空間の直線の方程式

同義語:空間の直線ねじれの位置lines in space

概要

空間の直線の方程式(lines in space)とは、点 $\vec a$ を通り方向ベクトル $\vec d\ne\vec 0$ の直線を表す式 $\vec p=\vec a+t\vec d$ と、その成分の式である。空間の直線は 1 次式 1 本では表せず、2 枚の平面の交わりとして表される。方向ベクトルが平行でない 2 直線 $\vec a_1+s\vec d_1$、$\vec a_2+t\vec d_2$ は、$\vec w=\vec a_2-\vec a_1$ として $(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=0$ なら交わり、そうでなければねじれの位置にあって距離は $\lvert(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w\rvert/\lvert\vec d_1\times\vec d_2\rvert$ である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: ベクトル方程式(直線と円), 空間ベクトルと1次独立, 空間の平面と法線ベクトル

高校での出発点:空間の直線は 1 次方程式 1 本では書けない

平面の直線は、媒介変数の形 $\vec p=\vec a+t\vec d$ でも、法線の形 $\vec n\cdot(\vec p-\vec a)=0$(成分で書くと $ax+by=c$ の 1 本の式)でも書けた(ベクトル方程式(直線と円))。空間ではどうなるかを、例で確かめる。

空間の直線を媒介変数で書く

点 $A(1,2,3)$ を通り、方向ベクトル $\vec d=(2,-1,2)$ の直線は
$$ \vec p=\vec a+t\vec d=(1+2t,\ 2-t,\ 3+2t) $$
である。$t=1$ で $(3,1,5)$、$t=-1$ で $(-1,3,1)$ となる。$x=1+2t$、$y=2-t$、$z=3+2t$ のそれぞれを $t$ について解くと $t=\dfrac{x-1}2$、$t=\dfrac{y-2}{-1}$、$t=\dfrac{z-3}2$ なので、$t$ を消すと
$$ \frac{x-1}2=\frac{y-2}{-1}=\frac{z-3}2 $$
となる。等号が 2 つあるので、これは式 2 本 $\dfrac{x-1}2=\dfrac{y-2}{-1}$、$\dfrac{y-2}{-1}=\dfrac{z-3}2$ の連立である。

法線の形をまねると平面になる

平面のときと同じように、$A(1,2,3)$ を通り $\vec d=(2,-1,2)$ に垂直な点の全体 $\vec d\cdot(\vec p-\vec a)=0$ を考えると、
$$ 2(x-1)-(y-2)+2(z-3)=0\quad\Longleftrightarrow\quad 2x-y+2z=6 $$
である。$(1,2,0)$ も $(0,2,1)$ も $\vec d$ に垂直($2-2+0=0$、$0-2+2=0$)なので、$A$ からそれぞれの向きに進んだ $(2,4,3)$ と $(1,4,4)$ はこの式を満たす($4-4+6=6$、$2-4+8=6$)。しかしどちらも ex-lsp-start-param の直線の上にはない($(2,4,3)$ なら $x$ から $t=\dfrac12$、$y$ から $t=-2$ で、食い違う)。この式が表すのは直線ではなく、$A$ を通り $\vec d$ を法線ベクトルとする平面である(空間の平面と法線ベクトル)。

空間では「ある向きに垂直な向き」が 1 つに決まらないので、法線の形の式 1 本は平面を表す。直線を 1 次方程式で書くには、ex-lsp-start-param のように式が 2 本要る。この記事では、次の問いに答える。

  1. 空間の直線を成分の式で書くとどうなるか。方向ベクトルの成分に $0$ があるときは。→ prop-lsp-symmetric
  2. 空間の 2 直線はどんな位置関係になりうるか。それをどう判定するか。→ thm-lsp-position
  3. 交わらず平行でもない 2 直線の距離はどう求めるか。→ thm-lsp-distance
  4. 直線と平面の交点はどう求めるか。→ prop-lsp-line-plane
    平面での直線空間での直線この記事のボックス
    $\vec p=\vec a+t\vec d$同じ式 $\vec p=\vec a+t\vec d$def-lsp-line
    1 次方程式 1 本 $ax+by=c$1 次方程式 2 本(平面 2 枚の交わり)prop-lsp-symmetric、ex-lsp-two-planes
    2 直線は「交わる」か「平行」「交わる」「平行」「ねじれの位置」thm-lsp-position
    点と直線の距離ねじれの位置にある 2 直線の距離thm-lsp-distance

空間の直線の方程式

空間の直線と方向ベクトル

空間の点 $A(\vec a)$ と $\vec 0$ でないベクトル $\vec d$ について、$\vec p=\vec a+t\vec d$($t$ は実数)と書ける点 $P$ の全体を、$A$ を通り 方向ベクトル $\vec d$ の 直線 という。$\vec p=\vec a+t\vec d$ をこの直線のベクトル方程式、$t$ を媒介変数という。

平面の場合と同じく、$t$ が違えば点も違う($\vec a+t\vec d=\vec a+t'\vec d$ なら $(t-t')\vec d=\vec 0$ で、$\vec d\ne\vec 0$ から $t=t'$)。異なる 2 点 $A$、$B$ を通る直線は、方向ベクトルに $\overrightarrow{AB}=\vec b-\vec a$ をとって $\vec p=\vec a+t(\vec b-\vec a)$ と書ける。
成分で書くと、$t$ を消した「分数の形」になる。方向ベクトルの成分に $0$ があると分母に $0$ が出るので、場合を分けて書く。

空間の直線を成分の式で書く

点 $A(x_0,y_0,z_0)$ を通り方向ベクトル $\vec d=(l,m,n)\ne\vec 0$ の直線を $L$ とする。点 $P(x,y,z)$ について次が成り立つ。

