概周期関数(almost periodic function)とは、実数直線の上の連続関数 $f$ で、どんな $\varepsilon>0$ についても、すべての $x$ で $\lvert f(x+\tau)-f(x)\rvert\le\varepsilon$ となるずらし幅 $\tau$ が、ある長さのどの区間にも見つかるものであり、H. Bohr が導入した。連続な周期関数や、周波数が任意の実数の三角多項式 $\sum_kc_ke^{i\lambda_kx}$ は概周期関数で、$\sin x+\sin\sqrt2\,x$ は周期関数でない概周期関数の例である。概周期関数は有界で一様連続であり、一様極限をとっても概周期関数のままである。三角多項式の一様極限には実数直線の上の平均と Fourier 係数が定まり、0 でない係数をもつ周波数は高々可算個である。
$\sin x$ の周期は $2\pi$、$\sin\sqrt2\,x$ の周期は $\sqrt2\,\pi$ で、比が無理数なので、和 $\sin x+\sin\sqrt2\,x$ は周期関数でない(周期関数の和と基本周期)。それでも、グラフはほとんど同じ形をくり返す。どんなに小さな誤差を許しても、その誤差の範囲で関数全体を元に重ねるずらし幅が、ある長さのどの区間にも見つかる(三角関数のグラフと周期 の注意「大学数学で見ると:Kronecker の定理と概周期関数」)。この性質を定義にしたのが H. Bohr の 概周期関数 である(Boh25a)。
この記事では次のことを示す。
$f\colon\mathbb{R}\to\mathbb{C}$ を連続関数とし、$\varepsilon>0$ とする。
$L$ は $\varepsilon$ に応じて大きくとってよい。$E(f,\varepsilon)$ は $0$ を含み、$\tau\in E(f,\varepsilon)$ なら $-\tau\in E(f,\varepsilon)$ である($y=x-\tau$ とおくと $\lvert f(x-\tau)-f(x)\rvert=\lvert f(y)-f(y+\tau)\rvert$)。相対稠密な集合は、区間 $[n,n+L]$($n=1,2,\dots$)の点を選べば分かるように、いくらでも大きい正の数を含む。
$f$ が連続で周期 $T>0$ をもつなら、$T$ の整数倍はすべて $f(x+\tau)=f(x)$ を満たすので、どの $\varepsilon$ についても $T\mathbb{Z}\subset E(f,\varepsilon)$ である。長さ $T$ の閉区間は $T$ の整数倍を含むので、$E(f,\varepsilon)$ は $L=T$ で相対稠密である。定数関数は $E(f,\varepsilon)=\mathbb{R}$ である。
相異なるとは限らない実数 $\lambda_1,\dots,\lambda_N$ と複素数 $c_1,\dots,c_N$ による関数 $p(x)=\sum_{k=1}^Nc_ke^{i\lambda_kx}$ を、以下 三角多項式 という(周波数 $\lambda_k$ は整数でなくてよい)。三角多項式の和・積・複素共役は三角多項式である。
三角多項式 $p(x)=\sum_{k=1}^Nc_ke^{i\lambda_kx}$ は概周期関数である。
段 1(周波数ごとの位相に帰着):任意の $\tau$ について
$$
\lvert p(x+\tau)-p(x)\rvert=\Bigl\lvert\sum_kc_ke^{i\lambda_kx}\bigl(e^{i\lambda_k\tau}-1\bigr)\Bigr\rvert\le\sum_k\lvert c_k\rvert\,\bigl\lvert e^{i\lambda_k\tau}-1\bigr\rvert
$$
である。$\varepsilon>0$ に対して $\delta:=\varepsilon/\bigl(1+\sum_k\lvert c_k\rvert\bigr)$ とおくと、
$$
S(\delta):=\bigl\{\tau\in\mathbb{R}\ \big\vert\ \text{すべての }k\text{ で }\lvert e^{i\lambda_k\tau}-1\rvert\le\delta\bigr\}
$$
は $E(p,\varepsilon)$ に含まれる。よって $S(\delta)$ が相対稠密であることを示せばよい。
