向き付け可能多様体(orientable manifold)とは、座標変換の Jacobi 行列式がすべて正になる座標近傍系をもつ多様体、すなわち各点の局所的な「向き」を全体で矛盾なく選べる多様体のことである。滑らかな多様体では至るところ $0$ にならない最高次の微分形式(体積形式)をもつことと同値であり、位相多様体では局所ホモロジー $H_n(M,M\setminus\{x\};\mathbb{Z})$ の生成元を連続に選べることとして定義され、滑らかな多様体では両者は一致する。球面・トーラス・複素多様体・奇数次元の実射影空間は向き付け可能で、Möbius の帯・Klein の壺・偶数次元の実射影空間は向き付け不可能である。向きは微分形式の積分や基本類、Poincaré 双対の前提になる。
長方形の紙の両端をそのまま貼ると円筒ができ、片方を裏返して貼ると Möbius の帯ができる。円筒の上では「右回り」「左回り」を全体で一貫して決められるが、Möbius の帯では、中心線に沿って小さな座標の枠を運んで一周すると、枠の片方の向きが反転して戻ってくる。どちらの面も、各点の近くだけを見れば平面の一部と区別がつかない。違いは、局所的な「向き」を全体で矛盾なく選べるかどうかという大域的な性質にある。
この性質をもつ多様体を 向き付け可能多様体(orientable manifold)という。滑らかな多様体では、座標変換の Jacobi行列 の行列式がすべて正になる座標近傍系があることとして定義され、至るところ $0$ にならない最高次の微分形式(体積形式)があることと同値である。位相多様体では、各点の局所ホモロジーの生成元を連続に選べることとして定義され、滑らかな多様体では 2 つの定義は一致する。向きは微分形式の積分(Stokesの定理)の符号を決め、閉多様体の基本類と Poincaré双対 の前提になる。
$V$ を $n\ge1$ 次元の実ベクトル空間とする。$V$ の順序付き基底 $(v_1,\dots,v_n)$、$(w_1,\dots,w_n)$ について、$w_j=\sum_ia_{ij}v_i$ となる行列 $A=(a_{ij})$ の行列式が正のとき、2 つの基底は 同じ向き であるという。これは同値関係であり($\det(AB)=\det A\det B$ による)、同値類はちょうど 2 つある($(v_1,\dots,v_n)$ と $(-v_1,v_2,\dots,v_n)$ は別の類に入り、どの基底もどちらかと同じ向きである)。
$n\ge1$ 次元の実ベクトル空間 $V$ の 向き とは、順序付き基底の「同じ向き」による同値類の 1 つのことである。向きを 1 つ選んだとき、その類に属する基底を 正の向きの基底 という。$\mathbb{R}^n$ の 標準の向き は標準基底 $(e_1,\dots,e_n)$ の類である。$0$ 次元の空間の向きは符号 $\pm1$ のことと約束する。
向きは $0$ でない交代 $n$ 形式 $\omega\in\Lambda^nV^*$ で指定することもできる。$\omega$ の値は基底の取り替えで $\omega(w_1,\dots,w_n)=\det A\cdot\omega(v_1,\dots,v_n)$ と変わる(微分形式 の命題「交代形式の基底と成分表示」)ので、「$\omega(v_1,\dots,v_n)>0$ となる基底」の全体は 1 つの向きをなし、$\omega$ と $c\,\omega$($c>0$)は同じ向きを定める。線形同型 $T\colon V\to W$ は、$V$ の正の向きの基底の像を正の向きとする $W$ の向きを定める。$V=W$ のとき、$T$ が向きを保つことは $\det T>0$ と同値である。
以下、$M$ を $n\ge1$ 次元の滑らかな多様体(可微分多様体。Hausdorff かつ第 2 可算)とする。局所座標を $(U;x^1,\dots,x^n)$ と書き、2 つの局所座標 $(U;x)$、$(V;y)$ の座標変換 $y\circ x^{-1}$ の Jacobi 行列式を $\det(\partial y^i/\partial x^j)$ と書く(局所座標)。
$0$ 次元の多様体(点の集まり)では、向きは各点への符号 $\pm1$ の割り当てのことと約束し、すべて向き付け可能とする。
「向き付けられた多様体」は向きという追加の構造を選んだものであり、「向き付け可能」はそのような選択が存在するという性質である。同じ多様体に向きが 2 つ以上あるのが普通で(thm-orientable-manifold-two)、どちらの向きを選んだかで積分や基本類の符号が変わる。$M$ の向きを反転したものを $-M$ と書くことが多い。
座標変換の Jacobi 行列は接空間の基底の変換を与える:$T_pM$ の基底 $(\partial/\partial x^1,\dots,\partial/\partial x^n)$ と $(\partial/\partial y^1,\dots,\partial/\partial y^n)$ の間の変換行列の行列式は $\det(\partial x^i/\partial y^j)(p)$ である(接空間)。したがって向きを選ぶと、正の向きの局所座標の座標基底の類として、各接空間 $T_pM$ に向きが定まる。向きは「各点の接空間の向きを、局所座標の上で連続に選んだもの」と言い換えられる。
