内分点・外分点の座標(coordinates of division points)とは、異なる 2 点 $A(x_1,y_1)$、$B(x_2,y_2)$ を結ぶ線分を正の数の比 $m:n$ に内分する点が $\left(\frac{nx_1+mx_2}{m+n},\frac{ny_1+my_2}{m+n}\right)$、$m\ne n$ のとき外分する点がその $n$ を $-n$ に替えた式で表されるという公式である。符号つきの比 $\lambda=\frac{p-a}{b-p}$ を使うと内分と外分は $p=\frac{a+\lambda b}{1+\lambda}$ にまとまり、直線上の $B$ 以外の点と $-1$ 以外の実数 $\lambda$ が 1 対 1 に対応する。$1:1$ の外分点がないのは $\lambda=-1$ に対応する点がないためである。
数学 II では、線分を決まった比に分ける点の座標を、次の公式で求める。2 点 $A$、$B$ を結ぶ線分 $AB$ を $m:n$ に内分する点は
$$
\frac{na+mb}{m+n}\quad(\text{数直線}),\qquad \left(\frac{nx_1+mx_2}{m+n},\ \frac{ny_1+my_2}{m+n}\right)\quad(\text{平面})
$$
で、外分する点は、この式の $n$ を $-n$ に替えたものである。ここで数直線では $A$、$B$ の座標を $a$、$b$、平面では $A(x_1,y_1)$、$B(x_2,y_2)$ とする。まず公式を使う計算を見る。
数直線上に $A(2)$、$B(8)$ をとる(図 1)。
数直線上の A = 2、B = 8。2:1 に内分する点 P = 6、2:1 に外分する点 Q = 14、1:2 に外分する点 R = −4 の位置を見る図
$A(-1,3)$、$B(5,-3)$ とする(図 2)。
A(−1, 3)、B(5, −3) と、AB を 1:2 に内分する点 P(1, 1)、3:1 に外分する点 Q(8, −6)。点線は x 軸への垂線で、x 座標だけを見ても同じ比になっている
公式を使う計算は短いが、次のような疑問が残る。この記事ではそれに答える。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 大学の言葉 |
|---|---|---|
| 内分点 $\dfrac{na+mb}{m+n}$ | 重み $\dfrac n{m+n}$、$\dfrac m{m+n}$ の平均(thm-cdp-line) | 凸結合 |
| 外分点は $n$ を $-n$ に | 符号つきの比 $\lambda=-\dfrac mn$(cor-cdp-unified) | 係数の和が $1$ の結合(アフィン結合) |
| $1:1$ の外分点はない | $\lambda=-1$ に対応する点がない(thm-cdp-ratio) | 無限遠点、1 次分数変換 |
| 重心 $\dfrac{x_1+x_2+x_3}3$ | 中線を $2:1$ に内分する点(cor-cdp-centroid) | 3 点の重みの等しい平均 |
| 同じ比の内分点と外分点 | 逆数の和が一定(prop-cdp-harmonic) | 複比が $-1$(調和点列) |
$A$、$B$ を異なる 2 点、$m$、$n$ を正の数とする。
$AP:PB=m:n$ は、長さの比の等式で、$n\cdot AP=m\cdot PB$ と同じ意味である。定義の中で「直線 $AB$ 上」を仮定していることに注意する。この仮定を外すと、比の条件を満たす点は直線上にとどまらない(ex-cdp-off-line)。
数直線上の $A(0)$、$B(6)$ について、
数直線では、2 点の距離は座標の差の絶対値で、$AP=|p-a|$ である。絶対値を外すために、「$P$ が $A$ と $B$ の間にある」ことを符号で言いかえる。
数直線上の異なる 2 点 $A(a)$、$B(b)$ と、$A$、$B$ のどちらとも異なる点 $P(p)$ について、