段 2(位相の点の動き):$K:=\{z\in\mathbb{C}^N\mid\lvert z_1\rvert=\dots=\lvert z_N\rvert=1\}$ とし、$z,w\in K$ の距離を $d(z,w):=\max_k\lvert z_k-w_k\rvert$ とする。$\varphi(\tau):=\bigl(e^{i\lambda_1\tau},\dots,e^{i\lambda_N\tau}\bigr)\in K$ とおくと、成分ごとの積について $\varphi(s+t)=\varphi(s)\varphi(t)$ であり、絶対値 $1$ の数を掛けても差の絶対値は変わらないので、$u\in K$ について $d(uz,uw)=d(z,w)$ である。$S(\delta)=\{\tau\mid d(\varphi(\tau),\mathbf 1)\le\delta\}$($\mathbf 1=(1,\dots,1)$)である。
段 3(有限個のかけらに分ける):$K$ の各点は、各成分の実部と虚部が $[-1,1]$ に入る。$[-1,1]$ を幅 $h:=\delta/2$ 以下の有限個の小区間に分け、$2N$ 個の座標それぞれで小区間を 1 つずつ選んで $K$ を有限個のかけら $Q_1,\dots,Q_M$ に分ける。同じかけらの 2 点は各成分の実部と虚部の差が $h$ 以下なので、$d(z,w)\le\sqrt2\,h<\delta$ である。$\varphi(\mathbb{R})$ と交わるかけらの番号の集合を $J$ とし($\varphi(0)$ を含むかけらがあるので $J$ は空でない)、$j\in J$ ごとに $\varphi(t_j)\in Q_j$ となる $t_j$ を 1 つ選び、$T:=\max_{j\in J}\lvert t_j\rvert$ とおく。
段 4(どの区間にもある):任意の実数 $a$ について、$\varphi(a)$ はあるかけら $Q_j$($j\in J$)に入るので $d(\varphi(a),\varphi(t_j))<\delta$ である。$\tau:=a-t_j$ とおくと、段 2 から
$$
d\bigl(\varphi(\tau),\mathbf 1\bigr)=d\bigl(\varphi(a)\varphi(-t_j),\varphi(t_j)\varphi(-t_j)\bigr)=d\bigl(\varphi(a),\varphi(t_j)\bigr)<\delta
$$
なので $\tau\in S(\delta)$ であり、$\lvert\tau-a\rvert\le T$ である。よって中点が $a$ で長さ $L:=2T+1$ の閉区間は $S(\delta)$ の点を含む。$a$ は任意なので、$S(\delta)$ は相対稠密である。$\square$
証明の要は、位相の点 $\varphi(\tau)$ が有限個のかけらのどこかに必ず戻ってくることと、$\varphi$ が足し算を掛け算に移すので「$a$ の近くにいる」ことが「$a-t_j$ で $\mathbf1$ の近くにいる」ことに言い換えられることである。周波数どうしの比が有理数か無理数かは使っていない。周期関数のように同じ値にぴったり戻る必要はなく、近くに戻れば十分である。2 つの周波数で比が無理数のときに位相の点が稠密に巻きつくことは、周期関数の和と基本周期 の系「Kronecker の稠密性(1 次元)」から導ける(この記事の証明では使わない)。
$p(x)=\sin x+\sin\sqrt2\,x$ は thm-apf-trig により概周期関数である。具体的には、$\tau$ が $2\pi$ の整数倍 $2\pi m$ で、$\sqrt2\,\tau=2\sqrt2\,\pi m$ が $2\pi$ の整数倍に近いほど良い概周期になる。$\lvert\sin(x+\tau)-\sin x\rvert\le\lvert e^{i\tau}-1\rvert$ なので、$\tau=2\pi m$ で $\sqrt2\,m$ と最も近い整数 $n$ との差が $\eta$ なら、$\lvert p(x+\tau)-p(x)\rvert\le\lvert e^{2\pi i\sqrt2m}-1\rvert\le2\pi\eta$ である。たとえば $m=12$、$n=17$ では $\sqrt2\cdot12=16.970\ldots$ で $\eta<0.03$ なので、$\tau=24\pi$ は $p$ の $0.19$-概周期である。
概周期関数 $f$ は $\mathbb{R}$ 上で有界であり、一様連続である。