  1. $l,m,n$ がどれも $0$ でないとき:$P$ が $L$ の上にある $\Longleftrightarrow$ $\dfrac{x-x_0}l=\dfrac{y-y_0}m=\dfrac{z-z_0}n$。
  2. $n=0$ で $l,m$ が $0$ でないとき:$P$ が $L$ の上にある $\Longleftrightarrow$ $\dfrac{x-x_0}l=\dfrac{y-y_0}m$ かつ $z=z_0$。
  3. $m=n=0$(したがって $l\ne0$)のとき:$P$ が $L$ の上にある $\Longleftrightarrow$ $y=y_0$ かつ $z=z_0$。
    $0$ になる成分がほかの場所にあるときも、文字を入れかえて同じように書ける。
共通の値を $t$ とおく

要点:「$P$ が $L$ の上にある」は「$x-x_0=lt$、$y-y_0=mt$、$z-z_0=nt$ を満たす実数 $t$ がある」ことである。$0$ でない成分では両辺をその成分で割って $t$ を分数で書き、$0$ の成分では式が $z=z_0$ のように $t$ を含まない形になる。

詳しい証明を開く

方針:「$P$ が $L$ の上にある」は「$x=x_0+lt$、$y=y_0+mt$、$z=z_0+nt$ を満たす実数 $t$ がある」ことである。この $t$ を消す。

段 1(1 の $\Longrightarrow$)。$P$ が $L$ の上にあれば、ある $t$ で $x-x_0=lt$、$y-y_0=mt$、$z-z_0=nt$ である。$l,m,n\ne0$ なので、それぞれで割ると 3 つの分数はどれも $t$ に等しい。

段 2(1 の $\Longleftarrow$)。3 つの分数が等しいとき、その共通の値を $t$ とおくと、分母を払って $x=x_0+lt$、$y=y_0+mt$、$z=z_0+nt$ となる。よって $P$ は $L$ の上にある。

段 3(2・3)。$n=0$ なら $z=z_0+0\cdot t=z_0$ がどの $t$ でも成り立ち、残りの 2 つの式から段 1・段 2 と同じように $t$ を消せば 2 が出る。$m=n=0$ なら $y=y_0$、$z=z_0$ がどの $t$ でも成り立ち、$x=x_0+lt$ は $t=\dfrac{x-x_0}l$ とおけばどんな $x$ でも満たせるので、3 が出る。$\square$

成分の式に直す
  1. 2 点 $A(1,0,2)$、$B(3,1,1)$ を通る直線。方向ベクトルは $\overrightarrow{AB}=(2,1,-1)$ で、どの成分も $0$ でないので
    $$ \frac{x-1}2=\frac{y}1=\frac{z-2}{-1} $$
    である。$B$ では 3 つの分数がどれも $1$ になる。
  2. $A(1,2,3)$ を通り方向ベクトル $(2,0,-1)$ の直線。$y$ 成分が $0$ なので、prop-lsp-symmetric の 2 で文字を入れかえて
    $$ \frac{x-1}2=\frac{z-3}{-1},\qquad y=2 $$
    と書く。$t=1$ の点 $(3,2,2)$ は $\dfrac{3-1}2=1=\dfrac{2-3}{-1}$、$y=2$ を満たす。

prop-lsp-symmetric の 1 の式は、$\dfrac{x-x_0}l=\dfrac{y-y_0}m$ と $\dfrac{y-y_0}m=\dfrac{z-z_0}n$ の 2 本の連立である。分母を払うと、1 本目は $m(x-x_0)-l(y-y_0)=0$ で、これは $A$ を通り法線ベクトル $(m,-l,0)$ の平面を表す。2 本目も平面を表す。つまり、空間の直線は 2 枚の平面の交わりとして表される。逆に、平行でない 2 枚の平面の交わりは直線になり、その方向ベクトルは 2 つの法線ベクトルの両方に垂直である(空間の平面と法線ベクトル の定理「2 平面のなす角」の証明)。2 つのベクトルの両方に垂直なベクトルは、次の外積で作れる。
$$ \vec a\times\vec b=(a_2b_3-a_3b_2,\ a_3b_1-a_1b_3,\ a_1b_2-a_2b_1)\qquad(\vec a=(a_1,a_2,a_3),\ \vec b=(b_1,b_2,b_3)) $$
外積 $\vec a\times\vec b$ は $\vec a$ とも $\vec b$ とも垂直で、$\vec a$、$\vec b$ が平行でなければ $\vec 0$ でない。これらの性質と、この記事で使うほかの性質(長さ、行列式との関係)は、空間ベクトルと1次独立 の補題「行列式と外積の性質」と 空間の平面と法線ベクトル の定理「外積の性質」で示してある。
2 つの平面 x+y+z=6(青)と x-y+z=2(橙)の交わりが、点 (0,2,4) を通り方向ベクトル (1,0,-1) の直線(赤)になる 2 つの平面 x+y+z=6(青)と x-y+z=2(橙)の交わりが、点 (0,2,4) を通り方向ベクトル (1,0,-1) の直線(赤)になる

2 枚の平面の交わりを求める

平面 $x+y+z=6$ と $x-y+z=2$ の交わりを求める(図 1)。2 式を引くと $2y=4$ で $y=2$、足すと $2x+2z=8$ で $x+z=4$ である。$x=t$ とおくと $z=4-t$ なので、交わりは
$$ \vec p=(0,2,4)+t(1,0,-1) $$
の直線である。$t=1$ の点 $(1,2,3)$ は $1+2+3=6$、$1-2+3=2$ を満たす。法線ベクトルの外積は $(1,1,1)\times(1,-1,1)=(1\cdot1-1\cdot(-1),\ 1\cdot1-1\cdot1,\ 1\cdot(-1)-1\cdot1)=(2,0,-2)$ で、方向ベクトル $(1,0,-1)$ の $2$ 倍になっている。

主定理 1:2 直線の位置関係

空間の 2 直線の位置関係には、平面にはなかった場合がある。

2 直線の位置関係

空間の 2 直線 $L_1$、$L_2$ について、

  1. 共有点がちょうど 1 つあるとき、$L_1$ と $L_2$ は 交わる という。
  2. 方向ベクトルが平行で、$L_1\ne L_2$ のとき、$L_1$ と $L_2$ は 平行 であるという。
  3. 交わらず、平行でもなく、一致もしないとき、$L_1$ と $L_2$ は ねじれの位置 にあるという。

