正則空間(regular space)とは、任意の閉集合 $F$ と $F$ に属さない点 $x$ を、交わらない開集合で分けられる位相空間である。これは各点の閉近傍が基本近傍系をなすことと同値で、近傍を閉包ごと一回り小さく取り直せることを保証する。$T_1$ 性を加えたものを $T_3$ 空間といい、Hausdorff 空間になる。距離空間・局所コンパクト Hausdorff 空間・位相群は正則で、正則性は部分空間と任意個の直積で保たれる。正則な Lindelöf 空間では交わらない 2 つの閉集合も開集合で分けられるが、一般には Hausdorff でも正則とは限らず、正則でも正規とは限らない。
前提知識: 位相空間, 閉集合, Hausdorff空間, 分離公理
Hausdorff空間では、異なる 2 点を交わらない開集合で分けられる。正則空間は、分ける相手を 1 点から閉集合に広げた条件、すなわち「点と、その点を含まない閉集合を、交わらない開集合で分けられる」ことを要求する空間である。この条件は、各点のまわりで「閉包まで含めて小さい近傍」がとれること(閉近傍が基本近傍系をなすこと)と同値であり、近傍を一回り小さく取り直す操作を可能にする。そのため正則性は、Lindelöf 性と合わせて正規性を導く、パラコンパクト性と合わせて 1 の分割の議論を支える、など、位相空間論の多くの議論で仮定として現れる。距離空間、局所コンパクト Hausdorff 空間、位相群はどれも正則である。一方で、Hausdorff 空間でも正則とは限らず、正則でも正規とは限らない。
左から、Hausdorff 性は 2 点を、正則性は 1 点とそれを含まない閉集合を、正規性は交わらない 2 つの閉集合を、それぞれ交わらない開集合(破線)で分ける
位相空間 $X$ が正則空間(regular space)であるとは、$X$ の任意の閉集合 $F$ と任意の点 $x\in X\setminus F$ に対し、
$$
x\in U,\qquad F\subset V,\qquad U\cap V=\emptyset
$$
を満たす開集合 $U,V$ が存在することをいう。この条件を正則性条件という。正則空間であって $T_1$ 空間(1 点集合が閉集合である空間)でもあるものを $T_3$ 空間という。
この記事の「正則空間」は正則性条件だけを課し、$T_1$ 性を含めない。これは 分離公理 の定義「正則性条件と $T_3$」と注意「分離条件に $T_1$ は含まれない」の約束に合わせたもので、Mor24 Exercises 4.1 の 17 も同じ約束(regular space と、それに $T_1$ を加えた $T_3$-space)をとる。文献によっては、$T_1$ 性(あるいは Hausdorff 性)を含めたものを「正則空間」と呼び、$T_3$ 空間と同じ意味で使う。定理を引くときは、仮定の「正則」に $T_1$ が含まれているかを確かめる必要がある。$T_1$ を含めない流儀では、たとえば 2 点以上の密着位相の空間も正則空間になる(ex-regular-space-indiscrete)。
正則性条件で $F=\emptyset$ のときは $U=X$、$V=\emptyset$ とすればよいので、条件が意味をもつのは $F\ne\emptyset$ のときである。$T_1$ 空間では 1 点集合 $\{y\}$ が閉集合なので、正則性条件を $F=\{y\}$ に当てはめると異なる 2 点が交わらない開集合で分けられる。つまり $T_3$ 空間は Hausdorff 空間である(分離公理 の定理「$T_4$ から $T_0$ までの含意」)。$T_1$ より弱い $T_0$(異なる 2 点の一方だけを含む開集合がある)を仮定しても、正則空間なら $T_3$ になる(分離公理 の命題「正則性条件に $T_0$ を加えた場合」)。
正則性条件は、開集合と閉包の言葉で次のように言い換えられる(分離公理 の命題「正則性と閉近傍」)。
位相空間 $X$ について、次は同値である。
(R1) $X$ は正則空間である。
(R2) $X$ の任意の閉集合 $F$ は、$F$ を含む開集合 $V$ の閉包 $\overline{V}$ 全体の共通部分に等しい:
$$
F=\bigcap\{\overline{V}\mid V\text{ は開集合で }F\subset V\}.