この記事の定義は Stokesの定理 の節「向きと境界の向き」の向き付けと同じものであり、同記事は向き付けられた境界付き多様体の境界に誘導される向き(外向きの法線を先頭に置く規約)を定めている。
至るところ $0$ にならない $n$ 形式を 体積形式(volume form)という(微分形式 の定義「体積形式」)。2 つの局所座標 $(U;x)$、$(V;y)$ の上では、$U\cap V$ で
$$
dy^1\wedge\cdots\wedge dy^n=\det\Bigl(\frac{\partial y^i}{\partial x^j}\Bigr)dx^1\wedge\cdots\wedge dx^n
$$
が成り立つ($dy^i=\sum_j(\partial y^i/\partial x^j)\,dx^j$ を代入して展開し、交代性で整理する)。以下、この等式を式 (1) と呼ぶ。したがって $n$ 形式 $\omega$ を $U$ の上で $\omega=f\,dx^1\wedge\cdots\wedge dx^n$ と書くと、$V$ の上の係数 $g$($\omega=g\,dy^1\wedge\cdots\wedge dy^n$)とは $f=g\det(\partial y^i/\partial x^j)$ の関係にある。
$M$ が向き付け可能であることと、$M$ が体積形式をもつことは同値である。さらに、体積形式 $\omega$ に対し「$\omega=f\,dx^1\wedge\cdots\wedge dx^n$ で $f>0$ となる局所座標」の全体は向き付けられた座標近傍系をなし、これによって、体積形式を正の関数倍の違いで同一視した類と、$M$ の向きとが 1 対 1 に対応する。
(体積形式 $\Rightarrow$ 向き付け可能)$\omega$ を体積形式とする。定義域が連結な局所座標 $(U;x)$ をとり、$\omega=f\,dx^1\wedge\cdots\wedge dx^n$ と書くと、$f$ は $U$ 上の $0$ にならない連続関数なので、$\{f>0\}$ と $\{f<0\}$ はともに開集合であり、$U$ は連結だから $f$ の符号は一定である。$f<0$ なら $x^1$ を $-x^1$ に取り替えると $f$ の符号が変わる。こうして $f>0$ となる局所座標の族 $\mathcal{A}_\omega$ が得られ、連結な定義域の局所座標は $M$ を覆うので $\mathcal{A}_\omega$ も $M$ を覆う。$(U;x)$、$(V;y)\in\mathcal{A}_\omega$ の係数を $f,g>0$ とすると、式 (1) により $U\cap V$ で $\det(\partial y^i/\partial x^j)=f/g>0$ である。よって $\mathcal{A}_\omega$ は向き付けられた座標近傍系である。
(向き付け可能 $\Rightarrow$ 体積形式)$\{(U_\lambda;x_\lambda)\}_{\lambda\in\Lambda}$ を向き付けられた座標近傍系とし、$\omega_\lambda:=dx_\lambda^1\wedge\cdots\wedge dx_\lambda^n$ とおく。開被覆 $\{U_\lambda\}$ に従属する滑らかな 1 の分割 $\{\rho_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}$ をとる(1の分割 の定理「滑らかな 1 の分割の存在」)。$\operatorname{supp}\rho_\lambda\subset U_\lambda$ なので、$U_\lambda$ の上で $\rho_\lambda\omega_\lambda$、外で $0$ と定めた $n$ 形式は滑らかであり、台の族の局所有限性から
$$
\omega:=\sum_{\lambda\in\Lambda}\rho_\lambda\,\omega_\lambda
$$
は各点の近くで有限和の滑らかな $n$ 形式である。点 $p$ を 1 つとり、$p\in U_\mu$ となる $\mu$ を選ぶ。$\rho_\lambda(p)\ne0$ となる $\lambda$ では $p\in U_\lambda$ であり、式 (1) により $(\omega_\lambda)_p=\det(\partial x_\lambda^i/\partial x_\mu^j)(p)\,(\omega_\mu)_p$ なので
$$
\omega_p=\Bigl(\sum_{\lambda}\rho_\lambda(p)\det\Bigl(\frac{\partial x_\lambda^i}{\partial x_\mu^j}\Bigr)(p)\Bigr)(\omega_\mu)_p
$$
である。和の各項は $\ge0$ で、$\sum_\lambda\rho_\lambda(p)=1$ だから少なくとも 1 つの項は正である。よって $\omega_p\ne0$ であり、$\omega$ は体積形式である。しかも与えられた座標近傍系の各局所座標 $(U_\mu;x_\mu)$ で $\omega$ の係数は正である。
(対応)2 つの構成が互いに逆であることを確かめればよい。
