積分作用素(integral operator)とは、測度空間上の 2 変数の関数 $k(x,y)$ を核として、関数 $u$ に $(T_ku)(x)=\int k(x,y)u(y)\,d\nu(y)$ を対応させる線形作用素であり、行列とベクトルの積の連続版にあたる。核の行と列の積分が有界ならすべての $L^p$ で有界になり(重みを入れた形が Schur の判定法)、合成は核の積分で表され、$\lambda$ が小さいとき第 2 種積分方程式 $u-\lambda T_ku=f$ の解は反復核の級数(解核)で書ける。$L^2$ が可分なとき 2 乗可積分な核なら Hilbert–Schmidt 作用素としてコンパクトになる一方、$0$ でない $g\in L^1(\mathbb R^n)$ との畳み込み作用素は $1<p<\infty$ の $L^p$ でコンパクトにならない。
前提知識: Lp空間, Fubiniの定理, Hölderの不等式, Banach空間
積分作用素(integral operator)とは、2 変数の関数 $k(x,y)$ を「連続な添字をもつ行列」とみなして、関数 $u$ に
$$
(T_ku)(x)=\int_Yk(x,y)\,u(y)\,d\nu(y)
$$
を対応させる線形作用素である。$k$ を核(kernel)という。有限集合の上の数え上げ測度では、これは行列とベクトルの積そのものである。畳み込み、Volterra 作用素、Laplace 変換、常微分方程式の解の Green 関数による表示など、解析に現れる多くの作用素がこの形をしている。微分方程式を積分方程式 $u-\lambda T_ku=f$ に書き換えると、Neumann 級数やコンパクト作用素の理論といった関数解析の道具が使えるようになる。
この記事では、核の積分の大きさから $L^p$ 有界性を導く Schur の判定法、積分作用素の合成が核の「行列の積」になること、第 2 種積分方程式の解を反復核の級数(解核)で表す定理を証明する。最後に、どのような核でコンパクトになるかを整理し、$1< p<\infty$ のとき $L^1(\mathbb R^n)$ の関数との畳み込み作用素は $L^p(\mathbb R^n)$ の上で $0$ でない限りコンパクトにならないことを示す。
以下 $\mathbb K=\mathbb R$ または $\mathbb C$ とし、$(X,\mu)$、$(Y,\nu)$、$(Z,\rho)$ は σ-有限な測度空間とする。$L^p$ は $\mathbb K$ 値の関数の空間で、$1\le p\le\infty$ について $p'$ は双対指数($\frac1p+\frac1{p'}=1$)を表す。
$k\colon X\times Y\to\mathbb K$ を積 σ-代数について可測な関数とする。$Y$ 上の可測関数 $u$ について、$\int_Y|k(x,y)u(y)|\,d\nu(y)<\infty$ となる $x$ で
$$
(T_ku)(x):=\int_Yk(x,y)\,u(y)\,d\nu(y)
$$
と定める。$1\le p,q\le\infty$ とし、すべての $u\in L^p(Y)$ についてこの積分がほとんどすべての $x$ で絶対収束して $T_ku\in L^q(X)$ となり、$T_k\colon L^p(Y)\to L^q(X)$ が有界であるとき、$T_k$ を核 $k$ の積分作用素という。
$u$ を零集合の上で変えても積分は変わらない。$k$ を $\mu\times\nu$ の零集合の上で変えても、Fubiniの定理 の系「零集合の切り口による判定」により、ほとんどすべての $x$ で $k(x,\cdot)$ は $\nu$ の零集合の上でしか変わらないので、$T_k$ は変わらない。$T_ku$ の可測性は、$k(x,y)u(y)$ の実部・虚部の正の部分と負の部分に Fubiniの定理 の定理「Tonelliの定理」を当てればわかる。
核の大きさを測る量として、
$$
A(k):=\operatorname*{ess\,sup}_{x\in X}\int_Y|k(x,y)|\,d\nu(y),\qquad B(k):=\operatorname*{ess\,sup}_{y\in Y}\int_X|k(x,y)|\,d\mu(x)
$$
を使う(Tonelli の定理により被積分関数は可測で、値は $[0,\infty]$ にある)。行列なら、$A(k)$ は行の絶対値の和の最大、$B(k)$ は列の絶対値の和の最大である。