方針:$a< b$ のときに示し、$a>b$ のときは $A$ と $B$ の役割を入れかえる。
段 1($a< b$ のとき)。$P$ が線分 $AB$ 上にあることは $a< p< b$、つまり $p-a>0$ かつ $b-p>0$ である。$p-a<0$ かつ $b-p<0$ となることは、$p< a$ かつ $p>b$ で $a< b$ に反するので起こらない。したがって「$(p-a)(b-p)>0$(2 つの因数が同じ符号)」は「$p-a>0$ かつ $b-p>0$」と同値で、1 が成り立つ。$p\ne a$、$p\ne b$ なので積は $0$ ではなく、線分上にないことは積が負であることと同値で、2 も成り立つ。
段 2($a>b$ のとき)。$(p-a)(b-p)=(p-b)(a-p)$ なので、式は $A$ と $B$ を入れかえても変わらない。段 1 を $b< a$ に使えばよい。$\square$
間にあるかどうかは、長さだけでも判定できる。これは平面の公式の証明(prf-cdp-plane)で使う。
数直線上の異なる 2 点 $A(a)$、$B(b)$ と、$A$、$B$ のどちらとも異なる点 $P(p)$ について、
方針:$a< b$ のときに、$P$ が $A$ の手前・$A$ と $B$ の間・$B$ の先のどこにあるかで分けて、$AP$、$PB$ を絶対値なしで書く。$a>b$ のときは $A$ と $B$ を入れかえれば同じである($AP+PB$ も $|AP-PB|$ も入れかえで変わらない)。
段 1($a< p< b$ のとき)。$AP=p-a$、$PB=b-p$ なので
$$
AP+PB=(p-a)+(b-p)=b-a=AB,\qquad |AP-PB|=|2p-a-b|
$$
である。$a< p< b$ から $2a<2p<2b$、各辺から $a+b$ を引いて $-(b-a)<2p-a-b< b-a$ なので、$|AP-PB|< AB$ である。
段 2($p>b$ のとき)。$AP=p-a$、$PB=p-b$ なので
$$
AP-PB=(p-a)-(p-b)=b-a=AB,\qquad AP+PB=(b-a)+2(p-b)>b-a=AB
$$
である($p-b>0$)。
段 3($p< a$ のとき)。$AP=a-p$、$PB=b-p$ なので
$$
PB-AP=(b-p)-(a-p)=b-a=AB,\qquad AP+PB=(b-a)+2(a-p)>b-a=AB
$$
である($a-p>0$)。
段 4(まとめ)。$P$ は $A$、$B$ と異なるので、段 1〜3 のどれか 1 つにあたる。$AP+PB=AB$ となるのは段 1 のときだけなので 1 が成り立つ。$|AP-PB|=AB$ となるのは段 2・段 3 のときだけ(段 1 では $|AP-PB|< AB$)なので 2 が成り立つ。$\square$
数直線上の異なる 2 点 $A(a)$、$B(b)$ と正の数 $m$、$n$ について、
方針:比の条件 $n\cdot AP=m\cdot PB$ を $n|p-a|=m|b-p|$ と書き、lem-cdp-between で絶対値を外して $p$ の 1 次方程式にする。解いたあとで、解が本当に内分点・外分点の条件を満たすことを確かめる。
段 1(内分点の方程式)。$P(p)$ が内分点なら、$P$ は $A$、$B$ と異なり、線分 $AB$ 上にあるので、lem-cdp-between の 1 により $p-a$ と $b-p$ は同じ符号である。すると $n|p-a|=m|b-p|$ は $n(p-a)=m(b-p)$ と同値である(同じ符号の数 $u$、$v$ と正の数 $n$、$m$ について、$n|u|=m|v|$ と $nu=mv$ は同値)。
段 2(解く)。$n(p-a)=m(b-p)$ を展開して $np-na=mb-mp$、移項して $(m+n)p=na+mb$、$m+n>0$ で割って $p=\dfrac{na+mb}{m+n}$ である。内分点があれば、この値しかない。
段 3(確かめる)。$p=\dfrac{na+mb}{m+n}$ とおくと
$$
