Archimedesの放物線の求積(quadrature of the parabola)とは、放物線と弦で囲まれた部分(切片)の面積が、弦の両端と、接線が弦に平行になる放物線上の点を頂点とする三角形の面積の $\frac43$ 倍に等しいという定理である。$y=x^2$ で弦の両端の $x$ 座標の差を $w$ とすると、三角形の面積は $\frac{w^3}8$、切片の面積は $\frac{w^3}6$ である。証明は積分を使わない。残った 2 つの小さな切片に同じ作り方の三角形を置くと面積の合計が $\frac14$ 倍になることと、切片が三角形の 2 倍の面積の平行四辺形に収まることから、等比数列の和とはさみうちで結論を得る。放物線 $y=ax^2+bx+c$($a\ne0$)でも比は $\frac43$ である。
前提知識: 1/6公式とベータ積分, 無限級数の和と収束判定, 接線・法線と曲線の凹凸, 三角形の面積の公式
放物線 $y=x^2$ と直線で囲まれた部分の面積は、積分で求められる。1/6公式とベータ積分 の $\dfrac16$ 公式を使えば、交点の $x$ 座標の差だけで答えが出る。まずその計算をしてから、同じ部分の中に三角形を 1 つ描いてみる。
2 つの例で、囲まれた部分の面積は、弦の両端と「真ん中の $x$ 座標の点」を結んだ三角形の面積のちょうど $\dfrac43$ 倍になった。この記事では、この事実を 積分を使わずに、三角形を次々に足していく方法で示す。答える問いは次の 3 つである。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 大学の言葉 |
|---|---|---|
| $\dfrac16$ 公式 $\dfrac{(\beta-\alpha)^3}6$ | 切片の面積 | 定積分(検算に使う) |
| 真ん中の $x$ 座標の点 | 接線が弦に平行な点 $M$ | 平均値の定理の点 |
| 三角形を足していく | 取り尽くし | 面積を内側と外側から挟む |
| $1+\dfrac14+\dfrac1{16}+\cdots=\dfrac43$ | 等比級数の和 | 極限 |
| どの放物線でも $\dfrac43$ | 係数 $\lvert a\rvert$ が約分で消える | 1 次変換は面積の比を保つ |
放物線 y=x^2 と弦 PQ で囲まれた部分(薄い青)と、その中の三角形 PQM(濃い青)。赤の破線は M での接線で、弦 PQ に平行である
以下、放物線は $y=x^2$ とし、一般の放物線は後の節(prop-aqp-general)で扱う。
$p< q$ とし、放物線 $y=x^2$ の上の 2 点 $P(p,p^2)$、$Q(q,q^2)$ を結ぶ線分 $PQ$ を 弦 という。弦を含む直線と放物線で囲まれた部分、すなわち
$$
\bigl\{(x,y)\bigm| p\le x\le q,\ x^2\le y\le \ell(x)\bigr\}
$$
を、弦 $PQ$ が切り取る放物線の 切片 という。ここで $\ell(x)$ は直線 $PQ$ を表す 1 次式である。
$m=\dfrac{p+q}2$ とし、放物線の上の点 $M(m,m^2)$ を切片の 頂点 と呼ぶ。三角形 $PQM$ を切片の 内接三角形 と呼ぶ。$w=q-p$ を弦の 幅 と呼ぶ。
「頂点」「内接三角形」「幅」はこの記事の中だけの呼び名である(放物線の頂点 $(0,0)$ とは別のもの)。切片の面積を $S$、内接三角形の面積を $T$ と書く。ex-aqp-start は $p=-1$、$q=2$、$w=3$ の場合、ex-aqp-start2 は $p=0$、$q=2$、$w=2$ の場合である。
弦 $PQ$ を含む直線は $\ell(x)=(p+q)x-pq$ で、次が成り立つ。
(1) $\ell(x)-x^2=(x-p)(q-x)$。特に $p\le x\le q$ で $\ell(x)-x^2\ge0$ であり、その値は $x=m$ で最大値 $\dfrac{w^2}4$ をとる。
(2) 頂点 $M$ での放物線の接線は、弦 $PQ$ に平行である。
(3) すべての $x$ で $x^2\ge 2mx-m^2$ が成り立つ。つまり、放物線は $M$ での接線より下に出ない。
要点:(1) は $\ell(x)-x^2$ を因数分解し、さらに $(x-p)(q-x)=\dfrac{w^2}4-(x-m)^2$ と書き直す。(2) は接線の傾き $2m$ と弦の傾き $p+q$ を比べる。(3) は $M$ での接線が $y=2mx-m^2$ で、$x^2-(2mx-m^2)=(x-m)^2\ge0$ となることによる。
