ユニタリ群(unitary group)とは、$A^*A=I$ を満たす $n$ 次複素正方行列の全体 $\mathrm{U}(n)$ のなす群であり、$\mathbb{C}^n$ の標準内積を保つ線形変換の群である。行列式 $1$ の部分群は特殊ユニタリ群 $\mathrm{SU}(n)$ で、$\mathrm{U}(n)$ は $\mathrm{SU}(n)$ と円周の半直積に分かれ、中心はスカラー行列からなる。$\mathrm{U}(n)$ はコンパクトで連結な Lie 群で、指数写像は全射、共役類は固有値の組で決まり、$\mathrm{SU}(n)$ は単連結で $\pi_1(\mathrm{U}(n))\cong\mathbb{Z}$ である。極分解により $\mathrm{U}(n)$ は $\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ の極大コンパクト部分群である。
$n$ 次のユニタリ行列、すなわち $U^*U=I$ を満たす複素正方行列の全体は、行列の積について群をなす。これを ユニタリ群 $\mathrm{U}(n)$ といい、そのうち行列式が $1$ のものの全体を 特殊ユニタリ群 $\mathrm{SU}(n)$ という。$\mathrm{U}(n)$ は $\mathbb{C}^n$ の標準内積を保つ 1 次変換の群であり、実数の直交群 $\mathrm{O}(n)$ を複素数に広げたものにあたる。個々のユニタリ行列の性質(特徴づけ・固有値・ユニタリ対角化)は ユニタリ行列 の記事で扱った。この記事では、それらを集めた群としての構造を調べる。
証明する主な結果は次のとおりである。行列式によって $\mathrm{U}(n)$ が $\mathrm{SU}(n)$ と円周の群の半直積に分かれること、中心がスカラー行列からなること、$\mathrm{U}(n)$ と $\mathrm{SU}(n)$ がコンパクトで弧状連結であり、指数写像が全射であること、共役類が固有値の組で決まること、$\mathrm{U}(n)$ が球面 $S^{2n-1}$ に推移的に作用すること、$\mathrm{SU}(n)$ が単連結で $\pi_1(\mathrm{U}(n))\cong\mathbb{Z}$ であること、そして $\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ が $\mathrm{U}(n)$ と正定値 Hermite 行列の積に一意に分かれ、$\mathrm{U}(n)$ が $\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ の極大コンパクト部分群であることである。
$\mathbb{C}^n$ の元は縦ベクトルとし、標準内積を $\langle x,y\rangle=y^*x=\sum_kx_k\overline{y_k}$、ノルムを $\|x\|=\sqrt{\langle x,x\rangle}$ とする。$A^*=\overline{A}^{\top}$ は共役転置である。
$n\ge1$ に対し
$$
\mathrm{U}(n):=\{A\in M_n(\mathbb{C})\mid A^*A=I\},\qquad \mathrm{SU}(n):=\{A\in\mathrm{U}(n)\mid\det A=1\}
$$
とおく。$\mathrm{U}(n)$ を $n$ 次の ユニタリ群(unitary group)、$\mathrm{SU}(n)$ を $n$ 次の 特殊ユニタリ群(special unitary group)という。$\mathrm{U}_n$、$\mathrm{U}(n,\mathbb{C})$ とも書く。有限次元の複素内積空間 $V$ については、内積を保つ線形変換 $V\to V$ の全体を $\mathrm{U}(V)$ と書き、$V$ のユニタリ群という。
$\mathrm{U}(n)$ が $\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ の部分群であることは、$(AB)^*AB=B^*(A^*A)B=I$ と $A^{-1}=A^*$ による(ユニタリ行列 の記事の定義のあとの段落)。$\lvert\det A\rvert=1$ であり(同じ記事の命題「ユニタリ行列の固有値と行列式」)、$\mathrm{SU}(n)=\mathrm{U}(n)\cap\mathrm{SL}_n(\mathbb{C})$ も部分群である。$V$ の正規直交基底を 1 つ選ぶと、内積を保つ線形変換はユニタリ行列で表されるので、$\mathrm{U}(V)\cong\mathrm{U}(\dim V)$ である。
内積を、正定値とは限らない Hermite 形式に替えることもできる。
$p,q\ge0$、$n=p+q$、$G:=\operatorname{diag}(I_p,-I_q)$ とする。
$$
\mathrm{U}(p,q):=\{A\in M_n(\mathbb{C})\mid A^*GA=G\},\qquad \mathrm{SU}(p,q):=\{A\in\mathrm{U}(p,q)\mid\det A=1\}
$$
を 不定値ユニタリ群 という。$A^*GA=G$ は、$A$ が Hermite 形式 $h(x,y):=y^*Gx$ を保つこと($h(Ax,Ay)=h(x,y)$)と同じである。$\mathrm{U}(n,0)=\mathrm{U}(n)$ である。
