多角数

同義語:三角数四角数五角数polygonal number

概要

多角数(polygonal number)とは、整数 $s\ge3$ に対し、1辺に $n$ 個の点を並べた正 $s$ 角形を1つの頂点と2辺を共有して大きくしていくときの点の総数 $P_s(n)$ のことで、三角数 $1,3,6,10,\ldots$ や平方数はその例である。新しく足す鉤の形の点は $(s-2)(n-1)+1$ 個で等差数列をなすので、$P_s(n)=\frac{(s-2)n^2-(s-4)n}2$ となる。三角数 $T_n=\frac{n(n+1)}2$ を使うと $P_s(n)=T_n+(s-3)T_{n-1}$ と書け、$T_{n-1}+T_n=n^2$ や $8T_n+1=(2n+1)^2$ が従う。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 等差数列と等比数列, 数列の和と差分, 連続する整数の和

高校での出発点:点を並べて数える

碁石を正三角形の形に並べる。1辺に1個なら1個、1辺に2個なら3個、1辺に3個なら6個、1辺に4個なら10個である。正方形の形なら $1,4,9,16$ 個で、これは平方数そのものである。このように、点を図形の形に並べたときの個数を 図形数 という。この記事では、正多角形の形に並べた図形数(多角数)の一般項を、数学 B の数列の和で求める。

三角形に並べた碁石

1辺に $n$ 個の碁石を並べた正三角形の碁石の数を $T_n$ とする。1辺に $n-1$ 個の三角形に、1辺分の $n$ 個を足すと1辺に $n$ 個の三角形になるので
$$ T_n=T_{n-1}+n,\qquad T_1=1 $$
である。よって $T_n=1+2+\cdots+n=\dfrac{n(n+1)}2$ となる。$T_1,\ldots,T_6$ は $1,3,6,10,15,21$ である。

五角形に並べた碁石

正五角形の形に並べる。1辺に1個なら1個。1辺に2個の正五角形は頂点の5個である。1辺に3個の正五角形は、1辺に2個の正五角形と1つの頂点を共有し、2辺も途中まで共有するように描く(図1の右)。新しく足す点は、共有しない3辺の上の点で、3辺に3個ずつ並び、2つの角で重なるので $3\cdot3-2=7$ 個である。よって $5+7=12$ 個になる。同じように1辺に4個なら、3辺に4個ずつ並べて角の重なり2個を引き、$12+(3\cdot4-2)=22$ 個である。

三角数・四角数・五角数の点の図。1つの頂点(左下)を共有して1辺の点の数を1つずつ増やし、最後に足した鉤の形の点を赤で示す 三角数・四角数・五角数の点の図。1つの頂点(左下)を共有して1辺の点の数を1つずつ増やし、最後に足した鉤の形の点を赤で示す
新しく足す点は、共有しない辺に沿って折れ曲がった形に並ぶ。この形を 鉤の形(グノモン)と呼ぶことにする。鉤の形の点の数が等差数列になることが、この記事のすべての計算の出発点である。
この記事の問いは次の2つである。

  1. 正 $s$ 角形に並べた点の数の一般項は何か。→ thm-pgn-general
  2. 多角数は三角数でどう書けるか。→ thm-pgn-triangular
    高校の計算この記事の見方つながる先
    等差数列鉤の形の点の数階差が一定の数列
    階差数列の和多角数の一般項$n$ の2次式
    $\sum k$ の公式三角数 $T_n$四面体数、立方数の和

多角数の定義

多角数

$s\ge3$ を整数とする。1辺に $n$ 個の点を等間隔に並べた正 $s$ 角形を、1つの頂点を共有し、その頂点から出る2辺を共有するように $n=1,2,3,\ldots$ と大きくしていく。$n$ 番目の図形までに現れる点の総数を、$n$ 番目の $s$ 角数 といい、$P_s(n)$ と書く。$P_s(1)=1$ である。
$s=3,4,5,6$ のときを、それぞれ 三角数・四角数・五角数・六角数 という。三角数 $P_3(n)$ を $T_n$ とも書き、$T_0=0$ とする。

$n-1$ 番目の図形から $n$ 番目の図形へ進むとき、新しく現れる点は、共有する2辺以外の $s-2$ 本の辺の上の点である。

鉤の形の点の数

$n\ge2$ のとき
$$ P_s(n)-P_s(n-1)=(s-2)(n-1)+1 $$
である。

共有しない辺の上の点を数える

1辺に $n$ 個の点が並ぶ正 $s$ 角形のうち、共有する2辺以外の $s-2$ 本の辺はひと続きの折れ線になっている。各辺には $n$ 個の点があるので、合わせて $(s-2)n$ 個である。ただし、隣り合う2辺は角の点を共有しており、そのような角は折れ線の途中に $s-3$ 個あるので、その分を引く。よって新しい点は
$$ (s-2)n-(s-3)=(s-2)(n-1)+1 $$
個である。共有する2辺の上の点は、$n-1$ 番目の図形の2辺の点に、新しい図形の端の点を加えたものである。その端の点は折れ線の両端として上の数に含まれている。したがって新しく現れる点は、この数だけである。$\square$

