ジョイン

同義語:結(位相)join

概要

ジョイン(join、結)とは、二つの位相空間 $X,Y$ に対し、$X$ の各点と $Y$ の各点を線分で結んで得られる空間 $X\ast Y=(X\times Y\times[0,1]\sqcup X\sqcup Y)/\!\sim$($(x,y,0)\sim x$、$(x,y,1)\sim y$)のことである。一点とのジョインが錐、2 点離散空間とのジョインが懸垂であり、球面どうしでは $S^m\ast S^n\cong S^{m+n+1}$ になる。ジョインは可換で、コンパクト性を保ち、一方が可縮なら可縮になり、コンパクト Hausdorff 空間では $C(X\ast Y)\cong CX\times CY$ と結合律が成り立つ。Euclid 空間内の交わらない閉集合を線分で結んだ集合が表示の一意性を満たすとき結可能といい、抽象的なジョインと同相である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 位相空間, 直積位相, 商空間, 同値関係, 錐(位相)

定義

以下 $I:=[0,1]$ とし、直積には直積位相、直和 $\sqcup$ には直和位相、商には商位相(商空間)を入れる。

ジョイン

$X,Y$ を位相空間とする。直和 $X\times Y\times I\ \sqcup\ X\ \sqcup\ Y$ の上で、
$$ (x,y,0)\sim x,\qquad(x,y,1)\sim y\qquad(x\in X,\ y\in Y) $$
で生成される同値関係 $\sim$ による商空間を $X$ と $Y$ のジョイン(join、結)といい、$X\ast Y$ と書く。商写像を $q\colon X\times Y\times I\sqcup X\sqcup Y\to X\ast Y$ と書き、$(x,y,t)$ の類を $[x,y,t]$ と書く。$Y=\emptyset$ のときは $X\times Y\times I=\emptyset$ なので $X\ast\emptyset=X$ であり、同様に $\emptyset\ast Y=Y$ である。並置記法 $XY$ でジョインを表す文献もある。

標準的な記述

$X,Y$ がともに空でないとき、$X\times Y\times I$ の上の
$$ (x,y,0)\approx(x,y',0),\qquad(x,y,1)\approx(x',y,1)\qquad(x,x'\in X,\ y,y'\in Y) $$
で生成される同値関係 $\approx$ による商空間を $J$ とすると、包含 $X\times Y\times I\to X\times Y\times I\sqcup X\sqcup Y$ は同相写像 $J\to X\ast Y$ を誘導する。この同一視のもとで $x\in X$ は $[x,y,0]$($y$ によらない)、$y\in Y$ は $[x,y,1]$($x$ によらない)に対応し、$X\ast Y$ は「$X$ の各点と $Y$ の各点を線分 $\{[x,y,t]\mid t\in I\}$ で結んだ空間」である。

$p\colon X\times Y\times I\to J$ を商写像とする。合成 $X\times Y\times I\to X\times Y\times I\sqcup X\sqcup Y\xrightarrow{q}X\ast Y$ は連続であり、$X,Y\ne\emptyset$ なので $\sim$ の各同値類は $X\times Y\times I$ の点を含み、この合成は全射である。また $\sim$ を $X\times Y\times I$ に制限した関係は $\approx$ である($(x,y,0)\sim x\sim(x,y',0)$ であり、$X\sqcup Y$ の点を経由しない同一視は起こらない)。よって商位相の普遍性により連続な全単射 $\psi\colon J\to X\ast Y$ が誘導される。逆写像の連続性を示す。$y_0\in Y$、$x_0\in X$ を固定し、$\theta\colon X\times Y\times I\sqcup X\sqcup Y\to J$ を、$X\times Y\times I$ 上では $p$、$X$ 上では $x\mapsto p(x,y_0,0)$、$Y$ 上では $y\mapsto p(x_0,y,1)$ と定める。各成分は連続写像の合成なので $\theta$ は直和位相について連続であり、$\theta(x,y,0)=p(x,y,0)=p(x,y_0,0)=\theta(x)$、$\theta(x,y,1)=p(x,y,1)=p(x_0,y,1)=\theta(y)$ なので $\theta$ は $\sim$ と両立し、連続写像 $\bar\theta\colon X\ast Y\to J$ を誘導する。$\bar\theta\circ\psi$ と $\psi\circ\bar\theta$ は $X\times Y\times I$ の点の類の上で恒等であり、$J$ と $X\ast Y$ のすべての点はそのような類なので、$\bar\theta=\psi^{-1}$ である。$\square$

