群数列(grouped sequence)とは、数列の項を前から順に、第 $m$ 群に $g(m)$ 個($g(m)$ は正の整数)ずつ区切ったものである。第 $m$ 群までの項数を $S(m)$($S(0)=0$)とすると、第 $n$ 項は $S(m-1)<n\le S(m)$ を満たすただ 1 つの $m$ について第 $m$ 群の $n-S(m-1)$ 番目にある。第 $m$ 群に $m$ 個ずつ区切るときは $m=\left\lceil\frac{-1+\sqrt{1+8n}}{2}\right\rceil$(切り上げ)で、たとえば第 100 項は第 14 群の 9 番目である。奇数を $m$ 個ずつ区切ると第 $m$ 群の和は $m^3$ になり、立方数の和の公式が従う。分子と分母の和で区切ると正の分数がすべて 1 列に並ぶ。
前提知識: 等差数列と等比数列, ガウス記号と整数の個数, 2次不等式, 数列の和と差分
自然数 $1,2,3,\ldots$ を、1 行目に 1 個、2 行目に 2 個、3 行目に 3 個、…と並べていく。行ごとに縦線で区切って書くと
$$
1\;\bigm|\;2,\ 3\;\bigm|\;4,\ 5,\ 6\;\bigm|\;7,\ 8,\ 9,\ 10\;\bigm|\;11,\ \ldots
$$
である。区切られたひとかたまりを 群 とよび、左から第 1 群、第 2 群、…と数える。このように数列を群に区切ったものを 群数列 という。群数列でよく問われるのは、「第 $n$ 項は第何群の何番目か」「第 $m$ 群の和はいくつか」の 2 つである。
上の群数列で、第 20 項が第何群の何番目かを、群ごとに項数を足して調べる。
第 $m$ 群には $m$ 個の項がある。第 1 群から順に、そこまでの項数を足していくと
$$
1,\quad 1+2=3,\quad 3+3=6,\quad 6+4=10,\quad 10+5=15,\quad 15+6=21
$$
である。第 5 群までで $15$ 項、第 6 群までで $21$ 項なので、第 16 項から第 21 項までが第 6 群である。$15<20\le21$ だから、第 20 項は第 6 群に入り、その中で $20-15=5$ 番目である。この数列の第 20 項は $20$ なので、第 6 群は $16,17,18,19,20,21$ で、$20$ はたしかに 5 番目にある。
奇数 $1,3,5,7,\ldots$ を、同じく第 $m$ 群に $m$ 個ずつ区切る。
$$
1\;\bigm|\;3,\ 5\;\bigm|\;7,\ 9,\ 11\;\bigm|\;13,\ 15,\ 17,\ 19\;\bigm|\;\cdots
$$
群ごとの和を計算すると
$$
1=1,\qquad 3+5=8,\qquad 7+9+11=27,\qquad 13+15+17+19=64
$$
で、$1=1^3$、$8=2^3$、$27=3^3$、$64=4^3$ と、どれも立方数になる。
ex-grp-start のように 1 群ずつ足していく方法は、第 20 項なら手で済むが、第 2026 項となると 64 回足すことになる。また ex-grp-start-odd の規則がどこまでも続くかは、計算を続けるだけでは分からない。この記事で答える問いは次の 3 つである。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 使う道具 |
|---|---|---|
| 第 $m$ 群までの項数を足す | 区切りの位置 $S(m)$ | 等差数列の和 |
| 「第 $n$ 項は第何群か」 | $S(m-1)< n\le S(m)$ を満たす $m$ | 2 次不等式と切り上げ |
| 群の中の番号 | $n-S(m-1)$ | 引き算 |
| 群の和 | 群の最初の項と項数から和を求める | 等差数列の和 |
1 から 105 までを第 m 群に m 個ずつ三角形に並べた図。右端の数は第 m 群までの項数で、第 100 項は第 14 群の 9 番目にある
群の項数は、第 $m$ 群に $m$ 個とは限らない。奇数個ずつ($1,3,5,\ldots$ 個)や、2 倍ずつ($1,2,4,\ldots$ 個)に区切ることもある。そこで、各群の項数を一般の数列 $g(m)$ で表して、言葉を決めておく。
