フィルトレーション(filtration)とは、加群・環・複体を部分対象の入れ子の列 $\cdots\supset F^pM\supset F^{p+1}M\supset\cdots$ で層に分ける構造であり、各段の差を並べた随伴次数付き加群 $\operatorname{gr}M$ を通して元の対象を調べるのに使う。定義域が網羅的かつ分離的なら $\operatorname{gr}f$ の単射性から $f$ の単射性が、定義域が完備で値域が網羅的かつ分離的なら全射性が従う。有限なフィルトレーションでは長さなどの加法的な量が $\operatorname{gr}$ の和になり、複体の非輪状性も $\operatorname{gr}$ から戻る。$I$ 進完備化、スペクトル系列、Hodge フィルトレーション、微分作用素の階数などの土台である。
フィルトレーションは、加群や環、複体を部分対象の入れ子の列 $\cdots\supset F^pM\supset F^{p+1}M\supset\cdots$ で層に分ける構造である。各段の差 $F^pM/F^{p+1}M$ を並べた随伴次数付き加群 $\operatorname{gr}M$ は、元の対象より簡単なことが多い。
フィルトレーションを使う議論の典型は、「$\operatorname{gr}$ で調べて元に戻す」である。$\operatorname{gr}$ の上での単射性・全射性・整域性・非輪状性が元の対象に戻るかどうかは、フィルトレーションが全体を覆うか(網羅的)、交わりが $0$ か(分離的)、極限がとれるか(完備)、有限で終わるか、で決まる。この記事ではこれらの条件と、それぞれが何を戻すのかを証明する。複体のフィルトレーションから生じるスペクトル系列、Hodgeフィルトレーション、微分作用素の階数によるフィルトレーションなどは、この枠組みの上に立っている。
以下 $R$ を環(単位元をもつ。可換とは限らない)とし、加群は左 $R$ 加群とする。添字 $p$ は整数を動く。
$R$ 加群 $M$ の(減少)フィルトレーション(filtration)とは、部分加群の族 $(F^pM)_{p\in\mathbb{Z}}$ で、すべての $p$ について $F^pM\supset F^{p+1}M$ を満たすものをいう。組 $(M,F)$ をフィルター付き加群という。フィルトレーションが
部分加群の増大列 $F_pM\subset F_{p+1}M$ を増大フィルトレーションということもある。$F^pM:=F_{-p}M$ とおけば減少フィルトレーションになるので、以下は減少の場合だけを述べる。増大の場合、網羅的は $\bigcup_pF_pM=M$、分離的は $\bigcap_pF_pM=0$ と読む。完備なら分離的である($\bigcap_pF^pM$ は $M\to\varprojlim M/F^pM$ の核だから)。有限なフィルトレーションは網羅的・分離的・完備である。複体のフィルトレーションについての同じ用語は Wei94 §5.4(pp. 131–132)にある。
フィルター付き加群 $(M,F)$、$(N,F)$ の間の $R$ 準同型 $f\colon M\to N$ がフィルター付き準同型であるとは、すべての $p$ で $f(F^pM)\subset F^pN$ となることをいう。さらに $f(F^pM)=f(M)\cap F^pN$ がすべての $p$ で成り立つとき、$f$ は厳密(strict)であるという。
$\operatorname{gr}^pM:=F^pM/F^{p+1}M$ とおき、$\operatorname{gr}M:=\bigoplus_p\operatorname{gr}^pM$ を $M$ の随伴次数付き加群(associated graded module)という。フィルター付き準同型 $f$ は $\operatorname{gr}^pf\colon\operatorname{gr}^pM\to\operatorname{gr}^pN$、$[x]\mapsto[f(x)]$ を誘導し、これらをまとめて $\operatorname{gr}f$ と書く。
$\operatorname{gr}^pf$ がうまく定まるのは $f(F^{p+1}M)\subset F^{p+1}N$ による。
