多項式の筆算と組立除法(polynomial long division and synthetic division)とは、$10$ を $x$ にした筆算で多項式の積と商を係数の並びで計算する方法と、$x-a$ で割る筆算を略した組立除法である。積の $x^k$ の係数は $\sum_{i+j=k}a_ib_j$ で、代入は和と積を保つので整数の掛け算の筆算は $x=10$ での多項式の積の筆算に繰り上がりを足したものである。商の各項は最高次の係数どうしの割り算で決まる(仮の商は不要)。整数係数の $f=gq+r$ で $g(10)>0$ のとき、$q(10),r(10)$ が $f(10)\div g(10)$ の商と余りになるのは $0\le r(10)<g(10)$ のときである。組立除法は「前の結果の $a$ 倍を次の係数に足す」計算で、最後の数が余り $f(a)$ である。
前提知識: 多項式, 分配法則, 整数の筆算の仕組み, 剰余の定理と因数定理
整数の筆算は、数を $10$ の累乗のまとまりに分け、分配法則で計算し、最後に繰り上げる手続きである(整数の筆算の仕組み)。$10$ を文字 $x$ に置きかえると、同じ筆算で多項式の掛け算と割り算ができる。しかも多項式には繰り上がりがないので、筆算はかえって簡単になる。この記事では、多項式の筆算が整数の筆算とどう対応するかを確かめ、$x-a$ で割る筆算を短く書いた 組立除法 がなぜ正しいかを証明する。
整数の筆算と多項式の計算を、同じ形に並べてみる。
$132\times23$ の筆算は、$132\times3=396$ と、$132\times2=264$ を 1 桁ずらしたものを足して $3036$ である。
$(x^2+3x+2)(2x+3)$ を、同じ形で計算する。係数だけを書くと、$x^2+3x+2$ は $(1,3,2)$、$2x+3$ は $(2,3)$ である。
132×23 と (x²+3x+2)(2x+3) の筆算。数字の並びは同じで、違いは 13 を繰り上げるかどうかだけ
$1452\mathbin{÷}12$ の筆算は、$14-12=2$、$5$ を下ろして $25-24=1$、$2$ を下ろして $12-12=0$ で、商 $121$、余り $0$ である。
$(x^3+4x^2+5x+2)\mathbin{÷}(x+2)$ を、最高次の項を消していく筆算で計算する。
1452÷12 と (x³+4x²+5x+2)÷(x+2) の筆算。係数だけを書くと数字まで同じになる
2 つの例では、整数と多項式の筆算がほとんど同じに見える。この記事で答える問いは次の 4 つである。
| 整数の筆算 | 多項式の筆算 | 違い |
|---|---|---|
| 各位の数字 $d_k$ | $x^k$ の係数 | 係数は $0$〜$9$ に限らない(負や分数もよい) |
| $10^k$ の位 | $x^k$ の列 | |
| 1 桁ずらす($10$ 倍) | 1 列ずらす($x$ 倍) | |
| 繰り上がり・借り | なし | 多項式では列どうしが混ざらない |
| 仮の商を試して直す | 最高次の係数で割るだけ | prop-pld-leading |
| $10$ で割り続けて位を求める | $x-a$ で割り続けて $(x-a)^k$ の係数を求める | prop-pld-shift |
この記事では、係数が実数の多項式を扱う(係数が有理数や複素数でも同じである)。
多項式 $f(x)=c_nx^n+c_{n-1}x^{n-1}+\dots+c_1x+c_0$($c_n\ne0$)について、$n$ を $f$ の 次数、$c_n$ を 最高次の係数 という。係数を次数の高い順に並べた $(c_n,c_{n-1},\dots,c_1,c_0)$ を $f$ の 係数の並び という。ある次数の項がないときは、その係数を $0$ として並びに入れる。係数の並びだけで筆算をする書き方を 分離係数法 という。
係数の $0$ は、整数の数字の $0$ と同じ役目をする。省くと列がずれる(ex-pld-zero-coef)。
多項式の掛け算の筆算は、整数の筆算の仕組み の掛け算の命題の $10$ を $x$ に置きかえたものである。証明も同じく分配法則だけを使う。
$f(x)=\sum_{i=0}^{m}a_ix^i$、$g(x)=\sum_{j=0}^{n}b_jx^j$ とする。このとき
$$