数列 $a_1,a_2,a_3,\ldots$ と、正の整数の数列 $g(1),g(2),g(3),\ldots$ が与えられたとする。
$$
S(0)=0,\qquad S(m)=g(1)+g(2)+\dots+g(m)\quad(m\ge1)
$$
とおき、$S(m-1)+1$ 番目から $S(m)$ 番目までの $g(m)$ 個の項
$$
a_{S(m-1)+1},\ a_{S(m-1)+2},\ \ldots,\ a_{S(m)}
$$
を 第 $m$ 群 という。このように区切った数列を 群数列 という。$S(m)$ は第 $m$ 群までに入る項の個数で、この記事では 区切りの位置 とよぶ。第 $n$ 項 $a_n$ が第 $m$ 群の $k$ 番目の項であることを、「$a_n$ は第 $m$ 群の $k$ 番目」という。
$g(m)$ はどれも正の整数なので、$S(m)=S(m-1)+g(m)>S(m-1)$ であり、区切りの位置は
$$
0=S(0)< S(1)< S(2)< S(3)<\cdots
$$
と、1 以上ずつ増えていく。したがって $S(m)\ge m$ である($m$ についての帰納法:$S(0)=0$ で、1 つ進むごとに 1 以上増える)。
ex-grp-start で見たとおり、第 $n$ 項がどの群に入るかは、$n$ を区切りの位置ではさめば分かる。これを命題にする。
def-grp の群数列で、$n$ を正の整数とする。
$$
S(m-1)< n\le S(m)
$$
を満たす正の整数 $m$ はただ 1 つあり、第 $n$ 項は第 $m$ 群の $k=n-S(m-1)$ 番目である。ここで $1\le k\le g(m)$ である。
要点:$S(m)\ge n$ となる最小の $m$ をとると $S(m-1)< n\le S(m)$ を満たす。区切りの位置は増え続けるので、2 つの $m$ が同時にこの不等式を満たすことはない。
段 1($m$ の存在)。$S(n)\ge n$ なので、$S(m)\ge n$ を満たす正の整数 $m$ はある(たとえば $m=n$)。そのうち最小のものを $m$ とする。$m\ge2$ なら、$m-1$ は正の整数で $m$ より小さいので $S(m-1)\ge n$ ではなく、$S(m-1)< n$ である。$m=1$ のときも $S(0)=0< n$ である。よって $S(m-1)< n\le S(m)$ である。
段 2(ただ 1 つであること)。$m'\ne m$ も同じ不等式を満たすとし、$m'< m$ としてよい(大小が逆なら 2 つの名前を入れかえる)。$m'\le m-1$ で、区切りの位置は増えていくので $S(m')\le S(m-1)$ である。すると $n\le S(m')\le S(m-1)< n$ となり、矛盾する。
段 3(群の中の番号)。第 $m$ 群は $S(m-1)+1$ 番目から $S(m)$ 番目までの項なので、第 $n$ 項はその中で $n-S(m-1)$ 番目である。$S(m-1)< n$ から $k=n-S(m-1)\ge1$、$n\le S(m)$ から $k\le S(m)-S(m-1)=g(m)$ である。$\square$
prop-grp-locate の不等式で、左側が「$<$」、右側が「$\le$」であることに注意する。第 $n$ 項がちょうど群の最後の項($n=S(m)$)のとき、$n$ は第 $m$ 群に入る。等号の向きを取り違えると、群の最後の項で 1 つずれる(ex-grp-cx-equality)。
第 $m$ 群に $m$ 個ずつ区切る場合(ex-grp-def (1))に、prop-grp-locate の $m$ を式で書く。答えには「切り上げ」が現れるので、先に定義する。
実数 $x$ に対し、$x$ 以上の最小の整数を $\lceil x\rceil$ と書き、$x$ の 切り上げ という。$m=\lceil x\rceil$ は
$$
m-1< x\le m
$$
を満たすただ 1 つの整数である。ガウス記号 $[x]$($x$ 以下の最大の整数、ガウス記号と整数の個数)を使うと $\lceil x\rceil=-[-x]$ と書ける。