(1) 直線 $y=(p+q)x-pq$ は、$x=p$ で $(p+q)p-pq=p^2$、$x=q$ で $(p+q)q-pq=q^2$ となるので、$P$ と $Q$ を通る。よって $\ell(x)=(p+q)x-pq$ である。$$\ell(x)-x^2=-\bigl\{x^2-(p+q)x+pq\bigr\}=-(x-p)(x-q)=(x-p)(q-x)$$である。$p\le x\le q$ では $x-p\ge0$、$q-x\ge0$ なので、積は $0$ 以上である。さらに、$x-p=\dfrac w2+(x-m)$、$q-x=\dfrac w2-(x-m)$ と書けるので$$(x-p)(q-x)=\frac{w^2}4-(x-m)^2$$となり、$x=m$ で最大値 $\dfrac{w^2}4$ をとる。
(2) $y=x^2$ の導関数は $2x$ なので、$M$ での接線の傾きは $2m=p+q$ である。弦の傾きは $\dfrac{q^2-p^2}{q-p}=p+q$ で、等しい。
(3) $M$ での接線は $y=2m(x-m)+m^2=2mx-m^2$ である。$x^2-(2mx-m^2)=(x-m)^2\ge0$ である。
幅 $w$ の弦が切り取る切片の内接三角形 $PQM$ の面積は
$$
T=\frac{w^3}8
$$
である。$T$ は幅 $w$ だけで決まり、弦の位置 $p$ にはよらない。
頂点 $M$ を通る縦の直線 $x=m$ と弦 $PQ$ の交点を $N(m,\ell(m))$ とする。lem-aqp-vertex の (1) により、線分 $MN$ の長さは
$$
MN=\ell(m)-m^2=\frac{w^2}4
$$
である。線分 $MN$ は三角形 $PQM$ を、2 つの三角形 $PMN$ と $QMN$ に分ける($N$ は辺 $PQ$ の上、$p< m< q$ なので $N$ は $P$ と $Q$ の間にある)。
三角形 $PMN$ で、辺 $MN$ を底辺と見る。底辺は縦の直線 $x=m$ の上にあるので、高さは $P$ から直線 $x=m$ までの距離 $m-p=\dfrac w2$ である。よって面積は $\dfrac12\cdot\dfrac{w^2}4\cdot\dfrac w2=\dfrac{w^3}{16}$ である。三角形 $QMN$ も、底辺 $MN$、高さ $q-m=\dfrac w2$ なので、面積は $\dfrac{w^3}{16}$ である。2 つを足して
$$
T=\frac{w^3}{16}+\frac{w^3}{16}=\frac{w^3}8
$$
を得る。
(3) 弦の位置を変えても幅が同じなら $T$ は同じである。たとえば $p=-3$、$q=-1$(幅 $2$)では $M(-2,4)$ で、$P(-3,9)$、$Q(-1,1)$ とあわせて $\overrightarrow{MP}=(-1,5)$、$\overrightarrow{MQ}=(1,-3)$、$T=\dfrac12\lvert(-1)(-3)-5\cdot1\rvert=\dfrac12\cdot2=1$ で、(2) と同じになる。
内接三角形の面積が幅の 3 乗で決まることから、次の「4 分の 1」がすぐに出る。これがこの記事の鍵である。
幅 $w$ の切片の内接三角形 $PQM$ を除くと、弦 $PM$ の切片と弦 $MQ$ の切片が残る。それぞれの内接三角形の面積は $\dfrac T8$ で、2 つを合わせると $\dfrac T4$ である。
弦 $PM$ の幅は $m-p=\dfrac w2$、弦 $MQ$ の幅は $q-m=\dfrac w2$ である。lem-aqp-triangle により、それぞれの内接三角形の面積は
$$
\frac18\left(\frac w2\right)^3=\frac{w^3}{64}=\frac18\cdot\frac{w^3}8=\frac T8
$$
である。2 つを合わせて $\dfrac T8+\dfrac T8=\dfrac T4$ である。