$$
右辺を $\widetilde F$ とおく。$F\subset V\subset\overline{V}$ なので、いつでも $F\subset\widetilde F$ である。
(i) ⇒ (ii):$x\notin F$ とする。正則性により、開集合 $U\ni x$、$V\supset F$ で $U\cap V=\emptyset$ となるものがある。$V\subset X\setminus U$ で $X\setminus U$ は閉集合だから $\overline{V}\subset X\setminus U$ であり、$x\notin\overline{V}$ である。よって $x\notin\widetilde F$ で、$\widetilde F\subset F$ である。
(ii) ⇒ (i):閉集合 $F$ と $x\notin F$ をとる。$x\notin\widetilde F$ なので、$F\subset V$ となる開集合 $V$ で $x\notin\overline{V}$ となるものがある。$U:=X\setminus\overline{V}$ は $x$ を含む開集合で、$U\cap V=\emptyset$ である。$\square$
距離空間 $(X,d)$ は、距離の定める位相について $T_3$ 空間である。
1 点集合は閉集合なので $T_1$ である($y\ne x$ なら $x$ を中心とする半径 $d(x,y)$ の開球は $y$ を含まない)。閉集合 $F\ne\emptyset$ と $x\notin F$ をとり、$d(y,F):=\inf_{z\in F}d(y,z)$ とおく。
$r:=d(x,F)>0$ である。実際 $r=0$ なら、$x$ を中心とするどの開球も $F$ と交わり、$x$ は $F$ の閉包に属するので $x\in F$ となって矛盾する。
$z\in F$ について $d(x,z)\le d(x,y)+d(y,z)$ なので、$z$ について下限をとると $d(x,F)\le d(x,y)+d(y,F)$ である。同様に $d(y,F)\le d(y,y')+d(y',F)$ なので $\lvert d(y,F)-d(y',F)\rvert\le d(y,y')$ であり、$y\mapsto d(y,F)$ は連続である。
$U:=\{y\mid d(x,y)< r/2\}$、$V:=\{y\mid d(y,F)< r/2\}$ とおく。$U$ は開球、$V$ は連続関数による開区間の逆像なので開集合で、$x\in U$、$F\subset V$ である。$y\in U\cap V$ があれば $r=d(x,F)\le d(x,y)+d(y,F)< r/2+r/2=r$ となって矛盾する。よって $U\cap V=\emptyset$ である。$\square$
分離公理 の系「距離空間は $T_4$ である」は、2 つの閉集合を分けるさらに強い主張で、そこから $T_3$ も従う。上の証明は、点と閉集合の距離だけで分けられることを直接見たものである。$\mathbb{R}^n$ とその部分集合、$\mathbb{Q}$、$\mathbb{Z}$ はどれも $T_3$ 空間である。
離散空間はすべての部分集合が開集合なので、$U=\{x\}$、$V=F$ として正則であり、$T_1$ でもあるので $T_3$ 空間である。
2 点以上の集合 $X$ に密着位相(開集合は $\emptyset$ と $X$ だけ)を入れた空間も正則空間である。閉集合も $\emptyset$ と $X$ だけなので、点を含まない閉集合は $F=\emptyset$ に限られ、$U=X$、$V=\emptyset$ で分けられるからである。しかしこの空間は異なる 2 点を区別する開集合をもたないので、$T_0$ でも Hausdorff でもない(分離公理 の注意「分離条件に $T_1$ は含まれない」)。$T_1$ を含めない流儀では、正則空間であっても Hausdorff とは限らない。
| 分けるもの | $T_1$ を含む名前 | 例 | |
|---|---|---|---|
| Hausdorff空間 | 異なる 2 点 | (もともと $T_1$) | 距離空間、$\mathbb{R}_K$ |
| 正則空間 | 点とそれを含まない閉集合 | $T_3$ 空間 | 距離空間、位相群、Niemytzki 平面 |
| Tychonoff空間 | 点と閉集合を連続関数で | $T_{3.5}$ 空間 | 局所コンパクト Hausdorff 空間 |
| 正規空間 | 交わらない 2 つの閉集合 | $T_4$ 空間 | 距離空間、コンパクト Hausdorff 空間 |
