単純加群(simple module)とは、環 $R$ 上の $0$ でない加群 $S$ で、部分加群が $0$ と $S$ だけであるもののことであり、既約加群ともいう。単純加群は $0$ でない任意の元で生成され、ある極大左イデアル $\mathfrak{m}$ による商 $R/\mathfrak{m}$ と同型である。たとえば単純な $\mathbb{Z}$ 加群は素数 $p$ に対する $\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ であり、体上では $1$ 次元のベクトル空間が単純加群である。Schur の補題により、単純加群の間の準同型は $0$ か同型であり、自己準同型環は斜体になる。有限の長さをもつ加群は組成列によって単純加群から組み立てられ、組成因子は Jordan–Hölder の定理により並べ替えと同型を除いて一意である。群環上の単純加群は群の既約表現にあたる。
前提知識: 環, 加群, 部分加群, 左イデアル
単純加群は、それ以上小さな部分に分けられない加群、いわば加群の「原子」である。アーベル群は整数環 $\mathbb{Z}$ 上の加群なので、アーベル群で確かめてみる。$\mathbb{Z}/5\mathbb{Z}$ の部分群の位数はLagrangeの定理により $5$ の約数 $1$ か $5$ なので、部分群は $\{0\}$ と全体しかない。これが単純加群の例である。一方 $\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$ には $\{0,2,4\}$(位数 $3$)と $\{0,3\}$(位数 $2$)という中間の部分群があり、単純でない。実際、$\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$ は $\{0,3\}\cong\mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$ と $\{0,2,4\}\cong\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}$ という 2 つの単純な部分に分かれる。$\mathbb{Z}$ 自身も、$2\mathbb{Z}$ という中間の部分群をもつので単純でない。単純な $\mathbb{Z}$ 加群はちょうど素数 $p$ に対する $\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ であり(ex-simple-module-integers)、単純加群と素数、加群を単純加群から組み立てることと整数の素因数分解の間には類似がある。体上のベクトル空間では、単純なものは $1$ 次元の空間である。
本記事では、半単純環 の記事と同じく、環は結合的で単位元 $1$ をもつが可換とは限らないものとし、加群は単位元が恒等的に作用する左加群とする。右加群についても左右を入れ替えて同じことが成り立つ。
$R$ を環とする。左 $R$ 加群 $S$ が単純(simple)であるとは、$S\neq0$ であり、$S$ の部分加群が $0$ と $S$ だけであることをいう。単純な左 $R$ 加群を単純加群(simple module)、または既約加群(irreducible module)という。
零加群 $0$ は、部分加群が $0$ の 1 つしかないが、定義により単純加群に含めない。これは $1$ を素数に含めないことと同じ種類の約束である。これにより、組成列の各段で真に大きくなることと商が単純であることが一致し、単純加群を「これ以上分けられない原子」とみなす見方と整合する。
単純加群は、1 つの元から生成される。
$R$ を環、$S$ を $0$ でない左 $R$ 加群とする。次の 3 条件は同値である。
1 ならば 2:$x\neq0$ なら $Rx$ は $x=1\cdot x$ を含む $0$ でない部分加群なので、単純性により $Rx=S$ である。
2 ならば 1:$N$ を $S$ の $0$ でない部分加群とし、$0$ でない $x\in N$ をとると、$S=Rx\subset N$ なので $N=S$ である。
