Sturm–Liouville問題

同義語:スツルム・リウヴィル問題Sturm–Liouville problem正則Sturm–Liouville問題

概要

Sturm–Liouville問題(Sturm–Liouville problem)とは、二階の線形常微分方程式に境界条件を与えて固有値と固有関数を求める問題である。正則な分離問題では実固有値と重み付き直交性が得られ、固有関数で分布を展開できる。可変係数の振動や変数分離の空間成分の計算に使われる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 線形微分方程式, 部分積分, 半区間展開

弦の固有振動や変数分離による解法では、区間の両端の条件を満たす空間の形を先に求める。係数が一定なら正弦や余弦が現れるが、媒質の性質が位置によって変わると、同じ三角関数をそのまま使えるとは限らない。Sturm–Liouville 問題は、この空間の計算を係数と境界条件を含む形で整理する固有値問題である。
固有値が実数になること、異なる固有値の固有関数が直交すること、各固有値に対応する解の自由度が一つであることは、それぞれ理由が違う。実数性と直交性には部分積分と境界条件が必要であり、自由度には常微分方程式の初期値の一意性が必要である。本記事では有限区間の正則な問題を扱い、この三つを分けて証明する。無限区間や端点で係数が零になる問題に、そのまま同じ結論を当てはめることはできない。

正則な問題の条件

正則 Sturm–Liouville 問題

有限区間 $[a,b]$ で
$$ p\in C^1([a,b],\mathbb R),\quad q,r\in C([a,b],\mathbb R),\quad p(x)>0,\quad r(x)>0 $$
を仮定する。微分方程式
$$ -(p(x)y'(x))'+q(x)y(x)=\lambda r(x)y(x) $$
と、両端で別々に指定する実係数の条件
$$ \alpha_a y(a)+\beta_a p(a)y'(a)=0,\qquad \alpha_b y(b)+\beta_b p(b)y'(b)=0 $$
を合わせた問題を、正則な分離境界条件の Sturm–Liouville 問題と呼ぶ。各組 $(\alpha_a,\beta_a)$、$(\alpha_b,\beta_b)$ は $(0,0)$ ではない。$y\in C^2([a,b],\mathbb C)$ が零関数でなく条件を満たすとき、$\lambda$ は固有値、$y$ は固有関数である。

ここで「分離」は、左端の条件に右端の値を入れず、右端の条件に左端の値を入れないという意味である。$y(a)=y(b)$ のように両端を結ぶ周期条件は、この定義には含めない。Dirichlet 条件 $y=0$、Neumann 条件 $py'=0$、Robin 条件 $py'+hy=0$ は、端ごとに指定すればいずれも含まれる。
微分方程式を $w=py'$ によって
$$ y'=w/p,\qquad w'=(q-\lambda r)y $$
と書くと、係数が連続な一次の連立方程式になる。$p>0$ のため $1/p$ が連続であり、任意の点で $(y,w)$ を指定した初期値問題の解は一意である。固有関数がある点で $y=w=0$ を同時に満たせば、零初期値の解と一致し、区間全体で零になってしまう。したがって非零の固有関数には、この二つが同時に零になる点はない。
以上の正則性の条件は、TesODE12 §5.3, (5.45), p. 153 の設定である。$q$ の非負性は仮定していない。固有値の実数性と、固有値が正であることを混同しないために、この点を区別する。

重み付き内積

$$ \langle u,v\rangle_r=\int_a^b u(x)\overline{v(x)}r(x)\,dx, \qquad \|u\|_r^2=\langle u,u\rangle_r $$
と置く。本記事の内積は第1変数について線形である。$r>0$ により、連続な非零関数のノルムの二乗は正になる。作用素の式を
$$ Lu=\frac1r\bigl(-(pu')'+qu\bigr) $$
と書けば、固有方程式は $Ly=\lambda y$ になる。

重み $r$ は記号上の飾りではない。質量密度の異なる弦では、振動の形を比べる積分にも密度が入る。固有方程式の右辺に $r$ が現れるなら、直交性に使う積分にも同じ $r$ を入れる。無重みの積分に置き換えてよいのは、$r$ が定数であるなど、その置換を説明できる場合である。

