Eulerの直方体(Euler brick)とは、3 辺の長さ $a,b,c$ と 3 つの面の対角線 $\sqrt{a^2+b^2}$、$\sqrt{a^2+c^2}$、$\sqrt{b^2+c^2}$ がすべて整数である直方体である。正の整数 $u,v,w$ が $u^2+v^2=w^2$ を満たすとき、$a=u\lvert4v^2-w^2\rvert$、$b=v\lvert4u^2-w^2\rvert$、$c=4uvw$ は Euler の直方体の 3 辺になり、$(3,4,5)$ から $(117,44,240)$ が得られる。また、Euler の直方体では 3 辺のうち少なくとも 2 辺が $3$ の倍数、少なくとも 2 辺が $4$ の倍数である。面の対角線に加えて空間の対角線まで整数になる直方体(完全直方体)は見つかっていない。
前提知識: ピタゴラス数と円の有理点, 空間図形の計量, 合同式の計算規則, Heron三角形
縦・横・高さが $a,b,c$ の直方体には、3 種類の面の対角線と、空間の対角線がある。三平方の定理から、面の対角線の長さは
$$
\sqrt{a^2+b^2},\qquad \sqrt{a^2+c^2},\qquad \sqrt{b^2+c^2}
$$
で、空間の対角線の長さは $\sqrt{a^2+b^2+c^2}$ である(空間図形の計量)。3 辺が整数でも、対角線はふつう整数にならない。
面の対角線の 2 乗は
$$
3^2+4^2=25=5^2,\qquad 3^2+12^2=153,\qquad 4^2+12^2=160
$$
で、整数になるのは $5$ だけである。$153=9\cdot17$、$160=16\cdot10$ は平方数でない。空間の対角線の 2 乗は $9+16+144=169=13^2$ で、空間の対角線は $13$ になる。
ex-ebr-start では、面の対角線 3 本のうち 2 本が整数でなかった。3 本とも整数にできるだろうか。
面の対角線の 2 乗を計算すると
$$
44^2+117^2=1936+13689=15625=125^2,
$$
$$
44^2+240^2=1936+57600=59536=244^2,
$$
$$
117^2+240^2=13689+57600=71289=267^2
$$
で、面の対角線は $125$、$244$、$267$ と 3 本とも整数である。一方、空間の対角線の 2 乗は $1936+13689+57600=73225$ で、$270^2=72900<73225<73441=271^2$ なので平方数でない。空間の対角線は整数でない。
縦 44・横 117・高さ 240 の直方体では、3 種類の面の対角線 125、244、267 が整数になるが、空間の対角線(破線)は整数にならない
図 1 は ex-ebr-start2 の直方体である。この記事では、3 辺と面の対角線 3 本がすべて整数の直方体について、次の問いに答える。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 大学の言葉 |
|---|---|---|
| 面の対角線を三平方の定理で求める | 3 組のピタゴラス数 | 3 つの 2 次式を同時に平方数にする |
| ピタゴラス数 $(u,v,w)$ から式を作る | 媒介変数による構成 | 曲面の有理点の族 |
| $3$ や $16$ で割った余り | 辺の約数の性質 | 合同式による障害 |
正の整数 $a,b,c$ で、
$$
a^2+b^2,\qquad a^2+c^2,\qquad b^2+c^2
$$
がすべて平方数であるものの組を、3 辺とする直方体を Euler の直方体 という。3 辺が $a,b,c$ の Euler の直方体を、単に「Euler の直方体 $(a,b,c)$」ともいう。
定義は、3 つの組 $(a,b)$、$(a,c)$、$(b,c)$ がどれもピタゴラス数の直角をはさむ 2 辺になる、ということと同じである。
3 辺の最大公約数が $1$ の Euler の直方体を 原始的 という。どの Euler の直方体も、3 辺を最大公約数で割ると原始的な Euler の直方体になる($a^2+b^2=d^2$ なら、最大公約数 $k$ で割って $\left(\dfrac ak\right)^2+\left(\dfrac bk\right)^2=\left(\dfrac dk\right)^2$ となる。左辺は整数なので、$\dfrac dk$ は 2 乗が整数の有理数であり、整数である)。
面の対角線を 3 本とも整数にするには、ピタゴラス数を 3 組同時にそろえる必要がある。1 組のピタゴラス数 $(u,v,w)$ から、3 組がそろう辺を作る公式がある。
正の整数 $u,v,w$ が $u^2+v^2=w^2$ を満たすとき、