1 ならば 3 と後半:$x\in S$、$x\neq0$ とし、$\varphi\colon R\to S$、$r\mapsto rx$ とおく。$\varphi$ は左 $R$ 加群の準同型であり、2 により全射で、核は $\operatorname{Ann}(x)$ である。加群 の記事の定理「加群の準同型定理」により $S\cong R/\operatorname{Ann}(x)$ である。$x\neq0$ なので $1\notin\operatorname{Ann}(x)$、すなわち $\operatorname{Ann}(x)\neq R$ である。$L$ を $\operatorname{Ann}(x)\subsetneq L$ を満たす左イデアルとすると、$Lx=\varphi(L)$ は $S$ の部分加群であり、$L\not\subset\ker\varphi$ なので $0$ でない。よって $Lx=S$ であり、$x=lx$ となる $l\in L$ がある。すると $(1-l)x=0$ なので $1-l\in\operatorname{Ann}(x)\subset L$ となり、$1=(1-l)+l\in L$、すなわち $L=R$ である。したがって $\operatorname{Ann}(x)$ は極大左イデアルである。
3 ならば 1:$\mathfrak{m}\neq R$ なので $R/\mathfrak{m}\neq0$ である。$\pi\colon R\to R/\mathfrak{m}$ を標準的な全射とし、$N$ を $R/\mathfrak{m}$ の部分加群とすると、$\pi^{-1}(N)$ は $\mathfrak{m}$ を含む左イデアルなので、$\mathfrak{m}$ か $R$ に等しい。前者なら $N=\pi(\mathfrak{m})=0$、後者なら $N=\pi(R)=R/\mathfrak{m}$ である($\pi$ は全射なので $N=\pi(\pi^{-1}(N))$)。よって $R/\mathfrak{m}$ は単純であり、それと同型な $S$ も単純である。
$R\neq0$ なら、左イデアル $0$ を含む極大左イデアルがZornの補題により存在する(極大イデアル の記事の定理「真イデアルを含む極大イデアルの存在」と同じ議論を左イデアルで行う)。したがって、零環でない環には必ず単純加群が存在する。
単純加群は、表現論では既約表現にあたり、「それ以上分解できない対称性の単位」である。有限群 $G$ と体 $k$ について、$G$ の $k$ 上の表現は群環 $k[G]$ 上の加群と同じものであり(群環 の記事の命題「群環上の加群と群の表現」)、部分表現は部分加群、既約表現は単純 $k[G]$ 加群である。
単純加群を調べる基本の道具は 2 つある。1 つは prop-simple-module-characterization で、単純加群は環 $R$ の極大左イデアルによる商として環の中に見つかる。もう 1 つは Schur の補題(thm-simple-module-schur)で、単純加群の間の準同型は $0$ か同型のどちらかしかない。これは「原子どうしの写像は、潰すか、そっくり移すかしかない」ということであり、単純加群の自己準同型のなす環が斜体になることを導く。
一般の加群は単純加群の直和になるとは限らないが、有限の長さをもつ加群は、単純加群を「積み重ねて」作られる(組成列)。積み重ね方は一意でなくても、使われる単純加群の種類と個数は一意に決まる(thm-simple-module-jordan-holder)。これが素因数分解の一意性の類似である。
単純な $\mathbb{Z}$ 加群(単純なアーベル群)は、素数 $p$ に対する $\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ と同型なものに限る。prop-simple-module-characterization により、単純 $\mathbb{Z}$ 加群は $\mathbb{Z}$ の極大イデアル $\mathfrak{m}$ による $\mathbb{Z}/\mathfrak{m}$ と同型である。$\mathbb{Z}$ のイデアルは $n\mathbb{Z}$($n\geq0$)の形であり、$n\mathbb{Z}\subset m\mathbb{Z}$ は $m\mid n$ と同値なので、極大なものは $n$ が素数のときの $p\mathbb{Z}$ である($n=0$ なら $0\subsetneq2\mathbb{Z}\subsetneq\mathbb{Z}$、$n=1$ なら $\mathbb{Z}$ 自身、$n=ab$($1< a< n$)なら $n\mathbb{Z}\subsetneq a\mathbb{Z}\subsetneq\mathbb{Z}$)。
