曲線束(fibration in curves)とは、1 次元の Dedekind スキーム $S$ 上の固有かつ平坦な射 $\pi\colon X\to S$ であって、$X$ が 2 次元の整スキームで $\pi_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_S$ となるもので、生成ファイバーは $S$ の関数体上の曲線、閉ファイバーはその還元である。$X$ が正則なら、閉ファイバー $X_s=\sum_id_i\Gamma_i$ の既約成分の交叉行列は負半定値で、2 次形式の零点はファイバーの実数倍に限る(Zariski の補題)。$\mathbb{Z}$ 上の数論的曲面と、体上の曲線を底とする曲面のファイバー空間の両方を含み、曲線の還元、極小正則モデル、重複ファイバーの研究の基礎になる。
代数体 $K$ 上の曲線 $C$、たとえば $\mathbb{Q}$ 上の楕円曲線を素数 $p$ で還元して調べるには、$C$ を $\mathbb{Z}$ 上のスキームに延ばし、各素数 $p$ の上のファイバーを見ればよい。こうして得られる、Dedekind 環(あるいは体上の曲線)の上で各ファイバーが曲線になる 2 次元のスキームが曲線束である。底が体上の曲線なら代数曲面の曲線へのファイバー空間であり、底が $\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ なら曲線の整数上のモデルである。両者は同じ枠組みで扱え、$X$ が正則なものは数論的曲面ともよばれる。生成ファイバーは元の曲線 $C$ で、閉ファイバーは $C$ の還元である。還元は滑らかとは限らず、閉ファイバーは重複度をもつ既約成分の和に分かれることがある。
この記事では曲線束を定義し、ファイバーの既約成分どうしの交叉数を調べる。主定理は、一つの閉ファイバーの成分が張る空間の上で交叉形式が負半定値であり、その零点がファイバー自身の実数倍に限るという定理(Zariski の補題とよばれる)である。例として $\mathbb{Z}$ 上の円錐曲線の族の交叉行列を計算し、仮定を外した反例を挙げる。
なお、射影平面の曲線の 1 次元の線形系も「曲線の束」(pencil)とよばれ、高校数学の 2曲線の交点を通る図形(束) の「束」はこの意味である。pencil は一般に基点をもち、それだけでは射を定めない。この記事の曲線束は射 $X\to S$ のことで、別の概念である。
$S$ を 1 次元の Dedekind スキーム、すなわち連結な 1 次元の正則 Noether スキームとする(Liu06 p. 128。Dedekind 整域のスペクトルや、体上の滑らかな連結曲線がその例である)。$S$ の生成点を $\eta$、関数体を $K=K(S)$、閉点 $s$ の剰余体を $k(s)$ と書く。$\mathcal{O}_{S,s}$ は離散付値環である。
ファイバーの形について、次の事実を使う。
$\pi\colon X\to S$ を正則な曲線束とする。
1 は Liu06 Lemma 8.3.3(p. 348)と Corollary 8.3.6(p. 350)、2 は Proposition 8.3.4(p. 349)、3 は Proposition 8.3.11(p. 352)、4 は Proposition 7.2.16(p. 271)と Lemma 8.3.9(pp. 351–352)による。この記事では証明しない。
この節では、$\pi\colon X\to S$ を($\pi_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_S$ は仮定しない)数論的曲面、すなわち $X$ が正則な 2 次元整スキームで $\pi$ が射影的かつ平坦なものとし、$s$ を閉点、$\Gamma_1,\dots,\Gamma_r$ を $X_s$ の既約成分、$d_i$ をその重複度とする。$X_s$ に台をもつ Cartier 因子のなす群を $\operatorname{Div}_s(X)$ と書くと、これは $\Gamma_1,\dots,\Gamma_r$ を基底とする自由アーベル群である。
正則な 2 次元スキームの閉点 $x$ と、共通成分をもたない有効 Cartier 因子 $D,E$($x$ での局所方程式 $f,g$)について、$x$ での局所交叉数を
$$
i_x(D,E):=\operatorname{length}_{\mathcal{O}_{X,x}}\mathcal{O}_{X,x}/(f,g)
$$
と定める。これは有限で、$x\notin D\cap E$ なら $f$ か $g$ が単元なので $0$、$x\in D\cap E$ なら $(f,g)\subset\mathfrak{m}_x$ なので $1$ 以上である(Liu06 Definition 9.1.1、p. 376)。