p-a=\frac{na+mb-(m+n)a}{m+n}=\frac{m(b-a)}{m+n},\qquad b-p=\frac{(m+n)b-na-mb}{m+n}=\frac{n(b-a)}{m+n}
$$
である。積は $\dfrac{mn(b-a)^2}{(m+n)^2}>0$ なので、lem-cdp-between の 1 により $P$ は線分 $AB$ 上にある。また $|p-a|:|b-p|=m|b-a|:n|b-a|=m:n$ である。よって $P$ は内分点で、1 が示された。
段 4(外分点)。$P$ が外分点なら、lem-cdp-between の 2 により $p-a$ と $b-p$ は異なる符号なので、$n|p-a|=m|b-p|$ は $n(p-a)=-m(b-p)$ と同値である。展開すると $np-na=-mb+mp$、移項して $(n-m)p=na-mb$、$m\ne n$ なので $p=\dfrac{na-mb}{n-m}=\dfrac{-na+mb}{m-n}$ である。
段 5(確かめる)。この $p$ について、段 3 と同じ計算で
$$
p-a=\frac{m(b-a)}{m-n},\qquad b-p=\frac{-n(b-a)}{m-n}
$$
となる。積は $-\dfrac{mn(b-a)^2}{(m-n)^2}<0$ なので $P$ は線分の外にあり、$|p-a|:|b-p|=m:n$ である。よって $P$ は外分点で、2 が示された。$\square$
prf-cdp-line の段 3 の式 $p-a=\dfrac m{m+n}(b-a)$ は、「$A$ から $B$ へ向かって、全体の $\dfrac m{m+n}$ だけ進んだ点」という意味である。外分点では段 5 の式 $p-a=\dfrac m{m-n}(b-a)$ で、
平面の公式は、$x$ 座標と $y$ 座標のそれぞれに数直線の公式を使って得られる。つなぎに使うのは、中学校で学ぶ「平行線と線分の比」である:平行な何本かの直線が 2 本の直線と交わるとき、それらが切り取る線分の長さの比は、2 本の直線の上で等しい(平行線と線分の比。この記事では証明しない)。
異なる 2 点 $A(x_1,y_1)$、$B(x_2,y_2)$ と正の数 $m$、$n$ について、線分 $AB$ を $m:n$ に内分する点の座標は
$$
\left(\frac{nx_1+mx_2}{m+n},\ \frac{ny_1+my_2}{m+n}\right)
$$
であり、$m\ne n$ のとき $m:n$ に外分する点の座標は
$$
\left(\frac{-nx_1+mx_2}{m-n},\ \frac{-ny_1+my_2}{m-n}\right)
$$
である。
方針:$x$ 座標について示す($y$ 座標は $y$ 軸に移して同じように示せる)。内分点 $P$ について書き、外分点も同じ手順で示せることを最後に述べる。
段 1($x_1\ne x_2$ のとき、垂線を下ろす)。$A$、$P$、$B$ から $x$ 軸に垂線を下ろし、その足を $A'(x_1)$、$P'(p)$、$B'(x_2)$ とする。3 本の垂線は互いに平行である。$x_1\ne x_2$ なので直線 $AB$ は垂線と平行でなく、3 本の垂線は直線 $AB$ と $x$ 軸の両方に交わる。
段 2(比と位置が移る)。平行線と線分の比により、3 本の垂線が直線 $AB$ から切り取る線分 $AP$、$PB$、$AB$ の長さの比は、$x$ 軸から切り取る線分 $A'P'$、$P'B'$、$A'B'$ の長さの比に等しい。$P$ は線分 $AB$ を $m:n$ に内分するので、$AP:PB=m:n$ で、$P$ は線分 $AB$ 上にあるから $AB=AP+PB$ である。よって $AP:PB:AB=m:n:(m+n)$ で、
$$
A'P'=\frac m{m+n}\,A'B',\qquad P'B'=\frac n{m+n}\,A'B'
$$
である。$A'B'=|x_2-x_1|>0$ なので $A'P'>0$、$P'B'>0$ で、$P'$ は $A'$、$B'$ のどちらとも異なる。さらに
