Kolmogorov–Riesz–Fréchetの定理

同義語:Kolmogorov–Rieszの定理Kolmogorov–Rieszのコンパクト性定理Fréchet–Kolmogorovの定理Kolmogorov–Riesz–Fréchet theoremKolmogorov–Riesz compactness theoremFréchet–Kolmogorov theorem

概要

Kolmogorov–Riesz–Fréchetの定理(Kolmogorov–Riesz–Fréchet theorem)とは、$1\le p<\infty$ のとき、$L^p(\mathbb{R}^N)$ の部分集合が相対コンパクトであるための必要十分条件を、有界性、平行移動についての一様な連続性、裾の一様な小ささの 3 条件で与える定理である。連続関数の空間での Arzelà–Ascoli の定理にあたり、裾の条件を外しても、測度有限な集合へ制限した族は相対コンパクトになる。可積分関数との畳み込みの像のコンパクト性や、Sobolev 空間の埋め込みのコンパクト性(Rellich–Kondrachov の定理)の証明に使われる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: Lp空間, 全有界, 完備距離空間, Hölderの不等式

何を述べる定理か

関数の族からノルムで収束する部分列を取り出せるかどうかは、微分方程式の解の存在証明などでくり返し問われる。連続関数の空間 $C(K)$($K$ はコンパクト距離空間)では、Arzelà–Ascoliの定理 が「一様有界かつ同程度連続なら相対コンパクト」と答える。Kolmogorov–Riesz–Fréchetの定理は、$1\le p<\infty$ の $L^p(\mathbb{R}^N)$ で同じ問いに答える。$L^p(\mathbb{R}^N)$ の部分集合 $\mathcal F$ がノルム位相で相対コンパクト(閉包がコンパクト)であるための必要十分条件は、次の 3 つである。

  • (A) $\mathcal F$ は有界である。
  • (B) 平行移動について一様に連続である:$\sup_{f\in\mathcal F}\|f(\cdot+h)-f\|_p\to0$($h\to0$)。
  • (C) 裾が一様に小さい:$\sup_{f\in\mathcal F}\int_{|x|>R}|f|^p\to0$($R\to\infty$)。
    (B) は同程度連続性を積分の形にしたものである。$C(K)$ と違って $\mathbb{R}^N$ はコンパクトでないので、質量が無限遠へ逃げないことを求める (C) が加わる。(C) を外しても、測度有限な集合へ制限した族は相対コンパクトになる(cor-krf-finite)。
    名前の付け方は文献によって異なり、Kolmogorov–Riesz の定理、Fréchet–Kolmogorov の定理などとも呼ばれる。A. N. Kolmogorov は 1931 年に、$1< p<\infty$ で台が共通の有界集合に入る族の相対コンパクト性を、(B) の代わりに球の上の平均による条件で特徴づけた。M. Riesz は 1933 年に $1\le p<\infty$ の場合をほぼこの記事の形で示した。M. Fréchet は数列空間 $\ell^2$ での類似や、後の一般化に名を残している(HOH10 §4)。

設定

以下、$1\le p<\infty$ とし、$\mathbb{R}^N$ に Lebesgue 測度を入れる。可測集合 $E$ の測度を $|E|$ と書く。$h\in\mathbb{R}^N$ について平行移動を $(\tau_hf)(x):=f(x+h)$ と書く。Lebesgue 測度は平行移動で変わらないので $\|\tau_hf\|_p=\|f\|_p$ である($\tau_hf$ を $f(x-h)$ と定める流儀でも、条件 (B) は同じである)。可測集合 $E$ について、$f\in L^p(\mathbb{R}^N)$ の $E$ への制限を $f|_E$、族の制限を $\mathcal F|_E:=\{f|_E:f\in\mathcal F\}\subset L^p(E)$ と書く。

3 つの条件

$\mathcal F\subset L^p(\mathbb{R}^N)$ について、次の条件を考える。

  • (A) 有界性:$\sup_{f\in\mathcal F}\|f\|_p<\infty$。
  • (B) 平行移動についての一様な連続性:任意の $\varepsilon>0$ に対し $\delta>0$ があって、$|h|<\delta$ となるすべての $h\in\mathbb{R}^N$ とすべての $f\in\mathcal F$ について $\|\tau_hf-f\|_p<\varepsilon$。
  • (C) 裾の一様な評価:任意の $\varepsilon>0$ に対し有界な可測集合 $\Omega\subset\mathbb{R}^N$ があって、すべての $f\in\mathcal F$ について $\|f\|_{L^p(\mathbb{R}^N\setminus\Omega)}<\varepsilon$。