双線形写像 $\operatorname{Div}(X)\times\operatorname{Div}_s(X)\to\mathbb{Z}$、$(D,E)\mapsto D\cdot E$ で、次を満たすものがただ一つある。
これは Liu06 Theorem 9.1.12(pp. 381–382)である。この記事では証明しない。4 の次数は、$k(s)$ 上の射影曲線 $E$ の可逆層 $\mathcal{L}$ について $\deg\mathcal{L}=\chi(\mathcal{L})-\chi(\mathcal{O}_E)$ で定め(同 Definition 7.3.29、p. 282)、とくに $\deg\mathcal{O}_E=0$ である。$E^2:=E\cdot E$ を $E$ の自己交叉数という。
1:$\mathcal{O}_{S,s}$ の素元 $t\in K^\times$ をとる。$S$ 上の主因子 $\operatorname{div}(t)$ は $s$ と有限個のほかの閉点 $s_1,\dots,s_m$ の 1 次結合なので、$V:=S\setminus\{s_1,\dots,s_m\}$ とおくと、$t\in\mathcal{O}_S(V)$ で $V$ の上 $\operatorname{div}(t)=s$ である。$X_V:=\pi^{-1}(V)$ の上で Cartier 因子 $X_s$ は $\operatorname{div}(\pi^*t)$ に等しく、$\mathcal{O}_X(X_s)|_{X_V}$ は $1/\pi^*t$ で生成される自明な可逆層である。各成分 $\Gamma_i$ は $X_s\subset X_V$ に含まれるので $\mathcal{O}_X(X_s)|_{\Gamma_i}\cong\mathcal{O}_{\Gamma_i}$ であり、thm-fibration-in-curves-intersection の 4 により $X_s\cdot\Gamma_i=\deg\mathcal{O}_{\Gamma_i}=0$ である。$E=\sum_in_i\Gamma_i$ について、第 2 変数の線形性から $X_s\cdot E=0$、対称性(2)から $E\cdot X_s=0$ を得る。
2:$\Gamma_i$ と $\Gamma_j$ は相異なる素因子なので共通成分をもたず、thm-fibration-in-curves-intersection の 1 により $\Gamma_i\cdot\Gamma_j=\sum_xi_x(\Gamma_i,\Gamma_j)[k(x):k(s)]$ である。各項は $0$ 以上なので和も $0$ 以上である。$\Gamma_i\cap\Gamma_j$ は既約な曲線 $\Gamma_i$ の真の閉集合なので有限個の閉点からなり、それが空でなければその点 $x$ で $i_x\ge1$ となって和は正、空ならすべての項が $0$ である。
3:1 により $0=X_s\cdot\Gamma_i=\sum_jd_j\,\Gamma_j\cdot\Gamma_i=d_i\Gamma_i^2+\sum_{j\ne i}d_j\,\Gamma_j\cdot\Gamma_i$。$\square$
1 と 3 は Liu06 Proposition 9.1.21(p. 384)と同じ主張である。3 から、ファイバーが既約でなく $\Gamma_i$ がほかの成分と交わるなら $\Gamma_i^2< 0$ であることが分かる。
$V_s:=\operatorname{Div}_s(X)\otimes_{\mathbb{Z}}\mathbb{R}=\bigoplus_i\mathbb{R}\Gamma_i$ とおき、交叉数を実数係数に双線形に延ばす。$q(v):=v\cdot v$ は $V_s$ 上の2次形式で、その行列は交叉行列 $(\Gamma_i\cdot\Gamma_j)_{i,j}$ である。
$\pi\colon X\to S$ を数論的曲面、$s$ を閉点とする。
$a_{ij}:=\Gamma_i\cdot\Gamma_j$ とおく。対称性により $a_{ij}=a_{ji}$ である。$v=\sum_ix_i\Gamma_i\in V_s$ について $y_i:=x_i/d_i$ とおき、$b_{ij}:=d_id_ja_{ij}$ とすると
$$
q(v)=\sum_{i,j}a_{ij}x_ix_j=\sum_{i,j}b_{ij}\,y_iy_j
$$
である。$b_{ij}=b_{ji}$ であり、lem-fibration-in-curves-fiber の 1 により各 $i$ で
$$
\sum_jb_{ij}=d_i\sum_jd_j\,\Gamma_i\cdot\Gamma_j=d_i\,(\Gamma_i\cdot X_s)=0
$$
である。そこで
$$