以下、$X,Y\ne\emptyset$ のときは $X\ast Y$ を join-prop-standard の $J$ と同一視し、$p\colon X\times Y\times I\to X\ast Y$ を商写像とする。

Euclid空間内の結

$X,Y\subset\mathbb{R}^N$ を互いに交わらない閉集合とする。部分集合
$$ Z:=\{(1-t)x+ty\mid x\in X,\ y\in Y,\ t\in I\}\subset\mathbb{R}^N $$
が、$t\in(0,1)$ の点についての表示の一意性、すなわち「$(1-t)x+ty=(1-t')x'+t'y'$、$t\in(0,1)$ ならば $(x,y,t)=(x',y',t')$」を満たすとき、$X$ と $Y$ は結可能(joinable)であるといい、$Z$ を $X$ と $Y$ の(Euclid空間内の)結といい、やはり $X\ast Y$ と書く(Kat88 の流儀)。結可能なとき、$X\ast Y$ は $X$ と $Y$ の点を結ぶ線分の合併であり、異なる線分は端点以外で交わらない。$X,Y$ がコンパクト(コンパクト空間)なら、この結は join-def のジョインと同相である(join-prop-geometric)。

直感

ジョインは「$X$ の各点と $Y$ の各点を線分で結ぶ」ことで得られる空間である。径数 $t$ は線分上の位置を表し、$t=0$ で $X$ 側の端点、$t=1$ で $Y$ 側の端点に退化する。$Y$ が一点なら $X$ のすべての点を一つの頂点に結んだ錐(位相) $CX$ が、$Y$ が 2 点なら $X$ の両側に頂点を一つずつ生やした懸垂 $SX$ が得られる(join-ex-cone-suspension)。単体(単体複体)の言葉では、互いに交わらない二つの面の結がそれらを張る単体であり(join-ex-simplex)、球面どうしのジョインはより高い次元の球面になる(join-prop-sphere)。ジョインは「両方の空間を同時に錐にして貼り合わせる」操作でもあり、$C(X\ast Y)\cong CX\times CY$(join-prop-cone)が成り立つ。

例

錐と懸垂
  1. 一点空間 $\{v\}$ とのジョイン $X\ast\{v\}$($X\ne\emptyset$)は $X$ の錐 $CX=(X\times I)/(X\times\{1\})$ である。実際 join-prop-standard により $X\ast\{v\}$ は $X\times\{v\}\times I\cong X\times I$ を $(x,v,1)\approx(x',v,1)$ で割った空間であり($t=0$ の同一視は $Y$ が一点なので自明)、これは $X\times\{1\}$ を一点に潰した空間、すなわち錐(位相)の記事の定義(頂点を $s=1$ 側にとる流儀)による $CX$ そのものである。頂点は $v$ に、底面は $X$ に対応する。
  2. 2 点離散空間 $S^0=\{v_+,v_-\}$ とのジョイン $X\ast S^0$ は、二つの錐 $X\ast\{v_+\}$、$X\ast\{v_-\}$ を底面 $X$ で貼り合わせた空間、すなわち $X\times[-1,1]$ の $X\times\{1\}$ と $X\times\{-1\}$ をそれぞれ一点に潰した $X$ の懸垂 $SX$ である。$X\ast S^0\cong SX$ は join-prop-sphere の証明と同じ極座標の写像で確かめられる。$X$ がコンパクト Hausdorff なら、結合律(join-thm-associative)と $S^{n-1}\cong S^0\ast\cdots\ast S^0$($S^0$ が $n$ 個、join-prop-sphere)により $S^{n-1}\ast X\cong S^0\ast\cdots\ast S^0\ast X$ は $X$ の $n$ 重懸垂 $S^nX$ である(Hat02 Chapter 0)。
球面どうしのジョイン

$S^0\ast S^0\cong S^1$ である:4 点 $\{v_+,v_-\}\ast\{w_+,w_-\}$ を結ぶ 4 本の線分が四角形の周をなす。一般に $S^m\ast S^n\cong S^{m+n+1}$ であり(join-prop-sphere)、$S^{n-1}\ast S^0\cong S^n$ は懸垂 $SS^{n-1}\cong S^n$ にほかならない。また Euclid 空間内の結として、$S^n\subset\mathbb{R}^{n+1}$ と原点 $\{0\}$ は結可能で、$S^n\ast\{0\}=\{(1-t)x\mid x\in S^n,\ t\in I\}$ は閉球体 $D^{n+1}$ である。これは $CS^n\cong D^{n+1}$(錐(位相)の記事の命題「球面の錐は円板」)と整合する。

