Bell数

同義語:Bell 数ベル数Bell numberBell numbers

概要

Bell数(Bell number)とは、$n$ 元集合を空でない部分集合(ブロック)に分ける方法の総数 $B_n$ であり、$n$ 元集合上の同値関係の個数でもある。第 2 種 Stirling 数を $k$ について足したもので、$1,1,2,5,15,52,\dots$ と続き、漸化式 $B_{n+1}=\sum_i\binom niB_i$ を満たし、指数型母関数は $\exp(e^x-1)$ である。足し算だけで値を順に求める Bell の三角形があり、素数 $p$ について Touchard の合同式 $B_{n+p}\equiv B_n+B_{n+1}\pmod p$ が成り立つので、$p$ で割った余りの列は周期が $p^p-1$ を割る周期列になる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 同値関係, 二項係数, Stirling数, 母関数

$\{1,2,3\}$ を、空でない部分集合に分ける方法は
$$ \{1,2,3\},\quad \{1\}\{2,3\},\quad \{2\}\{1,3\},\quad \{3\}\{1,2\},\quad \{1\}\{2\}\{3\} $$
の $5$ 通りある。$n$ 元集合をこのように分ける方法の個数を Bell 数(Bell number)$B_n$ という。ブロックの個数を $k$ に決めたときの個数が第 2 種 Stirling 数 $S(n,k)$ で(Stirling数)、Bell 数はそれを $k$ について足したものである。
この記事では、Bell 数そのものの性質を扱う。二項係数による漸化式とその母関数版である指数型母関数 $\exp(e^x-1)$、漸化式を表の形に組んだ Bell の三角形、素数 $p$ を法とする Touchard の合同式 $B_{n+p}\equiv B_n+B_{n+1}$ とその帰結の周期性を証明し、Bell 数が数えるほかの対象や大きさの目安を述べる。$S(n,k)$ を使う公式(明示式、Dobiński の公式など)は Stirling数 の記事にある。

定義

$n\ge0$ について $[n]:=\{1,\dots,n\}$ とする($[0]=\emptyset$)。集合 $X$ の分割とは、$X$ の空でない部分集合(ブロック)の集合で、どの 2 つも交わらず、和集合が $X$ になるものをいう。ブロックの順序は区別しない。

集合の分割の総数

$n\ge0$ について、$[n]$ の分割の個数を $B_n$ と書き、Bell 数という。空集合の分割は空集合 $1$ つだけなので $B_0=1$ である。

$X$ の分割と $X$ 上の同値関係は、ブロックを同値類とすることで一対一に対応するので、$B_n$ は $n$ 元集合上の同値関係の個数でもある。$B_n$ は $n$ 元集合の元の名前によらない。ブロックが $k$ 個の分割の個数 $S(n,k)$ を使えば
$$ B_n=\sum_{k=0}^{n}S(n,k) $$
である(Stirling数 の記事の定義「集合の分割の個数」。数え上げ組合せ論 の記事の定義「第2種Stirling数とBell数」も同じ)。

4 元集合の分割

$[4]$ の分割を、ブロックの大きさの組(型)で分けて数える。

型例個数
$4$$\{1,2,3,4\}$$1$
$3+1$$\{1,2,3\}\{4\}$$4$
$2+2$$\{1,2\}\{3,4\}$$3$
$2+1+1$$\{1,2\}\{3\}\{4\}$$6$
$1+1+1+1$$\{1\}\{2\}\{3\}\{4\}$$1$

合計して $B_4=15$ である。型だけを見た個数 $5$ は、$4$ の整数の分割の個数 $p(4)$(分割数)である。

$n$$0$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$$9$$10$
$B_n$$1$$1$$2$$5$$15$$52$$203$$877$$4140$$21147$$115975$

$n\ge1$ の値は Sta11 §1.9(p. 82)の表と一致する。

ほかの対象による言い換え

制限つきの成長列

$n\ge1$ について、正の整数の列 $(a_1,\dots,a_n)$ で $a_1=1$ かつ $a_{i+1}\le1+\max(a_1,\dots,a_i)$($1\le i< n$)を満たすものの個数は $B_n$ である。

