曲率(高校数学)

同義語:曲率半径曲率円接触円curvature (high school mathematics)osculating circle

概要

曲率(curvature)とは、曲線の曲がり方の強さと向きを表す量である。速さが $0$ にならない 2 回微分可能な曲線 $(x(t),y(t))$ で $\kappa=\frac{x'y''-x''y'}{(x'^2+y'^2)^{3/2}}$ と定め、左へ曲がる点で正、右へ曲がる点で負になる。接線の角を $\theta$、弧長を $s$ とすると $\kappa=\frac{d\theta}{ds}$ で、加速度の法線方向の成分は $\kappa v^2$($v$ は速さ)である。$y=f(x)$ で $f''(a)\ne0$ なら、点 $(a,f(a))$ を通り 1 階・2 階の導関数の値が $f$ と一致する円(曲率円)がただ 1 つあり、半径は $\frac{(1+f'(a)^2)^{3/2}}{\lvert f''(a)\rvert}$ である。円の曲率は半径の逆数である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 接線・法線と曲線の凹凸, 媒介変数表示と曲線の長さ, 陰関数の微分, 逆関数の微分

高校での出発点:同じ長さ進んだときの向きの変わり方

曲がった道を車で走ると、ハンドルを切った分だけ車の向きが変わる。急なカーブでは、少し進むあいだに向きが大きく変わり、ゆるやかなカーブでは、長く進んでも向きはあまり変わらない。曲がり方の強さは「進んだ長さあたりの向きの変わり方」で測れそうである。

半径 1 の円と半径 2 の円

円の上を反時計回りに、長さ $1$ だけ進む(図 1)。
(1) 半径 $1$ の円では、長さ $1$ の弧の中心角は $1$(ラジアン)である。円の接線は半径に垂直なので、接線の向きも中心角と同じ $1$ だけ回る。進んだ長さあたりの向きの変化は $\dfrac11=1$ である。
(2) 半径 $2$ の円では、長さ $1$ の弧の中心角は $\dfrac12$ で、接線の向きは $\dfrac12$ だけ回る。進んだ長さあたりの向きの変化は $\dfrac12$ である。
どちらでも、進んだ長さあたりの向きの変化は $\dfrac1{\text{半径}}$ になる。

半径 1 の円(左)と半径 2 の円(右)で、長さ 1 の弧(太線)の両端の接線の向き(矢印)を比べる図。向きの変化は左が 1、右が 0.5 半径 1 の円(左)と半径 2 の円(右)で、長さ 1 の弧(太線)の両端の接線の向き(矢印)を比べる図。向きの変化は左が 1、右が 0.5
接線・法線と曲線の凹凸 の節「曲がり具合:曲率(紹介)」では、曲線 $y=f(x)$ の曲率を
$$ \frac{\lvert f''(x)\rvert}{\bigl(1+f'(x)^2\bigr)^{3/2}} $$
と定義し、円では $\dfrac1{\text{半径}}$ になることを確かめた。そこでは、この式が「進んだ長さあたりの向きの変化」を表すことと、曲率円の特徴は証明していなかった。この記事では、曲線を媒介変数表示で表し、曲がる向き(左か右か)も符号で表す曲率を定義して、次の問いに答える。

  1. 曲率の式は、なぜ「進んだ長さあたりの向きの変化」になるのか。→ thm-curv-angle
  2. 曲線の加速度と曲率はどう関係するか。→ cor-curv-acceleration
  3. 曲率円とは、どんな円か。→ thm-curv-osculating、prop-curv-center
  4. どんな曲線で、どこが最も強く曲がっているか。→ ex-curv-exp、比較表
    高校の計算この記事の言葉ボックス
    速度ベクトル $(x',y')$接線の角 $\theta$ と弧長 $s$def-curv-angle
    $\dfrac{x'y''-x''y'}{(x'^2+y'^2)^{3/2}}$符号つきの曲率 $\kappa=\dfrac{d\theta}{ds}$def-curv-signed、thm-curv-angle
    加速度の法線方向の成分$\kappa v^2$cor-curv-acceleration
    陰関数の微分2 次まで接する円(曲率円)thm-curv-osculating

曲線と符号つきの曲率

曲線と向き

滑らかな曲線と向き

区間 $I$ で定義された関数 $x(t)$、$y(t)$ が 2 回微分可能で、2 階導関数 $x''$、$y''$ が連続であるとする。点 $P(t)=\bigl(x(t),y(t)\bigr)$($t\in I$)の描く曲線を考え、$t$ が増える向きを曲線の 向き とする。さらに、すべての $t\in I$ で速さ
$$ v(t)=\sqrt{x'(t)^2+y'(t)^2} $$
が $0$ でないとする(速度ベクトル $P'(t)=\bigl(x'(t),y'(t)\bigr)$ が $\vec0$ にならない)。このとき
$$ \vec T(t)=\frac{1}{v}\bigl(x',\ y'\bigr),\qquad \vec N(t)=\frac1v\bigl(-y',\ x'\bigr) $$
をそれぞれ 単位接ベクトル、単位法ベクトル という。$\vec N$ は $\vec T$ を反時計回りに $90^\circ$ 回したベクトルで、進む向きに対して左を向く。

$\vec T$ と $\vec N$ はどちらも長さ $1$ で、内積は $\dfrac1{v^2}\bigl(-x'y'+y'x'\bigr)=0$ なので垂直である。この記事の曲線は、以下すべて def-curv-curve の条件を満たすとする(後の ex-curv-cusp で、速さが $0$ になる点で何が起こるかを見る)。

符号つきの曲率

符号つきの曲率

def-curv-curve の曲線の、点 $P(t)$ における 曲率 を
$$ \kappa(t)=\frac{x'(t)\,y''(t)-x''(t)\,y'(t)}{\bigl(x'(t)^2+y'(t)^2\bigr)^{3/2}} $$
と定める。$\kappa(t)\ne0$ のとき、$\dfrac1{\lvert\kappa(t)\rvert}$ を 曲率半径 という。

