eの級数表示と無理数性(series expansion and irrationality of e)とは、ネイピア数 $e=\lim_{n\to\infty}(1+\frac1n)^n$ が級数 $\sum_{k=0}^\infty\frac1{k!}=1+1+\frac1{2!}+\frac1{3!}+\cdots$ の和に等しく、しかも無理数であるという 2 つの事実である。前者は、$(1+\frac1n)^n$ の二項展開で項の数を固定してから $n\to\infty$ とすれば示せる。部分和 $s_n$ の誤差はすべての正の整数 $n$ で $0<e-s_n<\frac1{n!\,n}$ と階乗の速さで小さくなる。$e=\frac pq$ と仮定すると整数 $q!\,(e-s_q)$ が $0$ と $\frac1q$ の間に入って矛盾するので、$e$ は無理数である。
前提知識: (1+1/n)^nの極限, 級数, 有理数
(1+1/n)^nの極限の記事で見たとおり、$a_n=\bigl(1+\frac1n\bigr)^n$ は $e$ にとてもゆっくり近づく。$n=1000$ でも $a_{1000}=2.71692\ldots$ で、$e=2.71828\ldots$ とは小数第 3 位で食い違う。
そこで、階乗の逆数を足していく数
$$
s_n:=\sum_{k=0}^n\frac1{k!}=1+1+\frac1{2!}+\frac1{3!}+\cdots+\frac1{n!}
$$
を考える($0!=1$)。これは $a_n$ を二項定理で展開したときの形から係数を取り除いたもので、同じ記事の証明で $a_n\le s_n<3$ として現れた。
次の値は数値計算による。
| $n$ | $a_n$ | $e-a_n$ | $s_n$ | $e-s_n$ |
|---|---|---|---|---|
| $5$ | $2.48832$ | $0.2299\ldots$ | $2.71666\ldots$ | $0.0016\ldots$ |
| $10$ | $2.5937\ldots$ | $0.1245\ldots$ | $2.7182818011\ldots$ | $0.000000027\ldots$ |
$n=10$ で、$s_n$ の誤差は $a_n$ の誤差の 450 万分の 1 ほどである。
e−a_n と e−s_n の比較(対数目盛)
図 1 は 2 つの誤差を、縦軸を対数目盛にして並べたものである。$e-a_n$ はほとんど減らないのに対し、$e-s_n$ は下へ曲がりながら落ちていき、$n$ が大きいほど速く減る。$n$ が 1 増えるごとに、$e-s_n$ はおよそ $n+2$ 分の 1 になる。そのため、$n\le7$ では項を 1 つ足しても誤差は $10$ 分の $1$ までは小さくならないが、$n=8$ から先では 1 つ足すごとに $10$ 分の $1$ より小さくなる(ex-esi-error-ratio)。灰色の点線は、後の prop-esi-error で示す上からの評価である。
次の値は数値計算による(以下切り捨て)。右の列の比 $\frac{e-s_n}{e-s_{n+1}}$ は、項を 1 つ足したとき誤差が何分の 1 になるかを表す。
| $n$ | $e-s_n$ | $\frac{e-s_n}{e-s_{n+1}}$ |
|---|---|---|
| $1$ | $0.7182\ldots$ | $3.29\ldots$ |
| $2$ | $0.2182\ldots$ | $4.22\ldots$ |
| $3$ | $0.0516\ldots$ | $5.18\ldots$ |
| $4$ | $0.0099\ldots$ | $6.15\ldots$ |
| $5$ | $0.0016\ldots$ | $7.13\ldots$ |
| $6$ | $0.00022\ldots$ | $8.12\ldots$ |
| $7$ | $0.000027\ldots$ | $9.10\ldots$ |
| $8$ | $0.0000030\ldots$ | $10.09\ldots$ |
| $9$ | $0.00000030\ldots$ | $11.08\ldots$ |
