Hurewiczファイブレーション(Hurewicz fibration)とは、任意の位相空間をパラメータにもつホモトピーを、始点を指定して全空間へ持ち上げられる連続写像のことである。自明な射影、被覆写像、道の空間の終点への写像がその例で、任意の連続写像は写像道空間を使ってホモトピー同値とファイブレーションの合成に分解できる。底空間の道に沿ってファイバーをホモトピーを除いて輸送でき、同じ弧状連結成分の上のファイバーはホモトピー同値になる。numerable な開被覆の各開集合の上でファイブレーションなら全体でもファイブレーションであり、とくにパラコンパクト Hausdorff 空間を底とするファイバー束はファイブレーションである。
Hurewiczファイブレーション(Hurewicz fibration)とは、任意の位相空間をパラメータにもつホモトピーを、始点を指定して全空間へ持ち上げられる連続写像のことである。被覆写像の道の持ち上げから一意性を外して一般化したもので、自明な射影、被覆写像、道の空間の端点への写像、パラコンパクト Hausdorff 空間の上のファイバー束がその例である。ホモトピー論では、任意の連続写像はホモトピー同値を介してファイブレーションに置き換えられ(thm-hf-replacement)、ファイブレーションの通常のファイバーはホモトピーファイバーとホモトピー同値になる(ホモトピーファイバー の定理「ファイバーとホモトピーファイバー」)。
この記事では、持ち上げ関数による言い換え、引き戻しと合成での安定性、写像道空間による置き換えを示したあと、底空間の道に沿ったファイバーの輸送(thm-hf-transport)と、同じ底の上のホモトピー同値がファイバーホモトピー同値になること(thm-hf-dold)を証明する。主定理は、numerable な開被覆の各開集合の上でファイブレーションである写像は全体でもファイブレーションである、という局所性(thm-hf-local)である。
$I:=[0,1]$ とし、写像の空間 $X^I$ にはコンパクト開位相を入れる。$I$ は局所コンパクト Hausdorff なので、連続写像 $Y\times I\to X$ と連続写像 $Y\to X^I$ は随伴によって 1 対 1 に対応し、評価 $X^I\times I\to X$ は連続である(コンパクト開位相 の定理「指数法則」、命題「評価写像の連続性」)。以下これを断らずに使う。$c_x$ は点 $x$ にとどまる定値の道、$\bar\gamma(t):=\gamma(1-t)$ は逆向きの道、$\gamma\cdot\delta$ は $\gamma(1)=\delta(0)$ のとき $\gamma$ をたどってから $\delta$ をたどる道である。
連続写像 $p\colon E\to B$ がホモトピー持ち上げ性質(homotopy lifting property)をもつとは、任意の位相空間 $Y$、連続写像 $f\colon Y\to E$、連続写像 $h\colon Y\times I\to B$ で $h(y,0)=p(f(y))$ を満たすものに対し、連続写像 $H\colon Y\times I\to E$ で
$$
H(y,0)=f(y),\qquad p\circ H=h
$$
を満たすものがあることをいう。$H$ を $h$ の $f$ を始点とする持ち上げという。ホモトピー持ち上げ性質をもつ連続写像を Hurewicz ファイブレーション、または単にファイブレーションという。$E$ を全空間、$B$ を底空間、$b\in B$ について $F_b:=p^{-1}(b)$(部分空間の位相)を $b$ 上のファイバーという。
def-hf-main の条件を、$Y$ が立方体 $I^n$($n\ge0$)の場合に限って課したとき、その条件を満たす連続写像を Serre ファイブレーションという。Hurewicz ファイブレーションは Serre ファイブレーションである。
May99 Chapter 7 §1(p. 49)は、ファイブレーションの定義に $p$ が全射であることを含める。この記事では全射を課さない(ホモトピーファイバー・ループ空間 の定義と同じ)。$B$ の各弧状連結成分が $p$ の像と交わるなら、ファイブレーション $p$ は全射である。実際、$b'\in B$ と $p(e)$ を結ぶ道を、$Y$ を一点として $e$ を始点に持ち上げると、終点は $b'$ の上にある。持ち上げは一意とは限らない。たとえば $\mathbb R\to\{\ast\}$ では、$0$ を始点とする定値の道の持ち上げとして、定値の道も $t\mapsto t$ もとれる。
連続写像 $p\colon E\to B$ に対し、$E\times B^I$ の部分空間
$$
N_p:=\{(e,\beta)\in E\times B^I\mid\beta(0)=p(e)\}
$$
を考える。連続写像 $s\colon N_p\to E^I$ で
$$
s(e,\beta)(0)=e,\qquad p\circ s(e,\beta)=\beta
$$
