座標平面(高校数学)

同義語:coordinate plane (high school mathematics)

概要

座標平面(coordinate plane)とは、原点 $O$ で垂直に交わり単位の長さが等しい 2 本の数直線($x$ 軸・$y$ 軸)を平面にとり、点 $P$ から各軸に下ろした垂線の足の目盛り $a$、$b$ の組 $(a,b)$ を $P$ の座標とした平面である。これにより平面の点と実数の順序のついた組は 1 対 1 に対応し、$x$ 座標が $a$ の点全体は $y$ 軸に平行な直線になり、点 $(a,b)$ と $x$ 軸・$y$ 軸・原点について対称な点はそれぞれ $(a,-b)$、$(-a,b)$、$(-a,-b)$ である。軸が垂直であることや単位が等しいことを外すと、軸の上の点の座標や長さの計算が崩れる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 数直線(高校数学)

高校での出発点:点の位置を 2 つの数で表す

数直線の上の点は 1 つの実数で表せる(数直線(高校数学))。平面の点を表すには、横と縦の 2 本の数直線を使う。横の数直線を $x$ 軸、縦の数直線を $y$ 軸とし、2 本を原点 $O$ で垂直に交わらせる。点 $P$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足の目盛りが $a$、$y$ 軸に下ろした垂線の足の目盛りが $b$ のとき、$P$ を $P(a,b)$ と書く。このように座標を定めた平面を 座標平面 という。

点の座標を読む

図 1 の点 $P$ から $x$ 軸に垂線を下ろすと、足の目盛りは $3$ である。$y$ 軸に垂線を下ろすと、足の目盛りは $2$ である。したがって $P$ の座標は $(3,2)$ である。

  1. 点 $Q(-2,1)$ は、$x$ 軸の目盛り $-2$ の点の真上、高さ $1$ の位置にある。
  2. 点 $R(-1,-3)$ は、$x$ 軸の目盛り $-1$ の点から真下へ $3$ の位置にある。
  3. 点 $(2,3)$ と点 $(3,2)$ は別の点である。座標は「$x$ 座標、$y$ 座標」の順に並べた組で、順番に意味がある。

座標平面の点 P(3, 2) と、x 軸・y 軸への垂線の足 3 と 2。ほかに点 Q(−2, 1)、R(−1, −3) と、第 1 象限から第 4 象限の位置を示す図 座標平面の点 P(3, 2) と、x 軸・y 軸への垂線の足 3 と 2。ほかに点 Q(−2, 1)、R(−1, −3) と、第 1 象限から第 4 象限の位置を示す図

点を移す

点 $P(3,2)$ を、右へ $1$、下へ $4$ だけ動かすと、$x$ 座標は $3+1=4$、$y$ 座標は $2-4=-2$ になり、点 $(4,-2)$ に移る。$x$ 軸について折り返すと、高さの符号だけが変わって点 $(3,-2)$ に移る。

この 2 つの例でも、当然のように次のことを使った。この記事では、それらをきちんと確かめる。

  1. 平面のどの点にも座標の組がちょうど 1 つあり、どの組にも点がちょうど 1 つあるのはなぜか。→ thm-cph-bijection
  2. 「$x$ 座標が $a$ の点全体」はどんな図形か。→ prop-cph-vertical
  3. $x$ 軸・$y$ 軸・原点について対称な点の座標は、なぜ符号を変えるだけで求まるのか。→ thm-cph-symmetric
  4. 軸が垂直でないと、何が困るのか。→ ex-cph-oblique
    図形の言葉座標の言葉この記事のボックス
    点実数の組 $(a,b)$def-cph-plane、thm-cph-bijection
    $y$ 軸に平行な直線$x=a$prop-cph-vertical
    第 1〜第 4 象限$x$ 座標・$y$ 座標の符号def-cph-quadrant
    軸・原点について対称な点符号を変えた組thm-cph-symmetric
    図形方程式を満たす点の集まりdef-cph-graph

座標平面の定義

平面の幾何で知られている次の事実を使う。この記事では証明せずに使う。

この記事で使う平面の事実
  1. 点 $P$ と直線 $\ell$ について、$P$ を通り $\ell$ に垂直な直線はちょうど 1 本ある。それと $\ell$ の交点を、$P$ から $\ell$ に下ろした 垂線の足 という($P$ が $\ell$ の上にあれば、足は $P$ 自身)。
  2. 同じ直線に垂直な 2 直線は平行であり、平行でない 2 直線はちょうど 1 点で交わる。
  3. 長方形の向かい合う辺の長さは等しい。
座標平面と座標