f(x)\,g(x)=\sum_{j=0}^{n}\bigl(b_j\,f(x)\bigr)x^j
$$
であり(筆算の $j$ 段目は、$f$ の係数を $b_j$ 倍して $j$ 列ずらしたもの)、積の $x^k$ の係数は
$$
c_k=\sum_{i+j=k}a_ib_j\qquad(k=0,1,\dots,m+n)
$$
である。ここで和は、$0\le i\le m$、$0\le j\le n$、$i+j=k$ を満たすすべての組 $(i,j)$ についてとる。
方針:$g$ を項に分けて分配法則を使い、次に $f$ も項に分けて同じ次数の項を集める。
段 1。$g(x)=\sum_{j=0}^{n}b_jx^j$ に分配法則を使うと
$$
f(x)\,g(x)=\sum_{j=0}^{n}f(x)\,b_jx^j=\sum_{j=0}^{n}\bigl(b_j\,f(x)\bigr)x^j
$$
である。$b_jf(x)=\sum_{i}(b_ja_i)x^i$ に $x^j$ を掛けると $\sum_i(a_ib_j)x^{i+j}$ で、係数の並びはそのまま $j$ 列上の次数へ移る。これが「$j$ 列ずらす」ことである。
段 2。段 1 の式の $f(x)$ にも $\sum_ia_ix^i$ を入れて分配法則を使うと
$$
f(x)\,g(x)=\sum_{j=0}^{n}\sum_{i=0}^{m}a_ib_j\,x^{i}x^{j}=\sum_{j=0}^{n}\sum_{i=0}^{m}a_ib_j\,x^{i+j}
$$
である(指数法則 $x^ix^j=x^{i+j}$)。
段 3。この $(m+1)(n+1)$ 個の項を、$x$ の次数 $k=i+j$ ごとにまとめる。分配法則で $x^k$ をくくり出すと、$x^k$ の係数は $i+j=k$ となる組についての $a_ib_j$ の和、つまり $c_k$ である。$\square$
多項式に数を代入してから計算しても、計算してから代入しても、結果は同じである。これが整数と多項式の筆算をつなぐ。
多項式 $f,g$ と数 $c$ について
$$
(f+g)(c)=f(c)+g(c),\qquad (fg)(c)=f(c)\,g(c)
$$
が成り立つ。とくに、$0$ 以上の整数 $a,b$ の数字の並びを係数とする多項式を $A(x),B(x)$ とすると($A(10)=a$、$B(10)=b$)、$ab=(AB)(10)$ であり、$AB$ の係数($0$ 以上の整数)を 整数の筆算の仕組み の繰り上がりの補題の手順で繰り上げると、$ab$ の数字が得られる。
方針:和は係数ごとの和なので、そのまま代入できる。積は prop-pld-mul の段 2 の式に $c$ を入れる。
段 1(和)。$f=\sum_ka_kx^k$、$g=\sum_kb_kx^k$(足りない係数は $0$)とすると $f+g=\sum_k(a_k+b_k)x^k$ である。$x=c$ を入れると、分配法則により
$$
(f+g)(c)=\sum_k(a_k+b_k)c^k=\sum_ka_kc^k+\sum_kb_kc^k=f(c)+g(c)
$$
である。
段 2(積)。prop-pld-mul より $fg=\sum_kc_kx^k$、$c_k=\sum_{i+j=k}a_ib_j$ である。$x=c$ を入れると
$$
(fg)(c)=\sum_k\Bigl(\sum_{i+j=k}a_ib_j\Bigr)c^k=\sum_{i=0}^{m}\sum_{j=0}^{n}a_ib_j\,c^{i+j}
$$
である(次数ごとにまとめる前の形に戻した)。一方、$f(c)\,g(c)=\bigl(\sum_ia_ic^i\bigr)\bigl(\sum_jb_jc^j\bigr)$ を分配法則で展開すると $\sum_i\sum_ja_ib_j\,c^ic^j$ であり、$c^ic^j=c^{i+j}$ なので同じ式になる。よって $(fg)(c)=f(c)g(c)$ である。
段 3(整数の場合)。段 2 で $c=10$ とすると $(AB)(10)=A(10)B(10)=ab$ である。$AB$ の係数 $c_k=\sum_{i+j=k}a_ib_j$ は、$0$ 以上の整数(数字)の積の和なので $0$ 以上の整数である。$ab=\sum_kc_k10^k$ に繰り上がりの補題を使うと、各位が $0$〜$9$ に直り、10 進法の表し方の一意性により、それが $ab$ の数字である。$\square$
