除法の原理(division algorithm)とは、整数 $a$ と $0$ でない整数 $b$ に対し、$a=qb+r$ かつ $0\le r<|b|$ を満たす整数の組 $(q,r)$ がただ 1 組存在するという定理であり、$q$ を商、$r$ を余りという。一意性は余りのとりうる値が $b$ を法とする各剰余類から高々 1 つであることによるので、上端を含めて $0\le r\le|b|$ としたり $|r|<|b|$ だけを課したりすると一意性が壊れる。剰余類の代表系、$\mathbb{Z}$ の部分群とイデアルの決定、位取り記数法、Euclid の互除法の基礎になる。多項式では、割る多項式の最高次係数が単元なら次数を大きさとする同じ形の除法が成り立ち、これらを抽象化した概念が Euclid 整域である。
整数 $a$ を $0$ でない整数 $b$ で割るとき、小学校の割り算と同じく「商」と「余り」が定まる。負の数まで含めて商と余りをただ 1 通りに決めるには、余りのとる範囲を指定しなければならない。除法の原理は、余りを $0$ 以上 $|b|$ 未満に限れば商と余りが存在してただ 1 組に定まることを主張する(DF04 §0.2。$b>0$ の場合は IR90 Chapter 1 にもある)。
以下、$\mathbb{N}=\{0,1,2,\dots\}$ は通常の順序で整列順序である、すなわち $\mathbb{N}$ の空でない部分集合は最小元をもつことを用いる。
$a,b$ を整数とし、$b\neq0$ とする。このとき
$$
a=qb+r,\qquad 0\le r<|b|
$$
を満たす整数 $q,r$ がただ 1 組存在する。
存在:集合 $S:=\{a-kb\mid k\in\mathbb{Z}\}\cap\mathbb{N}$ を考える。$k:=-|a|\,b$ とおくと、$b^2\ge1$ より $a-kb=a+|a|\,b^2\ge a+|a|\ge0$ なので $S$ は空でない。$\mathbb{N}$ は整列順序なので $S$ は最小元 $r$ をもち、ある $q\in\mathbb{Z}$ について $r=a-qb$、すなわち $a=qb+r$、$r\ge0$ である。$r\ge|b|$ と仮定する。$\varepsilon:=b/|b|\in\{1,-1\}$ とおくと $\varepsilon b=|b|$ なので
$$
r-|b|=a-(q+\varepsilon)b\ge0
$$
であり、$r-|b|\in S$ となる。$|b|>0$ より $r-|b|< r$ であり、$r$ の最小性に反する。よって $0\le r<|b|$ である。
一意性:$a=qb+r=q'b+r'$、$0\le r,r'<|b|$ とする。差をとって $(q-q')b=r'-r$ を得る。右辺は $-|b|< r'-r<|b|$ を満たす。$q\neq q'$ なら $|q-q'|\ge1$ で左辺の絶対値は $|b|$ 以上になり矛盾する。よって $q=q'$ であり、したがって $r=r'$ である。$\square$
thm-division-algorithm の $q$ を $a$ を $b$ で割った 商(quotient)、$r$ を 余り(remainder、剰余)という。$r=0$ であることは $b$ が $a$ を割り切る($b\mid a$、$b$ は $a$ の約数)ことと同値である。
$b=0$ は除外しなければならない。$a=q\cdot0+r$ なら $r=a$ であり、条件 $0\le r<|0|=0$ を満たす $r$ は存在しない。除法の原理は「$0$ で割ること」を扱わない。
$b>0$ のときは $|b|=b$ で、条件は $0\le r< b$ である。$b<0$ の場合は、$a=q|b|+r$ と書いてから $q$ の符号を変えれば $a=(-q)b+r$ となるので、$b>0$ の場合に帰着する。
$b>0$ とすると、$b$ の倍数 $\dots,-2b,-b,0,b,2b,\dots$ は数直線を長さ $b$ の半開区間 $[qb,(q+1)b)$ に切り分け、これらの区間は重ならずに数直線を覆う。整数 $a$ はそのどれか 1 つだけに入る。その区間の番号が商 $q$、区間の左端からの位置が余り $r$ である。区間を閉区間 $[qb,(q+1)b]$ にすると隣どうしが端点を共有して一意性が壊れ、長さを $b$ より短くすると数直線を覆えず存在が壊れる。
余りは $a$ の「$b$ を法とした位置」を表す。$a$ と $a'$ の余りが等しいことは $b\mid a-a'$ と同値であり、余りは合同式や剰余類の標準的な代表を与える。この「大きさの真に小さい余りが残る」という性質を公理にしたのがEuclid整域である。
$b$ と $a$ の符号の 4 通りを計算する。
$$
\begin{align*}
37&=7\cdot5+2, & -17&=(-4)\cdot5+3,\\
17&=(-3)\cdot(-5)+2, & -17&=4\cdot(-5)+3.
