって $X^\nu$ は正規な整スキームの直和であり、$X^\nu\to X$ は整かつ全射である。

この一般形の構成と、全商環の中の整閉包によるアフィン記述が一致する証明は Stacks Tag 035E の Lemma 29.55.2、29.55.3、29.55.5、29.55.6 にある。複数の極小素イデアルと全商環の積を扱うため、ここではその議論を繰り返さない。

交わる二本の直線

$X=\operatorname{Spec}k[x,y]/(xy)$ とする。$X$ は $x$ 軸と $y$ 軸の二つの既約成分からなり、原点で交わる。各成分は $\operatorname{Spec}k[x]$、$\operatorname{Spec}k[y]$ としてすでに正規なので、正規化は
$$ X^\nu=\operatorname{Spec}k[x]\coprod\operatorname{Spec}k[y]\longrightarrow X $$
である。環では $k[x,y]/(xy)\to k[x]\times k[y]$、$p(x,y)\mapsto(p(x,0),p(0,y))$ に対応する。左側の像は二つの多項式の定数項が等しい組であり、右側では二つの定数項を別々に選べる。右側にある冪等元 $(1,0)$ は $T^2-T=0$ を満たすので整で、これを加えると積環全体が得られる。原点の上には二点ある。

冪零元がある $X$ でも正規化はまず $X_{\mathrm{red}}$ を通る。正規化は冪零元を保持して別の「正規な厚み」にするのではない。たとえば $\operatorname{Spec}k[\epsilon]/(\epsilon^2)$ の正規化は $\operatorname{Spec}k$ である。厚みを忘れる被約化と、分数体に整な元を加える操作は、この場合には別々の段階として理解するとよい。

正規化射はいつ有限になるか

整な射と有限射は異なる。$A^\nu$ の各元が $A$ 上整であることは、$A^\nu$ を生成するのに有限個の元で足りるという主張ではない。正規化射 $\operatorname{Spec}A^\nu\to\operatorname{Spec}A$ が有限であることは、$A^\nu$ が有限生成 $A$ 加群であることに等しい。尖点と結節点では $1,t$ で生成できたが、その計算を任意の環に広げてはならない。

有限型の代数幾何での有限性

$k$ を体、$X$ を $k$ 上局所有限型のスキームとする。このとき正規化射 $\nu:X^\nu\to X$ は有限である。$X$ が整なら $\nu$ は有限かつ双有理である。

体上局所有限型のスキームは Nagata スキームであり、その正規化が有限であるという定理は Stacks Tag 0BXQ, Lemma 33.27.1、および Tag 035E, Lemma 29.55.11 にある。証明には環の有限性定理を要するため、ここでは引用する。整閉包 の定理「整閉包の有限性」はアフィン整域の場合を扱う。

この命題の仮定は「$X$ が体上局所有限型」である。単なる整スキームに対して正規化射が有限と断じてはならない。局所 Noether だけでも、一般の次元では有限性を保証しない。一方、体上の代数多様体では条件を満たすから、正規化を有限な双有理射として扱える。有限性があると各点の逆像が有限集合となり、尖点・結節点の例のような「枝の個数」を点で考えやすくなる。
1 次元ではさらによいことが起こる。局所 Noether な整曲線の正規化は、閉点の局所環が離散付値環、生成点の局所環が関数体となる正規曲線であり、したがって正則である(Stacks Tag 0C44)。体 $k$ が完全なら、$k$ 上有限型の正規な曲線は滑らかでもある。$k$ が不完全な場合、「正規」や「正則」を無条件に「$k$ 上滑らか」と読み替えない。次元が $2$ 以上なら、正規化後にも特異点は残りうる。たとえば 2 次錐 $\operatorname{Spec}k[x,y,z]/(xy-z^2)$ は正規でも原点に特異点をもつ(整閉包 の注意「正規化と特異点」)。