$$
A'P'+P'B'=\frac{m+n}{m+n}\,A'B'=A'B'
$$
なので、lem-cdp-between-length の 1 により、$P'$ は $x$ 軸上で線分 $A'B'$ 上にある。$A'P':P'B'=m:n$ と合わせて、$P'$ は線分 $A'B'$ を $m:n$ に内分する。
段 3(数直線の公式)。thm-cdp-line の 1 により $p=\dfrac{nx_1+mx_2}{m+n}$ である。$P$ の $x$ 座標は $P'$ の座標 $p$ に等しいので、主張の $x$ 座標が得られた。
段 4($x_1=x_2$ のとき)。直線 $AB$ は $y$ 軸に平行で、その上の点はすべて $x$ 座標が $x_1$ である。公式の値も $\dfrac{nx_1+mx_1}{m+n}=x_1$ で一致する。
段 5(外分点)。外分点 $P$ では、$P$ は直線 $AB$ 上で線分 $AB$ の外にあるので $AB=|AP-PB|$ である(直線 $AB$ に目盛りをつけて数直線とみなし、lem-cdp-between-length の 2 を使う)。よって $AP:PB:AB=m:n:|m-n|$ で、段 2 と同じく平行線と線分の比から
$$
A'P'=\frac m{|m-n|}\,A'B',\qquad P'B'=\frac n{|m-n|}\,A'B'
$$
である。どちらも正なので $P'$ は $A'$、$B'$ と異なり、
$$
|A'P'-P'B'|=\frac{|m-n|}{|m-n|}\,A'B'=A'B'
$$
である。lem-cdp-between-length の 2 により $P'$ は線分 $A'B'$ の外にあり、$A'P':P'B'=m:n$ なので、$P'$ は線分 $A'B'$ を $m:n$ に外分する。thm-cdp-line の 2 を使えば外分の式が得られる。$x_1=x_2$ のときも、公式の値は $\dfrac{-nx_1+mx_1}{m-n}=x_1$ である。$\square$
図 2 の点線は、この証明の垂線である(数値での確かめは ex-cdp-hs-plane の 1)。
prf-cdp-line の段 3・段 5 では、$p-a$ と $b-p$ を $b-a$ の定数倍で表した。内分点と外分点の違いは、この 2 つが同じ符号か異なる符号かだけである。そこで、符号まで含めた比を考える。
数直線上の異なる 2 点 $A(a)$、$B(b)$ と、$B$ と異なる点 $P(p)$ について、
$$
\lambda=\frac{p-a}{b-p}
$$
を、$P$ が線分 $AB$ を分ける 符号つきの比 という。$P=A$ なら $\lambda=0$ である。
数直線上の異なる 2 点 $A(a)$、$B(b)$ と正の数 $m$、$n$ について、
方針:prf-cdp-line の段 3・段 5 の式で $\lambda$ を計算し、それを 2 の式に代入して thm-cdp-line の式と比べる。
段 1(内分点の $\lambda$)。prf-cdp-line の段 3 により $p-a=\dfrac{m(b-a)}{m+n}$、$b-p=\dfrac{n(b-a)}{m+n}$ なので
$$
\lambda=\frac{p-a}{b-p}=\frac{m(b-a)}{n(b-a)}=\frac mn
$$
である($b-a\ne0$)。
段 2(外分点の $\lambda$)。段 5 により $p-a=\dfrac{m(b-a)}{m-n}$、$b-p=\dfrac{-n(b-a)}{m-n}$ なので
$$
\lambda=\frac{m(b-a)}{-n(b-a)}=-\frac mn
$$
である。
段 3(1 つの式)。$\lambda=\pm\dfrac mn$ で、内分なら $\lambda>0$、外分なら $m\ne n$ なので、どちらも $\lambda\ne-1$ である。$\lambda=\dfrac mn$ のとき、分母・分子に $n$ を掛けて
$$