分子の $x'y''-x''y'$ は、速度ベクトル $(x',y')$ と加速度ベクトル $(x'',y'')$ を並べてできる式である。この値の符号が曲率の符号になる。符号の意味は、例で確かめてから rem-curv-sign で述べる。

円の曲率と向き

$r>0$ とする。
(1) 反時計回りの円 $P(t)=(r\cos t,\ r\sin t)$ では $x'=-r\sin t$、$y'=r\cos t$、$x''=-r\cos t$、$y''=-r\sin t$ なので
$$ x'y''-x''y'=r^2\sin^2t+r^2\cos^2t=r^2,\qquad x'^2+y'^2=r^2 $$
である。よって $\kappa=\dfrac{r^2}{(r^2)^{3/2}}=\dfrac{r^2}{r^3}=\dfrac1r$ で、曲率半径は $r$ である。
(2) 時計回りの円 $P(t)=(r\cos t,\ -r\sin t)$ では $y$ の符号がすべて逆になるので、$x'y''-x''y'=-r^2$、$\kappa=-\dfrac1r$ である。曲率半径は同じ $r$ である。

放物線の曲率

放物線 $y=x^2$ を $P(t)=(t,\ t^2)$ と表す。$x'=1$、$y'=2t$、$x''=0$、$y''=2$ なので
$$ \kappa(t)=\frac{1\cdot2-0\cdot2t}{(1+4t^2)^{3/2}}=\frac{2}{(1+4t^2)^{3/2}} $$
である。$t=0$(頂点)で $\kappa=2$、$t=1$ で $\kappa=\dfrac2{5^{3/2}}=\dfrac{2}{5\sqrt5}=0.1788\ldots$ で、接線・法線と曲線の凹凸 の例「放物線と 3 次関数の曲率」の値と一致する。どの点でも $\kappa>0$ である。

グラフ $y=f(x)$ を $P(t)=\bigl(t,f(t)\bigr)$ と表すと、$x'=1$、$x''=0$ なので
$$ \kappa=\frac{f''}{\bigl(1+f'^2\bigr)^{3/2}} $$
となる。この絶対値が 接線・法線と曲線の凹凸 の定義「曲率と曲率半径」の式である。つまり、この記事の曲率は、あの定義に「曲がる向き」の符号を付けたものである。

曲率の符号の意味

$\kappa>0$ の点では曲線は進む向きに対して左へ、$\kappa<0$ の点では右へ曲がる。ex-curv-circle の反時計回りの円は、進む人から見ていつも左へ曲がり、$\kappa>0$ であった。グラフ $y=f(x)$ を $x$ が増える向きにたどるときは $\kappa$ の符号は $f''$ の符号と同じで、下に凸($f''>0$)の部分では左へ、上に凸の部分では右へ曲がる。「左へ曲がる」ことの正確な意味は、次の節の thm-curv-angle で「接線の角が増える」こととして示す。

主定理 1:曲率は接線の向きの変わる速さ

接線の角と弧長

接線の角と弧長

def-curv-curve の曲線について、区間 $J\subset I$ で微分可能な関数 $\theta(t)$ が
$$ \bigl(\cos\theta(t),\ \sin\theta(t)\bigr)=\vec T(t)\qquad(t\in J) $$
を満たすとき、$\theta$ を $J$ での 接線の角 という($x$ 軸の正の向きから、進む向きの接線までの角)。また、$t_0\in I$ を決めて
$$ s(t)=\int_{t_0}^{t}v(u)\,du $$
を $P(t_0)$ から測った 弧長 という($t< t_0$ では負の値になる)。

媒介変数表示と曲線の長さ の定理「曲線の長さの公式」により、$t>t_0$ のとき $s(t)$ は $P(t_0)$ から $P(t)$ までの曲線の長さで、$\dfrac{ds}{dt}=v(t)>0$ である($v$ は連続なので、積分の上端について微分すると被積分関数にもどる)。
接線の角は、$2\pi$ の整数倍だけの違いを除いて決まる。微分可能な $\theta$ がとれることは、次のように確かめられる。

接線の角のとり方

$x'>0$ の区間では $\theta(t)=\arctan\dfrac{y'(t)}{x'(t)}$ が接線の角になる($\arctan$ は $\tan$ の $-\dfrac\pi2<\theta<\dfrac\pi2$ での逆関数で、逆関数の微分 の例で微分可能であることを示している)。こうして、曲線のどの点の近くでも接線の角がとれる。

確かめ方とほかの場合を開く

$x'>0$ の区間で $\theta=\arctan\dfrac{y'}{x'}$ とおくと $\tan\theta=\dfrac{y'}{x'}$、$\cos\theta>0$ で、$\cos\theta=\dfrac1{\sqrt{1+\tan^2\theta}}=\dfrac{x'}{v}$、$\sin\theta=\tan\theta\cos\theta=\dfrac{y'}{v}$ である。$x'$ は連続なので、$x'(t_1)>0$ なら $t_1$ を含む小さな区間で $x'>0$ である。$x'<0$ の区間では $\arctan\dfrac{y'}{x'}+\pi$、$y'>0$ の区間では $\dfrac\pi2-\arctan\dfrac{x'}{y'}$、$y'<0$ の区間では $-\dfrac\pi2-\arctan\dfrac{x'}{y'}$ を使う。$v\ne0$ なので、どの点でも $x'$、$y'$ のどちらかは $0$ でなく、これらのどれかが使える。

主定理 1

曲率は接線の角の弧長による微分

def-curv-curve の曲線で、$\theta$ を区間 $J$ での接線の角、$s$ を弧長とする。このとき $J$ のすべての $t$ で
$$ \frac{d\theta}{dt}=\frac{x'y''-x''y'}{x'^2+y'^2},\qquad \kappa=\frac{\dfrac{d\theta}{dt}}{\dfrac{ds}{dt}} $$
が成り立つ。右の式を $\kappa=\dfrac{d\theta}{ds}$ と書く。つまり曲率は、弧長 $1$ あたりの接線の角の変化の割合である。

