結晶群(crystallographic group)とは、$n$ 次元 Euclid 空間の合同変換の群の離散部分群 $\Gamma$ で、あるコンパクト集合を $\Gamma$ の元で動かすと空間全体を覆うもので、2 次元のものが壁紙群である。Bieberbach の第 1 定理により平行移動の部分 $T$ は格子になり、点群 $\Gamma/T$ は $T$ を保つ有限群として $\mathrm{GL}_n(\mathbb{Z})$ に埋め込まれ、位数は $\lvert\mathrm{GL}_n(\mathbb{F}_3)\rvert$ 以下である。各次元の結晶群は同型を除いて有限個で、1 次元では $\mathbb{Z}$ と無限二面体群だけである。ねじれのない結晶群は空間に自由に作用し、商は平坦多様体になる。
結晶群は、$n$ 次元 Euclid 空間の合同変換の群のうち、離散的で、コンパクトな領域を動かして空間全体を覆えるものである。結晶の原子の並びの対称性の群がその典型で、2 次元のものが 壁紙群 である。Bieberbach の定理によれば、結晶群は必ず $n$ 個の向きの平行移動を含み、その格子を保つ有限群(点群)と組み合わせて組み立てられる。この記事では次のことを示す。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 平行移動の部分が格子なら、点群はどんな群か | 有限群で、$\mathrm{GL}_n(\mathbb{Z})$ に埋め込まれ、位数は $\lvert\mathrm{GL}_n(\mathbb{F}_3)\rvert$ 以下(thm-cg-structure) |
| 平行移動はいつも $n$ 個の向きにあるか | ある(Bieberbach の第 1 定理、thm-cg-bieberbach。証明は引用)。1 次元では直接示せ、結晶群は $\mathbb{Z}$ と無限二面体群の 2 つだけ(thm-cg-dim1) |
| ねじれのない結晶群は何を表すか | 空間に自由に作用し(prop-cg-free)、商はコンパクトな平坦 Riemann 多様体になる(引用。この記事では証明しない) |
$n$ 次元 Euclid 空間 $\mathbb{R}^n$ の合同変換は、$A\in\mathrm{O}(n)$(直交群)と $b\in\mathbb{R}^n$ により $x\mapsto Ax+b$ と書ける。これを $(A,b)$ と書き、その全体のなす群を $\mathrm{E}(n)$ とする。壁紙群 の記事と同じく
$$
(A,b)(A',b')=(AA',\,Ab'+b),\qquad (A,b)\,t_v\,(A,b)^{-1}=t_{Av}
$$
で、$t_v:=(I,v)$ は平行移動、$\lambda(A,b):=A$ は群の準同型 $\mathrm{E}(n)\to\mathrm{O}(n)$ である。$\mathrm{E}(n)$ には $\mathrm{O}(n)\times\mathbb{R}^n$ の部分集合としての位相を入れる。
$\mathrm{E}(n)$ の部分群 $\Gamma$ が次の 2 条件を満たすとき、$\Gamma$ を $n$ 次元の 結晶群(crystallographic group)という。
$n=2$ の結晶群は 壁紙群 の定義の壁紙群と同じものである(壁紙群が (C1)(C2) を満たすことは prop-cg-semidirect の証明と同じ議論でわかり、逆に結晶群の平行移動の部分が格子であることは Bieberbach の第 1 定理による)。(C1) は $\Gamma$ が $\mathrm{E}(n)$ の離散部分群であることと同値で(lem-cg-discrete)、(C2) は商 $\mathrm{E}(n)/\Gamma$ がコンパクトであることと同値である(Aus65 Theorem 1 の証明の (B)。この記事では証明しない)。
$\Gamma\subset\mathrm{E}(n)$ を部分群とする。(C1) は $\Gamma$ が $\mathrm{E}(n)$ の離散部分群であることと同値で、(C1) のもとで $\Gamma$ の $\mathbb{R}^n$ への作用は固有不連続(基本領域 の定義「固有不連続な作用」)である。
要点:$\mathrm{O}(n)$ はコンパクトなので、$\lvert b\rvert\le r$ の元が無限個あれば収束する部分列がとれ、隣どうしの商が単位元に収束して離散性に反する。