\end{align*}
$$
いずれも $0\le r<|b|=5$ を満たす。$-17$ を $5$ で割るとき、$-17/5=-3.4$ を $0$ の方向へ丸めた $-3$ を商にすると $-17=(-3)\cdot5+(-2)$ となり、余り $-2$ は条件 $0\le r$ を満たさない。除法の原理の商は $0$ の方向ではなく、$b>0$ なら小さい方向へ丸めた値である(prop-division-algorithm-floor)。
$b=2$ とすると、任意の整数 $a$ はただ 1 通りに $a=2q$ または $a=2q+1$ と書ける。すなわちすべての整数は偶数か奇数のどちらか一方だけである。同様に $b=3$ から、任意の整数は $3q$、$3q+1$、$3q+2$ のどれか 1 つの形に書ける。
条件 $0\le r<|b|$ を $0\le r\le|b|$ に弱めると一意性が壊れる。実際
$$
10=2\cdot5+0=1\cdot5+5
$$
はどちらも $0\le r\le5$ を満たす。この例は「$a=qb+r$ かつ $0\le r\le|b|$ なら $(q,r)$ は一意」という含意を破る。壊れる原因は、範囲 $\{0,1,\dots,|b|\}$ が $0$ と $|b|$ という $b$ を法として合同な 2 つの値を含むことにある。一般に、余りのとりうる値の集合を $T\subset\mathbb{Z}$ とするとき、$(q,r)$ が高々 1 組であることは $T$ が $b$ を法とする各剰余類から高々 1 つの値しか含まないことと同値であり、存在も込めれば各剰余類からちょうど 1 つずつ含むことと同値である($a=qb+r=q'b+r'$ なら $r\equiv r'$ であり、逆に $r\neq r'$ が合同なら $r'=r+kb$ として $r=0\cdot b+r=(-k)b+r'$ となる)。したがって範囲は半開区間である必要はなく、閉区間 $[0,|b|-1]$ でも、$b=3$ のときの $\{0,2,4\}$ のような区間でない集合でもよい。
条件を $|r|<|b|$ に替えても存在は保たれるが、一意性は壊れる。
$$
4=1\cdot3+1=2\cdot3+(-2)
$$
で、$|1|<3$、$|-2|<3$ である。この例は「$a=qb+r$ かつ $|r|<|b|$ なら $(q,r)$ は一意」という含意を破る。Euclid整域 の定義の除法の条件はこの形であり、そこでは商と余りの一意性を要求しない(同記事の例「有理整数環」)。
$q:=\lfloor a/b\rfloor$ とおくと、床関数の定義から $q\le a/b< q+1$ である。$b>0$ を掛けて $qb\le a< qb+b$、すなわち $r:=a-qb$ は $0\le r< b$ を満たす。thm-division-algorithm の一意性により、この $q,r$ が商と余りである。$\square$
$b<0$ のときは、$b>0$ の場合への帰着(thm-division-algorithm の後の段落)により商は $-\lfloor a/|b|\rfloor$ である。
余りの範囲は $0\le r<|b|$ でなくても、長さ $|b|$ の半開区間であれば同じ議論で一意性が得られる。よく使われるのは $0$ を中心にした区間である。
$a,b$ を整数とし、$b>0$ とする。このとき
$$
a=qb+r,\qquad -\frac b2< r\le\frac b2
$$
を満たす整数 $q,r$ がただ 1 組存在する。
存在:thm-division-algorithm により $a=q_0b+r_0$、$0\le r_0< b$ と書く。$r_0\le b/2$ なら $(q,r):=(q_0,r_0)$ でよい。$r_0>b/2$ なら $(q,r):=(q_0+1,r_0-b)$ とおくと $a=qb+r$ であり、$b/2< r_0< b$ から $-b/2< r<0$ である。