ex-aqp-start の切片($p=-1$、$q=2$、$T=\dfrac{27}8$)で、次の段の弦は $PM$($x$ 座標 $-1$ から $\dfrac12$)と $MQ$($\dfrac12$ から $2$)である。それぞれの頂点は $x=\dfrac{-1+\frac12}2=-\dfrac14$ と $x=\dfrac{\frac12+2}2=\dfrac54$ の点、すなわち $\left(-\dfrac14,\dfrac1{16}\right)$ と $\left(\dfrac54,\dfrac{25}{16}\right)$ である。幅はどちらも $\dfrac32$ なので、面積はどちらも $\dfrac18\left(\dfrac32\right)^3=\dfrac{27}{64}$ で、合計は $\dfrac{27}{32}=\dfrac14\cdot\dfrac{27}8$ である。
図 2 は、最初の三角形(青)、次の段の 2 個(橙)、その次の段の 4 個(緑)を描いたものである。後の thm-aqp-main の証明では、最初の三角形を 0 段目と数える。段が進むごとに三角形の個数は 2 倍、1 個の面積は $\dfrac18$ 倍になり、各段の合計は $\dfrac14$ 倍になる。
最初の三角形(青)、次の段の 2 個の三角形(橙)、その次の段の 4 個の三角形(緑)。残った灰色の部分はしだいに細くなる
三角形を足していくと、切片の面積を 下から 押さえられる。上から 押さえるために、切片をすっぽり含む平行四辺形を作る。
幅 $w$ の切片の面積 $S$ と内接三角形の面積 $T$ について
$$
T\le S\le 2T
$$
が成り立つ。
左の不等号。三角形 $PQM$ の頂点 $P$、$Q$、$M$ はどれも切片に属し、切片は縦の方向に「放物線から弦まで」の区間を並べた形なので、三角形はそっくり切片に含まれる(次の段落で確かめる)。含まれる図形の面積はもとの図形の面積以下なので $T\le S$ である。
三角形が切片に含まれることを確かめる。三角形の辺 $PM$ を含む直線を $\ell_1$ とすると、$x=p$ で $\ell_1=p^2$、$x=m$ で $\ell_1=m^2$ である。$p\le x\le m$ では、$\ell_1(x)$ と $\ell(x)$ はどちらも 1 次式で、$x=p$ で等しく、$x=m$ では $\ell_1(m)=m^2\le\ell(m)$ なので、$\ell_1(x)\le\ell(x)$ である。また lem-aqp-vertex の (1) を弦 $PM$ に当てはめると $\ell_1(x)\ge x^2$ である。三角形の $p\le x\le m$ の部分は $\ell_1(x)\le y\le\ell(x)$ なので、$x^2\le y\le\ell(x)$ を満たし、切片に入る。$m\le x\le q$ の部分も辺 $MQ$ で同じである。
右の不等号。4 本の直線 $x=p$、$x=q$、弦を含む直線 $y=\ell(x)$、$M$ での接線 $y=2mx-m^2$ で囲まれた平行四辺形 $F$ を考える(図 3)。接線と弦は平行なので(lem-aqp-vertex の (2))、$F$ は平行四辺形である。
切片(青)は、弦、M での接線、2 本の縦の直線 x=-1、x=2 で囲まれた平行四辺形(赤)に含まれる。平行四辺形の面積は内接三角形の 2 倍である
ex-aqp-start の切片では、$M$ での接線は $y=x-\dfrac14$ である。平行四辺形の 4 つの頂点は $P(-1,1)$、$Q(2,4)$、$\left(2,\dfrac74\right)$、$\left(-1,-\dfrac54\right)$ で、縦の辺の長さは $1-\left(-\dfrac54\right)=\dfrac94$、縦の 2 辺の距離は $3$ なので、面積は $3\cdot\dfrac94=\dfrac{27}4=2\cdot\dfrac{27}8$ である。切片の面積 $\dfrac92$ は、$T=\dfrac{27}8=3.375$ 以上、$2T=\dfrac{27}4=6.75$ 以下にある。
この補題の評価はまだ粗い($S$ は $T$ から $2T$ のどこかにある、としか言っていない)。しかし、三角形を足した残りの小さな切片に当てはめると、残りの面積がいくらでも小さくなることを示せる。
積分を使わない証明では、面積について次の 2 つを認める。どちらも、極座標で表された図形の面積 で扇形の和から面積の公式を導くときに認めた性質と同じ種類のものである。
放物線 $y=x^2$ の幅 $w$ の弦が切り取る切片の面積 $S$ は、内接三角形の面積 $T$ の $\dfrac43$ 倍である:
$$
S=\frac43T=\frac43\cdot\frac{w^3}8=\frac{w^3}6.