$$
a=u\,\lvert4v^2-w^2\rvert,\qquad b=v\,\lvert4u^2-w^2\rvert,\qquad c=4uvw
$$
とおくと、$a,b,c$ は正の整数で、$(a,b,c)$ は Euler の直方体である。面の対角線は
$$
\sqrt{a^2+b^2}=w^3,\qquad \sqrt{a^2+c^2}=u(4v^2+w^2),\qquad \sqrt{b^2+c^2}=v(4u^2+w^2)
$$
である。
方針:3 つの和をそれぞれ展開し、平方の形にまとめる。2 つは「$(X-Y)^2+4XY=(X+Y)^2$」の形、残りの 1 つは $u^2+v^2=w^2$ を 2 回使う。
段 1($a,b$ が正)。$4v^2-w^2=0$ だとすると $w=2v$ で、$u^2=w^2-v^2=3v^2$ となる。すると $\left(\dfrac uv\right)^2=3$ で、$\sqrt3$ が有理数になってしまう。$\sqrt3$ は無理数なので、$4v^2\ne w^2$ である。同じく $4u^2\ne w^2$ である。よって $a>0$、$b>0$ であり、$c=4uvw>0$ である。
段 2($a^2+c^2$)。$X=4v^2$、$Y=w^2$ とおくと、
$$
a^2+c^2=u^2(4v^2-w^2)^2+16u^2v^2w^2=u^2\bigl((X-Y)^2+4XY\bigr)=u^2(X+Y)^2=\bigl(u(4v^2+w^2)\bigr)^2
$$
である。ここで $(X-Y)^2+4XY=X^2-2XY+Y^2+4XY=X^2+2XY+Y^2=(X+Y)^2$ を使った。
段 3($b^2+c^2$)。段 2 の $u$ と $v$ を入れかえると、$b^2+c^2=\bigl(v(4u^2+w^2)\bigr)^2$ である。
段 4($a^2+b^2$)。それぞれ展開すると
$$
u^2(4v^2-w^2)^2=16u^2v^4-8u^2v^2w^2+u^2w^4,\qquad v^2(4u^2-w^2)^2=16u^4v^2-8u^2v^2w^2+v^2w^4
$$
で、足すと
$$
a^2+b^2=\underbrace{16u^2v^2(u^2+v^2)}_{=16u^2v^2w^2}-16u^2v^2w^2+\underbrace{(u^2+v^2)w^4}_{=w^6}=w^6=(w^3)^2
$$
である。$u^2+v^2=w^2$ を 2 か所で使った。$\square$
$u=3$、$v=4$、$w=5$ とすると、$4v^2-w^2=64-25=39$、$4u^2-w^2=36-25=11$ なので
$$
a=3\cdot39=117,\qquad b=4\cdot11=44,\qquad c=4\cdot3\cdot4\cdot5=240
$$
で、ex-ebr-start2 の直方体 $(117,44,240)$ が得られる。面の対角線は
$$
w^3=125,\qquad u(4v^2+w^2)=3\cdot89=267,\qquad v(4u^2+w^2)=4\cdot61=244
$$
で、ex-ebr-start2 の計算と一致する。$u$ と $v$ を入れかえて $(4,3,5)$ から作ると、$a$ と $b$ が入れかわるだけである。
$u=5$、$v=12$、$w=13$ とすると、$4v^2-w^2=576-169=407$、$4u^2-w^2=100-169=-69$ なので、絶対値をとって
$$
a=5\cdot407=2035,\qquad b=12\cdot69=828,\qquad c=4\cdot5\cdot12\cdot13=3120
$$
である。面の対角線は $w^3=2197$、$u(4v^2+w^2)=5\cdot745=3725$、$v(4u^2+w^2)=12\cdot269=3228$ である。
$2035^2+828^2=4141225+685584=4826809=2197^2$、$2035^2+3120^2=4141225+9734400=13875625=3725^2$、$828^2+3120^2=685584+9734400=10419984=3228^2$ である。
thm-ebr-saunderson の公式は、Dic05b の p. 497 に N. Saunderson の 1740 年の代数の本の解法として記録されていて、$3,4,5$ から $117,44,240$ を得る例も書かれている。同じ頁の最初には、P. Halcke が 1719 年の本で与えた解として $44,240,117$ が挙がっている。
ex-ebr-start2 の $(44,117,240)$ では、$3$ の倍数の辺が $117$ と $240$、$4$ の倍数の辺が $44$ と $240$ で、どちらも 2 本ずつある。これが一般に成り立つことを示す。道具は、1 組のピタゴラス数についての次の補題である。