を満たすものを $p$ の持ち上げ関数(lifting function)という。
連続写像 $p\colon E\to B$ がファイブレーションであるための必要十分条件は、$p$ が持ち上げ関数をもつことである。
$p$ がファイブレーションとする。$Y:=N_p$、$f(e,\beta):=e$、$h((e,\beta),t):=\beta(t)$ とおくと、$h$ は評価写像の制限なので連続で、$h((e,\beta),0)=\beta(0)=p(e)$ である。持ち上げ $H\colon N_p\times I\to E$ の随伴 $s\colon N_p\to E^I$ は連続で、$s(e,\beta)(0)=H((e,\beta),0)=e$、$p\circ s(e,\beta)=\beta$ を満たす。
逆に持ち上げ関数 $s$ があるとし、$f\colon Y\to E$、$h\colon Y\times I\to B$ を def-hf-main のとおりとする。$h$ の随伴 $h^\sharp\colon Y\to B^I$ は連続なので、$g(y):=(f(y),h^\sharp(y))$ は連続写像 $Y\to N_p$ である。$H(y,t):=s(g(y))(t)$ は評価写像との合成として連続で、$H(y,0)=f(y)$、$p(H(y,t))=h(y,t)$ を満たす。$\square$
持ち上げ関数を使うと、持ち上げを道と始点に連続に依存させて選べる。lem-hf-relative と thm-hf-local の証明はこの形で使う。
要点:1 は底のホモトピーを $g$ で $B$ へ送って $p$ で持ち上げ、2 は $q$、$p$ の順に 2 回持ち上げる。3 は包含に沿った引き戻しである。
1:$f=(f_A,f_E)\colon Y\to A\times_BE$ と $h\colon Y\times I\to A$ で $h(y,0)=f_A(y)$ とする。$g\circ h$ は $g\circ f_A=p\circ f_E$ から始まるので、$f_E$ を始点とする持ち上げ $H_E\colon Y\times I\to E$ がある。$H:=(h,H_E)$ は $A\times_BE$ に値をもつ連続写像で、$H(y,0)=f(y)$、$q\circ H=h$ である。
2:$f\colon Y\to E$ と $h\colon Y\times I\to C$ で $h(y,0)=q(p(f(y)))$ とする。$q$ について $p\circ f$ を始点とする持ち上げ $h'\colon Y\times I\to B$ をとり、次に $p$ について $f$ を始点とする $h'$ の持ち上げ $H$ をとれば、$q\circ p\circ H=q\circ h'=h$ である。
3:包含 $U\to B$ に沿った引き戻しは、$e\mapsto(p(e),e)$ によって $p^{-1}(U)\to U$ と同一視できるので、1 から従う。$\square$
連続写像 $f\colon X\to Y$ に対し $N_f:=\{(x,\chi)\in X\times Y^I\mid\chi(0)=f(x)\}$ とし、
$$
\nu(x):=(x,c_{f(x)}),\qquad\pi(x,\chi):=x,\qquad\rho(x,\chi):=\chi(1)
$$
で $\nu\colon X\to N_f$、$\pi\colon N_f\to X$、$\rho\colon N_f\to Y$ を定める。
1:$\rho(\nu(x))=c_{f(x)}(1)=f(x)$、$\pi\circ\nu=\mathrm{id}_X$ である。$\chi_t(u):=\chi((1-t)u)$ とおくと $\chi_t(0)=f(x)$ なので、$D((x,\chi),t):=(x,\chi_t)$ は $N_f$ に値をとり、$(x,\chi,t,u)\mapsto\chi((1-t)u)$ が連続であることから連続である。$D_0=\mathrm{id}_{N_f}$、$D_1(x,\chi)=(x,c_{f(x)})=\nu(\pi(x,\chi))$ なので、$\nu\circ\pi\simeq\mathrm{id}_{N_f}$ である。
2:$g=(g_1,g_2)\colon Z\to N_f$ と $h\colon Z\times I\to Y$ で $h(z,0)=g_2(z)(1)$ とする。
$$
j(z,t)(u):=\begin{cases}g_2(z)\bigl((1+t)u\bigr)&((1+t)u\le1)\\ h\bigl(z,(1+t)u-1\bigr)&((1+t)u\ge1)\end{cases}
$$
とおく。2 つの閉集合の共通部分 $(1+t)u=1$ の上で両式は $g_2(z)(1)=h(z,0)$ に一致するので、$(z,t,u)\mapsto j(z,t)(u)$ は連続である。$j(z,t)(0)=f(g_1(z))$ なので $G(z,t):=(g_1(z),j(z,t))$ は連続写像 $Z\times I\to N_f$ であり、$G(z,0)=g(z)$、$\rho(G(z,t))=h(z,t)$ を満たす。$\square$
