折り紙による作図

同義語:origami construction

概要

折り紙による作図(origami construction)とは、紙を折って得られる折り目(直線)とその交点で点を作る作図である。点 $P$ を直線 $\ell$($P$ を通らない)に重ねる折り目は、焦点 $P$・準線 $\ell$ の放物線の接線になり、2 点を同時に 2 直線に重ねる折り方(O6)は 2 つの放物線の共通接線を引くことにあたる。これを使うと 3 次方程式の実数解が折れ、定規とコンパスではできない $60^\circ$ の角の 3 等分(阿部の方法)、立方体の倍積($\sqrt[3]{2}$)、正七角形が作図できる。O6 を使わない折り方だけでは、作図できる点は定規とコンパスと同じである。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 3大作図問題の不可能性, 定規とコンパスによる作図, 2次曲線の焦点と準線, 加法定理から2倍角・半角・3倍角の公式を導く

高校での出発点:紙を折ると何ができるか

1 枚の紙を折ってから開くと、折り目が 1 本の直線として残る。折ることは、折り目の直線について紙を折り返すこと、つまり 線対称移動 である。重なり合った 2 点は、折り目について互いに対称になる。まず、よく知っている 2 つの折り方を座標で確かめる。

2 点を重ねる折り目

$P=(0,1)$ と $Q=(2,3)$ を重ねるように折る。重なる 2 点は折り目について対称なので、折り目は線分 $PQ$ の垂直二等分線である。中点は $(1,2)$、$\overrightarrow{PQ}=(2,2)$ なので、折り目は $2(x-1)+2(y-2)=0$、すなわち $x+y=3$ である。点 $(0,3)$ は $x+y=3$ の上にあり、$P$ からも $Q$ からも距離 $2$ で等しい。

点を直線に重ねる折り目

$P=(0,1)$ を直線 $\ell\colon y=-1$ の上の点 $R=(2,-1)$ に重ねるように折る。折り目は線分 $PR$ の垂直二等分線で、中点は $(1,0)$、$\overrightarrow{PR}=(2,-2)$ なので $2(x-1)-2y=0$、すなわち $y=x-1$ である。この直線は放物線 $y=\dfrac{x^2}4$ に点 $S=(2,1)$ で接している($\dfrac{x^2}4=x-1$ は $(x-2)^2=0$ となり重解をもつ)。$R$ を $\ell$ の上で動かすと、折り目はいつもこの放物線の接線になる(図 1。lem-ori-parabola)。

P(0, 1) を直線 ℓ : y = −1 の上の点 R に重ねる折り目(水色)を、R をいろいろに動かして描いたもの。どれも放物線 y = x²/4(青)の接線で、赤は R = (2, −1) の場合(接点 S) P(0, 1) を直線 ℓ : y = −1 の上の点 R に重ねる折り目(水色)を、R をいろいろに動かして描いたもの。どれも放物線 y = x²/4(青)の接線で、赤は R = (2, −1) の場合(接点 S)
放物線 $y=\dfrac{x^2}4$ は、焦点 $P=(0,1)$、準線 $\ell\colon y=-1$ の放物線である(2次曲線の焦点と準線)。紙を折ると放物線の接線が 1 本ずつ引ける。この事実から、定規とコンパスではできなかった作図が紙を折ることでできるようになる。この記事では次の問いに答える。

  1. 紙を折る操作は、どのような「作図のルール」にまとめられるか。→ 7 つの基本の折り方(def-ori-folds)
  2. 点を直線に重ねる折り目は、なぜ放物線の接線になるのか。→ 焦点と準線の性質(lem-ori-parabola)
  3. 2 点を同時に 2 直線に重ねる折り方で、何ができるか。→ 3 次方程式の実数解が折れる(thm-ori-cubic)
  4. 角の 3 等分と立方体の倍積は、どう折るのか。→ 阿部の方法(thm-ori-abe)と 3 次方程式(ex-ori-cbrt2)
  5. 2 点を同時に重ねる折り方を使わなければどうなるか。→ 定規とコンパスと同じになる(ex-ori-no-o6)
    高校で習う計算と、この記事の言葉と、大学の言葉は次のように対応する。
    高校の計算・定理この記事の言葉大学の言葉
    線分の垂直二等分線2 点を重ねる折り目鏡映
    放物線の焦点と準線、接線点を直線に重ねる折り目放物線の接線の族(包絡線)
    2 つの放物線の共通接線2 点を同時に 2 直線に重ねる折り目3 次方程式
    3 倍角の公式 $\cos3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta$角の 3 等分Chebyshev多項式 $T_3$
    作図できる数は平方根で書ける数折れる数は平方根と立方根で書ける数平方根と立方根で閉じた体

折り紙の作図のルール

折り紙で作図するときは、紙の上の点と直線(折り目や紙の辺)を使って次の折り目を決める。どのような条件なら折り目が決まるかは、Huzita(藤田文章)が 6 つの操作にまとめ、Justin が同じ年の同じ会議の報告集で 7 つを挙げ、のちに Hatori が 7 番目の操作を指摘した(Justin の列挙はしばらく見落とされていた。Lan15 の Huzita の公理を述べた節)。7 つの操作は「折り紙の公理」とも呼ばれる。