正の整数 $x,y,z$ が $x^2+y^2=z^2$ を満たすならば、
(R1) $x,y$ の少なくとも一方は $3$ の倍数である。
(R2) $x,y$ の少なくとも一方は $4$ の倍数である。
(i) 整数の 2 乗を $3$ で割った余りは、$(3m)^2=9m^2$、$(3m\pm1)^2=3(3m^2\pm2m)+1$ より、$0$ か $1$ である。$x,y$ がどちらも $3$ の倍数でないとすると、$x^2\equiv1$、$y^2\equiv1\pmod3$ なので $z^2=x^2+y^2\equiv2\pmod3$ となり、$z^2$ の余りが $0$ か $1$ であることに反する。
(ii) 整数の 2 乗を $16$ で割った余りを調べる。
| $x,y$ の種類 | $x^2,y^2$ の余り | $x^2+y^2$ の余り |
|---|---|---|
| 奇数と奇数 | $1$ か $9$ と $1$ か $9$ | $2$ か $10$ |
| 奇数と「$4$ で割って $2$ 余る数」 | $1$ か $9$ と $4$ | $5$ か $13$ |
| 「$4$ で割って $2$ 余る数」どうし | $4$ と $4$ | $8$ |
原始的なピタゴラス数の偶奇(一方の辺だけが偶数)は ピタゴラス数と円の有理点 の補題「原始的なピタゴラス数の偶奇」にある。lem-ebr-legs はそれより細かく、$4$ の倍数まで言っている。
Euler の直方体 $(a,b,c)$ では、次が成り立つ。
(R1) 3 辺 $a,b,c$ のうち、少なくとも 2 辺は $3$ の倍数である。
(R2) 3 辺 $a,b,c$ のうち、少なくとも 2 辺は $4$ の倍数である。
(i) $3$ の倍数の辺が 1 本以下だったとする。すると、$3$ の倍数でない辺が 2 本以上あるので、そのうち 2 本を選ぶ。定義から、選んだ 2 本を 2 辺とする面の対角線は整数で、この 2 本は 1 組のピタゴラス数の直角をはさむ 2 辺になる。lem-ebr-legs の (i) により、その一方は $3$ の倍数である。これは 2 本とも $3$ の倍数でないことに反する。よって $3$ の倍数の辺は 2 本以上ある。
(ii) (i) の「$3$ の倍数」を「$4$ の倍数」に替え、lem-ebr-legs の (ii) を使えば、同じ議論で示せる。$\square$
証明のかなめは、Euler の直方体では「どの 2 辺を選んでも」面の対角線が整数になることである。面の対角線が 2 本だけ整数の直方体では、thm-ebr-div は成り立たないことがある(ex-ebr-cx-two)。
thm-ebr-div から、Euler の直方体の 3 辺の積 $abc$ は $3^2\cdot4^2=144$ の倍数である($3$ の倍数が 2 本で $3^2$、$4$ の倍数が 2 本で $4^2$ が積を割る)。$(44,117,240)$ では $abc=1235520=144\cdot8580$ である。
3 辺がすべて $1500$ 未満の Euler の直方体は $17$ 個あり、そのうち原始的なものは $6$ 個である($a< b< c<1500$ のすべての組について、3 つの和が平方数かを計算機で調べた)。原始的な 6 個を表にする。
| 3 辺 | 面の対角線 | 空間の対角線の 2 乗 | $3$ の倍数の辺 | $4$ の倍数の辺 |
|---|---|---|---|---|
| $44,117,240$ | $125,244,267$ | $73225$ | $117,240$ | $44,240$ |
| $240,252,275$ | $348,365,373$ | $196729$ | $240,252$ | $240,252$ |
| $140,480,693$ | $500,707,843$ | $730249$ | $480,693$ | $140,480$ |
| $85,132,720$ | $157,725,732$ | $543049$ | $132,720$ | $132,720$ |
| $160,231,792$ | $281,808,825$ | $706225$ | $231,792$ | $160,792$ |
| $1008,1100,1155$ | $1492,1533,1595$ | $3560089$ | $1008,1155$ | $1008,1100$ |
| 3 辺 | 最大公約数 | 面の対角線 | 空間の対角線の 2 乗 | 3 の倍数の辺 | 4 の倍数の辺 |
|---|---|---|---|---|---|
