Fermat曲線(Fermat curve)とは、射影平面の曲線 $x^n+y^n=z^n$ である。標数が $n$ を割らなければ滑らかで、種数は $(n-1)(n-2)/2$ であり、複素数の上では $\mathbb{P}^1$ の 3 点で分岐する次数 $n^2$ の被覆になる。$n\ge4$ では複素数の上の自己同型群は座標の置換と 1 の $n$ 乗根倍で生成される位数 $6n^2$ の群である。素数 $p\equiv1\pmod n$ について $\mathbb{F}_p$ の上の点の個数は Jacobi 和で書け、$p+1$ との差は $2g\sqrt p$ 以下である。
前提知識: 代数曲線, 種数公式(平面曲線), Hurwitzの自己同型定理, Gauss和
Fermat 曲線(Fermat curve)は、射影平面の曲線
$$
X_n:\ x^n+y^n=z^n
$$
である。$n\ge3$ のとき、この曲線の有理点で $xyz\ne0$ のものがないという主張が Fermatの最終定理 で、$n$ が大きいほど種数 $(n-1)(n-2)/2$ も大きくなる。方程式の形が単純なので、自己同型群や有限体の上の点の個数がはっきり計算でき、種数の大きい曲線の性質を試す標準的な例になっている。
この記事では、$X_n$ が滑らかで種数 $(n-1)(n-2)/2$ をもつこと(prop-fc-smooth)、複素数の上で $X_n$ が $\mathbb{P}^1$ の 3 点で分岐する次数 $n^2$ の被覆であること(ex-fc-cover)、$n\ge4$ では複素数の上の自己同型群が座標の置換と 1 の $n$ 乗根倍で生成される位数 $6n^2$ の群であること(thm-fc-aut)、素数 $p\equiv1\pmod n$ について $\mathbb{F}_p$ の上の点の個数が Jacobi 和で書け、$\lvert\#X_n(\mathbb{F}_p)-(p+1)\rvert\le2g\sqrt p$ を満たすこと(thm-fc-count)を証明する。
$k$ を体、$n\ge1$ を $k$ の標数で割り切れない整数とする。射影平面 $\mathbb{P}^2_k$ の曲線
$$
X_n:=\{(x:y:z)\mid x^n+y^n=z^n\}
$$
を次数 $n$ の Fermat 曲線という。$z=1$ とおいたアフィン部分は $x^n+y^n=1$ である。
$k$ が $\varepsilon^n=-1$ となる元 $\varepsilon$ を含むとき($k=\mathbb{C}$ など)、$(x:y:z)\mapsto(x:y:\varepsilon^{-1}z)$ は $X_n$ を曲線 $X'_n:\ x^n+y^n+z^n=0$ に写す射影変換である。$X'_n$ の方が 3 つの座標について対称なので、自己同型を調べるときはこちらを使う。
$k$ を代数閉体とする。$X_n$ は既約で滑らかな平面曲線であり、その種数は $g=(n-1)(n-2)/2$ である。
$F:=x^n+y^n-z^n$ の偏微分 $nx^{n-1}$、$ny^{n-1}$、$-nz^{n-1}$ は、$n$ が標数で割れないので、同時に $0$ になるのが $x=y=z=0$ のときだけである。よって $X_n$ のどの点でも偏微分のどれかが $0$ でなく、$X_n$ は滑らかである。滑らかな平面曲線は既約である(2 つの成分に分かれれば、Bézoutの定理 によりそれらは交わり、交点は特異点になる)。滑らかな次数 $n$ の平面曲線の種数は $(n-1)(n-2)/2$ である(種数公式(平面曲線) の定理「平面曲線の種数公式」の 2)。$\square$
既約であることは、$x^n+y^n-1$ に Eisenstein の判定法を当てても確かめられる(代数曲線 の例「Fermat 曲線」)。種数は、$(x:y:z)\mapsto(x:z)$ という次数 $n$ の写像に Riemann–Hurwitzの公式 を当てても求められる(同記事の例「Fermat 曲線の種数」)。$n=1,2$ では $X_n$ は直線と 2 次曲線で種数 $0$、$n=3$ では種数 $1$ で 楕円曲線 になり、$n=4$ では種数 $3$ の平面 4 次曲線である。