対象常に言えること有限性の判断
整スキーム $X$$X^\nu\to X$ は整・全射・双有理一般には別途確認する
体上局所有限型の $X$正規化は有限Nagata 性から従う
局所 Noether な 1 次元の $X$正規化の繊維は有限正規化射自体の有限性とは区別する
正規な $X$正規化は同型環が既に整閉である

「繊維が有限」と「射が有限」も別の主張である。局所 Noether な 1 次元スキームでは Krull–秋月の定理により正規化の繊維は有限であるが、それだけで正規化射が有限になるわけではない(Stacks Tag 0C44, Lemma 33.41.1)。用語が似ていても、どの有限性を使うかを区別する。

関数体の拡大の中での正規化

通常の正規化では整スキーム $X$ の関数体 $K(X)$ を変えない。しかし有限な体拡大 $L/K(X)$ が先に与えられているとき、$X$ の座標環を $L$ の中で整閉包にして新しいスキームを得ることも「$L$ における正規化」という。これは被覆を作るときによく使う。通常の正規化と区別して、どの体の中で整閉包を取ったかを明示する。

体拡大の中での正規化

$X$ を整スキーム、$K=K(X)$、$L/K$ を有限な体拡大とする。アフィン開集合 $U=\operatorname{Spec}A\subset X$ で $A$ の $L$ における整閉包 $A_L$ をとり、それらを貼り合わせたスキーム $X_L^\nu$ と射 $X_L^\nu\to X$ を、$X$ の $L$ における正規化という。$L=K$ のときは通常の正規化に戻る。

この射は生成点で $\operatorname{Spec}L\to\operatorname{Spec}K$ を与えるので、$L\ne K$ なら一般に双有理ではない。$X$ が体上有限型など Nagata の条件を満たす場合は有限射になる。たとえば $X=\operatorname{Spec}k[s]$、$L=k(t)$、$s=t^2$ とすると、$k[s]$ の $L$ における整閉包は $k[t]$ で、得られる射は $t\mapsto t^2$ である。通常の正規化なら $k[s]$ は既に整閉なので同型になる。前者と後者を混同すると、「正規な曲線なのに正規化が非自明」という見かけの矛盾が生じる。
名前の似た Noether の正規化定理は、体上有限生成な代数を多項式環上有限にする定理であり、ここでいうスキームの正規化射そのものを構成する手順ではない。この定理は正規化の有限性を証明する際の道具になりうるが、結論として現れる多項式環と $A^\nu$ を同じ環だと考えてはいけない。さらに、確率分布やベクトルの大きさを調整する一般語の「正規化」も別の操作である。本記事の $\nu$ は、整閉包を使う代数幾何の意味に限る。
複素解析空間でも曲線の正規化を考える。尖点の例の $t\mapsto(t^2,t^3)$ は、$k=\mathbb{C}$ として複素点で見れば正則な写像であり、解析的な尖点の正規化の具体例にもなる。ただし一般の複素解析空間では座標環が一つの環として与えられるとは限らないので、ここで定義した代数スキームの構成をそのまま定義と呼ばない。解析的な局所環を用いる対応する構成がある。

反例:仮定を外すと崩れること

正規化についての命題の仮定を一つずつ外した反例を並べる。

外す条件反例成り立たなくなること
支配的(prop-normalization-universal)一点 $\operatorname{Spec}k$ から結節点への射正規化への持ち上げが一意
$Y$ が正規(同)尖点 $X$ の恒等射 $X\to X$正規化を通って分解する
体上局所有限型(prop-normalization-finite-type)$A=k+tL[t]$($L/k$ は無限次代数拡大)正規化射が有限
$L=K$(def-normalization-in-extension)$k[s]\subset k(t)$、$s=t^2$正規化は双有理で、正規なら同型
次元 $1$(正規 ⇒ 正則)二次錐 $\operatorname{Spec}k[x,y,z]/(xy-z^2)$正規化の後に特異点が残らない
$k$ が完全(正規な曲線は滑らか)$k=\mathbb F_p(a)$ 上 $y^2=x^p-a$($p$ は奇素数)正規な曲線は $k$ 上滑らか