核の積分 $A(k)$、$B(k)$ が有限なら、$T_k$ はすべての $L^p$ の上で有界になる。重みを入れた次の形にしておくと、$A(k)=\infty$ の核も扱える。
$1< p<\infty$ とする。可測関数 $h_1\colon Y\to(0,\infty)$、$h_2\colon X\to(0,\infty)$ と定数 $C_1,C_2>0$ があって、
$$
\int_Y|k(x,y)|\,h_1(y)^{p'}\,d\nu(y)\le C_1\,h_2(x)^{p'}\quad(\text{a.e. }x),\qquad \int_X|k(x,y)|\,h_2(x)^{p}\,d\mu(x)\le C_2\,h_1(y)^{p}\quad(\text{a.e. }y)
$$
が成り立つとする。このとき、すべての $u\in L^p(Y)$ について $(T_ku)(x)$ はほとんどすべての $x$ で絶対収束し、
$$
\|T_ku\|_{L^p(X)}\le C_1^{1/p'}\,C_2^{1/p}\,\|u\|_{L^p(Y)}
$$
が成り立つ。とくに $T_k\colon L^p(Y)\to L^p(X)$ は積分作用素で、$\|T_k\|\le C_1^{1/p'}C_2^{1/p}$ である。
$u\in L^p(Y)$ とし、$F(x):=\int_Y|k(x,y)||u(y)|\,d\nu(y)\in[0,\infty]$ とおく。$|k||u|=\bigl(|k|^{1/p'}h_1\bigr)\cdot\bigl(|k|^{1/p}|u|h_1^{-1}\bigr)$ と分けて Hölderの不等式(指数 $p'$ と $p$)を当てると、第 1 の仮定から、ほとんどすべての $x$ で
$$
F(x)\le\Bigl(\int_Y|k|h_1^{p'}\,d\nu\Bigr)^{1/p'}\Bigl(\int_Y|k(x,y)||u(y)|^ph_1(y)^{-p}\,d\nu(y)\Bigr)^{1/p}\le C_1^{1/p'}h_2(x)\Bigl(\int_Y|k(x,y)||u(y)|^ph_1(y)^{-p}\,d\nu(y)\Bigr)^{1/p}
$$
である。両辺を $p$ 乗して $x$ で積分し、Tonelli の定理で積分の順序を入れ替えて第 2 の仮定を使うと
$$
\int_XF^p\,d\mu\le C_1^{p/p'}\int_Y|u(y)|^ph_1(y)^{-p}\Bigl(\int_X|k(x,y)|h_2(x)^p\,d\mu(x)\Bigr)d\nu(y)\le C_1^{p/p'}C_2\,\|u\|_p^p
$$
となる。右辺は有限なので、ほとんどすべての $x$ で $F(x)<\infty$、すなわち $(T_ku)(x)$ は絶対収束する。$|T_ku|\le F$ から $\|T_ku\|_p\le C_1^{1/p'}C_2^{1/p}\|u\|_p$ を得る。線形性は積分の線形性から従う。$\square$
$A:=A(k)$ と $B:=B(k)$ が有限なら、すべての $1\le p\le\infty$ について $T_k\colon L^p(Y)\to L^p(X)$ は積分作用素で、$\|T_k\|\le A^{1-1/p}B^{1/p}$ である($p=1$ では $B$、$p=\infty$ では $A$)。
$1< p<\infty$ は thm-io-schur で $h_1=h_2=1$、$C_1=A$、$C_2=B$ とした場合である($A=0$ または $B=0$ なら $k=0$ a.e. で明らか)。$p=1$:Tonelli の定理により $\int_X\int_Y|k(x,y)||u(y)|\,d\nu\,d\mu=\int_Y|u(y)|\int_X|k(x,y)|\,d\mu\,d\nu\le B\|u\|_1$ なので、ほとんどすべての $x$ で絶対収束し、$\|T_ku\|_1\le B\|u\|_1$ である。$p=\infty$:ほとんどすべての $x$ で $\int_Y|k(x,y)||u(y)|\,d\nu\le A\|u\|_\infty$ である。$\square$
$g\in L^1(\mathbb R^n)$、$1\le p\le\infty$、$u\in L^p(\mathbb R^n)$ なら、$(g*u)(x)=\int g(x-y)u(y)\,dy$ はほとんどすべての $x$ で絶対収束し、$\|g*u\|_p\le\|g\|_1\|u\|_p$ である。