以下この節の残りと次の節では $k=\mathbb{C}$ とし、$X_n$ の複素点の全体をコンパクトで連結なリーマン面とみる。$\mu_n$ を 1 の $n$ 乗根の群とする。
$G_0:=\mu_n\times\mu_n$ は $(\alpha,\beta)\cdot(x:y:z)=(\alpha x:\beta y:z)$ で $X_n$ に作用する。商写像は $f\colon X_n\to\mathbb{P}^1$、$f(x:y:z)=(x^n:z^n)$ で与えられ、$f$ は $(0:1)$、$(1:1)$、$(1:0)$ の 3 点だけで分岐し、各分岐点の上の $n$ 点で局所分岐指数は $n$ である。
$x=z=0$ なら $y=0$ なので、$f$ は $X_n$ 全体で定義され、$G_0$ の作用で不変である。$(a:1)$ の逆像は $x^n=a$、$y^n=1-a$($z=1$)の点で、$x$ と $y$ をそれぞれ $\mu_n$ 倍したものの全体、すなわち $G_0$ の 1 つの軌道である。$(1:0)$ の逆像も $z=0$、$y^n=-x^n$ の点で 1 つの軌道である。よって $f$ は Hurwitzの自己同型定理 の命題「有限群による商」の商 $X_n/G_0$ からの全単射な正則写像を与え、これは同型である。$xyz\ne0$ の点の固定部分群は自明で($(\alpha x:\beta y:z)=(x:y:z)$ と $z\ne0$ から $\alpha=\beta=1$)、$x=0$ の $n$ 点の固定部分群は $\mu_n\times\{1\}$、$y=0$ の点は $\{1\}\times\mu_n$、$z=0$ の点は $\{(\alpha,\alpha)\}$ で、どれも位数 $n$ である。これらの点の像が $(0:1)$、$(1:1)$、$(1:0)$ である。同記事の補題「商写像の Riemann–Hurwitz」から $2g-2=n^2\bigl(-2+3(1-\frac1n)\bigr)=n^2-3n$ で、$g=(n-1)(n-2)/2$ が再び得られる。
$X'_n:\ x^n+y^n+z^n=0$ について、座標の置換と、各座標を 1 の $n$ 乗根倍する対角変換は $X'_n$ を保つ射影変換である。これらで生成される $\operatorname{PGL}_3(\mathbb{C})$ の部分群を $G_n$ とする。
$n\ge2$ とする。$G_n$ の元は $(x_1:x_2:x_3)\mapsto(\alpha_1x_{\sigma(1)}:\alpha_2x_{\sigma(2)}:\alpha_3x_{\sigma(3)})$($\sigma\in S_3$、$\alpha_i\in\mu_n$)の形で、$G_n$ の位数は $6n^2$ である。対角変換のなす部分群 $D_n\cong\mu_n\times\mu_n$ は正規部分群で、$G_n/D_n\cong S_3$ である。$G_n$ の相異なる元は $X'_n$ の相異なる自己同型を与える。
置換行列 $P_\sigma$ と対角行列 $D$ について $P_\sigma DP_\sigma^{-1}$ は対角成分を並べ替えた対角行列なので、主張の形の写像の全体は合成で閉じた群をなし、$G_n$ に一致する。対角変換 $\operatorname{diag}(\alpha_1,\alpha_2,\alpha_3)$ と $\operatorname{diag}(\beta_1,\beta_2,\beta_3)$ が同じ射影変換になるのは、ある $\lambda$ で $\beta_i=\lambda\alpha_i$ となるときで、$\lambda=\beta_1/\alpha_1\in\mu_n$ なので、対角変換の射影変換は $\mu_n^3/\mu_n$ と一対一に対応し、$n^2$ 個ある。置換の部分は $\sigma$ で決まり(単項行列の $0$ でない成分の位置は定数倍で変わらない)、位数は $6n^2$ である。$D_n$ は置換による共役で保たれ、$G_n\to S_3$、$\sigma$ への写像の核が $D_n$ である。最後に、$X'_n$ の各点を固定する射影変換の行列について、$X'_n$ の点はどれも固有ベクトルの定める点なので、$X'_n$ は有限個の固有空間の射影化の和集合に含まれる。$X'_n$ は既約なのでそのどれか 1 つに含まれ、$n\ge2$ なら $X'_n$ は直線でないから、その固有空間は全体で、射影変換は恒等写像である(Kleinの4次曲線 の記事と同じ議論)。$\square$