$[n]$ の分割 $\pi$ のブロックを、最小元の小さい順に $T_1,T_2,\dots$ と番号づけ、$i\in T_{a_i}$ で $a_i$ を定める。$1\in T_1$ なので $a_1=1$ である。$i+1$ が新しいブロックの最小元なら、そのブロックの番号はそれまでに使った番号の最大値に $1$ を足したものなので、条件を満たす。逆に条件を満たす列から、$T_j:=\{i\mid a_i=j\}$ とおく。条件により、列の中で新しい番号は $1,2,3,\dots$ の順に 1 つずつ初めて現れるので、使われる番号は $1,2,\dots,\max a_i$ のすべてで、$T_j$ の最小元($j$ が初めて現れる位置)は $j$ とともに増える。よって $T_1,T_2,\dots$ は最小元の小さい順に番号づけた分割で、この列に対応する分割が戻る。2 つの対応は互いに逆である。$\square$

たとえば $n=3$ の列は $111,112,121,122,123$ で、それぞれ $\{1,2,3\}$、$\{1,2\}\{3\}$、$\{1,3\}\{2\}$、$\{1\}\{2,3\}$、$\{1\}\{2\}\{3\}$ に当たる。列を詩の行の韻の型(同じ番号の行どうしが韻を踏む)と読めば、$n$ 行の詩の韻の型の個数も $B_n$ である。また、相異なる $n$ 個の素数の積 $N$ を、$1$ より大きい整数の積に順序を無視して分解する方法の個数も、素因数の分割と一対一に対応するので $B_n$ である。$N=30=2\cdot3\cdot5$ では $30$、$2\cdot15$、$3\cdot10$、$5\cdot6$、$2\cdot3\cdot5$ の $5$ 通りである。

漸化式と指数型母関数

二項係数による漸化式

$n\ge0$ について
$$ B_{n+1}=\sum_{i=0}^{n}\binom ni B_i $$
が成り立つ。

$[n+1]$ の分割を、$n+1$ を含むブロック $T$ で分類する。$T$ に入らない $[n]$ の元の集合を $R:=[n+1]\setminus T$ とし、$i:=|R|$ とする。$R\subset[n]$ の選び方は $\binom ni$ 通りで、$T=[n+1]\setminus R$ はそれで決まる。残りのブロックは $R$ の分割で、$B_i$ 通りある。逆に $R$ と $R$ の分割を決めれば、それに $T$ を加えた $[n+1]$ の分割がただ 1 つ定まる。$i=0,\dots,n$ について足せばよい。$\square$

たとえば $B_5=\binom40B_0+\binom41B_1+\binom42B_2+\binom43B_3+\binom44B_4=1+4+12+20+15=52$ である。同じ漸化式は Stirling数 の記事の命題「Bell 数の漸化式」にもあり、Sta11 では式 (1.94e)(p. 82)である。
この漸化式は、指数型母関数(母関数 の記事の定義「通常母関数と指数型母関数」)についての微分方程式と同じものである。以下、形式的冪級数の微分 $\bigl(\sum_na_nx^n\bigr)':=\sum_n(n+1)a_{n+1}x^n$ を使う。$e^x:=\sum_{n\ge0}x^n/n!$ とし、定数項が $0$ の級数 $A$ について $\exp(A):=\sum_{k\ge0}A^k/k!$ とする($A^k$ は $x^k$ より低い次数の項をもたないので、各係数は有限和である)。

指数型母関数

$$ \sum_{n\ge0}B_n\frac{x^n}{n!}=\exp\bigl(e^x-1\bigr) $$
が $\mathbb Q$ 係数の形式的冪級数として成り立つ。