$A^*GA=G$ の行列式をとると $\lvert\det A\rvert^2=1$ なので、$\mathrm{U}(p,q)$ の元は正則であり、$h$ を保つ変換の合成と逆変換はまた $h$ を保つので、$\mathrm{U}(p,q)$ は群である。
ユニタリ行列 $U$ は、互いに直交する $n$ 本の複素数の方向それぞれで、絶対値 $1$ の数 $e^{i\theta}$ を掛ける変換である(ユニタリ行列 の定理「ユニタリ行列のユニタリ対角化」)。したがって $\mathrm{U}(n)$ を理解する鍵は、対角行列のなす部分群
$$
T:=\{\operatorname{diag}(e^{i\theta_1},\dots,e^{i\theta_n})\mid\theta_k\in\mathbb{R}\}\cong(S^1)^n
$$
と、その中での元の並べ替えである。どの元も $T$ の元と共役になり、共役な $T$ の元どうしは対角成分の並べ替えでうつり合う(thm-ug-conjugacy)。この $T$ が $\mathrm{U}(n)$ の極大トーラスであり、並べ替えの群 $S_n$ が $\mathrm{U}(n)$ の Weyl群 である。
一方、$\mathrm{U}(n)$ は $\mathbb{C}^n=\mathbb{R}^{2n}$ の中の有界閉集合としてコンパクトであり、$\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ の「長さを変えない部分」を取り出したものである。正則行列は、長さを変えない部分(ユニタリ行列)と、直交する方向に正の倍率で伸び縮みさせる部分(正定値 Hermite 行列)にただ 1 通りに分かれる(thm-ug-polar)。複素数 $z=e^{i\theta}r$ の極形式の行列版である。
上の $T$ は $\mathrm{U}(n)$ の可換な部分群で、$(\theta_1,\dots,\theta_n)\mapsto\operatorname{diag}(e^{i\theta_k})$ により $\mathbb{R}^n/2\pi\mathbb{Z}^n$ と同型な位相群である(トーラス の例「$n$ 次元トーラス」)。$T\cap\mathrm{SU}(n)=\{\operatorname{diag}(e^{i\theta_k})\mid\sum_k\theta_k\in2\pi\mathbb{Z}\}$ は $(\theta_1,\dots,\theta_{n-1})$ で決まり、$(S^1)^{n-1}$ と同型である。$\mathrm{U}(n)$ の元で $T$ のすべての元と可換なものは $T$ の元に限る(対角成分が相異なる対角行列 $D$ と可換な行列は、$AD=DA$ の $(j,k)$ 成分 $a_{jk}d_k=d_ja_{jk}$ から対角行列である)。
$G=\operatorname{diag}(1,-1)$、$t\in\mathbb{R}$ とし、$A_t:=\begin{pmatrix}\cosh t&\sinh t\\\sinh t&\cosh t\end{pmatrix}$ とおく。$\cosh^2t-\sinh^2t=1$ から $A_t^*GA_t=G$ が成り立つ。
$A_t$ は実対称なので $A_t^*=A_t$ であり、$$A_t^*GA_t=\begin{pmatrix}\cosh t&-\sinh t\\\sinh t&-\cosh t\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\cosh t&\sinh t\\\sinh t&\cosh t\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\cosh^2t-\sinh^2t&0\\0&\sinh^2t-\cosh^2t\end{pmatrix}=G$$である。
$z\in\mathrm{U}(1)$ に対し $d(z):=\operatorname{diag}(z,1,\dots,1)\in\mathrm{U}(n)$ とおく。$d\colon\mathrm{U}(1)\to\mathrm{U}(n)$ は単射な準同型で、$\det d(z)=z$ である。
$n\ge1$ とする。
要点:$z:=\det A$ を $d(z)$ に集めると $A=\bigl(Ad(z)^{-1}\bigr)d(z)$ で、左の因子の行列式は $1$ である。$\mu$ の核は $zB=I$ から $B=z^{-1}I$、$z^n=1$ と分かる。
1:$\det$ は積を保ち、値は絶対値 $1$ である。$\det d(z)=z$ なので全射で、核は定義により $\mathrm{SU}(n)$ である。
2:$z:=\det A$、$B:=Ad(z)^{-1}$ とおくと $\det B=1$ なので $A=Bd(z)$ と書ける。$Bd(z)=B'd(z')$ なら行列式を比べて $z=z'$、すると $B=B'$ である。$\mathrm{SU}(n)$ は核として正規部分群で、$\mathrm{SU}(n)\cap d(\mathrm{U}(1))=\{I\}$ なので、これは半直積の分解である。
3:$\Phi$ の成分は行列の成分の多項式と、絶対値 $1$ の数の逆数 $z^{-1}=\bar z$ で書けるので連続である。逆写像は $(B,z)\mapsto Bd(z)$ で、これも連続である。