この表の比は、どれも $n+2$ より少しだけ大きい。たとえば $n=1$ から $n=2$ に進んでも、誤差は $0.718\ldots$ から $0.218\ldots$ へと 3 分の 1 ほどにしかならない。比が $10$ を超える(項を 1 つ足すと誤差が $10$ 分の $1$ より小さくなる)のは $n=8$ からで、その先は比がさらに大きくなる。
本記事で答える問いは次の 3 つである。
| 高校で見ること | 本記事の言葉 | ボックス |
|---|---|---|
| 項を足していく和 $s_n$ | 級数の和 | def-esi-series |
| $s_n$ が $e$ に近づく | $e=\sum\frac1{k!}$ | thm-esi-series |
| 誤差が急速に小さくなる | 誤差の評価 $\frac1{n!\,n}$ | prop-esi-error |
| $e=2.718\ldots$ は分数か | 無理数であることの証明 | thm-esi-irrational |
数列 $(u_k)_{k\ge0}$ について、$S_n:=\sum_{k=0}^nu_k$ を部分和という。部分和の数列 $(S_n)$ がある数 $S$ に収束するとき、級数 $\sum_{k=0}^\infty u_k$ は収束するといい、$S$ をその和と呼んで $\sum_{k=0}^\infty u_k=S$ と書く。
$u_k=\frac1{2^k}$ とすると、部分和は $S_0=1$、$S_1=1.5$、$S_2=1.75$、$S_3=1.875$ である。一般に等比数列の和の公式から
$$
S_n=\frac{1-(\frac12)^{n+1}}{1-\frac12}=2-\frac1{2^n}
$$
であり、$n\to\infty$ で $2$ に近づく。よって $\sum_{k=0}^\infty\frac1{2^k}=2$ である。部分和と和の差はちょうど $\frac1{2^n}$ である。
項がすべて $0$ 以上なら、部分和は単調増加である。したがって、部分和が上に有界なら、単調収束定理(rem-esi-premises の 1)により級数は収束する。
極限の基本的な計算規則(和・積の極限、不等式 $\le$ が極限で保たれること)のほかに、次を前提にする。2〜4 は (1+1/n)^nの極限の記事で証明した。
証明の要は「項の数を固定してから $n\to\infty$ とする」ことである。$m=3$ で試してみる。
$n\ge3$ のとき、$a_n$ の展開(rem-esi-premises の 2)から $k\le3$ の 4 項だけを残すと、残りの項は $0$ 以上なので
$$
a_n\ge1+1+\frac1{2!}\Bigl(1-\frac1n\Bigr)+\frac1{3!}\Bigl(1-\frac1n\Bigr)\Bigl(1-\frac2n\Bigr)
$$
である。右辺は、$n=10$ で $2+0.45+0.12=2.57$、$n=100$ で $2+0.495+0.1617=2.6567$ である。$n\to\infty$ とすると、各かっこは $1$ に近づくので、右辺は $1+1+\frac12+\frac16=s_3=2.666\ldots$ に近づく。左辺は $e$ に近づくので、$e\ge s_3$ である。
同じことを $m=4,5,\dots$ で行えば $e\ge s_4$、$e\ge s_5$、… が得られる。
級数 $\sum_{k=0}^\infty\frac1{k!}$ は収束し、その和は $e$ に等しい。
$$
e=\sum_{k=0}^\infty\frac1{k!}=1+1+\frac1{2!}+\frac1{3!}+\cdots
$$
方針:級数の和を $S$ として、$e\le S$ と $e\ge S$ を別々に示す。
段 1(級数の収束)。項 $\frac1{k!}$ は正なので、部分和 $s_n$ は単調増加である。rem-esi-premises の 3 から $s_n<3$ なので、単調収束定理により $s_n$ は収束する。その極限を $S$ とおく。
段 2($e\le S$)。rem-esi-premises の 2 で $c_{n,k}\le1$ なので $a_n\le\sum_{k=0}^n\frac1{k!}=s_n$ である。$(s_n)$ は単調増加で $S$ に収束するので $s_n\le S$ である。よって $a_n\le S$ であり、$n\to\infty$ として $e\le S$ である。