一意性:$a=qb+r=q'b+r'$ で $r,r'$ がともに $(-b/2,b/2]$ に属するとする。$(q-q')b=r'-r$ であり、$-b< r'-r< b$ である($r'-r\le b/2-r< b$、同様に $r'-r>-b$)。$q\neq q'$ なら左辺の絶対値は $b$ 以上なので矛盾し、$q=q'$、$r=r'$ である。$\square$
たとえば $17=3\cdot5+2$、$19=4\cdot5+(-1)$ である。絶対値最小の余りを使うと、Euclidの互除法の各段で余りの絶対値が除数の半分以下になるので、段数が少なくなることがある。
$n\ge1$ について、thm-division-algorithm により任意の整数 $a$ は $\{0,1,\dots,n-1\}$ のちょうど 1 つの元 $r$ と $n$ を法として合同($n\mid a-r$)である。存在は余り $r$ をとればよく、一意性は $0\le r< s\le n-1$ なら $0< s-r< n$ で $n\nmid s-r$ となることによる。これは $\{0,1,\dots,n-1\}$ が剰余類の集合 $\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$ の完全代表系であることを意味し、剰余類 の記事の命題「法 n の剰余類の個数」と 剰余環 の $\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$ の記述はこれに基づく。
もう 1 つの基本的な帰結は、加法群 $\mathbb{Z}$ の部分群(したがって環 $\mathbb{Z}$ のイデアル)がすべて $n\mathbb{Z}$($n\ge0$)の形であることである。$\{0\}$ でない部分群 $H$ は正の元を含み($h\in H$ なら $-h\in H$)、その最小元を $n$ とすると、$h\in H$ を $h=qn+r$($0\le r< n$)と割れば $r=h-qn\in H$ で、$n$ の最小性から $r=0$ である。よって $H=n\mathbb{Z}$ であり、$\mathbb{Z}$ は単項イデアル整域である。この議論は 巡回群 の記事の命題「巡回群の部分群は巡回群」の証明と同じものである。
$b\ge2$ を整数とする。任意の整数 $n\ge1$ は
$$
n=d_kb^k+d_{k-1}b^{k-1}+\cdots+d_1b+d_0,\qquad 0\le d_i< b,\quad d_k\neq0
$$
の形にただ 1 通りに書ける($k\ge0$ と $d_0,\dots,d_k$ がともに一意に定まる)。
$n$ に関する強い数学的帰納法で示す。$n\ge1$ とし、$n$ より小さい正の整数については主張が成り立つとする。thm-division-algorithm により $n=qb+d_0$、$0\le d_0< b$ と書く。$b\ge2$ と $n\ge1$ から $0\le q\le n/b< n$ である。
存在:$q=0$ なら $n=d_0$ で、$n\ge1$ より $d_0\neq0$ なので $k=0$ の表示である。$q\ge1$ なら帰納法の仮定により $q=d_kb^{k-1}+\cdots+d_1$($0\le d_i< b$、$d_k\neq0$、$k\ge1$)と書け、$n=qb+d_0$ に代入すれば $n$ の表示を得る。
一意性:$n=\sum_{i=0}^kd_ib^i$ を条件を満たす表示とする。$n=\bigl(\sum_{i=1}^kd_ib^{i-1}\bigr)b+d_0$、$0\le d_0< b$ なので、thm-division-algorithm の一意性により $d_0$ は $n$ を $b$ で割った余り、$q':=\sum_{i=1}^kd_ib^{i-1}$ は商 $q$ に等しい。$k=0$ なら $q=0$ である。$k\ge1$ なら $q=q'\ge d_kb^{k-1}\ge1$ であり、$q'$ は $q$ の条件を満たす表示なので、帰納法の仮定により $k-1$ と $d_1,\dots,d_k$ は $q$ だけで決まる。$q=0$ と $q\ge1$ のどちらになるかも $n$ だけで決まるので、表示は一意である。$\square$