有界性:$\varepsilon=1$ に対する長さ $L$ をとり、連続関数 $\lvert f\rvert$ の $[0,L]$ での最大値を $C$ とする。任意の $x$ について、閉区間 $[-x,-x+L]$ に $\tau\in E(f,1)$ があり、$x+\tau\in[0,L]$ なので $\lvert f(x)\rvert\le\lvert f(x+\tau)\rvert+\lvert f(x)-f(x+\tau)\rvert\le C+1$ である。
一様連続性:$\varepsilon>0$ に対し、$\varepsilon/3$ に対する長さ $L$ をとる。$f$ は閉区間 $[-1,L+1]$ で一様連続なので(一様連続 の定理「Heine–Cantorの定理」)、$0<\delta<1$ を、$s,t\in[-1,L+1]$、$\lvert s-t\rvert<\delta$ なら $\lvert f(s)-f(t)\rvert<\varepsilon/3$ となるようにとれる。$\lvert x-y\rvert<\delta$ とし、$\tau\in E(f,\varepsilon/3)\cap[-x,-x+L]$ をとると、$x+\tau\in[0,L]$、$y+\tau\in[-1,L+1]$ なので
$$
\lvert f(x)-f(y)\rvert\le\lvert f(x)-f(x+\tau)\rvert+\lvert f(x+\tau)-f(y+\tau)\rvert+\lvert f(y+\tau)-f(y)\rvert<\varepsilon
$$
である。$\square$
概周期関数 $f$ について $x\to+\infty$ で $f(x)\to c$ となるなら、$f$ は恒等的に $c$ である。
$x_0$ と $\varepsilon>0$ を固定する。$E(f,\varepsilon)$ はいくらでも大きい正の数 $\tau_1<\tau_2<\cdots\to\infty$ を含むので、$\lvert f(x_0)-c\rvert\le\lvert f(x_0)-f(x_0+\tau_n)\rvert+\lvert f(x_0+\tau_n)-c\rvert\le\varepsilon+\lvert f(x_0+\tau_n)-c\rvert$ である。$n\to\infty$ として $\lvert f(x_0)-c\rvert\le\varepsilon$ であり、$\varepsilon$ は任意なので $f(x_0)=c$ である。$\square$
概周期関数の列 $f_1,f_2,\dots$ が $\mathbb{R}$ 上で $f$ に一様収束するなら、$f$ は概周期関数である。
$f$ は連続関数の一様極限なので連続である(一様収束 の定理「連続関数の一様極限の連続性」)。$\varepsilon>0$ に対し、すべての $x$ で $\lvert f(x)-f_n(x)\rvert\le\varepsilon/3$ となる $n$ をとる。$\tau\in E(f_n,\varepsilon/3)$ なら
$$
\lvert f(x+\tau)-f(x)\rvert\le\lvert f(x+\tau)-f_n(x+\tau)\rvert+\lvert f_n(x+\tau)-f_n(x)\rvert+\lvert f_n(x)-f(x)\rvert\le\varepsilon
$$
なので $E(f_n,\varepsilon/3)\subset E(f,\varepsilon)$ であり、前者が相対稠密なので後者も相対稠密である。$\square$
1 は thm-apf-trig と thm-apf-limit による。2:$f$ が連続で周期 $T$ をもつとき、$g(y):=f(Ty/2\pi)$ は周期 $2\pi$ の連続関数なので、どんな $\varepsilon>0$ についても $\lvert g(y)-q(y)\rvert<\varepsilon$(すべての $y$)となる $\sum_{\lvert n\rvert\le K}b_ne^{iny}$ の形の $q$ がある(Parsevalの等式 の命題「部分和の平均の一様収束」)。$y=2\pi x/T$ を代入すると、$f$ は周波数 $2\pi n/T$ の三角多項式で一様に近似される。$f_1,\dots,f_m$ がそれぞれ周期 $T_1,\dots,T_m$ をもつなら、各 $f_j$ を誤差 $\varepsilon/m$ の三角多項式 $q_j$ で近似すれば、$q_1+\dots+q_m$ は三角多項式で、和 $f_1+\dots+f_m$ との差は $\varepsilon$ 未満である。よって和は三角多項式の一様極限であり、1 から概周期関数である。$\square$