$\omega$ と $h\omega$($h>0$ は滑らかな関数)は同じ族 $\mathcal{A}_\omega$ を定める。前半の構成で $\omega$ から得た向きを $o(\omega)$ と書く。後半で向き $o$ の代表から作った $\omega$ について、代表の局所座標はすべて $\mathcal{A}_\omega$ と正の Jacobi 行列式で結ばれるので $o(\omega)=o$ であり、$\omega\mapsto o(\omega)$ は全射である。$o(\omega)=o(\omega')$ とすると、$\omega'=h\omega$ と書いたときの $h$($0$ にならない滑らかな関数)は、共通の向きの正の向きの局所座標で両者の係数がともに正であることから $h>0$ である。よって単射でもある。$\square$
後半の証明は「局所的に作って 1 の分割で平均する」方法である。これが働くのは、同じ向きの局所座標の座標体積形式どうしが各点で正の定数倍の違いしかなく、正の係数の和がまた正だからである。向きを揃えずに足すと打ち消し合って $0$ になりうる。
$M$ が連結で向き付け可能なら、$M$ の向きはちょうど 2 つある。2 つの向きが 1 点で同じ接空間の向きを定めれば、それらは等しい。
thm-orientable-manifold-volume-form により、向きは体積形式の正の関数倍の類と 1 対 1 に対応する。体積形式 $\omega$ を 1 つ固定すると、任意の体積形式は $h\omega$($h$ は $0$ にならない滑らかな関数)と書ける(各点で $\Lambda^nT_p^*M$ は 1 次元だから)。$M$ は連結なので $h$ の符号は一定であり、類は $\omega$ の類と $-\omega$ の類の 2 つである。$\omega$ と $-\omega$ は同じ類でない(係数の符号が逆)。2 つの向きが点 $p$ で同じ接空間の向きを定めるなら、両者を表す体積形式 $\omega$、$h\omega$ について $h(p)>0$、したがって $h>0$ であり、向きは等しい。$\square$
連結でない多様体では、各連結成分ごとに独立に向きを選べるので、連結成分が $k$ 個の向き付け可能な多様体の向きは $2^k$ 個ある。
$\mathbb{R}^{n+1}$ の $n$ 次元の部分多様体 $M$ について、$M$ の各点 $p$ にベクトル $N(p)\in\mathbb{R}^{n+1}$ を滑らかに対応させる写像 $N\colon M\to\mathbb{R}^{n+1}$ を $M$ に沿うベクトル場という。
$M\subset\mathbb{R}^{n+1}$ を $n$ 次元の部分多様体とし、$M$ に沿うベクトル場 $N$ で、すべての $p\in M$ について $N(p)\notin T_pM$ となるものがあるとする。このとき
$$
\sigma_p(v_1,\dots,v_n):=\det\bigl(N(p),v_1,\dots,v_n\bigr)\qquad(v_1,\dots,v_n\in T_pM)
$$
(右辺は $\mathbb{R}^{n+1}$ の $n+1$ 本の列ベクトルを並べた行列式)は $M$ の体積形式であり、$M$ は向き付け可能である。
要点:$\sigma$ は座標の $n$ 形式の組み合わせを $M$ に制限したものなので滑らかであり、$N(p)$ と $T_pM$ の基底は $\mathbb{R}^{n+1}$ の基底をなすので $\sigma_p\ne0$ である。
行列式を第 1 列について展開すると $\sigma=\iota^*\bigl(\sum_{i=1}^{n+1}(-1)^{i-1}N^i\,dx^1\wedge\cdots\wedge\widehat{dx^i}\wedge\cdots\wedge dx^{n+1}\bigr)$ である($N^i$ は $N$ の成分で $M$ 上の滑らかな関数、$\iota\colon M\hookrightarrow\mathbb{R}^{n+1}$ は包含、$\widehat{dx^i}$ は除くことを表す)。よって $\sigma$ は滑らかな $n$ 形式である。$(v_1,\dots,v_n)$ が $T_pM$ の基底なら、$N(p)\notin T_pM$ なので $N(p),v_1,\dots,v_n$ は $\mathbb{R}^{n+1}$ の基底であり、その行列式は $0$ でない。よって $\sigma_p\ne0$ である。thm-orientable-manifold-volume-form により $M$ は向き付け可能である。$\square$
$f$ は $M$ 上で定数なので $df_p$ は $T_pM$ 上で $0$ であり、次元を比べて $T_pM=\ker df_p=\nabla f(p)^{\perp}$ となる。$\nabla f(p)\cdot\nabla f(p)>0$ だから $\nabla f(p)\notin T_pM$ である。$f(p)=\lvert p\rvert^2$、$c=1$ とすれば 1 に戻る。
$A$ を複素 $n$ 次正方行列とし、$\mathbb{C}^n=\mathbb{R}^{2n}$ の実線形写像とみたときの行列式を $\det_{\mathbb{R}}A$ と書く。このとき $\det_{\mathbb{R}}A=\lvert\det A\rvert^2\ge0$ である。
要点:上三角化すると、実の表現行列は対角に $2\times2$ のブロック $\begin{pmatrix}a&-b\\b&a\end{pmatrix}$(固有値 $a+ib$ ごと)が並ぶブロック上三角行列になり、その行列式は $\prod(a^2+b^2)$ である。