$n\ge4$ なら、$X'_n$ の自己同型群は $G_n$ である。とくに $\lvert\operatorname{Aut}(X_n)\rvert=6n^2$ で、自己同型はすべて射影変換の制限である。
要点:$G:=\operatorname{Aut}(X'_n)$ で割った商に Riemann–Hurwitz の公式を当てると、座標軸の上の点の固定部分群が大きいことから、$\lvert G\rvert/\lvert G_n\rvert=1$ が出る。
$g=(n-1)(n-2)/2\ge3$ なので、$G$ は有限群である(Hurwitzの自己同型定理 の定理「自己同型群の有限性」)。prop-fc-group から $G_n\subset G$ で、$\lvert G\rvert=6n^2m$($m\ge1$ は整数)と書ける。$2g-2=n(n-3)$ である。$Y:=X'_n/G$ の種数を $h$、分岐値の局所分岐指数を $m_1,\dots,m_s$ とし、$R:=2h-2+\sum_i(1-1/m_i)$ とおくと、Hurwitzの自己同型定理 の補題「商写像の Riemann–Hurwitz」から $n(n-3)=6n^2m\,R$、すなわち $R=\frac{n-3}{6nm}$ である。$n\ge4$ なので $R>0$ である。
固定部分群の大きい点。 $\varepsilon^n=-1$ として $P:=(0:\varepsilon:1)\in X'_n$ をとる。$G_n$ の元のうち、$(x:y:z)\mapsto(\alpha x:y:z)$($\alpha\in\mu_n$)の $n$ 個と、それに $(x:y:z)\mapsto(x:\varepsilon^2z:y)$ を合成したもの $n$ 個は $P$ を固定する($\varepsilon^2\in\mu_n$ で、$(0:\varepsilon:1)\mapsto(0:\varepsilon^2:\varepsilon)=P$)。よって $G$ での $P$ の固定部分群の位数は $2n$ 以上($n\ge4$ なので $8$ 以上)で、$P$ の像の分岐値の局所分岐指数を $m_1$ とすると $m_1\ge2n$、$1-1/m_1\ge7/8$ である。
$h=0$ と $s=3$。 $h\ge1$ なら $R\ge1-1/m_1\ge7/8$ で、$n-3=6nmR\ge\frac{21}4nm>n$ となり矛盾する。よって $h=0$ で、$R=-2+\sum_i(1-1/m_i)$ である。$s\le2$ なら $R<0$ である。$s\ge4$ なら $R\ge-2+\frac78+\frac32=\frac38$ で、$n-3\ge\frac94nm>n$ となり矛盾する。よって $s=3$ で、$R=1-\bigl(\frac1{m_1}+\frac1{m_2}+\frac1{m_3}\bigr)$ である。$m_2=m_3=2$ なら $R=-1/m_1<0$ なので、$m_2\ge3$、$m_3\ge2$ としてよい。
結論。 $R\ge1-\frac1{2n}-\frac13-\frac12=\frac{n-3}{6n}$ なので、$\frac{n-3}{6nm}\ge\frac{n-3}{6n}$ から $m\le1$ である。よって $m=1$、$G=G_n$ である。$\square$
この定理は P. Tzermias(1995 年)が示したもので、上の証明は BDR16 Theorem 3.1 の証明の筋に従った。$m=1$ のとき証明の不等式はすべて等号になるので、商 $X'_n/G_n$ は $\mathbb{P}^1$ で、分岐指数は $2n,3,2$ である。$n\ge4$ では $6n^2$ は Hurwitzの自己同型定理 の上界 $84(g-1)=42n(n-3)$ より小さい。$n=4$ では $G_4$ の位数は $96$ で、同じ種数 $3$ の Kleinの4次曲線 の $168$ に届かない(Elk99 §3.3、p. 80)。