単体の結

$\mathbb{R}^N$ のアフィン独立な点 $e_0,\ldots,e_{m+n+1}$ をとり、$X:=\operatorname{conv}\{e_0,\ldots,e_m\}$($m$ 単体。$\operatorname{conv}$ は凸包)、$Y:=\operatorname{conv}\{e_{m+1},\ldots,e_{m+n+1}\}$($n$ 単体)とする。$X,Y$ は交わらないコンパクト集合であり、$Z=\{(1-t)x+ty\}$ は $\operatorname{conv}\{e_0,\ldots,e_{m+n+1}\}$($(m+n+1)$ 単体)に一致する。表示の一意性は重心座標の一意性から従う:$z=(1-t)x+ty$ の重心座標は $x$ の重心座標を $(1-t)$ 倍、$y$ の重心座標を $t$ 倍したものであり、$t\in(0,1)$ なら $z$ の重心座標から $t$($e_{m+1},\ldots,e_{m+n+1}$ の成分の和)、$x$、$y$ が復元される。よって $X,Y$ は結可能で、$\Delta^m\ast\Delta^n\cong\Delta^{m+n+1}$ である。たとえば $\mathbb{R}^4$ 内の互いに交わらない線分 $\{(s,1-s,0,0)\}$ と $\{(0,0,s,1-s)\}$($s\in I$)の結は 3 単体である。単体複体 $K,L$ が交わらず結可能な位置にあるとき、$K$ の単体と $L$ の単体の結全体が単体複体 $K\ast L$ をなし、その多面体は $|K|\ast|L|$ である。

反例:結可能でない対

$X=\{0,1\}$、$Y=\{2\}$ を $\mathbb{R}$ の部分集合とすると、$X,Y$ は互いに交わらない閉集合であるが結可能でない。実際 $Z=[0,2]$ であり、点 $3/2$ は $(1-t)\cdot1+t\cdot2$($t=1/2$)とも $(1-t)\cdot0+t\cdot2$($t=3/4$)とも書けるので表示の一意性が破れる。満たす性質は「互いに交わらない閉集合であること」、満たさない性質は「結可能であること」であり、破れる含意は「交わらない閉集合の対は結可能である」である。線分 $[0,2]$ と $[1,2]$ が端点以外で重なることが原因である。一方、抽象的なジョイン $X\ast Y$(join-def)は任意の $X,Y$ に対して定義され、この例では 2 本の線分を一端で貼り合わせた空間、すなわち閉区間と同相である。結可能性は $\mathbb{R}^N$ 内の位置に関する条件であり、$X,Y$ を十分高い次元の互いに交わらない部分空間(たとえば $\mathbb{R}^N\times\{0\}\times\{0\}$ と $\{0\}\times\mathbb{R}^N\times\{1\}$)に置き直せばつねに結可能になる。