$\rho$ の $y$ 上のファイバー $\{(x,\chi)\mid\chi(0)=f(x),\ \chi(1)=y\}$ は、道を逆向きにする同相によって $f$ の $y$ 上のホモトピーファイバー(ホモトピーファイバー の定義「ホモトピーファイバー」)と同一視できる。$\rho$ が全射になるのは、$f(X)$ が $Y$ のすべての弧状連結成分と交わるときに限る。
$Q:=I\times I$ の点を $(s,t)$ と書き、左右の辺と底辺の和を $V:=(\{0,1\}\times I)\cup(I\times\{0\})\subset Q$ とおく。ファイブレーションの持ち上げは、底辺だけでなく左右の辺でも値を指定して行える。
$p\colon E\to B$ をファイブレーション、$Y$ を位相空間とする。連続写像 $G\colon Y\times V\to E$ と $K\colon Y\times Q\to B$ が $p\circ G=K|_{Y\times V}$ を満たすなら、連続写像 $\Lambda\colon Y\times Q\to E$ で $\Lambda|_{Y\times V}=G$、$p\circ\Lambda=K$ を満たすものがある。
要点:点 $(\frac12,2)$ からの中心射影 $r\colon Q\to V$ をとり、$r(q)$ から $q$ への線分に沿った $K$ の道を、持ち上げ関数で「$q$ と $r(q)$ の距離」の時間だけ持ち上げる。$V$ の上では時間が $0$ なので $G$ の値が保たれる。
レトラクション.$m(s):=\min(s,1-s)$ とし、$q=(s,t)\in Q$ について、$t\le4m(s)$ なら $r(q):=\bigl(\frac12+\frac{2s-1}{2-t},\,0\bigr)$、$t\ge4m(s)$ なら $r(q):=\bigl(\frac{1+\varepsilon}2,\,2-\frac{2-t}{|2s-1|}\bigr)$($\varepsilon$ は $2s-1$ の符号)とおく。後者の範囲では $|2s-1|=1-2m(s)\ge1-\frac t2\ge\frac12$ なので式は意味をもち、境界 $t=4m(s)$ では $|2s-1|=\frac{2-t}2$ から両式はともに $(\frac{1+\varepsilon}2,0)$ になる。よって $r$ は連続である。前者の範囲では $|2s-1|\le\frac{2-t}2$ から第 1 成分は $[0,1]$ に入り、後者の範囲では $1\le\frac{2-t}{|2s-1|}\le2$ から第 2 成分は $[0,1]$ に入るので、$r(Q)\subset V$ である。$t=0$ なら $r(s,0)=(s,0)$、$s\in\{0,1\}$ なら $r(s,t)=(s,t)$ なので、$r$ は $V$ の上で恒等写像である。
持ち上げ.$d(q):=\min(1,|q-r(q)|)$($|\cdot|$ は Euclid ノルム)は連続で、$d(q)=0$ と $q\in V$ は同値である。$\sigma_q(\theta):=(1-\theta)r(q)+\theta q\in Q$ とし、$d(q)>0$ なら $\psi_{y,q}(\theta):=K\bigl(y,\sigma_q(\min(\theta/d(q),1))\bigr)$、$d(q)=0$ なら $\psi_{y,q}(\theta):=K(y,q)$ とおく。$(y,q,\theta)\mapsto\psi_{y,q}(\theta)$ は $d>0$ の範囲で連続である。$q_0\in V$ では $|\sigma_q(\theta')-q_0|\le|r(q)-q|+|q-q_0|$ が $\theta'$ によらず $q\to q_0$ で $0$ に近づくので、$K$ の $(y_0,q_0)$ での連続性から、$(y,q)$ が $(y_0,q_0)$ に近ければすべての $\theta$ で $\psi_{y,q}(\theta)$ は $K(y_0,q_0)$ に近い。よって $(y,q)\mapsto\psi_{y,q}$ は連続写像 $Y\times Q\to B^I$ である。$\psi_{y,q}(0)=K(y,r(q))=p(G(y,r(q)))$ なので、prop-hf-lifting-function の持ち上げ関数 $s$ を使って $$\Lambda(y,q):=s\bigl(G(y,r(q)),\psi_{y,q}\bigr)\bigl(d(q)\bigr)$$ とおける。$\Lambda$ は連続である。$q\in V$ なら $d(q)=0$、$r(q)=q$ から $\Lambda(y,q)=G(y,q)$ である。$p(\Lambda(y,q))=\psi_{y,q}(d(q))$ は、$d(q)>0$ なら $K(y,\sigma_q(1))=K(y,q)$、$d(q)=0$ なら $K(y,q)$ である。$\square$
