ホロノミー

同義語:holonomyホロノミー群holonomy group

概要

ホロノミー(holonomy)とは、接続をもつベクトル束や主束で、閉曲線に沿ってファイバーの元を平行移動したときに生じるずれであり、基点 $x$ を通る閉曲線全体のずれはホロノミー群 $\mathrm{Hol}_x\subset\mathrm{GL}(E_x)$ をなす。連結な多様体の上では、曲率が $0$ であることと、$0$ にホモトピックな閉曲線のホロノミーがすべて恒等写像であることは同値で、このとき平行移動は基本群の表現を与える。平行な切断はホロノミー群で固定されるベクトルと 1 対 1 に対応し、連結な Riemann 多様体が向き付け可能であることは Levi-Civita 接続のホロノミー群が $\mathrm{SO}(n)$ に入ることと同値である。制限ホロノミー群は連結な Lie 部分群であり、その Lie 環は曲率の値で張られる(Ambrose–Singer の定理)。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 接続, 主束の接続, 基本群, Lie群

接続をもつベクトル束では、曲線に沿ってファイバーの元を「動かさずに」運ぶ平行移動が定まる。出発点に戻る閉曲線に沿って運ぶと、もとのベクトルに戻るとは限らない。戻ったときのずれ全体がなす群が ホロノミー群 であり、接続がどれだけ曲がっているかを群として記録する。曲率が $0$ であることは、$0$ にホモトピックな閉曲線のずれがすべて消えることと同値である。また、平行な切断(共変微分が $0$ の切断)はホロノミー群で固定されるベクトルと 1 対 1 に対応する。この対応により、計量・向きなどの平行な構造が存在するかという大域的な問題が、ホロノミー群がどれだけ小さいかという線形代数の問題に置き換わる。

定義

以下、$M$ を連結な $C^\infty$ 多様体、$\mathbb{K}=\mathbb{R}$ または $\mathbb{C}$、$E\to M$ を階数 $r$ の $\mathbb{K}$ ベクトル束、$\nabla$ をその接続(接続 の定義「多様体上のベクトル束の接続」)とする。曲線 は区分的に $C^\infty$ な写像 $\gamma\colon[0,1]\to M$ を指す。曲線 $\gamma$ の後に $\delta$ をたどる曲線を $\gamma\cdot\delta$、逆向きにたどる曲線を $\bar\gamma$ と書く。

平行移動

$\gamma$ に沿う $E$ の切断、すなわち $\sigma(\tau)\in E_{\gamma(\tau)}$ を対応させる区分的に $C^\infty$ な写像 $\sigma$ を考える。$\gamma$ の像の一部を含む開集合上の局所枠 $e_1,\dots,e_r$ とその接続行列 $A$(接続 の命題「接続行列と曲率行列」)を使って $\sigma=\sum_j\sigma_je_j$ と書き、
$$ \frac{D\sigma}{d\tau}:=\sum_i\Bigl(\sigma_i'+\sum_jA_{ij}(\gamma'(\tau))\,\sigma_j\Bigr)e_i $$
とおく。枠を $e'=eg$ に取り替えると $\sigma=g\sigma'$(成分の列ベクトル)であり、変換則 $A'=g^{-1}dg+g^{-1}Ag$ から右辺は枠によらない。$E$ の切断 $s$ については、連鎖律により
$$ \frac{D(s\circ\gamma)}{d\tau}=\nabla_{\gamma'(\tau)}s $$
である。$D\sigma/d\tau=0$ を満たす $\sigma$ を $\gamma$ に沿って平行 という。これは線形常微分方程式なので、任意の初期値 $\sigma(0)\in E_{\gamma(0)}$ に対して $[0,1]$ 全体で解がただ 1 つ存在する($E=TM$ の場合が Lee18 Theorem 4.32、p. 107 で、同じ証明が一般のベクトル束に通用する)。

平行移動

曲線 $\gamma$ に対し、$\sigma(0)$ に $\gamma$ に沿って平行な $\sigma$ の終点 $\sigma(1)$ を対応させる線形写像
$$ P_\gamma\colon E_{\gamma(0)}\longrightarrow E_{\gamma(1)} $$
を $\gamma$ に沿う 平行移動(parallel transport)という。

解の一意性から次が従う:$P_{\gamma\cdot\delta}=P_\delta\circ P_\gamma$、$P_{\bar\gamma}=P_\gamma^{-1}$、定値曲線の平行移動は恒等写像であり、$\gamma$ を向きを保つ $C^\infty$ な変数変換でパラメータ付けし直しても $P_\gamma$ は変わらない。とくに $P_\gamma$ は線形同型である。