$\det_{\mathbb{R}}$ は合成について乗法的なので、可逆な $P$ について $\det_{\mathbb{R}}(PAP^{-1})=\det_{\mathbb{R}}A$ であり、$\det(PAP^{-1})=\det A$ である。複素行列は上三角行列 $T$ に相似なので(Jordan 標準形など)、$A=T$ としてよい。$T$ の対角成分を $\lambda_k=a_k+ib_k$ とし、実の基底を $e_1,ie_1,e_2,ie_2,\dots,e_n,ie_n$ の順に並べると、$T$ の実の表現行列は、対角に $2\times2$ のブロック $\begin{pmatrix}a_k&-b_k\\b_k&a_k\end{pmatrix}$ が並ぶブロック上三角行列になる($Te_k=\lambda_ke_k+\sum_{j< k}t_{jk}e_j$ による)。よって $\det_{\mathbb{R}}T=\prod_k(a_k^2+b_k^2)=\prod_k\lvert\lambda_k\rvert^2=\lvert\det T\rvert^2$ である。$\square$
複素多様体(座標変換がすべて正則写像である座標近傍系をもつ $2n$ 次元の多様体)は向き付け可能である。とくに複素射影空間 $\mathbb{CP}^n$ や複素 Grassmann 多様体は向き付け可能である。
要点:正則な座標変換の実の Jacobi 行列式は、lem-orientable-manifold-complex-det により複素 Jacobi 行列式の絶対値の 2 乗で、正である。
正則な座標変換 $F$ の各点での実の Jacobi 行列は、Cauchy–Riemann の方程式により、複素 Jacobi 行列 $J_{\mathbb{C}}F=(\partial F^i/\partial z^j)$ を実線形写像とみたものに等しい。$F$ は双正則なので $J_{\mathbb{C}}F$ は可逆であり、lem-orientable-manifold-complex-det により実の Jacobi 行列式は $\lvert\det J_{\mathbb{C}}F\rvert^2>0$ である。よって正則な座標近傍系はそのまま向き付けられた座標近傍系である。$\mathbb{CP}^n$ の斉次座標の比による座標近傍系は、座標変換が有理式で正則である(射影空間 の命題「アフィン座標近傍と多様体構造」)。$\square$
この結論は Nic26 Proposition 3.4.12 と同じである。複素多様体には、正則な局所座標 $z^j=x^j+iy^j$ について $(x^1,y^1,\dots,x^n,y^n)$ を正の向きとする向きが自然に定まる。
$\widetilde M$ を連結な滑らかな多様体、$G$ を $\widetilde M$ に微分同相写像として自由かつ固有不連続に作用する群(被覆空間 の命題「自由で固有不連続な作用から得られる被覆」)とし、商 $M:=\widetilde M/G$ には射影 $\pi\colon\widetilde M\to M$ が局所微分同相写像になる滑らかな構造が入っているとする($\pi$ で同相に写る小さな開集合の上で $\pi$ の逆写像を局所座標にとればよい)。$\widetilde M$ の体積形式 $\sigma$ と $g\in G$ について、$g^*\sigma=h_g\sigma$ となる $0$ にならない関数 $h_g$ は連結な $\widetilde M$ の上で符号が一定である。$h_g>0$ のとき $g$ は向きを保つ、$h_g<0$ のとき向きを反転するという。
上の状況で、$\widetilde M$ は向き付け可能で、$\sigma$ をその体積形式とする。
1:$M$ に体積形式 $\omega$ があったとする。$\pi$ は局所微分同相なので $\pi^*\omega$ は $\widetilde M$ の体積形式であり、$\pi^*\omega=k\sigma$ と書くと $k$ は符号が一定の関数である。$\pi\circ g=\pi$ だから $g^*\pi^*\omega=\pi^*\omega$、すなわち $(k\circ g)\,h_g\,\sigma=k\sigma$ である。$k\circ g$ と $k$ は同符号なので $h_g>0$ となり、仮定に反する。
2:要点:$\sigma$ を $\pi$ の局所的な逆写像で $M$ に移すと、$G$ 不変性により移し方によらない体積形式が得られる。
$p\in M$ について $\tilde p\in\pi^{-1}(p)$ を選び、$\omega_p:=\bigl((d\pi_{\tilde p})^{-1}\bigr)^*\sigma_{\tilde p}$ とおく。別の点 $g\tilde p$ を選んでも、$\pi\circ g=\pi$ から $d\pi_{g\tilde p}\circ dg_{\tilde p}=d\pi_{\tilde p}$ であり、$g^*\sigma=\sigma$ なので同じ値になる。$\pi$ が同相に写る開集合 $W\subset\widetilde M$ の上では $\omega=\bigl((\pi|_W)^{-1}\bigr)^*\sigma$ なので $\omega$ は滑らかで、$0$ にならない。よって $M$ は向き付け可能である。有限群の場合、$g^*\sigma'=\sum_{g'}(g'g)^*\sigma=\sigma'$ であり、$\sigma'=\bigl(\sum_{g'}h_{g'}\bigr)\sigma$ の係数は正の関数の和なので $0$ にならない。$\square$