$p\colon E\to B$ をファイブレーション、$\gamma$ を $b$ から $b'$ への道とする。$Y:=F_b$、$f$ を包含、$h(x,t):=\gamma(t)$ として持ち上げると、連続写像 $L\colon F_b\times I\to E$ で $L(x,0)=x$、$p(L(x,t))=\gamma(t)$ となるものがある。これを $\gamma$ に沿った $F_b$ の持ち上げという。$L_1:=L(\cdot,1)$ は連続写像 $F_b\to F_{b'}$ である。
$p\colon E\to B$ をファイブレーションとする。
1:$\gamma_0,\gamma_1$ を $b$ から $b'$ への道、$k\colon I\times I\to B$ を端点を止めたホモトピー($k(0,u)=\gamma_0(u)$、$k(1,u)=\gamma_1(u)$、$k(r,0)=b$、$k(r,1)=b'$)、$L^0,L^1$ をそれぞれ $\gamma_0,\gamma_1$ に沿った持ち上げとする。lem-hf-relative を $Y:=F_b$、$Q$ の点 $(r,u)$ に当てはめ、$V$ の上で
$$
G(x,0,u):=L^0(x,u),\qquad G(x,1,u):=L^1(x,u),\qquad G(x,r,0):=x
$$
と指定する。角では $L^0(x,0)=L^1(x,0)=x$ なので $G$ は連続であり、$K(x,r,u):=k(r,u)$ について $p\circ G=K|_{F_b\times V}$ である。得られた $\Lambda$ について、$(x,r)\mapsto\Lambda(x,r,1)$ は $k(r,1)=b'$ の上にあるので、$F_b\times I\to F_{b'}$ のホモトピー $L^0_1\simeq L^1_1$ である。$\gamma_0=\gamma_1$、$k(r,u)=\gamma_0(u)$ とすれば、持ち上げの選び方によらないことも分かる。
2:$L(x,t):=x$ は $c_b$ に沿った持ち上げである。$L^\gamma,L^\delta$ を $\gamma,\delta$ に沿った持ち上げとし、$t\le\frac12$ で $L(x,t):=L^\gamma(x,2t)$、$t\ge\frac12$ で $L(x,t):=L^\delta(L^\gamma_1(x),2t-1)$ とおくと、$t=\frac12$ で両式は $L^\gamma_1(x)$ に一致し、$L$ は $\gamma\cdot\delta$ に沿った持ち上げで $L_1=L^\delta_1\circ L^\gamma_1$ である。1 とホモトピー類の合成が代表によらないことから等式を得る。$\Pi_1(B)$ での合成は $[\delta]\circ[\gamma]=[\gamma\cdot\delta]$ なので、これは関手である。
3:$[\gamma\cdot\bar\gamma]=[c_b]$、$[\bar\gamma\cdot\gamma]=[c_{b'}]$(基本亜群 の命題「基本亜群は亜群である」)と 2 から、$\tau[\bar\gamma]\circ\tau[\gamma]=[\mathrm{id}_{F_b}]$、$\tau[\gamma]\circ\tau[\bar\gamma]=[\mathrm{id}_{F_{b'}}]$ である。
4:$\overline{\gamma\cdot\delta}=\bar\delta\cdot\bar\gamma$ と 2 から $\tau[\overline{\gamma\cdot\delta}]=\tau[\bar\gamma]\circ\tau[\bar\delta]$ であり、3 により値は群の元である。$\square$
被覆写像では持ち上げが一意なので $\tau[\gamma]$ は写像そのものとして定まり、4 はファイバーへの基本群の作用(モノドロミー)になる。ファイブレーションでは、基本群はファイバーに「ホモトピーを除いて」作用する。
$p\colon D\to B$、$q\colon E\to B$ を連続写像とする。連続写像 $f\colon D\to E$ が $q\circ f=p$ を満たすとき $B$ 上の写像といい、ホモトピー $H\colon D\times I\to E$ がすべての $t$ で $q(H(x,t))=p(x)$ を満たすとき $B$ 上のホモトピーといい $\simeq_B$ と書く。$B$ 上の写像 $f$ が ファイバーホモトピー同値であるとは、$B$ 上の写像 $g\colon E\to D$ で $g\circ f\simeq_B\mathrm{id}_D$、$f\circ g\simeq_B\mathrm{id}_E$ となるものがあることをいう。このとき各 $b$ で $f$ の制限 $p^{-1}(b)\to q^{-1}(b)$ はホモトピー同値である。