ホロノミー群

ホロノミー群と制限ホロノミー群

$x\in M$ とする。$\gamma(0)=\gamma(1)=x$ を満たす曲線を $x$ を基点とする 閉曲線 という。
$$ \mathrm{Hol}_x(\nabla):=\{P_\gamma\mid\gamma\ \text{は}\ x\ \text{を基点とする閉曲線}\}\subset\mathrm{GL}(E_x) $$
を $\nabla$ の $x$ における ホロノミー群(holonomy group)という。閉曲線を、連続写像として端点を固定したまま定値曲線にホモトピック(ホモトピー)なものに限って同じように定めた集合を $\mathrm{Hol}^0_x(\nabla)$ と書き、制限ホロノミー群(restricted holonomy group)という。個々の $P_\gamma$ を閉曲線 $\gamma$ の ホロノミー という。

主束についても同様に定める。$p\colon P\to M$ を主 $G$ 束、$\omega$ をその接続形式とし、$u\in P_x$ とする。$x$ を基点とする閉曲線 $\gamma$ の水平持ち上げによる平行移動(主束の接続 の定理「水平持ち上げと平行移動」)は $P_\gamma(u)=u\,\mathrm{hol}_u(\gamma)$ と書け、$\mathrm{hol}_u(\gamma)\in G$ の全体 $\mathrm{Hol}_u(\omega)$ は $G$ の部分群である。これを $\omega$ の $u$ における ホロノミー群 といい、$0$ にホモトピックな閉曲線に限ったものを $\mathrm{Hol}^0_u(\omega)$ と書く。

同伴ベクトル束のホロノミー

$\rho\colon G\to\mathrm{GL}(V)$ を表現、$E=P\times_\rho V$ を同伴ベクトル束とし、$E$ に $\omega$ から誘導される接続 $\nabla$(主束の接続 の定理「同伴ベクトル束に誘導される接続」)を入れる。$u$ の水平持ち上げを $\tilde\gamma$ とすると、曲線 $\tau\mapsto[\tilde\gamma(\tau),v]$ は $\gamma$ に沿って平行である。実際、局所切断 $s_\alpha$ で $\tilde\gamma=s_\alpha(\gamma)g$ と書くと成分は $\varphi_\alpha=\rho(g)v$ で、水平性 $g'g^{-1}=-A_\alpha(\gamma')$ から $\varphi_\alpha'+\rho_*(A_\alpha(\gamma'))\varphi_\alpha=\rho_*\bigl(g'g^{-1}+A_\alpha(\gamma')\bigr)\rho(g)v=0$ である。よって $P_\gamma[u,v]=[u\,\mathrm{hol}_u(\gamma),v]=[u,\rho(\mathrm{hol}_u(\gamma))v]$ であり、同型 $\iota_u\colon V\to E_x$、$v\mapsto[u,v]$ により
$$ \mathrm{Hol}_x(\nabla)=\iota_u\,\rho\bigl(\mathrm{Hol}_u(\omega)\bigr)\,\iota_u^{-1} $$
となる。$E$ の枠束 $\mathrm{Fr}(E)$ と $\rho=\mathrm{id}$ の場合、$u$ は $E_x$ の基底であり、$\mathrm{Hol}_x(\nabla)$ はその基底で $\mathrm{Hol}_u(\omega)\subset\mathrm{GL}_r(\mathbb{K})$ を表したものである。

基本性質

ホロノミー群の基本性質
  1. $\mathrm{Hol}_x(\nabla)$ は $\mathrm{GL}(E_x)$ の部分群であり、$\mathrm{Hol}^0_x(\nabla)$ はその正規部分群である。
  2. $c$ を $x$ から $y$ への曲線とすると、$\mathrm{Hol}_y(\nabla)=P_c\,\mathrm{Hol}_x(\nabla)\,P_c^{-1}$、$\mathrm{Hol}^0_y(\nabla)=P_c\,\mathrm{Hol}^0_x(\nabla)\,P_c^{-1}$ である。
  3. 閉曲線 $\gamma$ に剰余類 $P_\gamma\mathrm{Hol}^0_x(\nabla)$ を対応させる写像は、$\gamma$ の端点を固定したホモトピー類だけで決まり、全射な反準同型 $\pi_1(M,x)\to\mathrm{Hol}_x(\nabla)/\mathrm{Hol}^0_x(\nabla)$ を与える。とくに $M$ が単連結なら $\mathrm{Hol}_x(\nabla)=\mathrm{Hol}^0_x(\nabla)$ である。

要点:平行移動の合成則 $P_{\gamma\cdot\delta}=P_\delta P_\gamma$ と $P_{\bar\gamma}=P_\gamma^{-1}$ を、閉曲線の積・逆・共役に当てはめる。

詳しい証明を開く

1. $x$ を基点とする閉曲線 $\gamma,\delta$ について $P_\delta P_\gamma=P_{\gamma\cdot\delta}$、$P_\gamma^{-1}=P_{\bar\gamma}$ であり、定値曲線の平行移動は恒等写像なので部分群である。$0$ にホモトピックな閉曲線の積と逆も $0$ にホモトピックなので $\mathrm{Hol}^0_x$ も部分群である。$\gamma$ が $0$ にホモトピックなら $\bar\delta\cdot\gamma\cdot\delta$ もそうであり、$P_{\bar\delta\cdot\gamma\cdot\delta}=P_\delta P_\gamma P_\delta^{-1}$ なので正規部分群である。