証明は、$n$ を $b$ で割って余りを最下位の桁とし、商をさらに $b$ で割ることを商が $0$ になるまで繰り返す計算法そのものである。たとえば $b=2$ で $n=13$ なら $13=6\cdot2+1$、$6=3\cdot2+0$、$3=1\cdot2+1$、$1=0\cdot2+1$ なので、$13=1\cdot2^3+1\cdot2^2+0\cdot2+1$(2 進表示 $1101$)である(位取り記数法)。
$a,b$ の最大公約数 $\gcd(a,b)$ は、除法の原理を繰り返すことで計算できる。その根拠は次の命題である。
$a,b$ を整数、$b\neq0$ とし、$a=qb+r$ を除法の原理による表示とする。このとき $a$ と $b$ の公約数全体と、$b$ と $r$ の公約数全体は一致する。とくに $\gcd(a,b)=\gcd(b,r)$ である。
$d$ が $a$ と $b$ を割り切れば、$r=a-qb$ も割り切る。逆に $d$ が $b$ と $r$ を割り切れば、$a=qb+r$ も割り切る。公約数の集合が一致するので、その最大元も一致する($b\neq0$ なので公約数は有限個で最大元がある)。$\square$
$a$ と $b>0$ から始めて $r_0:=a$、$r_1:=b$ とし、$r_{i+1}$ を $r_{i-1}$ を $r_i$ で割った余りとする。$r_1>r_2>r_3>\cdots\ge0$ は $\mathbb{N}$ の真に減少する列なので有限回で $0$ になり、$r_{s+1}=0$ となったときの $r_s$ が $\gcd(a,b)$ である(prop-division-algorithm-gcd を各段に使うと $\gcd(a,b)=\gcd(r_s,0)=r_s$)。たとえば
$$
252=1\cdot198+54,\quad 198=3\cdot54+36,\quad 54=1\cdot36+18,\quad 36=2\cdot18+0
$$
より $\gcd(252,198)=18$ である。これが Euclidの互除法 であり、各段で $r_i=ax_i+by_i$ となる係数を $x_{i+1}=x_{i-1}-q_ix_i$、$y_{i+1}=y_{i-1}-q_iy_i$($q_i$ は $r_{i-1}$ を $r_i$ で割った商)と更新していくと(または各段を逆にたどると)、$\gcd(a,b)=ax+by$ となる整数 $x,y$ が求まる(Bézoutの等式 の記事の命題「互除法による係数の計算」)。
除法の原理は、可換環 上の多項式環でも、割る多項式の最高次係数が単元であれば成り立つ。余りの「大きさ」は次数で測る。
$A$ を可換環とし、$G(X)\in A[X]$ の最高次係数が $A$ の単元であるとする。このとき任意の $F(X)\in A[X]$ に対し
$$
F(X)=Q(X)G(X)+R(X),\qquad \deg R<\deg G
$$
となる $Q(X),R(X)\in A[X]$ がただ 1 組存在する($\deg0=-\infty$ とする)。とくに体 $K$ 上では、$0$ でない任意の $G(X)\in K[X]$ で割ることができる。
たとえば $\mathbb{Q}[X]$ で $F=X^3+2X+1$ を $G=X-1$ で割ると
$$
X^3+2X+1=(X^2+X+3)(X-1)+4
$$
である。余り $4$ は $F(1)=4$ に等しい。一般に $X-\alpha$ で割った余りは $F(\alpha)$ である(多項式環 の記事の系「剰余定理と因数定理」)。$G$ がモニック(最高次係数 $1$)なら係数環は体でなくてよく、$\mathbb{Z}[X]$ でも $X^2+1=(X-1)(X+1)+2$ のように割り算が $\mathbb{Z}[X]$ の中で完結する。