4:$zI$ はすべての行列と可換なので $\mu$ は準同型である。$A\in\mathrm{U}(n)$ に対し、$\zeta^n=\det A$ となる $\zeta\in\mathrm{U}(1)$ をとると $\det(\zeta^{-1}A)=1$ なので $A=\mu(\zeta,\zeta^{-1}A)$ であり、全射である。$\mu(z,B)=I$ なら $B=z^{-1}I$ で、$\det B=z^{-n}=1$ である。逆に $\zeta^n=1$ なら $\zeta^{-1}I\in\mathrm{SU}(n)$ である。$\square$
3 により $\mathrm{U}(n)$ は位相空間としては $\mathrm{SU}(n)\times S^1$ と同じだが、群としては一般に直積に分かれない。
$n\ge2$ なら、$\mathrm{U}(n)$ は群として $\mathrm{SU}(n)\times\mathrm{U}(1)$ と同型でない。
要点:中心の元で $n$ 乗して $I$ になるものは、$\mathrm{U}(n)$ では $n$ 個、$\mathrm{SU}(n)\times\mathrm{U}(1)$ では $n^2$ 個ある。
thm-ug-center により $Z(\mathrm{U}(n))=\{zI\mid z\in\mathrm{U}(1)\}$ であり、その元で $x^n=I$ を満たすものは $\zeta I$($\zeta^n=1$)の $n$ 個である。直積の中心は中心の直積なので(群の中心 の命題「直積の中心」)、$Z(\mathrm{SU}(n)\times\mathrm{U}(1))=\{\zeta I\mid\zeta^n=1\}\times\mathrm{U}(1)$ であり、$x^n=1$ を満たす元は $n\cdot n=n^2$ 個ある。同型な群の中心は同型で、$x^n=1$ を満たす元の個数も等しいので、$n\ge2$ では同型でない。$\square$
$n\ge1$ とする。
要点:対角成分が相異なる $D\in\mathrm{SU}(n)$ と可換な行列は対角行列であり、さらに $e_j,e_k$ の張る平面の 4 分の 1 回転 $P_{jk}\in\mathrm{SU}(n)$ と可換なら第 $j$・第 $k$ 対角成分が等しい。
スカラー行列 $zI$ がすべての行列と可換なことは明らかで、$zI\in\mathrm{U}(n)$ は $\lvert z\rvert=1$ と、$zI\in\mathrm{SU}(n)$ は $z^n=1$ と同値である。$n=1$ では $\mathrm{U}(1)$ は可換で $\mathrm{SU}(1)=\{1\}$ なので主張は成り立つ。以下 $n\ge2$ とし、$A\in M_n(\mathbb{C})$ が $\mathrm{SU}(n)$ のすべての元と可換ならスカラー行列であることを示す。$\mathrm{SU}(n)\subset\mathrm{U}(n)$ なので、これで 1・2 の両方が従う。
段 1(対角行列になる):$t_k:=k/n^2$($1\le k\le n-1$)、$t_n:=-(t_1+\dots+t_{n-1})=-\frac{n-1}{2n}$ とおき、$D:=\operatorname{diag}(e^{2\pi it_1},\dots,e^{2\pi it_n})$ とする。$\det D=e^{2\pi i\sum_kt_k}=1$ なので $D\in\mathrm{SU}(n)$ である。$t_1,\dots,t_{n-1}\in(0,\frac1n)$ は相異なり、$t_n+1\in(\frac12,1)$ なので、$D$ の対角成分 $d_1,\dots,d_n$ は相異なる。$AD=DA$ の $(j,k)$ 成分を比べると $a_{jk}d_k=d_ja_{jk}$ であり、$j\ne k$ なら $d_j\ne d_k$ なので $a_{jk}=0$ である。よって $A=\operatorname{diag}(a_1,\dots,a_n)$ である。
段 2(対角成分が等しい):$j\ne k$ に対し、$P_{jk}e_j:=e_k$、$P_{jk}e_k:=-e_j$、ほかの $e_l$ は動かさない実行列 $P_{jk}$ をとる。これは $e_j,e_k$ の張る平面の 4 分の 1 回転で、直交行列であり行列式は $1$ なので $P_{jk}\in\mathrm{SU}(n)$ である。$AP_{jk}e_j=Ae_k=a_ke_k$、$P_{jk}Ae_j=a_jP_{jk}e_j=a_je_k$ なので、$AP_{jk}=P_{jk}A$ から $a_j=a_k$ である。よって $A$ はスカラー行列である。$\square$
$\mathrm{U}(n)$ の中心は連結な円周だが、$\mathrm{SU}(n)$ の中心は位数 $n$ の有限群である。prop-ug-det の 4 は、$\mathrm{U}(n)$ が $\mathrm{U}(1)\times\mathrm{SU}(n)$ を、両者の中心の共通部分 $\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$ で割ったものであることを述べている。$\mathrm{SU}(n)$ を中心で割った群 $\mathrm{PSU}(n):=\mathrm{SU}(n)/Z(\mathrm{SU}(n))$ は $\mathrm{U}(n)/Z(\mathrm{U}(n))$ と同型である($\mu$ と商の写像の合成 $\mathrm{SU}(n)\to\mathrm{U}(n)/Z(\mathrm{U}(n))$ は全射で、核は $Z(\mathrm{U}(n))\cap\mathrm{SU}(n)=Z(\mathrm{SU}(n))$)。$n=2$ では $\mathrm{PSU}(2)\cong\mathrm{SO}(3)$ である(SO(3)とSU(2))。
