面積定理(単葉関数)(area theorem)とは、単位円板の外側 $|z|>1$ の上の単射な正則関数 $g$ で、Laurent 展開が $g(z)=z+b_0+\sum_{n\ge1}b_nz^{-n}$ の形のものについて $\sum_nn|b_n|^2\le1$ が成り立つという Gronwall の定理である。$g$ の像の補集合の面積がちょうど $\pi(1-\sum_nn|b_n|^2)$ であり、単射性から曲線 $g(re^{i\theta})$ の回転数が $0$ か $1$ に限られることと、回転数の面積分の公式から示される。帰結として $|b_1|\le1$(等号は $g(z)=z+b_0+b_1/z$ のときに限る)や、正規化された単葉関数の係数の評価 $|a_3-a_2^2|\le1$ が得られ、Koebe の 1/4 定理の出発点になる。
面積定理(area theorem)とは、単位円板の外側 $\Delta=\{z\in\mathbb C\mid|z|>1\}$ の上の単葉関数(単射な正則関数)$g$ で、Laurent 展開が
$$
g(z)=z+b_0+\sum_{n=1}^\infty b_nz^{-n}\qquad(|z|>1)
$$
の形のものについて、係数の不等式
$$
\sum_{n=1}^\infty n|b_n|^2\le1
$$
が成り立つという定理である。Gronwall の面積定理とも呼ばれる。名前のとおり、左辺は面積から来ている。$g$ による $\Delta$ の像の補集合 $\mathbb C\setminus g(\Delta)$ の面積はちょうど $\pi\bigl(1-\sum_nn|b_n|^2\bigr)$ であり、面積が負にならないことが不等式である(thm-area-main)。
この記事では、閉曲線の回転数を平面全体で積分すると曲線の囲む「符号つきの面積」になること(lem-area-winding)と、単射性から回転数が $0$ か $1$ しかとらないこと(偏角の原理)を組み合わせて面積の公式を証明する。帰結として $|b_1|\le1$ とその等号の場合、および正規化された単葉関数 $f(z)=z+a_2z^2+a_3z^3+\cdots$ の係数の評価 $|a_3-a_2^2|\le1$ が得られる。面積定理は、Bieberbach の不等式 $|a_2|\le2$ と Koebeの1/4定理 の証明の出発点である。
$\mathbb D:=\{|z|<1\}$、$\Delta:=\{|z|>1\}$ とする。$\Delta$ 上の単葉関数 $g$ で、Laurent 展開が $g(z)=z+b_0+\sum_{n\ge1}b_nz^{-n}$($|z|>1$)の形のもの全体を $\Sigma$ と書く(単葉関数 の定義「単葉関数と族 $S$, $\Sigma$」)。すなわち $g$ は $\infty$ に単純極をもち、$z\to\infty$ で $g(z)=z+O(1)$ となるように正規化されている。$\mathbb D$ 上の単葉関数 $f$ で $f(0)=0$、$f'(0)=1$ をみたすもの全体を $S$ と書き、$f(z)=z+\sum_{n\ge2}a_nz^n$ と展開する。
面積は平面 $\mathbb C=\mathbb R^2$ の Lebesgue 測度 $A$($dA=dx\,dy$)で測る。区分的に滑らかな閉曲線 $\gamma$ と、その像 $|\gamma|$ にない点 $w$ について、$n(\gamma,w):=\frac1{2\pi i}\oint_\gamma\frac{d\zeta}{\zeta-w}$ は $\gamma$ の $w$ のまわりの回転数である(回転数 の命題「積分による表示」)。$n(\gamma,\cdot)$ は $\mathbb C\setminus|\gamma|$ の上の整数値の関数で、各連結成分の上で一定である(同記事の命題「回転数は補集合の連結成分ごとに一定」)。
$\gamma\colon[0,2\pi]\to\mathbb C$ を $C^1$ 級の閉曲線($\gamma(0)=\gamma(2\pi)$)とする。このとき像 $|\gamma|$ の面積は $0$ であり、$|\gamma|$ の外で定義された関数 $n(\gamma,\cdot)$ は $\mathbb C$ 上で可積分で、
$$
\iint_{\mathbb C}n(\gamma,w)\,dA(w)=\frac1{2i}\oint_\gamma\bar\zeta\,d\zeta
$$
が成り立つ。
要点:回転数の積分表示を代入して積分の順序を入れ替えると、内側の積分 $\iint_{|w|< M}\frac{dA(w)}{\zeta-w}=\pi\bar\zeta$($|\zeta|< M$)が現れる。$1/|\zeta-w|$ は平面で局所可積分なので Fubiniの定理 が使える。