定義の言いかえを確かめる。$n=[-x]$ とおくと、ガウス記号の定義から $n\le-x< n+1$ で、各辺に $-1$ を掛けて向きを変えると $-n-1< x\le-n$ である。よって $m=-n$ は $m-1< x\le m$ を満たす。この不等式は $x\le m< x+1$ と同じで、長さ $1$ の範囲 $x\le m< x+1$ に整数はただ 1 つしかない。しかも $m-1< x$ なので、$m$ より小さい整数はどれも $x$ より小さい。つまり $m$ は $x$ 以上の最小の整数である。
数列を第 $m$ 群に $m$ 個ずつ区切る。正の整数 $n$ に対し
$$
x_n=\frac{-1+\sqrt{1+8n}}2,\qquad m=\lceil x_n\rceil
$$
とおくと、第 $n$ 項は第 $m$ 群の
$$
k=n-\frac{(m-1)m}2
$$
番目である。ここで $1\le k\le m$ である。
$x_n$ は、2 次方程式 $\dfrac{x(x+1)}2=n$ の正の解である。つまり「第 $x$ 群までの項数がちょうど $n$ になる $x$」を実数の範囲で求め、それを切り上げると群の番号になる。
方針:prop-grp-locate により、第 $n$ 項の群の番号 $m$ は $\dfrac{(m-1)m}2< n\le\dfrac{m(m+1)}2$ を満たすただ 1 つの正の整数である。右と左の不等式をそれぞれ 2 次不等式として解き、合わせて $m-1< x_n\le m$ を導く。
段 1(命題に当てはめる)。$g(m)=m$ のとき、ex-grp-def (1) により区切りの位置は $S(m)=\dfrac{m(m+1)}2$、$S(m-1)=\dfrac{(m-1)m}2$ である。prop-grp-locate により、
$$
\frac{(m-1)m}2< n\le\frac{m(m+1)}2
$$
を満たす正の整数 $m$ がただ 1 つあり、第 $n$ 項は第 $m$ 群の $k=n-\dfrac{(m-1)m}2$ 番目で、$1\le k\le g(m)=m$ である。残りは、この $m$ が $\lceil x_n\rceil$ に等しいことを示すことである。
段 2(2 次式の根)。2 次式 $f(t)=t^2+t-2n$ の根は、解の公式により
$$
t=\frac{-1\pm\sqrt{1+8n}}2
$$
である。$\sqrt{1+8n}>1$ なので、小さい方の根 $y_n=\dfrac{-1-\sqrt{1+8n}}2$ は負で、大きい方の根 $x_n$ は正である。2次不等式 により、$f(t)\ge0$ は「$t\le y_n$ または $t\ge x_n$」と同値であり、$f(t)<0$ は「$y_n< t< x_n$」と同値である。
段 3(右の不等式)。$n\le\dfrac{m(m+1)}2$ の両辺を $2$ 倍して移項すると $m^2+m-2n\ge0$、つまり $f(m)\ge0$ である。$m\ge1$ は負の数 $y_n$ より大きいので、段 2 により $f(m)\ge0$ は $m\ge x_n$ と同値である。
段 4(左の不等式)。$(m-1)m=(m-1)^2+(m-1)$ なので、$\dfrac{(m-1)m}2< n$ の両辺を $2$ 倍して移項すると $(m-1)^2+(m-1)-2n<0$、つまり $f(m-1)<0$ である。$m-1\ge0>y_n$ なので、段 2 により $f(m-1)<0$ は $m-1< x_n$ と同値である。
段 5(まとめ)。段 3・段 4 から $m-1< x_n\le m$ である。def-grp-ceil により、これを満たす整数は $\lceil x_n\rceil$ だけなので、$m=\lceil x_n\rceil$ である。$\square$
$1+8n=16209$ である。$127^2=16129<16209<16384=128^2$ なので $63< x_{2026}<63.5$ で、$m=64$ である。番号は $k=2026-\dfrac{63\cdot64}2=2026-2016=10$ である。
y = x(x+1)/2 のグラフと直線 y = 100。交点の x 座標 13.65… は 13 と 14 の間にあり、切り上げると群の番号 14 になる