$M_n(\mathbb{C})=\mathbb{C}^{n^2}=\mathbb{R}^{2n^2}$ の位相を部分集合に入れる。歪 Hermite 行列($X^*=-X$ を満たす行列)の全体を $\mathfrak{u}(n)$、そのうち跡が $0$ のものの全体を $\mathfrak{su}(n)$ と書く。
$n\ge1$ とする。
要点:1 は $A^*A=I$ が閉条件で、列が単位ベクトルなので有界であることによる。2 は $X^*=-X$ なら $(e^X)^*=e^{-X}=(e^X)^{-1}$ であり、逆に $U=V\operatorname{diag}(e^{i\theta_k})V^*$(ユニタリ対角化)に対し $X=V\operatorname{diag}(i\theta_k)V^*$ が $e^X=U$ を満たす($\det U=1$ なら $\theta_1$ を取り替えて $\operatorname{tr}X=0$ にできる)。3 は道 $t\mapsto e^{tX}$ で $I$ と $U$ を結ぶ。
1:$A^*A=I$ と $\det A=1$ は、成分の実部と虚部についての多項式の等式の集まりなので、$\mathrm{U}(n)$ と $\mathrm{SU}(n)$ は $\mathbb{R}^{2n^2}$ の閉集合である。ユニタリ行列の各列は長さ $1$ なので成分の絶対値は $1$ 以下であり、有界である。よってコンパクトである(コンパクト空間 の定理「有界閉集合とコンパクト性の一致」)。
2:$X\in\mathfrak{u}(n)$ とする。$(e^X)^*=\overline{e^X}^{\top}=e^{\overline{X}^{\top}}=e^{X^*}=e^{-X}$ であり(行列の指数関数 の命題「相似・転置・固有ベクトル」の (R2))、$e^{-X}=(e^X)^{-1}$ である(同じ記事の系「逆行列と整数乗」)。よって $e^X\in\mathrm{U}(n)$ である。$\operatorname{tr}X=0$ なら $\det e^X=e^{\operatorname{tr}X}=1$(同じ記事の定理「指数関数の固有値と行列式」)なので $e^X\in\mathrm{SU}(n)$ である。
全射であること:$U\in\mathrm{U}(n)$ とすると、ユニタリ行列 $V$ と実数 $\theta_1,\dots,\theta_n$ で $U=V\operatorname{diag}(e^{i\theta_1},\dots,e^{i\theta_n})V^*$ となるものがある(ユニタリ行列 の定理「ユニタリ行列のユニタリ対角化」)。$X:=V\operatorname{diag}(i\theta_1,\dots,i\theta_n)V^*$ とおくと $X^*=V\operatorname{diag}(-i\theta_k)V^*=-X$ であり、$e^X=Ve^{\operatorname{diag}(i\theta_k)}V^{-1}=U$ である(同じ記事の命題「相似・転置・固有ベクトル」の (R1))。さらに $\det U=1$ なら $e^{i\sum_k\theta_k}=1$、すなわち $\sum_k\theta_k\in2\pi\mathbb{Z}$ なので、$\theta_1$ を $\theta_1-\sum_k\theta_k$ に取り替えても $e^{i\theta_1}$ は変わらず、$\operatorname{tr}X=i\sum_k\theta_k=0$ にできる。
3:2 の $X$ について、$t\in[0,1]$ に $e^{tX}$ を対応させる道は連続で、$tX\in\mathfrak{u}(n)$($\operatorname{tr}X=0$ なら $tX\in\mathfrak{su}(n)$)なので $\mathrm{U}(n)$($\mathrm{SU}(n)$)の中にあり、$I$ と $U$ を結ぶ。$\square$
$\mathrm{U}(n)$ は $\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})\subset\mathrm{GL}_{2n}(\mathbb{R})$ の閉部分群なので Lie 群であり(Lie群 の定理「閉部分群定理(Cartan)」)、その単位元での接空間(Lie 環)は $\mathfrak{u}(n)$、次元は $n^2$ である($\mathrm{SU}(n)$ は $\mathfrak{su}(n)$、$n^2-1$ 次元)。
実際、$\mathrm{U}(n)$ の中の滑らかな曲線 $c$ で $c(0)=I$ となるものについて、$c(t)^*c(t)=I$ を $t=0$ で微分すると $c'(0)^*+c'(0)=0$ であり、逆に $X\in\mathfrak{u}(n)$ は曲線 $e^{tX}$ の速度である。歪 Hermite 行列は、対角成分が純虚数で、$(j,k)$ 成分($j< k$)が自由な複素数で $(k,j)$ 成分を決めるので、$\dim_{\mathbb{R}}\mathfrak{u}(n)=n+2\cdot\frac{n(n-1)}2=n^2$、$\dim_{\mathbb{R}}\mathfrak{su}(n)=n^2-1$ である。