2. $x$ を基点とする閉曲線 $\gamma$ に対し $\bar c\cdot\gamma\cdot c$ は $y$ を基点とする閉曲線で、$P_{\bar c\cdot\gamma\cdot c}=P_cP_\gamma P_c^{-1}$ である。よって $P_c\mathrm{Hol}_xP_c^{-1}\subset\mathrm{Hol}_y$ であり、$\bar c$ について同じことを使うと逆の包含も得られる。$\gamma$ が $0$ にホモトピックなら $\bar c\cdot\gamma\cdot c$ もそうなので、$\mathrm{Hol}^0$ についても同じである。

3. 閉曲線 $\gamma,\gamma'$ が端点を固定してホモトピックなら $\gamma\cdot\bar{\gamma'}$ は $0$ にホモトピックで、$P_{\gamma\cdot\bar{\gamma'}}=P_{\gamma'}^{-1}P_\gamma\in\mathrm{Hol}^0_x$、すなわち $P_\gamma\mathrm{Hol}^0_x=P_{\gamma'}\mathrm{Hol}^0_x$ である。$x$ を基点とする連続な閉曲線は、端点を固定して $C^\infty$ な閉曲線にホモトピックである(Lee13 Theorem 6.26、p. 141、を $[0,1]$ と閉集合 $\{0,1\}$ に当てる)。よって写像は $\pi_1(M,x)$ 全体の上で定まる。$[\gamma][\delta]=[\gamma\cdot\delta]$ は $P_\delta P_\gamma\mathrm{Hol}^0_x$ に写るので反準同型であり、全射であることは定義から明らかである。$\square$

反準同型になるのは、基本群の積を「先に $\gamma$、次に $\delta$」で定めたためである。$[\gamma]\mapsto P_\gamma^{-1}$ を使えば準同型になる(局所系 の定義「平行移動とモノドロミー作用」と同じ流儀)。2 により、$M$ が連結ならホロノミー群の共役類は基点によらないので、単に $\mathrm{Hol}(\nabla)$ と書くことが多い。
ホロノミー群の大きさについては、Lie 群としての次の構造定理が知られている。

Ambrose–Singer の定理

$M$ を連結、$P\to M$ を主 $G$ 束、$\omega$ を接続形式、$\Omega$ をその曲率形式(曲率形式)、$u\in P$ とする。

  1. $\mathrm{Hol}^0_u(\omega)$ は $G$ の連結な Lie 部分群であり、$\mathrm{Hol}_u(\omega)/\mathrm{Hol}^0_u(\omega)$ は高々可算である。
  2. $\mathrm{Hol}_u(\omega)$ の Lie 環は、$u$ から水平な曲線で到達できる点 $u'$ における曲率の値 $\Omega_{u'}(X,Y)$($X,Y\in T_{u'}P$)全体が張る $\mathfrak g$ の線形部分空間に等しい。
出典と構造群の簡約

この記事では証明しない(Mic08 19.7 の Theorem (4)・(5)、pp. 239–242 に証明がある)。同所の (6) は、$u$ から水平な曲線で到達できる点の全体が構造群 $\mathrm{Hol}_u(\omega)$ の主束になり、$\omega$ がそこに制限されること(構造群の簡約)を述べる。rem-hol-associated により、ベクトル束の接続についても $\mathrm{Hol}^0_x(\nabla)$ は $\mathrm{GL}(E_x)$ の連結な Lie 部分群であり、その Lie 環は平行移動で $x$ に運んだ曲率の値で張られる。2 は「曲率がホロノミーを生成する」ことの正確な形である。ただし $\mathrm{Hol}_x(\nabla)$ は閉部分群とは限らない(ex-hol-circle)。

平坦性と制限ホロノミー群

座標近傍の上で、中心からの線分に沿って運んだ切断を使う。$y\in M$ の 座標球 とは、$\varphi(y)=0$ を満たす $C^\infty$ 座標 $\varphi\colon U\to B$($B\subset\mathbb{R}^n$ は原点中心の開球)の定義域 $U$ で、$E|_U$ が局所枠をもつもののことである(局所自明化の定義域の中に小さい球をとれば、どの点にも座標球がある)。$z\in U$ に対し $\rho_z(\tau):=\varphi^{-1}(\tau\varphi(z))$ を $y$ から $z$ への 動径 とよぶ。

動径に沿う平行移動
  1. $U$ を $y$ の座標球、$w\in E_y$ とすると、$s(z):=P_{\rho_z}(w)$ は $U$ 上の $C^\infty$ 切断である。
  2. 開集合 $W$ 上の $C^\infty$ 切断 $s$ が、$W$ 内のすべての曲線 $c$ について $s(c(1))=P_c\bigl(s(c(0))\bigr)$ を満たすなら、$W$ 上で $\nabla s=0$ である。