各行の確認は次のとおりである。

  • 支配的でない射:ex-normalization-node の正規化 $t\mapsto(t^2-1,t(t^2-1))$ で、結節点の上には $t=1$ と $t=-1$ の二点がある。一点 $Y=\operatorname{Spec}k$(正規な整スキーム)を結節点へ送る射 $f$ は、$Y$ を $t=1$ へ送る射と $t=-1$ へ送る射のどちらとも $\nu\circ\widetilde f=f$ を満たすので、持ち上げは一意でない。$f$ の像は一点で稠密でなく、支配的でない。
  • 正規でない $Y$:$X=\operatorname{Spec}A$、$A=k[t^2,t^3]$ とし、恒等射 $X\to X$ が $\nu$ を通って分解したとする。すると $\nu$ の切断 $g:X\to\mathbb A^1_k$ があり、環では $k[t]\to A$ で $A$ 上恒等な準同型 $g^\sharp$ を得る。$a=g^\sharp(t)\in A$ は $a^2=g^\sharp(t^2)=t^2$ を満たすので、整域 $k[t]$ の中で $a=\pm t$ となるが、$t\notin A$ なので矛盾する。恒等射は支配的だが、$Y=X$ が正規でないため分解しない。
  • 有限型を外す:$L/k$ を無限次の代数拡大(たとえば $k=\mathbb Q$、$L=\overline{\mathbb Q}$)、$A=k+tL[t]$ とする。$tL\subset A$ と $t\in A$ から $L\subset\operatorname{Frac}(A)$ なので $\operatorname{Frac}(A)=L(t)$。$L$ の元は $k$ 上整、$t\in A$ なので $L[t]$ は $A$ 上整で、$L[t]$ は整閉整域(UFD)だから $A^\nu=L[t]$ である。もし $L[t]$ が有限生成 $A$ 加群なら、$A$ と $L[t]$ に共通のイデアル $J=tL[t]$ で割って、$L[t]/J\cong L$ が $A/J\cong k$ 上有限次元になるはずだが、$[L:k]=\infty$ に反する。よって $\operatorname{Spec}A$ は整スキームだが、正規化射は整・全射でも有限でない($A$ は Noether でもない)。
  • 体を拡大した正規化:本文のとおり $k[s]$ の $k(t)$ における整閉包は $k[t]$ で、$t\mapsto t^2$ は生成点で $\operatorname{Spec}k(t)\to\operatorname{Spec}k(s)$(次数 $2$)を与え双有理でない。$\operatorname{Spec}k[s]$ は正規なのにこの「正規化」は同型でない。prop-normalization-normal-locus は $L=K$ の通常の正規化についての主張である。
  • 次元 $2$ では特異点が残る:$A=k[x,y,z]/(xy-z^2)$ は正規で(整閉包 の注意「正規化と特異点」)、prop-normalization-normal-locus より正規化は同型である。しかし原点で $f=xy-z^2$ の偏導関数 $y,x,-2z$ はすべて零なので、余接空間 $\mathfrak m/\mathfrak m^2$ は三次元で、次元 $2$ を上回り正則でない。
  • 不完全体では正規でも滑らかとは限らない:$f=y^2-x^p+a\in k[x,y]$ は、$x^p-a$ が $k[x]$ で既約($a$ は $k$ で $p$ 乗根をもたない)かつ平方でないので $k(x)$ 上 $y$ の二次式として既約で、$C=V(f)$ は整な曲線である。$\partial f/\partial x=-px^{p-1}=0$、$\partial f/\partial y=2y$ なので、ヤコビ行列が零になるのは $y=0$、$x^p=a$ の点 $P$ だけで、$P$ で $C$ は $k$ 上滑らかでない。しかし $P$ の極大イデアル $\mathfrak m=(y,x^p-a)$ で $x^p-a=y^2$ なので $\mathfrak m=(y)$ は一元生成で、$P$ の局所環は離散付値環である。他の点は滑らかなので $C$ は正則、特に正規だが、$k$ 上滑らかでない。

関連項目

参考文献

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