$n\ge1$ とし、$T\subset\mathrm{U}(n)$ を対角行列のトーラス(ex-ug-torus)とする。
要点:ユニタリ対角化で $T$ の元に共役にし、固有多項式が等しければ対角成分の並べ替えを置換行列 $P_\sigma\in\mathrm{U}(n)$ の共役で実現する。
1:ユニタリ行列 の定理「ユニタリ行列のユニタリ対角化」により $A=VDV^*$($V\in\mathrm{U}(n)$、$D\in T$)と書けるので、$D=V^{-1}AV$ である。
2:(a) ⇒ (b) は明らか。(b) ⇒ (c):$\det(xI-PAP^{-1})=\det\bigl(P(xI-A)P^{-1}\bigr)=\det(xI-A)$ である。(c) ⇒ (a):1 により $A=VDV^{-1}$、$B=V'D'V'^{-1}$($V,V'\in\mathrm{U}(n)$、$D,D'\in T$)と書ける。$D$ と $D'$ の対角成分は、それぞれ $A$ と $B$ の固有値を重複度込みで並べたものなので、(c) によりその並べ方の違いを除いて一致する。すなわち置換 $\sigma$ で $D'=\operatorname{diag}(d_{\sigma(1)},\dots,d_{\sigma(n)})$ となる。$\sigma$ の置換行列 $P_\sigma$(第 $k$ 列が $e_{\sigma(k)}$)は $\mathrm{U}(n)$ に属し、$P_\sigma^{-1}DP_\sigma e_k=P_\sigma^{-1}De_{\sigma(k)}=d_{\sigma(k)}e_k$ なので $D'=P_\sigma^{-1}DP_\sigma$ である。よって $B=WAW^{-1}$、$W:=V'P_\sigma^{-1}V^{-1}\in\mathrm{U}(n)$ である。
3:対角行列の固有多項式は $\prod_k(x-z_k)$ なので、2 の (a) ⇔ (c) と、複素係数の多項式の 1 次式への分解の一意性による。$\square$
したがって $\mathrm{U}(n)$ の共役類の全体は、$T$ を $S_n$ の並べ替えで割ったもの、すなわち単位円周上の $n$ 点の重複を許した組の全体と 1 対 1 に対応する。$\mathrm{U}(n)$ 上の関数で共役で不変なもの(類関数)は、固有値 $z_1,\dots,z_n$ の対称な関数として書ける。跡 $\operatorname{tr}A=z_1+\dots+z_n$ と行列式 $\det A=z_1\cdots z_n$ がその代表である。並べ替えの群 $S_n$ は、$T$ の正規化群を $T$ で割った群として現れる(Weyl群 の記事で証明する)。
2 で $A,B$ がユニタリという仮定は外せない。$\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix}$ と $I_2$ は固有多項式 $(x-1)^2$ が等しいが、$I_2$ に共役な行列は $I_2$ だけなので共役でない。証明では、ユニタリ行列が対角化できることを使った。
$S^{2n-1}:=\{x\in\mathbb{C}^n\mid\|x\|=1\}$ は $\mathbb{C}^n=\mathbb{R}^{2n}$ の単位球面である。$A\in\mathrm{U}(n)$ は長さを保つので $(A,x)\mapsto Ax$ は $\mathrm{U}(n)$ の $S^{2n-1}$ への群の作用である。$n\ge2$ のとき $B\mapsto\operatorname{diag}(B,1)$ により $\mathrm{U}(n-1)\subset\mathrm{U}(n)$、$\mathrm{SU}(n-1)\subset\mathrm{SU}(n)$ とみなす。
$n\ge1$ とする。
要点:$x$ を最後の列に置くユニタリ行列を Gram–Schmidt の正規直交化で作り、$n\ge2$ なら第 1 列に位相因子を掛けて行列式を $1$ にする。剰余類の空間からの連続な全単射は、コンパクト空間から Hausdorff 空間への写像なので同相写像である。
推移性:$x\in S^{2n-1}$ とする。$x$ を最後に置く $\mathbb{C}^n$ の正規直交基底 $f_1,\dots,f_{n-1},x$ がある($x$ と標準基底のうち $n-1$ 本で基底を作り、$x$ を先頭にして Gram–Schmidt の正規直交化を施す。Gram–Schmidtの直交化 の定理「Gram–Schmidtの直交化の基本定理」)。これらを列に並べた $A$ はユニタリ行列で $Ae_n=x$ である。$n\ge2$ なら、第 1 列 $f_1$ を $\overline{\det A}f_1$ に替える($\lvert\det A\rvert=1$)と、列は正規直交のまま行列式が $\overline{\det A}\det A=1$ になり、$Ae_n=x$ は変わらない。
安定化群:$Ae_n=e_n$ なら第 $n$ 列が $e_n$ であり、行も正規直交基底をなす(ユニタリ行列 の定理「ユニタリ行列の特徴づけ」)ので、第 $n$ 行は長さ $1$ で第 $n$ 成分が $1$、ほかは $0$ である。よって $A=\operatorname{diag}(B,1)$、$B\in\mathrm{U}(n-1)$ であり、$\det A=\det B$ である。
