Newton多角形(Newton polygon)とは、付値 $v$ をもつ体上の多項式 $\sum a_ix^i$ について、点 $(i,v(a_i))$ の集まりを下から支える凸な折れ線のことである。分解体への付値の延長をとると、各辺の傾きの $-1$ 倍が根の付値で、辺の横の長さがその付値をもつ根の個数に等しい。延長が一通りの場合(たとえば完備な体の上)には多項式が傾きごとに係数の体の上で分解し、値群が $\mathbb{Z}$ の付値では線分 1 本で、傾きを既約分数で書いた分母が次数に等しければ既約であって、Eisenstein の判定法はその特別な場合である。$p$ 進の根の計算や Frobenius の固有値の付値に使われる。
$p$ 進数体 $\mathbb{Q}_p$ 上の多項式 $x^2-p$ の根 $\pm\sqrt p$ は、$p$ 進付値が $\frac12$ であるはずで、整数の付値しかもたない $\mathbb{Q}_p$ の元にはなりえない。このように、根の付値は係数の付値からかなりの程度読み取れる。その読み取りを図にしたものが Newton 多角形 である。各係数 $a_i$ について点 $(i,v(a_i))$ を平面に打ち、その点の集まりを下から支える折れ線を描くと、折れ線の各辺の傾きの $-1$ 倍が根の付値で、辺の横の長さがその付値をもつ根の個数になる(thm-np-main)。
この記事では、一般の実数値の付値をもつ体の上で Newton 多角形を定義して主定理を証明し、完備な体の上では多項式が傾きごとに分解すること(thm-np-factor)と、Eisenstein の判定法を含む既約性の判定法(cor-np-irreducible)を導く。例として、円分多項式の根の付値と、有限体上の楕円曲線の Frobenius の固有値の付値を計算する。
以下、$K$ を体、$v\colon K\to\mathbb{R}\cup\{\infty\}$ を $K$ の実数値の付値とする。すなわち $v(x)=\infty$ となるのは $x=0$ のときに限り、$v(xy)=v(x)+v(y)$、$v(x+y)\ge\min\{v(x),v(y)\}$ を満たす。$v(x)\ne v(y)$ なら $v(x+y)=\min\{v(x),v(y)\}$ である(付値 の記事の命題「和の付値」)。典型例は $\mathbb{Q}$ や $\mathbb{Q}_p$ の $p$ 進付値 $v_p$ である。
$f=a_0+a_1x+\dots+a_nx^n\in K[x]$($n\ge1$、$a_0a_n\ne0$)とし、$a_i\ne0$ である $i$ について点 $P_i:=(i,v(a_i))\in\mathbb{R}^2$ をとる。次の手順で添字 $0=i_0< i_1<\dots< i_s=n$ と実数 $\mu_1,\dots,\mu_s$ を定める。$i_{k-1}< n$ のとき、
$$
\mu_k:=\min_{j>i_{k-1},\ a_j\ne0}\frac{v(a_j)-v(a_{i_{k-1}})}{j-i_{k-1}}
$$
とし、この最小値をとる $j$ のうち最大のものを $i_k$ とする。$P_{i_0},P_{i_1},\dots,P_{i_s}$ を順に線分で結んだ折れ線を $f$ の($v$ に関する)Newton 多角形 といい、$N_f\colon[0,n]\to\mathbb{R}$ をそのグラフとする関数とみなす。$\mu_k$ を $k$ 番目の辺の 傾き、$i_k-i_{k-1}$ をその 長さ という。実数 $\mu$ について、傾き $\mu$ の辺の長さを $\ell_f(\mu)$ と書く(その傾きの辺がなければ $\ell_f(\mu)=0$)。
要点:頂点から先の点の傾きを比べると傾きが増え、凸関数は区間の両端を結ぶ弦以下にあることを両方向に使う。
1:$j>i_k$、$a_j\ne0$ とする。$i_k$ は最小値 $\mu_k$ をとる最大の添字なので $v(a_j)-v(a_{i_{k-1}})>\mu_k(j-i_{k-1})$ であり、$v(a_{i_k})-v(a_{i_{k-1}})=\mu_k(i_k-i_{k-1})$ を引くと $v(a_j)-v(a_{i_k})>\mu_k(j-i_k)$ となる。よって $\mu_{k+1}>\mu_k$ である。傾きが増加する折れ線は凸関数のグラフである。
2:$i_{k-1}\le j\le i_k$ なら、$\mu_k$ の最小性から $v(a_j)\ge v(a_{i_{k-1}})+\mu_k(j-i_{k-1})=N_f(j)$ である。