$g$ を Borel 可測な代表に取り替えると、$k(x,y):=g(x-y)$ は $\mathbb R^{2n}$ 上の Borel 可測関数である。Lebesgue 測度の平行移動と反転についての不変性から、すべての $x$ で $\int|g(x-y)|\,dy=\|g\|_1$、すべての $y$ で $\int|g(x-y)|\,dx=\|g\|_1$ である。よって $A(k)=B(k)=\|g\|_1$ で、cor-io-schur-plain から従う。$\square$
重みが効く例を 2 つ挙げる。どちらも $A(k)$ か $B(k)$ が無限大なので、cor-io-schur-plain は使えない。
$X=Y=(0,\infty)$(Lebesgue 測度)、$1< p<\infty$ とし、$k(x,y)=x^{-1}$($0< y< x$)、$0$($y\ge x$)とおく。$(Hu)(x)=\frac1x\int_0^xu(y)\,dy$ は $u$ の $[0,x]$ での平均である。このとき $\|Hu\|_p\le p'\|u\|_p$ が成り立つ。ここで $A(k)=1$ だが、$\int_y^\infty x^{-1}\,dx=\infty$ なので $B(k)=\infty$ である。
$a:=1/(pp')$ とし、$h_1(y)=y^{-a}$、$h_2(x)=x^{-a}$ とおく。$ap'=1/p< 1$ なので $\int_0^xx^{-1}y^{-ap'}\,dy=x^{-ap'}/(1-ap')=p'\,h_2(x)^{p'}$、また $ap=1/p'>0$ なので $\int_y^\infty x^{-1}x^{-ap}\,dx=y^{-ap}/(ap)=p'\,h_1(y)^p$ である。thm-io-schur を $C_1=C_2=p'$ で当てると $\|H\|\le p'^{1/p'}p'^{1/p}=p'$ を得る。$\square$
$X=Y=(0,\infty)$、$k(x,y)=e^{-xy}$ とすると、$(\mathcal Lu)(x)=\int_0^\infty e^{-xy}u(y)\,dy$ は $L^2(0,\infty)$ 上の有界作用素で、$\|\mathcal L\|\le\sqrt\pi$ である。ここで $\int_0^\infty e^{-xy}\,dy=1/x$ なので $A(k)=B(k)=\infty$ である。
$p=p'=2$、$h_1(y)=y^{-1/4}$、$h_2(x)=x^{-1/4}$ とする。$s=xy$ と置換すると $\int_0^\infty e^{-xy}y^{-1/2}\,dy=x^{-1/2}\int_0^\infty e^{-s}s^{-1/2}\,ds=\sqrt\pi\,x^{-1/2}$($s=t^2$ と置けば $2\int_0^\infty e^{-t^2}dt=\sqrt\pi$)である。核は $x$ と $y$ について対称なので、thm-io-schur の 2 つの仮定が $C_1=C_2=\sqrt\pi$ で成り立ち、$\|\mathcal L\|\le\sqrt\pi$ となる。$\square$
行列の積 $(PQ)_{ik}=\sum_jP_{ij}Q_{jk}$ と同じように、積分作用素の合成は核の積分で表される。
$k\colon X\times Y\to\mathbb K$、$l\colon Y\times Z\to\mathbb K$ を可測とし、$A(k),B(k),A(l),B(l)$ はすべて有限とする。
1:Tonelli の定理により $K$ は可測で、ほとんどすべての $x$ で
$$
\int_ZK(x,z)\,d\rho(z)=\int_Y|k(x,y)|\Bigl(\int_Z|l(y,z)|\,d\rho(z)\Bigr)d\nu(y)\le A(l)\int_Y|k(x,y)|\,d\nu(y)\le A(k)A(l)
$$
である。同様にほとんどすべての $z$ で $\int_XK(x,z)\,d\mu(x)\le B(k)B(l)$ である。前者から、ほとんどすべての $x$ でほとんどすべての $z$ について $K(x,z)<\infty$ となるので、Fubiniの定理 の系「零集合の切り口による判定」により $K<\infty$ は $\mu\times\rho$-ほとんどいたるところで成り立つ。$|m|\le K$ から $A(m)$、$B(m)$ の評価が従う。