$R_0:=\max_\theta|\gamma(\theta)|$、$L:=\max_\theta|\gamma'(\theta)|$ とおき、$M>R_0$ を固定する。
外側では回転数が $0$.$|w|>R_0$ なら $|\zeta-w|\ge|w|-R_0$($\zeta\in|\gamma|$)なので $|n(\gamma,w)|\le\frac{2\pi L}{2\pi(|w|-R_0)}\to0$($|w|\to\infty$)である。連結な集合 $\{|w|>R_0\}$ の上で $n(\gamma,\cdot)$ は一定の整数で、無限遠で $0$ に近づくから $0$ である。
像の面積は $0$.$N\ge1$ について $[0,2\pi]$ を長さ $2\pi/N$ の $N$ 個の区間に分けると、平均値の不等式により各区間の像は、区間の左端の像を中心とする半径 $2\pi L/N$ の閉円板に入る。よって $|\gamma|$ は面積の和が $N\pi(2\pi L/N)^2=4\pi^3L^2/N$ の円板で覆われ、$N\to\infty$ として面積は $0$ である。
Fubini の定理.$D_M:=\{|w|< M\}$ とする。$|\zeta|< M$ なら $D_M\subset\{|w-\zeta|< 2M\}$ なので、極座標で $\iint_{D_M}\frac{dA(w)}{|\zeta-w|}\le\int_0^{2\pi}\!\!\int_0^{2M}\frac1\rho\,\rho\,d\rho\,d\varphi=4\pi M$ である。したがって $(\theta,w)\mapsto\gamma'(\theta)/(\gamma(\theta)-w)$ は $[0,2\pi]\times D_M$ 上で絶対可積分で($w=\gamma(\theta)$ となる面積 $0$ の集合を除く)、$n(\gamma,\cdot)$ も $D_M$ 上で可積分である。外側で回転数が $0$ であることと Fubiniの定理 により $$\iint_{\mathbb C}n(\gamma,w)\,dA(w)=\iint_{D_M}n(\gamma,w)\,dA(w)=\frac1{2\pi i}\int_0^{2\pi}\gamma'(\theta)\Bigl(\iint_{D_M}\frac{dA(w)}{\gamma(\theta)-w}\Bigr)d\theta$$ である。
内側の積分.$|\zeta|< M$ とし、$w=\rho e^{i\varphi}$ とおく。$0< \rho< |\zeta|$ なら $\frac1{\zeta-\rho e^{i\varphi}}=\frac1\zeta\sum_{k\ge0}\bigl(\frac{\rho e^{i\varphi}}\zeta\bigr)^k$ は $\varphi$ について一様に収束し、項別に積分して $\int_0^{2\pi}\frac{d\varphi}{\zeta-\rho e^{i\varphi}}=\frac{2\pi}\zeta$ である。$\rho>|\zeta|$ なら $\frac1{\zeta-\rho e^{i\varphi}}=-\sum_{k\ge0}\frac{\zeta^k}{(\rho e^{i\varphi})^{k+1}}$ で、各項の積分は $0$ である。よって $\iint_{D_M}\frac{dA(w)}{\zeta-w}=\int_0^{|\zeta|}\frac{2\pi}\zeta\rho\,d\rho=\frac{\pi|\zeta|^2}\zeta=\pi\bar\zeta$ である($\zeta=0$ では両辺とも $0$)。これを上の式に入れると $\frac1{2\pi i}\int_0^{2\pi}\gamma'(\theta)\,\pi\overline{\gamma(\theta)}\,d\theta=\frac1{2i}\oint_\gamma\bar\zeta\,d\zeta$ を得る。$\square$
右辺は、$\gamma=x+iy$ と書くと $\frac1{2i}\oint(x-iy)(dx+i\,dy)=\frac12\oint(x\,dy-y\,dx)+\frac1{2i}\oint(x\,dx+y\,dy)$ で、最後の項は完全微分 $\frac12d(x^2+y^2)$ の周回積分なので $0$ である。したがって右辺は Greenの定理 の系「周の線積分で表す面積」の $\frac12\oint(x\,dy-y\,dx)$ と同じ形であり、補題は「回転数で重みをつけた面積」についての同じ公式である。こちらは曲線が単純閉曲線である必要がなく、曲線の囲む領域を前もって知らなくても使える。
$g\in\Sigma$、$g(z)=z+b_0+\sum_{n\ge1}b_nz^{-n}$ とする。
$r>1$ を固定し、$\gamma_r(\theta):=g(re^{i\theta})$($0\le\theta\le2\pi$)とおく。$\gamma_r$ は $C^1$ 級の閉曲線で、$\gamma_r'(\theta)=ire^{i\theta}g'(re^{i\theta})$ である。$C_r:=\{|z|=r\}$ と書く。
