長田–Smirnovの距離化定理

同義語:Nagata–Smirnov metrization theoremNagata–Smirnovの距離化定理

概要

長田–Smirnovの距離化定理(Nagata–Smirnov metrization theorem)とは、位相空間が距離化可能であるための必要十分条件は、正則な $T_1$ 空間であって、可算個の局所有限な族の和として書ける開基($\sigma$-局所有限な開基)をもつことである、という定理である。長田潤一と Smirnov が独立に示した。十分性は、開基の各成員の上でだけ正になる関数を並べて距離を直接書き下すことで示され、必要性は、距離空間の開被覆が $\sigma$-離散な開細分をもつことから従う。第 2 可算な場合として Urysohn の距離化定理を含み、開基を $\sigma$-離散にとる Bing の距離化定理も同じ証明から得られる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 局所有限(位相), 正則空間, 距離化可能空間, Urysohnの補題

位相空間がいつ距離で記述できるか、すなわちいつ距離化可能空間になるかは、一般位相の基本的な問いである。Urysohnの距離化定理は第 2 可算な正則 $T_1$ 空間が距離化可能であることを示すが、第 2 可算性は必要条件ではない(非可算集合の離散空間は距離化可能だが第 2 可算でない)。長田–Smirnov の距離化定理(Nagata–Smirnov metrization theorem)は、可算な開基の代わりに「可算個の局所有限な族の和として書ける開基」を要求することで、距離化可能であるための必要十分条件を与える。この定理は長田潤一(Jun-iti Nagata)が 1950 年に、Ju. M. Smirnov が 1951 年に、それぞれ示した(Eng89 §4.4 の注、p. 286)。2 人の仕事は互いに独立である。長田潤一は一般位相・次元論の研究者であり、可換環論の永田雅宜(永田環・永田のコンパクト化の永田)とは別人である。
この記事では、定理を述べ、十分性と必要性の両方を証明する。十分性では、開基の各成員の上でだけ正になる小さな関数を並べて、距離を直接書き下す。必要性では、距離空間の開被覆を「互いに $1/(3n)$ 以上離れた開集合」の族に細分する。証明の副産物として、開基を $\sigma$-離散にとれるという Bing の距離化定理も得られる。

定義と主張

位相空間 $X$ の部分集合の集まり $\mathcal{A}$ が局所有限であるとは、各点が、有限個の成員としか交わらない近傍をもつことをいう(局所有限(位相) の定義「局所有限な族」)。各点が高々 1 つの成員としか交わらない近傍をもつとき離散的といい、可算個の局所有限な集まり(離散的な集まり)の和として書けるとき $\sigma$-局所有限($\sigma$-離散)という(同記事の定義「関連する有限性の条件」)。離散的な集まりは局所有限なので、$\sigma$-離散なら $\sigma$-局所有限である。

正則 $T_1$ 空間

位相空間 $X$ が $T_1$ であるとは、1 点集合がすべて閉集合であることをいう。$X$ が正則であるとは、閉集合 $F$ と点 $x\notin F$ に対して、$x\in U$、$F\subset V$、$U\cap V=\emptyset$ となる開集合 $U,V$ があることをいう。正則な $T_1$ 空間を $T_3$ 空間という。

正則空間 の記事と同じく、この記事の「正則」は $T_1$ を含まない。Mun00 §31(p. 195)や Eng89 §1.5(p. 38)の regular は $T_1$ を含むので、それらの本の定理の「regular」はこの記事の「$T_3$」にあたる。正則性は「点 $x$ の任意の開近傍 $O$ に対し、$x\in W\subset\overline W\subset O$ となる開集合 $W$ がある」ことと同値である(正則空間 の節「閉近傍による言い換え」)。

長田–Smirnov の距離化定理

位相空間 $X$ について、次は同値である。

  1. $X$ は距離化可能である。
  2. $X$ は $T_3$ 空間であり、$\sigma$-局所有限な開基をもつ。
証明の構成と出典

2 ⇒ 1 は lem-ns-normal・lem-ns-functions を準備して prf-ns-sufficiency で、1 ⇒ 2 は lem-ns-refinement から prf-ns-necessity で証明する。同じ主張は Mun00 §40 Theorem 40.3(p. 250)と Eng89 Theorem 4.4.7(p. 282)にある。