2:$u\in L^p(Z)$ とする。$K$ に cor-io-schur-plain を当てると、ほとんどすべての $x$ で $\int_ZK(x,z)|u(z)|\,d\rho(z)<\infty$ である。そのような $x$ を固定すると、Tonelli の定理により
$$
\int_Y|k(x,y)|\Bigl(\int_Z|l(y,z)||u(z)|\,d\rho(z)\Bigr)d\nu(y)=\int_ZK(x,z)|u(z)|\,d\rho(z)<\infty
$$
なので、関数 $(y,z)\mapsto k(x,y)l(y,z)u(z)$ は $\nu\times\rho$ について可積分である。したがって $k(x,y)\ne0$ となるほとんどすべての $y$ で $(T_lu)(y)$ は絶対収束し、Fubini の定理により
$$
\bigl(T_k(T_lu)\bigr)(x)=\int_Yk(x,y)\int_Zl(y,z)u(z)\,d\rho(z)\,d\nu(y)=\int_Z\Bigl(\int_Yk(x,y)l(y,z)\,d\nu(y)\Bigr)u(z)\,d\rho(z)=(T_mu)(x)
$$
となる。$\square$
$X=Y$ のとき、核 $k$ の反復核を $k_1:=k$、$k_{n+1}(x,y):=\int_Xk(x,s)k_n(s,y)\,d\mu(s)$ で定める。$A(k)$、$B(k)$ が有限なら、prop-io-composition を繰り返し当てて $A(k_n)\le A(k)^n$、$B(k_n)\le B(k)^n$、$T_k^n=T_{k_n}$ を得る。Volterra作用素 の冪 $V^n$ の核 $(x-y)^{n-1}/(n-1)!$($y< x$)はこの例である。
$f$ を与えて未知関数 $u$ を
$$
u(x)-\lambda\int_Xk(x,y)\,u(y)\,d\mu(y)=f(x)
$$
から求める問題を第 2 種の積分方程式という。$\lambda$ が小さければ、解は反復核の級数で書ける。
$k\colon X\times X\to\mathbb K$ を可測とし、$A:=A(k)$ と $B:=B(k)$ は有限、$\lambda\in\mathbb K$ は $|\lambda|A< 1$ かつ $|\lambda|B< 1$ を満たすとする。
1:$|k|$ の反復核を $K_n$ とする($K_1=|k|$、$K_{n+1}(x,y)=\int|k(x,s)|K_n(s,y)\,d\mu(s)\in[0,\infty]$)。prop-io-composition の 1 の計算から、ほとんどすべての $x$ で $\int K_n(x,y)\,d\mu(y)\le A^n$、ほとんどすべての $y$ で $\int K_n(x,y)\,d\mu(x)\le B^n$ であり、帰納法でほとんどいたるところ $|k_n|\le K_n$ である。$R:=\sum_{n\ge1}|\lambda|^{n-1}K_n$ とおくと、単調収束定理により、ほとんどすべての $x$ で $\int R(x,y)\,d\mu(y)\le\sum_n|\lambda|^{n-1}A^n=A/(1-|\lambda|A)$ であり、$y$ についても同様である。よって $R$ はほとんどいたるところ有限で(prop-io-composition の 1 と同じ理由)、そこで $r$ の級数は絶対収束し、$|r|\le R$ から評価が従う。
2:cor-io-schur-plain により $\|T_k\|\le A^{1-1/p}B^{1/p}\le\max(A,B)$ なので、$\|\lambda T_k\|< 1$ である。$L^p(X)$ 上の有界作用素の全体は単位的 Banach 代数なので、Banach代数 の命題「Neumann 級数」により $I-\lambda T_k$ は有界な逆 $\sum_{n\ge0}\lambda^nT_k^n$(作用素ノルムで収束)をもつ。したがって解はただ 1 つで、
$$
u=\sum_{n\ge0}\lambda^nT_k^nf=f+\lambda\sum_{n\ge1}\lambda^{n-1}T_{k_n}f
$$
