閉非有界フィルター(club filter)とは、正則な非可算基数 $\kappa$ の部分集合のうち閉非有界集合を含むもの全体が作るフィルターである。$\kappa$ 未満個の共通部分と対角共通部分に閉じている。双対イデアルは非定常集合のイデアルで、定常集合とはすべての閉非有界集合と交わる集合、すなわちこのイデアルに属さない集合のことである。
閉非有界フィルター(club filter)とは、正則な非可算基数 $\kappa$ の部分集合のうち、少なくとも一つの閉非有界集合を含むもの全体である。閉非有界集合を club 集合とも呼ぶ。集合 $A\subseteq\kappa$ がこのフィルターに属する条件は、$A$ 自身が閉であることではない。$A$ の内側に閉非有界集合が一つ見つかればよい(Jec03 Chapter 8)。
この区別は、集合の「大きさ」を二通りに測るために重要である。club を含む集合は、ほかの club を含む集合と十分大きく重なる。一方、定常集合はすべての club と交わる集合であり、club を含むとは限らない。さらに、定常でない集合全体はフィルターと双対な非定常イデアルをなす。フィルターとイデアルを同時に見ると、商 Boolean 代数や定常集合を条件とする強制法の順序が自然に現れる。
以下では ZFC を仮定し、$\kappa$ を順序数として見た正則な非可算基数とする。すなわち、$\kappa$ 未満個の $\kappa$ 未満の順序数の上限は、なお $\kappa$ 未満である。閉非有界集合の基本定理と定常性の証明は定常集合にもあり、ここではそれらをフィルターの演算として使うことを主眼とする。
$C\subseteq\kappa$ が非有界であるとは、任意の $\alpha<\kappa$ より大きい $C$ の元があることをいう。$C$ が閉であるとは、$C$ の元からなる非空の増加列の上限が $\kappa$ 未満なら、その上限も $C$ に入ることをいう。順序位相での閉集合と同じ条件である。両方を満たす $C$ を club 集合という。
たとえば任意の $\gamma<\kappa$ に対し、末尾区間 $[\gamma,\kappa)$ は club である。$\kappa=\omega_1$ なら、非零の極限順序数全体も club である。後者と交わらない後続順序数全体は非有界であっても非定常になる。したがって「非有界」と「club を含む」は大きく違う。
正則な非可算基数 $\kappa$ に対し
$$
\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)
=\{A\subseteq\kappa\mid
\text{ある club }C\subseteq\kappa\text{ が }C\subseteq A\text{ を満たす}\}
$$
と定める。これを $\kappa$ 上の閉非有界フィルターという。
たとえば $[\gamma,\kappa)$ を含む集合はフィルターに属する。閉非有界集合 $C$ に、その外の点を好きなだけ付け足した $A$ も属する。付け足すことで $A$ が閉でなくなっても構わない。したがって club 集合の族と club フィルターそのものを同一視してはならない。
集合上のフィルターとは、空集合を含まず、上に閉じ、有限個の共通部分に閉じた部分集合族である。ここで「上に閉じる」は、$A$ が族に属し $A\subseteq B\subseteq\kappa$ なら $B$ も属することをいう。この意味で上の族が本当にフィルターになる理由は、二つの club の共通部分がまた club であることにある。
$\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)$ は $\kappa$ 上の真のフィルターである。さらに、すべての club はこのフィルターに属する。
$\kappa$ 自身は club なのでフィルターに属し、各 club は自分自身を含むので属する。一方、club は非有界で空でないから、空集合は club を含めずフィルターに属さない。$C\subseteq A\subseteq B$ で $C$ が club なら同じ $C$ が $B$ にも含まれるので上に閉じる。
$A,B$ がフィルターに属するとき、club $C\subseteq A$ と $D\subseteq B$ を選ぶ。二つの club の共通部分 $C\cap D$ は club であり、$C\cap D\subseteq A\cap B$ である。従って $A\cap B$ もフィルターに属する。$\square$
二つの club が交わることは単なる集合論の恒等式ではない。任意の $\gamma<\kappa$ から出発し、$C$ と $D$ の元を交互に大きく選んで可算増加列を作る。正則な非可算性によりその上限は $\kappa$ 未満で、閉性により両方の club に属する。出発点を自由に選べるので、共通部分は非有界である。この操作が上の証明の基礎にある(Jec03 Lemma 8.2)。