概周期関数どうしの和・積が再び概周期関数であることは、定義から直接示せる(Boh25a Satz III・IV、pp. 37–40。この記事では証明しない)。和の証明では、2 つの関数に共通の概周期が相対稠密に存在することを示す必要があり、thm-apf-trig の証明より手間がかかる。逆に、すべての概周期関数は三角多項式の一様極限であることが知られている(Bohr の近似定理、Boh25b Satz XVI、p. 163。証明は第 V 章 pp. 159–163 にあり、第 II–IV 章の結果を使う。この記事では証明しない)。したがって cor-apf-closure の 1 の関数の全体は概周期関数の全体と一致する。
以下、三角多項式の列の一様極限として書ける関数の全体を $\mathcal{A}$ と書く。関数 $f$ と $T>0$、実数 $a$ について $A_T(f,a):=\frac1T\int_a^{a+T}f(x)\,dx$ とおく。
$f\in\mathcal{A}$ とする。
段 1(三角多項式の場合):$p=\sum_kc_ke^{i\lambda_kx}$($\lambda_k$ は相異なるとしてよい)なら、三角関数の直交性 の定理「平均による直交性」を $\mu=0$ で使い、$A_T(p,a)$ は $a$ について一様に「周波数 $0$ の係数」($\lambda_k=0$ となる $k$ があればその $c_k$、なければ $0$)に収束する。これを $M(p)$ とおく。
段 2(極限の存在):$f\in\mathcal{A}$ を三角多項式 $p_n$ の一様極限とし、$\| g\|:=\sup_x\lvert g(x)\rvert$ と書く。積分の評価から $\lvert A_T(f,a)-A_T(p_n,a)\rvert\le\| f-p_n\|$ である。$\varepsilon>0$ に対して $\| f-p_n\|<\varepsilon/3$ となる $n$ をとり、段 1 から、$T,T'\ge T_0$ ならすべての $a,a'$ で $\lvert A_T(p_n,a)-A_{T'}(p_n,a')\rvert<\varepsilon/3$ となる $T_0$ をとる。すると $\lvert A_T(f,a)-A_{T'}(f,a')\rvert<\varepsilon$ である。Cauchy の判定法から、$a=a'$ を固定すれば $T\to\infty$ で極限があり、上の評価で $T'\to\infty$ とすれば、その極限は $a$ によらず、収束は $a$ について一様である。
段 3(性質):線形性、$M(1)=1$、$\lvert A_T(f,a)\rvert\le\| f\|$ から $\lvert M(f)\rvert\le\| f\|$、$f\ge0$ なら $A_T(f,a)\ge0$ から $M(f)\ge0$ が出る。$A_T\bigl(f(\cdot+t),a\bigr)=A_T(f,a+t)$ と、収束が $a$ について一様であることから平行移動で変わらない。ここで $f(\cdot+t)$ も $\mathcal{A}$ に入る($p_n(\cdot+t)$ は三角多項式で、$f(\cdot+t)$ に一様収束する)。
段 4(係数と不等式):$\mathcal{A}$ は、和、複素共役、$e^{-i\lambda x}$ を掛けること、積で閉じている。積については、$f=\lim p_n$、$g=\lim q_n$ なら $\| fg-p_nq_n\|\le\| f\|\,\| g-q_n\|+\| q_n\|\,\| f-p_n\|$ で、$\| q_n\|$ は有界なので $p_nq_n\to fg$ は一様収束である($f$ の有界性は thm-apf-bounded)。よって $a(\lambda)$ が定まる。$a_k:=a(\lambda_k)$、$g(x):=\sum_ka_ke^{i\lambda_kx}$ とおくと、$\lvert f-g\rvert^2=\lvert f\rvert^2-f\overline g-\overline fg+\lvert g\rvert^2$ は $\mathcal{A}$ に入り $0$ 以上なので、平均は $0$ 以上である。$M(f\overline g)=\sum_k\overline{a_k}M\bigl(fe^{-i\lambda_kx}\bigr)=\sum_k\lvert a_k\rvert^2$、その共役が $M(\overline fg)$ であり、三角関数の直交性 の系「一般の三角多項式の係数」の 2 から $M(\lvert g\rvert^2)=\sum_k\lvert a_k\rvert^2$ である。よって