である。最後の級数は $L^p$ で収束する。一方、$R$ に cor-io-schur-plain を当てると、ほとんどすべての $x$ で $\int R(x,y)|f(y)|\,d\mu(y)<\infty$ であり、そのような $x$ では優収束定理(優関数 $R(x,\cdot)|f|$)により $\sum_{n\ge1}\lambda^{n-1}(T_{k_n}f)(x)=(T_rf)(x)$ となる。$L^p$ で収束する級数の部分和は、部分列をとればほとんどいたるところ収束する($p< \infty$ では Lp空間 の系「各点収束する部分列」、$p=\infty$ では一様収束から直接)ので、$L^p$ での和は $T_rf$ に等しい。$\square$
核が Volterra 型なら、$\lambda$ の大きさの制限は要らない。連続な核については 関数解析 の定理「Volterra 型積分方程式の一意可解性」が、有界な核の $L^p$ での場合は Volterra作用素 がこれを扱う。$\lambda$ が大きいときに Fredholm 型の方程式を解くには、次節のコンパクト性を使う。
$k^{t}(y,x):=k(x,y)$ とおく。$A(k)$、$B(k)$ が有限で $1\le p\le\infty$ なら、$u\in L^p(Y)$、$v\in L^{p'}(X)$ について
$$
\int_X(T_ku)\,v\,d\mu=\int_Yu\,(T_{k^t}v)\,d\nu
$$
が成り立つ。$\int\!\!\int|k(x,y)||u(y)||v(x)|\,d\nu\,d\mu\le\|T_{|k|}|u|\|_p\|v\|_{p'}< \infty$ なので Fubini の定理で積分の順序を入れ替えればよい。$L^2$ では、$k^*(y,x):=\overline{k(x,y)}$ とおくと、随伴作用素 は $(T_k)^*=T_{k^*}$ である(2 乗可積分な核について Axl26 10.9)。したがって $k(x,y)=\overline{k(y,x)}$ を満たす核の積分作用素は自己共役である。
積分作用素がコンパクトになる代表的な条件は次の 2 つである。
$1< p<\infty$、$g\in L^1(\mathbb R^n)$、$g\ne0$ とする。$C_gu:=g*u$ は $L^p(\mathbb R^n)$ 上の有界作用素だが、コンパクトではない。
有界性は cor-io-young である。
段 1($C_g\ne0$).$Q=\prod_i[0,a_i)$ を半開の箱とすると、$(g*1_Q)(x)=\int_{x-Q}g(y)\,dy$ である。$x'\to x$ のとき $1_{x'-Q}\to1_{x-Q}$ は $x-Q$ の境界(零集合)の外で成り立つので、優収束定理によりこれは $x$ の連続関数である。$C_g=0$ なら、これがほとんどいたるところ、したがってすべての $x$ で $0$ になり、すべての半開の箱 $P=\prod_i(b_i,c_i]$ で $\int_Pg=0$ となり、$g\in L^1$ なので優収束定理により $b_i=-\infty$ や $c_i=+\infty$ を許した箱でも $\int_Pg=0$ である。そのような箱の有限個の互いに素な和の全体は Borel σ-代数を生成する $\mathbb R^n$ 上の集合代数で、増加列 $(-N,N]^n$ で $\mathbb R^n$ を覆うので、有限測度 $E\mapsto\int_E(\operatorname{Re}g)^+$ と $E\mapsto\int_E(\operatorname{Re}g)^-$ は Fubiniの定理 の補題「測度の一意性」により Borel 集合の上で一致する。$E=\{\operatorname{Re}g>0\}$ とすれば $(\operatorname{Re}g)^+=0$ a.e. を得る。同様に $(\operatorname{Re}g)^-$ と虚部も $0$ になり、$g\ne0$ に反する。