段 3(項を捨てる)。正の整数 $m$ を 1 つ固定し、$n\ge m$ とする。展開の各項 $\frac1{k!}c_{n,k}$ は $0$ 以上なので、$k\le m$ の項だけを残すと
$$
a_n\ge\sum_{k=0}^m\frac1{k!}c_{n,k}
$$
である。
段 4($n\to\infty$)。$k\le m$ を固定すると、$c_{n,k}$ は $k-1$ 個の因子 $1-\frac jn$($1\le j\le k-1$)の積で、各因子は $n\to\infty$ で $1$ に近づく。個数の決まった積なので、積の極限の性質から $c_{n,k}\to1$ である。段 3 の右辺は項の数が $m+1$ 個に固定された和なので、和の極限の性質から $\sum_{k=0}^m\frac1{k!}=s_m$ に近づく。左辺は $e$ に近づくので、$e\ge s_m$ である。
段 5($m\to\infty$)。段 4 はすべての正の整数 $m$ で成り立つ。$m\to\infty$ とすると $s_m\to S$ なので、$e\ge S$ である。段 2 と合わせて $e=S$ である。$\square$
段 4 で $m$ を固定したことが要である。$a_n$ の展開は項の数が $n+1$ 個で、$n$ とともに増える。「各項が $\frac1{k!}$ に近づくから、和も $\sum\frac1{k!}$ に近づく」と一度に言うことはできない。項の数が増える和では、各項の極限をとってから足すと誤ることがある(ex-esi-termwise)。
thm-esi-series から、$e-s_n$ は $s_n$ に含まれなかった項の和 $\frac1{(n+1)!}+\frac1{(n+2)!}+\cdots$ である。これがどのくらい小さいかを調べる。先に数値を見る。
次の値は数値計算による。
| $n$ | $e-s_n$ | $\frac1{n!\,n}$ |
|---|---|---|
| $3$ | $0.0516\ldots$ | $\frac1{18}=0.0555\ldots$ |
| $5$ | $0.001615\ldots$ | $\frac1{600}=0.001666\ldots$ |
| $10$ | $2.731\ldots\times10^{-8}$ | $2.755\ldots\times10^{-8}$ |
どの $n$ でも $e-s_n$ は $\frac1{n!\,n}$ より少しだけ小さい。
すべての正の整数 $n$ について
$$
0< e-s_n<\frac1{n!\,n}
$$
である。
方針:残りの項 $\frac1{k!}$($k\ge n+1$)を、公比 $\frac1{n+1}$ の等比数列で上から押さえる。
段 1(誤差は残りの項の和)。$M>n$ について $s_M-s_n=\sum_{k=n+1}^M\frac1{k!}$ である。$M\to\infty$ とすると、thm-esi-series より左辺は $e-s_n$ に近づく。右辺は項が正で $M$ とともに増えるので、$e-s_n\ge s_{n+1}-s_n=\frac1{(n+1)!}>0$ である。
段 2(階乗を下から押さえる)。$k\ge n+1$ について
$$
k!=(n+1)!\cdot(n+2)(n+3)\cdots k
$$
であり、右側の $k-n-1$ 個の因子はどれも $n+1$ 以上なので $k!\ge(n+1)!\,(n+1)^{k-n-1}$ である。よって $\frac1{k!}\le\frac1{(n+1)!}\cdot\frac1{(n+1)^{k-n-1}}$ である。
段 3(等比数列の和)。段 2 の右辺を $k=n+1,\dots,M$ について足すと、等比数列の和の公式から
$$
\sum_{k=n+1}^M\frac1{(n+1)!\,(n+1)^{k-n-1}}<\frac1{(n+1)!}\cdot\frac1{1-\frac1{n+1}}=\frac1{(n+1)!}\cdot\frac{n+1}n=\frac1{n!\,n}
$$
である(公比 $\frac1{n+1}$ の等比数列の有限和は、無限和 $\frac1{1-\frac1{n+1}}$ 倍より小さい)。