$p\colon D\to B$、$q\colon E\to B$ をファイブレーション、$f\colon D\to E$ を $B$ 上の写像とする。$f$ がホモトピー同値なら、$f$ はファイバーホモトピー同値である。
主張は May99 Chapter 7 §5 の命題(p. 52)にある。次の証明は、ホモトピー逆写像を $B$ 上へ直す片側の構成を 2 回使う。
要点:(a) $f$ のホモトピー逆写像を $p$ の持ち上げで $B$ 上の写像 $g_1$ に取り替え、$a:=f\circ g_1$ と恒等写像の間のホモトピーを $q$ の持ち上げと lem-hf-relative で $B$ 上のホモトピーに直すと、$f\circ g\simeq_B\mathrm{id}_E$ となる $B$ 上のホモトピー同値 $g$ が得られる。(b) (a) を $g$ に使って得た $f'$ と $f$ が $B$ 上でホモトピックであることから結論が従う。
(a).$g_0\colon E\to D$ を $f$ のホモトピー逆写像、$F\colon f\circ g_0\simeq\mathrm{id}_E$ とする。$q\circ F$ は $q\circ f\circ g_0=p\circ g_0$ から始まるので、$p$ の持ち上げ $G\colon E\times I\to D$ で $G_0=g_0$、$p\circ G=q\circ F$ となるものがある。$g_1:=G_1$ は $p\circ g_1=q$ を満たし、$g_1\simeq g_0$ である。$a:=f\circ g_1$ は $q\circ a=p\circ g_1=q$ を満たし、$a\simeq f\circ g_0\simeq\mathrm{id}_E$ である。ホモトピー $h\colon E\times I\to E$、$h_0=a$、$h_1=\mathrm{id}_E$ を 1 つとる。$q\circ h$ は $q\circ a=q$ から始まるので、$q$ の持ち上げ $k\colon E\times I\to E$ で $k_0=\mathrm{id}_E$、$q\circ k=q\circ h$ となるものがある。$\kappa:=k_1$ は $q\circ\kappa=q\circ h_1=q$ を満たす。
$s\le\frac12$ で $J(x,s):=a(k(x,1-2s))$、$s\ge\frac12$ で $J(x,s):=h(x,2s-1)$ とおくと、$J$ は $a\circ\kappa$ から $\mathrm{id}_E$ へのホモトピーである($s=\frac12$ で両式は $a(x)$)。$q\circ a=q$ から $q(J(x,s))$ は $s\le\frac12$ で $q(h(x,1-2s))$、$s\ge\frac12$ で $q(h(x,2s-1))$ である。$Q$ の点 $(s,t)$ について $$K(x,s,t):=\begin{cases}q\bigl(h(x,1-2s(1-t))\bigr)&(s\le\frac12)\\ q\bigl(h(x,1-2(1-s)(1-t))\bigr)&(s\ge\frac12)\end{cases}$$ とおくと、$s=\frac12$ で両式は $q(h(x,t))$ に一致し、$K(x,s,0)=q(J(x,s))$、$K(x,0,t)=K(x,1,t)=K(x,s,1)=q(h(x,1))=q(x)$ である。$V$ の上で $G'(x,s,0):=J(x,s)$、$G'(x,0,t):=a(\kappa(x))$、$G'(x,1,t):=x$ と指定すると、角で値は一致し($J(x,0)=a(\kappa(x))$、$J(x,1)=x$)、$q\circ G'=K|_{E\times V}$ である。lem-hf-relative による持ち上げ $\Lambda$ について $R(x,s):=\Lambda(x,s,1)$ とおくと、$R$ は $a\circ\kappa$ から $\mathrm{id}_E$ へのホモトピーで、$q(R(x,s))=K(x,s,1)=q(x)$ を満たす。
$g:=g_1\circ\kappa$ とおく。$p\circ g=q\circ\kappa=q$ なので $g$ は $B$ 上の写像で、$f\circ g=a\circ\kappa$ だから $R$ は $f\circ g\simeq_B\mathrm{id}_E$ を与える。さらに $g\simeq g_0\circ\mathrm{id}_E=g_0$ なので、$g$ はホモトピー同値である(ホモトピー同値 の命題「ホモトピックな写像への置換」)。