鉤の形の点の数を $n=2,3,4,\ldots$ と並べると、$s-1,\ 2s-3,\ 3s-5,\ldots$ となり、初項 $s-1$、公差 $s-2$ の等差数列である。

鉤の形を並べる

三角数($s=3$)では鉤の形の点の数は $2,3,4,5,\ldots$ で、公差 $1$ である。四角数($s=4$)では $3,5,7,9,\ldots$ で、公差 $2$ の奇数の列である。五角数($s=5$)では $4,7,10,13,\ldots$ で、公差 $3$ である。図1の赤い点は $n=5$ の鉤の形で、三角数では $5$ 個、四角数では $9$ 個、五角数では $13$ 個ある。

主定理1:多角数の一般項

$s$ 角数の一般項

$s\ge3$、$n\ge1$ のとき
$$ P_s(n)=\frac{(s-2)n^2-(s-4)n}2 $$
である。

階差数列の和をとる

方針:lem-pgn-gnomon の階差を $k=2$ から $n$ まで足す。
段1(階差を足す)。$n\ge2$ のとき、lem-pgn-gnomon の式を $k=2,3,\ldots,n$ について書いて足すと、左辺は途中の $P_s(2),\ldots,P_s(n-1)$ が打ち消し合い、$P_s(n)-P_s(1)$ だけが残る(数列の和と差分)。よって
$$ P_s(n)=P_s(1)+\sum_{k=2}^n\{(s-2)(k-1)+1\}. $$
段2(和を計算する)。$j=k-1$ とおくと $j$ は $1$ から $n-1$ まで動き、
$$ \sum_{k=2}^n\{(s-2)(k-1)+1\}=(s-2)\sum_{j=1}^{n-1}j+(n-1)=(s-2)\cdot\frac{(n-1)n}2+n-1. $$
段3(整理する)。$P_s(1)=1$ を加えると
$$ P_s(n)=1+(n-1)+\frac{(s-2)n(n-1)}2=n+\frac{(s-2)(n^2-n)}2=\frac{(s-2)n^2-(s-2)n+2n}2. $$
$-(s-2)n+2n=-(s-4)n$ なので、主張の式を得る。$n=1$ でも右辺は $\frac{(s-2)-(s-4)}2=1$ で正しい。$\square$

式に代入する

$s=3$ なら $P_3(n)=\frac{n^2+n}2=T_n$ で、ex-pgn-triangle と一致する。$s=4$ なら $P_4(n)=\frac{2n^2}2=n^2$ である。$s=5$ なら $P_5(n)=\frac{3n^2-n}2$ で、$n=3$ では $\frac{27-3}2=12$、$n=4$ では $\frac{48-4}2=22$ となり、ex-pgn-pentagon と一致する。$s=6$ なら $P_6(n)=\frac{4n^2-2n}2=2n^2-n$ で、$1,6,15,28,45$ である。

$s$名前$P_s(n)$$n=1,\ldots,6$
$3$三角数$\frac{n(n+1)}2$$1,3,6,10,15,21$
$4$四角数$n^2$$1,4,9,16,25,36$
$5$五角数$\frac{n(3n-1)}2$$1,5,12,22,35,51$
$6$六角数$n(2n-1)$$1,6,15,28,45,66$
$7$七角数$\frac{n(5n-3)}2$$1,7,18,34,55,81$

$s$ を1つ増やすと、$n$ 番目の値は $T_{n-1}=\frac{n(n-1)}2$ だけ増える。たとえば $n=4$ の列は $10,16,22,28,34$ で、差はどれも $T_3=6$ である。このことを次の定理で式にする。Wei26 も一般の式 $\frac12n\{(s-2)n-(s-4)\}$ を挙げている。

主定理2:三角数で書く

多角数と三角数

$s\ge3$、$n\ge1$ のとき
$$ P_s(n)=T_n+(s-3)T_{n-1} $$
である。とくに $P_4(n)=T_n+T_{n-1}$、$P_5(n)=T_n+2T_{n-1}$ である。

鉤の形を三角数の鉤の形に分ける

方針:両辺の階差が等しく、初項も等しいことを示す。
段1(右辺の階差)。$R(n)=T_n+(s-3)T_{n-1}$ とおく。$T_n-T_{n-1}=n$ なので、$n\ge2$ のとき
$$ R(n)-R(n-1)=(T_n-T_{n-1})+(s-3)(T_{n-1}-T_{n-2})=n+(s-3)(n-1). $$
ここで $n=2$ のときは $T_0=0$ を使っている。
段2(左辺の階差と比べる)。$n+(s-3)(n-1)=(n-1)+1+(s-3)(n-1)=(s-2)(n-1)+1$ で、lem-pgn-gnomon の $P_s(n)-P_s(n-1)$ と同じである。
段3(初項)。$R(1)=T_1+(s-3)T_0=1=P_s(1)$ である。初項と階差が等しい2つの数列は、階差数列の和の公式により一致する。よって $P_s(n)=R(n)$ である。$\square$