空間の 2 直線の位置関係。交わる 2 直線(左)と平行な 2 直線(中)は同じ平面の上にある。ねじれの位置の 2 直線(右)はそれぞれ平行な別々の平面の上にあり、赤の線分が両方に垂直な共通垂線 空間の 2 直線の位置関係。交わる 2 直線(左)と平行な 2 直線(中)は同じ平面の上にある。ねじれの位置の 2 直線(右)はそれぞれ平行な別々の平面の上にあり、赤の線分が両方に垂直な共通垂線
どの場合かを方向ベクトルと、2 直線の通る点を結ぶベクトルで判定する。そのための補題を先に示す。

2 つのベクトルの 1 次結合になる条件

空間のベクトル $\vec d_1$、$\vec d_2$ が 1 次独立(どちらも $\vec 0$ でなく平行でない)とする。ベクトル $\vec w$ について
$$ \vec w=\alpha\vec d_1+\beta\vec d_2\ \text{となる実数}\ \alpha,\beta\ \text{がある}\quad\Longleftrightarrow\quad(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=0 $$
が成り立つ。

行列式が 0 なら 1 次従属

要点:$\Longrightarrow$ は、外積 $\vec d_1\times\vec d_2$ が $\vec d_1$ とも $\vec d_2$ とも垂直であることから出る。$\Longleftarrow$ は、$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=\det(\vec d_1,\vec d_2,\vec w)=0$ から 3 つのベクトルが 1 次従属になり、$\vec d_1$、$\vec d_2$ が 1 次独立なので $\vec w$ の係数が $0$ でないことから出る。どちらも 空間ベクトルと1次独立 の補題「行列式と外積の性質」の 1・3 と定理「1 次独立と行列式」を使う。

詳しい証明を開く

方針:外積と行列式の関係 $(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=\det(\vec d_1,\vec d_2,\vec w)$ と、「行列式が $0$ ⇔ 1 次従属」を使う。どちらも 空間ベクトルと1次独立(補題「行列式と外積の性質」の 1・3、定理「1 次独立と行列式」)で示してある。

段 1($\Longrightarrow$)。外積 $\vec d_1\times\vec d_2$ は $\vec d_1$ とも $\vec d_2$ とも垂直なので、$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=\alpha\,(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec d_1+\beta\,(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec d_2=0$ である。

段 2($\Longleftarrow$)。$\det(\vec d_1,\vec d_2,\vec w)=(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=0$ なので、$\vec d_1$、$\vec d_2$、$\vec w$ は 1 次従属である。つまり、少なくとも 1 つは $0$ でない実数 $p,q,r$ で $p\vec d_1+q\vec d_2+r\vec w=\vec 0$ となる。もし $r=0$ なら $p\vec d_1+q\vec d_2=\vec 0$ で $p,q$ のどちらかが $0$ でなく、$\vec d_1$、$\vec d_2$ が 1 次独立であることに反する。よって $r\ne0$ で、$r$ で割って移項すると $\vec w=-\dfrac pr\vec d_1-\dfrac qr\vec d_2$ である。$\square$

空間の 2 直線の位置関係

直線 $L_1:\vec p=\vec a_1+s\vec d_1$ と $L_2:\vec p=\vec a_2+t\vec d_2$ について、$\vec w=\vec a_2-\vec a_1$ とおく。

  1. $\vec d_1$ と $\vec d_2$ が平行なとき:$\vec w$ が $\vec d_1$ の実数倍なら $L_1=L_2$ であり、そうでなければ $L_1$ と $L_2$ は平行で、共有点がない。
  2. $\vec d_1$ と $\vec d_2$ が平行でないとき:$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=0$ なら $L_1$ と $L_2$ は交わり(共有点はちょうど 1 つ)、$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w\ne0$ なら共有点がなく、$L_1$ と $L_2$ はねじれの位置にある。
共有点の条件を $s$、$t$ の式にする

方針:$L_1$ の点 $\vec a_1+s\vec d_1$ と $L_2$ の点 $\vec a_2+t\vec d_2$ が一致する条件は、移項すると
$$ s\vec d_1-t\vec d_2=\vec w\qquad(\ast) $$
である。$(\ast)$ を満たす $s,t$ があるかどうか、いくつあるかを調べる。
段 1(1 を示す)。$\vec d_2=k\vec d_1$($k\ne0$)とすると、$(\ast)$ は $(s-kt)\vec d_1=\vec w$ である。$\vec w=c\,\vec d_1$ と書けるなら、どの $t$ についても $s=c+kt$ とおけば $(\ast)$ が成り立つので、$L_2$ のすべての点が $L_1$ の上にある。逆に $L_1$ の点 $\vec a_1+s\vec d_1$ は、$t=\dfrac{s-c}k$ とおけば $L_2$ の点である。よって $L_1=L_2$ である。$\vec w$ が $\vec d_1$ の実数倍でないなら、$(s-kt)\vec d_1=\vec w$ となる $s,t$ はなく、共有点はない。方向ベクトルが平行なので、定義により $L_1$ と $L_2$ は平行である。
段 2(2 の、共有点があるかどうか)。$\vec d_1$、$\vec d_2$ は $\vec 0$ でなく平行でないので、1 次独立である(空間ベクトルと1次独立 の補題「2 つのベクトルの 1 次独立」)。$(\ast)$ を満たす $s,t$ があることは、$\vec w$ が $\vec d_1$、$\vec d_2$ の 1 次結合であることと同じで、lem-lsp-span によりこれは $(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=0$ と同値である。
段 3(2 の、共有点は 1 つだけ)。$(\ast)$ を満たす組が $(s,t)$ と $(s',t')$ の 2 つあるとすると、引き算して $(s-s')\vec d_1-(t-t')\vec d_2=\vec 0$ である。$\vec d_1$、$\vec d_2$ は 1 次独立なので $s=s'$、$t=t'$ である。よって共有点はちょうど 1 つで、2 直線は交わる。
段 4(ねじれの位置)。$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w\ne0$ なら、段 2 から共有点がない。方向ベクトルが平行でないので平行でも一致でもなく、定義によりねじれの位置にある。$\square$