平面の上に、点 $O$ で垂直に交わる 2 本の数直線をとる。2 本の原点はどちらも $O$ で、単位の長さは等しいとする。横の数直線を $x$ 軸、縦の数直線を $y$ 軸、2 つを合わせて 座標軸 といい、$O$ を 原点 という。
点 $P$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足の、$x$ 軸での座標を $a$、$y$ 軸に下ろした垂線の足の、$y$ 軸での座標を $b$ とする。実数の組 $(a,b)$ を点 $P$ の 座標 といい、$a$ を $x$ 座標、$b$ を $y$ 座標 という。点 $P$ を $P(a,b)$ と書く。座標を定めた平面を 座標平面 という。

ふつうは $x$ 軸を右向き、$y$ 軸を上向きを正の向きにとる。$x$ 軸の上の点 $A$ の座標は $(a,0)$ の形である。$A$ から $y$ 軸に下ろした垂線の足は $O$ だからである($x$ 軸は $y$ 軸に $O$ で垂直に交わる)。同じように、$y$ 軸の上の点の座標は $(0,b)$ の形で、原点の座標は $(0,0)$ である。

点と実数の組の 1 対 1 対応

座標平面では、どの点にも座標がちょうど 1 つあり、どの実数の組 $(a,b)$ にも、座標が $(a,b)$ の点がちょうど 1 つある。

垂線の足を 2 つの軸で決める

方針:点から組へは垂線の足が 1 つに決まることを使い、組から点へは、2 本の垂線の交点を作る。
段 1(点から組へ)。点 $P$ をとる。rem-cph-facts の 1 により、$P$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足はちょうど 1 つあり、数直線(高校数学) の「点と実数の 1 対 1 対応」により、その足の $x$ 軸での座標はちょうど 1 つである。$y$ 軸についても同じなので、$P$ の座標 $(a,b)$ はちょうど 1 つに決まる。
段 2(組から点を作る)。実数の組 $(a,b)$ をとる。$x$ 軸の上で座標が $a$ の点を $A$、$y$ 軸の上で座標が $b$ の点を $B$ とする。$A$ を通り $x$ 軸に垂直な直線を $m$、$B$ を通り $y$ 軸に垂直な直線を $n$ とする。$m$ と $y$ 軸はどちらも $x$ 軸に垂直なので平行であり(rem-cph-facts の 2)、$n$ と $x$ 軸も平行である。もし $m$ と $n$ が平行なら、$y$ 軸と $x$ 軸も平行になってしまうので、$m$ と $n$ は平行でなく、ちょうど 1 点 $P$ で交わる。
段 3(作った点の座標が $(a,b)$ であること)。$P$ は $m$ の上にあり、$m$ は $A$ を通って $x$ 軸に垂直なので、$P$ から $x$ 軸に下ろした垂線は $m$ で、足は $A$ である。同じように、$P$ から $y$ 軸に下ろした垂線の足は $B$ である。よって $P$ の座標は $(a,b)$ である。
段 4(ただ 1 つであること)。座標が $(a,b)$ の点 $P'$ があれば、$P'$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足は $A$ なので、$P'$ は $A$ を通り $x$ 軸に垂直な直線 $m$ の上にある。同じく $P'$ は $n$ の上にある。$m$ と $n$ の交点は $P$ だけなので、$P'=P$ である。$\square$

証明の段 2・段 3 から、次のこともわかる。

$x$ 座標が一定の点の集まり

実数 $a$ について、$x$ 座標が $a$ の点全体は、$x$ 軸の点 $(a,0)$ を通り $x$ 軸に垂直な直線($y$ 軸に平行な直線)である。同じように、$y$ 座標が $b$ の点全体は、点 $(0,b)$ を通り $y$ 軸に垂直な直線($x$ 軸に平行な直線)である。

垂線の足が $A$ であることを言いかえる

方針:「$x$ 座標が $a$」を「$x$ 軸への垂線の足が $A(a,0)$」と言いかえる。
$A$ を $x$ 軸の上で座標が $a$ の点、$m$ を $A$ を通り $x$ 軸に垂直な直線とする。点 $P$ の $x$ 座標が $a$ であることは、定義により $P$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足が $A$ であることである。足が $A$ なら、垂線は $A$ を通って $x$ 軸に垂直なので $m$ であり、$P$ は $m$ の上にある。逆に $P$ が $m$ の上にあれば、$P$ を通り $x$ 軸に垂直な直線は $m$ で(rem-cph-facts の 1 のただ 1 本)、その足は $A$ である。したがって、$x$ 座標が $a$ の点全体は $m$ である。$y$ 座標についても同じである。$\square$