(C1) を仮定する。$\gamma=(A,b)\in\Gamma$ の近傍 $\{(A',b')\mid\lvert b'-b\rvert<1\}$ は (C1) により $\Gamma$ の元を有限個しか含まないので、さらに小さい近傍で $\gamma$ だけを含むものがある。逆に $\Gamma$ が離散で、相異なる $\gamma_k=(A_k,b_k)\in\Gamma$($\lvert b_k\rvert\le r$)が無限個あるとする。$\mathrm{O}(n)$ は $\mathrm{M}_n(\mathbb{R})$ の有界閉集合なのでコンパクトで、$\mathrm{O}(n)\times\{\lvert b\rvert\le r\}$ もコンパクトである。部分列をとって $\gamma_k\to g\in\mathrm{E}(n)$ としてよい。群の演算は連続なので $\gamma_k^{-1}\gamma_{k+1}\to g^{-1}g=1$ で、$\gamma_k^{-1}\gamma_{k+1}\neq1$ は単位元の近くの $\Gamma$ の元が $1$ だけであることに反する。
固有不連続性:コンパクト集合 $K$ が半径 $R$ の原点中心の閉球に含まれるとする。$\gamma=(A,b)$ について $x\in K$、$\gamma x\in K$ なら、$\lvert b\rvert=\lvert\gamma(0)\rvert\le\lvert\gamma(0)-\gamma(x)\rvert+\lvert\gamma(x)\rvert=\lvert x\rvert+\lvert\gamma x\rvert\le2R$ なので、そのような $\gamma$ は (C1) により有限個である。$\square$
$m\ge3$ を奇数とする。$A\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{Z})$ が位数有限で、成分ごとに $A\equiv I\pmod m$ なら、$A=I$ である。とくに $\mathrm{GL}_n(\mathbb{Z})$ の有限部分群は、成分を $3$ で割った余りをとる写像 $\mathrm{GL}_n(\mathbb{Z})\to\mathrm{GL}_n(\mathbb{F}_3)$ で単射に写り、位数は $\lvert\mathrm{GL}_n(\mathbb{F}_3)\rvert=\prod_{i=0}^{n-1}(3^n-3^i)$ 以下である。
$A\neq I$ とし、位数を $N>1$ とする。素数 $\ell\mid N$ をとると $A^{N/\ell}$ は位数 $\ell$ で、やはり $I$ と法 $m$ で合同なので、はじめから $A$ の位数が素数 $\ell$ だとしてよい。$A-I\neq0$ の成分がすべて $m^k$ で割り切れる最大の $k\ge1$ をとり、$A=I+m^kB$($B$ は整数行列で、$m$ で割り切れない成分をもつ)と書く。$I$ と $B$ は可換なので
$$
0=A^\ell-I=\ell m^kB+\sum_{j=2}^{\ell}\binom{\ell}{j}m^{jk}B^j,\qquad\text{よって}\qquad \ell B=-\sum_{j=2}^{\ell}\binom{\ell}{j}m^{(j-1)k}B^j
$$
である。
$\ell\nmid m$ のとき:右辺の各項は $m^{(j-1)k}$($j\ge2$)を含むので $m^k$ で割り切れる。$\ell$ と $m$ は互いに素なので $B$ の成分は $m^k$ で割り切れ、$B$ の取り方に反する。
$\ell\mid m$ のとき:$m$ は奇数なので $\ell\ge3$ である。$2\le j\le\ell-1$ の項は $\binom{\ell}{j}$ が $\ell$ で割り切れるので $\ell m^k$ で割り切れる。$j=\ell$ の項 $m^{(\ell-1)k}B^\ell=m^k\cdot m^{(\ell-2)k}B^\ell$ は、$(\ell-2)k\ge1$ と $\ell\mid m$ から $\ell m^k$ で割り切れる。よって $\ell B$ は $\ell m^k$ で割り切れ、$B$ は $m^k$ で割り切れて矛盾する。
後半:有限部分群の元で法 $3$ の像が $I$ のものは前半により $I$ なので、還元の写像は単射である。$\mathrm{GL}_n(\mathbb{F}_3)$ の位数は、第 $i+1$ 列を前の $i$ 列の張る部分空間($3^i$ 元)の外から選ぶ方法の数の積である。$\square$
$m=2$ では結論が成り立たない。$-I\equiv I\pmod 2$ は位数 2 である。
