Zariskiの連結性定理(Zariski's connectedness theorem)とは、局所 Noether スキーム $Y$ への固有射 $f\colon X\to Y$ が $f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ をみたすとき、すべてのファイバーが空でなく連結であるという定理である。形式関数の定理により、ファイバーの無限小近傍の関数の極限は局所環 $\widehat{\mathcal{O}_{Y,y}}$ に一致し、局所環は自明でない冪等元をもたないことから従う。平坦な局所環への底変換により、ファイバーは剰余体を広げても連結である。正規な $Y$ への双有理な固有射などに当てはまり、ブローアップの例外集合が点の上でつながっていることを保証する。
Zariskiの連結性定理(Zariski's connectedness theorem)とは、局所 Noether スキーム $Y$ への固有射 $f\colon X\to Y$ が $f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ をみたすならば、$f$ のすべてのファイバー $X_y=f^{-1}(y)$ は空でなく連結空間である、という定理である。
条件 $f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ は「$Y$ の開集合 $V$ の逆像 $f^{-1}(V)$ の上の関数は、$V$ の上の関数を引き戻したものしかない」という意味である。もしあるファイバーが 2 つに割れていれば、その片方の近くで $1$、もう片方の近くで $0$ になる関数が作れそうに思える。連結性定理は、この直観を形式関数の定理で正確にしたものである。ファイバーの無限小近傍の上の関数の極限は $\mathcal{O}_{Y,y}$ の完備化に一致し、完備化は局所環なので、自明でない冪等元をもたない。
代表的な使い方は、正規な $Y$ への双有理な固有射(ブローアップや特異点解消)である。このときファイバーは連結であり、例外集合は点の上で 1 つにつながっている。この記事では主定理を証明し、ファイバーが体を広げても連結なまま(幾何学的に連結)であることを示し、Zariski の元の形と例・反例を述べる。
ファイバー $X_y$ は $X\times_Y\operatorname{Spec}\kappa(y)$ であり($\kappa(y)$ は $y$ の剰余体)、その底空間は $f^{-1}(y)$ である。
$Y$ を局所Noetherスキーム、$f\colon X\to Y$ を固有射とし、自然な射 $\mathcal{O}_Y\to f_*\mathcal{O}_X$ が同型であるとする。このとき、すべての $y\in Y$ についてファイバー $X_y$ は空でなく連結である。とくに $f$ は全射である。
証明の代数的な核は次の補題である。
局所環 $B$ の冪等元($e^2=e$)は $0$ と $1$ だけである。したがって、$0$ でない 2 つの環の直積 $R'\times R''$ と同型な環は局所環でない。
$e^2=e$ なら $e(1-e)=0$ である。$e+(1-e)=1$ は極大イデアルに入らないので、$e$ と $1-e$ の少なくとも一方は単元である。$e$ が単元なら $1-e=0$、$1-e$ が単元なら $e=0$ である。直積 $R'\times R''$ では $(1,0)$ が冪等元で、$R'\ne0$、$R''\ne0$ なら $0$ とも $1$ とも異なる。
$y\in Y$ を固定する。仮定と結論は $y$ の開近傍への制限で変わらないので、$Y$ を $y$ の Noether なアフィン開近傍に取り替えてよい。$n\ge0$ について
$$
X_n:=X\times_Y\operatorname{Spec}\bigl(\mathcal{O}_{Y,y}/\mathfrak{m}_y^{n+1}\bigr)
$$
とおく($\mathfrak{m}_y$ は $\mathcal{O}_{Y,y}$ の極大イデアル)。$X_0=X_y$ であり、各 $X_n$ の底空間は $f^{-1}(y)$ である。$R_n:=\Gamma(X_n,\mathcal{O}_{X_n})$ とおくと、閉埋め込み $X_n\hookrightarrow X_{n+1}$ は単位元を保つ環準同型 $R_{n+1}\to R_n$ を与える。
形式関数の定理を $i=0$、連接層 $\mathcal{O}_X$ に当てはめると、自然な写像 $\widehat{(f_*\mathcal{O}_X)_y}\to\varprojlim_nR_n$ は同型である。この写像は環準同型 $\Gamma(f^{-1}(V),\mathcal{O}_X)\to R_n$($V$ は $y$ の開近傍)から作られるので、環の同型である。仮定 $(f_*\mathcal{O}_X)_y=\mathcal{O}_{Y,y}$ により、左辺は Noether 局所環の完備化 $\widehat{\mathcal{O}_{Y,y}}$ であり、これは局所環で、とくに $0$ でない(完備化)。こうして