境界項から実数性と直交性を得る

Lagrange の恒等式と固有関数の直交性

上の分離境界条件を満たす $u,v\in C^2([a,b],\mathbb C)$ に対し
$$ \langle Lu,v\rangle_r-\langle u,Lv\rangle_r =[p(u\overline{v'}-u'\overline v)]_a^b=0 $$
である。すべての固有値は実数であり、異なる固有値に対応する固有関数は重み付き内積で直交する。

$p,q,r$ は実数値なので、二回の部分積分により
$$ \begin{aligned} \langle Lu,v\rangle_r &=\int_a^b p u'\overline{v'}+qu\overline v\,dx-[pu'\overline v]_a^b,\\ \langle u,Lv\rangle_r &=\int_a^b p u'\overline{v'}+qu\overline v\,dx-[pu\overline{v'}]_a^b \end{aligned} $$
を得る。端点を一つ固定する。$\beta=0$ なら $u=v=0$ なので、その端で $p(u\overline{v'}-u'\overline v)=0$ である。$\beta\ne0$ なら
$$ pu'=-\frac\alpha\beta u,\qquad p\overline{v'}=-\frac\alpha\beta\overline v $$
であり、実数 $\alpha/\beta$ を代入すると二項が打ち消し合う。両端で境界項が零になる。
$Lu=\lambda u$、$u\ne0$ として $v=u$ を代入すると
$$ (\lambda-\overline\lambda)\|u\|_r^2=0 $$
である。ノルムの二乗は正なので $\lambda=\overline\lambda$ となる。次に $Lv=\mu v$ とすると、実数性と恒等式から
$$ (\lambda-\mu)\langle u,v\rangle_r=0 $$
を得る。$\lambda\ne\mu$ なら内積は零である。

この証明では、積分の内部の式だけでなく端点での計算までが不可欠である。境界条件を変えたら、内部の微分方程式が同じでも境界項を改めて計算する。特に複素数の境界係数を自由に許すと、上の共役の計算が同じ形にはならない。

固有値の商の表示

非零の固有関数 $y$ に対し
$$ \lambda= \frac{\displaystyle\int_a^b (p|y'|^2+q|y|^2)\,dx-[py'\overline y]_a^b} {\displaystyle\int_a^b r|y|^2\,dx} $$
である。両端が Dirichlet または Neumann なら境界項は零になる。この場合 $q\ge0$ なら $\lambda\ge0$ である。

固有方程式に $\overline y$ を掛けて積分し、一回部分積分する。分母は正であるため割ることができる。指定された境界条件では各端の積 $py'\overline y$ が零である。$q\ge0$ なら分子の積分の各項は非負である。

これは任意の関数で最小値を取るという定理を主張しているわけではない。まず得られるのは、固有関数自身を代入した商の恒等式である。変分問題として最小化するには、許す関数の空間と境界条件をさらに指定しなければならない。

分離境界条件による単純性

各固有値の固有関数の自由度

正則な分離境界条件の問題では、同じ固有値に対する固有関数は定数倍を除いて一意である。

固有値 $\lambda$ を固定する。左端での初期値ベクトル $(y(a),p(a)y'(a))$ は、実係数の非零行 $(\alpha_a,\beta_a)$ の核に属する。この核は複素数上でも一次元である。非零の固有関数 $u,v$ の初期値ベクトルは、前述の初期値の一意性によってどちらも零ではない。したがってある定数 $c$ によって、$u$ の初期値ベクトルは $cv$ の初期値ベクトルに一致する。
$u$ と $cv$ は同じ $\lambda$ に対する同じ連立方程式を満たし、初期値も一致する。初期値問題の一意性により、区間全体で $u=cv$ である。右端の条件は固有値を選び出すために必要だが、同じ固有値の解が定数倍になることは左端の条件だけで決まる。

この結果を「二階だから固有関数が二つある」と解釈してはいけない。微分方程式だけなら解空間は二次元である。左端の同次条件で自由度が一つになり、右端の条件で許される $\lambda$ が選ばれる。固有関数の正規化は、その残る定数倍の自由度を固定する操作である。

固有関数を展開に使う範囲

正則な分離問題の展開定理

正則な分離問題の固有値は、下に有界な実数の列
$$ \lambda_1<\lambda_2<\cdots,\qquad \lambda_n\longrightarrow+\infty $$
として並べられる。重み付きノルムを $1$ にした固有関数 $\phi_n$ は、$L^2([a,b],r(x)\,dx)$ の完全正規直交系になる。従って任意の $f$ がこの空間に属するとき
$$ f=\sum_{n=1}^{\infty}\langle f,\phi_n\rangle_r\phi_n $$
が重み付き $L^2$ ノルムで成立する。さらに $f\in C^2([a,b])$ が同じ境界条件を満たせば、この展開は一様に収束する。