3:$N_f$ の頂点 $i_k$ では $g(i_k)\le v(a_{i_k})=N_f(i_k)$ であり、$N_f$ は $[i_{k-1},i_k]$ で 1 次関数、$g$ は凸関数なので、$g$ はこの区間で両端の値を結ぶ弦以下、したがって $N_f$ 以下である。逆に $g$ の両端と折れ曲がる点 $t$ では 2 から $N_f(t)\le v(a_t)=g(t)$ で、$g$ はその間で 1 次関数、$N_f$ は凸関数なので $N_f\le g$ である。$\square$
2 と 3 から、$N_f$ は点 $P_i$ の全体の凸包の下側の境界であり、すべての点 $P_i$ を下から支える凸な折れ線のうち最も高いものである。$f$ を $cf$($c\in K^\times$)に替えると、すべての点が $v(c)$ だけ上下に動くので、傾きと長さは変わらない。
$f=a_0+a_1x+\dots+a_nx^n\in K[x]$($n\ge1$、$a_0a_n\ne0$)とする。$L$ を $K$ の拡大体で $f=a_n\prod_{j=1}^n(x-\alpha_j)$($\alpha_j\in L$)と分解するものとし、$w$ を $v$ の $L$ への延長($L$ の付値で $K$ 上で $v$ と一致するもの)とする。このとき、すべての実数 $\mu$ について
$$
\#\{j\mid w(\alpha_j)=-\mu\}=\ell_f(\mu)
$$
である(左辺は重複度こみで数える)。すなわち、根の付値は Newton 多角形の辺の傾きの $-1$ 倍で、その付値をもつ根の個数は辺の長さに等しい。
このような $L$ と $w$ はつねに存在する。$L$ は $f$ の分解体にとればよく、有限次拡大への付値の延長の存在は Neu99 Chapter II, (8.1) Extension Theorem(p. 161)による(この記事では証明しない)。$K$ が $v$ について完備なら、延長は一通りである(同書 (4.8) Theorem、p. 131)。
$f$ を $a_n^{-1}f$ に替えても傾きと長さは変わらないので、$a_n=1$ としてよい。$a_0\ne0$ なのでどの根も $0$ でなく、$w(\alpha_j)$ は実数である。根を $r_1\le r_2\le\dots\le r_n$($r_j:=w(\alpha_j)$)となるように並べる。根と係数の関係により、$k=0,1,\dots,n$ について
$$
a_{n-k}=(-1)^k\sum_{\lvert J\rvert=k}\prod_{j\in J}\alpha_j
$$
である(和は $\{1,\dots,n\}$ の $k$ 元部分集合 $J$ 全体にわたる)。$R_k:=r_1+\dots+r_k$($R_0=0$)とおく。
段 1(係数の付値の下からの評価).$J=\{j_1<\dots< j_k\}$ なら $j_m\ge m$ なので $\sum_{j\in J}r_j\ge R_k$ である。付値の性質から $v(a_{n-k})\ge\min_J\sum_{j\in J}r_j=R_k$ である。
段 2(等号の成り立つところ).$k=0$ または $k=n$、あるいは $r_k< r_{k+1}$ とする。$J\ne\{1,\dots,k\}$ なら $J$ は $k$ より大きい添字 $j$ を含み、$r_j\ge r_{k+1}>r_k$ なので、段 1 の評価で少なくとも 1 項が真に大きくなり $\sum_{j\in J}r_j>R_k$ となる($k=0,n$ では $J$ はただ 1 つ)。よって $J=\{1,\dots,k\}$ の項だけが最小の付値をもち、付値 の記事の命題「和の付値」により $v(a_{n-k})=R_k$ である。
段 3(折れ線との一致).$[0,n]$ 上の折れ線関数 $g$ を、整数点で $g(n-k)=R_k$ とし、その間を 1 次関数でつないで定める。区間 $[n-k,n-k+1]$ での $g$ の傾きは $R_{k-1}-R_k=-r_k$ で、$x$ が増える($k$ が減る)につれて $-r_k$ は増加するので、$g$ は凸関数である。段 1 から $g(i)\le v(a_i)$ がすべての $i$ で成り立つ。$g$ が折れ曲がるのは $-r_{k+1}\ne-r_k$、すなわち $r_k< r_{k+1}$ となる点 $n-k$ に限り、そこと両端 $0,n$ では段 2 から $g=v(a_{\cdot})$ である。よって prop-np-basic の 3 により $g=N_f$ である。
$g$ の傾きが $\mu$ である区間 $[n-k,n-k+1]$ の個数は、$-r_k=\mu$ となる $k$ の個数に等しい。これが $\ell_f(\mu)$ であり、$-r_k=\mu$ は $w(\alpha_k)=-\mu$ と同じである。$\square$