性質

端の空間と内部

$X,Y\ne\emptyset$ とする。

  1. $i_X\colon X\to X\ast Y$、$x\mapsto[x,y,0]$ と $i_Y\colon Y\to X\ast Y$、$y\mapsto[x,y,1]$ は閉集合の上への埋め込み(像への同相写像で像が閉集合)であり、$i_X(X)\cap i_Y(Y)=\emptyset$ である。
  2. $p$ の $X\times Y\times(0,1)$ への制限は、開集合 $X\ast Y\setminus(i_X(X)\cup i_Y(Y))$ の上への同相写像である。
  1. $y_0\in Y$ を固定すると $i_X$ は $x\mapsto(x,y_0,0)$ と $p$ の合成なので連続であり、$[x,y_0,0]=[x',y_0,0]$ なら $x=x'$ なので単射である。$A\subset X$ を閉集合とすると $p^{-1}(i_X(A))=A\times Y\times\{0\}$ は $X\times Y\times I$ の閉集合なので、商位相の定義により $i_X(A)$ は $X\ast Y$ の閉集合である。よって $i_X$ は閉写像であり、連続な単射閉写像は像への同相写像である。$A=X$ として像は閉集合である。$i_Y$ も同様である。$\approx$ は $t=0$ の点と $t=1$ の点を同一視しないので、$i_X(X)$ と $i_Y(Y)$ は交わらない。
  2. $t\in(0,1)$ の点 $(x,y,t)$ の同値類は一点なので、$p$ は $X\times Y\times(0,1)$ 上で単射である。$W\subset X\times Y\times(0,1)$ が $X\times Y\times I$ の開集合ならば $p^{-1}(p(W))=W$ なので $p(W)$ は開集合である。よって $p|_{X\times Y\times(0,1)}$ は連続な単射開写像、すなわち像への同相写像であり、$W=X\times Y\times(0,1)$ とすれば像 $X\ast Y\setminus(i_X(X)\cup i_Y(Y))$ は開集合である。$\square$
関手性と可換性
  1. 連続写像 $f\colon X\to X'$、$g\colon Y\to Y'$ に対し、$f\ast g\colon X\ast Y\to X'\ast Y'$、$[x,y,t]\mapsto[f(x),g(y),t]$($X$ 上では $f$、$Y$ 上では $g$)は矛盾なく定義された連続写像であり、$(f'\circ f)\ast(g'\circ g)=(f'\ast g')\circ(f\ast g)$、$\operatorname{id}_X\ast\operatorname{id}_Y=\operatorname{id}_{X\ast Y}$ が成り立つ。
  2. $[x,y,t]\mapsto[y,x,1-t]$($X$ 上、$Y$ 上では恒等)は同相写像 $X\ast Y\cong Y\ast X$ を与える。
  1. $X\times Y\times I\sqcup X\sqcup Y\to X'\ast Y'$ を、$(x,y,t)\mapsto q'(f(x),g(y),t)$、$x\mapsto q'(f(x))$、$y\mapsto q'(g(y))$ で定めると、直和の各成分上で連続写像の合成なので連続であり、$(x,y,0)\mapsto q'(f(x),g(y),0)=q'(f(x))$、$(x,y,1)\mapsto q'(g(y))$ なので $\sim$ と両立する。商位相の普遍性により $f\ast g$ が誘導される。合成則と恒等写像の保存は代表元の上で明らかである。
  2. $\Phi\colon X\times Y\times I\sqcup X\sqcup Y\to Y\times X\times I\sqcup Y\sqcup X$ を $(x,y,t)\mapsto(y,x,1-t)$、$x\mapsto x$、$y\mapsto y$ で定めると $\Phi$ は同相写像であり、$X\ast Y$ の同値関係の生成元 $(x,y,0)\sim x$、$(x,y,1)\sim y$ を $Y\ast X$ の生成元 $(y,x,1)\sim x$、$(y,x,0)\sim y$ にちょうど写す。よって $\Phi$ は連続な全単射 $X\ast Y\to Y\ast X$ を誘導し、$\Phi^{-1}$(同じ形の写像)が誘導する写像がその逆写像である。$\square$
コンパクト性

$X,Y$ がともにコンパクト空間ならば $X\ast Y$ もコンパクトである。

$X\times Y\times I$ はコンパクト空間の有限直積なのでコンパクトであり(Mun00 §26 Theorem 26.7)、有限個のコンパクト空間の直和 $X\times Y\times I\sqcup X\sqcup Y$ もコンパクトである。$X\ast Y$ はその連続像なのでコンパクトである。$\square$

錐との関係

$X,Y$ を空でないコンパクトHausdorff空間とする。このとき $C(X\ast Y)\cong CX\times CY$ である。ここで $C$ は錐(位相)の記事の意味の錐(頂点は $s=1$ 側)である。