(b).(a) を、ファイブレーション $q$、$p$ の間の $B$ 上のホモトピー同値 $g\colon E\to D$ に当てはめると、$B$ 上の写像 $f'\colon D\to E$ で $g\circ f'\simeq_B\mathrm{id}_D$ となるものがある。$f\circ g\simeq_B\mathrm{id}_E$ の右から $f'$ を合成して $f\circ g\circ f'\simeq_B f'$、$g\circ f'\simeq_B\mathrm{id}_D$ の左から $f$ を合成して $f\circ g\circ f'\simeq_B f$ を得る($q\circ f=p$ なので、どちらも $B$ 上のホモトピーである)。よって $f\simeq_Bf'$ であり、$g\circ f\simeq_Bg\circ f'\simeq_B\mathrm{id}_D$ である。$f\circ g\simeq_B\mathrm{id}_E$ と合わせて、$g$ は $f$ の $B$ 上のホモトピー逆写像である。$\square$
$p\colon E\to B$ がファイブレーションなら、thm-hf-replacement の $\nu\colon E\to N_p$ は、$p$ と $\rho\colon N_p\to B$ の間のファイバーホモトピー同値である。
$\rho\circ\nu=p$ なので $\nu$ は $B$ 上の写像で、thm-hf-replacement によりホモトピー同値であり、$\rho$ はファイブレーションである。thm-hf-dold から従う。$\square$
$\nu$ のホモトピー逆写像 $\pi$ は $p(\pi(e,\chi))=\chi(0)$、$\rho(e,\chi)=\chi(1)$ なので、一般には $B$ 上の写像ではない。cor-hf-path-replacement は、$B$ 上のホモトピー逆写像が別にとれることを保証する。
位相空間 $B$ の開被覆 $\{U_j\}_{j\in J}$ が numerable であるとは、局所有限であり(各点がある近傍をもち、その近傍と交わる $U_j$ は有限個)、各 $j$ について連続関数 $\lambda_j\colon B\to I$ で $U_j=\lambda_j^{-1}((0,1])$ となるものがあることをいう。
$B$ 上の 1 の分割 $\{\varphi_k\}$(パラコンパクト空間 の定義「1 の分割」)について、$\{\varphi_k>0\}$ の全体は numerable な開被覆である(台の族が局所有限なので)。
$p\colon E\to B$ を連続写像、$\{U_j\}_{j\in J}$ を $B$ の numerable な開被覆とする。各 $j$ について制限 $p^{-1}(U_j)\to U_j$ がファイブレーションなら、$p$ はファイブレーションである。
逆は prop-hf-pullback の 3 から従う。主張と証明の筋は May99 Chapter 7 §4 の定理(pp. 51–52)にある。次の証明では、道の空間 $B^I$ の上に 1 の分割を作り、各道を、重みに比例した長さの区間ごとに局所的な持ち上げ関数で持ち上げてつなぐ。重みが $0$ に近づく区間でも局所的な持ち上げ関数が使えるように、重みの台の閉包が定義域に収まるよう縮めておく。
要点:(i) 繰り返しを許す添字の有限列 $T=(j_1,\dots,j_n)$ ごとに、$[\frac{i-1}n,\frac in]$ を $U_{j_i}$ に写す道の開集合 $W_T\subset B^I$ を考え、$\{W_T\}$ に従属する局所有限な 1 の分割 $\{a_T\}$ で、$\{a_T>0\}$ の閉包が $W_T$ に入るものを作る。(ii) $W_T$ の道の任意の部分区間 $[u,v]$ を、$T$ の各区間で $p^{-1}(U_{j_i})\to U_{j_i}$ の持ち上げ関数を使って連続に持ち上げる。(iii) 各道 $\beta$ について、$a_T(\beta)>0$ となる $T$ を固定した全順序で並べ、$[0,1]$ を長さ $a_T(\beta)$ の区間に切って順に (ii) で持ち上げる。
(i) 道の空間の被覆.$T=(j_1,\dots,j_n)$($n\ge1$、$j_i\in J$、繰り返しを許す)について $|T|:=n$、$J_i:=[\frac{i-1}n,\frac in]$ とし、$\lambda_T(\beta):=\min_i\min_{t\in J_i}\lambda_{j_i}(\beta(t))$、$W_T:=\{\lambda_T>0\}$ とおく。$\Phi(\beta,t):=\lambda_j(\beta(t))$ は連続なので、コンパクトな $J_i$ の各点で $\Phi$ の値の変動を $\varepsilon$ 未満にする積近傍をとり有限個で $J_i$ を覆えば、$\beta\mapsto\min_{t\in J_i}\Phi(\beta,t)$ は連続である。よって $\lambda_T$ は連続で、$W_T=\{\beta\mid\beta(J_i)\subset U_{j_i}\ (1\le i\le n)\}$ は開集合である。$\{\beta^{-1}(U_j)\}$ の Lebesgue 数から、$\{W_T\}$ は $B^I$ を覆う。各 $n$ について $\{W_T\}_{|T|=n}$ は局所有限である。実際、$\beta_0(I)$ の各点に有限個の $U_j$ とだけ交わる開近傍をとり、コンパクト性から有限個で $\beta_0(I)$ を覆ってその和を $N$ とすると、$N$ は有限個の $U_j$ とだけ交わり、近傍 $\{\beta\mid\beta(I)\subset N\}$ と交わる $W_T$ の $T$ の成分はその有限個に限られる。