1 つの関数についての (B) は 軟化子 の記事の補題「平行移動の連続性」である:$f\in L^p(\mathbb{R}^N)$ なら $\|\tau_hf-f\|_p\to0$($h\to0$)。1 つの関数についての (C) は、$|f|^p\mathbf 1_{\{|x|>R\}}$ に 優収束定理 を使えばわかる。
距離空間の部分集合 $S$ が全有界であるとは、任意の $\varepsilon>0$ に対し、有限個の点 $g_1,\dots,g_k$ があって $S$ が半径 $\varepsilon$ の球 $B(g_j,\varepsilon)$ の和に含まれることをいう(中心を $S$ の点に限っても、半径を $2\varepsilon$ にすれば同じ条件になる)。完備距離空間の部分集合が相対コンパクトであることと、全有界であることは同値である(全有界 の記事の系「完備距離空間の中の全有界集合」)。$L^p$ は完備なので(Riesz–Fischerの定理)、以下では全有界性を示せばよい。

主定理

主定理の十分性の要は、有界な立方体の上では (A)(B) だけで全有界性が出ることである。立方体を小さな立方体に分け、各小立方体の上で平均をとる作用素で有限次元の空間へ写す。

有界な立方体への制限

$\mathcal F\subset L^p(\mathbb{R}^N)$ が (A) と (B) を満たすとする。このとき、任意の $R>0$ について、$K:=[-R,R)^N$ への制限 $\mathcal F|_K$ は $L^p(K)$ で全有界である。

$M:=\sup_{f\in\mathcal F}\|f\|_p$ と置き、$\varepsilon>0$ とする。(B) の $\delta$ をとり、自然数 $m$ を $a:=2R/m$ が $a\sqrt N<\delta$ を満たすように選ぶ。$K$ を一辺 $a$ の半開の立方体 $Q_1,\dots,Q_{m^N}$(各座標で $[-R+ka,-R+(k+1)a)$、$0\le k< m$ の積)に分け、
$$ Pf:=\sum_{i=1}^{m^N}\Bigl(\frac1{a^N}\int_{Q_i}f(z)\,dz\Bigr)\mathbf 1_{Q_i} $$
と置く。$Pf$ は $f|_K$ だけで決まり、有限次元の空間 $V:=\operatorname{span}\{\mathbf 1_{Q_i}\}\subset L^p(K)$ に入る。
$P$ の有界性。$x\in Q_i$ について、確率測度 $a^{-N}dz$ についての Hölder の不等式から $|Pf(x)|^p\le a^{-N}\int_{Q_i}|f(z)|^p\,dz$ である。$Q_i$ の上で積分して足すと $\|Pf\|_{L^p(K)}\le\|f\|_{L^p(K)}\le M$ である。
$f$ と $Pf$ の差。$x\in Q_i$ なら $f(x)-Pf(x)=a^{-N}\int_{Q_i}(f(x)-f(z))\,dz$ なので、同じ Hölder の不等式から
$$ |f(x)-Pf(x)|^p\le\frac1{a^N}\int_{Q_i}|f(x)-f(z)|^p\,dz\le\frac1{a^N}\int_D|f(x+h)-f(x)|^p\,dh $$
である。ここで $z=x+h$ と置換し、$x,z\in Q_i$ なら $h=z-x$ が $D:=(-a,a)^N$ に入ることを使った。$x\in Q_i$ について積分して $i$ について足し、Tonelli の定理で積分の順序を交換すると
$$ \|f-Pf\|_{L^p(K)}^p\le\frac1{a^N}\int_D\int_{\mathbb{R}^N}|f(x+h)-f(x)|^p\,dx\,dh=\frac1{a^N}\int_D\|\tau_hf-f\|_p^p\,dh $$
である。$h\in D$ なら $|h|< a\sqrt N<\delta$ なので $\|\tau_hf-f\|_p<\varepsilon$ であり、$|D|=(2a)^N$ だから $\|f-Pf\|_{L^p(K)}\le2^{N/p}\varepsilon$ がすべての $f\in\mathcal F$ で成り立つ。
結論。$P(\mathcal F)$ は有限次元のノルム空間 $V$ の有界集合なので全有界である(有限次元のノルムはすべて同値で、全有界 の記事の例「Euclid空間の有界集合」による)。$V$ の有限個の点 $v_1,\dots,v_k$ で、$P(\mathcal F)$ が半径 $\varepsilon$ の球 $B(v_j,\varepsilon)$ の和に含まれるものをとる。$f\in\mathcal F$ について $\|Pf-v_j\|<\varepsilon$ となる $j$ を選ぶと、$\|f|_K-v_j\|_{L^p(K)}\le2^{N/p}\varepsilon+\varepsilon$ である。$\varepsilon$ は任意なので、$\mathcal F|_K$ は全有界である。$\square$