club を含む集合の共通部分は「大きい」が、二つの非有界集合の共通部分は空でもよい。たとえば $\omega_1$ の集合 $\{\omega\cdot\alpha+1:\alpha<\omega_1\}$ と $\{\omega\cdot\alpha+2:\alpha<\omega_1\}$ はそれぞれ非有界で互いに交わらない。したがって単なる非有界集合の族は一般にフィルターにならない。
フィルターの$\kappa$-完備性とは、$\kappa$ 未満個の元の共通部分が再びフィルターに属することである。有限交差で閉じる通常のフィルター公理より強い。club 集合の共通部分定理から、この性質が従う。
$\lambda<\kappa$ とし、$A_i\in\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)$ が $i<\lambda$ について与えられたとする。このとき $\bigcap_{i<\lambda}A_i$ も $\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)$ に属する。
各 $i<\lambda$ について club $C_i\subseteq A_i$ を選ぶ。$\lambda<\kappa$ 個の club の共通部分 $C=\bigcap_{i<\lambda}C_i$ は club である(Jec03 Theorem 8.3)。しかも $C\subseteq\bigcap_{i<\lambda}A_i$ なので、右辺は定義によりフィルターに属する。$\lambda=0$ の場合、共通部分は $\kappa$ 自身であり、これも属する。$\square$
「$\kappa$ 未満個」という限界は鋭い。$A_\gamma=[\gamma+1,\kappa)$ を $\gamma<\kappa$ で動かすと、各 $A_\gamma$ は club だが、$\bigcap_{\gamma<\kappa}A_\gamma=\emptyset$ である。よって $\kappa$ 個すべての共通部分で閉じるとはいえない。何個の条件を同時に満たせるかを論じるとき、添字の大きさを省略して「任意の共通部分」と書いてはならない。
このフィルターは一様でもある。ここで一様とは、属するすべての集合の濃度が $\kappa$ であることをいう。club は非有界だから、その濃度は $\kappa$ であり、それを含む集合も濃度 $\kappa$ となる。逆向きは成り立たない。後続順序数全体は濃度 $\kappa$ でも、極限順序数の club と交わらない場合がある。
$A\subseteq\kappa$ かつ $|A|<\kappa$ なら、$A$ は club フィルターに属さない。より強く、$A$ は非定常である。
$\kappa$ の正則性から、$A$ の元の上限 $\delta$ は $\kappa$ 未満である。末尾区間 $[\delta+1,\kappa)$ は club で、$A$ と交わらない。よって $A$ は非定常である。club を含む集合はすべての club と交わるので、$A$ は club フィルターにも属さない。$\square$
特に有限集合や一点集合は属さない。この意味で club フィルターは非主フィルターである。非主性だけから $\kappa$-完備性は出ないので、この二つの性質も区別する。club フィルターの強さは、正則性による長い共通部分の閉性にある。
$\kappa$ 個の通常の共通部分は空になりうるが、位置 $\delta$ でそれ以前の添字だけを見る対角共通部分なら club の大きさを保つ。これが club フィルターの正規性を与える(Jec03 Lemma 8.4, Corollary 8.5)。
族 $(A_\xi)_{\xi<\kappa}$ に対し
$$
\mathop{\triangle}_{\xi<\kappa}A_\xi
=\{\delta<\kappa\mid (\forall\xi<\delta)\ \delta\in A_\xi\}
$$
と書く。$\delta=0$ では条件が空で真となるが、この一点の有無は club を含むかどうかには影響しない。各 $\delta$ が確認するのは自分より前に並んだ条件だけで、全 $\kappa$ 個を一度には確認しない。
各 $\xi<\kappa$ について $A_\xi\in\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)$ なら、対角共通部分 $\mathop{\triangle}_{\xi<\kappa}A_\xi$ も $\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)$ に属する。
各 $\xi<\kappa$ について club $C_\xi\subseteq A_\xi$ を選ぶ。club の対角共通部分 $\mathop{\triangle}_{\xi<\kappa}C_\xi$ は再び club である(Jec03 Lemma 8.4)。定義から
$$
\mathop{\triangle}_{\xi<\kappa}C_\xi
\subseteq
\mathop{\triangle}_{\xi<\kappa}A_\xi