$\Gamma$ を $n$ 次元の結晶群とし、$T=T_\Gamma$ が $\mathbb{R}^n$ を張るとする。$P=P_\Gamma$ とおく。
1:(C1) により $\{v\in T\mid\lvert v\rvert\le r\}$ は有限なので、$T$ は $\mathbb{R}^n$ の離散部分群で、$\mathbb{R}^n$ を張るので格子である(格子(群) の定理「格子であるための条件」の 2 から 1)。平行移動の全体は $\lambda|_\Gamma$ の核なので正規部分群で、準同型定理から $\Gamma/T\cong P$ である。
2:$(A,b)\in\Gamma$ と $v\in T$ について $(A,b)t_v(A,b)^{-1}=t_{Av}\in\Gamma$ なので $A(T)\subset T$ で、$A^{-1}\in P$ にも同じことが言えるので $A(T)=T$ である。$T$ の基底 $e_1,\dots,e_n$ について $Ae_j\in T$ なので、$A$ を基底で表した行列は整数行列で、その逆行列($A^{-1}$ の行列)も整数行列である。$e_1,\dots,e_n$ は $\mathbb{R}^n$ の基底なので、行列が単位行列なら $A=I$ で、写像は単射準同型である。
3:$\mathrm{GL}_n(\mathbb{Z})$ の有限部分群の位数は lem-cg-minkowski により $\lvert\mathrm{GL}_n(\mathbb{F}_3)\rvert$ 以下なので、$P$ が有限であることを示せばよい。$r:=\max_j\lvert e_j\rvert$、$S:=\{v\in T\mid\lvert v\rvert\le r\}$ とすると $S$ は有限集合で、$A\in P$ は長さを保ち $A(T)=T$ なので $A(S)=S$ である。$A$ は $e_1,\dots,e_n\in S$ の像で決まるので、$A\mapsto A|_S$ は単射で、$\lvert P\rvert\le\lvert S\rvert!$ である。$\square$
$n=2$ では $\lvert\mathrm{GL}_2(\mathbb{F}_3)\rvert=48$ で、実際の点群の位数の最大は $12$($D_6$、壁紙群 の定理「点群の結晶学的制限」)である。3 の評価は粗いが、次元だけで決まる上界を与える。
$\Gamma$ を $n$ 次元の結晶群とする。
Aus65 の Bieberbach Theorem 1(p. 1234)と Bieberbach Theorem 2(p. 1235)である(この記事では証明しない)。1 の証明は、$\mathrm{O}(n)$ の単位元の近くの元どうしの交換子が単位元に近づくことを使い、点群の閉包の単位元成分が可換であることを示して、平行移動を含まない結晶群がありえないことに帰着させる。2 は、点群として現れる群が同型を除いて有限個に限られること(同 Theorem 2 とその Corollary。第 1 定理のもとでは thm-cg-structure の 3 の位数の上界からも従う)と、各有限群 $P$ について群の拡大 $1\to\mathbb{Z}^n\to\Gamma\to P\to1$ が同型を除いて有限個であること(この記事では証明しない)から導かれる。
1:$A\in P_\Gamma$ について、線形部分が $A$ の元 $\gamma_A=(A,b_A)$ を 1 つとると、線形部分が $A$ の元の全体は $t_v\gamma_A=(A,v+b_A)$($v\in T_\Gamma$)である。$\lvert v+b_A\rvert\le r$ となる $v\in T_\Gamma$ は有限個(格子は離散)で、$A$ も有限個なので (C1) が成り立つ。$T_\Gamma$ の基本平行体の閉包はコンパクトで、平行移動 $t_v$($v\in T_\Gamma$)で $\mathbb{R}^n$ を覆うので、それを含む閉球について (C2) が成り立つ。
2:$A(L)=L$ から $(A,v)(A',v')=(AA',Av'+v)$ と $(A,v)^{-1}=(A^{-1},-A^{-1}v)$ は $L\rtimes P$ に属し、部分群である。平行移動であるのは $A=I$ の元だけなので $T=L$、点群は $P$ で、1 により結晶群である。$\square$
1 次元の結晶群は、群の同型で分けてちょうど 2 種類ある。$\mathbb{Z}$($x\mapsto x+k$ の全体)と、無限二面体群 $D_\infty$($x\mapsto\pm x+k$ の全体、Coxeter系 の例「無限二面体群」)である。