展開定理の証明の所在

完全性と一様展開の定理はこの記事では証明しない。完全性と境界条件を満たす $C^2$ 関数の一様展開は TesODE12 §5.4, Theorem 5.11, pp. 160–161 を用いる。そこでの連続関数の重み付き空間から $L^2([a,b],r\,dx)$ への完全性は、連続関数の稠密性と有限直交射影のノルムが1以下であることにより延長される。直交性だけから完全性は導けない。下方有界性は Lemma 5.12, p.162 に対応するが、一般のRobin端の評価は Problem 5.23, p.166 に委ねられているので、ここで必要な計算を閉じる。$\ell=b-a$、$p_0=\min p>0$、$r_0=\min r>0$、$q_0=\min q$ とし、非Dirichlet端の $|\alpha/\beta|$ の和を $K$ とする。$A=\int_a^b|y'|^2dx$、$B=\int_a^b|y|^2dx$ と置く。微積分の基本定理と $2|yy'|\le\varepsilon|y'|^2+\varepsilon^{-1}|y|^2$ を積分し、比較する点を区間で平均すると $\sup|y|^2\le\varepsilon A+(\varepsilon^{-1}+\ell^{-1})B$ を得る。Rayleigh式の分子は $p_0A+q_0B-K\sup|y|^2$ 以上だから、$K\varepsilon\le p_0/2$ と選べば $-MB$ 以上である。ただし $M=\max(0,K(\varepsilon^{-1}+\ell^{-1})-q_0)$。分母は $r_0B$ 以上なので $\lambda\ge-M/r_0$。$K=0$ のときも任意の正の $\varepsilon$ で同じ結論を得る。これで下方有界性を示し、Thm5.11の離散性・単純性と合わせて増加列 $\lambda_n\to+\infty$ として並べられる。

$L^2$ での等号は、すべての点で値が一致するという意味ではない。積分ノルムで差が零になる、すなわちほとんど至る所で一致するという意味である。端点の値を指定したい問題では、初期関数の連続性や境界との適合条件を別に確認する。微分を項ごとに行う場合にも、$L^2$ 収束という結論だけでは足りない。
固有関数を正規化せず $Y_n$ のまま使う場合は
$$ f\sim\sum_n A_nY_n,\qquad A_n=\frac{\int_a^b fY_n r\,dx}{\int_a^b Y_n^2r\,dx} $$
とする。実数値の固有関数を選んだ表記である。分母を落とすと、$Y_n$ の定数倍を変えたとき係数と積の対応が崩れる。係数だけを比較する場合は、固有関数の大きさをどのように固定したかも一緒に示す。

問題を解く手順

  1. 区間を決め、$p,q,r$ の連続性、$p,r$ の正値性、端点の有限性を確認する。
  2. 方程式を $-(py')'+qy=\lambda ry$ の形に直す。$y''$ の係数だけを見て $p$ を決めず、$p'y'$ まで展開して照合する。
  3. 各端の条件を $(y,py')$ に対する一つの同次条件として書く。
  4. $\lambda<0$、$\lambda=0$、$\lambda>0$ を必要に応じて分けて一般解を求める。
  5. 左端の条件を先に使い、右端の条件から固有値の方程式を作る。途中で割った因子が零の場合を別に確認する。
  6. 固有関数を元の方程式と両端の条件に代入し、ノルムを計算する。係数計算では対応する重みを使う。
    固有値の方程式に三角関数の零が現れるときは、$\tan$ に直す前の式も残すとよい。分母の零をまたいで符号が変わることと、連続な関数が零を持つことは別である。根を探す区間には、元の連続な式の符号と、根の個数を判断する根拠を付ける。