基本の折り方

作図済みの点と直線から、次の O1〜O7 のどれかで決まる直線を折り目として作ってよい。ただし、条件を満たす折り目が 1 本以上あり、しかも有限個しかないときに限る(無限に多いときは使わない。ex-ori-infinite)。

  • O1:相異なる 2 点 $P_1$、$P_2$ を通る折り目。
  • O2:相異なる 2 点 $P_1$、$P_2$ を重ねる折り目(線分 $P_1P_2$ の垂直二等分線)。
  • O3:直線 $\ell_1$ を直線 $\ell_2$ に重ねる折り目(2 直線のなす角の二等分線。平行なら中央の平行線)。
  • O4:点 $P$ を通り、直線 $\ell$ に垂直な折り目。
  • O5:点 $P_2$ を通り、点 $P_1$ を直線 $\ell$ に重ねる折り目。
  • O6:点 $P_1$ を直線 $\ell_1$ に、点 $P_2$ を直線 $\ell_2$ に、同時に重ねる折り目。
  • O7:点 $P$ を直線 $\ell_1$ に重ね、直線 $\ell_2$ に垂直な折り目。
    作った折り目どうしの交点を、新しい作図済みの点とする。
折り紙で作図できる点

原点 $O(0,0)$ と $E(1,0)$ を作図済みの点とし、def-ori-folds の操作で折り目を作ることと、折り目の交点をとることを有限回くり返して得られる点を、折り紙で作図できる点 という。点 $(a,0)$ が折り紙で作図できるとき、実数 $a$ を 折り紙で作図できる数 という。

実際の紙は正方形で有限の大きさだが、ここでは紙を平面全体として考える。O1 と O2 と O4 は、定規とコンパスでもできる作図(2 点を通る直線、垂直二等分線、垂線)であり、O3 は角の二等分線である。新しいのは O5・O6・O7 で、とくに O6 が定規とコンパスを超える力をもつ。
この記事で引く Alp00 の折り紙の公理 (1)〜(6) は、順に O1、折り目の交点をとる操作、O2、O3(2 直線が交わる場合)、O5、O6 にあたる(公理 (5)・(6) も、def-ori-folds と同じく、条件を満たす折り目が有限個のときに使うものとして読む)。O4、O7、平行な 2 直線についての O3 は含まれないが、次の命題のとおり、これらを加えても折れる点の全体は変わらない。以下、Alp00 の定理を、この記事の O1〜O7 で折れる点についての主張として使う。

O4・O7 を加えても折れる点は変わらない

平面の点 $(x,y)$ を複素数 $x+iy$ と同一視する($O$ は $0$、$E$ は $1$ にあたる)。Alp00 の公理 (1)〜(6) で $0$ と $1$ から折れる点の全体を $K$ とすると、O1〜O7 で $O$ と $E$ から折れる点の全体は $K$ と一致する。

定規とコンパスで引ける折り目を公理 (1) で折り直す

要点:公理 (1)〜(6) の操作は O1〜O7 と交点をとる操作に含まれるので、$K$ の点は O1〜O7 でも折れる。反対に、O1〜O7 で折れる点が $K$ に入ることは、折った回数についての帰納法で示す。O4・O7・平行な場合の O3 の折り目は定規とコンパスで引け、定規とコンパスの作図は $K$ の外に出ない(Alp00 Theorem 5.2 から分かる)ので、その折り目は $K$ の 2 点を通り、公理 (1) で折れる。

詳しい証明を開く(段 1〜3)

Alp00 の Theorem 5.2 により、$K$ は四則・複素共役・平方根で閉じていて、点 $(x,y)$ が $K$ に入ることと、$x$、$y$ がともに $K$ に入る実数であることは同じである。

段 1(Alperin の公理で折れる直線は $K$ の 2 点を通る)。$(0,0)$、$(1,0)$、$(0,1)$、$(1,1)$ は $K$ に入るので、直線 $x=0$、$x=1$、$y=0$、$y=1$ は公理 (1) で折れる。公理で折れた直線は、縦でなければ $x=0$、$x=1$ と相異なる 2 点で、縦なら $y=0$、$y=1$ と相異なる 2 点で交わり、その交点は公理 (2) で折れる点、つまり $K$ の点である。

段 2(定規とコンパスでは $K$ の外に出ない)。$K$ の点と、$K$ の 2 点を通る直線から定規とコンパスで作る点の座標は、もとの座標から四則と平方根で計算できる(定規とコンパスによる作図)ので、$K$ に入る。