環 $A$ の加法部分群の減少列 $(F^pA)_p$ で、$1\in F^0A$ かつ $F^pA\cdot F^qA\subset F^{p+q}A$(すべての $p,q$)を満たすものを、$A$ の(乗法的な)フィルトレーションといい、$(A,F)$ をフィルター付き環という。このとき $\operatorname{gr}A$ は、$[a]\in\operatorname{gr}^pA$、$[b]\in\operatorname{gr}^qA$ に対し $[a][b]:=[ab]\in\operatorname{gr}^{p+q}A$ とおいて、次数付き環になる。
積がうまく定まることは、$a\in F^pA$、$a'\in F^{p+1}A$、$b\in F^qA$ なら $(a+a')b-ab=a'b\in F^{p+q+1}A$ であることからわかる($b$ の側も同様)。$1\in F^0A$ と乗法性から、$F^0A$ は部分環であり、各 $F^pA$ は左右から $F^0A$ の元を掛けても閉じている。とくに $p\ge0$ の $F^pA$ は $F^0A$ の両側イデアルである。
可換環 $A$ のイデアル $I$ と $A$ 加群 $M$ に対し、$p\ge0$ で $F^pM:=I^pM$、$p< 0$ で $F^pM:=M$ とおく。これは網羅的なフィルトレーションで、$A$ 自身については乗法的である。随伴次数付き環 $\operatorname{gr}_IA=\bigoplus_pI^p/I^{p+1}$ は随伴次数環であり、$I^pM/I^{p+1}M$ は $I^p/I^{p+1}$ と $M/IM$ の元の積で生成されるので、$\operatorname{gr}_IM$ は $\operatorname{gr}^0M=M/IM$ で生成され、$M$ が有限生成なら $\operatorname{gr}_IA$ 上有限生成である(AM69 Proposition 10.22, p. 111 は Noether 環上の安定なフィルトレーションに一般化している)。分離的であることは自明でなく、Noether 局所環の極大イデアルに含まれる $I$ と有限生成加群については Krullの交叉定理 が分離性を保証する。完備化 $\varprojlim M/I^pM$ がI進完備化である。$A=\mathbb{Z}$、$I=(p)$ では $\operatorname{gr}^r\mathbb{Z}=p^r\mathbb{Z}/p^{r+1}\mathbb{Z}\cong\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ であり、完備化はp進整数環 $\mathbb{Z}_p$ である。
体 $k$ 上の多項式環 $P=k[y_1,\dots,y_n]$ の次数 $d$ 以下の多項式全体を $F_dP$ とすると、$F_dP\cdot F_eP\subset F_{d+e}P$ を満たす増大フィルトレーションで、$\operatorname{gr}P\cong P$($\operatorname{gr}_dP$ は $d$ 次斉次多項式の空間)である。イデアル $I$ による商 $A=P/I$ には、像 $F_dA$ による増大フィルトレーションが誘導される。射影閉包の記事では、これから次数付き環 $\bigoplus_dF_dA\cdot T^d\subset A[T]$ を作り、アフィン多様体の射影閉包の斉次座標環を得ている。
複体 $C^\bullet$ の部分複体の減少列 $(F^pC^\bullet)_p$ を複体のフィルトレーションという(スペクトル系列 の定義「フィルター付き複体」)。各 $\operatorname{gr}^pC^\bullet$ は複体であり、フィルトレーションが有界なら、そのコホモロジーから始まるスペクトル系列が $H^\bullet(C^\bullet)$ に収束する(スペクトル系列 の定理「収束定理」)。有界な二重複体(たとえば第 1 象限のもの)の全複体には、列の番号で切るものと行の番号で切るものの二つの有界なフィルトレーションがあり、二つのスペクトル系列を生む。代数的 de Rham コホモロジーでは、de Rham 複体の次数 $p$ 以上の項だけを残した部分複体 $\sigma^{\ge p}\Omega^\bullet$ がフィルトレーションをなし、その超コホモロジーの像として Hodgeフィルトレーション が定まる。