左辺を $F(x)$ とおく。$F'(x)=\sum_{n\ge0}B_{n+1}x^n/n!$ である。一方、指数型母関数の積の規則(母関数 の記事の命題「指数型母関数の積」)により
$$ e^xF(x)=\sum_{n\ge0}\Bigl(\sum_{i=0}^{n}\binom ni\cdot1\cdot B_i\Bigr)\frac{x^n}{n!} $$
なので、thm-bell-recurrence は $F'=e^xF$ と同値である。
$G:=\exp(e^x-1)$ とおき、$A:=e^x-1$ とする。$A^k$ の微分は積の微分の規則により $kA^{k-1}A'$ であり、各係数が有限和なので項ごとに微分してよいから、
$$ G'=\sum_{k\ge1}\frac{kA^{k-1}A'}{k!}=A'\sum_{k\ge1}\frac{A^{k-1}}{(k-1)!}=e^xG $$
である($A'=e^x$)。$G$ の定数項は $1=B_0$ である。
$H=\sum_nh_nx^n/n!$ が $H'=e^xH$ を満たせば、係数を比べて $h_{n+1}=\sum_i\binom nih_i$ となり、$h_0$ からすべての係数が順に決まる。$F$ と $G$ はともにこれを満たし、$h_0=1$ が等しいので $F=G$ である。$\square$

Stirling数 の記事の定理「Stirling 数の指数型母関数」は、同じ式を $\sum_nS(n,k)x^n/n!=(e^x-1)^k/k!$ を $k$ について足して導いている。ここでの証明は Stirling 数を経由しない(SZ10 §2 の式 (5)・(6)、pp. 2–3 にも、$y=e^{e^x-1}$ が $y'=e^xy$ を満たすことから漸化式を読む見方がある)。

Stirling 数を経由する公式

$S(n,k)$ の明示式 $S(n,k)=\frac1{k!}\sum_{j=0}^k(-1)^{k-j}\binom kjj^n$ を $k$ について足して和を並べ替えると、Dobiński の公式
$$ B_n=\frac1e\sum_{j=0}^{\infty}\frac{j^n}{j!} $$
が得られる(Stirling数 の記事の命題「Dobiński の公式」)。平均 $1$ の Poisson分布 に従う確率変数 $Y$ について $B_n=E[Y^n]$ と読める。また、第 1 種 Stirling 数 $s(n,k)$ を使って $\sum_{k=0}^ns(n,k)B_k=1$($n\ge0$)が成り立つ(同じ記事の系「Stirling 数による反転」の後の例)。

Bell の三角形

漸化式 thm-bell-recurrence は二項係数を使うが、足し算だけで Bell 数を順に求める表がある。

Bell の三角形

$0\le k\le n$ について整数 $a_{n,k}$ を次で定める。

  1. $a_{0,0}:=1$
  2. $n\ge1$ では $a_{n,0}:=a_{n-1,n-1}$(各行は前の行の最後の数から始める)
  3. $1\le k\le n$ では $a_{n,k}:=a_{n,k-1}+a_{n-1,k-1}$(左の数と、その左上の数の和)
    $a_{n,k}$ を第 $n$ 行に並べた表を Bell の三角形(Aitken の配列ともいう)という。

最初の数行は次のとおりである。

行 $n$$a_{n,0},a_{n,1},\dots,a_{n,n}$
$0$$1$
$1$$1,\ 2$
$2$$2,\ 3,\ 5$
$3$$5,\ 7,\ 10,\ 15$
$4$$15,\ 20,\ 27,\ 37,\ 52$
$5$$52,\ 67,\ 87,\ 114,\ 151,\ 203$

各行の最初と最後に Bell 数が現れている。

Bell の三角形の成分

$0\le k\le n$ について
$$ a_{n,k}=\sum_{i=0}^{k}\binom ki B_{n-k+i} $$
が成り立つ。とくに $a_{n,0}=B_n$、$a_{n,n}=B_{n+1}$ である。