段 3(帰納法)。O1〜O7 と交点をとる操作で、$O$、$E$ から点と直線を順に作っていく。はじめの点 $O$、$E$ は $K$ に入る。ある時点までに作った点がすべて $K$ に入り、作った直線がすべて Alperin の公理で折れるとする。O1・O2・O3(交わる場合)・O5・O6 の折り目は、Alperin の公理そのもので折れる。O4・O7・平行な場合の O3 の折り目は、ex-ori-no-o6 の理由の部分のとおり定規とコンパスで引けるので、段 1・2 によりその上の相異なる 2 点が $K$ に入り、公理 (1) で折れる。折り目の交点は公理 (2) で $K$ に入る。帰納法により、O1〜O7 で折れる点はすべて $K$ に入る。逆に、公理 (1)〜(6) はそれぞれ O1、交点をとる操作、O2、O3(交わる場合)、O5、O6 なので、$K$ の点は O1〜O7 でも折れる。$\square$

点を直線に重ねる折り目と放物線

点を直線に重ねる折り目は放物線の接線

$P=(0,1)$、$\ell\colon y=-1$ とする。$\ell$ の上の点 $R=(t,-1)$ に $P$ を重ねる折り目は
$$ y=\frac t2x-\frac{t^2}4 $$
であり、これは放物線 $y=\dfrac{x^2}4$ の点 $\left(t,\dfrac{t^2}4\right)$ における接線である。逆に、この放物線の接線はどれも、$P$ を $\ell$ の上のある点に重ねる折り目である。とくに、$P$ を $\ell$ に重ねる折り目は、傾き $m$ を使って
$$ y=mx-m^2 $$
と書ける直線の全体である($m=\dfrac t2$)。

垂直二等分線を求めて接線と比べる

方針:折り目は線分 $PR$ の垂直二等分線なので、その式を求め、微分で求めた接線の式と比べる。
段 1(折り目の式)。$PR$ の中点は $\left(\dfrac t2,0\right)$、$\overrightarrow{PR}=(t,-2)$ である。垂直二等分線は中点を通り $\overrightarrow{PR}$ に垂直なので
$$ t\left(x-\frac t2\right)-2(y-0)=0,\qquad y=\frac t2x-\frac{t^2}4 $$
である。
段 2(接線の式)。$y=\dfrac{x^2}4$ を微分すると $y'=\dfrac x2$ なので、点 $\left(t,\dfrac{t^2}4\right)$ における接線は $y-\dfrac{t^2}4=\dfrac t2(x-t)$、すなわち $y=\dfrac t2x-\dfrac{t^2}4$ で、段 1 と一致する(接線・法線と曲線の凹凸)。
段 3(逆)。放物線の点 $\left(s,\dfrac{s^2}4\right)$ での接線は、段 2 で $t=s$ としたものなので、$R=(s,-1)$ に $P$ を重ねる折り目である。$m=\dfrac t2$ とおけば $\dfrac{t^2}4=m^2$ である。$\square$

焦点と準線で見る

一般に、焦点 $F$、準線 $\ell$ の放物線は「$F$ までの距離と $\ell$ までの距離が等しい点」の集まりである(2次曲線の焦点と準線)。$F$ を $\ell$ の上の点 $R$ に重ねる折り目を $f$ とし、$R$ で $\ell$ に立てた垂線と $f$ の交点を $S$ とすると、$S$ は $f$($FR$ の垂直二等分線)の上にあるので $SF=SR$ で、$SR$ は $S$ から $\ell$ までの距離なので、$S$ は放物線の上にある。$f$ の上の $S$ 以外の点 $X$ では、$XF=XR$ が $X$ から $\ell$ までの距離より大きいので、$X$ は放物線の上にない。こうして $f$ は放物線と $S$ だけを共有し、接線になる。これは「焦点から出た光は放物線で反射して軸に平行に進む」という性質と同じ図である。$R$ を動かしたときの折り目の全体が放物線を包む様子は、通過領域と包絡線 の包絡線の例になっている。

この補題から、O5 は「点 $P_2$ を通る、放物線の接線」を引く操作であり、O6 は「2 つの放物線の共通接線」を引く操作である。

主定理 1:2 点を同時に 2 直線に重ねると 3 次方程式が解ける

2 つ目の放物線として、横向きの放物線を使う。$p\ne0$ とし、放物線 $(y-r)^2=4p(x-q)$ を考える。これは $y^2=4px$ を $x$ 方向に $q$、$y$ 方向に $r$ だけ平行移動したもので、焦点は $(q+p,\ r)$、準線は $x=q-p$ である。

横向きの放物線の接線

$p\ne0$ とする。傾き $m\ne0$ の直線
$$ y-r=m(x-q)+\frac pm $$
は、放物線 $(y-r)^2=4p(x-q)$ に接し、焦点 $(q+p,r)$ を準線 $x=q-p$ の上の点に重ねる折り目である。逆に、焦点を準線に重ねる折り目で傾きをもつものは、この形で $m\ne0$ である。