方針:速度ベクトルを「速さ × 向き」の形 $(v\cos\theta,\ v\sin\theta)$ に書き、$x'y''-x''y'$ を計算する。
段 1(速度を角で書く)。接線の角の定義から $\dfrac{x'}{v}=\cos\theta$、$\dfrac{y'}{v}=\sin\theta$ なので
$$ x'=v\cos\theta,\qquad y'=v\sin\theta $$
である。$v=\sqrt{x'^2+y'^2}$ は $v\ne0$ なので微分可能で(合成関数の微分)、$\theta$ も微分可能である。
段 2(もう 1 回微分する)。積の微分と合成関数の微分により
$$ x''=v'\cos\theta-v\,\theta'\sin\theta,\qquad y''=v'\sin\theta+v\,\theta'\cos\theta $$
である。
段 3($x'y''-x''y'$ を計算する)。段 1・段 2 を代入すると
$$ \begin{aligned} x'y''-x''y'&=v\cos\theta\,\bigl(v'\sin\theta+v\,\theta'\cos\theta\bigr)-\bigl(v'\cos\theta-v\,\theta'\sin\theta\bigr)\,v\sin\theta\\ &=vv'\cos\theta\sin\theta+v^2\theta'\cos^2\theta-vv'\cos\theta\sin\theta+v^2\theta'\sin^2\theta\\ &=v^2\theta'\bigl(\cos^2\theta+\sin^2\theta\bigr)=v^2\theta' \end{aligned} $$
である($vv'\cos\theta\sin\theta$ の 2 つの項が打ち消し合う)。$v^2=x'^2+y'^2\ne0$ で割ると左の式を得る。
段 4(曲率)。$\dfrac{ds}{dt}=v$ なので
$$ \frac{\dfrac{d\theta}{dt}}{\dfrac{ds}{dt}}=\frac{x'y''-x''y'}{v^2}\cdot\frac1v=\frac{x'y''-x''y'}{v^3}=\kappa $$
である。$\square$

$\dfrac{ds}{dt}>0$ なので、$\kappa>0$ の点の近くでは $\theta$ が増え、接線は反時計回りに回る。これが rem-curv-sign の「左へ曲がる」の意味である。Wei26c は、曲率を $\dfrac{d\theta}{ds}$ で定め、$\tan\theta=\dfrac{y'}{x'}$ を微分して同じ式を導いている。

円と放物線で確かめる
  1. 反時計回りの円 $P(t)=(r\cos t,\ r\sin t)$ では $\vec T=(-\sin t,\ \cos t)=\left(\cos\left(t+\dfrac\pi2\right),\ \sin\left(t+\dfrac\pi2\right)\right)$ なので $\theta=t+\dfrac\pi2$、$\dfrac{d\theta}{dt}=1$ である。$v=r$ なので $\kappa=\dfrac1r$ で、ex-curv-circle と一致する。ex-curv-start で見た「長さ $1$ あたり $\dfrac1r$ 回る」ことが、式で確かめられた。
  2. 放物線 $P(t)=(t,\ t^2)$ では $\theta=\arctan2t$ で、$\dfrac{d\theta}{ds}$ は ex-curv-parabola の $\kappa$ と一致する。$t=1$ では、長さ $1$ 進むあいだに接線の角がおよそ $0.179$ ラジアン(約 $10^\circ$)変わる割合である。
    放物線の計算を開く

    $x'=1>0$ なので、rem-curv-angle-exists により $\theta=\arctan2t$ である。$(\arctan u)'=\dfrac1{1+u^2}$ と合成関数の微分により

    $$\frac{d\theta}{dt}=\frac{2}{1+4t^2},\qquad \frac{ds}{dt}=\sqrt{1+4t^2},\qquad \frac{d\theta}{ds}=\frac{2}{(1+4t^2)^{3/2}}$$

    である。

媒介変数の取りかえと向き

曲率は曲線の形で決まる量で、同じ曲線を別の媒介変数で表しても変わらないはずである。これを確かめる。

媒介変数の取りかえ

$\varphi$ を区間 $K$ から $I$ への 2 回微分可能な関数で、$\varphi''$ が連続、$K$ で $\varphi'(u)\ne0$ とする。$Q(u)=P\bigl(\varphi(u)\bigr)$ とおき、$Q$ の曲率を $\tilde\kappa(u)$ とする。

  1. $\varphi'>0$(向きを保つ)なら $\tilde\kappa(u)=\kappa\bigl(\varphi(u)\bigr)$ である。
  2. $\varphi'<0$(向きを逆にする)なら $\tilde\kappa(u)=-\kappa\bigl(\varphi(u)\bigr)$ である。

要点:曲率の分子は $\varphi'^3$ 倍、分母は $\lvert\varphi'\rvert^3$ 倍になるので、$\tilde\kappa=\dfrac{\varphi'^3}{\lvert\varphi'\rvert^3}\kappa$ で、係数は $\varphi'>0$ なら $1$、$\varphi'<0$ なら $-1$ である。

詳しい計算を開く

$\tilde x(u)=x\bigl(\varphi(u)\bigr)$、$\tilde y(u)=y\bigl(\varphi(u)\bigr)$ とおく。合成関数の微分と積の微分により($x'$ などは $t=\varphi(u)$ での値)$\tilde x'=x'\varphi'$、$\tilde x''=x''\varphi'^2+x'\varphi''$ で、$\tilde y$ も同じ形である。よって

$$\tilde x'\tilde y''-\tilde x''\tilde y'=x'\varphi'\bigl(y''\varphi'^2+y'\varphi''\bigr)-\bigl(x''\varphi'^2+x'\varphi''\bigr)y'\varphi'=\varphi'^3\bigl(x'y''-x''y'\bigr)$$