$$
方針:内接三角形を段ごとに足して $S$ を下から押さえ、残りの小さな切片に lem-aqp-parallelogram を当てて上から押さえる。上下の評価がどちらも $\dfrac43T$ に近づくことから、はさみうちで結論を得る。
手順 1(段ごとの三角形)。まず、1 つの切片は、その内接三角形と、弦 $PM$・弦 $MQ$ の 2 つの切片に、重なりが辺だけで分かれることを確かめる。$p\le x_0\le m$ の縦の直線 $x=x_0$ の上で、切片は区間 $x_0^2\le y\le\ell(x_0)$ である。lem-aqp-parallelogram の証明の前半で見たとおり、辺 $PM$ を含む直線 $\ell_1$ について $x_0^2\le\ell_1(x_0)\le\ell(x_0)$ なので、この区間は $\ell_1(x_0)$ で 2 つに分かれ、下の $x_0^2\le y\le\ell_1(x_0)$ が弦 $PM$ の切片の部分、上の $\ell_1(x_0)\le y\le\ell(x_0)$ が三角形の部分である。$m\le x_0\le q$ でも辺 $MQ$ について同じである。
0 段目は弦 $PQ$ の内接三角形 1 個とする。$k$ 段目までの三角形を除いたあとには、幅 $\dfrac w{2^{k+1}}$ の切片が $2^{k+1}$ 個残る。これを $k$ についての帰納法で確かめる。$k=0$ では、cor-aqp-quarter のとおり弦 $PM$ と弦 $MQ$ の切片(幅 $\dfrac w2$)が 2 個残る。$k-1$ 段目までで幅 $\dfrac w{2^k}$ の切片が $2^k$ 個残ったとすると、$k$ 段目ではその各々から内接三角形を除き、cor-aqp-quarter により各々から幅 $\dfrac w{2^{k+1}}$ の切片が 2 個ずつ、合わせて $2^{k+1}$ 個残る。
$k$ 段目の三角形は $2^k$ 個あり、lem-aqp-triangle により 1 個の面積は
$$
\frac18\left(\frac w{2^k}\right)^3=\frac{w^3}8\cdot\frac1{8^k}=\frac T{8^k}
$$
なので、$k$ 段目の合計は $2^k\cdot\dfrac T{8^k}=\dfrac T{4^k}$ である。
手順 2(下からの評価)。$0$ 段目から $n$ 段目までの三角形は、重なりが辺だけで、どれも切片に含まれる(各三角形はその段の切片に含まれ、その切片は前の段の切片に含まれる。lem-aqp-parallelogram の証明の前半)。よって、三角形の面積の合計を
$$
T_n=T\left(1+\frac14+\frac1{4^2}+\cdots+\frac1{4^n}\right)
$$
とおくと、$T_n\le S$ である。
手順 3(上からの評価)。切片は、$0$ 段目から $n$ 段目までの三角形と、手順 1 で残った幅 $\dfrac w{2^{n+1}}$ の $2^{n+1}$ 個の切片に、重なりが線分や曲線だけで分かれる。残った切片の 1 個の面積は、lem-aqp-parallelogram によりその内接三角形の 2 倍以下で、内接三角形の面積は lem-aqp-triangle により $\dfrac T{8^{n+1}}$ である。よって残りの面積の合計は
$$
2^{n+1}\cdot2\cdot\frac T{8^{n+1}}=\frac{2T}{4^{n+1}}
$$
以下であり、
$$
S\le T_n+\frac{2T}{4^{n+1}}
$$
が成り立つ。
手順 4(等比数列の和)。$T_n$ は初項 $T$、公比 $\dfrac14$ の等比数列の $n+1$ 項の和なので
$$
T_n=T\cdot\frac{1-\left(\frac14\right)^{n+1}}{1-\frac14}=\frac43T\left(1-\frac1{4^{n+1}}\right)
$$
である。手順 2 と手順 3 をあわせると、すべての $n$ で
$$
\frac43T-\frac43\cdot\frac{T}{4^{n+1}}\le S\le\frac43T-\frac43\cdot\frac T{4^{n+1}}+\frac{2T}{4^{n+1}}=\frac43T+\frac23\cdot\frac T{4^{n+1}}
$$
が成り立つ。$n\to\infty$ で $\dfrac1{4^{n+1}}\to0$ なので、左辺と右辺はどちらも $\dfrac43T$ に収束する。$S$ は $n$ によらない数なので、はさみうち(はさみうちと評価の技法)により $S=\dfrac43T$ である。最後に $T=\dfrac{w^3}8$ を代入して $S=\dfrac{w^3}6$ を得る。
手順 4 の等比数列の和は、無限等比級数の和として書くと見やすい(無限級数の和と収束判定)。