4. レンズ空間 $L(p;q_1,\dots,q_n)=S^{2n-1}/(\mathbb{Z}/p)$(レンズ空間):各元は $\mathbb{C}^n$ のユニタリな複素線形写像 $g$ の制限で、lem-orientable-manifold-complex-det により $\det_{\mathbb{R}}g=\lvert\det g\rvert^2=1$ である。$(g^*\sigma)_p(v)=\det(gp,gv_1,\dots,gv_{2n-1})=\det_{\mathbb{R}}g\cdot\det(p,v_1,\dots,v_{2n-1})=\sigma_p(v)$ なので $\sigma$ は不変であり、レンズ空間は向き付け可能である(レンズ空間 の注意「微分構造・向き・Riemann 計量」と同じ結論)。
5. Klein の壺:$\mathbb{R}^2$ に $\tau(x,y)=(x+1,-y)$ と $s(x,y)=(x,y+1)$ で生成される群を作用させた商(コンパクトな 2 次元多様体)を Klein の壺という。$\tau$ が向きを反転するので向き付け不可能である。
Möbius の帯で、座標の枠や法線ベクトルを一周運ぶと向きが反転する様子
左は Möbius の帯の基本領域で、右端 $(1,y)$ を左端 $(0,-y)$ に貼る。貼り合わせの写像の Jacobi 行列は $\operatorname{diag}(1,-1)$ なので、右端の近くの基底 $(e_1,e_2)$ は左端の近くでは $(e_1,-e_2)$ として現れる。右は $\mathbb{R}^3$ の中の Möbius の帯で、中心線に沿って単位法線を連続に運ぶと、同じ点に戻ったとき逆向きになる。したがってこの曲面には至るところ $0$ でない連続な法線ベクトル場がなく、prop-orientable-manifold-hypersurface の仮定が破れている。
曲面は $(u,v)\mapsto\bigl((1+v\cos\tfrac u2)\cos u,\ (1+v\cos\tfrac u2)\sin u,\ v\sin\tfrac u2\bigr)$($\lvert v\rvert<\tfrac13$)の像で、$(u,v)$ と $(u+2\pi,-v)$ が同じ点を表す。中心線 $v=0$ の点 $u$ での単位法線を、$u$ と $v$ についての偏微分の外積を正規化して $n(u)$ とすると、$n$ は $u$ について連続で、$n(0)=(0,0,-1)$、$n(2\pi)=(0,0,1)$ である($u=0$ では偏微分は $(0,1,0)$ と $(1,0,0)$、$u=2\pi$ では $(0,1,0)$ と $(-1,0,0)$)。中心線に沿う連続な単位法線は $\pm n(u)$ のどちらかを連続に選んだものしかないので、点 $(1,0,0)$ で値が食い違い、連続な法線ベクトル場は存在しない。
滑らかな構造がなくても、向きはホモロジーで定義できる。$M$ を $n\ge1$ 次元の位相多様体とし、特異ホモロジーの係数は $\mathbb{Z}$ とする。各点 $x$ で $H_n(M,M\setminus\{x\})\cong\mathbb{Z}$ であり、$x$ のまわりの座標近傍 $\mathbb{R}^n$ の中の有限半径の開球 $B\ni y$ について、包含が誘導する $H_n(M,M\setminus B)\to H_n(M,M\setminus\{y\})$ は同型である(Poincaré双対 の補題「局所ホモロジーの計算」とその後の説明)。
点 $x\in M$ における 局所的な向き とは、無限巡回群 $H_n(M,M\setminus\{x\})$ の生成元 $\mu_x$ のことである。$M$ の 向き とは、各点 $x$ に局所的な向き $\mu_x$ を対応させる関数で、次の局所整合性をみたすものをいう:各 $x$ に、$x$ のまわりの座標近傍 $\mathbb{R}^n\subset M$ の中の有限半径の開球 $B\ni x$ と $\mu_B\in H_n(M,M\setminus B)$ があり、すべての $y\in B$ について $\mu_B$ の $H_n(M,M\setminus\{y\})$ への像が $\mu_y$ である。向きをもつ位相多様体を 向き付け可能 であるという。
これは Poincaré双対 の定義「局所的な向きと向き付け」の $R=\mathbb{Z}$ の場合であり、Hat02 §3.3(p. 234)の定義である。係数環 $R$ の場合は生成元を $R$ の単元倍に替えて $R$ 向きを定める。$\mathbb{Z}/2$ では生成元がただ 1 つなので、すべての位相多様体は $\mathbb{Z}/2$ 向き付け可能である。連結な多様体が $R$ 向き付け可能であることは、向き付け可能であるか、$R$ で $2=0$ であることと同値である(Hat02 p. 235)。