Neu99 Chapter II, §6 は Newton 多角形を点 $(i,v(a_i))$ の下側の凸包として定義し(p. 144)、(6.3) Proposition(p. 145)で thm-np-main を、根の付値の小さい順に基本対称式の付値を計算することで示している。上の証明はこの計算を、prop-np-basic の 3 の形の一意性で折れ線と結びつけたものである。
$f,h\in K[x]$ がどちらも def-np-polygon の条件(次数 $1$ 以上で、定数項と最高次の係数が $0$ でない)を満たすなら、すべての実数 $\mu$ について $\ell_{fh}(\mu)=\ell_f(\mu)+\ell_h(\mu)$ である。すなわち $fh$ の Newton 多角形は、$f$ と $h$ の Newton 多角形の辺を傾きの小さい順に並べ直し、点 $(0,v(f(0)h(0)))$ から順につないだものである。
$fh$ の分解体 $L$ と $v$ の延長 $w$ をとる。$fh$ の根は $f$ の根と $h$ の根を合わせたもの(重複度こみ)であり、$f,h,fh$ はどれも $L$ で 1 次式の積に分解する。thm-np-main を $f,h,fh$ のそれぞれに同じ $(L,w)$ で当てはめればよい。$\square$
thm-np-main は根の付値を教えるが、同じ付値の根を集めた因子が $K$ 係数になるとは限らない(ex-np-counterexamples の 2 行目)。延長が一通りなら $K$ 係数になる。
thm-np-main の記号で $L$ を $f$ の分解体とし、$v$ の $L$ への延長 $w$ がただ 1 つであるとする(たとえば $K$ が $v$ について完備な場合)。$\ell_f(\mu)>0$ である各傾き $\mu$ について
$$
f_\mu:=\prod_{w(\alpha_j)=-\mu}(x-\alpha_j)
$$
とおくと、$f_\mu\in K[x]$ であり、$f=a_n\prod_\mu f_\mu$、$\deg f_\mu=\ell_f(\mu)$ である。
$\varphi\in K[x]$ を $f$ のモニックな既約因子とし、$\alpha,\alpha'\in L$ をその根とする。$L$ は分解体なので $K$ 上の正規拡大であり(正規拡大 の記事の定理「有限次正規拡大と多項式の分解体」)、同記事の命題「共役への自己同型の存在」により $\sigma(\alpha)=\alpha'$ となる $\sigma\in\operatorname{Aut}(L/K)$ がある。$w\circ\sigma$ も $L$ の付値で、$K$ の上では $v$ と一致するので、延長の一意性から $w\circ\sigma=w$ である。よって $w(\alpha')=w(\sigma(\alpha))=w(\alpha)$ であり、$\varphi$ の根はすべて同じ付値 $c(\varphi)$ をもつ。
$f=a_n\prod_m\varphi_m^{\,e_m}$ を $K[x]$ でのモニックな既約因子への分解とする。$f$ の根を重複度こみで並べたものは、各 $\varphi_m$ の根を $e_m$ 回ずつ並べたものなので、$f_\mu=\prod_{c(\varphi_m)=-\mu}\varphi_m^{\,e_m}\in K[x]$ である。$\deg f_\mu=\ell_f(\mu)$ は thm-np-main による。$\square$
これは Neu99 Chapter II, (6.4) Proposition(p. 146)にあたる。同書は最小多項式で割る帰納法で示している。
thm-np-factor の仮定のもとで $f$ が $K[x]$ で既約なら、$N_f$ はただ 1 本の線分である。とくに $0< i< n$ について
$$
v(a_i)\ge\frac{(n-i)\,v(a_0)+i\,v(a_n)}n\ge\min\{v(a_0),v(a_n)\}
$$
である。
thm-np-factor の分解で、$\ell_f(\mu)>0$ の各 $\mu$ について $f_\mu$ は $K[x]$ の次数 $1$ 以上の因子である。既約性からそのような $\mu$ はただ 1 つで、$N_f$ は $P_0$ と $P_n$ を結ぶ線分である。不等式は prop-np-basic の 2 をこの線分について書いたものである。$\square$