$$
S=T+\frac T4+\frac T{16}+\cdots=T\cdot\underbrace{\left(1+\frac14+\frac1{16}+\cdots\right)}_{\text{公比 }\frac14\text{ の無限等比級数}=\frac1{1-\frac14}=\frac43}
$$
ただし、この等式が成り立つことの根拠は、手順 3 の「残りが $\dfrac{2T}{4^{n+1}}$ 以下」という上からの評価である。三角形の和が $S$ 以下であることだけでは、和が $S$ に届くかどうかは分からない。
ex-aqp-start の切片($w=3$、$T=\dfrac{27}8=3.375$、$S=\dfrac92=4.5$)で、段ごとの三角形の個数・1 個の面積・段の合計と、手順 2・手順 3 の評価の値を並べる。
| 段 $k$ | 個数 $2^k$ | 1 個の面積 $\frac T{8^k}$ | 段の合計 $\frac T{4^k}$ | 下の評価 $T_k$ | 上の評価 $T_k+\frac{2T}{4^{k+1}}$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $0$ | $1$ | $\frac{27}8$ | $\frac{27}8$ | $3.375$ | $5.0625$ |
| $1$ | $2$ | $\frac{27}{64}$ | $\frac{27}{32}$ | $4.21875$ | $4.640625$ |
| $2$ | $4$ | $\frac{27}{512}$ | $\frac{27}{128}$ | $4.4296875$ | $4.53515625$ |
| $3$ | $8$ | $\frac{27}{4096}$ | $\frac{27}{512}$ | $4.482421875$ | $4.5087890625$ |
| $4$ | $16$ | $\frac{27}{32768}$ | $\frac{27}{2048}$ | $4.4956054\ldots$ | $4.5021972\ldots$ |
| $5$ | $32$ | $\frac{27}{262144}$ | $\frac{27}{8192}$ | $4.4989013\ldots$ | $4.5005493\ldots$ |
下の評価と上の評価は、どちらも $S=4.5$ をはさみながら $4.5$ に近づく。上下の差は $\dfrac{2T}{4^{k+1}}$ で、段が 1 つ進むごとに $\dfrac14$ になる。たとえば $k=1$ では $\dfrac{27}{32}+\dfrac{27}8=\dfrac{135}{32}=4.21875$、上の評価は $\dfrac{135}{32}+\dfrac{2}{16}\cdot\dfrac{27}8=\dfrac{135}{32}+\dfrac{27}{64}=\dfrac{297}{64}=4.640625$ である。
1/6公式とベータ積分 の $\dfrac16$ 公式は、同じ面積を積分で求めたものである。$y=x^2$ の場合、囲まれた部分の面積は $-\displaystyle\int_p^q(x-p)(x-q)\,dx=\dfrac{(q-p)^3}6=\dfrac{w^3}6$ で、thm-aqp-main の $\dfrac{w^3}6$ と一致する。この記事の証明は、積分も原始関数も使わず、三角形の面積と等比数列の和とはさみうちだけで同じ値にたどり着いている。
$y=x^2$ 以外の放物線でも、比 $\dfrac43$ は変わらない。
$a\ne0$ とし、放物線 $y=ax^2+bx+c$ の上の 2 点 $P$、$Q$($x$ 座標 $p< q$、$w=q-p$)を考える。弦 $PQ$ を含む直線を $y=\ell(x)$ とし、$m=\dfrac{p+q}2$ の放物線上の点を $M$ とする。
(1) $\ell(x)-(ax^2+bx+c)=-a(x-p)(x-q)$ であり、$M$ での接線は弦 $PQ$ に平行である。
(2) 弦と放物線で囲まれた部分の面積は $S=\dfrac{\lvert a\rvert w^3}6$、三角形 $PQM$ の面積は $T=\dfrac{\lvert a\rvert w^3}8$ で、$S=\dfrac43T$ である。
要点:$g(x)=\ell(x)-(ax^2+bx+c)$ は $x^2$ の係数が $-a$ で $x=p,q$ で $0$ になる 2 次式なので $g(x)=-a(x-p)(x-q)$ である。$\lvert g\rvert$ は $y=x^2$ のときの $\ell(x)-x^2$ のちょうど $\lvert a\rvert$ 倍なので、lem-aqp-triangle・lem-aqp-parallelogram・thm-aqp-main の証明の縦の長さがすべて $\lvert a\rvert$ 倍になり、そのまま通る。