要点:1 は線形常微分方程式の解のパラメータへの依存性、2 は平行性の定義の読み替えである。

詳しい証明を開く

1. $E|_U$ の枠 $e_1,\dots,e_r$ をとり、接続行列を $A$ とする。$z$ を $q=\varphi(z)\in B$ で表すと、$\rho_z$ に沿う平行な切断の成分は $u'(\tau)=-A_{\varphi^{-1}(\tau q)}\bigl(d\varphi^{-1}(q)\bigr)u(\tau)$、$u(0)=w$ を満たす。右辺は $(\tau,q,u)$ について $C^\infty$ である。$q$ に方程式 $q'=0$ を付け加えた時間依存の系に、時間依存の流れの基本定理(Lee13 Theorem 9.48、p. 237。流れの定義域は開集合で、流れは $C^\infty$ である)を当てると(方程式は $u$ について線形なので、解は $\tau\in[0,1]$ 全体で存在する)、$u(1)$ は $q$ について $C^\infty$ であり、$s(z)=\sum_ju_j(1)e_j(z)$ も $C^\infty$ である。

2. $z\in W$、$v\in T_zM$ とし、$c(0)=z$、$c'(0)=v$ を満たす $W$ 内の $C^\infty$ 曲線 $c$ をとる。$0< t\le1$ に対し $c|_{[0,t]}$ をパラメータ付けし直した曲線に仮定を当てると、$\sigma(t):=s(c(t))$ は $\sigma(0)$ を $c|_{[0,t]}$ に沿って運んだものであり、$\sigma$ は $c$ に沿って平行である。よって $\nabla_vs=D(s\circ c)/d\tau\,(0)=0$ である。$\square$

平坦性と制限ホロノミー群

$M$ を連結とし、$x\in M$ とする。次は同値である。

  1. $\nabla$ は可積分(平坦)である。すなわち曲率 $R=\nabla\circ\nabla$ が $0$ である(接続 の定義「接続の延長・曲率・可積分性・水平切断」)。
  2. $\mathrm{Hol}^0_x(\nabla)$ は自明群である。
  3. 平行移動 $P_\gamma$ は、曲線 $\gamma$ の端点を固定したホモトピー類だけで決まる。
    このとき $[\gamma]\mapsto P_\gamma$ は反準同型 $\pi_1(M,x)\to\mathrm{GL}(E_x)$(モノドロミー表現)を定め、その像が $\mathrm{Hol}_x(\nabla)$ である。

要点:1 ⇒ 3 では、平坦な接続が局所的に平行な枠をもつこと(接続 の定理「可積分接続の局所水平枠」)から、その枠の定義域の中では平行移動が端点だけで決まる。ホモトピーの正方形を細かく分け、小さな正方形ごとに平行移動を入れ替えていく。3 ⇒ 2 は定義から明らかである。2 ⇒ 1 では、座標球の中の閉曲線のホロノミーが自明なので、動径に沿って運んだ枠が平行になり(lem-hol-radial)、その枠での接続行列が $0$ になる。

詳しい証明を開く

1 ⇒ 3。各点は、連結な開近傍 $U$ と $U$ 上の平行な枠 $s_1,\dots,s_r$ をもつ。$U$ 内の曲線 $c$ について $\sum_ka_ks_k\circ c$ は $c$ に沿って平行なので、$P_c\bigl(\sum_ka_ks_k(c(0))\bigr)=\sum_ka_ks_k(c(1))$ であり、$P_c$ は $U$ 内での端点だけで決まる。これを $T^U_{a,b}$($a,b\in U$)と書く。$U$ 内の 2 点は $U$ 内の曲線で結べる。

$\gamma_0,\gamma_1$ を $x$ から $y$ への曲線、$H\colon[0,1]^2\to M$ を端点を固定するホモトピー($H(\cdot,0)=\gamma_0$、$H(\cdot,1)=\gamma_1$、$H(0,\cdot)=x$、$H(1,\cdot)=y$)とする。Lebesgue 数をとって、$0=t_0< \dots< t_N=1$、$0=s_0< \dots< s_N=1$ を、各小正方形 $[t_{i-1},t_i]\times[s_{j-1},s_j]$ の像が上のような $U_{ij}$ に入るように選ぶ。$v_{ij}:=H(t_i,s_j)$ とおく。横の辺 $H([t_{i-1},t_i]\times\{s_j\})$ は連結で $U_{ij}\cap U_{i,j+1}$ に含まれる($j=0,N$ では一方だけ)ので、それを含む交わりの連結成分の中で $v_{i-1,j}$ と $v_{ij}$ を曲線で結べる。この曲線に沿う平行移動 $h_{ij}$ は、$U_{ij}$ で計算しても $U_{i,j+1}$ で計算しても同じである。縦の辺についても同様に $k_{ij}\colon E_{v_{i,j-1}}\to E_{v_{ij}}$ を定める。$t=0,1$ の縦の辺は定値なので $k_{0j}=k_{Nj}=\mathrm{id}$ である。各小正方形は $U_{ij}$ に入るので $h_{ij}k_{i-1,j}=k_{ij}h_{i,j-1}$(どちらも $T^{U_{ij}}_{v_{i-1,j-1},v_{ij}}$)である。$\Phi_j:=h_{Nj}\cdots h_{1j}$ とおくと、この関係を $i=1,\dots,N$ と順に使って $\Phi_jk_{0j}=k_{Nj}\Phi_{j-1}$、すなわち $\Phi_j=\Phi_{j-1}$ を得る。$\gamma_0|_{[t_{i-1},t_i]}$ は $U_{i1}$ に含まれるので $h_{i0}$ はそれに沿う平行移動であり、$\Phi_0=P_{\gamma_0}$、同様に $\Phi_N=P_{\gamma_1}$ である。よって $P_{\gamma_0}=P_{\gamma_1}$ である。