$T_1$ を仮定すると、下の行ほど強い条件になる:$T_4\Rightarrow T_{3.5}\Rightarrow T_3\Rightarrow T_2$。$T_4\Rightarrow T_{3.5}$ は Urysohn の補題(正規空間 の定理「Urysohn の補題の言明」)による。$T_3\Rightarrow T_2$ は 分離公理 の定理「$T_4$ から $T_0$ までの含意」、$T_{3.5}\Rightarrow T_3$ は、点 $x$ と閉集合 $F$ を分ける連続関数 $f\colon X\to[0,1]$($f(x)=0$、$F$ の上で $1$)に対して $f^{-1}([0,1/2))$ と $f^{-1}((1/2,1])$ が $x$ と $F$ を分けることから分かる。逆向きの含意はどれも成り立たない(下の「反例」の節)。
正則空間 $X$ の任意の部分集合 $Y$ は、相対位相($X$ の開集合と $Y$ の共通部分を開集合とする位相)について正則空間である。$X$ が $T_3$ 空間なら $Y$ も $T_3$ 空間である。
$Y$ の閉集合 $F'$ と点 $y\in Y\setminus F'$ をとる。$Y$ の閉集合は $X$ の閉集合と $Y$ の共通部分なので、$F'=F\cap Y$ となる $X$ の閉集合 $F$ がとれる。ここで $F$ として $F'$ の $X$ での閉包 $\overline{F'}$ をとれば、$\overline{F'}\cap Y=F'$ である($F'=F\cap Y$ と $F'\subset\overline{F'}\subset F$ から $F'\subset\overline{F'}\cap Y\subset F\cap Y=F'$)。$y\in Y$ で $y\notin F'$ なので $y\notin\overline{F'}$ である。
$X$ の正則性を点 $y$ と閉集合 $\overline{F'}$ に当てはめて、$X$ の開集合 $U\ni y$、$V\supset\overline{F'}$ で $U\cap V=\emptyset$ となるものをとる。$U\cap Y$、$V\cap Y$ は $Y$ の開集合で、$y\in U\cap Y$、$F'\subset V\cap Y$、$(U\cap Y)\cap(V\cap Y)=\emptyset$ である。
$T_1$ 性については、$y\in Y$ に対し $\{y\}=\{y\}\cap Y$ は $X$ の閉集合と $Y$ の共通部分なので $Y$ の閉集合である。$\square$
正則空間の族 $(X_i)_{i\in I}$ の直積 $X=\prod_{i\in I}X_i$ は、直積位相について正則空間である。各 $X_i$ が $T_3$ 空間なら $X$ も $T_3$ 空間である。
閉近傍による言い換え(分離公理 の命題「正則性と閉近傍」)を使う。$X$ の開集合 $O$ と点 $x=(x_i)_i\in O$ をとる。直積位相の開基の元で $x$ を含み $O$ に含まれるもの
$$
B=\prod_{i\in I}B_i,\qquad B_i\text{ は }X_i\text{ の開集合で、有限個の }i\in J\text{ を除いて }B_i=X_i
$$
がある(直積位相 の命題「直積位相の開基」)。各 $i\in J$ について、$X_i$ の正則性から開集合 $W_i$ で $x_i\in W_i\subset\overline{W_i}\subset B_i$ となるものをとる(選ぶのは有限個なので選択公理は要らない)。$i\notin J$ では $W_i:=X_i$ とする。
$W:=\prod_iW_i$ は $x$ を含む直積位相の開集合である。$C:=\prod_i\overline{W_i}=\bigcap_{i\in J}p_i^{-1}(\overline{W_i})$($p_i$ は射影)は、連続写像による閉集合の逆像の有限個の共通部分なので閉集合であり、$W\subset C$ である。よって
$$
\overline{W}\subset C=\prod_i\overline{W_i}\subset\prod_iB_i=B\subset O
$$
となり、$x\in W\subset\overline{W}\subset O$ が得られた。したがって $X$ は正則空間である。
各 $X_i$ が $T_1$ なら、1 点 $\{x\}=\bigcap_ip_i^{-1}(\{x_i\})$ は閉集合の共通部分で閉集合なので、$X$ は $T_1$ である。$\square$