同相:1・2 の写像は、推移性と安定化群の計算により全単射である(群の作用 の系「推移的な作用と剰余類」)。$A\mapsto Ae_n$ は連続で剰余類の上で一定なので、商位相の定義により剰余類の空間からの写像も連続である。$\mathrm{U}(n)$ はコンパクト(thm-ug-topology)なのでその連続像である剰余類の空間もコンパクトで、$S^{2n-1}$ は Hausdorff なので、コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続な全単射として同相写像である(コンパクト空間 の命題「保存と閉性」)。$\mathrm{SU}(n)$ も同じである。$\square$
$n\ge1$ とする。
要点:ファイバー束 $\mathrm{SU}(n-1)\to\mathrm{SU}(n)\to S^{2n-1}$ のホモトピー完全列と $\pi_1(S^{2n-1})=0$ から、帰納法で $\pi_1(\mathrm{SU}(n))=0$ が分かる。$\mathrm{U}(n)$ は $\mathrm{SU}(n)\times\mathrm{U}(1)$ と同相(prop-ug-det の 3)なので、基本群は $\mathbb{Z}$ である。
1:$n$ についての帰納法で示す。$\mathrm{SU}(1)=\{1\}$ は 1 点である。$n\ge2$ とし、$p\colon\mathrm{SU}(n)\to S^{2n-1}$、$p(A):=Ae_n$ を考える。$p$ はファイバーが $\mathrm{SU}(n-1)$ のファイバー束である(Hat02 §4.2 Example 4.53・4.55、pp. 381–383 は $\mathrm{U}(n)$ の場合を、§4.D、p. 434 は $\mathrm{SU}(n)$ の場合を述べる)。ファイバー束はホモトピー持ち上げ性質をもち(同書 Proposition 4.48、p. 379)、ホモトピー群の長い完全列$$\pi_1(\mathrm{SU}(n-1))\to\pi_1(\mathrm{SU}(n))\to\pi_1(S^{2n-1})$$がある(同書 Theorem 4.41、p. 376)。$2n-1\ge3$ なので $\pi_1(S^{2n-1})=0$ であり(同書 Proposition 1.14、p. 35)、左の写像は全射である。帰納法の仮定から左端は自明なので、$\pi_1(\mathrm{SU}(n))=0$ である。$\mathrm{SU}(n)$ は弧状連結(thm-ug-topology)なので単連結である。
2:prop-ug-det の 3 の同相写像 $\Phi\colon\mathrm{U}(n)\to\mathrm{SU}(n)\times\mathrm{U}(1)$ は $I$ を $(I,1)$ に写し、第 2 成分は $\det$ である。弧状連結な空間の積の基本群は基本群の積なので(Hat02 Proposition 1.12、p. 34)、1 と $\pi_1(\mathrm{U}(1))\cong\mathbb{Z}$ から$$\pi_1(\mathrm{U}(n),I)\cong\pi_1(\mathrm{SU}(n),I)\times\pi_1(\mathrm{U}(1),1)\cong\mathbb{Z}$$であり、この同型の第 2 成分が $\det_*$ である。ループ $d(e^{2\pi it})$ は $\Phi$ で $(I,e^{2\pi it})$ に写るので、$\pi_1(\mathrm{U}(1))$ の生成元に対応する。$\square$
$\mathrm{SU}(2)\cong S^3$ の場合は、球面の単連結性からも直接分かる。一方、$\mathrm{SO}(n)$($n\ge3$)は単連結でなく、基本群は位数 $2$ である($n=3$ は SO(3)とSU(2) の定理「回転群の基本群」、一般の $n$ は Spin群 の系「$\mathrm{Spin}(n)$ の単連結性」)。$\mathrm{SO}(n)$ の単連結な二重被覆群が Spin群 である。
$\mathcal{P}_n$ を $n$ 次の正定値 Hermite 行列(正定値行列)の全体とする。
$n\ge1$ とする。
要点:$P$ は $A^*A$ の正定値な平方根として一意に決まり、$U=AP^{-1}$ である。逆写像の連続性と 3 は $\mathrm{U}(n)$ のコンパクト性から、変位レトラクトは $P$ を $I$ へ線分で縮めて得る。
1:$A^*A$ は Hermite 行列で、$x\ne0$ なら $x^*A^*Ax=\|Ax\|^2>0$ なので正定値である。$P:=(A^*A)^{1/2}$ を $A^*A$ の正定値な平方根とする(正定値行列 の定理「半正定値な平方根の存在と一意性」)。$U:=AP^{-1}$ とおくと、$P^*=P$ から $U^*U=P^{-1}A^*AP^{-1}=P^{-1}P^2P^{-1}=I$ なので $U\in\mathrm{U}(n)$ である。一意性:$A=UP$ なら $A^*A=PU^*UP=P^2$ なので、平方根の一意性により $P=(A^*A)^{1/2}$、したがって $U=AP^{-1}$ である。