$\Gamma$ を 1 次元の結晶群とする。$\mathrm{O}(1)=\{\pm1\}$ である。$T_\Gamma=\{0\}$ なら $\lambda|_\Gamma$ は単射で $\lvert\Gamma\rvert\le2$ となり、(C2) の閉区間を有限個動かしても $\mathbb{R}$ を覆えないので矛盾する。よって $T_\Gamma\neq\{0\}$ は $\mathbb{R}$ を張る離散部分群で、thm-cg-structure の 1 により $T_\Gamma=a\mathbb{Z}$($a>0$)である。$P_\Gamma=\{1\}$ なら $\Gamma=\{t_v\mid v\in a\mathbb{Z}\}\cong\mathbb{Z}$ である。$P_\Gamma=\{\pm1\}$ なら $\sigma=(-1,b)\in\Gamma$ があり、$\sigma^2=(1,-b+b)=1$、$\sigma t_v\sigma^{-1}=t_{-v}$ で、$\Gamma=\{t_v\}\sqcup\{t_v\sigma\}$ は $a\mathbb{Z}\rtimes\{\pm1\}$ と同型である。$x\mapsto ax+\frac b2$ で座標を取り替えると、$\Gamma$ は $x\mapsto\pm x+k$($k\in\mathbb{Z}$)の群に移る。$D_\infty$ は位数 2 の元 $\sigma$ をもち、$\mathbb{Z}$ はもたないので、2 つは同型でない。どちらも prop-cg-semidirect の 2 により結晶群である。$\square$
$n=1$ では Bieberbach の第 1 定理($T_\Gamma\neq\{0\}$)を上のように直接示せる。2 次元では、壁紙群 の記事が点群の 10 通りと向きを保つ 5 種類を示し、全体が 17 種類であることを引用している。
結晶群 $\Gamma$ について、$\Gamma$ が Bieberbach 群であることと、$\Gamma$ の $\mathbb{R}^n$ への作用が自由である(単位元以外の元は固定点をもたない)ことは同値である。
$\gamma\neq1$ が点 $x$ を固定すれば、lem-cg-discrete により作用は固有不連続なので、$K=\{x\}$ について安定化群 $\Gamma_x$ は有限で、$\gamma$ は位数有限である。逆に $\gamma=(A,b)$ が位数 $m>1$ なら、任意の $x_0$ について重心 $c:=\frac1m\sum_{k=0}^{m-1}\gamma^kx_0$ をとると、$\gamma$ はアフィン写像なので $\gamma c=\frac1m\sum_{k=0}^{m-1}\gamma^{k+1}x_0=c$($\gamma^m=1$)で、$\gamma$ は固定点をもつ。$\square$
Bieberbach 群 $\Gamma$ について、商 $\mathbb{R}^n/\Gamma$ はコンパクトな平坦 Riemann 多様体になり、逆に連結でコンパクトな平坦 Riemann 多様体はどれもこの形に表される(Lee18 Corollary 12.5 による。Lee18 の系はこの記事では証明しない)。実際、Bieberbach 群は lem-cg-discrete により $\mathrm{E}(n)$ の離散部分群で、prop-cg-free により $\mathbb{R}^n$ に自由に作用するので、同系により $\mathbb{R}^n/\Gamma$ は完備連結な平坦 Riemann 多様体で、(C2) の閉球の連続像なのでコンパクトである。逆にコンパクトな Riemann 多様体は完備なので(Hopf–Rinow の定理)、連結でコンパクトな平坦 Riemann 多様体は同系により $\mathbb{R}^n/\Gamma$($\Gamma$ は $\mathrm{E}(n)$ の離散部分群で自由に作用する)と表される。$\Gamma$ は lem-cg-discrete により (C1) を満たす。原点中心の半径 $k$ の開球の像($k=1,2,\dots$)は商を覆う開集合の増大列なので、ある $k$ で商全体になり、原点中心の半径 $k$ の閉球について (C2) が成り立つ。自由に作用するので、prf-cg-free の重心の議論により位数有限の元は単位元だけである。$\Gamma$ はその 基本群 で、点群はホロノミー群と呼ばれる(Szc06 の序文)。