右辺を $b_{n,k}$ とおき、$a_{n,k}=b_{n,k}$ を $n$ についての帰納法で示す。$n=0$ では $a_{0,0}=1=B_0=b_{0,0}$ である。$n\ge1$ とし、第 $n-1$ 行で成り立つとする。
$k=0$:thm-bell-recurrence により $a_{n,0}=a_{n-1,n-1}=b_{n-1,n-1}=\sum_{i=0}^{n-1}\binom{n-1}iB_i=B_n=b_{n,0}$ である。
$1\le k\le n$:$k-1$ まで $a_{n,k-1}=b_{n,k-1}$ が成り立つとすると、帰納法の仮定と Pascal の規則 $\binom{k-1}{i-1}+\binom{k-1}i=\binom ki$ により
$$ a_{n,k}=b_{n,k-1}+b_{n-1,k-1}=\sum_{i}\binom{k-1}iB_{n-k+1+i}+\sum_i\binom{k-1}iB_{n-k+i}=\sum_{i}\Bigl(\binom{k-1}{i-1}+\binom{k-1}{i}\Bigr)B_{n-k+i}=b_{n,k} $$
である(第 1 の和の添字を $i\mapsto i-1$ とずらした)。$k=n$ では thm-bell-recurrence により $b_{n,n}=\sum_i\binom niB_i=B_{n+1}$ である。$\square$

成分 $a_{n,k}$ は数え上げの意味をもつ。$a_{n,k}$ は、$[n+1]$ の分割で、$n+1$ を含むブロックのほかの元がすべて $\{1,\dots,k\}$ に入るものの個数である。実際、そのブロックが $\{1,\dots,k\}$ から除く $i$ 個の元を選ぶと($\binom ki$ 通り)、残りの $i$ 個と $\{k+1,\dots,n\}$ の $n-k$ 個を合わせた集合の分割が $B_{n-k+i}$ 通りあり、thm-bell-triangle の右辺になる。$k=0$ は $\{n+1\}$ が単独のブロックの場合($B_n$ 個)、$k=n$ は条件のない場合($B_{n+1}$ 個)である。
同じ数を差分の表として並べたものは C. S. Peirce(1880)に遡る(Sta11 第 1 章の演習 154(b) とその解答、pp. 147・202)。

Touchard の合同式

Touchard の合同式

$p$ を素数とする。すべての $n\ge0$ について
$$ B_{n+p}\equiv B_n+B_{n+1}\pmod p $$
が成り立つ。

$X:=[n]\sqcup P$、$P:=\{c_0,c_1,\dots,c_{p-1}\}$ とし($|X|=n+p$)、$X$ の置換 $\sigma$ を $\sigma(c_i):=c_{i+1}$(添字は $p$ を法とする)、$\sigma(x):=x$($x\in[n]$)で定める。$\sigma$ は位数 $p$ で、$\sigma$ が生成する巡回群 $\langle\sigma\rangle$ は、分割 $\pi$ を $\sigma(\pi):=\{\sigma(T)\mid T\in\pi\}$ に写すことで $X$ の分割全体の集合 $\Pi(X)$ に作用する(群作用)。
軌道の大きさ.群作用 の記事の定理「軌道・安定化群定理」により、各軌道の大きさは $|\langle\sigma\rangle|=p$ を割るので $1$ か $p$ である。大きさ $1$ の軌道は $\sigma(\pi)=\pi$ となる $\pi$(固定された分割)である。よって
$$ B_{n+p}=|\Pi(X)|\equiv(\text{固定された分割の個数})\pmod p $$
である。
固定された分割.$\sigma(\pi)=\pi$ とし、$c_0$ を含むブロックを $T$ とする。$\sigma(T)$ は $\pi$ のブロックで $c_1$ を含む。
(i) $\sigma(T)=T$ の場合:$c_i=\sigma^i(c_0)\in\sigma^i(T)=T$ なので $P\subset T$ である。逆に、$P$ が 1 つのブロックに含まれる分割は固定される($\sigma$ はそのブロックを保ち、ほかのブロックは $[n]$ に含まれるので動かさない)。このような分割は、$P$ を 1 つの点 $\ast$ につぶすことで $[n]\sqcup\{\ast\}$ の分割と一対一に対応するので、$B_{n+1}$ 個ある。
(ii) $\sigma(T)\ne T$ の場合:$T\cap[n]=\emptyset$ である。実際 $x\in T\cap[n]$ なら $x=\sigma(x)\in\sigma(T)$ となり、ブロック $T$ と $\sigma(T)$ が交わるので等しくなる。また $T\cap P=\{c_0\}$ である。実際 $c_j\in T$($0< j< p$)なら、$c_j=\sigma^j(c_0)\in\sigma^j(T)$ なので $\sigma^j(T)=T$ であり、$p$ は素数なので $uj\equiv1\pmod p$ となる整数 $u\ge1$ があって $\sigma(T)=(\sigma^j)^u(T)=T$ となり、仮定に反する。よって $T=\{c_0\}$ で、$\sigma^i(T)=\{c_i\}$ もすべてブロックであり、残りのブロックは $[n]$ の分割をなす。逆に、$P$ の各元が単独のブロックをなす分割は固定される。このような分割は $[n]$ の分割と一対一に対応するので、$B_n$ 個ある。
$p\ge2$ なので (i) と (ii) は重ならない。固定された分割は $B_{n+1}+B_n$ 個であり、主張を得る。$\square$