である($x'y'\varphi'\varphi''$ の 2 つの項が打ち消し合う)。また $\tilde x'^2+\tilde y'^2=\varphi'^2\bigl(x'^2+y'^2\bigr)$ なので、$\bigl(\tilde x'^2+\tilde y'^2\bigr)^{3/2}=\lvert\varphi'\rvert^3\bigl(x'^2+y'^2\bigr)^{3/2}$ である。$\square$

曲率の大きさ $\lvert\kappa\rvert$ と曲率半径は、向きにもよらない(例は ex-curv-reverse)。

加速度の法線方向の成分

速度と加速度 では、加速度ベクトルを接線方向と法線方向に分け、法線方向の成分の大きさが曲率と速さの 2 乗の積になることを、証明せずに述べていた。thm-curv-angle の証明の段 2 から、これが出る。

加速度の分解

def-curv-curve の曲線を、時刻 $t$ に点 $P(t)$ にある運動とみる。加速度ベクトル $P''(t)=\bigl(x''(t),y''(t)\bigr)$ は
$$ P''=v'\,\vec T+\kappa v^2\,\vec N $$
と表される。とくに、加速度の法線方向の成分の大きさは $\lvert\kappa\rvert v^2$ である。

点 $t$ の近くで接線の角 $\theta$ をとる(rem-curv-angle-exists)。$\vec T=(\cos\theta,\ \sin\theta)$、$\vec N=(-\sin\theta,\ \cos\theta)$ である($\vec N$ は $\vec T$ を反時計回りに $90^\circ$ 回したもの)。thm-curv-angle の証明の段 2 の 2 つの式は
$$ (x'',\ y'')=v'(\cos\theta,\ \sin\theta)+v\,\theta'(-\sin\theta,\ \cos\theta)=v'\,\vec T+v\,\theta'\,\vec N $$
とまとめられる。thm-curv-angle により $\theta'=\kappa v$ なので、$v\,\theta'=\kappa v^2$ である。$\vec T$ と $\vec N$ は垂直な長さ $1$ のベクトルなので、法線方向の成分は $\kappa v^2$、その大きさは $\lvert\kappa\rvert v^2$ である。$\square$

等速円運動と放物運動
  1. 速さ $V$ の等速円運動 $P(t)=\left(r\cos\dfrac{Vt}r,\ r\sin\dfrac{Vt}r\right)$ では $v=V$ が一定で $v'=0$ なので、$P''=\dfrac1r\cdot V^2\,\vec N$ である。加速度は中心を向き、大きさは $\dfrac{V^2}r$ である(速度と加速度 の向心加速度)。
  2. 速度と加速度 の例「放物運動」の運動 $P(t)=(10t,\ 20t-5t^2)$ の頂点($t=2$)では、$\kappa=-\dfrac1{10}$、速さ $v=10$ で、$\lvert\kappa\rvert v^2=10$ は加速度 $(0,-10)$ の大きさと一致する。
    放物運動の計算を開く

    $x'=10$、$y'=20-10t$、$x''=0$、$y''=-10$ なので $\kappa=\dfrac{10\cdot(-10)}{\bigl(100+(20-10t)^2\bigr)^{3/2}}$ で、$t=2$ では $\dfrac{-100}{100^{3/2}}=-\dfrac1{10}$(右へ曲がる)である。$v=\sqrt{100+(20-10t)^2}$ の導関数は $\dfrac{-10(20-10t)}{v}$ で、$t=2$ で $0$ なので、頂点では加速度はすべて法線方向(真下)を向く。

主定理 2:曲率円は 2 次まで接する円

接線は、曲線の点を通り、そこでの傾き(1 階の導関数の値)が曲線と同じ直線である。同じように、点を通り、1 階と 2 階の導関数の値が曲線と同じ円を探す。直線では 2 階の導関数が $0$ なので曲がり方までは合わせられないが、円なら合わせられる。

曲率円

$f$ は $a$ を含む開区間で 2 回微分可能で、$f''(a)\ne0$ とする。$f_0=f(a)$、$f_1=f'(a)$、$f_2=f''(a)$ とおき、$A=(a,f_0)$ とする。このとき、次の () を満たす円はただ 1 つある。
(
) 円は $A$ を通り、$a$ を含む開区間で定義された 2 回微分可能な関数 $g$ のグラフ $y=g(x)$ がこの円の一部になっていて、$g(a)=f_0$、$g'(a)=f_1$、$g''(a)=f_2$ である。
その円の中心 $(p,q)$ と半径 $\rho$ は
$$ p=a-\frac{f_1\bigl(1+f_1^2\bigr)}{f_2},\qquad q=f_0+\frac{1+f_1^2}{f_2},\qquad \rho=\frac{\bigl(1+f_1^2\bigr)^{3/2}}{\lvert f_2\rvert} $$
である。$\rho$ は点 $A$ での曲率半径 $\dfrac1{\lvert\kappa\rvert}$ に等しい。