$\ell\colon I\to I\times I$ を $\ell(t):=(0,1-2t)$($0\le t\le1/2$)、$(2t-1,0)$($1/2\le t\le1$)で定める。$\ell$ は連続な単射で、$\ell(0)=(0,1)$、$\ell(1/2)=(0,0)$、$\ell(1)=(1,0)$ であり、像は正方形 $I\times I$ の二辺 $\{0\}\times I\cup I\times\{0\}$(L 字形)である。$(\alpha,\beta)(t,s):=(1-s)\ell(t)+s(1,1)$ とおく。これは連続で、$I\times I$ の各点 $(a,b)$ は、$s:=\min\{a,b\}$ とおくと $s=1$ なら $(1,1)$、$s<1$ なら $(a-s,b-s)/(1-s)$ が L 字形上の点なのでその $\ell$ による逆像を $t$ として、$(a,b)=(\alpha,\beta)(t,s)$ とただ一通りに書ける($s<1$ のとき $t$ は $\ell$ の単射性から一意)。
$\Psi\colon X\times Y\times I\times I\to CX\times CY$ を $\Psi(x,y,t,s):=([x,\alpha(t,s)],[y,\beta(t,s)])$ で定める。各成分は連続写像の合成なので $\Psi$ は連続である。$t=0$ では $(\alpha,\beta)=(s,1)$ なので $\Psi(x,y,0,s)=([x,s],v_Y)$ は $y$ によらず、$t=1$ では $(\alpha,\beta)=(1,s)$ なので $\Psi(x,y,1,s)=(v_X,[y,s])$ は $x$ によらず、$s=1$ では $\Psi=(v_X,v_Y)$ である。ここで $v_X,v_Y$ は頂点である。したがって $\Psi$ は、まず $X\ast Y$ の同値関係と両立し、次に錐の同値関係($(X\ast Y)\times\{1\}$ を一点に潰す)と両立する。$C(X\ast Y)$ は $X\times Y\times I\times I\xrightarrow{p\times\operatorname{id}_I}(X\ast Y)\times I\to C(X\ast Y)$ という二つの写像の合成による商空間であり、$I$ は局所コンパクト空間かつ Hausdorff なので $p\times\operatorname{id}_I$ は商写像(Whitehead の補題、錐(位相)の記事の注意「Whiteheadの補題の扱い」)、商写像の合成は商写像である。よって $\Psi$ は連続写像 $\bar\Psi\colon C(X\ast Y)\to CX\times CY$ を誘導する。
$\bar\Psi$ は全射である:$([x,a],[y,b])$ に対し上のように $(t,s)$ をとれば $\Psi(x,y,t,s)$ がこれに等しい($a=1$ または $b=1$ の場合も含め、頂点の表示 $[x,1]=v_X$ を用いればよい)。$\bar\Psi$ は単射である:$\Psi(x,y,t,s)=\Psi(x',y',t',s')$ とすると $(\alpha,\beta)$ の値が等しい。$s=\min\{\alpha,\beta\}$ は $(\alpha,\beta)$ から決まるので $s=s'$ である。$s=1$ なら両者は錐の頂点の類である。$s<1$ なら上で見たように $t$ も $(\alpha,\beta)$ から一意に決まるので $(t,s)=(t',s')$ である。このとき $t\in(0,1)$ なら $\alpha,\beta<1$ なので $x=x'$、$y=y'$ である。$t=0$ なら $\alpha=s<1$ から $x=x'$ であり、$[x,y,0]=[x,y',0]$ なので同じ類である。$t=1$ も同様である。
$C(X\ast Y)$ はコンパクトである(join-prop-compact と錐(位相)の記事の命題「コンパクト性とHausdorff性」)。$CX\times CY$ は同じ命題により Hausdorff 空間の直積で Hausdorff である。コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続な全単射は同相写像である(Mun00 §26 Theorem 26.6)ので、$\bar\Psi$ は同相写像である。$\square$

コンパクトHausdorff空間のジョイン

$X,Y$ がコンパクト Hausdorff 空間ならば $X\ast Y$ もコンパクト Hausdorff 空間である。

コンパクト性は join-prop-compact による。$X$ または $Y$ が空なら $X\ast Y$ は $Y$ または $X$ なので Hausdorff である。ともに空でないとき、錐(位相)の記事の命題「底面の埋め込みと頂点の補集合」により $X\ast Y$ は $C(X\ast Y)$ の部分空間と同相であり、join-prop-cone により $C(X\ast Y)\cong CX\times CY$ は Hausdorff なので、その部分空間 $X\ast Y$ も Hausdorff である。$\square$