$\widetilde M:=\{\mu_x\mid x\in M,\ \mu_x\text{ は }x\text{ における局所的な向き}\}$ とおき、$\mu_x\mapsto x$ を $\pi\colon\widetilde M\to M$ とする。座標近傍の中の有限半径の開球 $B$ と生成元 $\mu_B\in H_n(M,M\setminus B)$ に対し、$\mu_B$ の像になっている $\mu_x$($x\in B$)の全体を $U(\mu_B)$ とすると、これらを基とする位相で $\pi$ は 2 重の被覆写像になる(Hat02 §3.3、p. 234)。これを 向きの 2 重被覆(orientation double cover)という。定義から、$M$ の向きとは、この被覆の連続な切断 $s\colon M\to\widetilde M$($\pi\circ s=\mathrm{id}$)のことにほかならない(Hat02 p. 235)。向き $s$ に対し、$x\mapsto-\mu_x$ も向きであり、これを $-s$ と書く。
$M$ を連結な位相多様体とする。
1:向き $s$ があるとする。各点の局所整合性から、$s(M)$ は基の開集合 $U(\mu_B)$ の和であり開集合である。同様に $(-s)(M)$ も開集合で、各ファイバーは $\{\mu_x,-\mu_x\}$ なので $\widetilde M=s(M)\sqcup(-s)(M)$ と 2 つの空でない開集合に分かれる。よって $\widetilde M$ は連結でない。
逆に $\widetilde M$ が空でない開集合 $A$、$A'$ に分かれたとすると、各ファイバーは $A$ とちょうど 1 点で交わり、その点を選ぶ写像が向きになる。また 2 つの向き $s,s'$ が一致する点の集合と $s'=-s$ となる点の集合はともに開集合なので、$M$ が連結なら $s'=\pm s$ である。
$\widetilde M=A\sqcup A'$ と空でない開集合に分かれたとする。$x\in M$ に $m(x):=\lvert\pi^{-1}(x)\cap A\rvert\in\{0,1,2\}$ を対応させる。$x$ のまわりの座標近傍の中の開球 $B$ の上では $\pi^{-1}(B)$ は $B$ と同相な 2 枚のシートに分かれ、各シートは連結なので $A$ か $A'$ の一方に含まれる。よって $m$ は局所定数で、$M$ は連結だから定数である。$m\equiv2$ なら $A'=\emptyset$、$m\equiv0$ なら $A=\emptyset$ となるので $m\equiv1$ であり、$s(x):=(\pi^{-1}(x)\cap A\text{ の唯一の元})$ は、各 $B$ の上で $A$ に含まれるシートへの $\pi$ の逆写像に一致するので連続な切断、すなわち向きである。
向きが 2 つであること:向き $s,s'$ について、連結な $B$ の像 $s(B)$、$s'(B)$ はそれぞれどちらか 1 枚のシートに含まれるので、$\{x\mid s'(x)=s(x)\}$ と $\{x\mid s'(x)=-s(x)\}$ はともに開集合であり、$M$ を分ける。$M$ は連結なので、$s'=s$ か $s'=-s$ である。
この定理は Hat02 Proposition 3.25(p. 234)である。2 は十分条件であって必要条件ではない(反例の節の 4 行目)。
閉多様体では、向き付け可能性は最高次のホモロジーに現れる。
$M$ を連結な $n$ 次元閉多様体(コンパクトで境界のない多様体)とすると、$H_n(M;\mathbb{Z})$ は $M$ が向き付け可能なら $\mathbb{Z}$、向き付け不可能なら $0$ である。向き付け可能なとき、生成元(基本類 $[M]$)の選び方と向きとは 1 対 1 に対応し、$[M]$ の $H_n(M,M\setminus\{x\})$ への像が各点の局所的な向きを与える。どの閉多様体でも $H_n(M;\mathbb{Z}/2)\cong\mathbb{Z}/2$ である。
Hat02 Theorem 3.26(p. 236)とその後の説明による。Poincaré双対 の定理「基本類の存在と一意性」が係数環 $R$ で同じ主張を述べている。証明は、コンパクト集合 $A$ について $H_n(M,M\setminus A)$ を Mayer–Vietoris 完全列で調べる補題(Hat02 Lemma 3.27)による。$\mathbb{RP}^n$ では $H_n(\mathbb{RP}^n;\mathbb{Z})$ は $n$ が奇数で $\mathbb{Z}$、偶数で $0$ であり(射影空間 の定理「ホモロジー群と向き付け」)、ex-orientable-manifold-quotients の 2 と一致する。
滑らかな多様体は位相多様体でもあるので、2 つの定義が両方使える。両者は一致する。
$\mathbb{R}^n$ の局所的な向きを次のように揃える。原点での生成元 $\mu_0\in H_n(\mathbb{R}^n,\mathbb{R}^n\setminus\{0\})$ を 1 つ固定し、点 $a$ では、$0$ と $a$ を含む開球 $B$ をとって、同型 $H_n(\mathbb{R}^n,\mathbb{R}^n\setminus B)\to H_n(\mathbb{R}^n,\mathbb{R}^n\setminus\{z\})$($z=0,a$)で $\mu_0$ を移したものを $\mu_a$ とする($B$ の取り方によらない。Hat02 p. 233)。これは $\mathbb{R}^n$ の位相的な向きであり、以下これを 標準の局所的な向き と呼ぶ。滑らかな多様体 $M$ の局所座標 $(U;x)$ と $p\in U$ について、切除による同型