3 ⇒ 2。$0$ にホモトピックな閉曲線の平行移動は定値曲線の平行移動、すなわち恒等写像に等しい。

2 ⇒ 1。$M$ は連結なので任意の $y\in M$ は $x$ と曲線で結べ、prop-hol-basic の 2 により $\mathrm{Hol}^0_y$ も自明である。$U$ を $y$ の座標球とすると、$U$ は可縮なので $U$ 内の閉曲線は $0$ にホモトピックであり、そのホロノミーは恒等写像である。$E_y$ の基底 $w_1,\dots,w_r$ に対し $s_k(z):=P_{\rho_z}(w_k)$ とおくと、lem-hol-radial の 1 により $C^\infty$ である。$U$ 内の曲線 $c$ について $\rho_{c(0)}\cdot c\cdot\overline{\rho_{c(1)}}$ は $U$ 内の閉曲線なので、$P_{\rho_{c(1)}}^{-1}P_cP_{\rho_{c(0)}}=\mathrm{id}$、すなわち $s_k(c(1))=P_c(s_k(c(0)))$ である。lem-hol-radial の 2 により $\nabla s_k=0$ であり、$P_{\rho_z}$ は同型なので $s_1,\dots,s_r$ は $U$ 上の枠である。この枠での接続行列は $A=0$ なので、曲率行列 $F=dA+A\wedge A$ も $0$ であり(接続 の命題「接続行列と曲率行列」)、$U$ 上で $R=0$ である。

最後の主張。3 により $P_\gamma$ は $[\gamma]\in\pi_1(M,x)$ だけで決まり(どの類も区分的に $C^\infty$ な代表をもつ。prop-hol-basic の 3 の証明)、$P_{\gamma\cdot\delta}=P_\delta P_\gamma$ なので反準同型である。像は定義から $\mathrm{Hol}_x(\nabla)$ である。$\square$

thm-hol-ambrose-singer を認めれば 2 ⇔ 1 は「連結な Lie 部分群 $\mathrm{Hol}^0_x$ の Lie 環が曲率の値で張られる」ことからも分かるが、上の証明は Lie 群の理論を使わない。平坦な場合のモノドロミー表現は、水平切断の層(局所系)のモノドロミー作用そのものである(接続 の注意「平行移動・ホロノミー・関連する接続概念」)。

ホロノミー原理

平行な切断とホロノミー不変なベクトル

$M$ を連結、$x\in M$ とし、
$$ E_x^{\mathrm{Hol}}:=\{v\in E_x\mid hv=v\ \ (h\in\mathrm{Hol}_x(\nabla))\} $$
とおく。$M$ 上で $\nabla s=0$ を満たす切断 $s$ に $s(x)$ を対応させる写像は、そのような切断全体のなす $\mathbb{K}$ ベクトル空間から $E_x^{\mathrm{Hol}}$ への線形同型である。

要点:平行な切断の値は平行移動で運ばれるので不変である。逆に不変なベクトルは、どの曲線で運んでも同じ値になるので切断を定め、動径の補題により平行になる。

詳しい証明を開く

$\nabla s=0$ なら、任意の曲線 $c$ について $D(s\circ c)/d\tau=\nabla_{c'}s=0$ なので $s(c(1))=P_c(s(c(0)))$ である。$x$ を基点とする閉曲線に当てると $s(x)\in E_x^{\mathrm{Hol}}$ であり、$x$ から $y$ への曲線に当てると $s(y)$ は $s(x)$ から決まるので、写像は単射である。線形性は明らかである。

全射性。$v\in E_x^{\mathrm{Hol}}$ とし、$y\in M$ に対して $x$ から $y$ への曲線 $c$ をとって $s(y):=P_c(v)$ とおく。別の曲線 $c'$ をとると $c\cdot\bar{c'}$ は閉曲線なので $P_{c'}^{-1}P_cv=v$、すなわち $P_c(v)=P_{c'}(v)$ であり、$s$ は矛盾なく定まる。$y$ の座標球 $U$ をとると、$z\in U$ について $c\cdot\rho_z$ は $x$ から $z$ への曲線なので $s(z)=P_{\rho_z}(s(y))$ であり、lem-hol-radial の 1 により $s$ は $U$ 上 $C^\infty$ である。$U$ 内の曲線 $c_1$ が $z_1$ から $z_2$ へ向かうとき、$x$ から $z_1$ への曲線 $c_0$ をとれば $s(z_2)=P_{c_0\cdot c_1}(v)=P_{c_1}(s(z_1))$ なので、lem-hol-radial の 2 により $U$ 上で $\nabla s=0$ である。$s(x)=v$ は定値曲線をとればよい。$\square$