| $44,117,240$ | $1$ | $125,244,267$ | $73225$ | $117,240$ | $44,240$ |
| $240,252,275$ | $1$ | $348,365,373$ | $196729$ | $240,252$ | $240,252$ |
| $88,234,480$ | $2$ | $250,488,534$ | $292900$ | $234,480$ | $88,480$ |
| $480,504,550$ | $2$ | $696,730,746$ | $786916$ | $480,504$ | $480,504$ |
| $140,480,693$ | $1$ | $500,707,843$ | $730249$ | $480,693$ | $140,480$ |
| $85,132,720$ | $1$ | $157,725,732$ | $543049$ | $132,720$ | $132,720$ |
| $132,351,720$ | $3$ | $375,732,801$ | $659025$ | $132,351,720$ | $132,720$ |
| $160,231,792$ | $1$ | $281,808,825$ | $706225$ | $231,792$ | $160,792$ |
| $720,756,825$ | $3$ | $1044,1095,1119$ | $1770561$ | $720,756,825$ | $720,756$ |
| $176,468,960$ | $4$ | $500,976,1068$ | $1171600$ | $468,960$ | $176,468,960$ |
| $960,1008,1100$ | $4$ | $1392,1460,1492$ | $3147664$ | $960,1008$ | $960,1008,1100$ |
| $1008,1100,1155$ | $1$ | $1492,1533,1595$ | $3560089$ | $1008,1155$ | $1008,1100$ |
| $220,585,1200$ | $5$ | $625,1220,1335$ | $1830625$ | $585,1200$ | $220,1200$ |
| $1200,1260,1375$ | $5$ | $1740,1825,1865$ | $4918225$ | $1200,1260$ | $1200,1260$ |
| $280,960,1386$ | $2$ | $1000,1414,1686$ | $2920996$ | $960,1386$ | $280,960$ |
| $170,264,1440$ | $2$ | $314,1450,1464$ | $2172196$ | $264,1440$ | $264,1440$ |
| $264,702,1440$ | $6$ | $750,1464,1602$ | $2636100$ | $264,702,1440$ | $264,1440$ |
どの行でも、空間の対角線の 2 乗は平方数でない。たとえば $196729$ は $443^2=196249$ と $444^2=197136$ の間にある。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 3 本目の面の対角線も整数 | 3 辺 $5,9,12$ | $4$ の倍数の辺が 2 本以上 |
| $u^2+v^2=w^2$ | $(u,v,w)=(1,1,1)$ から $3,3,4$ | 面の対角線が 3 本とも整数 |
| 三角形が直角三角形(直方体の面の三角形) | 3 本の面の対角線でできる三角形 $PQR$(直方体 $(44,117,240)$) | 3 辺が整数なら面積も有理数 |
共通の辺 $12$ をもつピタゴラス数 $(5,12,13)$ と $(9,12,15)$ を使い、3 辺を $5,9,12$ とする。
$$
5^2+12^2=169=13^2,\qquad 9^2+12^2=225=15^2,\qquad 5^2+9^2=106
$$
で、$106$ は $10^2=100$ と $11^2=121$ の間にあるので平方数でない。面の対角線は 2 本だけ整数である。$4$ の倍数の辺は $12$ だけで、thm-ebr-div の (ii) の結論は成り立たない。
逆向きに使うこともできる。3 辺のうち $4$ の倍数が 1 本以下の直方体は、thm-ebr-div の (ii) により Euler の直方体でない。$5,9,12$ は、$5^2+9^2$ を計算しなくても、この理由で Euler の直方体でないと分かる。
図 2 は ex-ebr-cx-two の直方体である。