方針:() を満たす円があったとして、円の式を 2 回微分し、$x=a$ での値から中心と半径を決める(段 1)。逆に、そうして決めた円が () を満たすことを確かめる(段 2)。
段 1(円は 1 つに決まる)。中心 $(p,q)$、半径 $\rho$ の円と関数 $g$ が () を満たすとする。$a$ の近くのすべての $x$ で
$$ (x-p)^2+\bigl(g(x)-q\bigr)^2=\rho^2 $$
である。両辺を $x$ で微分し(左辺の第 2 項は合成関数の微分。陰関数の微分 と同じ計算)、$2$ で割ると
$$ (x-p)+\bigl(g(x)-q\bigr)g'(x)=0 $$
である。これをもう 1 回微分すると(第 2 項は積の微分)
$$ 1+g'(x)^2+\bigl(g(x)-q\bigr)g''(x)=0 $$
である。$x=a$ を代入し、$g(a)=f_0$、$g'(a)=f_1$、$g''(a)=f_2$ を使うと
$$ (a-p)+(f_0-q)f_1=0,\qquad 1+f_1^2+(f_0-q)f_2=0 $$
となる。$f_2\ne0$ なので右の式から $f_0-q=-\dfrac{1+f_1^2}{f_2}$、すなわち $q=f_0+\dfrac{1+f_1^2}{f_2}$ である。左の式から $a-p=-(f_0-q)f_1=\dfrac{f_1(1+f_1^2)}{f_2}$ で、$p$ も定理の式になる。半径は
$$ \rho^2=(a-p)^2+(f_0-q)^2=(f_0-q)^2\bigl(f_1^2+1\bigr)=\frac{\bigl(1+f_1^2\bigr)^2}{f_2^2}\bigl(1+f_1^2\bigr)=\frac{\bigl(1+f_1^2\bigr)^3}{f_2^2} $$
なので $\rho=\dfrac{(1+f_1^2)^{3/2}}{\lvert f_2\rvert}$ である。こうして、(
) を満たす円は 1 つしかない。
段 2(その円は () を満たす)。$p$、$q$、$\rho$ を定理の式で定める。$d=f_0-q=-\dfrac{1+f_1^2}{f_2}$ は $0$ でない。段 1 の計算から $(a-p)^2+d^2=\rho^2$ なので、$\rho^2-(a-p)^2=d^2>0$ である。$d>0$ なら $\varepsilon=1$、$d<0$ なら $\varepsilon=-1$ として
$$ g(x)=q+\varepsilon\sqrt{\rho^2-(x-p)^2} $$
とおく。根号の中は $x=a$ で正なので、$a$ の近くでも正で、$g$ はそこで 2 回微分可能である。$g(a)=q+\varepsilon\lvert d\rvert=q+d=f_0$ で、$y=g(x)$ のグラフは円の一部である。$g$ は段 1 の 2 つの微分した式を満たすので、$x=a$ で
$$ g'(a)=-\frac{a-p}{d}=-\frac{f_1(1+f_1^2)/f_2}{-(1+f_1^2)/f_2}=f_1,\qquad g''(a)=-\frac{1+g'(a)^2}{d}=-\frac{1+f_1^2}{-(1+f_1^2)/f_2}=f_2 $$
である。よって (
) が成り立つ。
最後に、$y=f(x)$ を $P(t)=\bigl(t,f(t)\bigr)$ と表すと $\kappa=\dfrac{f''}{(1+f'^2)^{3/2}}$ なので、$\rho=\dfrac1{\lvert\kappa(a)\rvert}$ である。$\square$

曲率円

thm-curv-osculating の円を、点 $A$ での曲線 $y=f(x)$ の 曲率円(接触円)といい、その中心を 曲率中心 という。

thm-curv-osculating の $q-f_0=\dfrac{1+f_1^2}{f_2}$ は $f_2$ と同じ符号なので、下に凸($f_2>0$)の点では曲率中心は曲線の上側に、上に凸の点では下側にある。曲率円はいつも曲線のへこんだ側にある。

放物線と指数関数の曲率円
  1. $y=x^2$ の $x=1$ の点 $(1,1)$ では $f_1=2$、$f_2=2$ なので
    $$ p=1-\frac{2\cdot5}{2}=-4,\qquad q=1+\frac52=\frac72,\qquad \rho=\frac{5^{3/2}}2=\frac{5\sqrt5}2=5.590\ldots $$
    である。頂点 $(0,0)$ では $f_1=0$、$f_2=2$ で、中心 $\left(0,\dfrac12\right)$、半径 $\dfrac12$ である(図 2)。どちらも 接線・法線と曲線の凹凸 の例「放物線と 3 次関数の曲率」の値と一致する。
  2. $y=e^x$ の $x=0$ の点 $(0,1)$ では $f_1=f_2=1$ なので、中心は $\left(0-\dfrac{1\cdot2}1,\ 1+\dfrac21\right)=(-2,\ 3)$、半径は $2^{3/2}=2\sqrt2$ である。中心から $(0,1)$ までの距離は $\sqrt{4+4}=2\sqrt2$ で、半径と合う。

媒介変数表示の曲線では、曲率中心は法線の上にあり、式は次のようにまとまる。

曲率中心の位置

def-curv-curve の曲線の点 $P(t_0)$ で $\kappa(t_0)\ne0$ とする。$x'(t_0)\ne0$ なら、$P(t_0)$ の近くの曲線は関数のグラフ $y=f(x)$ で、その点での曲率円(def-curv-circle)の中心は
$$ C(t_0)=P(t_0)+\frac1{\kappa(t_0)}\,\vec N(t_0) $$
で、半径は $\dfrac1{\lvert\kappa(t_0)\rvert}$ である。$x'(t_0)=0$ なら、座標平面を原点のまわりに $90^\circ$ 回してからグラフとみて曲率円をとり、回しもどすと、中心と半径は同じ式で与えられる。そこで、どの場合も、この円を点 $P(t_0)$ での曲線の 曲率円 という。成分で書くと、$D=x'y''-x''y'$ として
$$ C=\left(x-\frac{y'\bigl(x'^2+y'^2\bigr)}{D},\ \ y+\frac{x'\bigl(x'^2+y'^2\bigr)}{D}\right) $$
である(右辺はすべて $t_0$ での値)。

要点:$x'(t_0)\ne0$ なら、曲線を $y=f(x)$ とみたとき $f'=\dfrac{y'}{x'}$、$f''=\dfrac{D}{x'^3}$ で、これを thm-curv-osculating の中心の式に代入すると $P+\dfrac1\kappa\vec N$ になる。$x'(t_0)=0$ の場合は、平面を $90^\circ$ 回して前の場合に帰着させる。