この節では $p$ を素数、$n\ge1$ を $p-1$ の約数とし、$X_n$ を $\mathbb{F}_p$ の上で考える。$\#X_n(\mathbb{F}_p)$ は $\mathbb{P}^2(\mathbb{F}_p)$ の点で $x^n+y^n=z^n$ を満たすものの個数である。指標と Jacobi 和は Gauss和 の記事の流儀に従う。すなわち、法 $p$ の Dirichlet指標 $\chi$ は自明な指標 $\chi_0$ も含めて $\chi(0)=0$ とし、$J(\chi,\lambda)=\sum_{a\in\mathbb{F}_p}\chi(a)\lambda(1-a)$ とする。$\chi^n=\chi_0$ となる指標の全体を $\widehat{\mu}_n$ と書く。
$\widehat{\mu}_n$ はちょうど $n$ 個の指標からなる。$a\in\mathbb{F}_p^\times$ について
$$
\#\{x\in\mathbb{F}_p\mid x^n=a\}=\sum_{\chi\in\widehat{\mu}_n}\chi(a)
$$
である。
法 $p$ の原始根 $r$ をとる(原始根 の定理「素数を法とする原始根の存在」)。法 $p$ の指標は $\chi(r)$ の値($1$ の $(p-1)$ 乗根)で決まり、どの値も実現される。$\chi^n=\chi_0$ は $\chi(r)^n=1$ と同値で、$n\mid p-1$ なのでそのような値は $n$ 個ある。$a=r^k$ とすると、右辺は $\sum_{\zeta\in\mu_n}\zeta^k$ で、$n\mid k$ なら $n$、そうでなければ $0$ である(1の冪根 の定理「1 の $n$ 乗根の冪の和」)。左辺は、$x=r^j$ とおくと $nj\equiv k\pmod{p-1}$ の解 $j$ の個数で、$n\mid p-1$ なので $n\mid k$ のとき $n$ 個、そうでなければ $0$ 個である。$\square$
$p\equiv1\pmod n$ とする。このとき
$$
\#X_n(\mathbb{F}_p)=p+1+\sum_{(\chi,\lambda)}J(\chi,\lambda)
$$
である。和は $\chi,\lambda\in\widehat{\mu}_n$ で $\chi$、$\lambda$、$\chi\lambda$ がどれも自明でない $(n-1)(n-2)$ 個の組にわたる。とくに $g=(n-1)(n-2)/2$ として
$$
\bigl\lvert\#X_n(\mathbb{F}_p)-(p+1)\bigr\rvert\le2g\sqrt p
$$
が成り立つ。
$N(a):=\#\{x\in\mathbb{F}_p\mid x^n=a\}$ とおく。$N(0)=1$ で、$a\ne0$ では lem-fc-power の式である。
アフィン部分。 $x^n+y^n=1$ の解 $(x,y)\in\mathbb{F}_p^2$ の個数は $\sum_{a+b=1}N(a)N(b)$ である。$a=0$ と $b=0$ の項はどちらも $N(1)=n$ で、残りは
$$
\sum_{a\ne0,1}\ \sum_{\chi,\lambda\in\widehat{\mu}_n}\chi(a)\lambda(1-a)=\sum_{\chi,\lambda\in\widehat{\mu}_n}J(\chi,\lambda)
$$
である($J$ の $a=0,1$ の項は $0$)。Gauss和 の定理「Jacobi和とGauss和」により、$J(\chi_0,\chi_0)=p-2$、$\chi\ne\chi_0$ なら $J(\chi_0,\chi)=J(\chi,\chi_0)=-1$($2(n-1)$ 組)、$\chi\ne\chi_0$ なら $J(\chi,\overline\chi)=-\chi(-1)$ である($\overline\chi\in\widehat{\mu}_n$ で、$\chi,\lambda$ が自明でなく $\chi\lambda=\chi_0$ となるのは $\lambda=\overline\chi$ のとき)。よってアフィン部分の点の個数は