$$
\widehat{\mathcal{O}_{Y,y}}\;\cong\;\varprojlim_nR_n\qquad(\text{環の同型})
$$
を得る。
空でないこと。 $f^{-1}(y)=\emptyset$ なら各 $X_n$ は空スキームで $R_n=0$ となり、右辺は $0$ である。これは左辺が $0$ でないことに反する。
連結であること。 $f^{-1}(y)=T'\sqcup T''$ を、空でない 2 つの開かつ閉な部分集合への分解とする。各 $X_n$ の構造層は底空間 $f^{-1}(y)$ の上の環の層なので、層の公理から
$$
R_n=\mathcal{O}_{X_n}(T')\times\mathcal{O}_{X_n}(T'')
$$
であり、推移写像 $R_{n+1}\to R_n$ はこの分解を保つ(同じ空間の上の環の層の射の、開集合ごとの写像だからである)。$T'$ の点 $x$ での茎 $\mathcal{O}_{X_n,x}$ は局所環で $1\ne0$ なので、$\mathcal{O}_{X_n}(T')$ でも $1\ne0$ である。$T''$ についても同じである。射影極限は直積と交換するので
$$
\varprojlim_nR_n=\varprojlim_n\mathcal{O}_{X_n}(T')\times\varprojlim_n\mathcal{O}_{X_n}(T'')
$$
であり、各因子は元 $(1)_n\ne0$ をもつので $0$ でない。すると局所環 $\widehat{\mathcal{O}_{Y,y}}$ が $0$ でない 2 つの環の直積になり、lem-zct-idempotent に反する。よって $X_y$ は連結である。
すべてのファイバーが空でないので、$f$ は全射である。
位相空間として連結でも、剰余体を広げると割れるファイバーがある(ex-zct-counterexamples の 4 行目)。$y\in Y$ のファイバー $X_y$ が幾何学的に連結(geometrically connected)であるとは、$\kappa(y)$ の任意の拡大体 $K$ について $X_y\times_{\kappa(y)}\operatorname{Spec}K$ が連結であることをいう。主定理の仮定のもとでは、ファイバーは幾何学的にも連結である。証明には、関数の平坦な底変換についての次の補題を使う。
$X$ を有限個のアフィン開集合 $V_i=\operatorname{Spec}C_i$ で覆う。$X$ は分離的なので $V_i\cap V_j$ もアフィンで、$\operatorname{Spec}C_{ij}$ と書ける(対角射が閉埋め込みなので、$V_i\cap V_j$ はアフィンスキーム $V_i\times_RV_j$ の閉部分スキームと同型である。Har77 II 演習 4.3、p. 106)。層の公理により
$$
0\to\Gamma(X,\mathcal{O}_X)\to\prod_iC_i\rightrightarrows\prod_{i,j}C_{ij}
$$
は等化子の図式であり、2 本の射の差をとれば完全列 $0\to\Gamma(X,\mathcal{O}_X)\to\prod_iC_i\to\prod_{i,j}C_{ij}$ になる。$R'$ は平坦で、積は有限なので、$\otimes_RR'$ を施しても完全である。一方 $V_i\times_RR'=\operatorname{Spec}(C_i\otimes_RR')$ は $X'$ のアフィン開被覆で、その交わりは $(V_i\cap V_j)\times_RR'=\operatorname{Spec}(C_{ij}\otimes_RR')$ である。$X'$ について同じ完全列を書けば、$\Gamma(X',\mathcal{O}_{X'})$ は $\Gamma(X,\mathcal{O}_X)\otimes_RR'$ と同じ核として得られる。
thm-zct-main の仮定のもとで、すべての $y\in Y$ についてファイバー $X_y$ は幾何学的に連結である。
$y\in Y$ と拡大体 $K\supset\kappa(y)$ をとる。$Y$ を $y$ の Noether なアフィン開近傍 $\operatorname{Spec}R$ に取り替え、$B:=\mathcal{O}_{Y,y}$ とおく。Noether 局所環 $B'$ と平坦な局所準同型 $B\to B'$ で、$B'/\mathfrak{m}_yB'$ が $\kappa(y)$ 上 $K$ と同型になるものが存在する(EGA3 第 0 章 10.3.1、p. 20。この記事では証明しない)。$\mathfrak{m}_yB'$ は $B'$ の極大イデアルである。