$X$ が第 2 可算なら、可算な開基は(各成員を 1 つずつの局所有限な集まりと見て)$\sigma$-局所有限なので、この定理は Urysohnの距離化定理を含む(cor-ns-urysohn)。

十分性の準備:正規性と分離関数

正則で $\sigma$-局所有限な開基をもつ空間

$X$ を正則空間とし、$\mathcal{B}=\bigcup_{n\ge1}\mathcal{B}_n$(各 $\mathcal{B}_n$ は局所有限)を $X$ の開基とする。

  1. $X$ の任意の開集合 $W$ は、$\overline{U_n}\subset W$ を満たす可算個の開集合 $U_n$ によって $W=\bigcup_nU_n$ と書ける。
  2. $X$ の閉集合はすべて $G_\delta$ 集合(可算個の開集合の共通部分)である。
  3. $X$ は正規性条件を満たす:交わらない閉集合 $C,D$ に対し、$C\subset U$、$D\subset V$、$U\cap V=\emptyset$ となる開集合 $U,V$ がある。

1。 $\mathcal{C}_n:=\{B\in\mathcal{B}_n\mid\overline B\subset W\}$、$U_n:=\bigcup_{B\in\mathcal{C}_n}B$ とおく。$\mathcal{C}_n$ は局所有限な $\mathcal{B}_n$ の部分集まりなので局所有限であり、局所有限な集まりの合併の閉包は閉包の合併である(開被覆 の命題「局所有限な族の閉包」)。よって $\overline{U_n}=\bigcup_{B\in\mathcal{C}_n}\overline B\subset W$ である。逆に $x\in W$ なら、正則性により $x\in W'\subset\overline{W'}\subset W$ となる開集合 $W'$ があり、開基の成員 $B$ で $x\in B\subset W'$ となるものがある。$B\in\mathcal{B}_n$ とすると $\overline B\subset\overline{W'}\subset W$ なので $B\in\mathcal{C}_n$、$x\in U_n$ である。よって $W=\bigcup_nU_n$。
2。 閉集合 $C$ に 1 を $W:=X\setminus C$ で当てはめると $C=\bigcap_n(X\setminus\overline{U_n})$ であり、各 $X\setminus\overline{U_n}$ は開集合である。
3。 1 を $X\setminus D$ に当てはめて、$\overline{U_n}\cap D=\emptyset$ かつ $C\subset\bigcup_nU_n$ となる開集合 $U_n$ を得る。同様に $\overline{V_n}\cap C=\emptyset$ かつ $D\subset\bigcup_nV_n$ となる開集合 $V_n$ を得る。
$$ U_n':=U_n\setminus\bigcup_{i\le n}\overline{V_i},\qquad V_n':=V_n\setminus\bigcup_{i\le n}\overline{U_i} $$
は有限個の閉集合を除いた開集合である。$C$ の点 $x$ は $\overline{V_i}$ のどれにも属さず、ある $U_n$ に属するので $x\in U_n'$ である。同様に $D\subset\bigcup_nV_n'$。$U:=\bigcup_nU_n'$、$V:=\bigcup_mV_m'$ とおく。$x\in U_n'\cap V_m'$ があったとし、$n\le m$ とすると、$x\in U_n\subset\overline{U_n}$ だが $V_m'$ は $\overline{U_n}$ を除いているので矛盾する。$n>m$ でも同様である。よって $U\cap V=\emptyset$。$\square$

開基の成員ごとの関数

lem-ns-normal と同じ仮定のもとで、各 $n$ と各 $B\in\mathcal{B}_n$ に対し、連続関数 $f_{n,B}\colon X\to[0,1/n]$ で
$$ f_{n,B}(x)>0\iff x\in B $$
を満たすものがある。

$X\setminus B$ は閉集合なので、lem-ns-normal の 2 により $G_\delta$ 集合である。$X$ は正規性条件を満たす(同 3)ので、Urysohnの補題 の命題「零点集合がちょうど与えられた閉集合になる条件」により、連続関数 $g\colon X\to[0,1]$ で $g^{-1}(0)=X\setminus B$ となるものがある。$f_{n,B}:=g/n$ とおけばよい(各 $(n,B)$ ごとに 1 つ選ぶ)。$\square$