$$
2n+(p-2)-2(n-1)-\sum_{\chi\ne\chi_0}\chi(-1)+\Sigma'=p-\sum_{\chi\ne\chi_0}\chi(-1)+\Sigma'
$$
である。ここで $\Sigma'$ は主張の和、$\chi$ は $\widehat{\mu}_n$ の自明でない元を動く。
無限遠の点。 $z=0$ の点は $x^n+y^n=0$ を満たし、$y=0$ なら $x=0$ となるので $y\ne0$ で、$(t:1:0)$、$t^n=-1$ と書ける。その個数は $N(-1)=1+\sum_{\chi\ne\chi_0}\chi(-1)$ である。
合計。 足すと $\#X_n(\mathbb{F}_p)=p+1+\Sigma'$ である。$\Sigma'$ の各項は Gauss和 の定理「Jacobi和とGauss和」の 4 により絶対値 $\sqrt p$ で、項は $(n-1)^2-(n-1)=(n-1)(n-2)=2g$ 個ある。$\square$
$\mathbb{F}_7$ の 3 乗の値は $0,1,6$ だけである。$x^3+y^3=1$ の解は、$x^3=0$、$y^3=1$ の $3$ 個と $x^3=1$、$y^3=0$ の $3$ 個で、$x^3,y^3\in\{1,6\}$ の和は $2,0,5$ なので解がない。無限遠では $t^3=-1=6$ の $3$ 個がある。よって $\#X_3(\mathbb{F}_7)=9$ である。
thm-fc-count の側から見ると、原始根 $3$ について $\chi(3)=\omega:=e^{2\pi i/3}$ とおけば、和は $J(\chi,\chi)+J(\overline\chi,\overline\chi)$ の 2 項である。$a=2,\dots,6$ の $\chi(a)\chi(1-a)$ は順に $\omega^2,1,\omega^2,1,\omega^2$ なので $J(\chi,\chi)=2+3\omega^2=-1-3\omega$ で、$\lvert J\rvert^2=1-3+9=7$、$J(\chi,\chi)+\overline{J(\chi,\chi)}=2\operatorname{Re}(-1-3\omega)=1$ である。$p+1+1=9$ と一致し、$\lvert9-8\rvert=1\le2\sqrt7$ である。
$n=4$、$p=5$ では、$\mathbb{F}_5^\times$ のどの元も 4 乗すると $1$ になる(Fermatの小定理)。$x^4+y^4=1$ の解は $x=0$、$y^4=1$ の $4$ 個と $y=0$ の $4$ 個で、$x,y$ がともに $0$ でなければ $1+1=2\ne1$ なので解がない。無限遠では $t^4=-1=4$ に解がない。よって $\#X_4(\mathbb{F}_5)=8$ で、thm-fc-count の和は $8-6=2$ である。$p\equiv1\pmod4$ の素数でいくつか数えると次のようになる(種数は $3$ で、上限は $6\sqrt p$)。
| $p$ | $5$ | $13$ | $17$ | $29$ | $37$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $\#X_4(\mathbb{F}_p)$ | $8$ | $8$ | $12$ | $40$ | $40$ |
| $\#X_4(\mathbb{F}_p)-(p+1)$ | $2$ | $-6$ | $-6$ | $10$ | $2$ |
| $6\sqrt p$ | $13.4\cdots$ | $21.6\cdots$ | $24.7\cdots$ | $32.3\cdots$ | $36.4\cdots$ |