高校の計算では、$(\ast)$ を成分で書いた「未知数 2 つ($s,t$)、式 3 本」の連立方程式を解く。2 本の式から $s,t$ を求め、残りの 1 本も満たすかを必ず確かめる。

交わる 2 直線

$L_1:\vec p=(1,0,2)+s(1,1,0)$、$L_2:\vec p=(0,3,0)+t(1,-1,1)$ とする(図 2 の左)。成分を等しいとおくと
$$ 1+s=t,\qquad s=3-t,\qquad 2=t $$
である。3 本目から $t=2$、2 本目から $s=1$ で、1 本目は $1+1=2$ で満たされる。よって $L_1$ と $L_2$ は点 $(2,1,2)$ で交わる。thm-lsp-position の式で確かめると、$\vec d_1\times\vec d_2=(1\cdot1-0\cdot(-1),\ 0\cdot1-1\cdot1,\ 1\cdot(-1)-1\cdot1)=(1,-1,-2)$、$\vec w=(0,3,0)-(1,0,2)=(-1,3,-2)$ で、$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=-1-3+4=0$ である。

ねじれの位置にある 2 直線

$L_1$ はそのままで、$L_3:\vec p=(0,3,1)+t(1,-1,1)$ とする($L_2$ を $z$ 軸の向きに $1$ だけずらした直線、図 2 の右)。成分を等しいとおくと
$$ 1+s=t,\qquad s=3-t,\qquad 2=1+t $$
である。3 本目から $t=1$、2 本目から $s=2$ だが、1 本目は $1+2=3\ne1$ で満たされない。よって共有点はない。方向ベクトル $(1,1,0)$ と $(1,-1,1)$ は平行でないので、$L_1$ と $L_3$ はねじれの位置にある。式で確かめると $\vec w=(-1,3,-1)$ で、$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=-1-3+2=-2\ne0$ である。

判定の手順を表にまとめる。

方向ベクトル$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w$、または $\vec w$位置関係共有点同じ平面の上に
平行$\vec w$ が $\vec d_1$ の実数倍一致無数ある
平行$\vec w$ が $\vec d_1$ の実数倍でない平行なしある
平行でない$=0$交わる1 つある
平行でない$\ne0$ねじれの位置なしない

表の最後の列は、次の系による。

ねじれの位置と平面

空間の 2 直線がねじれの位置にあることと、2 直線を両方とも含む平面がないことは同値である。

平面の法線ベクトルで調べる

要点:交わる・平行・一致のときは、2 直線を含む平面を具体的に作れる。ねじれの位置のときは、両方を含む平面があるとすると、その法線ベクトルが $\vec d_1\times\vec d_2$ の実数倍になり、$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=0$ となって矛盾する。

詳しい証明を開く

段 1(交わる・平行・一致なら平面がある)。交わるとき、lem-lsp-span から $\vec w=\alpha\vec d_1+\beta\vec d_2$ と書け、平面 $\{\vec a_1+x\vec d_1+y\vec d_2\}$ は $L_1$ の点($y=0$)も $L_2$ の点 $\vec a_2+t\vec d_2=\vec a_1+\alpha\vec d_1+(\beta+t)\vec d_2$ も含む。平行のとき、$\vec w$ は $\vec d_1$ の実数倍でないので $\vec d_1$、$\vec w$ は 1 次独立で、平面 $\{\vec a_1+x\vec d_1+y\vec w\}$ は $L_1$ の点も、$L_2$ の点 $\vec a_2+t\,k\vec d_1=\vec a_1+tk\,\vec d_1+\vec w$ も含む。一致するときは、$L_1$ を含む平面ならどれでも $L_2$ を含む。

段 2(ねじれの位置なら平面はない)。ねじれの位置にある 2 直線が、点 $C$ を通り法線ベクトル $\vec n\ne\vec 0$ の平面 $\pi$ に含まれるとする。$\pi$ の 2 点を結ぶベクトルは $\vec n$ に垂直なので、$L_1$ の 2 点 $\vec a_1$、$\vec a_1+\vec d_1$ から $\vec n\cdot\vec d_1=0$、同じく $\vec n\cdot\vec d_2=0$、$\vec a_1$ と $\vec a_2$ から $\vec n\cdot\vec w=0$ である。$\vec d_1$、$\vec d_2$ は平行でないので、空間の平面と法線ベクトル の定理「外積の性質」の 6 により $\vec n=\lambda(\vec d_1\times\vec d_2)$ となる実数 $\lambda$ があり、$\vec n\ne\vec 0$ なので $\lambda\ne0$ である。すると $(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=\dfrac1\lambda\,\vec n\cdot\vec w=0$ となり、thm-lsp-position の 2 からねじれの位置でないことになって矛盾する。$\square$

主定理 2:ねじれの位置にある 2 直線の距離

2 直線 $L_1$、$L_2$ の点 $X$、$Y$ を動かしたときの $XY$ の最小値を、2 直線の 距離 という。ねじれの位置にある 2 直線では、両方に垂直な線分(共通垂線)の長さが距離になる。まず立方体で具体的に見る。
1 辺 1 の立方体の対角線 OG(青)と辺 AE(橙)はねじれの位置にある。立方体の中心 M と辺 AE の中点 N を結ぶ線分(赤)が両方に垂直で、長さが 2 直線の距離になる 1 辺 1 の立方体の対角線 OG(青)と辺 AE(橙)はねじれの位置にある。立方体の中心 M と辺 AE の中点 N を結ぶ線分(赤)が両方に垂直で、長さが 2 直線の距離になる