図 2 は、thm-grp-main の証明を $n=100$ で見たものである。放物線 $y=\dfrac{x(x+1)}2$ の上の整数の点 $(m,S(m))$ が区切りの位置で、直線 $y=100$ との交点の $x$ 座標が $x_{100}=13.65\ldots$ である。$S(13)=91<100\le105=S(14)$ は、交点が $x=13$ と $x=14$ の間にあることと同じである。
数列 $1\mid1,2\mid1,2,3\mid1,2,3,4\mid\cdots$ は、第 $m$ 群が $1,2,\ldots,m$ である群数列である。第 $n$ 項は、それが入る群の中の番号 $k$ そのものである。
(1) ex-grp-main (1) により、第 100 項は第 14 群の 9 番目なので $9$ である。(2) により第 2026 項は $10$ である。
(2) 初項から第 100 項までの和は、第 13 群までの 91 項の和 $455$ と、第 14 群の最初の 9 項の和 $1+2+\dots+9=45$ を合わせて $500$ である。
第 $m$ 群の和は $1+2+\dots+m=\dfrac{m(m+1)}2$ なので、第 1 群から第 13 群までの和は
$$
\sum_{m=1}^{13}\frac{m(m+1)}2=\frac12\left(\sum_{m=1}^{13}m^2+\sum_{m=1}^{13}m\right)=\frac12\left(\frac{13\cdot14\cdot27}6+\frac{13\cdot14}2\right)=\frac12(819+91)=455
$$
である($\sum m^2$ の公式は 数列の和と差分)。
thm-grp-main の $m$ は、ガウス記号で
$$
m=\left[\frac{-1+\sqrt{8n-7}}2\right]+1
$$
とも書ける。$n=100$ なら $\sqrt{793}$ は $28$ と $29$ の間なので $\left[\dfrac{-1+\sqrt{793}}2\right]=13$ で、$m=14$ である。
$y=\dfrac{-1+\sqrt{8n-7}}2$ は $\dfrac{t(t+1)}2=n-1$ の $0$ 以上の解である。左の不等式 $\dfrac{(m-1)m}2< n$ は、両辺が整数なので $\dfrac{(m-1)m}2\le n-1$ と同じで、prf-grp-main と同じ 2 次不等式の議論で $m-1\le y$ と同値になる。右の不等式 $n\le\dfrac{m(m+1)}2$ は $n-1<\dfrac{m(m+1)}2$ と同じで、$y< m$ と同値になる。$m-1\le y< m$ はガウス記号の定義そのものなので $m-1=[y]$ である。
群数列の考え方を使うと、正の分数をすべて 1 列に並べられる。分子と分母の和が $2$ の分数、和が $3$ の分数、和が $4$ の分数、…を順に 1 つの群にする。
$$
\frac11\;\biggm|\;\frac12,\ \frac21\;\biggm|\;\frac13,\ \frac22,\ \frac31\;\biggm|\;\frac14,\ \frac23,\ \frac32,\ \frac41\;\biggm|\;\cdots
$$
第 $m$ 群は、分子と分母の和が $m+1$ の分数を、分子の小さい順に並べた $m$ 個の分数 $\dfrac1m,\dfrac2{m-1},\ldots,\dfrac m1$ である。約分できる分数($\dfrac22$ など)も、そのまま 1 つの項として数える。第 $m$ 群に $m$ 個なので、thm-grp-main がそのまま使える。
上の群数列で、正の整数 $p$、$q$ について、分数 $\dfrac pq$ は第 $p+q-1$ 群の $p$ 番目にあり、
$$
\frac{(p+q-2)(p+q-1)}2+p
$$
番目の項である。逆に、第 $n$ 項は、thm-grp-main の $m$、$k$ を使って $\dfrac k{m+1-k}$ である。
分子と分母の和が $p+q$ なので、$\dfrac pq$ は第 $m=p+q-1$ 群にある。第 $m$ 群の分数は分子が $1,2,\ldots,m$ の順に並ぶので、$\dfrac pq$ は第 $m$ 群の $p$ 番目である($q\ge1$ なので $p\le m$)。prop-grp-locate により、第 $m$ 群の $p$ 番目は第 $S(m-1)+p$ 項で、$S(m-1)=\dfrac{(m-1)m}2=\dfrac{(p+q-2)(p+q-1)}2$ である。