段2の分け方は、鉤の形の $(s-2)(n-1)+1$ 個の点を、三角数の鉤の形 $n$ 個と、1つ前の三角数の鉤の形 $n-1$ 個の $s-3$ 組に分けることに当たる。正 $s$ 角形を1つの頂点から引いた対角線で $s-2$ 個の三角形に分けると、1つの三角形は $T_n$ 個、残りの $s-3$ 個の三角形は共有する辺を除いて $T_{n-1}$ 個ずつ、と数える見方と同じ式である。式でも確かめられる。
$$ T_n+(s-3)T_{n-1}=\frac{n(n+1)}2+\frac{(s-3)(n-1)n}2=\frac{n\{(n+1)+(s-3)(n-1)\}}2=\frac{n\{(s-2)n-(s-4)\}}2. $$
Wei26 は同じことを $n+(s-2)T_{n-1}$ の形(三角数は $n+T_{n-1}$、四角数は $n+2T_{n-1}$、五角数は $n+3T_{n-1}$)で述べている。$T_n=n+T_{n-1}$ なので、どちらも同じ式である。
5×5 の正方形の点を階段の線で分けると、下の三角形が15個、上の三角形が10個になる 5×5 の正方形の点を階段の線で分けると、下の三角形が15個、上の三角形が10個になる

三角数の関係

$n\ge1$ のとき、次が成り立つ。
(R1) $T_{n-1}+T_n=n^2$。
(R1) $8T_n+1=(2n+1)^2$。
(R1) $P_6(n)=T_{2n-1}$(六角数は奇数番目の三角数)。

三角数の式から計算する

(i) thm-pgn-triangular で $s=4$ とおくと $n^2=P_4(n)=T_n+T_{n-1}$ である。図2は $n=5$ の場合で、正方形の点を階段で分けると $T_5=15$ と $T_4=10$ になる。
(ii) $8T_n+1=4n(n+1)+1=4n^2+4n+1=(2n+1)^2$ である。
(iii) ex-pgn-values から $P_6(n)=n(2n-1)$。一方 $T_{2n-1}=\frac{(2n-1)\cdot2n}2=n(2n-1)$ で、両者は等しい。$\square$

三角数かどうかを見分ける

(ii) を逆に読むと、正の整数 $m$ が三角数なら $8m+1$ は奇数の平方数である。逆に $8m+1=(2n+1)^2$($n\ge1$)なら $m=\frac{(2n+1)^2-1}8=\frac{n(n+1)}2=T_n$ である。
$m=36$ なら $8\cdot36+1=289=17^2$ で、$2n+1=17$ から $n=8$、$36=T_8$ である。$36=6^2$ でもあるので、36 は三角数でも四角数でもある。$m=50$ なら $401$ は平方数でない($20^2=400$、$21^2=441$)ので、50 は三角数でない。

三角数でも平方数でもある数(36 など)は Pell方程式 の例「平方数でもある三角数」で扱っている。偶数の完全数が三角数になることは 完全数とMersenne素数 に、連続する整数の和と三角数の差の関係は 連続する整数の和 にある。

反例と注意

外す条件反例成り立たなくなること
(i) の「隣り合う」$T_3+T_1=6+1=7$平方数にならない
(ii) の逆で「$8m+1$ が平方数」を「奇数」に弱める$m=2$ で $8m+1=17$17 は奇数だが平方数でなく、2 は三角数でない
三角数で書く式の係数 $s-3$ を $s-2$ にする$s=3$ で $T_n+T_{n-1}$三角数でなく平方数になる
表の反例を確かめる

(i) で添字が2つ離れると、$T_n+T_{n-2}=\frac{n(n+1)+(n-2)(n-1)}2=n^2-n+1$ である。$n=3$ で $7$、$n=4$ で $13$ で、平方数ではない($n\ge2$ なら $(n-1)^2< n^2-n+1< n^2$)。
三角数で書く式の係数を1つずらすと、$T_n+(s-2)T_{n-1}=P_s(n)+T_{n-1}=P_{s+1}(n)$ となり、1つ上の $s+1$ 角数になってしまう。

定義の外の例として、頂点を共有せず、中心に1点を置いてそのまわりに正 $s$ 角形を同心に広げていく並べ方もある。これは 中心つき多角数 と呼ばれる別の数で、五角形なら $1,6,16,31,51$ と続き、$1+5T_{n-1}$ で表される($n$ 番目の層の点は $5(n-1)$ 個)。五角数 $1,5,12,22,35$ とは違う数なので、thm-pgn-general の式を当てはめてはいけない。

大学数学で見る:階差が一定なら2次式

thm-pgn-general の証明では、階差が等差数列(2階の階差が一定)であることから、一般項が $n$ の2次式になった。逆に、$n$ の2次式で表される数列の階差は1次式で、2階の階差は一定である。この「$k$ 階の階差が一定 ⇔ $k$ 次式」という対応は、微分と積分の関係の差分版であり、数列の和と差分 で扱っている。

さらに先へ

多角数を段ごとに積み上げると、三角錐や四角錐の形の点の数になる。三角数を積んだ $1,4,10,20,\ldots$ は四面体数で、これを 角錐数 で扱う。

関連項目

参考文献

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