立方体の対角線と辺

1 辺 $1$ の立方体で、$O(0,0,0)$、$G(1,1,1)$、$A(1,0,0)$、$E(1,0,1)$ とする(図 3)。直線 $OG$ は $\vec p=s(1,1,1)$、直線 $AE$ は $\vec p=(1,0,0)+t(0,0,1)$ である。$X=(s,s,s)$、$Y=(1,0,t)$ とすると、$\overrightarrow{XY}=(1-s,\ -s,\ t-s)$ なので
$$ XY^2=(1-s)^2+s^2+(t-s)^2=(t-s)^2+2s^2-2s+1 $$
である。$2s^2-2s+1=2\Bigl(s-\dfrac12\Bigr)^2+\dfrac12$ と平方完成すると
$$ XY^2=\underbrace{(t-s)^2}_{\ge0}+\underbrace{2\Bigl(s-\frac12\Bigr)^2}_{\ge0}+\frac12 $$
となる。最小になるのは $s=\dfrac12$、$t=s=\dfrac12$ のときだけで、最小値は $XY^2=\dfrac12$、距離は $\dfrac1{\sqrt2}=\dfrac{\sqrt2}2$ である。そのときの $X$ は立方体の中心 $M\Bigl(\dfrac12,\dfrac12,\dfrac12\Bigr)$、$Y$ は辺 $AE$ の中点 $N\Bigl(1,0,\dfrac12\Bigr)$ で、$\overrightarrow{MN}=\Bigl(\dfrac12,-\dfrac12,0\Bigr)$ は $(1,1,1)$ とも $(0,0,1)$ とも垂直である(内積は $\dfrac12-\dfrac12+0=0$ と $0$)。

最小になるところで $\overrightarrow{XY}$ が 2 直線の両方に垂直になったのは偶然ではない。2 変数の 2 次関数の最小を、垂直の条件と三平方の定理で一般に示す。

ねじれの位置にある 2 直線の距離

直線 $L_1:\vec p=\vec a_1+s\vec d_1$ と $L_2:\vec p=\vec a_2+t\vec d_2$ の方向ベクトルが平行でないとし、$\vec w=\vec a_2-\vec a_1$ とおく。

  1. $L_1$ の点 $P_1$ と $L_2$ の点 $P_2$ で、$\overrightarrow{P_1P_2}$ が $\vec d_1$ とも $\vec d_2$ とも垂直になるものが、ちょうど 1 組ある。
  2. $L_1$ の点 $X$ と $L_2$ の点 $Y$ について $XY\ge P_1P_2$ であり、等号は $X=P_1$、$Y=P_2$ のときに限る。
  3. 2 直線の距離は
    $$ P_1P_2=\frac{\bigl\lvert(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w\bigr\rvert}{\lvert\vec d_1\times\vec d_2\rvert} $$
    である。特に、距離が $0$ になる(交わる)のは $(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=0$ のときに限る。
垂直になる点を連立 1 次方程式で求め、三平方の定理で比べる

方針:$X=\vec a_1+s\vec d_1$、$Y=\vec a_2+t\vec d_2$ とおくと $\overrightarrow{XY}=\vec w+t\vec d_2-s\vec d_1$ である。これが $\vec d_1$、$\vec d_2$ の両方に垂直になる $s,t$ を 1 次方程式で求め(段 1・段 2)、ほかの $s,t$ との差を三平方の定理で比べる(段 3)。最後に外積との内積で長さを求める(段 4)。外積について使う性質は、空間の平面と法線ベクトル の定理「外積の性質」の 3($\lvert\vec a\times\vec b\rvert^2=\lvert\vec a\rvert^2\lvert\vec b\rvert^2-(\vec a\cdot\vec b)^2$)、4($\vec a\times\vec b=\vec 0$ は平行のときに限る)、6($\vec a$、$\vec b$ が平行でなく、$\vec v$ が両方に垂直なら、$\vec v$ は $\vec a\times\vec b$ の実数倍)である。
段 1(垂直の条件)。$\vec v(s,t)=\vec w+t\vec d_2-s\vec d_1$ とおく。$\vec v\cdot\vec d_1=0$、$\vec v\cdot\vec d_2=0$ を展開すると
$$ \lvert\vec d_1\rvert^2\,s-(\vec d_1\cdot\vec d_2)\,t=\vec w\cdot\vec d_1,\qquad(\vec d_1\cdot\vec d_2)\,s-\lvert\vec d_2\rvert^2\,t=\vec w\cdot\vec d_2 $$
である。
段 2(ただ 1 組の解)。$s,t$ の連立 1 次方程式 $ps+qt=e$、$p's+q't=e'$ は、$pq'-qp'\ne0$ のとき、ただ 1 組の解 $s=\dfrac{eq'-qe'}{pq'-qp'}$、$t=\dfrac{pe'-ep'}{pq'-qp'}$ をもつ。段 1 の方程式では $p=\lvert\vec d_1\rvert^2$、$q=-\vec d_1\cdot\vec d_2$、$p'=\vec d_1\cdot\vec d_2$、$q'=-\lvert\vec d_2\rvert^2$ なので
$$ pq'-qp'=-\lvert\vec d_1\rvert^2\lvert\vec d_2\rvert^2+(\vec d_1\cdot\vec d_2)^2=-\lvert\vec d_1\times\vec d_2\rvert^2 $$
である(外積の性質 3)。$\vec d_1$、$\vec d_2$ が平行でないので、性質 4 によりこれは $0$ でない。よって解 $(s_0,t_0)$ はただ 1 組で、$P_1=\vec a_1+s_0\vec d_1$、$P_2=\vec a_2+t_0\vec d_2$ とすれば 1 が示せた。

詳細

解であることは代入すると確かめられる。ほかに解がないことは、1 本目に $q'$、2 本目に $q$ を掛けて引くと $(pq'-qp')s=eq'-qe'$ となって $s$ がこの値に限られ、1 本目に $p'$、2 本目に $p$ を掛けて引くと $(qp'-pq')t=ep'-pe'$ となって $t$ もこの値に限られることから分かる。