逆に、第 $n$ 項が第 $m$ 群の $k$ 番目なら、その分数の分子は $k$、分子と分母の和は $m+1$ なので、分母は $m+1-k$ である。$\square$
正の分数 p/q を、分子と分母の和が等しいものごとに斜めの群に並べた図。矢印は並べる順で、3/5 は第 7 群の 3 番目、第 24 項にある
図 3 は、分母 $q$ を横に、分子 $p$ を縦にとって分数を並べた表である。第 $m$ 群は右上から左下への斜めの 1 列で、矢印の順にたどると上の数列になる。どの正の分数 $\dfrac pq$ も表のどこかにあり、prop-grp-rational により有限の番号がつく。表は縦にも横にも限りなく続くのに、斜めに区切ると 1 列に並べられることがこの例の要点である。この話は「大学数学で見る」の節で続ける。
ex-grp-start-odd の規則「奇数を $m$ 個ずつ区切ると、第 $m$ 群の和は $m^3$」を証明する。群の最初の項を prop-grp-locate で求め、群の中が等差数列であることを使う。
奇数の数列 $1,3,5,7,\ldots$ を第 $m$ 群に $m$ 個ずつ区切ると、第 $m$ 群の最初の項は $m^2-m+1$、最後の項は $m^2+m-1$ で、第 $m$ 群の和は $m^3$ である。
方針:第 $m$ 群の最初の項が数列の何番目かを求め、奇数の一般項 $2j-1$ に代入する。群の中は公差 $2$ の等差数列なので、和は(項数)×(最初と最後の平均)で求まる。
段 1(最初の項)。$j$ 番目の奇数は $2j-1$ である(初項 $1$、公差 $2$ の等差数列の一般項)。prop-grp-locate と ex-grp-def (1) により、第 $m$ 群の最初の項は第 $S(m-1)+1=\dfrac{(m-1)m}2+1$ 項である。その値は
$$
2\left(\frac{(m-1)m}2+1\right)-1=(m-1)m+2-1=m^2-m+1
$$
である。
段 2(最後の項)。第 $m$ 群は最初の項から公差 $2$ で $m$ 個並ぶので、最後の項は $(m^2-m+1)+2(m-1)=m^2+m-1$ である。
段 3(和)。等差数列の和の公式(等差数列と等比数列 の定理「等差数列の和」)により、第 $m$ 群の和は
$$
\frac{m\{(m^2-m+1)+(m^2+m-1)\}}2=\frac{m\cdot2m^2}2=m^3
$$
である。$\square$
最初の項は $100-10+1=91$、最後の項は $100+10-1=109$ で、和は $\dfrac{10(91+109)}2=1000$ である。第 10 群の真ん中の 2 項は $99$ と $101$ で、ちょうど $m^2=100$ をはさむ。
thm-grp-odd を第 1 群から第 $m$ 群まで足すと、立方数の和の公式が群数列から出てくる。
正の整数 $m$ について
$$
1^3+2^3+\dots+m^3=\left(\frac{m(m+1)}2\right)^2
$$
である。
第 1 群から第 $m$ 群までに入る奇数は、最初から数えて $S(m)=\dfrac{m(m+1)}2$ 個である。この和を 2 通りに計算する。
群ごとに足すと、thm-grp-odd により $1^3+2^3+\dots+m^3$ である。
一方、最初の $N$ 個の奇数の和は、ex-grp-def (2) の計算により $1+3+\dots+(2N-1)=N^2$ である。$N=S(m)$ とすると $\left(\dfrac{m(m+1)}2\right)^2$ である。2 つは同じ和なので等しい。$\square$
奇数 1, 3, 5, … をかぎ形に並べると正方形になる図。第 1 群から第 4 群まで(最初の 10 個の奇数)を色分けすると、1 辺 10 の正方形が 1、8、27、64 の部分に分かれる
図 4 は、この証明を絵にしたものである。$j$ 番目の奇数 $2j-1$ を、1 辺 $j$ の正方形から 1 辺 $j-1$ の正方形を除いたかぎ形で表すと、最初の $N$ 個のかぎ形で 1 辺 $N$ の正方形ができる。群ごとに色を変えると、第 1 群から第 4 群までで 1 辺 $1+2+3+4=10$ の正方形ができ、その面積 $100$ が $1+8+27+64$ に分かれる。立方数の和の公式は 数列の和と差分 でも差分を使って証明されている。ここでの証明は、群の区切りの位置 $S(m)$ がそのまま正方形の 1 辺になることを使った。