2:$m$ は連続で、1 により全単射である。逆写像の連続性を示す。$A_k\to A$ とし、$A_k=U_kP_k$、$A=UP$ とする。$(U_k,P_k)\not\to(U,P)$ と仮定すると、$\varepsilon>0$ と部分列で、$(U_k,P_k)$ が $(U,P)$ から距離 $\varepsilon$ 以上離れたままのものがある。$\mathrm{U}(n)$ はコンパクトなので、さらに部分列をとって $U_k\to U'\in\mathrm{U}(n)$ とできる。すると $P_k=U_k^*A_k\to U'^*A=:P'$ である。$P'$ は Hermite 行列の極限なので Hermite で、$x^*P'x=\lim x^*P_kx\ge0$ であり、$P'=U'^*A$ は正則なので固有値は正、すなわち $P'\in\mathcal{P}_n$ である。$A=U'P'$ と 1 の一意性から $(U',P')=(U,P)$ となり、仮定に反する。
変位レトラクト:$H(A,s):=U\bigl((1-s)P+sI\bigr)$($A=UP$、$s\in[0,1]$)とおく。$(1-s)P+sI$ は正定値なので $H(A,s)\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ であり、$H$ は連続、$H(A,0)=A$、$H(A,1)=U\in\mathrm{U}(n)$、$A\in\mathrm{U}(n)$ なら $P=I$ で $H(A,s)=A$ である。
3:$A\in K$ を $A=UP$ と書くと、$U\in\mathrm{U}(n)\subset K$ なので $P=U^{-1}A\in K$ であり、すべての整数 $m$ について $P^m\in K$ である。$P=V\operatorname{diag}(\lambda_1,\dots,\lambda_n)V^*$($V$ はユニタリ、$\lambda_j>0$)と書くと、$\|P^mVe_j\|=\lambda_j^m$ である。ある $\lambda_j\ne1$ なら、$m\to\infty$ または $m\to-\infty$ でこれは有界でなく、$K$ がコンパクト、したがって $\mathbb{C}^{n^2}$ の有界集合であることに反する。よってすべての $\lambda_j=1$、$P=I$ で、$A=U\in\mathrm{U}(n)$ である。$\square$
2 により $\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ は $\mathrm{U}(n)$ とホモトピー同値であり、$\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ は弧状連結で基本群は $\mathbb{Z}$ である(thm-ug-pi1)。正定値行列の全体 $\mathcal{P}_n$ は凸集合なので、極分解は「コンパクトな部分 $\mathrm{U}(n)$」と「可縮な部分 $\mathcal{P}_n$」への分解である。$n=1$ では複素数の極形式 $a=e^{i\theta}r$($r>0$)そのものである。
$\mathbb{C}^n=\mathbb{R}^{2n}$ とみると、$\mathrm{U}(n)$ は実の内積・交代形式・複素構造($i$ 倍)のうち 2 つを保つ実線形変換の群であり、$\mathrm{U}(n)=\mathrm{O}(2n)\cap\mathrm{Sp}(2n,\mathbb{R})$ である(FH91 Exercise 7.3)。
$\mathbb{C}^n$ の元 $z=x+iy$($x,y\in\mathbb{R}^n$)を $\binom{x}{y}\in\mathbb{R}^{2n}$ と同一視する。複素行列 $A=B+iC$($B,C$ は実行列)による $z\mapsto Az$ は、実の行列$$\rho(A):=\begin{pmatrix}B&-C\\C&B\end{pmatrix}$$で表され、$\rho$ は積を保つ単射である。$J:=\rho(iI)=\begin{pmatrix}O&-I\\I&O\end{pmatrix}$ とおく。実の $2n$ 次行列 $M$ が $\rho(M_n(\mathbb{C}))$ に属することは $MJ=JM$($i$ 倍と可換)と同値である。$\mathrm{Sp}(2n,\mathbb{R}):=\{M\mid M^{\top}JM=J\}$ を実斜交群という。
主張:実の $2n$ 次正則行列 $M$ についての 3 条件 (a) $MJ=JM$、(b) $M^{\top}M=I$($M\in\mathrm{O}(2n)$)、(c) $M^{\top}JM=J$($M\in\mathrm{Sp}(2n,\mathbb{R})$)のうち、どの 2 つからも残りの 1 つが従う。さらに $A\in M_n(\mathbb{C})$ について、$A\in\mathrm{U}(n)$ と $\rho(A)\in\mathrm{O}(2n)$ は同値である。したがって$$\rho(\mathrm{U}(n))=\mathrm{O}(2n)\cap\rho(\mathrm{GL}_n(\mathbb{C}))=\mathrm{Sp}(2n,\mathbb{R})\cap\rho(\mathrm{GL}_n(\mathbb{C}))=\mathrm{O}(2n)\cap\mathrm{Sp}(2n,\mathbb{R})$$である。
証明:
(a)・(b) ⇒ (c):$M^{\top}JM=M^{\top}MJ=J$。(b)・(c) ⇒ (a):$M^{\top}=M^{-1}$ を (c) に入れると $M^{-1}JM=J$、すなわち $JM=MJ$。(a)・(c) ⇒ (b):$J=M^{\top}JM=M^{\top}MJ$ で $J$ は正則なので $M^{\top}M=I$。