$$
だから、後者は club を含む。$\square$
対角共通部分が非有界であることは次のように理解できる。出発点 $\gamma$ より大きい順序数を取り、次の段階ではそこまでの添字の club をすべて満たすように点を選ぶ。この操作を可算回だけ繰り返し、その上限を取る。正則非可算性のおかげで上限は $\kappa$ 未満に残り、各 club の閉性によって、その上限は自分より前のすべての条件を満たす。閉性については、対角共通部分の点の増加列が $\delta<\kappa$ に収束するとき、任意の固定した $\xi<\delta$ は十分後の各点より小さいことを使う。したがって極限点も $C_\xi$ に属する。
正規性はフィルターの単なる別名ではない。普通のフィルターでは有限交差しか保証されず、$\kappa$-完備なフィルターでも対角共通部分の閉性は定義だけでは出ない。Fodor の補題は、非定常集合を対角的に避けられることから導くことができる。この証明は定常集合で扱う。club フィルターが正規であるという言葉は、この対角化の仕組みを短く表している。
フィルターに属する集合を「club を含むほど大きい集合」と見れば、その補集合は「club に避けられる集合」である。これをまとめたものが非定常イデアルである。イデアルは、空集合を含み、下に閉じ、有限個の和に閉じる集合族である。
正則な非可算基数 $\kappa$ について
$$
\mathrm{NS}_\kappa
=\{A\subseteq\kappa\mid
\text{ある club }C\subseteq\kappa\text{ に対し }A\cap C=\emptyset\}
$$
とする。これは $\kappa$ 上の非定常イデアルであり、
$$
A\in\mathrm{NS}_\kappa
\quad\Longleftrightarrow\quad
\kappa\setminus A\in\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)
$$
が成り立つ。
最後の同値は $A\cap C=\emptyset$ と $C\subseteq\kappa\setminus A$ が同じ条件であることから直ちに従う。「定常」はこのイデアルに属さないこと、「club を含む」はその補集合がイデアルに属することを意味する。これらは互いに異なる判定である。
$\mathrm{NS}_\kappa$ は $\kappa$ 未満個の集合の和に閉じる。また $(N_\xi)_{\xi<\kappa}$ が非定常集合の族なら、その対角和
$$
\mathop{\nabla}_{\xi<\kappa}N_\xi
=\{\delta<\kappa\mid (\exists\xi<\delta)\ \delta\in N_\xi\}
$$
も非定常である。
$\lambda<\kappa$ とし、各 $i<\lambda$ について $N_i$ と交わらない club $C_i$ を選ぶ。$C=\bigcap_{i<\lambda}C_i$ は club であり、$\bigcup_{i<\lambda}N_i$ のどの点とも交わらない。よって和は非定常である。
次に各 $\xi<\kappa$ について $N_\xi$ と交わらない club $C_\xi$ を選ぶ。対角共通部分 $D=\mathop{\triangle}_{\xi<\kappa}C_\xi$ は club である。もし $\delta\in D$ かつ $\delta\in\mathop{\nabla}_{\xi<\kappa}N_\xi$ なら、ある $\xi<\delta$ について $\delta\in N_\xi$ となる。しかし $\delta\in D$ から $\delta\in C_\xi$ でもあり矛盾する。従って $D$ は対角和を避ける。$\square$
普通の和を $\kappa$ 個取ると結論は崩れる。各一点集合 $\{\xi\}$ は非定常だが、その和 $\bigcup_{\xi<\kappa}\{\xi\}=\kappa$ は定常である。対角和の制約 $\xi<\delta$ によって、各点 $\delta$ で検査する集合を限っている。対角共通部分の条件が対角和の否定と正確に対応することが、正規性をフィルター側とイデアル側の両方で述べられる理由である。
どの club も定常であり、club を含む集合も定常である。実際、二つの club の共通部分は club なので空でない。だが、定常集合の定義は「すべての club に少なくとも一点で出会う」であって、「一つの club を丸ごと含む」ではない。量化の向きが異なる。
例えば $\kappa=\omega_2$ とし、$E^\kappa_\omega$ を余終数 $\omega$ の順序数全体、$E^\kappa_{\omega_1}$ を余終数 $\omega_1$ の順序数全体とする。これらはそれぞれ定常であり、互いに交わらない(Jec03 Chapter 8)。もし両方が club フィルターに属したら、その共通部分である空集合も属してしまう。したがって少なくとも片方は属さない。実は、互いに素な二つの定常集合のいずれも club を含まない。片方が club を含めば、もう片方の定常性に反するからである。