段 1(回転数は $0$ か $1$).$w\notin g(C_r)$ とする。このとき
$$
n(\gamma_r,w)=\begin{cases}0&(w\in g(\{|z|>r\})),\\1&(w\notin g(\{|z|>r\}))\end{cases}
$$
であることを示す。$1< r'< r$ をとり、円板 $W:=\{|u|<1/r'\}$ の上の関数 $\varphi(u):=g(1/u)-w$($u\ne0$)を考える。$\varphi(u)=u^{-1}+(b_0-w)+\sum_{n\ge1}b_nu^n$ なので、$\varphi$ は $W$ 上の有理型関数で、$u=0$ に位数 $1$ の極をもち、ほかに極はない。$\varphi$ の零点は $g(z)=w$ となる $z=1/u$($|z|>r'$)に対応し、$g$ は単射なので高々 1 つである。その位数は $1$ である。実際、$\varphi'(u)=-g'(1/u)/u^2$ で、単葉関数の導関数は $0$ にならない(単葉関数 の命題「単葉性と導関数」)。$w\notin g(C_r)$ なので $\varphi$ は円周 $\{|u|=1/r\}$ の上に零点も極ももたない。偏角の原理 の系「円周に沿う偏角の原理」を $\varphi$ と円周 $c(\theta):=r^{-1}e^{i\theta}$ に当てると
$$
n(\varphi\circ c,0)=Z-1
$$
である。ここで $Z$ は $\{|u|<1/r\}$ の中の零点の個数で、$w\in g(\{|z|>r\})$ なら $1$、そうでなければ $0$ である。一方 $\varphi(c(\theta))=\gamma_r(-\theta)-w$ なので、回転数の積分表示で $\theta$ を $-\theta$ に置き換え、周期性を使うと
$$
n(\varphi\circ c,0)=\frac1{2\pi i}\int_0^{2\pi}\frac{-\gamma_r'(-\theta)}{\gamma_r(-\theta)-w}\,d\theta=-\frac1{2\pi i}\int_0^{2\pi}\frac{\gamma_r'(\theta)}{\gamma_r(\theta)-w}\,d\theta=-n(\gamma_r,w)
$$
である。よって $n(\gamma_r,w)=1-Z$ で、主張が従う。
段 2($E_r$ の面積).$g(C_r)\subset g(\{|z|\ge r\})$ なので、段 1 により $E_r=\{w\notin g(C_r)\mid n(\gamma_r,w)=1\}$ である。$n(\gamma_r,\cdot)$ はコンパクト集合 $g(C_r)$ の補集合の上で局所的に一定なので $E_r$ は開集合であり、lem-area-winding の証明(外側では回転数が $0$)により $|w|>\max_\theta|\gamma_r(\theta)|$ の点は $E_r$ に入らないので $E_r$ は有界である。段 1 により $n(\gamma_r,\cdot)$ は $g(C_r)$ の外で $E_r$ の定義関数に等しく、$g(C_r)$ の面積は $0$ なので、lem-area-winding により
$$
A(E_r)=\iint_{\mathbb C}n(\gamma_r,w)\,dA(w)=\frac1{2i}\int_0^{2\pi}\overline{\gamma_r(\theta)}\,\gamma_r'(\theta)\,d\theta=\frac12\int_0^{2\pi}\overline{g(z)}\,zg'(z)\,d\theta\qquad(z=re^{i\theta})
$$
である。$z=re^{i\theta}$ で
$$
\overline{g(z)}=re^{-i\theta}+\bar b_0+\sum_{n\ge1}\bar b_nr^{-n}e^{in\theta},\qquad zg'(z)=re^{i\theta}-\sum_{m\ge1}mb_mr^{-m}e^{-im\theta}
$$
であり、Laurent展開 の定理「Laurent 展開の収束」により、$u=1/z$ の冪級数 $\sum b_nu^n$ の収束半径は $1$ 以上なので、2 つの級数は円周 $|z|=r$ の上で絶対一様に収束する($\sum nb_nu^n$ も同じ収束半径をもつ)。よって積を展開して項別に積分してよい。$\int_0^{2\pi}e^{ik\theta}d\theta$ は $k=0$ のとき $2\pi$、それ以外で $0$ なので、$\theta$ によらない項だけが残る。それは $re^{-i\theta}\cdot re^{i\theta}=r^2$ と、各 $n\ge1$ についての $\bar b_nr^{-n}e^{in\theta}\cdot(-nb_nr^{-n}e^{-in\theta})=-n|b_n|^2r^{-2n}$ である。したがって