座標をずらして前の補題に帰着する

方針:平行移動と、$x$ と $y$ の入れかえで lem-ori-parabola と同じ計算に直す。
段 1(接すること)。$X=x-q$、$Y=y-r$ とおくと、放物線は $Y^2=4pX$、直線は $Y=mX+\dfrac pm$ である。代入すると $\left(mX+\dfrac pm\right)^2=4pX$、展開して $m^2X^2+2pX+\dfrac{p^2}{m^2}-4pX=0$、つまり
$$ m^2X^2-2pX+\frac{p^2}{m^2}=\left(mX-\frac pm\right)^2=0 $$
となり、重解 $X=\dfrac p{m^2}$ をもつ。よって直線は放物線に接する。
段 2(折り目であること)。焦点 $F=(p,0)$($XY$ 座標)を準線 $X=-p$ の上の点 $R=(-p,u)$ に重ねる折り目は、$FR$ の中点 $\left(0,\dfrac u2\right)$ を通り $\overrightarrow{FR}=(-2p,u)$ に垂直な直線 $-2pX+u\left(Y-\dfrac u2\right)=0$ である。$u\ne0$ なら $Y=\dfrac{2p}uX+\dfrac u2$ で、$m=\dfrac{2p}u$ とおくと $\dfrac u2=\dfrac pm$ となり、段 1 の直線に一致する。$u$ が $0$ でない実数全体を動くと $m$ も $0$ でない実数全体を動くので、傾き $m\ne0$ の直線はどれもこの形で得られる。$u=0$ のときの折り目は $X=0$(縦の直線)で、傾きをもたない。$\square$

3 次方程式を解く折り方

$a$、$b$、$c$ を実数とし、$c\ne0$ とする。点 $P_1=(0,1)$ を直線 $\ell_1\colon y=-1$ に、点 $P_2=(c-a,\ b)$ を直線 $\ell_2\colon x=-a-c$ に、同時に重ねる折り目(O6)を考える。

  1. このような折り目の傾き $m$ は、3 次方程式 $m^3+am^2+bm+c=0$ の実数解である。
  2. 逆に、この方程式の実数解 $m$ のそれぞれについて、傾き $m$ のそのような折り目がちょうど 1 本ある。
    したがって、$a$、$b$、$c$ が折り紙で作図できる数なら、$m^3+am^2+bm+c=0$ の実数解はどれも折り紙で作図できる数である。
2 つの放物線の共通接線

方針:lem-ori-parabola と lem-ori-second-parabola で、2 つの条件をそれぞれ「放物線の接線である」に言いかえ、切片を比べる。
段 1(1 つ目の条件)。$P_1$ を $\ell_1$ に重ねる折り目は、lem-ori-parabola により $y=mx-m^2$ の形の直線(縦でない直線)である。
段 2(2 つ目の条件)。$q=-a$、$r=b$、$p=c$ とおくと、放物線 $(y-r)^2=4p(x-q)$ の焦点は $(q+p,r)=(c-a,b)=P_2$、準線は $x=q-p=-a-c$ で $\ell_2$ である。段 1 の折り目は傾きをもつので、lem-ori-second-parabola により、$P_2$ を $\ell_2$ に重ねる折り目でもあるのは、$m\ne0$ で、$y=m(x-q)+r+\dfrac pm$ の形のときである。
段 3(切片を比べる)。同じ傾き $m$ の 2 直線 $y=mx-m^2$ と $y=mx-mq+r+\dfrac pm$ が一致するのは、切片が等しいとき、すなわち
$$ -m^2=-mq+r+\frac pm $$
のときである。両辺に $m$ を掛けて整理すると $m^3-qm^2+rm+p=0$ で、$q=-a$、$r=b$、$p=c$ を戻すと $m^3+am^2+bm+c=0$ となる。$c\ne0$ なので $m=0$ はこの方程式の解でなく、段 2 の $m\ne0$ は自動的に満たされる。逆向きも同じ式をたどればよい。これで 1 と 2 が示せた。
段 4(作図できる数であること)。ここでは Alp00 の Theorem 5.2 を証明せずに使う。Theorem 5.2 と prop-ori-alperin から次の 2 つが分かる。
(R1) 折り紙で作図できる数の全体は、足し算・引き算・掛け算・割り算($0$ で割る以外)で閉じている。
(R1) 点 $(x,y)$ が折り紙で作図できることと、$x$ と $y$ がともに折り紙で作図できる数であることは同じである。
$a$、$b$、$c$ が折り紙で作図できる数なら、(i) により $c-a$、$-a-c$ も折り紙で作図できる数で、(ii) により点 $P_2=(c-a,b)$、$(0,-1)$、$(-a-c,0)$ が折れる。$\ell_1\colon y=-1$ は点 $(0,-1)$ を通り $y$ 軸に垂直な直線、$\ell_2\colon x=-a-c$ は点 $(-a-c,0)$ を通り $x$ 軸に垂直な直線なので、O4 で折れる($x$ 軸は $O$ と $E$ を通る直線、$y$ 軸は $O$ を通り $x$ 軸に垂直な直線)。こうして O6 で折り目が得られる。折り目と直線 $x=0$($y$ 軸)、$x=1$($E$ を通り $x$ 軸に垂直な直線)の交点 $(0,-m^2)$、$(1,m-m^2)$ が折れるので、(ii) により $-m^2$ と $m-m^2$ は折り紙で作図できる数で、(i) により差 $m=(m-m^2)-(-m^2)$ も折り紙で作図できる数である。$\square$