組成列 $M=M_0\supset M_1\supset\cdots\supset M_m=0$ は、すべての $\operatorname{gr}$ が単純加群であるような有限フィルトレーションである。また、体上のベクトル空間(あるいはベクトル束)の短完全列 $0\to E'\to E\to E''\to0$ に対し、外冪 $\bigwedge^nE$ には $\operatorname{gr}^i\cong\bigwedge^iE'\otimes\bigwedge^{n-i}E''$ となる有限フィルトレーションがあり(この記事では証明しない。λ環 の例「ベクトル束の $K$ 群」に所在がある)、λ環 の記事ではこれを使って $K$ 群の上に外冪の演算を定めている。
$M=N=\mathbb{Z}$ に、$F^pM=\mathbb{Z}$($p\le0$)、$F^pM=0$($p\ge1$)と、$F^pN=\mathbb{Z}$($p\le1$)、$F^pN=0$($p\ge2$)を与える。恒等写像 $f=\mathrm{id}$ はフィルター付き準同型で全単射だが、$f(F^1M)=0\ne\mathbb{Z}=f(M)\cap F^1N$ なので厳密でない。$\operatorname{gr}^0f\colon\mathbb{Z}\to0$ は単射でなく、$\operatorname{gr}^1f\colon0\to\mathbb{Z}$ は全射でない。フィルター付き準同型が全単射でも、逆写像はフィルター付きとは限らず、$\operatorname{gr}$ は同型にならない。
網羅的で分離的なフィルトレーションをもつ加群では、$0$ でない元 $x$ に対し、$x\in F^pM$ となる最大の $p$ がある。これを $x$ の次数とよび、$\operatorname{gr}^pM$ での $x$ の類を $x$ の初項とよぶ。初項は $0$ でない。$I$ 進フィルトレーションなら「$x$ が $I$ の何乗に入るか」、多項式の次数によるフィルトレーションなら「最高次の斉次成分」である。
$\operatorname{gr}$ で何かを示すとは、初項だけを見て議論することである。初項どうしの関係から元どうしの関係に戻るには、次の三点が要る。初項がそもそも存在すること(網羅的・分離的)、初項を順に消していく近似の操作が極限をもつこと(完備)、極限が一つに定まること(分離的)。有限なフィルトレーションでは、これらはすべて自動的に満たされる。
$f\colon M\to N$ をフィルター付き準同型とする。
$M,N$ のフィルトレーションがともに網羅的で、$M$ が完備、$N$ が分離的とする。フィルター付き準同型 $f\colon M\to N$ について $\operatorname{gr}f$ が同型なら、$f$ は同型で、逆写像もフィルター付き準同型である。とくに有限なフィルトレーションについては、$\operatorname{gr}f$ が同型であることと、$f$ がフィルター付きの同型($f(F^pM)=F^pN$ を満たす全単射)であることは同値である。
完備なら分離的なので、thm-fil-gr-detect の 1 と 2 がともに使え、$f$ は全単射で $f(F^pM)=F^pN$ である。したがって $f^{-1}(F^pN)=F^pM$ であり、逆写像はフィルター付きである。有限な場合の逆向きは、$f(F^pM)=F^pN$ と $f^{-1}(F^{p+1}N)=F^{p+1}M$ から $\operatorname{gr}^pf$ が全単射になることによる。$\square$
ex-fil-not-strict は、仮定に「$\operatorname{gr}f$ が同型」が要ることを示している。AM69 Lemma 10.23(p. 112)は、thm-fil-gr-detect と同じ考え方で、$\operatorname{gr}f$ の単射性・全射性が完備化の間の写像 $\hat f$ の単射性・全射性を導くことを示している。
$(A,F)$ をフィルター付き環とし、フィルトレーションが網羅的かつ分離的で、$\operatorname{gr}A$ が整域($0$ でなく零因子をもたない可換環)であるとする。このとき、$A$ は零因子をもたない。とくに $A$ が可換なら $A$ は整域である。
$a,b\in A$ を $0$ でない元とする。網羅的かつ分離的なので、thm-fil-gr-detect の証明と同じく、$a\in F^pA\setminus F^{p+1}A$、$b\in F^qA\setminus F^{q+1}A$ となる $p,q$ がある。$[a]\in\operatorname{gr}^pA$、$[b]\in\operatorname{gr}^qA$ は $0$ でなく、$\operatorname{gr}A$ が整域なので $[a][b]=[ab]\in\operatorname{gr}^{p+q}A$ は $0$ でない。よって $ab\notin F^{p+q+1}A$、とくに $ab\ne0$ である。$\square$