球面のジョイン公式

$m,n\ge0$ に対し $S^m\ast S^n\cong S^{m+n+1}$ である。

$S^m\subset\mathbb{R}^{m+1}$、$S^n\subset\mathbb{R}^{n+1}$ とし、$\mathbb{R}^{m+n+2}=\mathbb{R}^{m+1}\times\mathbb{R}^{n+1}$ とみなす。
$$ \Phi\colon S^m\times S^n\times I\to S^{m+n+1},\qquad\Phi(x,y,t):=\Bigl(\cos\frac{\pi t}{2}\,x,\ \sin\frac{\pi t}{2}\,y\Bigr) $$
は連続で、$\|\Phi(x,y,t)\|^2=\cos^2\frac{\pi t}{2}+\sin^2\frac{\pi t}{2}=1$ なので $S^{m+n+1}$ に値をとる。$t=0$ では $\Phi=(x,0)$ で $y$ によらず、$t=1$ では $\Phi=(0,y)$ で $x$ によらないので、$\Phi$ は $\approx$ と両立し、連続写像 $\bar\Phi\colon S^m\ast S^n\to S^{m+n+1}$ を誘導する。
全射性:$(u,v)\in S^{m+n+1}$($u\in\mathbb{R}^{m+1}$、$v\in\mathbb{R}^{n+1}$、$\|u\|^2+\|v\|^2=1$)に対し、$t:=\frac{2}{\pi}\arccos\|u\|\in I$ とおくと $\cos\frac{\pi t}{2}=\|u\|$、$\sin\frac{\pi t}{2}=\|v\|$ である。$u,v\ne0$ なら $x:=u/\|u\|$、$y:=v/\|v\|$ について $\Phi(x,y,t)=(u,v)$ であり、$v=0$ なら $t=0$ で $x:=u$、$y$ は任意、$u=0$ なら $t=1$ で $y:=v$、$x$ は任意とすればよい。
単射性:$\Phi(x,y,t)=\Phi(x',y',t')$ とする。第 1 成分のノルムから $\cos\frac{\pi t}{2}=\cos\frac{\pi t'}{2}$、したがって $t=t'$ である。$t\in(0,1)$ なら $\cos\frac{\pi t}{2},\sin\frac{\pi t}{2}>0$ なので $x=x'$、$y=y'$ である。$t=0$ なら $x=x'$ で、$[x,y,0]=[x,y',0]$ である。$t=1$ も同様である。よって $\bar\Phi$ は単射である。
$S^m\ast S^n$ はコンパクト(join-prop-compact)、$S^{m+n+1}$ は Hausdorff なので、連続な全単射 $\bar\Phi$ は同相写像である(Mun00 §26 Theorem 26.6)。$\square$

Euclid空間内の結との一致

$X,Y\subset\mathbb{R}^N$ を互いに交わらない空でないコンパクト集合とし、結可能であるとする。このとき写像 $[x,y,t]\mapsto(1-t)x+ty$ は、join-def のジョイン $X\ast Y$ から join-def-geometric の結 $Z$ への同相写像である。

$\Phi\colon X\times Y\times I\to Z$、$\Phi(x,y,t):=(1-t)x+ty$ は連続な全射であり、$t=0$ では $y$ に、$t=1$ では $x$ によらないので $\approx$ と両立し、連続な全射 $\bar\Phi\colon X\ast Y\to Z$ を誘導する。単射性を示す。$\Phi(x,y,t)=\Phi(x',y',t')=:z$ とする。$t\in(0,1)$ または $t'\in(0,1)$ なら、表示の一意性により $(x,y,t)=(x',y',t')$ である。$t,t'\in\{0,1\}$ のとき、$t=0$ かつ $t'=1$ なら $z=x=y'\in X\cap Y=\emptyset$ となり矛盾するので $t=t'$ であり、$t=t'=0$ なら $x=z=x'$ で $[x,y,0]=[x,y',0]$、$t=t'=1$ なら $y=y'$ で同じ類である。$X\ast Y$ はコンパクト(join-prop-compact)、$Z\subset\mathbb{R}^N$ は Hausdorff なので $\bar\Phi$ は同相写像である(Mun00 §26 Theorem 26.6)。$\square$