\sum_{i,j}b_{ij}(y_i-y_j)^2=\sum_i\Bigl(\sum_jb_{ij}\Bigr)y_i^2+\sum_j\Bigl(\sum_ib_{ij}\Bigr)y_j^2-2\sum_{i,j}b_{ij}y_iy_j=-2\,q(v)
$$
となり、$i=j$ の項は $0$ なので
$$
q(v)=-\sum_{i< j}b_{ij}\,(y_i-y_j)^2
$$
を得る。
1:$i\ne j$ なら $b_{ij}=d_id_j\,\Gamma_i\cdot\Gamma_j\ge0$(lem-fibration-in-curves-fiber の 2)なので、右辺の各項は $0$ 以下であり、$q(v)\le0$ である。
2:$q(v)=0$ とすると、$b_{ij}>0$ となるすべての $i< j$ で $y_i=y_j$ である。$b_{ij}>0$ は $\Gamma_i\cap\Gamma_j\neq\emptyset$ と同値である(同補題の 2)。成分を頂点とし、交わる成分を辺で結んだグラフを考える。このグラフが連結でなければ、頂点を空でない 2 組に分けて、組をまたぐ成分が交わらないようにでき、それぞれの組の成分の和集合は $X_s$ を互いに交わらない空でない 2 つの閉集合に分けるので、$X_s$ は連結でない。よって $X_s$ が連結ならグラフは連結で、辺に沿って $y_i$ が等しいことからすべての $y_i$ は等しい。その共通の値を $\lambda$ とすると $x_i=\lambda d_i$、すなわち $v=\lambda X_s$ である。逆に $v=\lambda X_s$ なら同補題の 1 により $q(v)=\lambda^2X_s\cdot X_s=0$ である。根基 $\{v\mid v\cdot w=0\ (\forall w)\}$ は $q$ の零点に含まれるので $\mathbb{R}X_s$ に含まれ、同補題の 1 により $X_s$ は根基に入る。正則な曲線束の場合は、rem-fibration-in-curves-conventions の 3 により $X_s$ は連結である。
3:$r\ge2$ なら、$\Gamma_i$ は $\mathbb{R}X_s$ に入らない($X_s$ はすべての $\Gamma_j$ を正の係数で含む)ので、2 により $\Gamma_i^2=q(\Gamma_i)< 0$ である。$r=1$ なら $X_s=d_1\Gamma_1$ なので $\Gamma_1^2=d_1^{-2}\,X_s\cdot X_s=0$ である。$\square$
これは Liu06 Theorem 9.1.23(p. 385)であり、体上の曲面のファイバー空間の場合は 交叉理論 の記事の定理「交叉形式の符号」の 2 として引用されている。証明の要点は、$X_s\cdot\Gamma_i=0$ という $n$ 個の 1 次関係と、異なる成分の交叉数が非負であることだけから、2 次形式が平方和の符号を変えたものになることである。
$X_s$ が連結であるとし、$m:=\gcd(d_1,\dots,d_r)$ とおく。$D\in\operatorname{Div}_s(X)$ について次が成り立つ。
1:すべての $i$ で $D\cdot\Gamma_i=0$ なら、双線形性によりすべての $w\in V_s$ で $D\cdot w=0$、とくに $q(D)=0$ なので、thm-fibration-in-curves-zariski の 2 により $D=\lambda X_s$($\lambda\in\mathbb{R}$)である。$D=\sum_in_i\Gamma_i$($n_i\in\mathbb{Z}$)と係数を比べて $\lambda=n_1/d_1\in\mathbb{Q}$。逆は lem-fibration-in-curves-fiber の 1 による。2:$\lambda m=p/q$($p,q$ は互いに素な整数、$q>0$)と書くと、$n_i=\lambda d_i=(p/q)(d_i/m)$ が整数なので $q$ はすべての $d_i/m$ を割り、$\gcd_i(d_i/m)=1$ から $q=1$ である。よって $D=p\,(X_s/m)$。$\square$
$m\ge2$ のとき $X_s$ は重複ファイバーであり(重複ファイバー)、$X_s/m$ はファイバーの「$1/m$」に当たる因子である。
$X=\mathbb{P}^1_S\to S$ は正則な曲線束である。$S$ が正則で $\mathbb{P}^1_S\to S$ が滑らかなので $X$ は正則であり、アフィン開集合 $\operatorname{Spec}A\subset S$ の上で $H^0(\mathbb{P}^1_A,\mathcal{O})=A$(Har77 III 定理 5.1、p. 225)なので $\pi_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_S$ である。閉ファイバーは既約な $\mathbb{P}^1_{k(s)}$ で重複度は $1$ なので、thm-fibration-in-curves-zariski の 3 により自己交叉数は $0$ である。