段 3(三平方の定理)。$\vec v_0=\vec v(s_0,t_0)=\overrightarrow{P_1P_2}$ とおくと、どの $s,t$ についても
$$ \vec v(s,t)=\vec v_0+\vec u,\qquad \vec u=(t-t_0)\vec d_2-(s-s_0)\vec d_1 $$
である。$\vec v_0$ は $\vec d_1$、$\vec d_2$ に垂直なので $\vec v_0\cdot\vec u=0$ で、
$$ XY^2=\lvert\vec v_0+\vec u\rvert^2=\lvert\vec v_0\rvert^2+2\,\vec v_0\cdot\vec u+\lvert\vec u\rvert^2=P_1P_2^2+\lvert\vec u\rvert^2\ge P_1P_2^2 $$
である。等号は $\vec u=\vec 0$ のときで、$\vec d_1$、$\vec d_2$ は 1 次独立なので、これは $s=s_0$ かつ $t=t_0$、つまり $X=P_1$、$Y=P_2$ のときに限る。これで 2 が示せた。
段 4(長さの式)。$\vec c=\vec d_1\times\vec d_2$ とおく。$\vec c$ は $\vec d_1$、$\vec d_2$ に垂直なので、$\vec c\cdot\vec v_0=\vec c\cdot(\vec w+t_0\vec d_2-s_0\vec d_1)=\vec c\cdot\vec w$ である。一方、$\vec v_0$ は $\vec d_1$、$\vec d_2$ の両方に垂直なので、性質 6 により $\vec v_0=\lambda\vec c$ となる実数 $\lambda$ がある。すると $\vec c\cdot\vec w=\vec c\cdot\vec v_0=\lambda\lvert\vec c\rvert^2$ から $\lambda=\dfrac{\vec c\cdot\vec w}{\lvert\vec c\rvert^2}$ で、
$$ P_1P_2=\lvert\lambda\rvert\,\lvert\vec c\rvert=\frac{\lvert\vec c\cdot\vec w\rvert}{\lvert\vec c\rvert} $$
である。$\vec c\ne\vec 0$ なので、これが $0$ になるのは $\vec c\cdot\vec w=0$ のときに限る。$\square$

距離を 2 通りで求める

ex-lsp-skew の $L_1:\vec p=(1,0,2)+s(1,1,0)$ と $L_3:\vec p=(0,3,1)+t(1,-1,1)$ の距離を求める。
(1) 2 変数の 2 次関数の最小として。$X=(1+s,\ s,\ 2)$、$Y=(t,\ 3-t,\ 1+t)$ とすると $\overrightarrow{XY}=(t-s-1,\ 3-t-s,\ t-1)$ で、展開すると
$$ XY^2=2s^2-4s+3t^2-10t+11=2(s-1)^2+3\Bigl(t-\frac53\Bigr)^2+\frac23 $$
である(この例では $\vec d_1\cdot\vec d_2=0$ なので $st$ の項が出ない)。最小は $s=1$、$t=\dfrac53$ のときで、距離は $\sqrt{\dfrac23}=\dfrac{\sqrt6}3$ である。このとき $P_1=(2,1,2)$、$P_2=\Bigl(\dfrac53,\dfrac43,\dfrac83\Bigr)$、$\overrightarrow{P_1P_2}=\Bigl(-\dfrac13,\dfrac13,\dfrac23\Bigr)$ で、$(1,1,0)$ との内積は $-\dfrac13+\dfrac13=0$、$(1,-1,1)$ との内積は $-\dfrac13-\dfrac13+\dfrac23=0$ である。
(2) 外積の式で。ex-lsp-skew で $\vec d_1\times\vec d_2=(1,-1,-2)$、$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=-2$ だったので、距離は $\dfrac{\lvert-2\rvert}{\sqrt{1+1+4}}=\dfrac2{\sqrt6}=\dfrac{\sqrt6}3$ で、(1) と一致する。

2 変数の 2 次関数の最小値を平方完成で求める方法は 2次関数の最大・最小 と同じ考え方で、1 つの文字について平方完成してから残りの文字について平方完成すればよい(ex-lsp-cube)。点と直線の距離(直線が 1 本の場合)は 空間の平面と法線ベクトル の系「点と直線の距離」で扱う。
距離の式は、四面体の体積の式にもなる。

四面体の体積を向かい合う辺で表す

四面体 $ABCD$ で、辺 $AB$、$CD$ を含む 2 直線の距離を $h$、$\overrightarrow{AB}$ と $\overrightarrow{CD}$ のなす角を $\theta$ とすると、体積は $V=\dfrac16\,AB\cdot CD\cdot h\,\sin\theta$ と表せる。四面体の体積と行列式 の式 $V=\dfrac16\bigl\lvert\det(\overrightarrow{AB},\overrightarrow{AC},\overrightarrow{AD})\bigr\rvert$ に thm-lsp-distance の 3 を当てはめると出る。

証明と、正四面体での確かめを開く

段 1(行列式を 1 本の外積に直す)。行列式は $\det(\vec a,\vec b,\vec c)=(\vec a\times\vec b)\cdot\vec c$ と書けて $\vec c$ について 1 次式であり、$(\vec a\times\vec b)\cdot\vec b=0$ なので、$\overrightarrow{AD}=\overrightarrow{AC}+\overrightarrow{CD}$ を代入すると $\det(\overrightarrow{AB},\overrightarrow{AC},\overrightarrow{AD})=\det(\overrightarrow{AB},\overrightarrow{AC},\overrightarrow{CD})$ である。行列式は順番を巡回的にずらしても変わらないので、これは $\det(\overrightarrow{CD},\overrightarrow{AB},\overrightarrow{AC})=(\overrightarrow{CD}\times\overrightarrow{AB})\cdot\overrightarrow{AC}=-(\overrightarrow{AB}\times\overrightarrow{CD})\cdot\overrightarrow{AC}$ に等しい(使った性質は 空間ベクトルと1次独立 の補題「行列式と外積の性質」と 空間の平面と法線ベクトル の定理「外積の性質」の 1 による)。よって $V=\dfrac16\bigl\lvert(\overrightarrow{AB}\times\overrightarrow{CD})\cdot\overrightarrow{AC}\bigr\rvert$ である。