$$
A(E_r)=\frac12\cdot2\pi\Bigl(r^2-\sum_{n\ge1}n|b_n|^2r^{-2n}\Bigr)
$$
であり、1 が示された。
段 3($r\to1$).$1< r< r'$ なら $g(\{|z|\ge r'\})\subset g(\{|z|\ge r\})$ なので $E_r\subset E_{r'}$ であり、$\bigcap_{r>1}E_r=\mathbb C\setminus\bigcup_{r>1}g(\{|z|\ge r\})=\mathbb C\setminus g(\Delta)$ である。$E_r$ は有界で面積が有限なので、$r_k\downarrow1$ をとれば減少列についての測度の連続性から $A(\mathbb C\setminus g(\Delta))=\lim_kA(E_{r_k})$ である。1 と $A(E_r)\ge0$ から、すべての $N$ について $\sum_{n=1}^Nn|b_n|^2r^{-2n}\le r^2$ なので、$r\to1$ として $\sum_{n=1}^Nn|b_n|^2\le1$、したがって $\sum_{n\ge1}n|b_n|^2\le1$ である。$\sum_nn|b_n|^2r_k^{-2n}$ は単調収束定理(級数の場合)により $\sum_nn|b_n|^2$ に収束するので、2 の等式を得る。最後の主張は 2 の等式からただちに従う。$\square$
面積定理は Gronwall による(Dur77 p. 892)。証明の要は、単射性によって回転数が $0$ か $1$ に限られ、lem-area-winding の左辺が本物の面積になることにある。単射でない $g$ では回転数が $2$ 以上や負になりうるので、左辺は面積と一致しない(下の反例の表の 1 行目)。
$g\in\Sigma$ とする。
1.thm-area-main により $n|b_n|^2\le\sum_kk|b_k|^2\le1$ である。
2.$|b_1|=1$ なら $\sum_{n\ge2}n|b_n|^2\le1-|b_1|^2=0$ なので、$n\ge2$ で $b_n=0$ である。逆に $g(z)=z+b_0+b_1/z$、$|b_1|=1$ とする。$c^2=b_1$($|c|=1$)とし、$\zeta:=z/c$ とおくと $g(z)=b_0+c\,J(\zeta)$、$J(\zeta):=\zeta+1/\zeta$ である。$z\mapsto\zeta$ は $\Delta$ を $\Delta$ に一対一に写すので、$J$ が $\Delta$ を $\mathbb C\setminus[-2,2]$ の上に一対一に写すことを示せば、$g$ が単射であることと像の形が同時に分かる。$w\in\mathbb C$ について $J(\zeta)=w$ は $\zeta^2-w\zeta+1=0$ と同値で、この 2 次方程式の 2 根(重複を込める)の積は $1$ である。$w=2\cos t\in[-2,2]$($t$ は実数)なら根は $e^{\pm it}$ で、どちらも $|\zeta|=1$ なので $w\notin J(\Delta)$ である。$w\notin[-2,2]$ なら、絶対値 $1$ の根 $\zeta_1$ があるとするともう一方は $1/\zeta_1=\bar\zeta_1$ で $w=\zeta_1+\bar\zeta_1\in[-2,2]$ となり矛盾するので、根の絶対値は $1$ でなく、積が $1$ だからちょうど 1 つが $\Delta$ に入る。よって $J$ は $\Delta$ から $\mathbb C\setminus[-2,2]$ への全単射である。$\square$
2 の $g$ では $\mathbb C\setminus g(\Delta)$ が線分で面積 $0$ であり、thm-area-main の等号の条件と合っている。
$f(z)=z+a_2z^2+a_3z^3+\cdots\in S$ について $|a_3-a_2^2|\le1$ が成り立つ。
$g(z):=1/f(1/z)$ は $\Sigma$ に属する(単葉関数 の定義「単葉関数と族 $S$, $\Sigma$」の後の段落)。$|u|$ が小さいとき $1/(1+x)=1-x+x^2-\cdots$ を $x=a_2u+a_3u^2+\cdots$ に当てると
$$
\frac1{f(u)}=\frac1u\bigl(1-a_2u+(a_2^2-a_3)u^2+O(u^3)\bigr)=\frac1u-a_2+(a_2^2-a_3)u+O(u^2)
$$