Kolmogorov–Riesz–Fréchetの定理

$1\le p<\infty$ とし、$\mathcal F\subset L^p(\mathbb{R}^N)$ とする。$\mathcal F$ が $L^p(\mathbb{R}^N)$ で相対コンパクトであるための必要十分条件は、def-krf-conditions の (A)(B)(C) がすべて成り立つことである。

十分性。(A)(B)(C) を仮定し、$\varepsilon>0$ とする。(C) の有界集合 $\Omega$ を含む立方体 $K=[-R,R)^N$ をとると、すべての $f\in\mathcal F$ で $\|f\|_{L^p(\mathbb{R}^N\setminus K)}<\varepsilon$ である。lem-krf-cube により、$g_1,\dots,g_k\in L^p(K)$ で、各 $f\in\mathcal F$ に $\|f|_K-g_j\|_{L^p(K)}<\varepsilon$ となる $j$ があるものがとれる。$g_j$ を $K$ の外で $0$ として延ばした関数を $\bar g_j$ とすると
$$ \|f-\bar g_j\|_p^p=\|f|_K-g_j\|_{L^p(K)}^p+\|f\|_{L^p(\mathbb{R}^N\setminus K)}^p<2\varepsilon^p $$
である。よって $\mathcal F$ は全有界であり、$L^p(\mathbb{R}^N)$ の完備性から相対コンパクトである。
必要性。$\mathcal F$ が相対コンパクトなら全有界である。(A):半径 $1$ の球の有限個 $B(g_j,1)$ で覆えば $\|f\|_p<1+\max_j\|g_j\|_p$ である。(B):$\varepsilon>0$ に対し、$\mathcal F$ を半径 $\varepsilon/3$ の球 $B(g_j,\varepsilon/3)$($j=1,\dots,k$)で覆う。1 つの関数についての平行移動の連続性から、$|h|<\delta_j$ で $\|\tau_hg_j-g_j\|_p<\varepsilon/3$ となる $\delta_j>0$ があり、$\delta:=\min_j\delta_j$ とする。$f\in B(g_j,\varepsilon/3)$ と $|h|<\delta$ について
$$ \|\tau_hf-f\|_p\le\|\tau_h(f-g_j)\|_p+\|\tau_hg_j-g_j\|_p+\|g_j-f\|_p<\varepsilon $$
である。(C):同じ被覆をとり、各 $g_j$ について $\|g_j\|_{L^p(\{|x|>R_j\})}<\varepsilon/3$ となる $R_j$ をとる。$\Omega:=\overline B(0,\max_jR_j)$ とすれば、$f\in B(g_j,\varepsilon/3)$ について $\|f\|_{L^p(\mathbb{R}^N\setminus\Omega)}\le\|f-g_j\|_p+\|g_j\|_{L^p(\mathbb{R}^N\setminus\Omega)}<\varepsilon$ である。$\square$

測度有限な集合への制限

(C) を仮定しなくても、測度有限な集合の上に制限すれば相対コンパクトになる。このほうが応用で使いやすいことが多い。

測度有限な集合への制限

$1\le p<\infty$ とし、$\mathcal F\subset L^p(\mathbb{R}^N)$ が (A) と (B) を満たすとする。このとき、$|\Omega|<\infty$ となる任意の可測集合 $\Omega\subset\mathbb{R}^N$ について、$\mathcal F|_\Omega$ は $L^p(\Omega)$ で相対コンパクトである。$\Omega$ は有界でなくてよい。