\frac{a+\frac mn b}{1+\frac mn}=\frac{na+mb}{n+m}
$$
で、thm-cdp-line の 1 の座標に等しい。$\lambda=-\dfrac mn$ のとき、同じく
$$
\frac{a-\frac mn b}{1-\frac mn}=\frac{na-mb}{n-m}=\frac{-na+mb}{m-n}
$$
で、thm-cdp-line の 2 の座標に等しい。$\square$
「外分は $n$ を $-n$ に替える」は、「比 $\dfrac mn$ を $-\dfrac mn$ に替える」ことである(cor-cdp-unified)。
ex-cdp-hs-line の $A(2)$、$B(8)$ で、
$\lambda$ はどんな値でもとれるのか。答えは「$-1$ 以外のすべての実数」である。
数直線上の異なる 2 点 $A(a)$、$B(b)$ をとる。$B$ と異なる点 $P(p)$ に符号つきの比 $\lambda=\dfrac{p-a}{b-p}$ を対応させると、これは「$B$ 以外の点」と「$-1$ 以外の実数」の 1 対 1 の対応になる。逆の対応は $\lambda\mapsto p=\dfrac{a+\lambda b}{1+\lambda}$ である。
方針:(1) $\lambda$ が $-1$ にならないこと、(2) $-1$ 以外のどの $\lambda$ にも対応する点があること、(3) その点がただ 1 つであることを順に示す。
段 1($-1$ にならない)。$\dfrac{p-a}{b-p}=-1$ とすると、分母を払って $p-a=-(b-p)=p-b$、両辺から $p$ を引いて $-a=-b$、つまり $a=b$ となり、$A\ne B$ に反する。
段 2(対応する点がある)。$\lambda\ne-1$ とし、$p=\dfrac{a+\lambda b}{1+\lambda}$ とおく。
$$
p-a=\frac{a+\lambda b-a-\lambda a}{1+\lambda}=\frac{\lambda(b-a)}{1+\lambda},\qquad b-p=\frac{b+\lambda b-a-\lambda b}{1+\lambda}=\frac{b-a}{1+\lambda}
$$
である。$b-a\ne0$ なので $b-p\ne0$、つまり $p\ne b$ である。比をとると $\dfrac{p-a}{b-p}=\lambda$ である。
段 3(ただ 1 つ)。$B$ と異なる点 $P(p)$ が $\dfrac{p-a}{b-p}=\lambda$ を満たすとする。分母を払うと $p-a=\lambda(b-p)$、移項して $(1+\lambda)p=a+\lambda b$ で、$1+\lambda\ne0$ なので $p=\dfrac{a+\lambda b}{1+\lambda}$ である。$\square$
$\lambda$ の値と点の位置の関係をまとめると、次のようになる(lem-cdp-between と段 2 の式から読める)。
| $\lambda$ の範囲 | 点 $P$ の位置 |
|---|---|
| $\lambda>0$ | 線分 $AB$ の内部(内分点) |
| $\lambda=0$ | $A$ |
| $-1<\lambda<0$ | $A$ の外側($m< n$ の外分点) |
| $\lambda<-1$ | $B$ の外側($m>n$ の外分点) |
| $\lambda=-1$ | 対応する点がない |
$a=0$、$b=1$ とすると $\lambda=\dfrac p{1-p}$ である(図 3)。
A = 0、B = 1 のときの、点 P の座標 p と符号つきの比 λ = p/(1 − p) の対応。λ = −1 の水平線にはグラフが届かない
$1:1$ の外分点がないことは、thm-cdp-ratio では「$\lambda=-1$ に対応する点がない」ことである。比を $1:1$ に近づけると、外分点は限りなく遠くへ行く(ex-cdp-equal-ratio)。