条件付き公式表

式・結論条件理由
$Ly=r^{-1}(-(py')'+qy)$$p>0,r>0$、正則係数定義
$\langle Lu,v\rangle_r=\langle u,Lv\rangle_r$同じ実分離境界条件Lagrange の恒等式
$\lambda\in\mathbb R$非零の固有関数、正の重み実数性の証明
$\langle Y_m,Y_n\rangle_r=0$$\lambda_m\ne\lambda_n$直交性の証明
固有関数は定数倍で一意正則、分離条件初期値の一意性
$\lambda\ge0$$q\ge0$、両端が Dirichlet または Neumann境界項が零の商
$A_n=\langle f,Y_n\rangle_r/\Vert Y_n\Vert_r^2$実固有関数、$f\in L^2(r)$完全系の展開定理
$Y_n=\sin(n\pi x/L)$、$\lambda_n=(n\pi/L)^2$$p=r=1,q=0$、両端 Dirichlet半区間展開 の定理「固定端と自由端の固有関数」

数値を含む例

右端が Robin 条件の問題

$[0,1]$ で $-y''=\lambda y$、$y(0)=0$、$y'(1)+y(1)=0$ を考える。商の分子は
$$ \int_0^1|y'|^2\,dx+|y(1)|^2 $$
なので、非零の固有関数では $\lambda>0$ である。$\lambda=\mu^2$、$\mu>0$ とすると $y=C\sin\mu x$ であり、右端から
$$ \mu\cos\mu+\sin\mu=0 $$
を得る。最初の根は $(\pi/2,\pi)$ にあり、$\mu_1\approx2.028758$、$\lambda_1\approx4.115858$ となる。実際、この区間では $\tan\mu$ は単調増加し、$\tan\mu+\mu$ が負の無限大から正の値まで増えるので根は一つである。
元の方程式には $\mu=0$ も形式的に代入できるが、$\sin(0x)$ は零関数である。零固有値の候補は $y=Cx$ を別に調べ、右端で $2C=0$ となるため除外する。

対数座標で解ける可変係数

$[1,e]$ で
$$ -(x^2y')'=\lambda y,\qquad y(1)=y(e)=0 $$
を考える。$s=\log x$、$y=x^{-1/2}z(s)$ と置くと、直接微分して
$$ -(x^2y')'=x^{-1/2}(-z''+z/4) $$
を得る。両端は $s=0,1$ なので
$$ Y_n(x)=x^{-1/2}\sin(n\pi\log x),\qquad \lambda_n=n^2\pi^2+\frac14. $$
最初の固有値は $\lambda_1\approx10.119604$ である。$r=1$ だから
$$ \int_1^eY_mY_n\,dx =\int_0^1\sin(m\pi s)\sin(n\pi s)\,ds $$
となり、異なる番号で零、同じ番号で $1/2$ になる。座標変換のヤコビアン $dx=e^sds$ と $x^{-1/2}$ の二乗が相殺する点を確認する。

定数の重みと零次項

$[0,1]$ で $-y''+3y=2\lambda y$、両端 Dirichlet とする。半区間展開 の固有関数を用いれば
$$ Y_n=\sin(n\pi x),\qquad \lambda_n=\frac{n^2\pi^2+3}{2} $$
であり、$\lambda_1\approx6.434802$ である。重みが $r=2$ なので $\|Y_n\|_r^2=1$ となる。無重みのノルムの二乗 $1/2$ を係数の分母に入れながら、分子だけに $2$ を入れると、展開係数が二倍になってしまう。

零固有値を含む場合

$[0,1]$ で $-y''=\lambda y$、$y'(0)=y'(1)=0$ とする。最初の固有関数は定数 $Y_0=1$、固有値は $0$ である。残りは $Y_n=\cos(n\pi x)$、$\lambda_n=n^2\pi^2$、$n\ge1$ となる。$f(x)=2+\cos\pi x$ の定数係数は $\int_0^1f(x)\,dx=2$ であり、第1の正固有値は $\pi^2\approx9.869604$ である。正の固有値だけを並べると平均値 $2$ を表す成分が抜ける。

条件を外した反例

外した条件・読み違い具体例起こること
分離条件を周期条件へ変更$[0,2\pi]$、$y(0)=y(2\pi),y'(0)=y'(2\pi)$$\lambda=n^2$ に $\sin nx,\cos nx$ があり、単純性の証明を使えない
$q\ge0$ を仮定せず非負性を主張$[0,1]$、$p=r=1,q=-10$、両端 Dirichlet第1固有値は $\pi^2-10\approx-0.130396$
Robin 条件の境界項を捨てる$y(0)=0,y'(1)-2y(1)=0$分子に $-2\lvert y(1)\rvert^2$ が残り、負の固有値が現れる
正の重みを落とす符号を変える $r$ を使用$\int r\lvert y\rvert^2$ は正とは限らず、実数性の証明の最後が成立しない
正則性を落とす$[0,1]$ で $p(x)=x$左端で $1/p$ が発散し、正則問題の定理の対象外になる