P₁(0, 1) を y = −1(青の点線)に、P₂(−1, −3) を x = 1(緑の点線)に同時に重ねる折り目。2 つの放物線の共通接線が 3 本あり、傾きは m³ − 3m − 1 = 0 の 3 つの根 2cos 20°, 2cos 140°, 2cos 260° である P₁(0, 1) を y = −1(青の点線)に、P₂(−1, −3) を x = 1(緑の点線)に同時に重ねる折り目。2 つの放物線の共通接線が 3 本あり、傾きは m³ − 3m − 1 = 0 の 3 つの根 2cos 20°, 2cos 140°, 2cos 260° である

立方体の倍積:2 の立方根を折る

$m^3-2=0$ は $a=0$、$b=0$、$c=-2$ の場合である。thm-ori-cubic により、$P_1=(0,1)$ を $y=-1$ に、$P_2=(-2,0)$ を $x=2$ に同時に重ねる折り目の傾きが $\sqrt[3]2=1.2599\ldots$ である。実際、直線 $y=\sqrt[3]2\,x-\sqrt[3]4$ について $P_1$ を折り返すと $(2.5198\ldots,-1)$ に、$P_2$ を折り返すと $(2,-3.1748\ldots)$ に移り、それぞれ $y=-1$、$x=2$ の上にある。実数解はこの 1 つだけなので、条件を満たす折り目もこの 1 本である。
$\sqrt[3]2$ は定規とコンパスでは作図できなかった(3大作図問題の不可能性)。折り紙では、1 辺 $1$ の立方体の 2 倍の体積をもつ立方体の 1 辺が折れる。

$60^\circ$ の 3 等分を 3 次方程式で折る

3 倍角の公式から、$y=2\cos20^\circ$ は $y^3-3y-1=0$ を満たす(3大作図問題の不可能性)。これは $a=0$、$b=-3$、$c=-1$ の場合で、$P_1=(0,1)$ を $y=-1$ に、$P_2=(-1,-3)$ を $x=1$ に同時に重ねる折り目が 3 本あり、傾きは
$$ 2\cos20^\circ=1.8793\ldots,\qquad 2\cos140^\circ=-1.5320\ldots,\qquad 2\cos260^\circ=-0.3472\ldots $$
である(図 2)。たとえば傾き $1.8793\ldots$ の折り目 $y=1.8793\ldots x-3.5320\ldots$ で折り返すと、$P_1$ は $(3.7587\ldots,-1)$ に、$P_2$ は $(1,-4.0641\ldots)$ に移る。thm-ori-cubic により $2\cos20^\circ$ は折り紙で作図できる数である。折り紙で作図できる数の全体は四則と正の数の平方根で閉じている(Alp00 Theorem 5.2)ので、$\cos20^\circ$ と $\sin20^\circ=\sqrt{1-\cos^2 20^\circ}$ も折り紙で作図できる数で、点 $(\cos20^\circ,\sin20^\circ)$ が折れる。この点と $O$ を通る折り目(O1)で、$20^\circ$ の角が得られる。

主定理 2:阿部の角の 3 等分

ex-ori-trisect-cubic は座標を使う方法だった。正方形の紙の角にある角を、座標を使わずに直接 3 等分する折り方がある。阿部恒(Hisashi Abe)が考えたもので、Lan15 に手順と図がある。
紙の左下の角を $O(0,0)$ とし、下の辺を $x$ 軸、左の辺を $y$ 軸にとる。3 等分したい角 $\theta$($0^\circ<\theta<90^\circ$)は、$x$ 軸と、$O$ から出る半直線 $\ell$ のなす角とする。

  1. 下の辺に平行な折り目を 1 本つけ、その高さを $2a$ とする($y=2a$)。左の辺との交点を $P=(0,2a)$ とする。
  2. 下の辺をこの折り目に重ねて、真ん中に平行な折り目 $h\colon y=a$ をつける(O3)。左の辺との交点を $A=(0,a)$ とする。
  3. $O$ を $h$ の上に、$P$ を $\ell$ の上に同時に重ねて折る(O6)。$O$、$A$、$P$ の移る先を $O'$、$A'$、$P'$ とする。
阿部の 3 等分

上の手順 3 の折り目 $f$ で、$O'$ の $x$ 座標が正であるとする。このとき、半直線 $OO'$ と $OA'$ は角 $\theta$ を 3 等分する。すなわち、$x$ 軸から測って半直線 $OO'$ の角は $\dfrac\theta3$、$OA'$ の角は $\dfrac{2\theta}3$ である。

阿部の角の 3 等分(θ = 60°、a = 1/4)。O を y = a の上の O′ に、P(0, 2a) を 60° の半直線(青)の上の P′ に重ねる折り目(赤)。O′, A′, P′ は一直線に並び、OO′ と OA′(緑)が角を 20° ずつに分ける 阿部の角の 3 等分(θ = 60°、a = 1/4)。O を y = a の上の O′ に、P(0, 2a) を 60° の半直線(青)の上の P′ に重ねる折り目(赤)。O′, A′, P′ は一直線に並び、OO′ と OA′(緑)が角を 20° ずつに分ける