prop-grp-locate は、区切りの位置 $S(m)$ さえ分かれば、どの区切り方にも使える。ex-grp-def の 3 つの区切り方で、第 $n$ 項の群を式にすると次のようになる。
| 各群の項数 $g(m)$ | 区切りの位置 $S(m)$ | 第 $n$ 項の群 $m$ | 群の中の番号 |
|---|---|---|---|
| $m$ | $\dfrac{m(m+1)}2$ | $\left\lceil\dfrac{-1+\sqrt{1+8n}}2\right\rceil$ | $n-\dfrac{(m-1)m}2$ |
| $2m-1$ | $m^2$ | $\lceil\sqrt n\rceil$ | $n-(m-1)^2$ |
| $2^{m-1}$ | $2^m-1$ | $[\log_2n]+1$ | $n-2^{m-1}+1$ |
1 行目は thm-grp-main である。2 行目・3 行目を命題として証明する。
$n$ を正の整数とする。
(1) 第 $m$ 群に $2m-1$ 個ずつ区切ると、第 $n$ 項は第 $\lceil\sqrt n\rceil$ 群にある。
(2) 第 $m$ 群に $2^{m-1}$ 個ずつ区切ると、第 $n$ 項は第 $[\log_2n]+1$ 群にある。
群の中の番号は、どちらも prop-grp-locate により $n-S(m-1)$ である。
要点:(1) は $(m-1)^2< n\le m^2$ の平方根をとって $m-1<\sqrt n\le m$、(2) は $2^{m-1}\le n<2^m$ の 2 を底とする対数をとって $m-1\le\log_2n< m$ にする。
(1) prop-grp-locate と ex-grp-def (2) により、群の番号 $m$ は $(m-1)^2< n\le m^2$ を満たす正の整数である。$m-1\ge0$、$m\ge1$ で、$0$ 以上の数どうしの大小は平方根をとっても変わらないので、この不等式は $m-1<\sqrt n\le m$ と同値である。def-grp-ceil により $m=\lceil\sqrt n\rceil$ である。
(2) ex-grp-def (3) により、群の番号 $m$ は $2^{m-1}-1< n\le2^m-1$ を満たす正の整数である。両側とも整数どうしの不等式なので、左は $2^{m-1}\le n$、右は $n<2^m$ と同じである。$y=\log_2x$ は増加する関数なので、$2^{m-1}\le n<2^m$ は $m-1\le\log_2n< m$ と同値である。これはガウス記号の定義そのものなので $m-1=[\log_2n]$、つまり $m=[\log_2n]+1$ である。$\square$
$2^9=512\le1000<1024=2^{10}$ なので $[\log_21000]=9$、$m=10$ で、番号は $1000-512+1=489$ である。
2 倍ずつの区切りの条件 $2^{m-1}\le n<2^m$ は、「$n$ を 2 進法で書くとちょうど $m$ 桁」ということである(n進法と記数法)。たとえば $100$ を 2 進法で書くと $1100100$ で 7 桁なので、第 7 群にある。10 進法の桁数を常用対数で求める 常用対数と桁数 の計算と同じ形である。
prop-grp-locate と thm-grp-main の式のどこか 1 か所を取り違えると、答えがずれる。どれも「群の最後の項」か「群の最初の項」の付近で起こる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 不等式の左は「$<$」、右は「$\le$」 | $n=10$ で $\frac{(m-1)m}2\le n<\frac{m(m+1)}2$ を使う | 群の番号(第 5 群と出るが、正しくは第 4 群) |
| $x_n$ を切り上げる | $n=9$ でガウス記号 $[x_9]$ を使う | 群の番号(第 3 群と出るが、正しくは第 4 群) |