非交和についても同じことが言える。正則空間の族 $(X_i)_{i\in I}$ の非交和 $\bigsqcup_iX_i$ は正則空間である。実際、点 $(i,x)$ の開近傍 $O$ に対し、$\iota_i^{-1}(O)$ は $X_i$ における $x$ の開近傍なので、$x\in W\subset\overline{W}\subset\iota_i^{-1}(O)$ となる開集合 $W$ がとれる。$\{i\}\times X_i$ は非交和の中で開かつ閉なので(非交和 の定理「直和位相の性質」)、$\{i\}\times W$ は開集合で、その閉包は $\{i\}\times\overline{W}\subset O$ である。
局所コンパクト空間(Hausdorff であって、各点がコンパクト近傍をもつ空間)は $T_3$ 空間である。とくにコンパクト Hausdorff 空間は $T_3$ 空間である。
$X$ を局所コンパクト空間とし、閉集合 $F$ と $x\notin F$ をとる。$x$ のコンパクト近傍 $K$($x\in\operatorname{Int}K$ となるコンパクト集合)をとる。
$K\cap F$ はコンパクト集合 $K$ の閉部分集合なのでコンパクトであり(コンパクト空間 の命題「保存と閉性」の 1)、$x\notin K\cap F$ である。Hausdorff 空間では点とそれを含まないコンパクト集合を交わらない開集合で分けられる(正規空間 の補題「点とコンパクト集合の分離」)ので、開集合 $U\ni x$、$V\supset K\cap F$ で $U\cap V=\emptyset$ となるものがある。
$K$ は Hausdorff 空間のコンパクト部分集合なので閉集合である(コンパクト空間 の命題「保存と閉性」の 3)。そこで
$$
U':=U\cap\operatorname{Int}K,\qquad V':=V\cup(X\setminus K)
$$
とおくと、どちらも開集合で $x\in U'$ である。$F$ の点は $K$ に属せば $V$ に、属さなければ $X\setminus K$ に入るので $F\subset V'$ である。$U'\cap V\subset U\cap V=\emptyset$、$U'\cap(X\setminus K)\subset K\cap(X\setminus K)=\emptyset$ なので $U'\cap V'=\emptyset$ である。Hausdorff 空間は $T_1$ なので、$X$ は $T_3$ 空間である。コンパクト Hausdorff 空間は $K=X$ として局所コンパクトである。$\square$
局所コンパクト空間 の定理「局所コンパクト空間は Tychonoff 空間」は、点と閉集合を連続関数で分けられるというさらに強い主張を示している。コンパクト Hausdorff 空間については、正規空間 の定理「コンパクト Hausdorff 空間は正規」がさらに強く 2 つの閉集合を分ける。上の証明は、正則性にはコンパクト近傍 1 つと「点とコンパクト集合の分離」で足りることを見たものである。
正則な Lindelöf空間(任意の開被覆が高々可算な部分被覆をもつ空間)は、交わらない 2 つの閉集合を交わらない開集合で分けられる。とくに Lindelöf な $T_3$ 空間は $T_4$ 空間である。
証明は Lindelöf空間 の命題「正則なLindelöf空間の分離」にある。要点:交わらない閉集合 $C,D$ について、正則性(閉近傍による言い換え)により $C$ の各点に閉包が $D$ と交わらない開近傍がとれ、Lindelöf 性でそのうち可算個 $V_1,V_2,\dots$ で $C$ を覆える。同様に $D$ を $\overline{W_n}\cap C=\emptyset$ となる $W_1,W_2,\dots$ で覆い、$V_n':=V_n\setminus\bigcup_{k\le n}\overline{W_k}$、$W_n':=W_n\setminus\bigcup_{k\le n}\overline{V_k}$ とすると、$\bigcup_nV_n'$ と $\bigcup_nW_n'$ が $C$ と $D$ を分ける。正則性は「閉包が相手と交わらない近傍」をとる所で使われる。
同じ形の結果として、パラコンパクトな正則空間は正規性条件を満たす(パラコンパクト空間 の命題「正則性と正規性」の 2)。どちらも「正則性という点ごとの分離を、被覆の条件(可算性・局所有限性)で閉集合どうしの分離に広げる」形をしている。被覆の条件を外すと結論は成り立たない(ex-regular-space-niemytzki)。
正則性は完全写像(連続な閉写像でファイバーがコンパクトなもの)による像にも受け継がれる(完全写像 の定理「完全像への遺伝」の 2)。しかし、ファイバーのコンパクト性を外した閉写像や、一般の商写像では受け継がれない(ex-regular-space-quotient)。