したがって、$\mathbb{Z}$、$\mathbb{Q}$、$n$ が素数でないときの $\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$($n\geq2$)は単純でない。$\mathbb{Z}$ は $0$ でない真部分群 $2\mathbb{Z}$ をもち、$\mathbb{Q}$ は $\mathbb{Z}$ をもつ。
$\mathbb{R}$ 上のベクトル空間 $V$ と線形写像 $T\colon V\to V$ の組は、$x$ を $T$ として作用させる多項式環 $\mathbb{R}[x]$ 上の加群と同じものであり、その部分加群は $T$ で不変な部分空間である。$V=\mathbb{R}^2$、$T=J:=\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}$($90^\circ$ の回転)とすると、$V$ は単純 $\mathbb{R}[x]$ 加群である。実際、$0$ と $V$ 以外の部分空間は $1$ 次元 $\mathbb{R}v$ であり、それが $J$ で不変なら $v$ は $J$ の実数の固有値の固有ベクトルになるが、$J$ の固有多項式 $t^2+1$ は実数の根をもたない。
同じ行列を複素数上で考えた $\mathbb{C}^2$ は単純 $\mathbb{C}[x]$ 加群でない。$J\begin{pmatrix}1\\-i\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}i\\1\end{pmatrix}=i\begin{pmatrix}1\\-i\end{pmatrix}$ なので、$\mathbb{C}\begin{pmatrix}1\\-i\end{pmatrix}$ が $0$ でない真の部分加群である。係数体を広げると単純性は保たれないことがある。
$0$ でない加群 $M$ が直既約(indecomposable)であるとは、$M=N\oplus N'$ となる $0$ でない部分加群 $N,N'$ がないことをいう。単純加群は直既約である(部分加群が $0$ と自分自身しかないから)。逆は成り立たない。
$A$ を可換環とする。
1:可換環では左イデアルとイデアルは同じものなので、prop-simple-module-characterization の 3 から従う。
2:$a\in\mathfrak{m}$ なら、任意の $r+\mathfrak{m}$ について $a(r+\mathfrak{m})=ar+\mathfrak{m}=\mathfrak{m}$($ar\in\mathfrak{m}$)なので $a\in\operatorname{Ann}(A/\mathfrak{m})$ である。逆に $a\in\operatorname{Ann}(A/\mathfrak{m})$ なら $a(1+\mathfrak{m})=a+\mathfrak{m}=\mathfrak{m}$ なので $a\in\mathfrak{m}$ である。同型な加群の零化イデアルは等しい(同型 $f$ について $aM=0$ と $aN=af(M)=f(aM)=0$ は同値)ので、$A/\mathfrak{m}\cong A/\mathfrak{m}'$ なら $\mathfrak{m}=\operatorname{Ann}(A/\mathfrak{m})=\operatorname{Ann}(A/\mathfrak{m}')=\mathfrak{m}'$ である。
3:1 により $S\cong A/\mathfrak{m}_0$($\mathfrak{m}_0$ は極大イデアル)であり、2 により $\mathfrak{m}_0=\operatorname{Ann}(S)=\mathfrak{m}$ である。$\mathfrak{m}$ は $S$ に $0$ で作用するので、$S$ には $(a+\mathfrak{m})s:=as$ で体 $A/\mathfrak{m}$ 上のベクトル空間の構造が入り、$S\cong A/\mathfrak{m}$ はその上の $1$ 次元の空間である(極大イデアル の記事の命題「剰余環が体であることとの同値」により $A/\mathfrak{m}$ は体)。