三角形の頂点と、向かい合う辺の中点を結ぶ線分を 中線 という。内分点の公式を使うと、3 本の中線が 1 点で交わることと、その点の座標が分かる。
三角形 $ABC$ の頂点を $A(x_1,y_1)$、$B(x_2,y_2)$、$C(x_3,y_3)$ とする。3 本の中線は 1 点
$$
G\left(\frac{x_1+x_2+x_3}3,\ \frac{y_1+y_2+y_3}3\right)
$$
で交わり、$G$ は各中線を頂点の側から $2:1$ に内分する。$G$ を三角形の 重心 という。
方針:中線 $AM$ を $2:1$ に内分する点の座標を計算し、それが $A$、$B$、$C$ について対称な式であることから、ほかの 2 本の中線でも同じ点になることを示す。
段 1(中点)。辺 $BC$ の中点 $M$ は、ex-cdp-plane の (1) により $M\left(\dfrac{x_2+x_3}2,\dfrac{y_2+y_3}2\right)$ である。
段 2($2:1$ の内分点)。中線 $AM$ を $2:1$ に内分する点の $x$ 座標は、thm-cdp-plane で $m=2$、$n=1$ として
$$
\frac{1\cdot x_1+2\cdot\frac{x_2+x_3}2}{2+1}=\frac{x_1+x_2+x_3}3
$$
である。$y$ 座標も同じ計算で $\dfrac{y_1+y_2+y_3}3$ である。この点を $G$ とする。
段 3(ほかの中線)。辺 $CA$ の中点を $N$ として中線 $BN$ を $2:1$ に内分する点を段 1・段 2 と同じように計算すると、$x_1$、$x_2$、$x_3$ の役割が入れかわるだけで、$x$ 座標は $\dfrac{x_2+x_3+x_1}3$ になる。これは段 2 と同じ値である。$y$ 座標も同じである。中線 $CL$($L$ は辺 $AB$ の中点)でも同じである。
段 4(結論)。$G$ は 3 本の中線のどれの上にもあり、それぞれを頂点の側から $2:1$ に内分する。2 本の中線は 1 点でしか交わらない(異なる 2 直線の交点は 1 つ)ので、3 本の中線は $G$ で交わる。$\square$
三角形 A(−1, 3)、B(5, −3)、C(2, 6) の 3 本の中線(四角は辺の中点)。3 本は重心 G(2, 2) で交わる
重心は 3 つの頂点の座標の平均である。座標を使わない図形的な証明は 三角形の重心(高校数学) で、ベクトルでの書き方は 位置ベクトルと内分点 で扱う。平均が「各点からの距離の 2 乗の和を最小にする点」になることは 平均値と二乗誤差 と同じ構造である。
同じ比 $m:n$ で内分する点と外分する点には、きれいな関係がある。
数直線上の異なる 2 点 $A(a)$、$B(b)$ と、正の数 $m\ne n$ について、線分 $AB$ を $m:n$ に内分する点を $P(p)$、外分する点を $Q(q)$ とする。このとき
$$
\frac1{p-a}+\frac1{q-a}=\frac2{b-a}
$$
が成り立つ。特に $a< b$、$m>n$ のときは $AP=p-a$、$AQ=q-a$、$AB=b-a$ なので、$\dfrac1{AP}+\dfrac1{AQ}=\dfrac2{AB}$ である。
方針:prf-cdp-line の段 3・段 5 で求めた $p-a$、$q-a$ の式を代入する。
段 1。prf-cdp-line の段 3 により $p-a=\dfrac{m(b-a)}{m+n}$、段 5 により $q-a=\dfrac{m(b-a)}{m-n}$ である。どちらも $0$ でないので逆数がとれる。
段 2。逆数の和は
$$
\frac{m+n}{m(b-a)}+\frac{m-n}{m(b-a)}=\frac{(m+n)+(m-n)}{m(b-a)}=\frac{2m}{m(b-a)}=\frac2{b-a}
$$
である。