$Y':=\operatorname{Spec}B'$、$X':=X\times_YY'$、$f'\colon X'\to Y'$ を底変換とする。$f'$ は固有である(固有射 の定理「合成・底変換・積で閉じること」)。$f$ が射影的なら $f'$ も射影的である($\mathbb{P}^N_Y$ への閉埋め込みは $\mathbb{P}^N_{Y'}$ への閉埋め込みに底変換される)。
$f'_*\mathcal{O}_{X'}=\mathcal{O}_{Y'}$ を示す。$b\in B'$ について、$R\to R_{\mathfrak{p}}=B\to B'\to B'_b$ は平坦な準同型の合成なので平坦である($\mathfrak{p}$ は $y$ に対応する素イデアル)。$X$ は $R$ 上固有なので準コンパクトかつ分離的であり、$f'^{-1}(D(b))=X\times_RB'_b$ だから、lem-zct-flat-base-change と $\Gamma(X,\mathcal{O}_X)=\Gamma(Y,f_*\mathcal{O}_X)=R$ から
$$
\Gamma(f'^{-1}(D(b)),\mathcal{O}_{X'})\cong R\otimes_RB'_b=B'_b
$$
である。これは $b$ について制限と両立するので、$\mathcal{O}_{Y'}\to f'_*\mathcal{O}_{X'}$ は基本開集合の上で同型、したがって同型である。
$Y'$ は Noether なので、thm-zct-main を $f'$ と $Y'$ の閉点 $y'$ に当てはめると、ファイバー $X'_{y'}$ は連結である。ファイバー積の推移性から
$$
X'_{y'}=X\times_Y\operatorname{Spec}\bigl(B'/\mathfrak{m}_yB'\bigr)\cong X\times_Y\operatorname{Spec}K=X_y\times_{\kappa(y)}\operatorname{Spec}K
$$
である。よって $X_y\times_{\kappa(y)}\operatorname{Spec}K$ は連結である。
$f$ が射影的なら、この証明で使う主定理は射影射の場合なので、上の存在定理を除いて証明はこの記事の中で完結している。主張は EGA3 4.3.4(pp. 131–132)にある。
$f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ は、関数体についての条件から得られることが多い。
$V=\operatorname{Spec}A\subset Y$ をアフィン開集合とし、$C:=\Gamma(f^{-1}(V),\mathcal{O}_X)$ とおく。$f$ は優越的なので $f^{-1}(V)$ は整スキーム $X$ の空でない開集合であり、$C$ は生成点での茎への写像で $K(X)$ に埋め込まれる。$A\to C\to K(X)$ は単射 $A\subset K(Y)\subset K(X)$ と一致するので、$A\subset C\subset K(X)$ である。$f_*\mathcal{O}_X$ は連接層なので(固有射 の定理「固有射による連接層の押し出し」)、$C$ は有限生成 $A$ 加群であり、$C$ の各元は $A$ 上整である。$c\in C$ は $K(Y)$ 上代数的なので、仮定から $c\in K(Y)$ である。$Y$ が正規な整スキームなので $A$ は整閉整域であり、$c\in A$ となる。よって $C=A$、すなわち $f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ である。残りは thm-zct-main と thm-zct-geometric による。双有理なら $K(X)=K(Y)$ なので仮定はみたされる。
双有理な場合は Zariski の主定理の古典的な形であり(Har77 III.11.4、p. 280。$f$ が射影的な場合)、Zariskiの主定理 と 形式関数の定理 の系「双有理な固有射に対する Zariski の主定理」でも扱われている。$X$ が正規な場合の同じ判定法は Stein分解 の系「ファイバーが連結になるための判定法」にある。$Y$ が正規でない場合も、$X$、$Y$ が局所 Noether な整スキームで $f$ が優越的な固有射なら、$X_y$ の連結成分の個数は $\mathcal{O}_{Y,y}$ の $K(X)$ における整閉包の極大イデアルの個数以下である(EGA3 4.3.5、p. 132。この記事では証明しない)。
主定理と Stein分解 を合わせると、固有射 $f$ のファイバー $X_y$ の連結成分は、Stein 分解 $X\to Y'\to Y$ の有限射 $Y'\to Y$ のファイバーの点と 1 対 1 に対応する(Stein分解 の定理「Stein 分解の存在と性質」の 4)。連結性定理は、その分解の前半 $X\to Y'$ についての主張である。