(1) $g(x)=\ell(x)-(ax^2+bx+c)$ は 2 次式で、$x^2$ の係数は $-a$、$x=p$ と $x=q$ で $0$ になる($P$、$Q$ は直線と放物線の両方の上にある)。よって因数定理により $g(x)=-a(x-p)(x-q)$ である。$M$ での接線の傾きは $2am+b=a(p+q)+b$、弦の傾きは$$\frac{(aq^2+bq+c)-(ap^2+bp+c)}{q-p}=\frac{a(q-p)(q+p)+b(q-p)}{q-p}=a(p+q)+b$$で、等しい。
(2) $\lvert g(x)\rvert=\lvert a\rvert(x-p)(q-x)$($p\le x\le q$)は、$y=x^2$ のときの $\ell(x)-x^2=(x-p)(q-x)$ の $\lvert a\rvert$ 倍である。lem-aqp-triangle の証明で、線分 $MN$ の長さは $\lvert g(m)\rvert=\dfrac{\lvert a\rvert w^2}4$ になり、同じ計算で $T=\dfrac{\lvert a\rvert w^3}8$ を得る。lem-aqp-vertex の (3) の代わりに「放物線は $M$ での接線に関して弦と反対側に出ない」($a>0$ なら $ax^2+bx+c-(\text{接線})=a(x-m)^2\ge0$、$a<0$ なら $\le0$)を使うと、lem-aqp-parallelogram と thm-aqp-main の証明はすべての長さを $\lvert a\rvert$ 倍して、そのまま通る。よって $S=\dfrac43T=\dfrac{\lvert a\rvert w^3}6$ である。
(2) $y=-x^2+4$ と $x$ 軸($y=0$)。交点は $x=\pm2$、$a=-1$、$w=4$ なので $S=\dfrac{64}6=\dfrac{32}3$、頂点 $M$ は $x=0$ の点 $(0,4)$、$T=\dfrac12\cdot4\cdot4=8=\dfrac{64}8$。$\dfrac{32}3\mathbin{÷}8=\dfrac43$ である。
prop-aqp-general の (2) で係数 $\lvert a\rvert$ が $S$ と $T$ に同じように掛かり、比では約分されて消える。後の「大学数学で見る」で、この約分を 1 次変換の言葉で見直す(rem-aqp-affine)。
thm-aqp-main の証明は、図形の内側に面積の分かる図形を詰めていき、残りを外側から押さえる方法である。この方法を 取り尽くし法 と呼ぶ。区分求積と積分の定義 の区分求積も、長方形の和で面積を内側と外側から挟むので、考え方は同じである。違いは、詰める図形の形と、和の計算に使う公式にある。
| 取り尽くし(この記事) | 区分求積 | |
|---|---|---|
| 詰める図形 | 切片の内接三角形 | 縦に細長い長方形 |
| 図形の個数 | 段ごとに 2 倍 | 分割の数 $n$ |
| 使う和の公式 | 等比数列の和 $1+\frac14+\cdots$ | $\sum k^2=\frac{n(n+1)(2n+1)}6$ |
| 外側からの評価 | 平行四辺形(lem-aqp-parallelogram) | 高さを小区間での最大値にした長方形 |
| 使える曲線 | 放物線(lem-aqp-triangle が要る) | 連続な関数ならいつでも |
ex-aqp-start2 の切片($0\le x\le2$ で $2x-x^2\ge0$)を、区間 $[0,2]$ の $n$ 等分の長方形の和で求めると、$\sum k$ と $\sum k^2$ の公式を使って $n\to\infty$ で $\dfrac43$ になり、thm-aqp-main の $\dfrac{w^3}6=\dfrac43$ と一致する。
ex-aqp-start2 の切片($0\le x\le2$ で $2x-x^2\ge0$)の面積を、区分求積で求める。区間 $[0,2]$ を $n$ 等分し、幅 $\dfrac2n$、右端 $x_k=\dfrac{2k}n$ での高さ $h(x_k)=2x_k-x_k^2$ の長方形を並べると、面積の和は$$\sum_{k=1}^n\frac2n\left(\frac{4k}n-\frac{4k^2}{n^2}\right)=\frac8{n^2}\cdot\frac{n(n+1)}2-\frac8{n^3}\cdot\frac{n(n+1)(2n+1)}6$$である。$n\to\infty$ で第 1 項は $4$ に、第 2 項は $\dfrac{8\cdot2}6=\dfrac83$ に近づくので、和は $4-\dfrac83=\dfrac43$ に近づく。thm-aqp-main の $\dfrac{w^3}6=\dfrac86=\dfrac43$ と一致する。