段 3(特別な場合)。$a< b$ なら $b-a=AB>0$ である。$P$ は $A$ と $B$ の間にあるので $p-a=AP>0$ である。$m>n$ なら $q-a=\dfrac{m(b-a)}{m-n}>0$ なので $q-a=AQ$ である。代入して $\dfrac1{AP}+\dfrac1{AQ}=\dfrac2{AB}$ を得る。$\square$
$\dfrac1{AP}+\dfrac1{AQ}=\dfrac2{AB}$ は、$AB$ が $AP$ と $AQ$ の 調和平均(逆数の平均の逆数)$\dfrac{2}{\frac1{AP}+\frac1{AQ}}$ であることを言っている。
prop-cdp-harmonic の $P$、$Q$ の符号つきの比は $\lambda_P=\dfrac mn$、$\lambda_Q=-\dfrac mn$ で、比をとると $\dfrac{\lambda_P}{\lambda_Q}=-1$ である。一般に、4 つの数 $z$、$w$、$u$、$v$ に対して
$$
(z,w;u,v)=\frac{z-u}{z-v}\cdot\frac{w-v}{w-u}
$$
を 複比 という(Hit18 の Definition 3.4.10)。$\dfrac{p-a}{p-b}=-\lambda_P$、$\dfrac{q-b}{q-a}=-\dfrac1{\lambda_Q}$ なので、$(p,q;a,b)=\dfrac{\lambda_P}{\lambda_Q}=-1$ である。複比が $-1$ になる 4 点を 調和点列 といい、$P$、$Q$ は $A$、$B$ に関して調和共役であるという。
thm-cdp-ratio の対応 $p\mapsto\lambda=\dfrac{p-a}{b-p}$ は、$\dfrac{\alpha p+\beta}{\gamma p+\delta}$ の形の関数(1 次分数変換)である。1 次分数変換は複比を変えない(Hit18 の Theorem 3.4.12。この記事では証明しない)ので、調和点列であることは 1 次分数変換で保たれる。
thm-cdp-ratio の対応は「$B$ 以外の点」と「$-1$ 以外の実数」の対応なので、点の側では $B$ が、$\lambda$ の側では $-1$ が対応から外れている。点の側だけに「無限遠点」を 1 つ付け加えて $\lambda=-1$ に対応させても、今度は $B$ に対応する $\lambda$ がない。そこで $\lambda$ の側にも無限遠点 $\infty$ を 1 つ付け加えて、点 $B$ に対応させる。こうすると、両側とも「数直線に無限遠点を 1 つ加えたもの」になり、その間の 1 対 1 の対応が得られる。$p$ が限りなく遠ざかると $\lambda$ は $-1$ に近づき、$p$ が $b$ に近づくと $|\lambda|$ が限りなく大きくなる(ex-cdp-ratio、図 3)ので、この付け加え方は自然である。数直線に無限遠点を 1 つ加えたものを 射影直線 という(射影空間)。1 次分数変換は、漸化式を解く道具としても 分数型の漸化式と1次分数変換 に現れる。
軌跡の求め方 で見た Apollonius の円(2 点からの距離の比が $m:n$ の点の軌跡)は、$AB$ を $m:n$ に内分する点と外分する点、つまり $A$、$B$ に関して調和共役な 2 点を直径の両端とする円である。
内分点の公式の係数 $\dfrac n{m+n}$、$\dfrac m{m+n}$ も、外分点の公式の係数 $\dfrac{-n}{m-n}$、$\dfrac m{m-n}$ も、和が $1$ である。係数の和が $1$ の結合 $sa+tb$($s+t=1$)を アフィン結合 といい、係数がどちらも $0$ 以上のものを 凸結合 という。内分点は凸結合、外分点は凸結合でないアフィン結合である。
係数の和が $1$ であることは、「原点をどこにとっても同じ点を表す」ことを保証する。座標をすべて $h$ だけずらす($a\mapsto a+h$、$b\mapsto b+h$)と、$s(a+h)+t(b+h)=sa+tb+(s+t)h=sa+tb+h$ で、結果もちょうど $h$ だけずれる。係数の和が $1$ でないと、ずれ方が $h$ と一致しない(ex-cdp-translation)。平面や空間でのこの性質は、ベクトルの言葉で 位置ベクトルと内分点 で証明する。