$n\ge2$ を平方因子をもたない整数とし、
$$
X=\operatorname{Proj}\mathbb{Z}[x,y,z]/(xy-nz^2)\longrightarrow S=\operatorname{Spec}\mathbb{Z}
$$
とする。$X$ は正則な曲線束で、生成ファイバーは有理点 $(1:0:0)$ をもつ $\mathbb{Q}$ 上の非特異な円錐曲線である。
曲線束であること。$f=xy-nz^2$ は $\mathbb{Z}[y,z]$ 上の $x$ の 1 次式で、係数 $y$ と $nz^2$ は互いに素なので既約、したがって素元であり、$A=\mathbb{Z}[x,y,z]/(f)$ は 3 次元の整域、$X=\operatorname{Proj}A$ は 2 次元の整スキームである。$A$ は $\mathbb{Z}$ 上捩れをもたないので $X\to S$ は平坦で、射影的である。生成ファイバー $xy=nz^2$ は $\overline{\mathbb{Q}}$ 上でも既約なので幾何的に整であり、rem-fibration-in-curves-conventions の 3 により $\pi_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_S$ である。
正則性。$D_+(x)\cong\operatorname{Spec}\mathbb{Z}[y,z]/(y-nz^2)\cong\operatorname{Spec}\mathbb{Z}[z]$ と $D_+(y)$ は正則である。$D_+(z)=\operatorname{Spec}\mathbb{Z}[x,y]/(xy-n)$ のうち $x$ が単元になる部分は $\operatorname{Spec}\mathbb{Z}[x,x^{-1}]$ と同型で正則、$y$ についても同様である。残る点は素イデアル $\mathfrak{P}\ni x,y$ で、$n=xy\in\mathfrak{P}$ から $\mathfrak{P}\cap\mathbb{Z}=p\mathbb{Z}$($p\mid n$)、よって $\mathfrak{P}=M:=(p,x,y)$ である。3 次元の正則局所環 $R=\mathbb{Z}[x,y]_M$ で $n=pm$($m$ は $p$ と素なので $R$ の単元)であり、$p\notin M^2$ なので $n\notin M^2$、$xy\in M^2$ から $f=xy-n\notin M^2$ となり、$R/(f)$ は正則である。
ファイバー。$X_p=\operatorname{Proj}\mathbb{F}_p[x,y,z]/(xy-\bar nz^2)$。$p\nmid n$ なら、偏微分 $(y,x,-2\bar nz)$ と方程式が同時に消える点はない($x=y=0$ なら $\bar nz^2=0$ から $z=0$)ので非特異である。$p\mid n$ なら $X_p=\operatorname{Proj}\mathbb{F}_p[x,y,z]/(xy)$ は被約なので重複度は $1$ である。
交叉数。$\mathcal{O}_{X,P}=R/(f)$ で $p=xy/m\in(x)$ なので、$\Gamma_1=V(p,x)$ のイデアルは $P$ で $x$ が生成し、同様に $\Gamma_2$ のイデアルは $y$ が生成する。$i_P(\Gamma_1,\Gamma_2)=\operatorname{length}\mathcal{O}_{X,P}/(x,y)=\operatorname{length}(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})_{(p)}=\operatorname{length}\mathbb{F}_p=1$、$k(P)=\mathbb{F}_p$ なので $\Gamma_1\cdot\Gamma_2=1$。lem-fibration-in-curves-fiber の 3 から $\Gamma_1^2=-\Gamma_2\cdot\Gamma_1=-1$、$\Gamma_2^2=-1$。
Liu06 Example 9.1.22(pp. 384–385)は、2 成分が 1 点で交叉数 $3$ で交わり、自己交叉数がどちらも $-3$ になる数論的曲面を与えている。交わる点が 1 つでも、局所交叉数は 1 より大きくなりうる。