後半:$z=x+iy$ の複素ノルムと $\binom{x}{y}$ の実ノルムは等しい($\|z\|^2=\sum_k(x_k^2+y_k^2)$)。$\rho(A)\binom{x}{y}$ は $Az$ に対応するので、$\rho(A)$ が実ノルムを保つことと $A$ が複素ノルムを保つことは同値であり、前者は $\rho(A)\in\mathrm{O}(2n)$、後者は $A\in\mathrm{U}(n)$ と同値である(直交行列 の定理「直交行列の特徴づけ」、ユニタリ行列 の定理「ユニタリ行列の特徴づけ」)。最後の等式は前半からすぐ従う。$\square$
$z=x+iy$、$w=u+iv$ とすると $\langle z,w\rangle=(x\cdot u+y\cdot v)+i(y\cdot u-x\cdot v)$ であり、実部は $\mathbb{R}^{2n}$ の内積、虚部は $J$ で表される交代形式 $\binom{x}{y}^{\top}J\binom{u}{v}$ である。ユニタリ行列は両方を保つ実線形変換であり、命題は「内積・交代形式・複素構造のうち 2 つを保てば 3 つ目も保つ」と言い換えられる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| Hermite 形式が正定値($\operatorname{diag}(1,-1)$ に替える) | $\mathrm{U}(1,1)$ | コンパクトであること |
| 行列式が $1$($\mathrm{SU}(n)$ を $\mathrm{U}(n)$ に広げる) | $\mathrm{U}(1)$ | 単連結であること |
| $n\ge2$(cor-ug-not-product) | $n=1$ | $\mathrm{SU}(n)\times\mathrm{U}(1)$ と群として同型でないこと |
| 行列がユニタリ(thm-ug-conjugacy の 2) | $\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix}$ と $I_2$ | 固有多項式が等しければ共役であること |
| 部分群 $K$ がコンパクト(thm-ug-polar の 3) | $K=\{2^mU\mid m\in\mathbb{Z},\ U\in\mathrm{U}(n)\}$ | $\mathrm{U}(n)\subset K$ なら $K=\mathrm{U}(n)$ |
1 行目は ex-ug-u11 で確かめた。2 行目:$\mathrm{U}(1)$ は円周なので基本群は $\mathbb{Z}$ で、単連結でない(thm-ug-pi1 の 2 で $n=1$)。3 行目:$n=1$ では $\mathrm{SU}(1)=\{1\}$ なので $\mathrm{SU}(1)\times\mathrm{U}(1)\cong\mathrm{U}(1)$ である。4 行目は thm-ug-conjugacy のあとの段落で確かめた。5 行目:$K$ は $\mathrm{U}(n)$ の元とスカラー行列 $2^mI$ の積の全体で、$2^mI$ がすべての行列と可換なので部分群であり、$\mathrm{U}(n)$ を含むが、$2^mI$ の成分は有界でないのでコンパクトでなく、$2I\notin\mathrm{U}(n)$ である。
ユニタリ群の定義には複素共役が要る。一般に、体の 2 次拡大 $L/K$ とその非自明な自己同型 $a\mapsto\bar a$ があれば、$\{A\in\mathrm{GL}_n(L)\mid\overline{A}^{\top}A=I\}$ を考えることができ、$\mathbb{C}/\mathbb{R}$ の場合が $\mathrm{U}(n)$ である。有限体 $\mathbb{F}_{q^2}/\mathbb{F}_q$($\bar a=a^q$)の場合は有限群になる。また複素 Hilbert空間 $H$ の上でも、全射で内積を保つ有界線形作用素(ユニタリ作用素)の全体が群をなし、$H$ のユニタリ群と呼ばれる。無限次元では、内積を保っても全射とは限らない(ユニタリ行列 の注意「無限次元でのずらし作用素」)。
$\mathrm{U}(n)$、$\mathrm{SU}(n)$、不定値ユニタリ群 $\mathrm{U}(k,l)$ の定義は FH91 §7.2(p. 98)にあり、同所の Exercise 7.3 は $\mathrm{U}(n)=\mathrm{O}(2n)\cap\mathrm{Sp}_{2n}\mathbb{R}$ を述べる(同書の Hermite 形式は第 1 変数について共役線形である)。ファイバー束 $\mathrm{U}(n-1)\to\mathrm{U}(n)\to S^{2n-1}$ は Hat02 Example 4.55(p. 383)、$\mathrm{SU}(n-1)\to\mathrm{SU}(n)\to S^{2n-1}$ は同書 §4.D(p. 434)にあり、ホモトピー完全列は Theorem 4.41(p. 376)、ファイバー束のホモトピー持ち上げ性質は Proposition 4.48(p. 379)である。この記事のほかの命題・定理は、引用した記事の定理を除いて記事の中で証明した。
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