正則性の前後にある含意のうち、成り立たないものを並べる。
| 破れる含意 | 反例 | 満たす性質 | 満たさない性質 |
|---|---|---|---|
| Hausdorff ⇒ 正則 | $\mathbb{R}_K$ | Hausdorff | 正則 |
| 正則 ⇒ Hausdorff | 2 点以上の密着空間 | 正則 | $T_0$、Hausdorff |
| 正則 ⇒ 正規(Lindelöf を外す) | Niemytzki 平面 | $T_3$(さらに $T_{3.5}$) | 正規、Lindelöf |
| $T_3$ ⇒ $T_{3.5}$ | Mysior の空間 | $T_3$ | 完全正則 |
| 閉写像による像は正則 | 正則だが正規でない空間の閉集合を 1 点につぶした商 | 閉な商写像の像 | 正則 |
$K:=\{1/n\mid n\ge1\}$ とし、$\mathbb{R}$ に、通常の開区間と、開区間から $K$ を除いた集合を開基とする位相を入れた空間を $\mathbb{R}_K$ とする(Mor24 Exercises 4.1 の 17 (v) は、閉集合を「通常の閉集合と $K$ の部分集合の和」とする同じ位相を与えている)。
満たす性質:通常の開区間はすべて開集合なので、$\mathbb{R}_K$ は通常の位相より細かく、Hausdorff である。満たさない性質:$K$ は閉集合($\mathbb{R}\setminus K$ は開区間から $K$ を除いた集合の和)で $0\notin K$ だが、$0$ と $K$ は交わらない開集合で分けられない。$0$ の開近傍は $(-\varepsilon,\varepsilon)\setminus K$ を含み、$K$ を含む開集合 $V$ は、$1/n<\varepsilon$ となる点 $1/n\in K$ のまわりの小さい開区間を含む。その開区間の中の無理数は両方に属するからである(詳しい証明は 分離公理 の例「$T_2$ から $T_3$ は従わない」)。破れる含意は「Hausdorff ⇒ 正則」である。
Niemytzki平面 $P$ は $T_3$ 空間であり(Niemytzki平面 の命題「Hausdorff 性と完全正則性」)、正規でない(同記事の定理「Niemytzki 平面は正規でない」)。また $P$ は Lindelöf でない(同記事の命題「可算性の条件」)。破れる含意は「正則 ⇒ 正規」であり、thm-regular-space-lindelof の Lindelöf 性の仮定は外せない。
正則だが正規でない別の例に、Sorgenfrey 直線の自分自身との直積(Sorgenfrey 平面)がある(正規空間 の注意「反例:正則だが正規でない空間と直積」)。Sorgenfrey 直線は正則かつ Lindelöf なので正規だが、その直積は正規でない。thm-regular-space-product により正則性は直積で保たれるが、正規性は保たれない。
$T_3$ 空間で完全正則でない($T_{3.5}$ でない)ものが存在する(Tychonoff空間 の注意「反例:正則だが完全正則でない空間」。Mysior の構成)。正則性は点と閉集合を開集合で分けるが、連続関数で分けられるとは限らない。
$X$ を正則だが正規性条件を満たさない空間とする(たとえば ex-regular-space-niemytzki の Niemytzki 平面)。交わらない閉集合 $A,B$ で、交わらない開集合では分けられないものをとる($A\ne\emptyset$)。$A$ を 1 点につぶした商空間(位相) $Y:=X/A$ と商写像 $q\colon X\to Y$ を考え、$a:=q(A)$ とおく。
$q$ は閉写像である:閉集合 $C$ について $q^{-1}(q(C))$ は、$C\cap A=\emptyset$ なら $C$、そうでなければ $C\cup A$ で、どちらも閉集合だから $q(C)$ は閉集合である。とくに $q(B)$ は閉集合で、$a\notin q(B)$ である。
$Y$ は正則でない:開集合 $U\ni a$、$V\supset q(B)$ で $U\cap V=\emptyset$ となるものがあれば、$q^{-1}(U)\supset A$、$q^{-1}(V)\supset B$ は交わらない開集合となり、$A,B$ の選び方に反する。破れる含意は「正則空間の、連続な閉写像による像は正則」である。ファイバー $q^{-1}(a)=A$ はコンパクトでなくてよいので、完全写像 の定理「完全像への遺伝」とは矛盾しない。
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