この例は、定常集合全体がフィルターをなさないことも示す。集合 $S$ が定常であるという条件は $\mathrm{NS}_\kappa$ の正の元であることをいうが、正の元同士の共通部分が再び正になるとは限らない。後に強制法の条件を定常集合で作るとき、両立しない条件があるのはこのためである。
もう一つ紛らわしいのは「非定常ではない」と「club を含む」の取り違えである。$S\notin\mathrm{NS}_\kappa$ は $S$ が定常だというだけで、$S\in\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)$ まではいわない。一方、
$$
S\in\mathcal F_{\mathrm{club}}(\kappa)
\quad\Longleftrightarrow\quad
\kappa\setminus S\in\mathrm{NS}_\kappa
$$
である。片方の集合を補集合にしてからイデアルに入るか調べる必要がある。フィルター、正の集合、イデアルの三種類を区別しておくと、定常性の証明で「十分大きい」の意味が曖昧にならない。
非定常な差を無視して集合を同一視すると、商 Boolean 代数ができる。$A,B\subseteq\kappa$ に対し、対称差 $A\mathbin{\triangle}B$ が非定常なら $A\sim B$ とし、その同値類を $[A]$ と書く。$A\sim B$ の意味は、ある club 上では $A$ と $B$ の所属判定が一致することである。
$\mathcal P(\kappa)/\mathrm{NS}_\kappa$ の元は、$A\subseteq\kappa$ の同値類 $[A]$ である。順序と Boolean 演算は
$$
[A]\le[B]\ \Longleftrightarrow\ A\setminus B\in\mathrm{NS}_\kappa,
\qquad
[A]\wedge[B]=[A\cap B],
\qquad
\neg[A]=[\kappa\setminus A]
$$
で与える。零元は非定常集合の類 $0=[\emptyset]$、単位元は $1=[\kappa]$ である。
同値類を使うので、代表元を変えても演算と順序が同じになる必要がある。たとえば $A\sim A'$、$B\sim B'$ なら、$(A\cap B)\mathbin{\triangle}(A'\cap B')$ は $(A\mathbin{\triangle}A')\cup(B\mathbin{\triangle}B')$ に含まれる。非定常イデアルは有限和と部分集合に閉じるから、共通部分の類は代表元に依存しない。他の演算も同様に確かめられる。
$A,B\subseteq\kappa$ について次が成り立つ。
$[A]=0$ は $A\mathbin{\triangle}\emptyset=A$ が非定常であることそのものなので第一が従う。$[A]=1$ は $A\mathbin{\triangle}\kappa=\kappa\setminus A$ が非定常であることと同値であり、双対性から第二が従う。
$A\cap B$ が定常なら $[A\cap B]\ne0$ で、$[A\cap B]\le[A]$ かつ $[A\cap B]\le[B]$ である。逆に非零の $[D]$ が両方の下界なら、$D\setminus A$ と $D\setminus B$ は非定常である。$D\setminus(A\cap B)$ はその有限和なので非定常となる。もし $A\cap B$ まで非定常なら、$D=(D\cap A\cap B)\cup(D\setminus(A\cap B))$ も非定常となり、$[D]\ne0$ に反する。$\square$
この商から零元を除いた順序集合は、定常集合を条件として用いる強制法の一つの形になる。強い条件を小さい元とする流儀なら、$[A]\le[B]$ は「$A$ は非定常な例外を除いて $B$ の中にある」という意味である。$A\cap B$ が定常なら条件は両立し、非定常なら両立しない。単なる包含 $A\subseteq B$ より弱い順序である点に注意する。
これは順序集合としての強制概念を与える説明であり、この強制法にどんな保存性があるかまで主張するものではない。商イデアルの飽和性や generic ultrapower の整礎性などは別の深い条件で、club フィルターの定義だけでは従わない。強制概念とジェネリックフィルターでは、一般の半順序集合上の条件・フィルターの用語を扱う。
非可算性と正則性は飾りではない。$\kappa=\omega$ とすると、$\omega$ の順序位相では任意の部分集合が閉であり、非有界は無限と同じである。偶数全体と奇数全体はそれぞれ閉非有界だが、共通部分は空になる。したがって「club を含む部分集合全体」はこの場合にはフィルターにならない。正則非可算という範囲を外して同じ定義式だけ使うと、先の証明は失われる。