整数の場合と同じく、体 $K$ 上の $K[X]$ でも除法の原理から、イデアルがすべて単項であること、Euclid の互除法で最大公約元が計算できることが従い、$K[X]$ は Euclid整域 になる(多項式環 の記事の定理「体上の多項式環は単項イデアル整域」と命題「Euclid の互除法」)。
$\mathbb{Z}[X]$ で $F=X$ を $G=2X$ で割ることはできない。$X=Q\cdot2X+R$、$\deg R<1$ となる $Q,R\in\mathbb{Z}[X]$ があったとする。$R$ は定数 $c\in\mathbb{Z}$ であり、両辺の定数項を比べると $Q\cdot2X$ の定数項は $0$ なので $c=0$ である。すると $X=2XQ$ であり、$X$ の係数を比べると $1=2Q(0)$ となるが、これを満たす整数 $Q(0)$ はない。
$\mathbb{Z}[X]$ は整域であり、$G=2X$ の最高次係数 $2$ は $0$ でないが単元でない。この例は「整域 $A$ 上で $G\neq0$ なら $F=QG+R$、$\deg R<\deg G$ と割れる」という含意を破り、thm-division-algorithm-polynomial の単元の仮定が存在に必要であることを示す。$\mathbb{Q}[X]$ では $X=\tfrac12\cdot2X+0$ と割れるので、失敗の原因は係数 $2$ の逆元が $\mathbb{Z}$ にないことにある。
一方、$\mathbb{Z}[X]$ では、割れる場合の商と余りは一意である。$QG+R=Q'G+R'$、$\deg R,\deg R'<\deg G$、$Q\neq Q'$ とすると、整域上では $\deg\bigl((Q-Q')G\bigr)=\deg(Q-Q')+\deg G\ge\deg G$ となり(多項式環 の記事の命題「次数の公式と整域性」)、次数が $\deg G$ 未満の $R'-R$ に等しいことに反する。整域の上で壊れるのは存在のほうである。
$A=\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$、$G=2X+1\in A[X]$ とする。$A$ で $4=0$ なので $2G=4X+2=2$ であり、
$$
0=0\cdot G+0=2\cdot G+2
$$
はどちらも $\deg R<\deg G=1$ を満たす。よって $F=0$ を $G$ で割った商と余りは一意でない。$G$ の最高次係数 $2$ は $A$ の零因子($2\cdot2=0$)である。この例は「$\deg R<\deg G$ を満たす商と余りは一意」という含意を破り、thm-division-algorithm-polynomial の単元の仮定が一意性にも必要であることを示す。なお $(2X+1)^2=4X^2+4X+1=1$ なので $G$ は $A[X]$ の単元であり、任意の $F$ について $F=(FG)\cdot G+0$ とも書ける。
整数の絶対値や多項式の次数のように、元の大きさを測る関数 $\phi$ があって「$b\neq0$ なら $a=qb+r$、$\phi(r)<\phi(b)$ と書ける」整域を Euclid整域 という。Gauss整数環 $\mathbb{Z}[i]$ はノルム $N(x+yi)=x^2+y^2$ についての Euclid 整域である(Euclid整域 の記事の例「Gauss整数環の除法」)。Euclid 整域の定義は商と余りの一意性を要求せず、$\mathbb{Z}$ と絶対値の組でさえ ex-division-algorithm-absolute-bound のように一意でない。一方、変数が 2 つ以上の多項式環 $K[X,Y]$ や $\mathbb{Z}[X]$ は単項イデアル整域でないので、どのような大きさの関数についても除法の原理を満たさない(Euclid整域 の記事の注意「反例:Euclid整域でない整域」)。
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