十分性の証明:距離を書き下す

2 ⇒ 1:距離を書き下す

$X$ を $T_3$ 空間、$\mathcal{B}=\bigcup_n\mathcal{B}_n$ を $\sigma$-局所有限な開基とし、lem-ns-functions の関数 $f_{n,B}$($n\ge1$、$B\in\mathcal{B}_n$)をとる。
$$ d(x,y):=\sup_{n\ge1,\ B\in\mathcal{B}_n}\bigl|f_{n,B}(x)-f_{n,B}(y)\bigr| $$
とおく。値はすべて $[0,1]$ に入るので $d(x,y)\le1$ であり、$d$ は対称で三角不等式を満たす(各項で三角不等式を使い、上限をとる)。
段 1($d(x_0,\cdot)$ は $x_0$ で連続)。 $x_0\in X$、$\varepsilon>0$ とする。$1/N<\varepsilon/2$ となる $N$ をとる。各 $n\le N$ について、$x_0$ の開近傍 $U_n$ で $\mathcal{B}_n$ の有限個の成員 $B_1,\dots,B_k$ としか交わらないものをとる。それ以外の $B\in\mathcal{B}_n$ では $f_{n,B}$ は $U_n$ の上で恒等的に $0$ である。$f_{n,B_1},\dots,f_{n,B_k}$ は連続なので、$x_0$ の開近傍 $V_n\subset U_n$ で、$x\in V_n$ なら $|f_{n,B_j}(x)-f_{n,B_j}(x_0)|<\varepsilon/2$($j=1,\dots,k$)となるものがある。$V:=V_1\cap\dots\cap V_N$ とする。$x\in V$ のとき、$n\le N$ の項は $\varepsilon/2$ 未満であり、$n>N$ の項は 2 つの値がともに $[0,1/n]$ に入るので $1/n<\varepsilon/2$ 以下である。よって $d(x,x_0)\le\varepsilon/2<\varepsilon$。
段 2($d$ の開球は開集合)。 $y$ が $d$ の開球 $\{x\mid d(x_0,x)< r\}$ に属するとき、$s:=r-d(x_0,y)>0$ とおく。段 1 を $y$ と $s$ に当てはめると、$y$ の開近傍 $V$ で $d(x,y)< s$($x\in V$)となるものがあり、三角不等式により $V$ は開球に含まれる。
段 3(開集合は $d$ の開球を含む)。 $O$ を開集合、$x_0\in O$ とする。開基の成員 $B\in\mathcal{B}_n$ で $x_0\in B\subset O$ となるものをとり、$c:=f_{n,B}(x_0)>0$ とおく。$d(x,x_0)< c$ なら $f_{n,B}(x)>f_{n,B}(x_0)-c=0$ なので $x\in B\subset O$ である。
段 4($d$ は距離)。 $x\ne y$ とする。$T_1$ 性により $O:=X\setminus\{y\}$ は $x$ を含む開集合なので、段 3 により $d(x,y)\ge c>0$ となる $c$ がある。
段 2 と段 3 により、$d$ の定める位相は $X$ の位相に一致する。よって $X$ は距離化可能である。$\square$

Mun00 §40 Theorem 40.3(p. 250)の証明は、同じ関数 $f_{n,B}$ で $X$ を一様距離をもつ積空間 $[0,1]^J$ に埋め込む。上の $d$ はその埋め込みで一様距離を引き戻したものにあたる。

必要性の証明:距離空間の開被覆の細分

距離空間の開被覆は $\sigma$-離散な開細分をもつ

$(X,d)$ を距離空間、$\mathcal{U}$ を $X$ の開被覆とする。このとき、各 $n\ge1$ について開集合の離散的な集まり $\mathcal{E}_n$ があって、$\mathcal{E}:=\bigcup_n\mathcal{E}_n$ は $X$ を覆い、$\mathcal{E}$ の各成員はある $U\in\mathcal{U}$ に含まれる。