この合同式は Touchard(1933)による(SZ10 §1 の式 (1)、p. 1)。上の証明は、$p$ 個の元を巡回させる作用の固定点を数えるものである。同じ考え方で、$a$ 色の玉 $p$ 個を円く並べた塗り方 $a^p$ 通りのうち回転で固定されるものが単色の $a$ 通りであることから、$a^p\equiv a\pmod p$(Fermatの小定理)も示せる。

$B_p$ の剰余

素数 $p$ について $B_p\equiv2\pmod p$ である。

thm-bell-touchard で $n=0$ とすると $B_p\equiv B_0+B_1=2$ である。$\square$

たとえば $B_2=2$、$B_3=5\equiv2\pmod3$、$B_5=52\equiv2\pmod5$、$B_7=877=7\cdot125+2$ である。$n=1$、$p=5$ では $B_6=203\equiv3=B_1+B_2\pmod5$ である。

法 $p$ での周期

$p$ を素数とし、$N:=p^p-1$ とおく。すべての $m\ge0$ について $B_{m+N}\equiv B_m\pmod p$ である。したがって、$B_n$ を $p$ で割った余りの列は周期的で、その最小の周期は $p^p-1$ を割る。

要点:$p$ を法とする列のずらしの作用素 $E$ について Touchard の合同式は $E^p=E+1$ と読め、標数 $p$ では $p$ 乗が和を保つので $E^{p^p}=E$ となる。

詳しい証明を開く

$\mathbb F_p:=\mathbb Z/p\mathbb Z$ の元の列 $f=(f_0,f_1,\dots)$ の全体を $V$ とし、ずらし $(Ef)_n:=f_{n+1}$ を考える。$\mathbb F_p$ 係数の多項式 $Q(T)$ に作用素 $Q(E)$ を対応させると、$Q(E)$ どうしは可換で、$Q\mapsto Q(E)$ は環準同型である。$b\in V$ を $b_n:=B_n\bmod p$ とし、$I:=\{Q\in\mathbb F_p[T]\mid Q(E)b=0\}$ とおくと、$I$ はイデアルである。thm-bell-touchard は $T^p-T-1\in I$ を意味する。