段 4(真の不等号)。$M\ge n+2$ とする。$k=n+2$ の項では、因子 $n+2$ が $n+1$ より大きいので、段 2 の不等号は真であり、
$$
\frac1{(n+1)!\,(n+1)}-\frac1{(n+2)!}=\frac{(n+2)-(n+1)}{(n+1)!\,(n+1)(n+2)}=\frac1{(n+1)\,(n+2)!}
$$
だけ差がある(通分の分母は $(n+1)!\,(n+1)(n+2)=(n+1)\,(n+2)!$)。したがって段 2・段 3 から
$$
s_M-s_n\le\frac1{n!\,n}-\frac1{(n+1)\,(n+2)!}
$$
である。$M\to\infty$ として $e-s_n\le\frac1{n!\,n}-\frac1{(n+1)\,(n+2)!}<\frac1{n!\,n}$ を得る。$\square$
級数の打ち切り誤差を評価して円周率を計算する同じ考え方は Machinの公式 で扱う。
誤差を $10^{-10}$ 未満にしたいとする。prop-esi-error の評価 $\frac1{n!\,n}$ は、$n=12$ で $1.7\ldots\times10^{-10}$、$n=13$ で $1.2\ldots\times10^{-11}$ である(数値計算)。よって $s_{13}$、すなわち 14 項の和で、$e$ を誤差 $10^{-10}$ 未満で計算できる。$a_n$ で同じ精度を得るには、$e-a_n$ がおよそ $\frac e{2n}$ なので(数値による観察。本記事では証明しない)、$n$ を $10^{10}$ 以上にしなければならない。
prop-esi-error は、$e$ が分母 $n!$ の分数 $s_n$ で非常によく近似されることを言っている。この近似のよさが、$e$ が分数でないことの証明になる。まず $q=2$、$q=3$ で試す。
$e=\frac p2$($p$ は整数)と書けたとする。$N:=2!\,(e-s_2)=2e-5$ を考えると、$2e=p$ は整数なので $N=p-5$ も整数である。一方 prop-esi-error で $n=2$ とすると $0< e-s_2<\frac1{2!\cdot2}=\frac14$ なので、$0< N<\frac12$ である。$0$ と $\frac12$ の間に整数はないので、矛盾である。実際、$2e-5=0.4365\ldots$ は整数でない(数値計算)。
$e=\frac p3$ と書けたとすると、$N:=3!\,(e-s_3)=6e-16=2p-16$ は整数であり、一方 $0< N<\frac1{3!\cdot3}\cdot3!=\frac13$ である。これも矛盾である(実際 $6e-16=0.3096\ldots$)。
q! e と整数 q! s_q の距離
図 2 は $q=2,3$ の場合を数直線に描いたものである。$q!\,e$ は整数 $q!\,s_q$ より少しだけ大きく、その差は $\frac1q$ より小さい。したがって $q!\,e$ は整数にならない。ところが $e=\frac pq$ なら $q!\,e=(q-1)!\,p$ は整数のはずである。一般の $q$ でもこの食い違いが起こる。
$e$ は無理数である。
方針:$e=\frac pq$ と仮定し、整数 $N=q!\,(e-s_q)$ が $0$ と $\frac12$ の間にあることを示して矛盾を導く(背理法)。
段 1(仮定)。$e$ が有理数であると仮定し、正の整数 $p,q$ で $e=\frac pq$ と書く。$q=1$ なら $e=p$ は整数だが、$2< e<3$(rem-esi-premises の 4)なので $e$ は整数でない。よって $q\ge2$ である。
段 2($N$ は整数)。
$$
N:=q!\,(e-s_q)=q!\cdot\frac pq-\sum_{k=0}^q\frac{q!}{k!}
$$
とおく。$q!\cdot\frac pq=(q-1)!\,p$ は整数である。$k\le q$ なら $\frac{q!}{k!}=(k+1)(k+2)\cdots q$ も整数である($k=q$ では $1$)。よって $N$ は整数どうしの差で、整数である。
段 3($N$ の範囲)。prop-esi-error で $n=q$ とすると $0< e-s_q<\frac1{q!\,q}$ である。各辺に $q!>0$ を掛けて