負の固有値が現れる Robin の例を具体的に確認する。$\lambda=-\nu^2$、$\nu>0$ とすると $y=\sinh\nu x$ が左端条件を満たす。右端条件は $\nu\cosh\nu-2\sinh\nu=0$、すなわち $\nu\coth\nu=2$ である。左辺は $\nu\downarrow0$ で $1$ に近づき、$\nu\to\infty$ で無限大になる。連続性により正の解があり、負の固有値が存在する。$q=0$ であっても、境界項を含む商の符号を見なければならない。
周期条件の例では、実数性や直交性が直ちに失われるわけではない。失われるのは、この分離条件の単純性の結論である。仮定を外したときは、どの証明のどの部分が使えなくなるかを特定する。一つの条件の変更から、すべての結論が偽になると推測するのも誤りである。

図で根と固有関数を見る

図: Robin 条件の固有値方程式と固有関数 図: Robin 条件の固有値方程式と固有関数
左は $\mu\cos\mu+\sin\mu$ と最初の三つの正の零点、右はそれらに対応する $\sin(\mu_nx)$ である。原点の零は固有関数を与えないため、固有値として数えない。右の曲線は振幅を $1$ に固定しており、重み付きノルムで正規化した曲線ではない。

よくある誤り

誤り確認する点
$-(py')'$ を $-py''$ に置き換える$-p'y'$ の項も含めて展開する
直交性の重みを落とす元の方程式の $r$ と内積の $r$ を一致させる
固有値の実数性から正値性を結論する商の $q$ と境界項の符号を調べる
固有値方程式を割って零の場合を失う$\lambda=0$ を別に調べ、元の式へ戻す
直交性だけで完全性を主張する正則な展開定理の条件まで確認する
$L^2$ 収束から端点の値や微分を断定する連続性、境界適合、微分の収束条件を追加する

正規化と固有値方程式を照合する

同じ固有関数を二倍にしても固有値は変わらない。一方、展開係数は半分になり、係数と固有関数の積が保たれる。この対応は係数の分母を含む公式から直接分かる。単位ノルムの固有関数を使う場合も符号の自由度は残るが、符号を変えると係数も同時に変わるため、展開した関数は変わらない。異なる資料の係数を比較する際は、固有関数の規格化も比較する。
Robin の例のノルムは
$$ \int_0^1\sin^2(\mu x)\,dx=\frac12-\frac{\sin(2\mu)}{4\mu} $$
である。$\mu$ が固有値方程式の正の根なら、この積分は正である。単位ノルムにしたい場合は、その正の平方根で割る。整数周波数の正弦ではノルムの二乗が $1/2$ になるが、Robin の非整数周波数に同じ数をそのまま使ってはいけない。
根を選ぶ計算では、固有値 $\lambda$ と補助変数 $\mu$ を混同しない。ここでは $\lambda=\mu^2$ と置いたので、固有値の比較には根の二乗を使う。微分方程式に係数や重みがあれば、この関係も変わる。定数の重みの例では $2\lambda-3$ が正弦の振動数の二乗になった。右端の超越方程式だけを別の問題から借りると、この尺度を取り落とす。
可変係数の問題を三角関数へ移す場合は、変数変換した後の境界だけでなく内積も変換する。対数座標の例では区間の長さが一になり、関数に掛けた因子と積分のヤコビアンが相殺した。関数に掛ける因子を省けば、変換後の方程式に一階微分が残り、無重みの三角関数の直交性を同じ形では使えなくなる。方程式の変換と積分の変換を別々に計算して一致させる。
固有値の列を初期分布の展開に使った後は、時間方程式を元の偏微分方程式から求める。熱なら固有値が減衰率に現れ、波動なら角振動数の二乗に現れる。ただし負の固有値や零固有値が許される問題では、時間の形も変わる。正則問題であることは、すべての時間因子が振動になることまで保証しない。境界項と零次項を含めた固有値の符号が、この段階でも必要になる。

関連項目

参考文献

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