$g\ne0$ のとき、$f=gq+r$、$r=0$ または $\deg r<\deg g$ を満たす商 $q$ と余り $r$ がただ 1 組あること(多項式の割り算の定理)は、剰余の定理と因数定理 で証明している。その証明は「最高次の項を 1 つずつ消す」手順であり、それを整数の割り算と同じ形に並べたものが多項式の割り算の筆算である。ここでは、まず筆算の例を見て、整数の割り算との違いを証明する。
$(2x^4+3x^3-x^2+5x-4)\mathbin{÷}(x^2+x-1)$ を計算する。係数の並びは $(2,3,-1,5,-4)$ と $(1,1,-1)$ である。
2 次式で割った余りは、別の場面でも役に立つ。$t^n$ を 2 次式で割った余りから行列の $n$ 乗を求める使い方は 行列のn乗と割り算の余り で扱う。
整数の割り算では、商の数字を上の桁から見積もり、大きすぎたら直す必要があった(整数の筆算の仕組み の仮の商の例)。多項式ではその必要がない。
$f$ を次数 $n$、最高次の係数 $a$ の多項式、$g$ を次数 $m\le n$、最高次の係数 $b$ の多項式とし、$f=gq+r$($r=0$ または $\deg r< m$)とする。このとき $q$ の次数は $n-m$ で、最高次の項は
$$
\frac ab\,x^{n-m}
$$
である。さらに $f_1=f-\frac ab\,x^{n-m}g$ は、$f_1=0$ か $\deg f_1< n$ を満たす。
方針:$f=gq+r$ の両辺の $x^n$ の項を比べる。$r$ は次数が低いので $x^n$ の項に関わらない。
段 1($q\ne0$)。もし $q=0$ なら $f=r$ で、$r=0$ か $\deg r< m\le n$ となり、$f$ の次数が $n$ であることに反する。よって $q\ne0$ である。
段 2(次数)。$q$ の次数を $d$、最高次の係数を $e\ne0$ とする。$gq$ の最高次の項は、$g$ の $bx^m$ と $q$ の $ex^d$ の積 $be\,x^{m+d}$ であり(prop-pld-mul で $k=m+d$ となる組は $(m,d)$ だけ)、$be\ne0$ なので $\deg(gq)=m+d$ である。$r$ は $0$ か次数が $m$ 未満なので、$f=gq+r$ の次数は $m+d$ である($m+d\ge m$ だから)。よって $m+d=n$、つまり $d=n-m$ である。
段 3(係数)。$f=gq+r$ の $x^n$ の係数を比べる。左辺は $a$、右辺は $gq$ の $x^n$ の係数 $be$($r$ は $x^n$ の項をもたない)なので、$a=be$、つまり $e=\frac ab$ である。
段 4(引いたあと)。$\frac ab x^{n-m}g$ の最高次の項は $\frac ab x^{n-m}\cdot bx^m=ax^n$ で、$f$ の最高次の項と等しい。引くと $x^n$ の項は消えるので、$f_1=0$ か $\deg f_1< n$ である。$\square$
ex-pld-div-start では、多項式の割り算に $x=10$ を入れると、整数の割り算 $1452=12\times121$ になった。いつもそうなるわけではない。
$f,g,q,r$ を整数係数の多項式とし、$f=gq+r$ とする。整数 $c$ について $g(c)>0$ とする。このとき、$q(c)$ と $r(c)$ が整数 $f(c)$ を $g(c)$ で割った商と余りであることは、
$$
0\le r(c)< g(c)
$$
と同値である。
方針:thm-pld-subst で $x=c$ を入れ、商と余りの一意性(除法の原理。証明は 整数の割り算と互除法)に持ち込む。逆向きは余りの定義から出る。
段 1。$f=gq+r$ の両辺に $x=c$ を入れると、thm-pld-subst により
$$
f(c)=g(c)\,q(c)+r(c)
$$
である。係数が整数なので、$f(c),g(c),q(c),r(c)$ はどれも整数である。
段 2($0\le r(c)< g(c)$ ならば商と余り)。$0\le r(c)< g(c)$ とする。除法の原理(証明は 整数の割り算と互除法)により、$f(c)=g(c)Q+R$、$0\le R< g(c)$ を満たす整数の組 $(Q,R)$ はただ 1 組である。段 1 の式から、組 $(q(c),r(c))$ はこの 2 つの条件を満たすので、$Q=q(c)$、$R=r(c)$ である。つまり $q(c)$ と $r(c)$ は商と余りである。