非可換環では 2 は一般には成り立たない。斜体 $D$ と $n\geq2$ について、$M_n(D)$ の第 $j$ 列以外が $0$ の行列のなす極小左イデアル $C_j$($j=1,\dots,n$)はどれも単純加群 $D^n$ と同型であるが、$C_j$ は極大左イデアル $\bigoplus_{l\neq j}C_l$ による商として現れ、これらの極大左イデアルは $j$ ごとに異なる。単純加群の同型類と極大左イデアルは一対一に対応しない。一方、可換でない斜体 $D$(たとえば四元数体 $\mathbb{H}$)自身を左 $D$ 加群とみると、左イデアルは $0$ と $D$ だけなので極大左イデアルは $0$ のみであり、単純加群は $D$(同型を除いて)だけで、2 はこの場合には成り立つ。非可換環で極大左イデアル $\mathfrak{m}$ の零化イデアル $\operatorname{Ann}(R/\mathfrak{m})$ は $\mathfrak{m}$ に含まれる最大の両側イデアルであり、$\mathfrak{m}$ 自身とは限らない。
$R$ を環とする。
1:$f\neq0$ とする。$\ker f$ は $S$ の部分加群で、$f\neq0$ なので $S$ と異なり、単純性により $\ker f=0$ である。$f(S)$ は $T$ の部分加群で $0$ でないので、単純性により $f(S)=T$ である。よって $f$ は全単射な準同型であり、逆写像も準同型なので同型である。
2:$S\neq0$ なので $\operatorname{End}_R(S)$ の $\mathrm{id}_S\neq0$ であり、$\operatorname{End}_R(S)$ は零環でない。1 を $T=S$ に適用すると、$0$ でない $f\in\operatorname{End}_R(S)$ は同型であり、逆写像 $f^{-1}$ は $\operatorname{End}_R(S)$ に属して $ff^{-1}=f^{-1}f=\mathrm{id}_S$ を満たす。よって $\operatorname{End}_R(S)$ は斜体である。
係数体が代数閉体なら、斜体はさらに係数体そのものになる。$k$ を体とし、環 $A$ と、像が $A$ の中心に含まれる環準同型 $k\to A$ の組を $k$ 代数という。$A$ 加群は $k\to A$ を通じて $k$ 上のベクトル空間であり、$A$ 加群の準同型は $k$ 線形である。
$k$ を代数閉体、$A$ を $k$ 代数とし、$S$ を $k$ 上有限次元の単純な左 $A$ 加群とする。$\operatorname{End}_A(S)$ の元はすべてスカラー倍写像 $\lambda\,\mathrm{id}_S$($\lambda\in k$)であり、$\operatorname{End}_A(S)\cong k$ である。
$f\in\operatorname{End}_A(S)$ とする。$f$ は有限次元の $k$ ベクトル空間 $S\neq0$ の $k$ 線形写像であり、$k$ は代数閉体なので、$f$ の固有多項式は $k$ に根 $\lambda$ をもち、$\lambda$ は $f$ の固有値である。$k$ の像は $A$ の中心にあるので、$\lambda\,\mathrm{id}_S$ は $A$ 加群の準同型であり、$g:=f-\lambda\,\mathrm{id}_S\in\operatorname{End}_A(S)$ である。$\lambda$ の固有ベクトルは $g$ の核に入るので $g$ は単射でなく、thm-simple-module-schur の 1 により $g=0$、すなわち $f=\lambda\,\mathrm{id}_S$ である。$\lambda\mapsto\lambda\,\mathrm{id}_S$ は $k$ から $\operatorname{End}_A(S)$ への単射な環準同型であり、いま全射であることが示されたので同型である。
$\mathbb{C}$ 上の有限群の既約表現に対するこの形の補題が、表現論での Schur の補題として使われる(Ser77 §2.2)。
左 $R$ 加群 $M$ の部分加群の列
$$
0=M_0\subsetneq M_1\subsetneq\cdots\subsetneq M_n=M
$$
で、各商 $M_i/M_{i-1}$($1\leq i\leq n$)が単純加群であるものを $M$ の組成列(composition series)といい、$n$ をその長さ、$M_i/M_{i-1}$ を組成因子という。$M=0$ のときは $n=0$ の列 $0=M_0=M$ を組成列とする。
商 $M_i/M_{i-1}$ が単純であることは、$M_{i-1}$ と $M_i$ の間に真に間に入る部分加群がないことと同値である(部分加群の対応による)。したがって組成列は、それ以上細かくできない部分加群の列である。