取り尽くし法は、放物線に特有の「次の段は $\dfrac14$」という性質を使うので、一般の曲線にはそのまま使えない(反例の表の 2 行目)。区分求積はどの連続関数にも使える代わりに、$\sum k^2$ の公式を必要とする。どちらも「内側と外側から挟み、差が $0$ に近づく」ことを使う点は同じである。
thm-aqp-main では、三角形の 3 つ目の頂点を「接線が弦に平行な点」$M$ にとり、曲線を放物線にした。どちらかを外すと、比 $\dfrac43$ や補題の $\dfrac14$ が崩れる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 3 つ目の頂点が $M$ | $y=x^2$、$p=-1$、$q=2$ で原点 $M'(0,0)$ をとる | 比が $\frac43$(実際は $\frac32$) |
| 曲線が放物線 | $y=x^3$、$0\le x\le1$ で、接線が弦に平行な点をとる | 比が $\frac43$、次の段が $\frac14$ |
放物線の切片で、3 つ目の頂点を原点 M' にとった三角形(橙)は、M をとった三角形(青の破線)より小さい
3 次関数 y=x^3 と弦で囲まれた部分と、接線(赤の破線)が弦に平行な点 M を頂点とする三角形(橙)
ex-aqp-start の切片($S=\dfrac92$)で、3 つ目の頂点を原点 $M'(0,0)$ にとる(図 4)。$\overrightarrow{M'P}=(-1,1)$、$\overrightarrow{M'Q}=(2,4)$ から、三角形 $PQM'$ の面積は
$$
\frac12\lvert(-1)\cdot4-1\cdot2\rvert=\frac12\cdot6=3
$$
で、$S\mathbin{÷}3=\dfrac32\ne\dfrac43$ である。3 つ目の頂点を放物線の上で動かすと、比が $\dfrac43$ になるのは $M$ をとったときだけで、$M$ は、弦 $PQ$ を 1 辺とし 3 つ目の頂点を弧 $PQ$ の上にとる三角形のうちで、面積を最大にする頂点である。
3 つ目の頂点を $x=t$($-1< t<2$)の点にとると、lem-aqp-triangle の証明と同じく縦の線分で三角形を分けて、面積は $\dfrac12\cdot3\cdot(t+1)(2-t)$ になる(縦の線分の長さ $\ell(t)-t^2=(t+1)(2-t)$、横の幅の合計 $3$)。$(t+1)(2-t)=\dfrac94-\left(t-\dfrac12\right)^2$ なので、これは $t=\dfrac12$ のときだけ最大値 $\dfrac{27}8$ をとる。$t=0$ と $t=1$ ではどちらも面積 $3$ である。
$y=x^3$ と弦 $P(0,0)$、$Q(1,1)$(直線 $y=x$)で囲まれた部分を考える(図 5)。$0\le x\le1$ で $x-x^3=x(1-x)(1+x)\ge0$ なので、面積は
$$
S=\int_0^1(x-x^3)\,dx=\frac12-\frac14=\frac14
$$
である。接線が弦に平行な点は、$3x^2=1$ より $x=\dfrac1{\sqrt3}$ の点 $M\left(\dfrac1{\sqrt3},\dfrac1{3\sqrt3}\right)$ である。縦の線分の長さは $\dfrac1{\sqrt3}-\dfrac1{3\sqrt3}=\dfrac2{3\sqrt3}$、横の幅の合計は $1$ なので、三角形 $PQM$ の面積は $T=\dfrac12\cdot\dfrac2{3\sqrt3}\cdot1=\dfrac1{3\sqrt3}=0.19245\ldots$ で、
$$
\frac ST=\frac{3\sqrt3}4=1.2990\ldots\ne\frac43=1.3333\ldots
$$
である。次の段の 2 つの三角形(弦 $PM$ と弦 $MQ$ に、それぞれ接線が平行な点をとる)の面積は約 $0.02138$ と約 $0.02237$ で、2 つが等しくならず、合計は約 $0.2274\,T$ で $\dfrac T4$ にならない(Python で計算した値)。
満たす性質:3 つ目の頂点は接線が弦に平行な点。満たさない性質:曲線が放物線。成り立たなくなること:cor-aqp-quarter の「2 つの三角形は $\dfrac T8$ ずつ」と、thm-aqp-main の比 $\dfrac43$。
3 次関数でも、3 つ目の頂点を「真ん中の $x$ 座標の点」$\left(\dfrac12,\dfrac18\right)$ にとると、三角形の面積は $\dfrac12\cdot\left(\dfrac12-\dfrac18\right)\cdot1=\dfrac3{16}$ で、$\dfrac14\mathbin{÷}\dfrac3{16}=\dfrac43$ になる。3 次関数では「真ん中の点」と「接線が平行な点」が別の点になり、比 $\dfrac43$ を与えるのは前者である。この偶然でない一致の理由は rem-aqp-simpson で述べる。