この定理を、$E$ から作ったテンソル束に誘導される接続(接続 の命題「接続の引き戻し・テンソル積・双対」)に当てると、平行なテンソル場の問題になる。$\gamma$ に沿って平行な $\sigma_1,\sigma_2$ と、$E^*\otimes E^*$ の $\gamma$ に沿って平行な $\beta$ については、Leibniz 則から $\beta(\sigma_1,\sigma_2)$ が定数なので、誘導接続の平行移動は $\beta_0\mapsto\beta_0\circ(P_\gamma^{-1}\times P_\gamma^{-1})$ である。最高次の外積 $\bigwedge^rE^*$ では、$\mu_0\mapsto\mu_0\circ(P_\gamma^{-1})^{\times r}=\det(P_\gamma)^{-1}\mu_0$ である。

平行な計量と向き
  1. $\mathbb{K}=\mathbb{R}$ とする。$E$ のファイバー計量 $h$ で $\nabla h=0$(すなわち $X\,h(s,t)=h(\nabla_Xs,t)+h(s,\nabla_Xt)$)を満たすものがあれば、$\mathrm{Hol}_x(\nabla)\subset\mathrm{O}(E_x,h_x)$ である。逆に $\mathrm{Hol}_x(\nabla)$ が $E_x$ のある内積 $g$ を保てば、$h_x=g$ かつ $\nabla h=0$ を満たすファイバー計量 $h$ がただ 1 つ存在する。
  2. $(M,g)$ を連結な リーマン多様体、$\nabla$ を Levi-Civita接続 とすると、$M$ が 向き付け可能 であることと $\mathrm{Hol}_x(\nabla)\subset\mathrm{SO}(T_xM)$ は同値である。

要点:計量や体積形式は $E^*\otimes E^*$ や $\bigwedge^nT^*M$ の切断であり、平行であることがホロノミー不変性と同値になる(thm-hol-principle)。

詳しい証明を開く

1. $\nabla h=0$ は $E^*\otimes E^*$ の誘導接続について $h$ が平行であることにほかならない。thm-hol-principle により $h_x$ は誘導接続のホロノミーで不変、すなわち閉曲線 $\gamma$ について $h_x(P_\gamma^{-1}v,P_\gamma^{-1}w)=h_x(v,w)$ であり、$P_\gamma\in\mathrm{O}(E_x,h_x)$ である。逆に $g$ が $\mathrm{Hol}_x$ で保たれるなら、$g\in E_x^*\otimes E_x^*$ は誘導接続のホロノミーで不変なので、$h_x=g$ となる平行な切断 $h$ がただ 1 つある。$h_y=g\circ(P_c^{-1}\times P_c^{-1})$($c$ は $x$ から $y$ への曲線)なので、$h_y$ は対称かつ正定値である。

2. Levi-Civita 接続は計量と両立する(Lee18 Theorem 5.10、p. 122)ので、1 により $\mathrm{Hol}_x\subset\mathrm{O}(T_xM)$ である。$\mathrm{Hol}_x\subset\mathrm{SO}(T_xM)$ なら、$0$ でない $\mu_0\in\bigwedge^nT_x^*M$ は $\det(P_\gamma)^{-1}\mu_0=\mu_0$ により不変なので、thm-hol-principle により平行な $n$ 形式 $\mu$ で $\mu_x=\mu_0$ となるものがある。$\mu_y$ は $\mu_0$ を同型で運んだものなので至る所 $0$ でなく、$M$ は向き付け可能である(Lee13 Proposition 15.5、p. 381)。逆に $M$ に向きを入れ、正の向きの局所正規直交枠 $e_1,\dots,e_n$ とその双対枠 $\theta^1,\dots,\theta^n$ をとると、体積形式は $\mathrm{vol}_g=\theta^1\wedge\dots\wedge\theta^n$ である。計量との両立から $0=d\,g(e_i,e_j)=g(\nabla e_i,e_j)+g(e_i,\nabla e_j)$ なので接続行列 $A$ は交代行列であり、双対枠では $\nabla\theta^i=-\sum_jA_{ij}\otimes\theta^j$(接続 の命題「接続の引き戻し・テンソル積・双対」の 3)である。Leibniz 則により $\nabla\mathrm{vol}_g=-\bigl(\sum_iA_{ii}\bigr)\otimes\mathrm{vol}_g=0$ なので、$\mathrm{vol}_g$ は平行であり、$\det(P_\gamma)^{-1}=1$ を得る。$\square$