二等辺三角形と合同な直角三角形

方針:折り返し $\sigma$(折り目 $f$ についての線対称移動)は長さを保ち、2 回続けると元に戻る。これを使って、三角形 $OO'P'$ が二等辺三角形であることと、2 つの直角三角形が合同であることを示し、$x$ 軸から測った半直線 $OO'$ の角を $\alpha$ とすると、半直線 $OA'$、$OP'$ の角がそれぞれ $2\alpha$、$3\alpha$ になることを導く。
段 1($OP'=OO'$)。$\sigma(O)=O'$、$\sigma(O')=O$、$\sigma(P)=P'$ である。$\sigma$ は長さを保つので $OP'=\sigma(O)\sigma(P')$ の長さ、つまり $O'P$ に等しい。$O'=(u,a)$($u>0$)とおくと
$$ O'P=\sqrt{u^2+(2a-a)^2}=\sqrt{u^2+a^2}=OO' $$
である。よって $OP'=OO'$ で、三角形 $OO'P'$ は二等辺三角形である。
段 2($A'$ は $O'P'$ の中点で、$O'A'=a$)。$A$ は線分 $OP$ の中点で、$\sigma$ は長さを保つので、$O'A'=OA=a$、$A'P'=AP=a$ である。$O'P'=OP=2a$ なので $O'A'+A'P'=O'P'$ となり、$A'$ は線分 $O'P'$ の上にあってその中点である。また $OO'=\sqrt{u^2+a^2}>a=O'A'$ なので $A'\ne O$ である。
段 3($OA'$ は $O'P'$ に垂直で、角 $O'OP'$ を 2 等分する)。二等辺三角形 $OO'P'$ で、頂点 $O$ と底辺の中点 $A'$ を結ぶ線分は、三角形 $OO'A'$ と $OP'A'$ が 3 辺相等で合同になることから、底辺に垂直で頂角を 2 等分する。とくに $\angle OA'O'=90^\circ$ で、$P'$ は直線 $OA'$ について $O'$ と対称な点である。
段 4($A'$ の位置)。$B=(u,0)$ とおくと、$O'B=a$ で $\angle OBO'=90^\circ$ である。段 2・3 により、$A'$ も $O'A'=a$、$\angle OA'O'=90^\circ$ を満たす。この 2 つの条件を満たす点 $X$ は、円 $(O';\,a)$ の上にあり、$OO'$ を直径とする円の上にもある(直径を見込む角が直角)。相異なる 2 円の交点は高々 2 つで、2 円の中心はどちらも直線 $OO'$ の上にあるので、交点は直線 $OO'$ について対称な 2 点である。$B$ はその 1 つなので、$A'$ は $B$ か、$B$ の直線 $OO'$ についての対称点 $B^*$ である。
段 5(角を求める)。$x$ 軸から測った半直線 $OO'$ の角を $\alpha$ とする($u>0$、$a>0$ なので $0^\circ<\alpha<90^\circ$)。$A'=B$ とすると、直線 $OA'$ は $x$ 軸で、段 3 により $P'$ は $O'=(u,a)$ の $x$ 軸についての対称点 $(u,-a)$ となり、$y$ 座標が負なので $\ell$ の上にない。よって $A'=B^*$ で、半直線 $OA'$ の角は $2\alpha$ である。段 3 により $P'$ は直線 $OA'$ について $O'$ と対称なので、半直線 $OP'$ の角は $2\cdot2\alpha-\alpha=3\alpha$ である。$P'$ は $\ell$ の上にあるので $3\alpha=\theta$($0^\circ<3\alpha<270^\circ$ と $0^\circ<\theta<90^\circ$ から、$360^\circ$ ずれることはない)。したがって $\alpha=\dfrac\theta3$ で、$OA'$ の角は $\dfrac{2\theta}3$ である。$\square$

$60^\circ$ の 3 等分を数で確かめる

$\theta=60^\circ$、$a=\dfrac14$ とする。thm-ori-abe により $O'$ は $y=\dfrac14$ の上で角 $20^\circ$ の方向にあるはずなので、$O'=\left(\dfrac14\cdot\dfrac1{\tan20^\circ},\ \dfrac14\right)=(0.6868\ldots,\ 0.25)$ である。折り目は $OO'$ の垂直二等分線、すなわち $\overrightarrow{OO'}\cdot(x,y)=\dfrac{OO'^2}2$ を満たす直線 $0.6868\ldots x+0.25y=0.2671\ldots$ である。この直線で折り返すと
$$ A=(0,\,0.25)\mapsto A'=(0.5261\ldots,\ 0.4415\ldots),\qquad P=(0,\,0.5)\mapsto P'=(0.3654\ldots,\ 0.6330\ldots) $$
となる。$P'$ の角は $\tan^{-1}\dfrac{0.6330\ldots}{0.3654\ldots}=60.00\ldots^\circ$ で確かに $\ell$ の上にあり、$A'$ の角は $40^\circ$ である。$OO'=OP'=0.7309\ldots$ も確かめられる。この計算は、手順 3 の折り目が実際に存在することの確認にもなっている(一般の $\theta$ でも、$\alpha=\dfrac\theta3$ として同じ計算で確かめられる)。