$$
H_n(M,M\setminus\{p\})\cong H_n(U,U\setminus\{p\})\xrightarrow{\ x_*\ }H_n\bigl(x(U),x(U)\setminus\{x(p)\}\bigr)\cong H_n\bigl(\mathbb{R}^n,\mathbb{R}^n\setminus\{x(p)\}\bigr)
$$
で $\mu_{x(p)}$ に対応する生成元を、$(U;x)$ が $p$ に定める局所的な向きという。
$M$ を $n\ge1$ 次元の滑らかな多様体とする。
要点:1 は、$\varphi$ を $a$ の近くで微分 $D\varphi(a)$ に変形し、線形写像を Gram–Schmidt の方法で直交行列に変形して、回転は局所的な向きを保ち鏡映は反転する(Hat02 p. 233)ことに帰着させる。2 は 1 から、正の向きどうしの座標変換が局所的な向きを保つことによる。
段 1(向きの押し出し).同相写像 $h\colon W\to W'$ は局所ホモロジーの同型 $h_*$ を誘導し、$W$ の向き $x\mapsto\mu_x$ を $W'$ の向き $h(x)\mapsto h_*\mu_x$ に写す(局所整合性は $h(B)$ に含まれる開球をとれば保たれる)。$h_*\mu_x=\varepsilon_h(x)\,\mu_{h(x)}$ で $\varepsilon_h(x)\in\{\pm1\}$ を定めると、thm-orientable-manifold-double-cover の 1 の最後の段落と同じ議論(2 つの向きが一致する点の集合と、符号が逆になる点の集合はともに開集合)により $\varepsilon_h$ は局所定数である。$(h'\circ h)_*=h'_*\circ h_*$ から $\varepsilon_{h'\circ h}(x)=\varepsilon_{h'}(h(x))\,\varepsilon_h(x)$ である。
段 2(平行移動と線形写像).$\mathbb{R}^n$ は連結なので、$\mathbb{R}^n$ の同相写像 $h$ について $\varepsilon_h$ は定数である。平行移動 $\tau_v(x)=x+v$ は $\tau_{v/2}\circ\tau_{v/2}$ なので $\varepsilon_{\tau_v}=\varepsilon_{\tau_{v/2}}^2=1$ である。$A\in GL_n(\mathbb{R})$ を QR 分解(Gram–Schmidt の方法)で $A=QR$($Q$ は直交行列、$R$ は対角成分が正の上三角行列)と書くと、$A_s:=Q\bigl((1-s)R+sI\bigr)$($0\le s\le1$)はすべて可逆で、原点を原点に、原点以外を原点以外に写す。よって対 $(\mathbb{R}^n,\mathbb{R}^n\setminus\{0\})$ の写像のホモトピーになり、$A_*=Q_*$ である。$\det Q$ は $\det A$ と同符号で、$\det Q=1$ なら $Q$ は回転、$\det Q=-1$ なら回転と鏡映の合成であり、回転は $\mu_0$ を保ち鏡映は $-\mu_0$ に写す(Hat02 p. 233)。よって $\varepsilon_A=\operatorname{sgn}\det A$ である。アフィン写像 $L(x)=b+A(x-a)=\tau_b\circ A\circ\tau_{-a}(x)$ については、段 1 の積の公式から $\varepsilon_L=\operatorname{sgn}\det A$ である。
段 3(1 の証明).$a$ を中心とする開球 $B\subset W$ をとり、$0< t\le1$ について $\varphi_t(x):=\varphi(a)+\bigl(\varphi(a+t(x-a))-\varphi(a)\bigr)/t$、$\varphi_0(x):=\varphi(a)+D\varphi(a)(x-a)$($x\in B$)とおく。$\varphi_t(x)-\varphi(a)=\int_0^1D\varphi\bigl(a+st(x-a)\bigr)(x-a)\,ds$ なので $(x,t)\mapsto\varphi_t(x)$ は $B\times[0,1]$ 上で連続である。$\varphi$ は単射で $D\varphi(a)$ は可逆なので、$\varphi_t(x)=\varphi(a)$ となるのは $x=a$ のときだけである。よって $\varphi_t$ は対の写像 $(B,B\setminus\{a\})\to(\mathbb{R}^n,\mathbb{R}^n\setminus\{\varphi(a)\})$ のホモトピーであり、局所ホモロジーでは $\varphi_*=(\varphi_0)_*$ となる。$\varphi_0$ はアフィン写像なので段 2 により $\varepsilon_\varphi(a)=\operatorname{sgn}\det D\varphi(a)$ である。