座標軸に平行な直線
  1. $x$ 座標が $2$ の点 $(2,-1)$、$(2,0)$、$(2,5)$ は、すべて $x$ 軸の点 $2$ を通る縦の直線の上にある。この直線を「直線 $x=2$」と呼ぶ。
  2. $y$ 座標が $-1$ の点全体は、$y$ 軸の点 $-1$ を通る横の直線で、「直線 $y=-1$」と呼ぶ。直線 $x=2$ と直線 $y=-1$ の交点は $(2,-1)$ である。
  3. $x$ 軸そのものは直線 $y=0$、$y$ 軸は直線 $x=0$ である。

$x=a$ の直線の上を動く点では、$y$ 座標が「その直線の上の目盛り」になっている。点 $P(a,y)$ と $H(a,0)$ について、$a\ne0$、$y\ne0$ なら $O$、$H$、$P$、$B(0,y)$ は長方形の 4 頂点で、rem-cph-facts の 3 により $HP=OB=|y|$ である。また $P$ は $B$ を通り $x$ 軸に平行な直線の上にあるので、$x$ 軸に対して $B$ と同じ側、つまり $y>0$ なら上側、$y< 0$ なら下側にある。つまり $y$ は、$H$ を原点とし上を正の向きとした縦の数直線の座標である($a=0$ なら直線は $y$ 軸そのもの、$y=0$ なら $P=H$ で、どちらもそのまま成り立つ)。$y=b$ の直線の上でも、同じように $x$ 座標が横の数直線の座標になる。

象限

象限

座標軸は、軸の上にない平面の点を 4 つの部分に分ける。点 $(x,y)$ について

部分条件
第 1 象限$x>0$ かつ $y>0$
第 2 象限$x< 0$ かつ $y>0$
第 3 象限$x< 0$ かつ $y< 0$
第 4 象限$x>0$ かつ $y< 0$

とし、これらを 象限 という。座標軸の上の点($x=0$ または $y=0$ の点)は、どの象限にも入れない(象限の名前と番号の付け方は Abr21 の §2.1 にもある)。

$x$ 座標の符号は「$y$ 軸の右か左か」、$y$ 座標の符号は「$x$ 軸の上か下か」を表すので(前節の最後の段落)、象限は図 1 のように右上から反時計回りに並ぶ。

象限を判定する
  1. $(3,2)$ は第 1 象限、$(-2,1)$ は第 2 象限、$(-1,-3)$ は第 3 象限、$(4,-2)$ は第 4 象限にある。
  2. $(0,5)$ は $y$ 軸の上、$(-3,0)$ は $x$ 軸の上の点で、どの象限にも入らない。
  3. 点 $(t,\,t^2-1)$ が第 4 象限にあるのは、$t>0$ かつ $t^2-1< 0$、つまり $0< t< 1$ のときである。

軸と原点について対称な点

直線 $\ell$ について点 $P$ と 対称な点 とは、$P$ が $\ell$ の上にないときは、$\ell$ が線分 $PQ$ の垂直二等分線になる点 $Q$ のことで、$P$ が $\ell$ の上にあるときは $P$ 自身のことである。点 $O$ について $P$ と対称な点とは、$O$ が線分 $PQ$ の中点になる点 $Q$ のこと($P=O$ なら $O$ 自身)である。

対称な点の座標

点 $P(a,b)$ について、

  1. $x$ 軸について対称な点は $(a,-b)$、
  2. $y$ 軸について対称な点は $(-a,b)$、
  3. 原点について対称な点は $(-a,-b)$
    である。
垂線の上の数直線と、合同な直角三角形を使う