Lee18 Problem 5-23(p. 150)は、Levi-Civita 接続について、ホロノミー群が直交群に入ること、2 の向き付け可能性の判定、thm-hol-flat の平坦性の判定を演習として挙げている。1 の前半は、$\gamma$ に沿って平行な $\sigma_1,\sigma_2$ について $\frac{d}{d\tau}h(\sigma_1,\sigma_2)=h\bigl(\frac{D\sigma_1}{d\tau},\sigma_2\bigr)+h\bigl(\sigma_1,\frac{D\sigma_2}{d\tau}\bigr)=0$(局所枠で展開して $\nabla h=0$ を使う)からも分かり、この計算は複素ベクトル束と Hermite 計量でもそのまま通用して $\mathrm{Hol}_x(\nabla)\subset\mathrm{U}(E_x,h_x)$ を与える。

例

Euclid 空間と平坦トーラス

$\mathbb{R}^n$ の Euclid 計量の Levi-Civita 接続は、標準枠 $\partial_1,\dots,\partial_n$ で $\nabla=d$(接続行列 $0$)である。よって平行な切断は定数ベクトルで、すべての平行移動は $T_p\mathbb{R}^n=\mathbb{R}^n$ の同一視のもとで恒等写像であり、$\mathrm{Hol}=\{1\}$ である。トーラス $\mathbb{R}^n/\mathbb{Z}^n$ に商の計量を入れても、平行移動の行列は $\mathbb{Z}^n$ の平行移動の微分(恒等行列)で移されるだけなので、やはり $\mathrm{Hol}=\{1\}$ である。この平行な枠が、トーラスの接束が自明であることの理由になっている。

円周上の平坦な接続と閉じていないホロノミー群

$S^1$(角度座標 $\phi$)上の自明な複素直線束に、実数 $a$ について $\nabla:=d+ia\,d\phi$ を入れる。1 次元なので平坦である。$\gamma(\tau)=e^{2\pi i\tau}$ に沿って平行な $\sigma$ は $\sigma'+2\pi ia\sigma=0$ を満たすので、$P_\gamma$ は $e^{-2\pi ia}$ 倍であり、thm-hol-flat により
$$ \mathrm{Hol}(\nabla)=\{e^{-2\pi ian}\mid n\in\mathbb{Z}\}\subset\mathrm{U}(1),\qquad\mathrm{Hol}^0(\nabla)=\{1\} $$
である(曲率形式 の例「円周上の平坦な接続とホロノミー」と同じ計算)。$a$ が有理数なら有限巡回群である。$a$ が無理数なら無限巡回群で、$\mathrm{U}(1)$ の中で稠密である。実際、$0,a,2a,\dots,Na$ の小数部分のうち 2 つは距離 $1/N$ 未満にあるので、ある $0\ne k$ について $ka$ の小数部分は $\pm(0,1/N)$ に入り、その倍数は間隔 $1/N$ 未満で $\mathbb{R}/\mathbb{Z}$ を埋める。したがってホロノミー群は閉部分群とは限らない。

平坦な Möbius の帯

$\mathbb{R}\times(-1,1)$ に Euclid 計量を入れ、$\psi(u,v):=(u+1,-v)$ が生成する $\mathbb{Z}$ の作用で割った Möbius の帯 $M$(Möbiusの帯)を考える。$\psi$ は等長写像なので、$M$ には商の計量が入り、射影 $\pi$ は局所等長写像である。その Levi-Civita 接続は平坦で、$\mathrm{Hol}^0=\{1\}$ である。$x=\pi(0,0)$ を基点とし、$(0,0)$ から $(1,0)$ への線分の像である閉曲線 $\gamma$ をとる。上の空間では平行移動は恒等写像なので、$P_\gamma(d\pi_{(0,0)}w)=d\pi_{(1,0)}w$ である。$\pi\circ\psi=\pi$ から $d\pi_{(1,0)}\circ d\psi=d\pi_{(0,0)}$、$d\psi=\mathrm{diag}(1,-1)$ なので、
$$ P_\gamma=d\pi_{(0,0)}\circ\mathrm{diag}(1,-1)\circ d\pi_{(0,0)}^{-1} $$
である。$M$ は芯の円周 $\pi(\mathbb{R}\times\{0\})$ に変形レトラクトし、$\pi_1(M,x)\cong\mathbb{Z}$ は $\gamma$ で生成されるので、thm-hol-flat により $\mathrm{Hol}_x$ は位数 $2$ の群 $\{1,\mathrm{diag}(1,-1)\}$ であり、$\mathrm{SO}(2)$ に入らない。これは $M$ が向き付け不可能であることと cor-hol-metric の 2 が整合する例である。

球面のホロノミー群

単位球面 $S^2$ の標準計量の Levi-Civita 接続について、任意の点 $x$ で $\mathrm{Hol}_x=\mathrm{Hol}^0_x=\mathrm{SO}(T_xS^2)$ である。緯度 $\theta_0$($0< \theta_0< \pi$)の緯線を 1 周する閉曲線のホロノミーは、角度 $-2\pi\cos\theta_0$ の回転であり、これは緯線が囲む極側の部分の面積 $2\pi(1-\cos\theta_0)$ だけの回転と同じである。

要点:極座標で緯線に沿う平行移動の方程式を解くと、正規直交枠に関して一定の速さ $\cos\theta_0$ の回転になる。$\theta_0$ を動かすとあらゆる角度の回転が現れる。