thm-fibration-in-curves-zariski の仮定を 1 つずつ外す。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| ファイバーの連結性($\pi_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_S$) | $X=\mathbb{P}^1_{\mathbb{Z}[i]}\to\operatorname{Spec}\mathbb{Z}[i]\to\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ の $p=5$ の上のファイバー | 零点が $\mathbb{R}X_s$ に限ること(2) |
| 因子の台が 1 つのファイバーに含まれること | $k$ を代数閉体、$X=\mathbb{P}^1_k\times\mathbb{P}^1_k\xrightarrow{\mathrm{pr}_1}S=\mathbb{P}^1_k$、$D=H+F$($H=\mathbb{P}^1_k\times\{\infty\}$、$F=\{0\}\times\mathbb{P}^1_k$) | 負半定値性(1) |
1 行目。 $X$ は正則な 2 次元整スキームで、$\operatorname{Spec}\mathbb{Z}[i]\to\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ が有限平坦なので $X\to\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ は射影的かつ平坦であり、数論的曲面である。しかし $\pi_*\mathcal{O}_X=\mathbb{Z}[i]$ で、$\mathcal{O}_S$ と一致しない(ex-fibration-in-curves-p1 と同じ計算)。$-1\equiv4=2^2\pmod5$ なので $\mathbb{Z}[i]/(5)\cong\mathbb{F}_5\times\mathbb{F}_5$ であり、$X_5=\mathbb{P}^1_{\mathbb{F}_5}\sqcup\mathbb{P}^1_{\mathbb{F}_5}$ は交わらない 2 成分 $\Gamma_1,\Gamma_2$(重複度 $1$)からなる。lem-fibration-in-curves-fiber の 2 と 3 から $\Gamma_1\cdot\Gamma_2=0$、$\Gamma_1^2=\Gamma_2^2=0$ で、$q$ は恒等的に $0$ である。$q$ の零点は $V_5=\mathbb{R}^2$ 全体で、$\mathbb{R}X_5$ より大きい。負半定値性(1)は成り立っている。
2 行目。 $\mathrm{pr}_1$ は正則な曲線束である。射影曲面 $X$ 上の交叉理論(交叉理論、Har77 V 定理 1.1、p. 357)で、$H$ は交わらない $H'=\mathbb{P}^1_k\times\{0\}$ と線形同値なので $H^2=H\cdot H'=0$、同様に $F^2=0$、$H$ と $F$ は 1 つの $k$ 有理点で横断的に交わるので $H\cdot F=1$ である。よって $D^2=H^2+2H\cdot F+F^2=2>0$ となる。$D$ は水平な成分 $H$ を含み、$\operatorname{Div}_s(X)$ に入らない。
$C$ を $K$ 上の正規な連結射影曲線とする。正規なファイバー曲面 $\mathcal{C}\to S$ と同型 $\mathcal{C}_\eta\cong C$ の組を $C$ の $S$ 上のモデルといい、$\mathcal{C}$ が正則なら正則モデルという(Liu06 Definition 10.1.1、p. 455)。$S$ がアフィンで $C$ が滑らかなら正則モデルが存在し(同 Proposition 10.1.8、p. 456。特異点解消 Liu06 Corollary 8.3.51 による)、種数が $1$ 以上なら極小正則モデルが一意に存在する(同 Theorem 9.3.21、p. 422。Lichtenbaum と Shafarevich による)。どれもこの記事では証明しない。極小正則モデルの閉ファイバーの成分の配置は、thm-fibration-in-curves-zariski のような交叉数の制約を使って分類される。楕円曲線の場合は Néronモデル と結びつく。
有限体上の曲線 $Y$ の上の曲線束 $X\to Y$ の Brauer 群は、生成ファイバーのヤコビアンの Tate–Shafarevich 群と比較される(Tate–Shafarevich群 の定理「曲線束の Brauer 群と Tate–Shafarevich 群」)。その比較の誤差には、各閉ファイバーの成分の重複度が局所的な項として現れる(重複ファイバー)。
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