段 4(2 の証明).正の向きの局所座標 $(U;x)$、$(V;y)$ と $p\in U\cap V$ について、両者が $p$ に定める局所的な向きの比は、座標変換 $y\circ x^{-1}$ に 1 を当てた $\operatorname{sgn}\det(\partial y^i/\partial x^j)(x(p))=1$ なので、局所的な向きは局所座標によらない。1 つの局所座標の中では、局所的な向きは $\mathbb{R}^n$ の標準の局所的な向きを同相写像で移したものなので局所整合的である。逆に位相的な向き $x\mapsto\mu_x$ が与えられたとき、定義域が連結な局所座標 $(U;x)$ が定める局所的な向きが $\mu_p$ と一致する点の集合は、段 1 と同じ理由で $U$ の開かつ閉な部分集合なので、$U$ 全体か空である。空なら $x^1$ を $-x^1$ に替えれば(鏡映なので)全体になる。こうして $\mu$ と一致する局所座標の族は $M$ を覆い、その座標変換は 1 により $\operatorname{sgn}\det=1$ をみたすので向き付けられた座標近傍系である。2 つの構成は互いに逆である。$\square$
この命題により、滑らかな多様体では「向き付け可能」がどちらの意味でも同じになる。以下では区別しない。
| 期待すること | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 局所的に向き付け可能なら大域的にも向き付け可能 | Möbius の帯、$\mathbb{RP}^2$ | どの点も $\mathbb{R}^n$ と同相な近傍(向き付け可能)をもつが、全体は向き付け不可能 |
| 閉曲面・閉多様体は向き付け可能 | $\mathbb{RP}^2$、Klein の壺、$\mathbb{RP}^{2m}$ | コンパクトで境界がなくても向き付け不可能 |
| 向き付け可能な多様体の商は向き付け可能 | $S^2\to\mathbb{RP}^2$ | 被覆する側 $S^2$ は向き付け可能だが、商 $\mathbb{RP}^2$ は向き付け不可能 |
| 基本群が指数 $2$ の部分群をもてば向き付け不可能 | $T^2$、$\mathbb{RP}^3$ | 基本群 $\mathbb{Z}^2$、$\mathbb{Z}/2$ は指数 $2$ の部分群をもつが向き付け可能 |
| $\mathbb{Z}/2$ で向きがあれば $\mathbb{Z}$ でも向きがある | $\mathbb{RP}^2$ | すべての多様体は $\mathbb{Z}/2$ 向き付け可能だが、$\mathbb{RP}^2$ は $\mathbb{Z}$ 向き付け不可能 |
表の 1 行目がいちばん基本的である。Möbius の帯と $\mathbb{RP}^2$ は向き付け不可能だが(ex-orientable-manifold-quotients の 2・3)、どの多様体でも座標近傍は $\mathbb{R}^n$ の開集合と微分同相で、ex-orientable-manifold-basic の 1 により向き付け可能である。満たす性質は「各点が向き付け可能な開近傍をもつ」、破る含意は「局所的に向き付け可能 $\Rightarrow$ 向き付け可能」である。向き付け可能性は、向きを全体で揃えられるかという大域的な性質である。
2 行目:$\mathbb{RP}^2$、Klein の壺、$\mathbb{RP}^{2m}$ はコンパクトで境界がない(Klein の壺は正方形 $[0,1]^2$ の像で覆われるのでコンパクト)。向き付け不可能であることは ex-orientable-manifold-quotients の 2・5 による。閉多様体の向き付け可能性は thm-orientable-manifold-top-homology のとおり $H_n(M;\mathbb{Z})$ で判定される。
3 行目:$S^2$ は向き付け可能(ex-orientable-manifold-sphere)で、$\pi\colon S^2\to\mathbb{RP}^2$ は局所微分同相な 2 重被覆だが、$\mathbb{RP}^2$ は向き付け不可能である。破れているのは prop-orientable-manifold-quotient の 2 の仮定(対蹠写像が向きを保つこと)である。逆向きの含意「底が向き付け可能なら被覆する側も向き付け可能」は正しい(局所微分同相で体積形式を引き戻せばよい)。
4 行目:$T^2$ と $\mathbb{RP}^3$ は向き付け可能(ex-orientable-manifold-quotients の 1・2)で、基本群は $\mathbb{Z}^2$、$\mathbb{Z}/2$ である(後者は 射影空間 の定理「被覆写像と基本群」)。thm-orientable-manifold-double-cover の 2 は十分条件であり、その逆は成り立たない。
5 行目:$\mathbb{Z}/2$ 向き付け可能性は、def-orientable-manifold-topological の後の説明のとおり、生成元がただ 1 つであることから自動的に成り立つ。$\mathbb{RP}^2$ では $H_2(\mathbb{RP}^2;\mathbb{Z}/2)\cong\mathbb{Z}/2$ だが $H_2(\mathbb{RP}^2;\mathbb{Z})=0$ である(thm-orientable-manifold-top-homology)。
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