段 2(距離の式を使う)。直線 $AB$ と $CD$ を両方含む平面があれば 4 点がその平面の上にあることになるので、そのような平面はなく、cor-lsp-coplanar により 2 直線はねじれの位置にある。thm-lsp-distance の 3 で $\vec d_1=\overrightarrow{AB}$、$\vec d_2=\overrightarrow{CD}$、$\vec w=\overrightarrow{AC}$ とすると $\bigl\lvert(\overrightarrow{AB}\times\overrightarrow{CD})\cdot\overrightarrow{AC}\bigr\rvert=\lvert\overrightarrow{AB}\times\overrightarrow{CD}\rvert\,h$ で、外積の性質の 3 から $\lvert\overrightarrow{AB}\times\overrightarrow{CD}\rvert=AB\cdot CD\sin\theta$ である。$\square$

確かめ。1 辺 $1$ の立方体の 4 頂点 $A(0,0,0)$、$B(1,1,0)$、$C(1,0,1)$、$D(0,1,1)$ は、1 辺 $\sqrt2$ の正四面体をつくる。$\overrightarrow{AB}=(1,1,0)$、$\overrightarrow{CD}=(-1,1,0)$ の内積は $0$ で $\theta=90^\circ$、$\overrightarrow{AB}\times\overrightarrow{CD}=(0,0,2)$、$\overrightarrow{AC}=(1,0,1)$ から $h=\dfrac22=1$ である。よって $V=\dfrac16\cdot\sqrt2\cdot\sqrt2\cdot1\cdot1=\dfrac13$ で、立方体から 4 つの角の三角錐(体積 $\dfrac16$ ずつ)を除いた $1-\dfrac46=\dfrac13$ と一致する。

直線と平面の交点

直線と平面の交わり

直線 $L:\vec p=\vec a+t\vec d$ と平面 $\pi:\vec n\cdot\vec p=c$($\vec n\ne\vec 0$)について、

  1. $\vec n\cdot\vec d\ne0$ なら、$L$ と $\pi$ はただ 1 点で交わり、その点は $t=\dfrac{c-\vec n\cdot\vec a}{\vec n\cdot\vec d}$ の点である。
  2. $\vec n\cdot\vec d=0$ で $\vec n\cdot\vec a=c$ なら、$L$ は $\pi$ に含まれる。
  3. $\vec n\cdot\vec d=0$ で $\vec n\cdot\vec a\ne c$ なら、$L$ と $\pi$ は共有点をもたない($L$ は $\pi$ に平行)。
代入して $t$ の 1 次方程式にする

$L$ の点 $\vec a+t\vec d$ が $\pi$ の上にある条件は、代入して $\vec n\cdot\vec a+t\,(\vec n\cdot\vec d)=c$ である。$\vec n\cdot\vec d\ne0$ ならこの 1 次方程式の解は $t=\dfrac{c-\vec n\cdot\vec a}{\vec n\cdot\vec d}$ ただ 1 つで、1 が出る。$\vec n\cdot\vec d=0$ なら式は $\vec n\cdot\vec a=c$ となって $t$ によらず、成り立てばすべての $t$ が解(2)、成り立たなければ解がない(3)。$\square$

直線と平面の交点

$L_1:\vec p=(1,0,2)+s(1,1,0)$ とする。
(1) 平面 $x+2y+3z=13$:$\vec n=(1,2,3)$、$\vec n\cdot\vec d_1=1+2+0=3\ne0$、$\vec n\cdot\vec a_1=1+0+6=7$ なので $s=\dfrac{13-7}3=2$ で、交点は $(3,2,2)$ である($3+4+6=13$)。

2・3 の場合の例を開く

(2) 平面 $x-y+5z=11$:$\vec n\cdot\vec d_1=1-1+0=0$、$\vec n\cdot\vec a_1=1-0+10=11$ なので、$L_1$ はこの平面に含まれる($s=3$ の点 $(4,3,2)$ でも $4-3+10=11$)。

(3) 平面 $x-y+5z=0$:$\vec n\cdot\vec d_1=0$、$\vec n\cdot\vec a_1=11\ne0$ なので、共有点はない。

例と反例

外す条件反例成り立たなくなること
平面の中で考える立方体の対角線と辺(ex-lsp-cube)、ex-lsp-skew平行でない 2 直線は交わる
1 次方程式が 2 本ある$\dfrac{x-1}2=\dfrac{y-2}{-1}$ だけ(ex-lsp-one-equation)式が直線を表す(平面になる)
分母が $0$ でない$\dfrac{y-2}0$ を含む式(ex-lsp-zero-denominator)分数の形がそのまま意味をもつ
3 本の式をすべて確かめる2 本だけ解いた $s,t$(ex-lsp-check-third)求めた点が 2 直線の共有点である
反例:1 次方程式 1 本では平面

ex-lsp-start-param の直線の式のうち $\dfrac{x-1}2=\dfrac{y-2}{-1}$ だけを使うと、分母を払って $-(x-1)=2(y-2)$、つまり $x+2y=5$ である。点 $(1,2,100)$ はこれを満たすが、直線の上の点で $x=1$ となるのは $t=0$ のときだけで、そのとき $z=3\ne100$ なので、直線の上にはない。$x+2y=5$ は $z$ を自由に動かせる平面($z$ 軸に平行な平面)で、直線はその中の 1 本にすぎない。