整列順序による切り分け

整列可能定理により $\mathcal{U}$ に整列順序 $<$ を入れる(選択公理を使う)。$B(x,r)$ で開球を表す。$n\ge1$ と $U\in\mathcal{U}$ について
$$ S_n(U):=\{x\mid B(x,1/n)\subset U\},\qquad T_n(U):=S_n(U)\setminus\bigcup_{V< U}V $$
とおく。$V< W$、$x\in T_n(V)$、$y\in T_n(W)$ なら、$B(x,1/n)\subset V$ かつ $y\notin V$ なので $d(x,y)\ge1/n$ である。次に
$$ E_n(U):=\bigcup_{x\in T_n(U)}B\bigl(x,\tfrac1{3n}\bigr) $$
とおく。これは開集合で、$B(x,\frac1{3n})\subset B(x,\frac1n)\subset U$ より $E_n(U)\subset U$ である。$V\ne W$、$x'\in E_n(V)$、$y'\in E_n(W)$ なら、$d(x',x)<\frac1{3n}$、$d(y',y)<\frac1{3n}$ となる $x\in T_n(V)$、$y\in T_n(W)$ があるので
$$ d(x',y')\ge d(x,y)-d(x,x')-d(y,y')>\tfrac1n-\tfrac2{3n}=\tfrac1{3n} $$
である。$\mathcal{E}_n:=\{E_n(U)\mid U\in\mathcal{U}\}$ とする。任意の点 $z$ の開球 $B(z,\frac1{6n})$ の 2 点の距離は $\frac1{3n}$ 未満なので、この開球は $\mathcal{E}_n$ の高々 1 つの成員としか交わらない。よって $\mathcal{E}_n$ は離散的である。
最後に $\mathcal{E}$ が $X$ を覆うことを示す。$z\in X$ とし、$z$ を含む $\mathcal{U}$ の成員のうち $<$ について最小のものを $U$ とする。$U$ は開集合なので $B(z,1/n)\subset U$ となる $n$ があり、$z\in S_n(U)$ である。$U$ の最小性から、$V< U$ なる $V$ は $z$ を含まないので $z\in T_n(U)\subset E_n(U)$ である。$\square$

1 ⇒ 2:$\sigma$-離散な開基を作る

$X$ に距離 $d$ を固定する。距離空間は $T_3$ 空間である(正則空間 の命題「距離空間は正則」)。各 $m\ge1$ について、半径 $1/m$ の開球全体からなる開被覆に lem-ns-refinement を当てはめ、$\sigma$-離散な開細分 $\mathcal{E}^{(m)}=\bigcup_n\mathcal{E}^{(m)}_n$ を得る。その成員は半径 $1/m$ の開球に含まれるので直径が $2/m$ 以下である。$\mathcal{E}:=\bigcup_{m,n}\mathcal{E}^{(m)}_n$ は可算個の離散的な集まりの和なので $\sigma$-離散、とくに $\sigma$-局所有限である。
$\mathcal{E}$ が開基であることを示す。$x\in X$、$\varepsilon>0$ とし、$2/m<\varepsilon$ となる $m$ をとる。$\mathcal{E}^{(m)}$ は $X$ を覆うので $x\in E$ となる $E\in\mathcal{E}^{(m)}$ がある。$E$ の点 $y$ は $d(x,y)\le2/m<\varepsilon$ を満たすので $E\subset B(x,\varepsilon)$ である。$\square$

帰結

Bing の距離化定理

位相空間 $X$ が距離化可能であるための必要十分条件は、$X$ が $T_3$ 空間であり $\sigma$-離散な開基をもつことである。

必要性は prf-ns-necessity で作った開基 $\mathcal{E}$ が $\sigma$-離散であることによる。十分性は、$\sigma$-離散な開基が $\sigma$-局所有限であることと thm-ns-main による。$\square$

この主張は R. H. Bing が 1951 年に示した(Eng89 Theorem 4.4.8、p. 282 と p. 286 の注)。Mun00 §40 では演習 5(p. 252)である。

Urysohn の距離化定理

第 2 可算な $T_3$ 空間は距離化可能である。

可算な開基 $\{B_1,B_2,\dots\}$ について $\mathcal{B}_n:=\{B_n\}$ は局所有限なので、開基は $\sigma$-局所有限である。thm-ns-main による。$\square$