$M:=\sup_{f\in\mathcal F}\|f\|_p$ とし、$\varepsilon>0$ をとる。$\rho>0$ を、$|h|<\rho$ なら $\mathcal F$ 全体で $\|\tau_hf-f\|_p<\varepsilon$ となるように選ぶ。中心 $0$、半径 $\rho$ の球を $B_\rho$ とし、球の上の平均
$$ A f(x):=\frac1{|B_\rho|}\int_{B_\rho}f(x+h)\,dh $$
を考える。Hölder の不等式から、すべての $x$ で $|Af(x)|\le|B_\rho|^{-1/p}\|f\|_p\le|B_\rho|^{-1/p}M$ である。また prf-krf-cube と同じく、確率測度 $|B_\rho|^{-1}dh$ についての Hölder の不等式と Tonelli の定理から
$$ \|Af-f\|_p^p\le\frac1{|B_\rho|}\int_{B_\rho}\|\tau_hf-f\|_p^p\,dh<\varepsilon^p $$
である。$|\Omega|<\infty$ なので、$R\to\infty$ のとき $|\Omega\setminus[-R,R)^N|\to0$ である(測度の上からの連続性)。$|B_\rho|^{-1/p}M\,|\Omega\setminus K|^{1/p}<\varepsilon$ となる立方体 $K=[-R,R)^N$ をとると、すべての $f\in\mathcal F$ で
$$ \|f\|_{L^p(\Omega\setminus K)}\le\|f-Af\|_p+\|Af\|_{L^p(\Omega\setminus K)}<2\varepsilon $$
である。lem-krf-cube により $\mathcal F|_K$ は全有界であり、$L^p(K)$ から $L^p(\Omega\cap K)$ への制限は距離を増やさないので $\mathcal F|_{\Omega\cap K}$ も全有界である。あとは prf-krf-main の十分性と同じく、$\Omega\cap K$ の外を $0$ で延ばして $\mathcal F|_\Omega$ の全有界性を得る。$L^p(\Omega)$ は完備なので、$\mathcal F|_\Omega$ は相対コンパクトである。$\square$

$\Omega$ が有界なら、$K\supset\Omega$ ととれば lem-krf-cube だけで済む。有界な領域 $\Omega$ 上の関数の族を扱うときは、関数を $\mathbb{R}^N$ へ延ばしてから (A)(B) を確かめ、$\Omega$ に制限する、という使い方をする。

例:畳み込みの像

可積分関数との畳み込みの像

$G\in L^1(\mathbb{R}^N)$ を固定し、$\mathcal B\subset L^p(\mathbb{R}^N)$ を有界集合とする($1\le p<\infty$)。$\mathcal F:=\{G*u:u\in\mathcal B\}$ と置くと、$|\Omega|<\infty$ となる任意の可測集合 $\Omega$ について $\mathcal F|_\Omega$ は $L^p(\Omega)$ で相対コンパクトである。
実際、Youngの畳み込み不等式 の $q=1$ の場合から $\|G*u\|_p\le\|G\|_1\|u\|_p$ なので (A) が成り立つ。また
$$ \tau_h(G*u)(x)=\int G(x+h-y)u(y)\,dy=\bigl((\tau_hG)*u\bigr)(x) $$
なので、同じ不等式から
$$ \|\tau_h(G*u)-G*u\|_p=\|(\tau_hG-G)*u\|_p\le\|\tau_hG-G\|_1\,\|u\|_p $$
である。右辺は $u\in\mathcal B$ について一様に $h\to0$ で $0$ に近づくので (B) が成り立ち、cor-krf-finite が使える。
$G$ と $u$ の役割を替えて、$G\in L^p$ を固定し $\mathcal B$ を $L^1$ の有界集合としても、同じ評価 $\|(\tau_hG-G)*u\|_p\le\|\tau_hG-G\|_p\|u\|_1$ によって同じ結論が得られる。

Sobolev 空間への応用

Sobolev 空間の埋め込みがコンパクトであること(Rellichの定理)は、この定理から示せる。有界な領域上の $W^{1,p}$ の有界集合を $\mathbb{R}^N$ へ延長し、勾配の $L^p$ ノルムで $\|\tau_hf-f\|_p\le|h|\,\|\nabla f\|_p$ と評価して (B) を確かめる、という筋である。$C^1$ 級の境界をもつ有界な領域での Rellich–Kondrachov の定理は Bre11 Theorem 9.16 にあり、証明(pp. 285–286)はこの記事の cor-krf-finite にあたる同書 Theorem 4.26 による。1 次元の $W^{1,1}$ の場合も、同書 Theorem 8.8 の (7) の証明(pp. 213–214)が同じ道をとる。この記事ではこれらを証明しない。