表のどの $p$ でも、差は不等式の範囲に収まっている。$p=13$ では $\mathbb{F}_{13}$ の 4 乗の値が $0,1,3,9$ だけで、$x^4+y^4=1$ の $xy\ne0$ の解がなく、点は座標軸の上の $8$ 個だけである($t^4=-1=12$ は解をもたない)。
$p\not\equiv1\pmod n$ の場合は、$d:=\gcd(n,p-1)$ に帰着する。$\mathbb{F}_p^\times$ は位数 $p-1$ の巡回群なので、$x\mapsto x^n$ と $x\mapsto x^d$ は同じ像(指数 $d$ の部分群)をもち、どちらも各値をちょうど $d$ 回とる。よって $N(a)$ は $n$ を $d$ に替えても変わらず、$\#X_n(\mathbb{F}_p)=\#X_d(\mathbb{F}_p)$ である。たとえば $d=1$ なら $X_1$ は直線 $x+y=z$ で、点は $p+1$ 個ある。
thm-fc-count の不等式は、有限体の上の滑らかな射影曲線の点の個数についての Weil の不等式 $\lvert\#X(\mathbb{F}_q)-(q+1)\rvert\le2g\sqrt q$ の特別な場合である。Weil は 1949 年に、$x^n$ の形の項の和で書かれる方程式の解の個数を Jacobi 和で表し(Wei49 の式 (3))、その計算から Weil予想 を定式化した(Wei49 の最終節)。$g=1$ の場合は 有限体上の楕円曲線 の Hasse の定理にあたる。
$X_n(\mathbb{Q})$ の点で $xyz=0$ のものは、$n$ が奇数なら $(1:0:1)$、$(0:1:1)$、$(1:-1:0)$ の $3$ 個、$n$ が偶数なら $(\pm1:0:1)$、$(0:\pm1:1)$ の $4$ 個である($n$ が偶数なら $x^n+y^n=0$ は $\mathbb{Q}$ で $x=y=0$ しか解をもたない)。$n\ge3$ ではほかに有理点がないことが Fermatの最終定理 で、Wiles と Taylor–Wiles の論文により証明された。それ以前から、$n\ge4$ では種数が $2$ 以上なので、Faltingsの定理 により $X_n(\mathbb{Q})$ が有限集合であることが分かっていた(Fermatの最終定理 の節「ほかの方向との関係」)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 標数が $n$ を割らない(prop-fc-smooth) | 標数 $p$ で $n=p$ | 滑らかであること |
| $n\ge4$(thm-fc-aut) | $n=3$ | 自己同型群が有限であること |
| $n\ge3$(Fermat の最終定理) | $n=2$ の $(3:4:5)$ | $xyz\ne0$ の有理点がないこと |
| 点の座標が有理数 | $n=3$、$\mathbb{Q}(\sqrt2)$ の点 $(18+17\sqrt2:18-17\sqrt2:42)$ | $xyz\ne0$ の点がないこと |
1 行目:標数 $p$ では $x^p+y^p-z^p=(x+y-z)^p$ で、$X_p$ は直線 $x+y=z$ を $p$ 重に数えたものになる。偏微分 $px^{p-1}$ などはすべて $0$ なので、どの点でも滑らかでない。2 行目:$X_3$ は滑らかな平面 3 次曲線で、点 $O$ を 1 つ選ぶと 楕円曲線 になり、各点 $P$ による平行移動 $Q\mapsto Q+P$ が自己同型を与える。$X_3$ の点は無限個あるので自己同型群は無限群で、$G_3$(位数 $54$)より真に大きい。種数 $1$ なので Hurwitzの自己同型定理 の有限性の定理も当てはまらない。3 行目:$3^2+4^2=5^2$ である(ピタゴラス数)。4 行目:Fermatの最終定理 の反例の表の 2 行目のとおり、$x+y=36$、$xy=-254$ から $x^3+y^3=46656+27432=74088=42^3$ である。
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