方針:1 は、$P$ を通る縦の直線の上で中点の公式を使う。2 は 1 と同じ。3 は、1 と 2 で得た点が本当に原点について対称であることを、合同な三角形で確かめる。
段 1(1 の証明)。$b=0$ なら $P$ は $x$ 軸の上にあり、対称な点は $P=(a,0)=(a,-b)$ である。$b\ne0$ とし、対称な点を $Q$ とする。$x$ 軸は $PQ$ に垂直なので、$Q$ は $P$ を通り $x$ 軸に垂直な直線、つまり直線 $x=a$ の上にあり(prop-cph-vertical)、$PQ$ と $x$ 軸の交点 $H(a,0)$ が $PQ$ の中点である。直線 $x=a$ の上では、$y$ 座標が $H$ を原点とする数直線の座標になっている(前の節の最後の段落)。$Q$ の $y$ 座標を $d$ とすると、数直線(高校数学) の「中点の座標」により、中点 $H$ の座標 $0$ は $\dfrac{b+d}2$ に等しく、$d=-b$ である。よって $Q=(a,-b)$ である。
段 2(2 の証明)。$x$ と $y$ の役割を入れかえて段 1 と同じことをすると、$y$ 軸について対称な点は $(-a,b)$ である。
段 3(3 の、$P$ が軸の上にある場合)。$b=0$ なら、$P(a,0)$ と対称な点 $Q$ は直線 $PO$、つまり $x$ 軸の上にあり($a=0$ なら $Q=O$)、$x$ 軸の上で $O$ が中点なので、数直線(高校数学) の「中点の座標」から $Q$ の $x$ 座標 $c$ は $\dfrac{a+c}2=0$、$c=-a$ である。よって $Q=(-a,0)=(-a,-b)$ である。$a=0$($P$ が $y$ 軸の上)のときは、$x$ と $y$ の役割を入れかえて同じようにすると $Q=(0,-b)=(-a,-b)$ となる。
段 4(3 の、$a\ne0$ かつ $b\ne0$ の場合)。$Q:=(-a,-b)$ とおき、$O$ が $PQ$ の中点であることを示す。$H(a,0)$、$H'(-a,0)$ とおく。三角形 $OHP$ と三角形 $OH'Q$ で、$OH=OH'=|a|$($x$ 軸の上の距離)、$HP=H'Q=|b|$(前の節の最後の段落)、$\angle OHP=\angle OH'Q=90^\circ$ なので、2 辺とその間の角が等しく、2 つの三角形は合同である。よって $OP=OQ$、$\angle HOP=\angle H'OQ$ である。$H$ と $H'$ は $O$ をはさんで $x$ 軸の反対側にあり、$P$ と $Q$ は $x$ 軸の反対側にある($b$ と $-b$ は符号が違う)。$\angle HOQ=180^\circ-\angle H'OQ=180^\circ-\angle HOP$ なので、$\angle POQ=\angle POH+\angle HOQ=180^\circ$ である。したがって $P$、$O$、$Q$ は一直線上にあって $O$ は $P$ と $Q$ の間にあり、$OP=OQ$ なので $O$ は $PQ$ の中点である。対称な点はただ 1 つなので(数直線(高校数学) の「中点の座標」を直線 $PO$ の上で使う)、それは $(-a,-b)$ である。$\square$

対称な点を求める

点 $P(3,2)$ について、$x$ 軸について対称な点は $(3,-2)$、$y$ 軸について対称な点は $(-3,2)$、原点について対称な点は $(-3,-2)$ である(図 2)。

  1. 原点について対称な点 $(-3,-2)$ は、$x$ 軸について折り返した $(3,-2)$ を、さらに $y$ 軸について折り返した点でもある。
  2. $P$ が第 1 象限にあれば、3 つの対称な点はそれぞれ第 4・第 2・第 3 象限にある。$a$、$b$ の符号の変わり方が象限の移り方を決める。

点 P(3, 2) と、x 軸について対称な点 (3, −2)、y 軸について対称な点 (−3, 2)、原点について対称な点 (−3, −2) の位置を示す図 点 P(3, 2) と、x 軸について対称な点 (3, −2)、y 軸について対称な点 (−3, 2)、原点について対称な点 (−3, −2) の位置を示す図
この定理は、図形を折り返す・平行移動するときの式の変わり方の出発点である。点の移動と、方程式で表した図形の移り方は グラフの平行移動と対称移動 で扱う。直線 $y=x$ について対称な点が $(b,a)$ になることは、距離の公式を使って 2点間の距離 で確かめる。