段 3(商と余りならば $0\le r(c)< g(c)$)。逆に、$q(c)$ と $r(c)$ が $f(c)$ を $g(c)$ で割った商と余りであるとする。余りは $0$ 以上で割る数 $g(c)$ より小さい整数と定められているので、$0\le r(c)< g(c)$ である。$\square$
1 次式 $x-a$ で割るときは、筆算の多くの部分を書かずに済む。例で確かめてから、一般に証明する。
$(2x^4-5x^3+7x-3)\mathbin{÷}(x-2)$ を、係数の並び $(2,-5,0,7,-3)$ と $(1,-2)$ で筆算する(図 3 の左)。
x−2 で割る筆算(左)から、書かなくてよい数を消すと組立除法(右)になる
$n\ge1$ とし、$f(x)=c_nx^n+c_{n-1}x^{n-1}+\dots+c_1x+c_0$、$a$ を数とする。
$$
b_{n-1}=c_n,\qquad b_{k-1}=c_k+a\,b_k\quad(k=n-1,n-2,\dots,1),\qquad r=c_0+a\,b_0
$$
と定める(前の結果を $a$ 倍して次の係数に足す)。このとき
$$
f(x)=(x-a)\bigl(b_{n-1}x^{n-1}+b_{n-2}x^{n-2}+\dots+b_1x+b_0\bigr)+r
$$
であり、$f$ を $x-a$ で割った商は $b_{n-1}x^{n-1}+\dots+b_0$、余りは $r=f(a)$ である。
方針:右辺を展開して、各次数の係数が $c_n,\dots,c_0$ になることを定義の式から確かめる。
段 1(展開)。$Q(x)=\sum_{k=0}^{n-1}b_kx^k$ とおく。分配法則により
$$
(x-a)Q(x)=\sum_{k=0}^{n-1}b_kx^{k+1}-\sum_{k=0}^{n-1}a\,b_kx^k
$$
である。第 1 の和は $x^1$ から $x^n$ まで、第 2 の和は $x^0$ から $x^{n-1}$ までの項をもつ。
段 2(各次数の係数)。$(x-a)Q(x)$ の係数を次数ごとに読む。
剰余の定理と因数定理 でも、3 次式の例で同じ係数比較をして組立除法の理由を述べている。ここでは、それを一般の次数で示した。
組立除法の最後の数 $r$ は $f(a)$ なので、組立除法は多項式の値の計算法でもある。$r$ を定義の式でまとめて書くと、$f(a)=\bigl(\cdots\bigl((c_na+c_{n-1})a+c_{n-2}\bigr)a+\cdots\bigr)a+c_0$ となる。この計算法を Horner の方法 という(Sho08 Exercise 17.2)。掛け算は $n$ 回で済む。
整数の筆算の仕組み では、$10$ で割り続けて余りを並べると 10 進法の数字が得られた。同じことを $x-a$ で行うと、多項式を $x-a$ の冪で書き直せる。
$f$ を次数 $n\ge1$ の多項式、$a$ を数とする。$q_0=f$ とし、$k=0,1,\dots,n-1$ の順に $q_k$ を $x-a$ で割って
$$
q_k=(x-a)\,q_{k+1}+r_k\qquad(r_k\text{ は定数})
$$
とする。このとき $q_n$ は定数で、$r_n=q_n$ とおくと
$$
f(x)=r_0+r_1(x-a)+r_2(x-a)^2+\dots+r_n(x-a)^n
$$
である。
方針:次数が 1 ずつ下がることを確かめ、割り算の式を下から順に代入していく。
段 1(次数)。prop-pld-leading により、次数 $d\ge1$ の多項式を $x-a$ で割った商の次数は $d-1$ である。$q_0=f$ の次数は $n$ なので、$q_k$ の次数は $n-k$ であり、$q_n$ の次数は $0$、つまり定数である。
段 2(代入)。$m=0,1,\dots,n$ について、
$$
f(x)=r_0+r_1(x-a)+\dots+r_{m-1}(x-a)^{m-1}+q_m(x)\,(x-a)^m
$$
を $m$ についての 数学的帰納法(数学的帰納法と整列性)で示す。$m=0$ では $f=q_0$ なので成り立つ。$m$ で成り立つとし、$m< n$ とする。$q_m=(x-a)q_{m+1}+r_m$ を代入すると、分配法則により