反例の表

外す条件反例成り立たなくなること
(B) 平行移動についての一様な連続性$(0,1)$ の外で $0$ とした Rademacher 関数 $r_n(x)=(-1)^{\lfloor2^nx\rfloor}$$\{r_n\}$ の相対コンパクト性
(C) 裾の一様な評価$\varphi\in C_c(\mathbb{R})$、$\varphi\ne0$ の平行移動 $\varphi_n(x)=\varphi(x+n)$$\{\varphi_n\}$ の相対コンパクト性
cor-krf-finite の $\lvert\Omega\rvert<\infty$2 行目の族と $\Omega=\mathbb{R}$$\mathcal F\vert_\Omega$ の相対コンパクト性
$p<\infty$($p=\infty$ にする)$L^\infty(\mathbb{R})$ の 1 点からなる族 $\{\mathbf 1_{[0,1]}\}$(B) が相対コンパクト性から従うこと(必要性)

1 行目:$|r_n|\le1$ で台は $[0,1]$ なので (A)(C) は成り立つ。$n\ne m$ なら $|r_n-r_m|$ は $(0,1)$ のちょうど半分で $2$、残りで $0$ なので(一様可積分性 の記事の例「一様可積分だがノルム位相で相対コンパクトでない族」と同じ計算)、$\|r_n-r_m\|_p=2^{1-1/p}\ge1$ である。どの部分列も Cauchy 列でない。定理により (B) は成り立たない。
2 行目:$\|\varphi_n\|_p=\|\varphi\|_p$、$\|\tau_h\varphi_n-\varphi_n\|_p=\|\tau_h\varphi-\varphi\|_p$ なので (A)(B) は成り立つ。$\varphi$ の台が長さ $L$ の区間に入るなら、$|n-m|>L$ のとき $\varphi_n,\varphi_m$ の台は交わらず、$\|\varphi_n-\varphi_m\|_p=2^{1/p}\|\varphi\|_p>0$ である。どの部分列も Cauchy 列でない。定理により (C) は成り立たない。
3 行目は 2 行目と同じである。4 行目:1 点からなる族はコンパクトだが、$0< h<1$ なら $\tau_h\mathbf 1_{[0,1]}-\mathbf 1_{[0,1]}$ は区間 $[-h,0)$ の上で $1$ なので $\|\tau_h\mathbf 1_{[0,1]}-\mathbf 1_{[0,1]}\|_\infty=1$ である。

補足

証明の方針の違い

Bre11 では、cor-krf-finite を 軟化子 で示している。$\rho_n*f$ は (B) により $f$ に一様に近く、$\rho_n*f$ の族は一様有界で共通の Lipschitz 定数をもつので、有界な集合の上で Arzelà–Ascoliの定理 が使える。この記事では、小立方体の上での平均という有限次元への写像を使い、Arzelà–Ascoli の定理を経由しなかった。この方針は HOH10 の Theorem 5 の証明による。

文献

Bre11 は §4.5(pp. 111–114)で、cor-krf-finite を Theorem 4.26(Kolmogorov–M. Riesz–Fréchet、pp. 111–113)として証明し、(C) を加えた十分条件を Corollary 4.27(pp. 113–114)として証明している。逆向き(必要性)は Remark 13(p. 114)で述べられ、証明は Exercise 4.34(pp. 128–129)に委ねられている。平行移動の族の例は Exercise 4.33(p. 128)、畳み込みの像の例は Corollary 4.28(p. 114)と Exercise 4.35(p. 129)にある。必要十分条件の形と名前の由来は HOH10 の Theorem 5 と §4 による。

関連項目

参考文献

[1]
Haim Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations, Springer, 2011, §4.5:Theorem 4.26 とその証明(pp. 111–113)、Corollary 4.27 とその証明・Remark 13・Corollary 4.28(pp. 113–114)、Exercise 4.33・4.34・4.35(pp. 128–129)。Theorem 8.8 の (7) の証明(pp. 213–214)、Theorem 9.16 とその証明(pp. 285–286)

Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する