詳しい証明を開く

段 1($x'(t_0)\ne0$ の場合)。$x'$ は連続なので、$t_0$ の近くで $x'$ は $0$ にならず、$x(t)$ は狭義単調である。その逆関数を $t=\tau(x)$ とすると、$t_0$ の近くの曲線は $y=f(x)=y\bigl(\tau(x)\bigr)$ のグラフである。逆関数の微分 により $\tau'=\dfrac1{x'}$ なので、合成関数の微分により

$$f'=\frac{y'}{x'},\qquad f''=\frac{d}{dt}\left(\frac{y'}{x'}\right)\cdot\frac1{x'}=\frac{y''x'-y'x''}{x'^2}\cdot\frac1{x'}=\frac{D}{x'^3}$$

である。$1+f'^2=\dfrac{x'^2+y'^2}{x'^2}=\dfrac{v^2}{x'^2}$ なので

$$\frac{1+f'^2}{f''}=\frac{v^2}{x'^2}\cdot\frac{x'^3}{D}=\frac{x'v^2}{D},\qquad \frac{f'(1+f'^2)}{f''}=\frac{y'}{x'}\cdot\frac{x'v^2}{D}=\frac{y'v^2}{D}$$

で、thm-curv-osculating の中心は $\left(x-\dfrac{y'v^2}{D},\ y+\dfrac{x'v^2}{D}\right)$ となる。一方、$\dfrac1\kappa\vec N=\dfrac{v^3}{D}\cdot\dfrac{(-y',\ x')}{v}=\dfrac{v^2}{D}(-y',\ x')$ なので、これは $P+\dfrac1\kappa\vec N$ に等しい。半径は thm-curv-osculating により $\dfrac1{\lvert\kappa\rvert}$ である($\lvert\kappa\rvert$ は向きによらない。cor-curv-reparam)。

段 2($x'(t_0)=0$ の場合)。$v\ne0$ なので $y'(t_0)\ne0$ である。平面を原点のまわりに $90^\circ$ 回すと、点 $(x,y)$ は $(-y,x)$ に移る。回した曲線 $\bigl(-y(t),\ x(t)\bigr)$ では $x$ 座標の導関数が $-y'(t_0)\ne0$ なので、段 1 が使える。回した曲線の $D$ は $(-y')x''-(-y'')x'=x'y''-x''y'$ で変わらず、速さも変わらないので、曲率も変わらない。回した曲線の単位法ベクトルは $\vec N$ を $90^\circ$ 回したものなので、段 1 による曲率中心は $C(t_0)$ を $90^\circ$ 回した点である。回しもどすと中心は $C(t_0)$ である。$\square$

$\kappa>0$ なら中心は $\vec N$ の側(左側)に、$\kappa<0$ なら反対側にある。どちらでも、中心は曲線のへこんだ側にある。

楕円の曲率円

楕円 $P(t)=(3\cos t,\ 2\sin t)$ を考える。$x'=-3\sin t$、$y'=2\cos t$、$x''=-3\cos t$、$y''=-2\sin t$ なので
$$ D=6\sin^2t+6\cos^2t=6,\qquad \kappa(t)=\frac{6}{\bigl(9\sin^2t+4\cos^2t\bigr)^{3/2}} $$
である。
(1) $t=0$ の点 $(3,0)$ では $\kappa=\dfrac6{8}=\dfrac34$、$\vec N=\dfrac12(-2,\ 0)=(-1,\ 0)$ なので、曲率中心は $(3,0)+\dfrac43(-1,0)=\left(\dfrac53,\ 0\right)$、曲率半径は $\dfrac43$ である。
(2) $t=\dfrac\pi2$ の点 $(0,2)$ では $\kappa=\dfrac29$ で、曲率中心は $\left(0,\ -\dfrac52\right)$、曲率半径は $\dfrac92$ である。

(2) の計算を開く

$\kappa=\dfrac6{27}=\dfrac29$、$\vec N=\dfrac13(0,\ -3)=(0,\ -1)$ なので、曲率中心は $(0,2)+\dfrac92(0,-1)=\left(0,\ -\dfrac52\right)$ である。


長軸の端では小さな円が、短軸の端では大きな円が楕円に沿う(図 3)。

放物線 y=x² の曲率円。頂点(赤)、x=0.5(緑)、x=1(青の破線)。× は曲率中心 放物線 y=x² の曲率円。頂点(赤)、x=0.5(緑)、x=1(青の破線)。× は曲率中心
楕円 (3cos t, 2sin t) の曲率円。t=0(赤)、t=π/4(緑)、t=π/2(青)。× は曲率中心 楕円 (3cos t, 2sin t) の曲率円。t=0(赤)、t=π/4(緑)、t=π/2(青)。× は曲率中心

3 点を通る円の極限

曲率円は「曲線の上の近い 3 点を通る円」の極限にもなっている。放物線の頂点で確かめる。

放物線の頂点の近くの 3 点

$h>0$ とし、$y=x^2$ の上の 3 点 $(-h,h^2)$、$(0,0)$、$(h,h^2)$ を通る円を求める。3 点は $y$ 軸に関して対称なので、中心は $y$ 軸の上にある。中心を $(0,k)$ とすると、$(0,0)$ と $(h,h^2)$ までの距離が等しいので
$$ k^2=h^2+\bigl(h^2-k\bigr)^2=h^2+h^4-2h^2k+k^2 $$
で、$2h^2k=h^2+h^4$、つまり $k=\dfrac{1+h^2}{2}$ である。$h=1$、$\dfrac12$、$\dfrac14$、$\dfrac1{10}$ で $k=1$、$\dfrac58$、$\dfrac{17}{32}$、$\dfrac{101}{200}$ となり、$h\to0$ のとき $k\to\dfrac12$ である。極限の円は中心 $\left(0,\dfrac12\right)$、半径 $\dfrac12$ で、ex-curv-osc の頂点での曲率円と一致する(図 4)。

放物線 y=x² の上の 3 点(-h, h²),(0,0),(h, h²)を通る円。h=1(橙)、1/2(紫)、1/4(水色)と小さくすると、頂点の曲率円(赤の破線)に近づく 放物線 y=x² の上の 3 点(-h, h²),(0,0),(h, h²)を通る円。h=1(橙)、1/2(紫)、1/4(水色)と小さくすると、頂点の曲率円(赤の破線)に近づく
一般の曲線でも、曲線の上の 3 点を 1 点に近づけると、3 点を通る円は曲率円に近づく(Wei26a)。この記事では、この事実を一般には証明しない。