$Y$ を局所 Noether スキーム、$f\colon X=\mathbb{P}^N_Y\to Y$ を射影とする。$Y$ のアフィン開集合 $\operatorname{Spec}A$ の上で $\Gamma(\mathbb{P}^N_A,\mathcal{O})=A$ なので(射影空間上の直線束のコホモロジー の定理「射影空間上の直線束のコホモロジー」の 1 で $d=0$)、$f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ である。ファイバー $\mathbb{P}^N_{\kappa(y)}$ は幾何学的に連結である。主定理はこの事実を、$f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ をみたすすべての固有射に広げたものと読める。
$k$ を体、$A=k[x,y]$、$\mathfrak{m}=(x,y)$ とし、$\pi\colon X=\mathrm{Bl}_0\mathbb{A}^2_k\to\mathbb{A}^2_k$ を原点のブローアップとする。$\pi$ は射影的な双有理射で、$\mathbb{A}^2_k$ は正規なので、cor-zct-normal により $\pi_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_{\mathbb{A}^2}$ であり、原点の上のファイバー $E=\pi^{-1}(0)\cong\mathbb{P}^1_k$(例外曲線)は連結である。
主定理の証明の極限 $\varprojlim_nR_n$ は、ここでは直接計算できる。結果は $R_n\cong A/\mathfrak{m}^{n+1}$ で、極限は局所環 $k[\![x,y]\!]$ である。
$X$ は $U_1=\operatorname{Spec}k[x,u]$($y=xu$)と $U_2=\operatorname{Spec}k[v,y]$($x=vy$)で覆われ、$\mathcal{I}:=\mathfrak{m}\mathcal{O}_X$ は $U_1$ 上で $x$、$U_2$ 上で $y$ が生成する可逆なイデアル層である。$E$ は $\mathcal{I}$ の零点で、$E\cap U_1=\operatorname{Spec}k[u]$、$E\cap U_2=\operatorname{Spec}k[v]$、重なりで $v=1/u$ である。$X_n=(E,\mathcal{O}_X/\mathcal{I}^{n+1})$ である。
$j\ge0$ について $\mathcal{I}^j/\mathcal{I}^{j+1}$ は $E$ 上の階数 $1$ の自由加群を貼り合わせたもので、$E\cap U_1$ 上で $x^j$、$E\cap U_2$ 上で $y^j$ を基底にもち、重なりで $y^j=u^jx^j$ である。$E$ のこのアフィン被覆の Čech 複体は $k[u]x^j\oplus k[v]y^j\to k[u,u^{-1}]x^j$、$(p\,x^j,q\,y^j)\mapsto(q(u^{-1})u^j-p(u))x^j$ である。像は $u^m$($m\ge0$ は $p$ から、$m\le j$ は $q$ から)をすべて含むので全射で、$H^1(E,\mathcal{I}^j/\mathcal{I}^{j+1})=0$ である。核は $p(u)=u^jq(u^{-1})$ となる組で、$u^ix^j$($0\le i\le j$)、すなわち単項式 $x^{j-i}y^i$ が張る。よって自然な写像 $\mathfrak{m}^j/\mathfrak{m}^{j+1}\to H^0(E,\mathcal{I}^j/\mathcal{I}^{j+1})$ は同型である。
$n\ge1$ について、$E$ 上の完全列 $0\to\mathcal{I}^n/\mathcal{I}^{n+1}\to\mathcal{O}_{X_n}\to\mathcal{O}_{X_{n-1}}\to0$ と $0\to\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1}\to A/\mathfrak{m}^{n+1}\to A/\mathfrak{m}^n\to0$ を自然な射で結ぶ。$H^1(\mathcal{I}^n/\mathcal{I}^{n+1})=0$ なので $R_n\to R_{n-1}$ は全射で、その核は $\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1}$ に同型である。$n=0$ では $R_0=\Gamma(E,\mathcal{O}_E)=k=A/\mathfrak{m}$ である(上の計算の $j=0$)。$n$ についての帰納法と五項補題により $A/\mathfrak{m}^{n+1}\to R_n$ は同型であり、$\varprojlim_nR_n=k[\![x,y]\!]$ を得る。