公式の仮定を外すと何が起こるかを確かめる。
| 外した仮定 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 外分では $m\ne n$ | 外分点が存在する | ex-cdp-equal-ratio |
| $A\ne B$ | 比から点がただ 1 つ決まる | ex-cdp-same-point |
| $P$ は直線 $AB$ 上 | 比が $m:n$ の点は内分点と外分点の 2 つだけ | ex-cdp-off-line |
| 比 $m:n$ を $A$ の側から $AP:PB$ の順に読む | 公式 $\dfrac{na+mb}{m+n}$ が求める点を与える($m\ne n$ なら、順序を取り違えると中点に関して対称な別の点になる) | ex-cdp-order |
| 係数の和が $1$ | 原点をずらしても同じ点を表す | ex-cdp-translation |
数直線上の $A(0)$、$B(1)$ を $m:m$ に外分する点 $P(p)$ があるとすると、prf-cdp-line の段 4 の式は $m(p-0)=-m(1-p)$、つまり $mp=-m+mp$ で、$0=-m$ となり $m>0$ に反する。外分点はない。
比を $1:1$ に近づけると、外分点は遠くへ行く。$A(0)$、$B(1)$ を $m:n$ に外分する点は $\dfrac{m}{m-n}$ で、$11:10$ なら $11$、$101:100$ なら $101$ である。
$A=B=3$ とする。公式に代入すると、どの $m$、$n$ でも内分の式は $\dfrac{3n+3m}{m+n}=3$ で、点 $A$ そのものを返す。しかし $P=A$ では $AP=PB=0$ で、$AP:PB$ は $m:n$ という比の意味をもたない。$P\ne A$ なら $AP=PB>0$ なので比は $1:1$ しかありえない。2 点が一致すると、比による点の指定は意味を失う。
$A(0,0)$、$B(3,0)$ について、$PA:PB=2:1$ を満たす点 $P$ を平面全体で探すと、中心 $(4,0)$、半径 $2$ の円になる(軌跡の求め方)。たとえば $(4,2)$ では $PA=\sqrt{16+4}=2\sqrt5$、$PB=\sqrt{1+4}=\sqrt5$ で、比は $2:1$ だが、直線 $AB$($x$ 軸)の上にない。この円と $x$ 軸の交点は $(2,0)$ と $(6,0)$ で、それぞれ $AB$ を $2:1$ に内分する点、外分する点である。「直線 $AB$ 上」の仮定があって初めて、比の条件を満たす点が 2 つに絞られる。
$A(2)$、$B(8)$ を $2:1$ に内分する点は $6$、$1:2$ に内分する点は $\dfrac{2\cdot2+1\cdot8}3=4$ で、別の点である。2 点は中点 $5$ に関して対称な位置にある。$m:n$ は「$A$ の側から見た比」なので、順序を入れかえると点が変わる。外分でも、$2:1$ では $14$、$1:2$ では $-4$ で、$B$ の外側と $A$ の外側に分かれる。
$A(2)$、$B(8)$ を $2:1$ に内分する点は $6$ である。原点を $2$ だけ右にずらして座標を $A(0)$、$B(6)$ に替えると、内分点は $\dfrac{1\cdot0+2\cdot6}3=4$ で、元の座標に直すと $4+2=6$ となり、同じ点を表す。
一方、$m+n$ で割るのを忘れた式 $na+mb$ を使うと、元の座標では $1\cdot2+2\cdot8=18$、ずらした座標では $1\cdot0+2\cdot6=12$ で、元の座標に直すと $14$ になり、$18$ と一致しない。係数 $1$、$2$ の和が $3\ne1$ なので、原点の取り方で答えが変わってしまう。
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