方程式の表す図形

座標を使うと、図形を「条件を満たす点の集まり」として式で表せる。

方程式の表す図形

$x$、$y$ についての等式や不等式が与えられたとき、それを満たす点 $(x,y)$ 全体の集まりを、その式の 表す図形 という。

式が表す図形
  1. $x=2$ の表す図形は、prop-cph-vertical により、点 $(2,0)$ を通り $y$ 軸に平行な直線である。
  2. $y=2x-1$ の表す図形には、$(0,-1)$、$(1,1)$、$(2,3)$ が入り、$(1,2)$ は入らない($2\cdot1-1=1\ne2$)。この図形が直線になることは 直線の方程式と点と直線の距離 で扱う。
  3. $xy>0$ の表す図形は、$x$ と $y$ が同じ符号の点全体で、第 1 象限と第 3 象限を合わせたものである(def-cph-quadrant)。

不等式の表す図形(直線で区切られた半分の平面など)は 不等式の表す領域と線形計画法 で扱う。

例と反例

座標平面の定義の決めごとを 1 つずつ外すと、何が崩れるかを確かめる。

外した仮定崩れる主張ボックス
2 本の軸が垂直$x$ 軸の上の点の $y$ 座標は $0$ex-cph-oblique
2 本の軸の単位が等しい座標の差が同じなら実際の長さも同じex-cph-units
座標を順序のついた組にする点と座標が 1 対 1 に対応する(thm-cph-bijection)ex-cph-unordered
反例:軸が垂直でないとき

$x$ 軸と $y$ 軸の正の向きのなす角を $60^\circ$ にし、単位は等しいまま、定義どおり垂線の足で座標を読むとする。$x$ 軸の上の点 $A$ で $x$ 軸の目盛りが $2$ のものから $y$ 軸に垂線を下ろすと、足を $F$ として三角形 $OAF$ は $F$ が直角で $\angle AOF=60^\circ$ の直角三角形になり、$OF=OA\cos60^\circ=2\cdot\dfrac12=1$ である。したがって $A$ の座標は $(2,1)$ になり、$x$ 軸の上にあるのに $y$ 座標が $0$ でない。
軸が垂直でないときは、垂線の代わりに軸に平行な直線で目盛りを読む 斜交座標 を使うことが多い(点の存在範囲と凸結合)。それでも、長さや角の計算は直交する軸の場合より複雑になる。

反例:軸の単位が違うとき

$x$ 軸の単位を $1\,\mathrm{cm}$、$y$ 軸の単位を $2\,\mathrm{cm}$ にとる。$A(1,0)$、$B(0,1)$ は、どちらも原点との座標の差が $1$ だが、実際の長さは $OA=1\,\mathrm{cm}$、$OB=2\,\mathrm{cm}$ で異なる。点 $C(1,1)$ と原点の実際の距離は、三平方の定理から $\sqrt{1^2+2^2}=\sqrt5\,\mathrm{cm}$ で、両方の単位が $1\,\mathrm{cm}$ のときの $\sqrt2\,\mathrm{cm}$ とは違う。図形の長さを座標で計算するには、2 本の軸の単位をそろえる必要がある。

反例:順序を忘れた組

点に、座標の 2 つの数を順序を区別せずに「数の集まり $\{a,b\}$」として対応させるとする。$(2,3)$ と $(3,2)$ はどちらも $\{2,3\}$ に対応するので、異なる 2 点に同じものが対応し、1 対 1 にならない。$(a,b)=(c,d)$ は $a=c$ かつ $b=d$ のことであり、この順序の区別が thm-cph-bijection には欠かせない。

大学数学で見る:実数の組の集合 $\mathbb{R}^2$

座標平面と $\mathbb{R}^2$
  1. 実数の順序のついた組 $(a,b)$ 全体の集合を $\mathbb{R}\times\mathbb{R}=\mathbb{R}^2$ と書く(2 つの集合の 直積集合)。thm-cph-bijection は、座標が「平面の点全体」から $\mathbb{R}^2$ への 1 対 1 の対応を与えることを述べている。大学の数学では、この対応を通して平面を $\mathbb{R}^2$ そのものと見ることが多い。
  2. $\mathbb{R}^2$ には、成分ごとの和 $(a,b)+(c,d)=(a+c,b+d)$ と実数倍 $k(a,b)=(ka,kb)$ が入り、ベクトル の空間になる。ex-cph-move の平行移動は、組 $(1,-4)$ を足すことにあたる。
  3. 平面の点の表し方は直交する軸だけではない。原点からの距離と向きで表す極座標は 極座標と極方程式 で扱い、空間の点を 3 つの数の組で表すことは 空間座標と球面の方程式 で扱う。

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関連項目

参考文献

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