$I$ 進フィルトレーションの場合が 随伴次数環 の命題「分離性と随伴次数環の整域性」である。逆は成り立たない。$\mathbb{Z}$ に $F^p=4^p\mathbb{Z}$($p\ge0$)、$F^p=\mathbb{Z}$($p< 0$)を与えると乗法的なフィルトレーションになり、$\mathbb{Z}$ は整域だが、$\operatorname{gr}^0=\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$ が零因子 $[2]$ をもつので $\operatorname{gr}\mathbb{Z}$ は整域でない。
$M=F^0M\supset F^1M\supset\cdots\supset F^mM=0$ を有限なフィルトレーションとする。
Artin 局所環上の有限生成加群をその極大イデアルの冪で切ると、加群の長さ の命題「極大イデアルによる計算法」になる。値をGrothendieck群 $K_0$ にとれば、類の等式 $[M]=\sum_p[\operatorname{gr}^pM]$ を得る。ex-fil-composition の外冪のフィルトレーションに使えば、$K$ 群の中で $[\bigwedge^nE]=\sum_i[\bigwedge^iE']\,[\bigwedge^{n-i}E'']$ となり、λ環 の外冪の演算が $K$ 群の上で定まることの鍵になる。
複体 $C^\bullet$ に有限なフィルトレーション $C^\bullet=F^0C^\bullet\supset\cdots\supset F^mC^\bullet=0$(各 $F^pC^\bullet$ は部分複体)があり、すべての $p$ で $\operatorname{gr}^pC^\bullet$ が非輪状(コホモロジーがすべて $0$)なら、$C^\bullet$ も非輪状である。
$p=m,m-1,\dots,0$ の順に $F^pC^\bullet$ が非輪状であることを示す。$p=m$ では $F^mC^\bullet=0$ である。$F^{p+1}C^\bullet$ が非輪状とすると、複体の短完全列 $0\to F^{p+1}C^\bullet\to F^pC^\bullet\to\operatorname{gr}^pC^\bullet\to0$ の長完全列
$$
H^n(F^{p+1}C^\bullet)\to H^n(F^pC^\bullet)\to H^n(\operatorname{gr}^pC^\bullet)
$$
は完全で、両端が $0$ なので $H^n(F^pC^\bullet)=0$ である。$p=0$ で主張を得る。$\square$
一般のフィルター付き複体では、コホモロジーに $F^pH^n(C^\bullet):=\operatorname{im}\bigl(H^n(F^pC^\bullet)\to H^n(C^\bullet)\bigr)$ というフィルトレーションが誘導され、$H(\operatorname{gr}C)$ から出発するスペクトル系列が $\operatorname{gr}H(C)$ を近似する(スペクトル系列 の定理「収束定理」)。prop-fil-complex はその最も簡単な場合である。
thm-fil-gr-detect・prop-fil-domain・prop-fil-complex の仮定を一つずつ外す。$\mathbb{Z}$ の $p$ 進フィルトレーションとは、ex-fil-adic で $I=(p)$ としたものをいう。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 1 で $M$ が分離的 | $M=\mathbb{Z}$(すべての $p$ で $F^pM=M$)、$N=0$、$f=0$ | $\operatorname{gr}f$ は単射だが $f$ は単射でない |
| 1 で $M$ が網羅的 | $M=\mathbb{Z}$(すべての $p$ で $F^pM=0$)、$N=0$、$f=0$ | $\operatorname{gr}f$ は単射だが $f$ は単射でない |
| 2 で $M$ が完備 | 包含 $\mathbb{Z}\to\mathbb{Z}_p$(ともに $p$ 進フィルトレーション) | $\operatorname{gr}f$ は全射(同型)だが $f$ は全射でない |