非可算な離散空間

非可算集合 $X$ に離散位相を入れる。1 点集合の全体 $\{\{x\}\mid x\in X\}$ は開基であり、各点の近傍 $\{x\}$ は成員 $\{x\}$ としか交わらないので離散的である。よって $X$ は $\sigma$-離散な開基をもつ $T_3$ 空間で、距離 $d(x,y)=1$($x\ne y$)で距離化される。一方、任意の開基は 1 点集合をすべて含むので可算でなく、$X$ は第 2 可算でない。

反例:条件を外すと成り立たない

thm-ns-main の 2 の 3 つの条件($T_1$、正則、$\sigma$-局所有限な開基)は、どれも外せない。各行は 1 つの条件だけを破る。

外す条件反例成り立たなくなること
$T_1$2 点集合 $\{a,b\}$ に密着位相を入れた空間距離化可能であること
正則性$K$-位相の実数直線 $\mathbb{R}_K$距離化可能であること
$\sigma$-局所有限な開基をもつことSorgenfrey 直線 $\mathbb{R}_\ell$距離化可能であること
反例の確かめ
各行の確かめを開く

1 行目:開集合は $\emptyset$ と $\{a,b\}$ だけなので、空でない閉集合は全体だけであり、正則性の条件は満たされる(点 $x\notin F$ となる空でない閉集合 $F$ がない)。開基 $\{\{a,b\}\}$ は有限なので $\sigma$-局所有限である。$\{a\}$ は閉でないので $T_1$ でない。距離空間では 1 点集合は閉なので、距離化可能でない。

2 行目:$K:=\{1/n\mid n\ge1\}$ とし、開区間 $(a,b)$ と $(a,b)\setminus K$ の全体を開基とする位相を $\mathbb{R}_K$ とする(Mun00 §13, p. 82)。この位相は通常の位相より細かいので $T_1$ である。端点が有理数の $(p,q)$ と $(p,q)\setminus K$ の全体は可算な開基であり($x\in(a,b)\setminus K$ なら $a< p< x< q< b$ となる有理数 $p,q$ について $x\in(p,q)\setminus K\subset(a,b)\setminus K$)、$\sigma$-局所有限である。$\mathbb{R}_K$ は正則でない:閉集合 $K$ と点 $0$ は交わらない開集合で分けられない(Mun00 §31 Example 1, p. 197)。距離空間は正則なので、$\mathbb{R}_K$ は距離化可能でない。

3 行目:半開区間 $[a,b)$ の全体を開基とする位相を $\mathbb{R}_\ell$ とする。$T_1$ であり、$[a,b)$ の補集合 $(-\infty,a)\cup[b,\infty)$ も開なので $[a,b)$ は開かつ閉である。$x\notin F$($F$ は閉)なら $x\in[x,b)\subset\mathbb{R}\setminus F$ となる $b$ があり、$[x,b)$ とその補集合が $x$ と $F$ を分けるので正則である。有理数の集合は稠密である。距離化可能だとすると、可算な稠密部分集合 $D$ をもつ距離空間は、$d$ の開球 $B(q,1/k)$($q\in D$、$k\ge1$)を開基にもつので第 2 可算である。しかし $\mathbb{R}_\ell$ の任意の開基 $\mathcal{B}$ について、各 $x$ に $x\in B_x\subset[x,x+1)$ となる $B_x\in\mathcal{B}$ を選ぶと $x=\min B_x$ なので $x\mapsto B_x$ は単射であり、$\mathcal{B}$ は非可算である。よって $\mathbb{R}_\ell$ は距離化可能でなく、thm-ns-main により $\sigma$-局所有限な開基をもたない。

関連項目

参考文献

[1]
James R. Munkres, Topology, 2nd ed., Prentice Hall, 2000, §13, p. 82(K-位相)、§31, p. 195(regular の定義)・Example 1, p. 197(R_K は正則でない)、§39 Lemma 39.1–39.2, pp. 245–247、§40 Lemma 40.1–40.2・Theorem 40.3, pp. 249–252(長田–Smirnov の距離化定理)、§40 Exercise 5, p. 252(Bing の距離化定理)
[2]
Ryszard Engelking, General Topology, Revised and completed edition, Heldermann Verlag, 1989, §1.5, p. 38(regular の定義)、Theorem 4.4.7–4.4.8, p. 282(長田–Smirnov と Bing の距離化定理)、§4.4 の注, p. 286(Nagata [1950]、Smirnov [1951a]、Bing [1951])

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