これは同書 (6.5) Corollary(p. 147)の内容で、絶対値で書けば $\max_i\lvert a_i\rvert=\max\{\lvert a_0\rvert,\lvert a_n\rvert\}$ となる。
$v$ の値群が $v(K^\times)=\mathbb{Z}$ であるとする(完備でなくてよい)。$N_f$ がただ 1 本の線分で、$v(a_0)-v(a_n)$ と $n$ が互いに素(すなわち傾きを既約分数で書いたときの分母が $n$ に等しい)なら、$f$ は $K[x]$ で既約である。
$L$、$w$ を thm-np-main のようにとる。線分の傾きは $\mu=(v(a_n)-v(a_0))/n$ なので、thm-np-main によりすべての根の付値は $c:=(v(a_0)-v(a_n))/n$ である。$f=gh$($g,h\in K[x]$、$1\le\deg g=:d$)とし、$g$ をモニックとする。$g$ の根は $f$ の根の $d$ 個(重複度こみ)なので、$g(0)=\pm\prod(\text{それらの根})$ は $0$ でなく、$v(g(0))=dc$ である。$g(0)\in K^\times$ なので $dc=d(v(a_0)-v(a_n))/n\in\mathbb{Z}$ であり、$n$ と $v(a_0)-v(a_n)$ が互いに素なので $n\mid d$、すなわち $d=n$ である。よって $f$ は既約である。$\square$
$v(a_n)=0$、$0< i< n$ で $v(a_i)\ge1$、$v(a_0)=1$ なら、$P_0=(0,1)$ から $P_n=(n,0)$ への傾きは $-\frac1n$ で、ほかの点の傾き $(v(a_i)-1)/i\ge0$ より小さいので、$N_f$ はただ 1 本の線分である。$v(a_0)-v(a_n)=1$ は $n$ と互いに素なので、cor-np-irreducible から $f$ は既約である。$K=\mathbb{Q}$、$v=v_p$ とすれば、これは 既約多項式 の記事の定理「Eisenstein の判定法」の $\mathbb{Q}$ 上の既約性にあたり、$K=\mathbb{Q}_p$ とすれば Eisenstein多項式 の既約性にあたる。
$\mathbb{Q}_p$ 上の $f=x^2-p$ では、点は $P_0=(0,1)$、$P_2=(2,0)$ だけで($a_1=0$)、Newton 多角形は傾き $-\frac12$、長さ $2$ の線分である。よって 2 つの根 $\pm\sqrt p$ の付値はともに $\frac12$ で、cor-np-irreducible により $f$ は $\mathbb{Q}_p$ 上既約である。同じく $x^3-p^2$ は傾き $-\frac23$ の線分 1 本で、$\gcd(2,3)=1$ から既約であり、根の付値は $\frac23$ である。
$f=x^3+x^2+2x+8\in\mathbb{Q}[x]$ と $2$ 進付値 $v_2$ を考える。点は $P_0=(0,3)$、$P_1=(1,1)$、$P_2=(2,0)$、$P_3=(3,0)$ である。$P_0$ から各点への傾きは $-2,-\frac32,-1$ で、最小の $-2$ を $P_1$ でとる。$P_1$ からは $-1,-\frac12$ で $P_2$、$P_2$ からは $0$ で $P_3$ に進む。
| 辺 | $P_0P_1$ | $P_1P_2$ | $P_2P_3$ |
|---|---|---|---|
| 傾き | $-2$ | $-1$ | $0$ |
| 長さ | $1$ | $1$ | $1$ |
| 根の $2$ 進付値 | $2$ | $1$ | $0$ |
$\mathbb{Q}_2$ は完備なので、thm-np-factor により $f$ は $\mathbb{Q}_2[x]$ で 1 次式 3 つの積になり、3 つの根はすべて $\mathbb{Q}_2$ に属する。$\mathbb{Q}$ 上では $f=(x+2)(x^2-x+4)$ で、根 $-2$ が付値 $1$ の根である。残りの $x^2-x+4$ は判別式 $-15$ が平方でないので $\mathbb{Q}$ 上既約だが、その Newton 多角形は傾き $-2$ と $0$ の 2 辺からなり、$\mathbb{Q}_2$ 上では 2 つの 1 次式に分解する。
$p$ を素数とし、円分多項式 $\Phi_p(x)=x^{p-1}+\dots+x+1$ の $x$ に $x+1$ を代入すると
$$
\Phi_p(x+1)=\frac{(x+1)^p-1}x=\sum_{i=0}^{p-1}\binom p{i+1}x^i
$$
