弧状連結空間 (道連結空間、path connected space, pathwise connected space) とは連結空間より強く"つながっている"位相空間でありしばしば連結であるよりもつながっていることが直感的に理解しやすい。しかしながら弧状連結性も少し直感との乖離があるため注意が必要である。また$n$-連結との関係で$0$-連結とも呼ばれる場合がある。
空でない位相空間 $X$ が弧状連結であるとは、任意の二点 $x,y\in X$ に対してそれらを繋ぐ道が存在することを言う。すなわちある連続写像 $\gamma\colon [0,1]\to X$ が存在し $\gamma(0)=x,\gamma(1)=y$ を満たすものが存在することを言う。
ただし空集合は連結の時との整合性のため弧状連結でないと約束する。空集合を連結とする流儀もあるため注意が必要であり、その場合はさらに弧状連結であるともすることが多いので注意されたい。
さらに異なる2点に対しては $\gamma$ として単射な道が取れるとき弧連結(arc-connected,arcwise connected)という。弧連結 $\Longrightarrow$ 弧状連結であるがハウスドルフでは同値となる。弧状連結であるが弧連結でない例として二つの原点を持つ直線(ハウスドルフでなく $T_1$ である。)が有名である。しかしながら上で述べたように弧連結はハウスドルフである場合には弧状連結と同値となることから幾何においては扱われることは少ない。
位相空間 $X$ にの2点に対して「それらを繋ぐ道が存在する」という関係は同値関係となる。この同値関係による同値類を弧状連結成分(path-connected component) と呼ぶ。連結成分同様、弧状連結成分全体の濃度は位相不変量となりさらにホモトピー不変量となる。$X$ の弧状連結成分全体はしばしば $\pi_0(X)$ と書かれる。詳しくはホモトピー群を参照されたい。
長い直線に最大元 $M$ と最小元 $m$ を加えてコンパクト化した位相空間を $X$ とすると直感的にはつながっているように思えるが $m$ と $M$ を結ぶ道が存在しないため弧状連結ではない(連結ではある。)。これは定義域の $[0,1]$ の開集合に比べて $X$ の開集合は余りにも多すぎるために起こる現象であり、弧状連結性は単位閉区間 $[0,1]$ の位相に深く依存しているということを示唆している。
しかしながら連結空間よりも直感的ではあり、例えば原点を抜いたくし空間は連結だが弧状連結でない例として有名である。弧状連結でないことは $(0,1)$ と $(1,0)$ を繋ぐには原点を通らなければならないからということは直感的にも納得できるであろう。連結だが弧状連結でない例として位相幾何学者の正弦曲線も有名である。これが弧状連結でないことは本質的に $\sin(1/x)$ の原点での非連続性である。
一般に弧状連結性と局所弧状連結性に包含はない。代表的な例を以下に挙げる