3 辺が 5, 9, 12 の直方体では、12 を含む 2 つの面の対角線 13 と 15 は整数だが、残りの面の対角線は根号 106 で整数でない
thm-ebr-saunderson の式に、$u^2+v^2=w^2$ を満たさない $u=v=w=1$ を入れると、$4v^2-w^2=3$、$4u^2-w^2=3$ で
$$
a=3,\qquad b=3,\qquad c=4
$$
となる。$a^2+c^2=b^2+c^2=25=5^2$ は平方数だが、$a^2+b^2=18$ は平方数でない。thm-ebr-saunderson の証明で、段 2・段 3 は $u^2+v^2=w^2$ を使っていないので $a^2+c^2$、$b^2+c^2$ はいつも平方数になる。段 4 だけが $u^2+v^2=w^2$ を使っていて、ここが崩れる。
直方体 $(44,117,240)$ の 1 つの頂点 $O$ から出る 3 辺の端を $P,Q,R$ とすると、三角形 $PQR$ の 3 辺は面の対角線 $125,244,267$ で、整数である。しかし面積は整数でも有理数でもない。$O$ で 3 つの辺が直角に交わる四面体 $OPQR$ では、de Guaの定理 により
$$
(\triangle PQR)^2=\left(\frac{44\cdot117}2\right)^2+\left(\frac{117\cdot240}2\right)^2+\left(\frac{240\cdot44}2\right)^2=\frac{926501904}4
$$
である。$926501904=144\cdot6434041$ で、$2536^2=6431296<6434041<6436369=2537^2$ なので $6434041$ は平方数でない。面積は $6\sqrt{6434041}$ で無理数である。3 辺が整数でも Heron 三角形とは限らないことは Heron三角形 で見たとおりで、Euler の直方体の対角線もその例になる。
3 辺 $125,244,267$ について $(125+244+267)(-125+244+267)(125-244+267)(125+244-267)=636\cdot386\cdot148\cdot102=3706007616$ で、これは $16\cdot\dfrac{926501904}4=3706007616$ と一致する。
図 3 は四面体 $OPQR$ である。
直方体の 1 つの頂点を切り落とすと、3 本の面の対角線 125、244、267 を辺とする三角形ができる(縮尺は正確でない)
Euler の直方体で、空間の対角線 $\sqrt{a^2+b^2+c^2}$ まで整数になるものを 完全直方体 という。MathWorld の頁 Wei26b には、奇数の辺を $10^{10}$ まで探しても完全直方体は見つかっていないと書かれている。存在しないことも証明されていない(この記事ではこれ以上の現状には立ち入らない)。表の 17 個でも、空間の対角線の 2 乗はどれも平方数でない。
$(a,b,c)$ が Euler の直方体ならば、$(ab,bc,ca)$ も Euler の直方体である。
$(ab)^2+(bc)^2=b^2(a^2+c^2)$ で、$a^2+c^2$ は平方数なので、右辺は平方数 $b^2$ と平方数の積で平方数である。同じく $(ab)^2+(ca)^2=a^2(b^2+c^2)$、$(bc)^2+(ca)^2=c^2(a^2+b^2)$ も平方数である。$\square$
$(44\cdot117,\ 117\cdot240,\ 240\cdot44)=(5148,28080,10560)$ で、3 数の最大公約数 $12$ で割ると原始的な Euler の直方体 $(429,2340,880)$ になる。面の対角線は $\sqrt{429^2+2340^2}=2379$、$\sqrt{429^2+880^2}=979$、$\sqrt{2340^2+880^2}=2500$ である。辺の 1 つが $1500$ を超えるので、表には入っていない。
prop-ebr-derived は Dic05b の p. 497 に Euler の方法の説明の中で記されている。MathWorld の頁 Wei26a には、thm-ebr-saunderson の公式はいつも Euler の直方体を与えるが、すべての Euler の直方体を与えるわけではないこと、Euler が 1770 年と 1772 年に少なくとも 2 通りの媒介変数の解を見つけたことが書かれている。3 つの 2 次式 $a^2+b^2$、$a^2+c^2$、$b^2+c^2$ を同時に平方数にする問題は、曲面の上の有理点を探す問題として大学の数論で扱われる。
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