となる。$1\le k\le p-1$ では $k\binom pk=p\binom{p-1}{k-1}$ であり、$\binom{p-1}{k-1}=\frac{(p-1)!}{(k-1)!\,(p-k)!}$ の分子 $(p-1)!$ も $k$ も $p$ で割り切れないので、$v_p\binom pk=1$ である。よって点は $P_0=(0,1)$、$0< i< p-1$ で $P_i=(i,1)$、$P_{p-1}=(p-1,0)$ であり、Newton 多角形は傾き $-\frac1{p-1}$ の線分 1 本である。したがって $1$ の原始 $p$ 乗根 $\zeta$ について $\zeta-1$ の $p$ 進付値は $\frac1{p-1}$ で、cor-np-irreducible により $\Phi_p(x+1)$、したがって $\Phi_p(x)$ は $\mathbb{Q}_p$ 上既約である(Eisenstein多項式 の例「$p$ 乗根の体 $\mathbb{Q}_p(\zeta_p)$」と同じ結論)。
$E$ を有限体 $\mathbb{F}_p$ 上の楕円曲線とし、$a:=p+1-\#E(\mathbb{F}_p)$ とおく。$p$ 乗 Frobenius 自己準同型 $\phi$ は $\phi^2-a\phi+p=0$ を満たし、$T^2-aT+p$ は $\phi$ の $\ell$ 進 Tate加群($\ell\ne p$)への作用の特性多項式である(Sil09 Theorem V.2.3.1, p. 142。この記事では証明しない)。
$v_p$ に関する点は $P_0=(0,1)$、$P_1=(1,v_p(a))$、$P_2=(2,0)$ である($a=0$ なら $P_1$ はない)。
Dieudonné加群 の記事の定理「Dieudonné–Manin分類」では、$F$ 同種類の傾き $\lambda$ を重複度こみで並べた列を $F$ 同種類の Newton 多角形と呼んでいる。この記事の多角形と向きをそろえると、「付値 $\lambda$ の根」が「傾き $\lambda$ の部分」に当たる。上の例で得た根の付値の組 $\{0,1\}$(通常)と $\{\frac12,\frac12\}$(超特異)は、同記事の命題「通常楕円曲線と超特異楕円曲線のDieudonné加群」が与える傾きの組と一致している。多項式の Newton 多角形と $F$ 同種類の傾きの関係の一般論は、この記事では扱わない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $a_0\ne0$(thm-np-main) | $\mathbb{Q}_p$ 上の $x^2-px=x(x-p)$ | 辺の長さの和が根の個数に等しいこと(定義の手順を $a_j\ne0$ となる最小の添字 $1$ から始めて折れ線を作ると、点は $P_1,P_2$ だけで長さの和は $1$、根は $2$ 個) |
| 延長が一通り(thm-np-factor) | $\mathbb{Q}$ と $v_2$、$x^2-x+4$ | 傾きごとの因子が $K$ 係数になること |
| $v(a_0)-v(a_n)$ と $n$ が互いに素(cor-np-irreducible) | $\mathbb{Q}_p$ 上の $x^2-p^2$ | 既約性($x^2-p^2=(x-p)(x+p)$) |
1 行目:根 $0$ の付値は $\infty$ で、どの傾きにも対応しない。残りの根 $p$ の付値 $1$ は、$P_1=(1,1)$ と $P_2=(2,0)$ を結ぶ傾き $-1$ の辺に対応している。
2 行目:点は $(0,2)$、$(1,0)$、$(2,0)$ で、辺は傾き $-2$ と $0$ の 2 本である。thm-np-main により、どんな延長 $w$ についても 2 つの根の付値は $2$ と $0$ で、$f_{-2}$、$f_0$ は 1 次式になる。しかし $x^2-x+4$ は $\mathbb{Q}$ 上既約なので、1 次の因子は $\mathbb{Q}[x]$ に属さない。したがって $v_2$ の分解体 $\mathbb{Q}(\sqrt{-15})$ への延長は一通りでない(一通りなら thm-np-factor により 1 次の因子が $\mathbb{Q}$ 係数になる)。$\mathbb{Q}$ は $v_2$ について完備でない。
3 行目:点は $(0,2)$、$(2,0)$ で、傾き $-1$ の線分 1 本である。$v(a_0)-v(a_2)=2$ と $n=2$ は互いに素でない。
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