どこが最も強く曲がるか

曲率を $t$ の関数とみて、その最大・最小を調べる。曲線のどこが最も強く曲がっているかが分かる。

楕円の曲率の最大と最小

$a>b>0$ とし、楕円 $P(t)=(a\cos t,\ b\sin t)$ を考える。ex-curv-ellipse-osc と同じ計算で $D=ab$ なので
$$ \kappa(t)=\frac{ab}{\bigl(a^2\sin^2t+b^2\cos^2t\bigr)^{3/2}} $$
である(Wei26b の式と一致する)。分母の中は
$$ a^2\sin^2t+b^2\cos^2t=b^2+\bigl(a^2-b^2\bigr)\sin^2t $$
と書け、$0\le\sin^2t\le1$ なので $b^2$ 以上 $a^2$ 以下である。したがって $\kappa$ は、$\sin t=0$(長軸の端)で最大値 $\dfrac{ab}{b^3}=\dfrac{a}{b^2}$、$\sin^2t=1$(短軸の端)で最小値 $\dfrac{ab}{a^3}=\dfrac{b}{a^2}$ をとる。$a=3$、$b=2$ なら最大値 $\dfrac34$、最小値 $\dfrac29$ で、ex-curv-ellipse-osc の値と合う(図 5)。

楕円 (3cos t, 2sin t) の曲率 κ(t) のグラフ。長軸の端 t=0, π, 2π で最大値 3/4、短軸の端 t=π/2, 3π/2 で最小値 2/9 をとる 楕円 (3cos t, 2sin t) の曲率 κ(t) のグラフ。長軸の端 t=0, π, 2π で最大値 3/4、短軸の端 t=π/2, 3π/2 で最小値 2/9 をとる

指数関数のグラフが最も強く曲がる点

$y=e^x$ のグラフの曲率は、$f'=f''=e^x$ なので
$$ \kappa(x)=\frac{e^x}{\bigl(1+e^{2x}\bigr)^{3/2}} $$
である。商の微分と合成関数の微分により
$$ \kappa'(x)=\frac{e^x\bigl(1+e^{2x}\bigr)^{3/2}-e^x\cdot\dfrac32\bigl(1+e^{2x}\bigr)^{1/2}\cdot2e^{2x}}{\bigl(1+e^{2x}\bigr)^{3}}=\frac{e^x\bigl(1-2e^{2x}\bigr)}{\bigl(1+e^{2x}\bigr)^{5/2}} $$
である(分子を $e^x(1+e^{2x})^{1/2}$ でくくると、残りは $(1+e^{2x})-3e^{2x}=1-2e^{2x}$)。$\kappa'$ の符号は $1-2e^{2x}$ の符号と同じで、$e^{2x}=\dfrac12$、つまり $x=-\dfrac{\log2}2=-0.3465\ldots$ を境に正から負に変わる。よって $\kappa$ はこの点で最大になり、最大値は
$$ \kappa\left(-\frac{\log2}2\right)=\frac{\frac1{\sqrt2}}{\left(\frac32\right)^{3/2}}=\frac{1}{\sqrt2}\cdot\frac{2\sqrt2}{3\sqrt3}=\frac{2}{3\sqrt3}=0.3849\ldots $$
である。$x\to\infty$ でも $x\to-\infty$ でも $\kappa\to0$ で、グラフは両側でまっすぐに近づく。

ここまでの曲線を並べる。符号はどれも $x$(または $t$)が増える向きにたどったときのものである。

曲線曲率 $\kappa$最も強く曲がる点最もゆるい点
円 $(r\cos t,\ r\sin t)$$\dfrac1r$(一定)どこも同じどこも同じ
放物線 $y=x^2$$\dfrac{2}{(1+4x^2)^{3/2}}$頂点($\kappa=2$)遠くで $\kappa\to0$
楕円 $(a\cos t,\ b\sin t)$$\dfrac{ab}{(a^2\sin^2t+b^2\cos^2t)^{3/2}}$長軸の端($\frac a{b^2}$)短軸の端($\frac b{a^2}$)
$y=e^x$$\dfrac{e^x}{(1+e^{2x})^{3/2}}$$x=-\frac{\log2}2$($\frac{2}{3\sqrt3}$)遠くで $\kappa\to0$
$y=\sin x$$-\dfrac{\sin x}{(1+\cos^2x)^{3/2}}$$x=\frac\pi2+n\pi$($\lvert\kappa\rvert=1$)$x=n\pi$($\kappa=0$)

$y=\sin x$ では、山の頂上 $x=\dfrac\pi2$ で $\kappa=-1$(右へ曲がる)、谷の底 $x=\dfrac{3\pi}2$ で $\kappa=1$ で、曲率円はどちらも半径 $1$ である。

$y=\sin x$ の計算を開く

$f'=\cos x$、$f''=-\sin x$ なので $\kappa=-\dfrac{\sin x}{(1+\cos^2x)^{3/2}}$ である。$\lvert\kappa\rvert=\dfrac{\lvert\sin x\rvert}{(1+\cos^2x)^{3/2}}$ は、分子が最大の $1$ になり分母が最小の $1$ になる $x=\dfrac\pi2+n\pi$($n$ は整数)で最大値 $1$ をとる。$x=n\pi$ は変曲点で、$\kappa=0$ である。

例と反例

thm-curv-osculating の仮定 $f''(a)\ne0$、def-curv-curve の仮定「速さが $0$ でない」、cor-curv-reparam の仮定「向きを保つ」を外すと何が崩れるかを並べる。