左 $R$ 加群 $M$ が組成列をもつとする。$M$ の任意の 2 つの組成列は同じ長さ $n$ をもち、組成因子は並べ替えと同型を除いて一致する。すなわち、2 つの組成列の組成因子を $S_1,\dots,S_n$ と $T_1,\dots,T_n$ とすると、$\{1,\dots,n\}$ の置換 $\sigma$ で $S_i\cong T_{\sigma(i)}$ となるものがある。
組成列の長さが一定であることの証明は AM69 Chapter 6 にある(可換環上の加群として述べられているが、証明は部分加群の包含関係と同型定理だけを使うので、非可換環上の左加群でもそのまま通る)。組成因子の一致は、DF04 §3.4 の有限群の Jordan–Hölderの定理 の証明を、位数の代わりに長さについての帰納法で行えば得られる(有限の長さの加群の部分加群が有限の長さをもつことは AM69 Chapter 6 の議論から従う)。組成列をもつ加群を有限の長さをもつ加群といい、組成列の長さを $M$ の長さ(長さ(加群))という。$M$ が有限の長さをもつことと、$M$ が部分加群の昇鎖条件と降鎖条件をともに満たすことは同値である(AM69 Chapter 6)。
$\mathbb{Z}/12\mathbb{Z}$ の部分群 $\langle\bar6\rangle=\{\bar0,\bar6\}$、$\langle\bar4\rangle=\{\bar0,\bar4,\bar8\}$、$\langle\bar2\rangle$(位数 $6$)について
$$
0\subsetneq\langle\bar6\rangle\subsetneq\langle\bar2\rangle\subsetneq\mathbb{Z}/12\mathbb{Z},\qquad 0\subsetneq\langle\bar4\rangle\subsetneq\langle\bar2\rangle\subsetneq\mathbb{Z}/12\mathbb{Z}
$$
はどちらも組成列である。各商の位数は、前者が $2,3,2$、後者が $3,2,2$ であり、位数が素数のアーベル群は巡回群なので、組成因子はそれぞれ $\mathbb{Z}/2\mathbb{Z},\mathbb{Z}/3\mathbb{Z},\mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$ と $\mathbb{Z}/3\mathbb{Z},\mathbb{Z}/2\mathbb{Z},\mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$ である。並べ方は違うが、組成因子の種類と個数は一致する。これは $12=2\cdot2\cdot3$ という素因数分解の一意性の加群版である。一方 $\mathbb{Z}$ は組成列をもたない。組成列 $0=M_0\subsetneq M_1\subsetneq\cdots$ があれば $M_1$ は単純な部分加群であるが、$\mathbb{Z}$ は単純な部分加群をもたない(ex-simple-module-no-simple-parts)。
単純加群の和として書ける加群を半単純加群といい、単純加群の直和と同型な加群と言っても同じである(半単純環 の記事の定義「単純加群と半単純加群」とその後の説明)。単純加群は直和の成分がただ 1 つの半単純加群である。すべての左 $R$ 加群が半単純になる環が半単純環であり、そのような環は斜体上の行列環の有限個の直積に限られる(半単純環 の記事の定理「Wedderburn–Artin の構造定理」)。そのとき単純左 $R$ 加群の同型類の個数は直積の成分の個数に等しい。実際、prop-simple-module-characterization により単純加群は $R$ の商であり、半単純環では $R=\prod_iM_{n_i}(D_i)$ の直和因子(極小左イデアル)と同型になる。各成分 $M_{n_i}(D_i)$ の極小左イデアルは列ベクトル空間 $D_i^{n_i}$ と同型であり、成分が異なれば零化イデアルも異なるので同型でない。たとえば $\mathbb{C}[S_3]\cong\mathbb{C}\times\mathbb{C}\times M_2(\mathbb{C})$ の単純加群は $1$ 次元のものが 2 つと $2$ 次元のもの 1 つである(群環 の記事の例「3 次対称群の複素群環」)。
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