弦と曲線の差 $g(x)$ は両端で $0$ になる。$g$ が 3 次以下で、区間 $[p,q]$ で $g(x)\ge0$(曲線が弦の下側にある)なら、Simpson の公式が正確に成り立つので、面積は $\dfrac23wg(m)$、真ん中の点を頂点とする三角形の面積は $\dfrac12wg(m)$ で、比は $\dfrac43$ になる。
台形公式とSimpsonの公式(高校数学) の Simpson の公式は、区間 $[p,q]$ での積分を、両端と真ん中の値で$$\int_p^q g(x)\,dx\approx\frac{q-p}6\bigl\{g(p)+4g(m)+g(q)\bigr\}$$と近似するもので、$g$ が 3 次以下の多項式なら等号が成り立つ(同記事の定理)。弦と曲線の差 $g(x)=\ell(x)-f(x)$ は両端で $0$ なので、$g$ が 3 次以下で $[p,q]$ で $g(x)\ge0$ なら$$S=\int_p^q g(x)\,dx=\frac w6\cdot4g(m)=\frac23wg(m)$$である。一方、真ん中の点を頂点とする三角形の面積は、lem-aqp-triangle の証明と同じく $\dfrac12\cdot g(m)\cdot w$ である。よって比は $\dfrac{\frac23wg(m)}{\frac12wg(m)}=\dfrac43$ になる。$f$ が 2 次式(放物線)でも 3 次式でも、弦と $f$ の差 $g$ は 3 次以下なので、曲線が区間で弦の片側にあれば(弦の上側にあるときは $g$ を $-g$ に替える)、真ん中の点をとると比は $\dfrac43$ である。曲線が区間の内部で弦と交わるときは、囲まれた部分の面積は $\displaystyle\int_p^q\lvert g(x)\rvert\,dx$ で、比は $\dfrac43$ にならない($y=x^3$、$p=-1$、$q=\dfrac32$ では面積 $\dfrac{131}{64}$、三角形 $\dfrac{375}{256}$、比 $\dfrac{524}{375}$)。放物線で特別なのは、真ん中の点が接線の平行な点と一致し(lem-aqp-vertex の (2))、さらに次の段の三角形がちょうど $\dfrac14$ になって、積分を使わない取り尽くしが働くことである。
prop-aqp-general の比が $a$ によらないのは、放物線 $y=x^2$ を $y=ax^2+bx+c$ に移す 1 次変換(と平行移動)が、面積をすべて同じ $\lvert a\rvert$ 倍にするからである。
prop-aqp-general の比が $a$ によらない理由は、1 次変換の言葉で説明できる。点 $(X,Y)$ を$$(x,y)=(X,\ aY+bX+c)$$に移す変換を考える。これは行列 $\begin{pmatrix}1&0\\b&a\end{pmatrix}$ の 1 次変換に平行移動 $(0,c)$ を続けたもので、放物線 $Y=X^2$ を放物線 $y=aX^2+bX+c$ に移す。直線は直線に、$x$ 座標は変わらないので弦の中点の $x$ 座標は中点の $x$ 座標に移る。1次変換と行列式:面積の拡大率 の定理により、この変換で三角形の面積は $\lvert\det\rvert=\lvert a\rvert$ 倍になる。放物線の切片のような曲線で囲まれた図形の面積も $\lvert a\rvert$ 倍になる(同記事では証明しない一般の図形への拡張)ので、比 $\dfrac ST$ は変わらない。こうして、$y=x^2$ の場合の thm-aqp-main から、すべての放物線 $y=ax^2+bx+c$ の場合が出る。
MathWorld の頁「Parabolic Segment」は、放物線 $y=x^2$ と直線 $y=ax+b$ で囲まれた部分の面積を積分で $\dfrac16(a^2+4b)^{3/2}$ と求め、切片の中の三角形の面積の最大値 $\dfrac18(a^2+4b)^{3/2}$ との比 $\dfrac43$ を、紀元前 3 世紀の Archimedes に知られていた結果として紹介している Wei26。$a^2+4b$ は 2 つの交点の $x$ 座標の差の 2 乗なので、これは thm-aqp-main の $\dfrac{w^3}6$ と $\dfrac{w^3}8$ と同じものである。
大学の解析学では、面積そのものを「内側と外側から挟む和の極限」として定義し直す(Riemann積分)。この記事で「認める」とした面積の 2 つの性質は、その定義から証明される性質である。
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