3 次方程式との関係

手順 3 は O6 の折り方で、$O$ と $P$ の 2 点を $h$ と $\ell$ の 2 直線に同時に重ねている。thm-ori-cubic と同じく、2 つの放物線(焦点 $O$・準線 $h$ と、焦点 $P$・準線 $\ell$)の共通接線を引いていることになる。定規とコンパスでは、$60^\circ$ の 3 等分は $8c^3-6c-1=0$($c=\cos20^\circ$)を解くことと同じで、できなかった(3大作図問題の不可能性)。

高校数学で解く・大学数学で見る

正七角形を折る

正七角形は定規とコンパスでは作図できない(正多角形の作図可能性)。折り紙では作図できるか。

高校数学で解く

方針:$2\cos\dfrac{2\pi}7$ が満たす 3 次方程式に thm-ori-cubic を使う。
段 1(3 次方程式)。正多角形の作図可能性 の例「正七角形の余弦が満たす 3 次方程式」により、$y=2\cos\dfrac{2\pi}7$ は $y^3+y^2-2y-1=0$ の根である。
段 2(折り方)。これは $a=1$、$b=-2$、$c=-1$ の場合で、$c\ne0$ である。thm-ori-cubic により、$P_1=(0,1)$ を $y=-1$ に、$P_2=(c-a,b)=(-2,-2)$ を直線 $x=-a-c=0$($y$ 軸)に同時に重ねる折り目が 3 本あり、その傾きが 3 つの根 $1.2469\ldots$、$-0.4450\ldots$、$-1.8019\ldots$ である。傾き $1.2469\ldots$ の折り目 $y=1.2469\ldots x-1.5549\ldots$ で折り返すと、$P_1$ は $(2.4939\ldots,-1)$ に、$P_2$ は $(0,-3.6038\ldots)$ に移り、条件を満たしている。
段 3(正七角形)。段 2 の傾き $2\cos\dfrac{2\pi}7$ は、thm-ori-cubic により折り紙で作図できる数である。Alp00 Theorem 5.2 により、折り紙で作図できる数の全体は四則と正の数の平方根で閉じていて、点 $(x,y)$ が折れることは $x$、$y$ がともに折り紙で作図できる数であることと同じである。よって $\cos\dfrac{2\pi}7$ も折り紙で作図できる数で、正多角形の作図可能性 の補題「正多角形と余弦」と同じ議論(使うのは四則と平方根だけ)で、頂点 $\left(\cos\dfrac{2\pi k}7,\sin\dfrac{2\pi k}7\right)$ がすべて折れる。よって正七角形は折り紙で作図できる。$\square$

大学数学で見る:平方根と立方根で閉じた体

Alperin は、O6 にあたる操作まで使って $0$ と $1$ から折れる点を複素数とみた全体が、「平方根と立方根をとる操作と複素共役で閉じた、複素数の最小の部分体」であることを示した(Alp00 Theorem 5.2)。定規とコンパスで作図できる点の全体が「平方根で閉じた最小の部分体」であること(作図可能数)と並べると、O6 が付け加えるのはちょうど立方根である。
この結果から、折れる数の $\mathbb{Q}$ 上の次数(拡大次数)は $2^a3^b$ の形になる。正 $n$ 角形が折り紙で作図できるのは、$n=2^a3^bp_1\cdots p_s$($p_i$ は $2^c3^d+1$ の形の相異なる素数で $3$ より大きいもの)のときに限ることが知られている(Alp00 の序文が Gleason らの結果として紹介している)。$7=2\cdot3+1$、$13=2^2\cdot3+1$、$19=2\cdot3^2+1$ はこの形なので、正七角形・正十三角形・正十九角形は折り紙で作図できる。$11$ は $11-1=10=2\cdot5$ なので、この形でない。

例と反例

thm-ori-cubic と lem-ori-parabola のどの仮定を外すと、どの主張が崩れるかを表にする。

外した仮定崩れる主張ボックス
O6(2 点を同時に 2 直線に重ねる折り)を使う$60^\circ$ の角の 3 等分と $\sqrt[3]2$ が折れるex-ori-no-o6
2 組の点と直線が同じでないO6 の折り目は 3 次方程式の実数解の個数(高々 3 本)しかないex-ori-infinite
点は直線の上にない点を直線に重ねる折り目は放物線の接線ex-ori-on-line
反例:O6 を使わなければ定規とコンパスと同じ