詳しい証明を開く

極座標 $(\theta,\phi)$ で計量は $d\theta^2+\sin^2\theta\,d\phi^2$ であり、Christoffel 記号 $\Gamma^k_{ij}=\frac12g^{kl}(\partial_ig_{jl}+\partial_jg_{il}-\partial_lg_{ij})$ のうち $0$ でないものは $\Gamma^\theta_{\phi\phi}=-\sin\theta\cos\theta$、$\Gamma^\phi_{\theta\phi}=\Gamma^\phi_{\phi\theta}=\cot\theta$ である。緯線 $c(\phi)=(\theta_0,\phi)$($0\le\phi\le2\pi$)に沿うベクトル $V=a\,\partial_\theta+b\,\partial_\phi$ が平行である条件は $a'-\sin\theta_0\cos\theta_0\,b=0$、$b'+\cot\theta_0\,a=0$ である。正規直交枠 $e_1=\partial_\theta$、$e_2=\partial_\phi/\sin\theta_0$ の成分 $(a,\beta)$、$\beta=b\sin\theta_0$ では $a'=\cos\theta_0\,\beta$、$\beta'=-\cos\theta_0\,a$ となり、解は $(a,\beta)$ を角度 $-\phi\cos\theta_0$ だけ回転したものである。枠 $e_1,e_2$ は緯線に沿って 1 周で元に戻るので、緯線のホロノミーは角度 $-2\pi\cos\theta_0$ の回転である。緯線は極側の円板状の部分の中で $0$ にホモトピックなので、この回転は緯線上の基点での $\mathrm{Hol}^0$ に属する。

$S^2$ は向き付け可能なので cor-hol-metric の 2 により各 $\mathrm{Hol}_y\subset\mathrm{SO}(T_yS^2)$ である。$x$ を固定し、緯線上の点 $y$ と $x$ を結ぶ曲線 $c$ をとると、prop-hol-basic の 2 により $\mathrm{Hol}^0_x=P_c^{-1}\mathrm{Hol}^0_yP_c$ であり、$P_c$ は向き付けられた 2 次元内積空間の間の等長写像なので、角度 $\alpha$ の回転を角度 $\pm\alpha$ の回転に写す。$\theta_0$ が $(0,\pi)$ を動くと $2\pi\cos\theta_0$ は $(-2\pi,2\pi)$ を動くので、$\mathrm{Hol}^0_x$ はすべての回転を含む。よって $\mathrm{SO}(T_xS^2)\subset\mathrm{Hol}^0_x\subset\mathrm{Hol}_x\subset\mathrm{SO}(T_xS^2)$ である。$\square$

反例

外す条件反例成り立たなくなること
平坦性(thm-hol-flat)球面 $S^2$ の Levi-Civita 接続(ex-hol-sphere)$0$ にホモトピックな緯線のホロノミーが恒等写像でなく、平行移動がホモトピー類だけでは決まらない
底空間の単連結性(prop-hol-basic の 3)平坦な Möbius の帯(ex-hol-mobius)$\mathrm{Hol}^0$ は自明なのに $\mathrm{Hol}$ は位数 $2$ で、両者が一致しない
計量との両立(cor-hol-metric の 1)$S^1$ 上の自明な実直線束の接続 $d+a\,d\phi$($a\ne0$)ホロノミー $e^{-2\pi a}$ 倍が $\mathrm{O}(1)=\{\pm1\}$ に入らない
向き付け可能性(cor-hol-metric の 2)平坦な Möbius の帯(ex-hol-mobius)$\mathrm{Hol}$ が $\mathrm{SO}(2)$ に入らない

3 行目の接続では、平行な $\sigma$ は $\sigma'+2\pi a\sigma=0$ を満たすので 1 周の平行移動は $e^{-2\pi a}$ 倍である。この接続を保つファイバー計量はない(あれば cor-hol-metric の 1 により $e^{-2\pi a}=\pm1$ となる)。ホロノミー群が閉部分群でないこと(ex-hol-circle、$a$ が無理数)は、$\mathrm{Hol}$ が(thm-hol-ambrose-singer の 1 により $\mathrm{Hol}^0$ を単位元の連結成分とする Lie 部分群であっても)閉部分群とは限らないことを示している。この例では $\mathrm{Hol}^0$ は自明である。

関連項目

参考文献

[2]
John M. Lee, Introduction to Riemannian Manifolds, Graduate Texts in Mathematics 176, Springer, 2018, Theorem 4.32(平行移動の存在と一意性、p. 107)、Theorem 5.10(Levi-Civita 接続の存在と一意性、p. 122)、Problem 5-23(ホロノミー群、p. 150)
[3]
John M. Lee, Introduction to Smooth Manifolds, Graduate Texts in Mathematics 218, Springer, 2013, Theorem 6.26(Whitney の近似定理、p. 141)、Proposition 15.5(至る所 0 でない n 形式と向き、p. 381)、Theorem 9.48(時間依存の流れの基本定理、p. 237)

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