Kleinの壺 の定理「Klein の壺の 3 つの模型」の 1 の群 $\Gamma=\{g_{m,n}\}$、$g_{m,n}(x,y)=(x+\frac m2,\,(-1)^my+n)$ を考える。$g_{m,n}=(\mathrm{diag}(1,(-1)^m),(\frac m2,n))$ で、$\lvert(\frac m2,n)\rvert\le r$ となる $(m,n)$ は有限個なので (C1) が、長方形 $[0,\frac12]\times[0,1]$ を含む閉球で (C2) が成り立つ。平行移動の部分は $m$ が偶数の元の $T=\mathbb{Z}^2$、点群は $\{I,\mathrm{diag}(1,-1)\}$ である。$m$ が奇数なら $g_{m,n}^2(x,y)=(x+m,y)$ は平行移動で単位元でないので、$\Gamma$ に位数有限の元は単位元しかない。$\Gamma$ は Bieberbach 群で、壁紙群 の命題「点群 $D_1$ の 3 つの壁紙群」の pg と同じ群であり、$\mathbb{R}^2/\Gamma$ は Klein の壺である。これに対し、pm と cm は鏡映を含み Bieberbach 群でない。
$\Gamma$ を 3 次元の結晶群とすると、点群の元の位数は $1,2,3,4,6$ のどれかである。とくに 3 次元の結晶群の点群は位数 5 の回転を含まない。
thm-cg-bieberbach の 1 と thm-cg-structure の 2 により、$A\in P_\Gamma$ を $T_\Gamma$ の基底で表した行列は整数行列なので、トレースは整数である。$\det A=1$ なら $A$ は軸のまわりの角 $\varphi$ の回転で、トレースは $1+2\cos\varphi$ なので $2\cos\varphi\in\{-2,-1,0,1,2\}$、位数は $1,2,3,4,6$ である(壁紙群 の定理「点群の結晶学的制限」の 4 と同じ)。$\det A=-1$ なら $B:=-A$ は回転で、トレースが整数なので同じく位数 $\mathrm{ord}(B)\in\{1,2,3,4,6\}$ である。$A^k=(-1)^kB^k$ が $I$ になるのは、$-I\notin\mathrm{SO}(3)$ なので $k$ が偶数で $B^k=I$ のときに限り、$A$ の位数は $\mathrm{ord}(B)$ と $2$ の最小公倍数で、$2,2,6,4,6$ のどれかである。$\square$
この命題は thm-cg-bieberbach の 1 を使っている。正二十面体は各頂点に 5 枚の面が集まり、頂点と中心を通る軸のまわりの角 $2\pi/5$ の回転で保たれるので、正二十面体の対称性の群は 3 次元の結晶群の点群にならない(有限鏡映群 の $H_3$ 型)。
thm-cg-bieberbach の 1 と thm-cg-structure の 1 の結論「$T_\Gamma$ は $\mathbb{R}^n$ の格子」について、定義の条件を 1 つずつ外す。各行は 1 つの条件だけを破る。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| (C1) | $\Gamma=\{t_v\mid v\in\mathbb{Z}+\mathbb{Z}\sqrt2\}\subset\mathrm{E}(1)$ | $T_\Gamma$ が離散(格子) |
| (C2) | $\Gamma=\{t_v\mid v\in\mathbb{Z}e_1\}\subset\mathrm{E}(2)$ | $T_\Gamma$ が $\mathbb{R}^n$ を張る |
1 行目:$\mathbb{Z}+\mathbb{Z}\sqrt2$ は $\mathbb{R}$ で稠密なので $\lvert v\rvert\le1$ の元が無限個あり、(C1) が破れる。(C2) は $[0,1]$ の平行移動で成り立つ。$T_\Gamma$ は $\mathbb{R}$ を張るが離散でない。
2 行目:(C1) は $\lvert k\rvert\le r$ の整数 $k$ が有限個なので成り立つ。点 $(0,y)$ の軌道は $(k,y)$ なので、半径 $r_0$ の閉球を動かしても $\lvert y\rvert>r_0$ の点に届かず、(C2) が破れる。$T_\Gamma=\mathbb{Z}e_1$ は $\mathbb{R}^2$ を張らない。
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