外す条件反例成り立たなくなること
$f''(a)\ne0$$y=x^3$ の原点曲率円がある
速さが $0$ でない$(t^2,\ t^3)$ の $t=0$曲率が値として決まる
向きを保つ($\varphi'>0$)円を逆向きにたどる曲率が変わらない
反例:変曲点には曲率円がない

$f(x)=x^3$ の原点では $f'(0)=0$、$f''(0)=0$ で、$\kappa(0)=0$ である。(*) を満たす円があるとすると、thm-curv-osculating の証明の段 1 の式 $1+g'(0)^2+\bigl(g(0)-q\bigr)g''(0)=0$ に $g'(0)=0$、$g''(0)=0$ を入れて $1=0$ となり、矛盾する。円の弧の 2 階の導関数は、段 1 の式から $0$ になれないのである。原点で曲線と 2 次まで接するのは接線 $y=0$ で、曲線は接線を横切る。原点の両側の点 $x=\pm\dfrac12$ では曲率円は原点の上と下にあり、半径はどちらも $\dfrac{(1+9/16)^{3/2}}3=0.651\ldots$ である(図 6)。$x\to0$ のとき半径 $\dfrac{(1+9x^4)^{3/2}}{6\lvert x\rvert}$ は $\infty$ に発散する。

反例:速さが 0 になる点

$P(t)=(t^2,\ t^3)$ では $x'=2t$、$y'=3t^2$、$x''=2$、$y''=6t$ なので、$t\ne0$ で
$$ \kappa(t)=\frac{2t\cdot6t-2\cdot3t^2}{\bigl(4t^2+9t^4\bigr)^{3/2}}=\frac{6}{\lvert t\rvert\bigl(4+9t^2\bigr)^{3/2}} $$
である(分母は $(t^2)^{3/2}(4+9t^2)^{3/2}=\lvert t\rvert^3(4+9t^2)^{3/2}$)。$t=1$、$0.1$、$0.01$ で $\kappa=0.128\ldots$、$7.25\ldots$、$74.97\ldots$ で、$t\to0$ のとき $\kappa\to\infty$ である。$t=0$ では速さが $0$ で、定義の分母が $0$ になる。この点で曲線は尖り(尖点)、接線の向きが $t=0$ の前後で逆になる($t<0$ では $\vec T\to(-1,0)$、$t>0$ では $\vec T\to(1,0)$)。曲率円は小さくなって尖点に縮む(図 7)。

y=x³ の原点(変曲点)の両側の点 x=±1/2 での曲率円。原点では接線(赤の破線)を横切り、曲率円がない y=x³ の原点(変曲点)の両側の点 x=±1/2 での曲率円。原点では接線(赤の破線)を横切り、曲率円がない
(t², t³) の尖点(赤の点)の近くの曲率円。t=0.4(青)、t=0.2(紫)と尖点に近づくと円は小さくなる (t², t³) の尖点(赤の点)の近くの曲率円。t=0.4(青)、t=0.2(紫)と尖点に近づくと円は小さくなる
反例:向きを逆にたどる

ex-curv-circle の (2) は、(1) の円を $t=-u$ で表したもの($\varphi(u)=-u$、$\varphi'=-1<0$)で、曲率は $\dfrac1r$ から $-\dfrac1r$ に変わった。一方、$t=2u$($\varphi'=2>0$)で表すと、速さは $2$ 倍になるが、曲率は $\dfrac1r$ のままである。符号つきの曲率は曲線の形だけでなく向きにもよる。曲率半径と曲率円は向きによらない。

大学数学で見る:曲率で曲線が決まる

cor-curv-reparam により、曲率は向きを保つ媒介変数の取りかえで変わらない。とくに弧長 $s$ を媒介変数にとると、曲率は $s$ の関数 $\kappa(s)$ として、曲線だけから決まる。逆に、連続な関数 $\kappa(s)$ と出発点・出発の向きを与えると、曲率が $\kappa(s)$ になる弧長で表された平面の曲線が作れ、しかもそのような曲線はただ 1 つである(作り方は下の計算で示す。ただ 1 つであることは、この記事では証明しない)。曲率の関数は、曲線の形を記録する「設計図」になっている。

曲率から曲線を組み立てる計算を開く

弧長 $s$ で表した曲線 $P(s)$ では速さが $1$ なので、thm-curv-angle により接線の角は $\dfrac{d\theta}{ds}=\kappa(s)$ を満たす。よって $\theta(s)=\theta_0+\displaystyle\int_0^s\kappa(u)\,du$($\theta_0$ は出発の向き)で、$P'(s)=\bigl(\cos\theta(s),\ \sin\theta(s)\bigr)$ だから、$P(s)=P_0+\displaystyle\int_0^s\bigl(\cos\theta(u),\ \sin\theta(u)\bigr)\,du$($P_0$ は出発点)である。どちらも積分で 1 通りに決まる。たとえば $\kappa(s)=\dfrac1r$(一定)、$\theta_0=\dfrac\pi2$、$P_0=(r,0)$ なら $\theta(s)=\dfrac\pi2+\dfrac sr$ で、$P(s)=\left(r\cos\dfrac sr,\ r\sin\dfrac sr\right)$、半径 $r$ の円にもどる。


空間の曲線では、曲がり方(曲率)に加えて、平面から浮き上がるねじれ方(捩率)があり、曲率と捩率と出発点・出発の向きで曲線が決まる(Frenet の公式。Wei26c)。曲線や曲面の曲がり方は、大学の 微分幾何学 で扱う。

さらに先へ

  • 曲率中心 $P+\dfrac1\kappa\vec N$ の描く曲線を、縮閉線という。縮閉線は法線に接し、その長さは曲率半径の変化で測れる(縮閉線)。
  • サイクロイド の注意「曲率半径と縮閉線」では、サイクロイドの曲率半径と曲率中心を計算している。prop-curv-center の式で同じ結果が得られる。
  • 2次曲線の媒介変数表示 の楕円・双曲線の表し方を使うと、ex-curv-ellipse-max と同じように双曲線の曲率も計算できる。

関連項目

参考文献

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