可縮性の遺伝

$X$ が可縮(可縮空間)ならば、任意の位相空間 $Y$ についてジョイン $X\ast Y$ は可縮である。

$Y=\emptyset$ なら $X\ast Y=X$ である。$Y\ne\emptyset$ とし(可縮な $X$ は空でない)、$H\colon X\times I\to X$ を $H(x,0)=x$、$H(x,1)=x_0$ を満たす収縮とする。
$K\colon(X\ast Y)\times I\to X\ast Y$ を $K([x,y,t],s):=[H(x,s),y,t]$ で定めたい。$t=0$ のとき右辺 $[H(x,s),y,0]$ は $y$ によらず、$t=1$ のとき $[H(x,s),y,1]=[x',y,1]$ は $x$ によらないので、対応は同値類の上で矛盾なく定まる。連続性:$(x,y,t,s)\mapsto p(H(x,s),y,t)$ は $X\times Y\times I\times I\to X\ast Y$ の連続写像であり、$p\times\operatorname{id}_I\colon X\times Y\times I\times I\to(X\ast Y)\times I$ は $I$ が局所コンパクト Hausdorff なので商写像である(Whitehead の補題、錐(位相)の記事の注意「Whiteheadの補題の扱い」)。この連続写像は $p\times\operatorname{id}_I$ の各ファイバー上で定値なので、商写像の普遍性により $K$ は連続である。$K_0=\operatorname{id}$ であり、$K_1([x,y,t])=[x_0,y,t]$ である。
次に $M\colon(X\ast Y)\times I\to X\ast Y$ を $M([x,y,t],s):=[x_0,y,(1-s)t]$ で定める。$t=0$ のとき右辺は $[x_0,y,0]=x_0$ で $x,y$ によらず、$t=1$ のとき $[x_0,y,1-s]$ は $x$ によらないので矛盾なく定まり、連続性は $K$ と同じ議論による。$M_0=K_1$、$M_1$ は値 $x_0$($=[x_0,y,0]$)の定値写像である。ホモトピーの記事の命題「ホモトピー関係は同値関係」の推移律により $\operatorname{id}_{X\ast Y}\simeq M_1$ であり、$X\ast Y$ は可縮である。$\square$

結合律

$X,Y,Z$ がコンパクト Hausdorff 空間ならば $(X\ast Y)\ast Z\cong X\ast(Y\ast Z)$ である。この同相写像のもとで、両辺は $X\times Y\times Z\times\Delta^2$($\Delta^2$ は 2 単体)を、重心座標 $(t_0,t_1,t_2)$ の $t_0=0$ の面で $x$ を忘れ、$t_1=0$ の面で $y$ を忘れ、$t_2=0$ の面で $z$ を忘れる同値関係で割った空間 $X\ast Y\ast Z$ と同一視される。

結合律の証明について

証明は Hat02 Chapter 0(join の項)に譲る。$(X\ast Y)\ast Z$ から $X\ast Y\ast Z$ への写像は $[\![x,y,t],z,u]\mapsto[x,y,z,((1-t)(1-u),t(1-u),u)]$ で与えられ、コンパクト Hausdorff の仮定のもとで join-prop-cone と同様に「コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続全単射」として同相写像であることが分かる。局所コンパクト Hausdorff 空間まで仮定を弱めることもできる。

補足

記号と流儀

ジョインの記号は $X\ast Y$ が標準的であるが、自由積の記号と同じなので、文脈によっては並置 $XY$ や $X\star Y$ を用いる。錐(位相)の記事は $X\star\{\ast\}$ と書いている。join-def の $\sim$ を $X\times Y\times I$ の上の関係 $\approx$(join-prop-standard)で置き換えた定義を採用する文献も多く、その場合は $X$ または $Y$ が空のときを別に約束する必要がある。本記事の定義は $X\ast\emptyset=X$ を自動的に含む。

CW複体のジョイン

$X,Y$ がCW複体のとき、$X\ast Y$ には $X$ の胞体 $e^a$、$Y$ の胞体 $e^b$ から作られる胞体 $e^a\ast e^b$(次元 $a+b+1$)と $X,Y$ の胞体からなる CW 構造が入り、$X$ と $Y$ は部分複体になる。ただし直積 $X\times Y$ の場合と同じく、$X,Y$ の一方が局所有限でないときは商位相より CW 位相の方が細かくなりうる(Hat02 Chapter 0、および Theorem A.6 の直積の CW 構造の議論)。

関連項目

参考文献

[1]
Allen Hatcher, Algebraic Topology, Cambridge University Press, 2002, Chapter 0(join・cone・suspension の項、結合律と CW 構造)、Appendix Theorem A.6(CW 複体の直積の位相)
[2]
James R. Munkres, Topology, Prentice Hall, 2000, §26 Theorem 26.6(コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続全単射は同相写像)、Theorem 26.7(有限直積のコンパクト性)
[3]
加藤十吉, 位相幾何学, 裳華房, 1988, 結(join)・錐・懸垂の定義と単体複体の結(旧記事の参考文献。章節は未確認)

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