$$
0\le M\bigl(\lvert f-g\rvert^2\bigr)=M\bigl(\lvert f\rvert^2\bigr)-\sum_k\lvert a_k\rvert^2
$$
である。最後に、正の整数 $m$ について $\lvert a(\lambda)\rvert^2\ge1/m$ となる $\lambda$ は $m\,M(\lvert f\rvert^2)$ 個以下なので、$a(\lambda)\ne0$ となる $\lambda$ の集合は有限集合の可算個の和で、高々可算である。$\square$
$a(\lambda)\ne0$ となる $\lambda$ を $f$ の Fourier 指数、$a(\lambda)$ を Fourier 係数 といい、形式的な和 $\sum a(\lambda)e^{i\lambda x}$ を $f$ の Fourier 級数という。周期 $2\pi$ の連続関数では、これは通常の Fourier 級数と一致する(次の定理の 2)。不等式で等号が成り立つこと(Parseval の等式)と、Fourier 係数がすべて $0$ の概周期関数は $0$ に限ることは、Bohr の理論の中心の結果である(Boh25a Satz XIV(主張は p. 52、証明は第 II 章 pp. 63–103)と Satz XVI(p. 54)。この記事では証明しない)。
1:$g(x):=f(x)e^{-i\lambda x}$ とおくと $g(x+T)=e^{-i\lambda T}g(x)$ である。thm-apf-mean の 2 から $M(g)=M\bigl(g(\cdot+T)\bigr)=e^{-i\lambda T}M(g)$ であり、$\lambda T\notin2\pi\mathbb{Z}$ なら $e^{-i\lambda T}\ne1$ なので $M(g)=0$ である。
2:$f$ は $\mathcal{A}$ に入る(cor-apf-closure の 2 の証明)。後半は 1 である。$g(x)=f(x)e^{-inx}$ は周期 $2\pi$ なので、$T=2\pi k$($k$ は正の整数)では $A_T(g,0)=\frac1{2\pi}\int_0^{2\pi}g=\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}g$ であり、$k\to\infty$ とすればよい。
3:$p$ が周期 $T$ をもつとする。三角関数の直交性 の系「一般の三角多項式の係数」の 1 から $a(\lambda_k)=c_k\ne0$ なので、1 から $\lambda_kT\in2\pi\mathbb{Z}$ である。逆にすべての $k$ で $\lambda_kT\in2\pi\mathbb{Z}$ なら、各項が周期 $T$ をもつ。後半:$\lambda_1T=2\pi m$、$\lambda_2T=2\pi n$ で $\lambda_1,\lambda_2\ne0$ なら $\lambda_1/\lambda_2=m/n$ は有理数である。$\square$
$\sin x+\sin\sqrt2\,x$ は周波数 $\pm1$、$\pm\sqrt2$ の三角多項式なので、3 から周期関数でない。高校数学の記事が「足しても周期関数にならない」と述べた例が、Fourier 指数の言葉で説明される。
$\sigma>1$ を固定し、$f(t):=\sum_{n=1}^\infty n^{-\sigma-it}=\sum_{n=1}^\infty n^{-\sigma}e^{-i(\log n)t}$ とおく(Riemannゼータ関数 $\zeta(\sigma+it)$)。各項の絶対値は $n^{-\sigma}$ で $\sum_nn^{-\sigma}<\infty$ なので、部分和(三角多項式)は $t$ について一様に収束する(一様収束 の定理「Weierstrassの優級数判定法」)。よって $f$ は概周期関数で、$\mathcal{A}$ に入る。
$f$ は周期関数でない。