反例:分母が $0$ の分数の形

$A(1,2,3)$ を通り方向ベクトル $(2,0,-1)$ の直線(ex-lsp-symmetric の (2))を $\dfrac{x-1}2=\dfrac{y-2}0=\dfrac{z-3}{-1}$ と書くと、$0$ で割る式を含み、数の式としては意味をもたない(「分母が $0$ のときは分子も $0$」と読む約束で使うこともあるが、それは式の外の約束である)。$y$ の条件を落として $\dfrac{x-1}2=\dfrac{z-3}{-1}$ だけにすると、点 $(1,5,3)$ も満たしてしまうが、直線の点の $y$ 座標はいつも $2$ なので、これは直線の上にない。prop-lsp-symmetric の 2 のとおり $y=2$ を別に書く。

反例:残りの 1 本を確かめない

ex-lsp-skew の $L_1$ と $L_3$ で、成分の式の 1 本目 $1+s=t$ と 2 本目 $s=3-t$ だけを解くと $s=1$、$t=2$ となる。しかし $s=1$ の $L_1$ の点は $(2,1,2)$、$t=2$ の $L_3$ の点は $(2,1,3)$ で、別の点である。3 本目 $2=1+t$ が $t=2$ で成り立たないことを確かめ忘れると、ねじれの位置にある 2 直線を「交わる」と誤る。

演習

2 点を通る直線

2 点 $(2,-1,0)$、$(4,0,3)$ を通る直線を、分数の形で書け。

解答を開く

方向ベクトルは $(4,0,3)-(2,-1,0)=(2,1,3)$ で、どの成分も $0$ でないので $\dfrac{x-2}2=\dfrac{y+1}1=\dfrac z3$ である。$(4,0,3)$ では 3 つの分数がどれも $1$ になる。

直線と平面の交点

直線 $\vec p=(1,1,1)+t(1,2,-1)$ と平面 $2x-y+z=5$ の交点を求めよ。

解答を開く

$\vec n=(2,-1,1)$ で、$\vec n\cdot\vec d=2-2-1=-1\ne0$、$\vec n\cdot\vec a=2-1+1=2$ なので、prop-lsp-line-plane により $t=\dfrac{5-2}{-1}=-3$ である。交点は $(1,1,1)-3(1,2,-1)=(-2,-5,4)$ で、$-4+5+4=5$ を満たす。

位置関係と距離

$x$ 軸 $\vec p=s(1,0,0)$ と直線 $\vec p=(0,2,1)+t(1,1,1)$ の位置関係を調べ、距離を求めよ。

解答を開く

$\vec d_1\times\vec d_2=(1,0,0)\times(1,1,1)=(0,-1,1)$、$\vec w=(0,2,1)$ で、$(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w=-2+1=-1\ne0$ なので、thm-lsp-position によりねじれの位置にある。距離は thm-lsp-distance により $\dfrac{\lvert-1\rvert}{\sqrt2}=\dfrac{\sqrt2}2$ である。2 次関数で確かめると、$XY^2=\lvert(t-s,\ 2+t,\ 1+t)\rvert^2=s^2-2st+3t^2+6t+5=(s-t)^2+2\Bigl(t+\dfrac32\Bigr)^2+\dfrac12$ で、最小値 $\dfrac12$ は $s=t=-\dfrac32$ のときにとる。共通垂線の足は $\Bigl(-\dfrac32,0,0\Bigr)$ と $\Bigl(-\dfrac32,\dfrac12,-\dfrac12\Bigr)$ である。

大学数学で見る:連立 1 次方程式とアフィン部分空間

位置関係は連立 1 次方程式の解の個数

2 直線の共有点を求める式 $s\vec d_1-t\vec d_2=\vec w$ は、未知数 2 つ・式 3 本の連立 1 次方程式である。thm-lsp-position の場合分けは、この連立方程式の解が「無数・なし・ただ 1 つ・なし」のどれになるかの分類そのものである。大学の線形代数では、解の有無と個数を係数の行列の 階数 で判定する。直線や平面のように、部分空間を平行移動した集合を アフィン部分空間 といい、どのアフィン部分空間も連立 1 次方程式の解の全体として書ける(BV04 の §2.1.2、例 2.1)ので、アフィン部分空間の共通部分は、それらの連立方程式を合わせた解の全体として求まる。

階数による言い換えと、Plücker 座標を開く

階数による言い換え。$\vec d_1$、$\vec d_2$ を列に並べた $3\times2$ の行列の階数は、2 つが平行なら $1$、平行でなければ $2$ である。$\vec w$ を加えた $3\times3$ の行列の階数は、$\det(\vec d_1,\vec d_2,\vec w)=(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot\vec w\ne0$ なら $3$ になる。連立 1 次方程式が解をもつのは 2 つの階数が等しいときで、thm-lsp-position の 2 はその特別な場合である(一般の場合はこの記事では証明しない)。

Plücker 座標。直線 $\vec p=\vec a+t\vec d$ に、ベクトルの組 $(\vec d,\ \vec m)$、$\vec m=\vec a\times\vec d$ を対応させる。直線の上の別の点 $\vec a+t\vec d$ を選んでも $(\vec a+t\vec d)\times\vec d=\vec a\times\vec d$ なので $\vec m$ は変わらず、組は直線だけで決まる(方向ベクトルを $k$ 倍すると組全体が $k$ 倍になる)。これを直線の Plücker 座標という。2 直線 $(\vec d_1,\vec m_1)$、$(\vec d_2,\vec m_2)$ について、$\vec u\cdot(\vec v\times\vec x)=\det(\vec u,\vec v,\vec x)$ と行列式の性質を使って計算すると$$\vec d_1\cdot\vec m_2+\vec d_2\cdot\vec m_1=-(\vec d_1\times\vec d_2)\cdot(\vec a_2-\vec a_1)$$となる。したがって、方向ベクトルが平行でない 2 直線が交わるのは $\vec d_1\cdot\vec m_2+\vec d_2\cdot\vec m_1=0$ のときである。空間の直線全体を 4 次元の図形として調べるときの出発点になる座標である。

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関連項目

参考文献

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