次の表は、仮定を 1 つずつ外すと結論が崩れる例である($k$ は標数 $2$ でない体。確かめは表の下)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $f$ が固有(thm-zct-main) | 開埋め込み $\mathbb{A}^2_k\setminus\{0\}\hookrightarrow\mathbb{A}^2_k$ | 原点の上のファイバーが空 |
| $f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$(thm-zct-main) | $f\colon\mathbb{A}^1_k\to\mathbb{A}^1_k$、$t\mapsto s=t^2$ | $s=1$ の上のファイバーが 2 点 |
| $Y$ が正規(cor-zct-normal) | 結節点をもつ曲線 $Y=\{y^2=x^2(x+1)\}$ の正規化 $\mathbb{A}^1_k\to Y$ | 結節点の上のファイバーが 2 点 |
| $f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$(thm-zct-geometric) | $\operatorname{Spec}\mathbb{C}\to\operatorname{Spec}\mathbb{R}$ | ファイバーは 1 点だが、$\mathbb{C}$ への底変換は 2 点 |
1 行目:$f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ を確かめる。原点を含まない開集合の上では $f$ は同型である。$g(0)\ne0$ なる $g$ について、$D(g)\setminus\{0\}$ は $D(gx)$ と $D(gy)$ で覆われ、その上の関数は $k[x,y]_{gx}\cap k[x,y]_{gy}$($k[x,y]_{gxy}$ の中で)である。$k[x,y]$ は一意分解整域で、$x$、$y$、$g$ のどの 2 つも共通の素因子をもたない($g(0)\ne0$ より $x\nmid g$、$y\nmid g$)ので、既約分数の分母を比べるとこの共通部分は $k[x,y]_g$ である。よって $f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ だが、原点の上のファイバーは空である。$f$ は固有でない(像が閉集合でない)。
2 行目:$f$ は有限射なので固有である。$f_*\mathcal{O}_X$ は $k[s]$ 加群 $k[t]=k[s]\oplus k[s]t$ に対応し、$\mathcal{O}_Y$ と同型でない。$s=1$ の上のファイバーは $\operatorname{Spec}k[t]/(t^2-1)\cong\operatorname{Spec}(k\times k)$ で 2 点である。$Y=\mathbb{A}^1_k$ は正規で $f$ は優越的なので、cor-zct-normal の仮定のうち崩れているのは関数体の条件($t$ は $k(s)$ 上代数的だが $k(s)$ に属さない)だけである。
3 行目:正規化は $t\mapsto(t^2-1,t(t^2-1))$ で与えられる有限射で、$t=y/x$ により双有理である。結節点 $(0,0)$ の上のファイバーは $t=\pm1$ の 2 点である。$Y$ は結節点で正規でない(Stein分解 の例「節点をもつ曲線の正規化」)。
4 行目:$\operatorname{Spec}\mathbb{C}\to\operatorname{Spec}\mathbb{R}$ は有限射なので固有で、ファイバーは 1 点だから連結である。$f_*\mathcal{O}=\mathbb{C}\ne\mathbb{R}$ である。$\mathbb{C}\otimes_{\mathbb{R}}\mathbb{C}\cong\mathbb{C}\times\mathbb{C}$ なので、$\mathbb{C}$ への底変換は 2 点で連結でない。
主定理は、固有射の連結性を「関数」の言葉で捉えた点に意味がある。$f_*\mathcal{O}_X=\mathcal{O}_Y$ は層の条件で、連結性は位相の条件であり、両者を結ぶのが形式関数の定理である。同じ考え方で、固有な準有限射が有限射になること(Zariskiの主定理 の定理「固有な準有限射は有限射」)や、Stein分解 の存在が示される。Stein 分解の名は、正則写像について K. Stein が得た同じ形の分解にちなむ(EGA3 p. 131)。
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