段 2.段 1 から $C_gu\ne0$ となる $u\in L^p$ がある。$(\tau_au)(x):=u(x-a)$ とおくと、$\|\tau_au\|_p=\|u\|_p$ かつ $C_g\tau_a=\tau_aC_g$ である。$a_m:=(m,0,\dots,0)$ とし、$\tau_{a_m}u$ が $0$ に弱収束することを示す。$1< p<\infty$ なので、$L^p$ 上の有界線形汎関数は $h\in L^{p'}$ による $v\mapsto\int vh$ の形である(Lp空間 の注意「双対空間」)。$\varepsilon>0$ に対し、優収束定理で $N$ を $\|u-u1_{B_N}\|_p< \varepsilon$、$\|h-h1_{B_N}\|_{p'}< \varepsilon$ となるようにとる($B_N$ は原点中心・半径 $N$ の球。$p,p'< \infty$ を使う)。$m>2N$ なら $\tau_{a_m}(u1_{B_N})$ は $B_N$ の外で $0$ なので、Hölder の不等式から
$$
\Bigl|\int(\tau_{a_m}u)h\Bigr|\le\varepsilon\|h\|_{p'}+\|u\|_p\,\varepsilon
$$
である。よって $\tau_{a_m}u$ は $0$ に弱収束する。$C_g$ がコンパクトなら、コンパクト作用素 の命題「弱収束する列をノルム収束する列へ写す」により $\|C_g\tau_{a_m}u\|_p\to0$ となるが、左辺はつねに $\|\tau_{a_m}C_gu\|_p=\|C_gu\|_p>0$ である。$\square$
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $B(k)< \infty$(cor-io-schur-plain) | $X=(0,\infty)$、$Y=(0,1)$、$k\equiv1$($A(k)=1$) | $1\le p< \infty$ で $L^p(Y)\to L^p(X)$ の有界性 |
| $A(k)< \infty$(cor-io-schur-plain) | $X=(0,1)$、$Y=(0,\infty)$、$k\equiv1$($B(k)=1$) | $1< p\le\infty$ で $T_ku$ が定義されること |
| $\lvert\lambda\rvert A< 1$、$\lvert\lambda\rvert B< 1$(thm-io-resolvent) | $X=(0,1)$、$k\equiv1$、$\lambda=1$ | 解の一意性と解核の存在 |
| $k\in L^2(X\times Y)$(Hilbert–Schmidt の場合のコンパクト性) | $X=Y=\mathbb R$、$k(x,y)=1_{[0,1]}(x-y)$ | $L^2$ 上のコンパクト性(有界性は残る) |
1 行目:$u=1$ なら $T_ku$ は $(0,\infty)$ 上の定数 $1$ で、$p< \infty$ では $L^p(0,\infty)$ に属さない。$\int_X|k|\,d\mu=\infty$ なので $B(k)=\infty$ である。2 行目:$u(y)=(1+y)^{-1}$ は $p>1$ で $L^p(0,\infty)$ に属するが、$\int_0^\infty u=\infty$ なので、どの $x$ でも $(T_ku)(x)$ は収束しない。3 行目:$A(k)=B(k)=1$ で $\lambda A=1$ である。$T_k1=\int_0^11\,dy=1$ なので $u=1$ は $u-T_ku=0$ の $0$ でない解であり、$u-T_ku=f$ の解は一意でない。4 行目:$A(k)=B(k)=1$ なので有界で、$k=g(x-y)$($g=1_{[0,1]}$)は thm-io-convolution によりコンパクトでない。$\int\!\!\int|k|^2\,dx\,dy=\infty$ である。
2 乗可積分な核の積分作用素の有界性と評価 $\|T_k\|\le\|k\|_{L^2}$、随伴の核、行列の場合は Axl26 Example 10.5・(10.8)・(10.9)(p. 282)と Example 10.10(p. 283)にある。2 乗可積分な核の積分作用素と Hilbert–Schmidt 作用素の対応は Bre11 の Comments on Chapter 6 の Theorem 6.12(p. 169)にあり、そこでは主張だけが述べられている。Schur の判定法、Hardy の不等式、Laplace 変換の評価、合成と解核の定理、畳み込み作用素の非コンパクト性は、この記事で証明を与えた。
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