$\gamma_T:=\max\bigl(0,\lambda_T-|T|\sum_{|S|< |T|}\lambda_S\bigr)$ とおく。和は局所的に有限和なので $\gamma_T$ は連続である。$\beta$ で $\lambda_S(\beta)>0$ となる $S$ のうち $|S|$ が最小のものでは $\gamma_S(\beta)=\lambda_S(\beta)>0$ なので、$\{\gamma_T>0\}$ は $B^I$ を覆う。$\lambda_S(\beta_0)>0$ となる $S$ をとり、$\lambda_S\ge\varepsilon>0$ となる $\beta_0$ の近傍をとると、$|T|>|S|$ かつ $|T|\varepsilon\ge1$ なら $\gamma_T\le\max(0,1-|T|\varepsilon)=0$ である。残る有限個の長さについては上の局所有限性を使えば、$\beta_0$ の近傍で恒等的に $0$ でない $\gamma_T$ は有限個である。また $\gamma_T\le\lambda_T$ から $\{\gamma_T>0\}\subset W_T$ である。$\alpha_T:=\gamma_T/\sum_S\gamma_S$、$\mu:=\max_T\alpha_T$(局所的に有限個の最大なので連続で正)、$b_T:=\max(0,\alpha_T-\mu/2)$、$a_T:=b_T/\sum_Sb_S$ とおく。$\sum_Sb_S\ge\mu/2>0$ なので $a_T$ は連続で、局所有限で、$\sum_Ta_T=1$ である。$\{a_T>0\}\subset\{\alpha_T\ge\mu/2\}$ は閉集合で $\{\alpha_T>0\}\subset W_T$ に含まれるので、$\overline{\{a_T>0\}}\subset W_T$ である。$J$ の有限列の全体に全順序を 1 つ固定する(整列可能定理)。すると、各 $\beta_0$ は開近傍 $O$ と有限個の $T_1< \cdots< T_m$ をもち、$O$ の上でほかの $a_T$ は恒等的に $0$、各 $k$ で $O\subset W_{T_k}$ となる。実際、局所有限性から候補を有限個にし、そのうち $\beta_0\notin\overline{\{a_T>0\}}$ のものは近傍を縮めて $0$ にし、残りは $\beta_0\in W_T$ なので近傍を $W_T$ の中に縮める。
(ii) 部分区間の持ち上げ.各 $j$ について $p^{-1}(U_j)\to U_j$ の持ち上げ関数 $s_j$ を選ぶ(prop-hf-lifting-function)。$T=(j_1,\dots,j_n)$ について $P_T:=\{(e,\beta,u,v)\in E\times W_T\times I\times I\mid u\le v,\ p(e)=\beta(u)\}$ とおき、$\ell_i:=\frac{i-1}n$、$r_i:=\frac in$、$c_i:=\max(u,\min(v,r_i))$($c_0=u$、$c_n=v$)とする。$e_0:=e$ から始め、$i=1,\dots,n$ について、閉集合 $D_i:=\{u\le r_i,\ v\ge\ell_i\}$ の上では $a_i:=\max(u,\ell_i)$、$b_i:=\min(v,r_i)$、$\psi_i(\theta):=\beta(\min(a_i+\theta,b_i))$ として $e_i:=s_{j_i}(e_{i-1},\psi_i)(b_i-a_i)$、閉集合 $Z_i:=\{u\ge r_i\}\cup\{v\le\ell_i\}$ の上では $e_i:=e_{i-1}$ とおく。$p(e_{i-1})=\beta(c_{i-1})$ を帰納法の仮定とする。$D_i$ の上では $c_{i-1}=a_i$ であり、$[a_i,b_i]\subset J_i$ から $\psi_i$ は $U_{j_i}$ の中の道で $\psi_i(0)=\beta(a_i)=p(e_{i-1})$ なので、$e_i$ は意味をもち $p(e_i)=\beta(b_i)=\beta(c_i)$ である。$Z_i$ の上では $c_i=c_{i-1}$ である。$D_i\cap Z_i$ の上では $a_i=b_i$ で $s_{j_i}(e_{i-1},\psi_i)(0)=e_{i-1}$ なので両式は一致し、$D_i\cup Z_i=P_T$ である。よって帰納的に $e_i$ は $P_T$ 上の連続写像で、$\Phi_T:=e_n$ は連続、$p(\Phi_T(e,\beta,u,v))=\beta(v)$、$\Phi_T(e,\beta,u,u)=e$ を満たす。