$$
0< N<\frac1q\le\frac12
$$
である(最後は $q\ge2$ による)。
段 4(矛盾)。$0$ より大きく $\frac12$ より小さい整数はない。段 2 と段 3 は矛盾する。よって $e$ は無理数である。$\square$
証明の構造を言い直すと次のようになる。分母が $q$ の分数と、分母が $q!$ の分数 $s_q$ との差は、$0$ でなければ $\frac1{q!}$ 以上になる(通分すると分母が $q!$ の分数になるから)。ところが $e$ と $s_q$ の差は $\frac1{q!\,q}$ より小さい。分数にしては近似されすぎているのである。
$\frac{19}7=2.714285\ldots$ は、分母の小さい分数の中では $e$ に近い。この分数が $e$ でないことは、prop-esi-error から直接わかる。$s_7=\frac{685}{252}$ であり、$7!\,s_7=5040\cdot\frac{685}{252}=13700$ に対して $7!\cdot\frac{19}7=720\cdot19=13680$ なので、$\frac{19}7< s_7< e$ である($s_7< e$ は prop-esi-error の左の不等式)。差は $e-\frac{19}7=0.00399\ldots$ である(数値計算)。
| 外した仮定 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 実数の世界で考えること | 単調で有界な数列は収束する | ex-esi-rational-incomplete |
| 項の数を固定すること | 各項の極限の和が、和の極限になる | ex-esi-termwise |
| 誤差が $\frac1{q!\,q}$ 未満という近似の速さ | 無理数性の論法 | ex-esi-geometric-fails |
$a_n=\bigl(1+\frac1n\bigr)^n$ はどれも有理数(たとえば $a_2=\frac94$、$a_3=\frac{64}{27}$)であり、単調増加で $3$ で上から押さえられる。しかしその極限 $e$ は無理数である(thm-esi-irrational)。$s_n$ も同じで、どれも有理数($s_3=\frac83$、$s_5=\frac{163}{60}$)だが、極限は無理数 $e$ である。
したがって、有理数全体だけを考えると、これらの数列は「単調で有界」を満たすのに、有理数の中に極限をもたない。単調収束定理(rem-esi-premises の 1)は有理数では成り立たない。$e$ という数を定義するには、実数が必要だったのである。
$T_n:=\sum_{k=1}^n\frac1n=\underbrace{\frac1n+\frac1n+\cdots+\frac1n}_{n\text{ 個}}$ を考える。各項 $\frac1n$ は $n\to\infty$ で $0$ に近づく。「各項の極限 $0$ を足して、$T_n\to0$」と考えると誤りで、実際にはすべての $n$ で $T_n=n\cdot\frac1n=1$ である。
項の数 $n$ が一緒に増えるので、小さな項がたくさん集まって $1$ になっている。thm-esi-series の証明の段 4 で、項の数を $m+1$ 個に固定してから $n\to\infty$ としたのは、この誤りを避けるためである。
ex-esi-geometric の等比級数 $\sum_{k=0}^\infty\frac1{2^k}=2$ は有理数である。部分和 $S_n=2-\frac1{2^n}$ は分母 $2^n$ の分数で、和との差はちょうど $\frac1{2^n}$ である。
thm-esi-irrational と同じように $N:=2^n\,(2-S_n)$ を作ると、$N=2^n\cdot\frac1{2^n}=1$ であり、整数 $1$ になって矛盾は起こらない。誤差が「分母の逆数」$\frac1{2^n}$ と同じ大きさにとどまり、$e$ の場合のように「分母の逆数の $\frac1q$ 倍未満」まで小さくならないからである。無理数性の証明には、近似が十分に速いことが欠かせない。
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