部分和 $f_N$ について、$N\ge3$ なら $a_{f_N}(-\log2)=2^{-\sigma}$、$a_{f_N}(-\log3)=3^{-\sigma}$ である(三角関数の直交性 の系「一般の三角多項式の係数」の 1)。$\lvert M(g)\rvert\le\sup\lvert g\rvert$ から $\lvert a_f(\lambda)-a_{f_N}(\lambda)\rvert\le\sup\lvert f-f_N\rvert\to0$ なので、$a_f(-\log2)=2^{-\sigma}\ne0$、$a_f(-\log3)=3^{-\sigma}\ne0$ である。$f$ が周期 $T>0$ をもつなら、thm-apf-periodic の 1 から $T\log2=2\pi k$、$T\log3=2\pi l$ となる正の整数 $k,l$ があり、$l\log2=k\log3$、すなわち $2^l=3^k$ となる。左辺は偶数、右辺は奇数なので矛盾である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 一様連続(有界で連続なだけ) | $\cos(x^2)$ | 概周期関数であること |
| 無限遠で振動を続ける(有界で一様連続なだけ) | $\arctan x$ | 概周期関数であること |
| 一様収束(各点収束だけ) | $\cos^n\bigl(x/\sqrt n\bigr)\to e^{-x^2/2}$ | 極限が概周期関数であること |
| 周波数の比が有理数 | $\sin x+\sin\sqrt2\,x$ | 周期関数であること |
1 行目:$x_n:=\sqrt{2\pi n}$、$y_n:=\sqrt{2\pi n+\pi}$ とおくと $y_n-x_n=\frac{\pi}{y_n+x_n}\to0$ だが $\cos(x_n^2)-\cos(y_n^2)=1-(-1)=2$ なので、$\cos(x^2)$ は一様連続でない。thm-apf-bounded から概周期関数でない。
2 行目:$\arctan$ は導関数が $1$ 以下なので一様連続で、値は $\bigl(-\frac\pi2,\frac\pi2\bigr)$ に入る。$x\to+\infty$ で $\frac\pi2$ に近づくが定数でないので、lem-apf-limit-constant から概周期関数でない。
3 行目:$\cos^n(x/\sqrt n)$ は $\cos$ の冪で、積を和に直すと周波数 $k/\sqrt n$($\lvert k\rvert\le n$)の三角多項式なので、概周期関数である。$x$ を固定すると、$n$ が大きければ $\cos(x/\sqrt n)>0$ で、$\log\cos u=-\frac{u^2}2+O(u^4)$($u\to0$)から $n\log\cos(x/\sqrt n)\to-\frac{x^2}2$ である。極限 $e^{-x^2/2}$ は $x\to+\infty$ で $0$ に近づくが定数でないので、lem-apf-limit-constant から概周期関数でない(収束は一様でない)。
4 行目:周波数 $1$ と $\sqrt2$ の比が無理数なので、thm-apf-periodic の 3 から周期関数でない。一方で thm-apf-trig から概周期関数である。比が有理数の $\sin x+\sin2x$ は周期 $2\pi$ をもつ。
Bohr は、概周期関数の Fourier 級数が関数を一意に決め、平均 2 乗の意味で関数に近づくこと(Parseval の等式)を示し、これを通常の Fourier 級数の理論の一般化とした(Boh25a の序論、pp. 30–32)。ex-apf-zeta のように、Dirichlet 級数 $\sum a_nn^{-s}$ を縦の直線に制限すると周波数 $-\log n$ の和になり、Bohr の動機の 1 つはこの方向の応用にあった(Boh25a p. 34)。平均 $M$ を使った $M(f\overline g)$ について、$\{e^{i\lambda x}\}_{\lambda\in\mathbb{R}}$ は数えられないほど多くの元が互いに直交する系である(三角関数の直交性 の定理「平均による直交性」)。周期関数の Fourier 級数では周波数が 1 つの格子 $\frac{2\pi}T\mathbb{Z}$ に限られていたのに対し、概周期関数では実数全体から高々可算個の周波数が選ばれる(thm-apf-mean の 3)。
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