また、$\kappa$ 上の club フィルターと、位相空間でいう稠密集合の族は別物である。club の「閉」は順序位相の閉性と関わるが、「非有界」は順序数の大小関係で定める。強制概念の稠密部分集合とも混同しない。どの集合を母集合とし、どの順序または位相を使うかを示してから性質を述べる必要がある。
最後に、正規なフィルターは必ず超フィルターというわけではない。club フィルターは対角共通部分に閉じるが、定常集合をすべて決定して一方を選ぶわけではない。互いに素な定常集合は商における非零の両立しない元を与える。正規性は対角的な共通部分についての性質、超フィルター性は各集合とその補集合のどちらか一方を選ぶ性質であり、論理的に異なる。
上の境界例と本文中の注意を、外す条件ごとにまとめる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\kappa$ が非可算 | $\kappa=\omega$ の偶数全体と奇数全体 | club を含む集合全体がフィルターであること(prop-club-filter-axioms) |
| $\kappa$ が正則 | $\kappa=\aleph_\omega$ の $C=\{\aleph_n:1\le n<\omega\}$ と $D=\{\aleph_n+1:1\le n<\omega\}$ | 同上(二つの club が交わること) |
| 共通部分の個数が $\kappa$ 未満 | $A_\gamma=[\gamma+1,\kappa)$($\gamma<\kappa$) | $\kappa$-完備性(prop-club-filter-complete)を $\kappa$ 個に広げること |
| 和の添字の制約 $\xi<\delta$(対角和) | 一点集合 $\{\xi\}$($\xi<\kappa$)の通常の和 | 非定常集合の $\kappa$ 個の和が非定常であること(prop-club-filter-ideal) |
| 「club を含む」を「濃度 $\kappa$」に弱める | $\omega_1$ の後続順序数全体 | 濃度 $\kappa$ の集合がフィルターに属すること(一様性の逆) |
| 「club を含む」を「定常」に弱める | $\omega_2$ の $E^{\omega_2}_\omega$ と $E^{\omega_2}_{\omega_1}$ | 定常集合の族が共通部分に閉じること |
$\kappa=\omega$ とする。$\omega$ の元からなる非空の増加列の上限が $\omega$ 未満なら、その列は有限で上限は最大の項だから、どの部分集合も閉である。偶数全体 $E$ と奇数全体 $O$ はどちらも非有界なので club であるが、$E\cap O=\emptyset$ である。club を含む集合全体がフィルターなら $E\cap O=\emptyset$ も属することになり、空集合を含まないというフィルターの条件に反する。破るのは非可算性であり、prop-club-filter-axioms の証明で使った「可算増加列の上限が $\kappa$ 未満に残る」ことが崩れている。
$\kappa=\aleph_\omega$ は非可算だが、$\aleph_\omega=\sup_{n<\omega}\aleph_n$ なので共終数は $\omega$ であり正則でない。$C=\{\aleph_n:1\le n<\omega\}$ と $D=\{\aleph_n+1:1\le n<\omega\}$ はどちらも非有界である。$C$ の元からなる非空の増加列は、有限なら最大の項が上限で $C$ に属し、無限なら添字 $n$ が限りなく大きくなるので上限は $\aleph_\omega$ であり $\kappa$ 未満でない。よって $C$ は閉であり、$D$ も同様に閉である。$\aleph_n$ は極限順序数で $\aleph_m+1$ は後続順序数だから $C\cap D=\emptyset$ である。前の例と同じく、club を含む集合全体はフィルターにならない。破るのは正則性であり、長さ $\omega$ の列の上限が $\kappa$ に達してしまうことが原因である。
残りの行は本文中ですでに確かめた。$\bigcap_{\gamma<\kappa}[\gamma+1,\kappa)=\emptyset$ は「完備性と一様性」の節、一点集合の和は「双対の非定常イデアル」の節、後続順序数全体が非零の極限順序数全体という club と交わらず非定常であることは「club 集合を含む集合」の節で、$E^{\omega_2}_\omega$ と $E^{\omega_2}_{\omega_1}$ が互いに素な定常集合でその共通部分 $\emptyset$ が定常でないことは「定常集合との違い」の節で述べた。
閉非有界フィルターの定義、$\kappa$-完備性、対角共通部分と正規性、非定常イデアルについては Jec03 Chapter 8, pp. 91–97 に従った。非定常イデアルの商を強制法の条件として見る背景については同書 Chapter 23 を参照した。記号や例の置き方は本記事の説明に合わせた。
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