(iii) 貼り合わせ.$(e,\beta)\in N_p$ について、$a_T(\beta)>0$ となる $T$ を全順序で $T_1< \cdots< T_m$ と並べ、$c_0:=0$、$c_k:=\sum_{i\le k}a_{T_i}(\beta)$($c_m=1$)とおく。$e_0:=e$、$e_k:=\Phi_{T_k}(e_{k-1},\beta,c_{k-1},c_k)$ とし、$c_{k-1}\le t\le c_k$ で $H((e,\beta),t):=\Phi_{T_k}(e_{k-1},\beta,c_{k-1},t)$ とおく。$\beta\in W_{T_k}$ と $p(e_{k-1})=\beta(c_{k-1})$ から各項は意味をもち、区間の端では $\Phi_{T_{k+1}}(e_k,\beta,c_k,c_k)=e_k$ なので $H$ は矛盾なく定まり、$H((e,\beta),0)=e$、$p(H((e,\beta),t))=\beta(t)$ である。連続性を示す。$\beta_0$ について (i) の $O$ と $T_1< \cdots< T_m$ をとる。$O$ の上で同じ式をこの固定した列で書くと、重みが $0$ の段では $c_{k-1}=c_k$ で $\Phi(e',\beta,c,c)=e'$ なので値は変わらない。この固定した列では $c_k$ は $O$ 上の連続関数、$e_k$ は連続で、$H$ は有限個の閉集合 $\{c_{k-1}(\beta)\le t\le c_k(\beta)\}$ の上の連続写像を境界で一致させて貼ったものなので、$\{(e,\beta)\in N_p\mid\beta\in O\}\times I$ の上で連続である。よって $H\colon N_p\times I\to E$ は連続で、その随伴は $p$ の持ち上げ関数である。prop-hf-lifting-function から $p$ はファイブレーションである。$\square$
$p\colon E\to B$ をファイバー束とする。局所自明化をもつ開集合からなる numerable な開被覆があれば $p$ はファイブレーションである。とくに $B$ がパラコンパクト Hausdorff 空間なら $p$ はファイブレーションである。
局所自明化 $p^{-1}(U)\cong U\times F$ をもつ開集合 $U$ の上では、制限 $p^{-1}(U)\to U$ は射影 $U\times F\to U$ と同一視でき、ex-hf-basic の 1 によりファイブレーションである。前半は thm-hf-local から従う。$B$ がパラコンパクト Hausdorff なら、局所自明化をもつ開集合の被覆に従属する 1 の分割 $\{\varphi_k\}$ がある(パラコンパクト空間 の定理「1 の分割の存在」)。$U_k:=\{\varphi_k>0\}$ は局所自明化をもつ開集合に含まれるので、その上でも局所自明であり、$\{U_k\}$ は numerable な開被覆である。$\square$
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| thm-hf-transport の 3 で 2 点が同じ弧状連結成分にあること | 離散空間 $B=\{0,1\}$ と、一点からの写像 $p\colon\{\ast\}\to B$、$p(\ast)=0$(ex-hf-fibers の 2 によりファイブレーション) | ファイバー $F_0=\{\ast\}$ と $F_1=\emptyset$ がホモトピー同値であること |
| ex-hf-basic の 2 で被覆写像であること(局所同相写像にとどめる) | 包含 $(0,1)\to\mathbb R$ | $\frac12$ を始点とする道 $t\mapsto\frac12+t$ の持ち上げが存在すること |
| thm-hf-dold で $p$ がファイブレーションであること | $B=E=I$、$q=\mathrm{id}_I$、$D=\{0\}$ とし、$p=f$ を包含とする | $f$ がファイバーホモトピー同値であること |
要点:1 行目は空集合への写像がないこと、2 行目は終点 $\frac32$ が $(0,1)$ にないこと、3 行目は $B$ 上の写像 $I\to D$ がないことによる。
1 行目:ホモトピー同値なら互いに写像があるが、空でない空間から $\emptyset$ への写像はない。2 行目:持ち上げ $L\colon I\to(0,1)$ は $L(1)=\frac32$ を満たせない。3 行目:$f$ は可縮な空間の間の写像なのでホモトピー同値で、$q\circ f=p$ である。しかし $B$ 上の写像 $g\colon I\to D$ は $p\circ g=\mathrm{id}_I$ を満たさなければならず、$D$ は一点なので存在しない。$p$ は $0$ から $1$ への道を持ち上げられないのでファイブレーションではない。
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