| 2 で $N$ が分離的 | $M=0$、$N=\mathbb{Z}$(すべての $p$ で $F^pN=N$)、$f=0$ | $\operatorname{gr}f$ は全射だが $f$ は全射でない |
| 2 で $N$ が網羅的 | $M=0$、$N=\mathbb{Z}$(すべての $p$ で $F^pN=0$)、$f=0$ | $\operatorname{gr}f$ は全射だが $f$ は全射でない |
| 整域性で分離的 | $A=k[x]\times k$、$F^pA=(x^p)\times k$($p\ge0$) | $\operatorname{gr}A\cong k[t]$ は整域だが $A$ は零因子をもつ |
| 非輪状性で有限 | $C^0=\mathbb{Z}\xrightarrow{3}C^1=\mathbb{Z}$、$F^pC=2^pC$($p\ge0$) | $\operatorname{gr}C$ は非輪状だが $H^1(C)\ne0$ |
1・2 行目:どちらも各 $\operatorname{gr}^pM=0$ なので $\operatorname{gr}f$ は単射であるが、$f=0\colon\mathbb{Z}\to0$ は単射でない。1 行目のフィルトレーションは網羅的で分離的でなく、2 行目は分離的で網羅的でない。初項が存在しない元があると、$\operatorname{gr}$ はその元を見ることができない。
3 行目:$\mathbb{Z}$ の $p$ 進フィルトレーションは網羅的で分離的だが、$\varprojlim\mathbb{Z}/p^r\mathbb{Z}=\mathbb{Z}_p$ なので完備でない。$\mathbb{Z}_p$ の $p$ 進フィルトレーションは網羅的・分離的・完備である。$r\ge0$ で $\operatorname{gr}^rf\colon p^r\mathbb{Z}/p^{r+1}\mathbb{Z}\to p^r\mathbb{Z}_p/p^{r+1}\mathbb{Z}_p$ は、どちらも $p^r$ の類で生成される位数 $p$ の巡回群の間の写像で、生成元を生成元に写すので同型である($r< 0$ では両辺 $0$)。しかし $\mathbb{Z}\to\mathbb{Z}_p$ は全射でない(p進整数)。thm-fil-gr-detect の 2 の証明で作った部分和 $s_q$ は $\mathbb{Z}$ の中で収束先をもたない。
4・5 行目:各 $\operatorname{gr}^pN=0$ なので $\operatorname{gr}f$ は全射であるが、$0\to\mathbb{Z}$ は全射でない。4 行目の $N$ は網羅的で分離的でなく、5 行目は分離的で網羅的でない。$M=0$ は完備である。
6 行目:$F^pA\cdot F^qA=(x^{p+q})\times k\subset F^{p+q}A$ であり($p< 0$ では $F^pA=A$ とする)、$1\in F^0A=A$ なので乗法的なフィルトレーションで、網羅的である。$\operatorname{gr}^pA=(x^p)/(x^{p+1})\times(k/k)\cong k\cdot x^p$ なので $\operatorname{gr}A\cong k[t]$ は整域である。しかし $\bigcap_pF^pA=0\times k\ne0$ で分離的でなく、$(1,0)(0,1)=0$ なので $A$ は零因子をもつ。
7 行目:スペクトル系列 の例「反例:下に有界でないフィルター」の複体である。各 $\operatorname{gr}^pC$($p\ge0$)は $\mathbb{Z}/2\mathbb{Z}\xrightarrow{3}\mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$ で、$3$ 倍は恒等写像なので非輪状であり、$p< 0$ では $\operatorname{gr}^pC=0$ である。このフィルトレーションは網羅的で分離的だが、$F^pC\ne0$ がすべての $p$ で成り立ち有限でない。一方 $H^1(C)=\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}\ne0$ である。
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