である。$u=1/z$ とおくと $g(z)=z-a_2+(a_2^2-a_3)z^{-1}+\cdots$ であり、Laurent 展開の一意性から $b_1=a_2^2-a_3$ である。cor-area-coefficients の 1 により $|a_3-a_2^2|\le1$ である。$\square$
Koebe 関数 $k(z)=z/(1-z)^2=\sum_{n\ge1}nz^n$ では $a_2^2-a_3=4-3=1$ で等号が成り立つ。$g(z)=1/f(1/z)$ の定数項は $b_0=-a_2$ で、面積定理は $b_0$ について何も言わない。$|a_2|\le2$(Bieberbach の不等式)を得るには、$f$ から奇関数 $h(z)=\sqrt{f(z^2)}$ を作り、$1/h(1/z)$ の $z^{-1}$ の係数が $-a_2/2$ になることに cor-area-coefficients の 1 を当てる。この議論は Koebeの1/4定理 の定理「Bieberbach の不等式」にあり、そこから Koebe の $1/4$ 定理が導かれる。
$0\le b<1$ とし、$g(z):=z+b/z$ とおく。$g(z)=g(z')$ なら $(z-z')(1-b/(zz'))=0$ で、$|z|,|z'|>1$ では $|b/(zz')|<1$ なので $z=z'$ である。よって $g\in\Sigma$ で $b_1=b$、ほかの $b_n$ は $0$ である。$r>1$ について $\gamma_r(\theta)=g(re^{i\theta})=(r+b/r)\cos\theta+i(r-b/r)\sin\theta$ は、$r+b/r$ と $r-b/r$ を半軸とする楕円を反時計回りに 1 周する。楕円の補集合は内部と外部の 2 つの連結成分からなり、外部では回転数が $0$ である。prf-area-main の段 1 により内部での回転数は $0$ か $1$ で、$0$ なら $E_r$ は空になり、thm-area-main の 1 の値 $\pi(r^2-b^2r^{-2})>0$ に反する。よって $E_r$ は楕円の内部であり、実際にその面積 $\pi(r+b/r)(r-b/r)$ は $\pi(r^2-b^2r^{-2})$ に等しい。2 つの半軸は $r$ について増加するので、$r\to1$ とすると、$\mathbb C\setminus g(\Delta)$ は半軸が $1+b$、$1-b$ の閉じた楕円板で、面積は $\pi(1-b^2)$ である。$b=0$($g(z)=z$)では閉単位円板で面積 $\pi$、$b\to1$ の極限が cor-area-coefficients の 2 の線分 $[-2,2]$ である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $g$ が単射 | $\Delta$ 上の $g(z)=z+2/z$ | $\sum n\lvert b_n\rvert^2\le1$(左辺は $4$) |
| $z$ の係数が $1$ | $\Delta$ 上の単射な $g(z)=3z+3/z$ | $\sum n\lvert b_n\rvert^2\le1$(左辺は $9$) |
| 定義域が $\Delta$ 全体 | $\{\lvert z\rvert>\sqrt2\}$ 上の単射な $g(z)=z+2/z$ | $\sum n\lvert b_n\rvert^2\le1$(左辺は $4$) |
1 行目:$1<|z|<2$ なら $2/z$ も $\Delta$ に入り、$g(z)=g(2/z)$ である($z^2\ne2$ なら $z\ne2/z$)。$1< r<\sqrt2$ では $\gamma_r(\theta)=(r+2/r)\cos\theta+i(r-2/r)\sin\theta$ が楕円を時計回りに回るので、内部での回転数は $-1$ で、lem-area-winding の左辺 $\pi(r^2-4r^{-2})$ は負になる。2 行目:$3z+3/z=3J(z)$ は cor-area-coefficients の 2 の証明により単射である。$z$ の係数が $c\ne0$ の単射な $g$ では $g/c\in\Sigma$ を考えて $\sum n|b_n|^2\le|c|^2$ となり、$c=3$ では右辺が $9$ で等号である。3 行目:$|z|,|z'|>\sqrt2$ なら $zz'\ne2$ なので単射である。$\{|z|>R\}$ 上で $g(z)=z+b_0+\sum b_nz^{-n}$ が単射なら $G(\zeta):=g(R\zeta)/R\in\Sigma$ で、その係数は $b_nR^{-n-1}$ なので $\sum n|b_n|^2R^{-2n-2}\le1$ となる。$R=\sqrt2$ では $1\cdot4\cdot\frac14=1$ で等号である。
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