O6 を使わず、O1〜O5 と O7 だけで折るとする。このとき、折れる点はすべて定規とコンパスで作図できる点である。したがって、$60^\circ$ の角の 3 等分も $\sqrt[3]2$ もできない(3大作図問題の不可能性)。
理由:各操作の折り目が、それまでの点と直線から定規とコンパスで引けることを確かめればよい(あとは 定規とコンパスによる作図 の特徴づけと同じ帰納法)。O1・O2・O4 は、2 点を通る直線・垂直二等分線・垂線で、定規とコンパスの基本の作図である。O3 は角の二等分線(平行なら中央の平行線)で、これも定規とコンパスで引ける。O5 では、折り目は $P_2$ を通るので、$P_1$ の移る先 $R$ は $P_2$ から $P_1$ と同じ距離にある。つまり $R$ は円 $(P_2;\,P_2P_1)$ と直線 $\ell$ の交点で、折り目は $P_1R$ の垂直二等分線である($R=P_1$ のときは、$P_1$ も折り目の上にあるので、折り目は直線 $P_1P_2$ である)。O7 では、折り目が $\ell_2$ に垂直なので、折り返しで $P$ は $\ell_2$ に平行に動く。つまり $R$ は、$P$ を通り $\ell_2$ に平行な直線と $\ell_1$ の交点で、折り目は $PR$ の垂直二等分線である($R=P$ のときは、$P$ を通り $\ell_2$ に垂直な直線である)。どれも定規とコンパスでできる。逆に、O1・O2・O3・O5 と折り目の交点をとる操作だけで、$0$ と $1$ から定規とコンパスで作図できる点がすべて折れる(Alp00 Theorem 4.1)。したがって O6 を使わないときに折れる点の全体は、定規とコンパスで作図できる点の全体とちょうど一致する。
満たす性質:紙を折る操作だけを使う。満たさない性質:O6 を使う。破る含意:「折り紙なら $60^\circ$ の角が 3 等分できる」。放物線の接線を 1 本ずつ引くだけ(O5)では 2 次方程式しか解けず、2 本の放物線の共通接線(O6)で初めて 3 次方程式が解ける。

反例:同じ点を同じ直線に重ねる O6

O6 で $P_1=P_2=(0,1)$、$\ell_1=\ell_2\colon y=-1$ とする。条件「$P_1$ を $\ell_1$ に、$P_2$ を $\ell_2$ に重ねる」は 1 つの条件になり、lem-ori-parabola により放物線 $y=\dfrac{x^2}4$ のすべての接線 $y=mx-m^2$($m$ は任意の実数)が条件を満たす。折り目は無限に多い。このような場合にも O6 を使ってよいとすると、折り目 $y=mx-m^2$ と直線 $x=0$、$x=1$ の交点 $(0,-m^2)$、$(1,m-m^2)$ から、どんな実数 $m$ も折れる数になってしまう。そのため def-ori-folds では、折り目が無限に多い場合を除いている。
満たす性質:O6 の形の条件である。満たさない性質:2 つの放物線が異なる。破る含意:「O6 の折り目は高々 3 本」。thm-ori-cubic では 2 つの放物線が異なり、共通接線の傾きが 3 次方程式で決まったので 3 本以下だった。

反例:直線の上の点を直線に重ねる

$P=(0,-1)$ を、$P$ を通る直線 $\ell\colon y=-1$ の上の点 $R=(t,-1)$($t\ne0$)に重ねる折り目は、$PR$ の垂直二等分線 $x=\dfrac t2$ である。$t$ を動かすと、折り目は $\ell$ に垂直な直線のうち、$P$ を通る $x=0$ を除いたものの全体になり、互いに平行で、どの放物線の接線の全体にもならない。
満たす性質:点を直線に重ねる折り目である。満たさない性質:点は直線の上にない。破る含意:lem-ori-parabola の「折り目は放物線の接線」。焦点が準線の上にあると、放物線はつぶれてしまう(焦点までの距離と準線までの距離が等しい点は、焦点を通り準線に垂直な直線の上の点になる)。

さらに先へ

  • 1 辺 $1$ の正方形を横の折り目で 3 等分し、O6 で $\sqrt[3]2$ の比を折る Messer の方法も知られている(Lan15 に紹介がある)。たとえば、右下の角 $(1,0)$ を左の辺に、右の辺の点 $\left(1,\dfrac13\right)$ を上の折り目 $y=\dfrac23$ に同時に重ねると、角は左の辺の高さ $0.4424\ldots$ の点に移り、左の辺は $\dfrac{1-0.4424\ldots}{0.4424\ldots}=1.2599\ldots$ の比に分かれ、これは $\sqrt[3]2$ に一致する(数値で確かめた。この記事では証明しない)。
  • 3 次方程式の実数解が 1 つか 3 つかは判別式で決まる(3次方程式と多項式の判別式)。3 つの実数解をもつ 3 次方程式は、根号で書くと虚数を通らざるをえない場合(還元不能の場合)があるが、折り紙では共通接線として直接折れる(複素数と方程式:代数学の基本定理)。
  • 定規とコンパスでは、道具を減らしても(Mohr–Mascheroniの定理)作図できる点は変わらないが、道具を増やすと(折り紙、目盛り付き定規、アルキメデスの螺旋)作図できる数が増える。

関連項目

参考文献

[1]
Roger C. Alperin, A Mathematical Theory of Origami Constructions and Numbers, New York Journal of Mathematics, 2000, pp. 119–133(p. 121 の序文で正多角形の結果の紹介、Theorem 4.1(p. 128)、Theorem 5.2(p. 132))

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