| 群の中の番号は $S(m-1)$ から数える | $n=100$ で $n-S(m)$ を計算する | 群の中の番号($-5$ になる) |
第 10 項は第 4 群の最後の項である(ex-grp-main (3))。不等式の等号の向きを逆にして $\dfrac{(m-1)m}2\le10<\dfrac{m(m+1)}2$ を満たす $m$ を探すと、$m=5$ で $10\le10<15$ が成り立つので、「第 5 群」という答えが出てしまう。第 5 群は第 11 項から第 15 項までなので、これは誤りである。
ずれるのは、$n$ が区切りの位置(三角数 $1,3,6,10,\ldots$)のときだけである。それ以外の $n$ では等号が成り立たないので、向きを逆にしても同じ答えになる。反例がまれなので、誤りに気づきにくい。
$n=9$ のとき $x_9=\dfrac{-1+\sqrt{73}}2$ で、$8<\sqrt{73}<9$ なので $3.5< x_9<4$ である。切り上げると $\lceil x_9\rceil=4$ で、第 9 項は第 4 群の $9-6=3$ 番目である(第 4 群は $7,8,9,10$ 番目の項)。
ガウス記号を使うと $[x_9]=3$ となり、「第 3 群」という誤った答えになる。$x_n$ が整数でないとき、$[x_n]=\lceil x_n\rceil-1$ なので、ガウス記号の答えは必ず 1 小さくなる。$x_n$ が整数になるのは $n$ が三角数のときだけなので(ex-grp-main (3))、ガウス記号の答えが正しいのは三角数の $n$ に限られる。ガウス記号で書きたいときは、rem-grp-floor の形 $\left[\dfrac{-1+\sqrt{8n-7}}2\right]+1$ を使う。
第 100 項は第 14 群にある。群の中の番号を $n-S(14)=100-105=-5$ と計算すると、負の数になってしまう。第 14 群の最初の項は第 $S(13)+1=92$ 項なので、番号は 1 つ前の区切りの位置 $S(13)=91$ から数えて $100-91=9$ である。$n-S(m)=-5$ は「第 14 群の最後から数えて 6 番目」という意味にはなる($14-5=9$ と一致する)が、群の中の番号そのものではない。
prop-grp-rational は、分数 $\dfrac pq$ を正の整数の組 $(p,q)$ と見れば、正の整数の組 $(p,q)$ 全体に番号をつける規則になっている。
$$
N(p,q)=\frac{(p+q-2)(p+q-1)}2+p
$$
とおくと、どの組 $(p,q)$ にも正の整数 $N(p,q)$ が対応し、thm-grp-main により、どの正の整数 $n$ もただ 1 つの組から来る($n$ から群の番号 $m$ と群の中の番号 $k$ がただ 1 通りに決まり、$(p,q)=(k,m+1-k)$ となる)。つまり $N$ は、正の整数の組の全体から正の整数の全体への 1 対 1 の対応(全単射)である。
大学の集合論では、正の整数全体と 1 対 1 に対応する集合を 可算集合(可算無限集合)という(可算集合)。上の $N$ は、正の整数の組の全体が可算集合であることを示している。縦にも横にも限りなく続く表(図 3)が、正の整数の 1 列と「同じ個数」の要素しかもたないということである。
正の有理数はどれも $\dfrac pq$($p$、$q$ は正の整数)と書けるので、図 3 の列のどこかに現れる。ただし $\dfrac11=\dfrac22=\dfrac33$ のように、同じ数が何度も現れる(ex-grp-rational (3))。そこで、列を前から見ていき、すでに現れた数と等しい分数を飛ばす。残った列 $1,\dfrac12,2,\dfrac13,3,\dfrac14,\dfrac23,\dfrac32,4,\ldots$ には、どの正の有理数もちょうど 1 回ずつ現れる。この列の何番目かを数えることで、正の有理数全体と正の整数全体が 1 対 1 に対応する。
これに対し、実数全体は可算集合ではない(どのように 1 列に並べても、並ばない実数が残る)。証明は Cantorの対角線論法 にあり、この記事では証明しない。
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