$$
q_m(x-a)^m=r_m(x-a)^m+q_{m+1}(x-a)^{m+1}
$$
なので、$m+1$ の式が成り立つ。
段 3。$m=n$ の式で $q_n=r_n$ とすれば、求める式になる。$\square$
$f(x)=x^3-3x^2+5x-2$ を $x-1$ で割り続ける($a=1$)。各回で割るのは、前の回の最下段のうち余り(縦線の右)を除いた数を係数とする多項式、つまり前の回の商である。
1 回目($f=x^3-3x^2+5x-2$ を $x-1$ で割る。係数 $1,-3,5,-2$):
$$
\begin{array}{c|rrr|r}
1 & 1 & -3 & 5 & -2\\
& & 1 & -2 & 3\\ \hline
& 1 & -2 & 3 & 1
\end{array}
$$
余り $r_0=1$、商 $x^2-2x+3$。
2 回目(1 回目の商 $x^2-2x+3$ を割る。係数 $1,-2,3$):
$$
\begin{array}{c|rr|r}
1 & 1 & -2 & 3\\
& & 1 & -1\\ \hline
& 1 & -1 & 2
\end{array}
$$
余り $r_1=2$、商 $x-1$。
3 回目(2 回目の商 $x-1$ を割る。係数 $1,-1$):
$$
\begin{array}{c|r|r}
1 & 1 & -1\\
& & 1\\ \hline
& 1 & 0
\end{array}
$$
余り $r_2=0$、商は定数 $1$ で、$r_3=1$ である。よって
$$
x^3-3x^2+5x-2=1+2(x-1)+0\cdot(x-1)^2+(x-1)^3
$$
である。確かめると、$(x-1)^3=x^3-3x^2+3x-1$ に $2(x-1)+1=2x-1$ を足して $x^3-3x^2+5x-2$ になる。この式から、$f$ を $(x-1)^2$ で割った余りは $1+2(x-1)=2x-1$ だとすぐ分かる($(x-1)^2$ 以上の項は $(x-1)^2$ で割り切れる)。
$x^3$ を $x-2$ で割り続ける。係数 $(1,0,0,0)$ に $a=2$ の組立除法を使うと、1 回目:$1,2,4$ と余り $8$。2 回目(係数 $1,2,4$):$1,4$ と余り $12$。3 回目(係数 $1,4$):$1$ と余り $6$。最後の商は $1$。よって
$$
x^3=8+12(x-2)+6(x-2)^2+(x-2)^3
$$
である。$x=3$ を入れると、左辺 $27$、右辺 $8+12+6+1=27$ で一致する。
最高次の係数が $1$ でない 1 次式で割るときは、$x$ の係数でくくってから組立除法を使う。
余りは変わらず、商だけを $x$ の係数で割ればよい。$f=(x-a)Q+r$ なら、$p\ne0$ について $f=(px-pa)\cdot\frac Qp+r$ だからである。
| 外した条件 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 係数の $0$ も並びに入れる | 列がそろうこと | ex-pld-zero-coef |
| $0\le r(10)< g(10)$ | $x=10$ で整数の商と余りになる(prop-pld-back) | ex-pld-back-fail |
| 割る式の最高次の係数が $1$ | 組立除法の表の数がそのまま商の係数。整数係数の多項式の商と余りが整数係数 | ex-pld-linear、ex-pld-int-coef |
$2x^4-5x^3+7x-3$ の係数の並びを、$x^2$ の $0$ を省いて $(2,-5,7,-3)$ と書くと、これは $2x^3-5x^2+7x-3$ の並びである。$a=2$ の組立除法をすると $2$、$-5+4=-1$、$7-2=5$、$-3+10=7$ で、余り $7$ が出る。これは $2x^3-5x^2+7x-3$ の $x=2$ での値 $16-20+14-3=7$ であり、正しい余り $3$(ex-pld-synthetic)とは違う。整数の $305$ を $35$ と書いてしまうのと同じ誤りである。
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する