$\mathbb F_p[T]/I$ は標数 $p$ の可換環なので、$0< i< p$ で $p\mid\binom pi$ であることから $(X+Y)^p=X^p+Y^p$ が成り立つ。$j\ge0$ について $T^{p^j}\equiv T+j\pmod I$ を帰納法で示す。$j=0$ は明らかで、$j$ で成り立てば $T^{p^{j+1}}=(T^{p^j})^p\equiv(T+j)^p=T^p+j^p\equiv T+1+j$ である(Fermatの小定理 により $j^p\equiv j$)。$j=p$ とすると $T^{p^p}\equiv T+p=T$ なので、$B_{n+p^p}\equiv B_{n+1}$($n\ge0$)、すなわち $m\ge1$ について $B_{m+N}\equiv B_m$ である。$m=0$ は thm-bell-touchard を $n=0$ と $n=N$ で使い、$B_0\equiv B_p-B_1\equiv B_{p+N}-B_{1+N}\equiv B_N$ とすればよい。最小の周期を $d$ とし、$N=qd+r$($0\le r< d$)と書くと、すべての $m$ で $b_{m+r}=b_{m+r+qd}=b_{m+N}=b_m$ なので、$r>0$ なら $r$ も周期となって $d$ の最小性に反する。よって $r=0$ で、$d$ は $N$ を割る。$\square$

$p$$B_0,B_1,B_2,\dots$ を $p$ で割った余り最小の周期$p^p-1$
$2$$1,1,0,\ 1,1,0,\ \dots$$3$$3$
$3$$1,1,2,2,0,1,2,1,0,0,1,0,1,\ \ 1,1,2,\dots$$13$$26$

$p=3$ のように、最小の周期は $p^p-1$ より小さいことがある。

大きさ

階乗による上からの評価

すべての $n\ge0$ について $B_n\le n!$ であり、等号は $n\le2$ のときだけ成り立つ。

$[n]$ の置換 $\sigma$ に、その巡回(互いに素な巡回置換への分解の各因子。不動点も長さ $1$ の巡回とする)の台が作る $[n]$ の分割を対応させる(置換 の記事の定理「互いに素な巡回置換の積への分解」)。どの分割 $\pi$ も、各ブロックの元を 1 つの巡回に並べた置換の像なので、この対応は全射であり、$B_n\le n!$ である。$n\ge3$ では、ブロック $[n]$ だけの分割に、$[n]$ 全体を 1 つの巡回とする $(n-1)!\ge2$ 個の置換が対応するので、全射は単射でなく $B_n< n!$ である。$n\le2$ では $B_n=n!$ を直接確かめられる。$\square$

正確な漸近挙動は、$r$ を $re^r=n+1$ の正の解として
$$ B_n=\frac{n!\,e^{e^r-1}}{r^n\sqrt{2\pi r(r+1)e^r}}\bigl(1+O(e^{-r/5})\bigr) $$
で与えられ、$r=\log n-\log\log n+o(1)$ である(FS09 Proposition VIII.3、p. 562。鞍点法による。この記事では証明しない)。とくに $\log B_n=n\log n-n\log\log n-n+o(n)$ で、$B_n$ は $n!$ よりずっと小さい。

反例

外す条件・替える条件反例成り立たなくなること
thm-bell-touchard の法が素数法を $4$ にし、$n=0$ とする$B_4\equiv B_0+B_1\pmod4$($B_4=15\equiv3$ だが $B_0+B_1=2$)
Bell の三角形で各行を前の行の最後の数から始める各行を $1$ から始める行の最後が $B_{n+1}$ であること(行は $1;\ 1,2;\ 1,2,4;\ 1,2,4,8$ となり、最後は $2^n$)
集合の元を区別する$4$ 個の区別しない玉を、区別しない組に分ける個数が $B_4=15$ であること(ex-bell-four の型の個数 $p(4)=5$ になる)

1 行目で、合成数 $m$ を法とすると prf-thm-bell-touchard の (ii) で使った「$uj\equiv1\pmod m$ となる $u$ がある」が $\gcd(j,m)>1$ の $j$ で成り立たず、軌道の大きさも $1$ か $m$ とは限らない。3 行目は整数の分割で、その母関数は $\prod_{k\ge1}(1-x^k)^{-1}$ であり(分割数)、$\exp(e^x-1)$ ではない。

関連項目

参考文献

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