分割数

同義語:分割関数partition function

概要

分割数(partition function)とは、$0$ 以上の整数 $n$ を正の整数の和として表す方法を、和の順序を区別せずに数えた個数 $p(n)$ である。たとえば $5=4+1=3+2=3+1+1=2+2+1=2+1+1+1=1+1+1+1+1$ より $p(5)=7$ であり、$p(10)=42$、$p(100)=190569292$ と急速に増える。母関数は $\sum p(n)x^n=\prod_{k\geq1}(1-x^k)^{-1}$ である。共役分割により部分の個数と最大の部分の等式が、母関数や 2 進展開の全単射により奇数の部分と相異なる部分への分割の同数性(Euler の定理)が示される。大きさは Hardy–Ramanujan の漸近公式 $p(n)\sim e^{\pi\sqrt{2n/3}}/(4\sqrt3\,n)$ で与えられる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 自然数, 全単射, 形式的冪級数

定義

$5$ 円を $1$ 円玉・$2$ 円玉・…のような「どんな額面でもある硬貨」で払う方法を考える。硬貨を出す順序は気にしないとすると、払い方は
$$ 5,\quad 4+1,\quad 3+2,\quad 3+1+1,\quad 2+2+1,\quad 2+1+1+1,\quad 1+1+1+1+1 $$
の $7$ 通りである。このように、$0$ 以上の整数を正の整数の和として表す方法を、和の順序を区別せずに数えたものが分割数である($0$ の表し方は「何も使わない」の $1$ 通りと約束する)。$6$ なら $11$ 通り、$10$ なら $42$ 通りとなり、$100$ では $190569292$ 通りと急速に増える。

整数の分割と分割数

$n$ を $0$ 以上の整数とする。$n$ の分割(partition)とは、正の整数の有限列 $\lambda=(\lambda_1,\lambda_2,\dots,\lambda_\ell)$ で
$$ \lambda_1\geq\lambda_2\geq\cdots\geq\lambda_\ell\geq1,\qquad \lambda_1+\lambda_2+\cdots+\lambda_\ell=n $$
を満たすものをいう。各 $\lambda_i$ を分割の部分(part)、$\ell$ を部分の個数という。$n$ の分割の個数を $p(n)$ と書き、$n\mapsto p(n)$ を分割数(partition function)という。$0$ の分割は空の列 $(\ )$ だけとみなし、$p(0)=1$ とする。

部分を大きい順に並べることで「和の順序を区別しない」ことを表している。$\lambda=(3,1,1)$ を $5=3+1+1$ とも書く。同じ部分を何度使ってもよい。統計力学の分配関数(partition function)とは別のものである。

組成との違い

和の順序を区別して数えたものを $n$ の組成(composition)という。$3$ の組成は $3,\ 2+1,\ 1+2,\ 1+1+1$ の $4$ 通り、分割は $3,\ 2+1,\ 1+1+1$ の $3$ 通りである。$n\geq1$ の組成の個数は $2^{n-1}$ である。実際、$n$ 個の $1$ を一列に並べると間に $n-1$ か所のすき間があり、各すき間に仕切りを入れるかどうかを選ぶと、仕切りで区切られた $1$ の個数の列として組成が一つずつ得られ、逆も成り立つ(Mos11 p. 1)。組成には $2^{n-1}$ という簡単な式があるが、分割数 $p(n)$ にはこのような簡単な式が知られていない。

直感

分割 $\lambda=(\lambda_1,\dots,\lambda_\ell)$ は、$i$ 行目に $\lambda_i$ 個の点を左詰めで並べた図で表せる。これを Ferrers 図形(Ferrers diagram)という。たとえば $7=4+2+1$ の Ferrers 図形は、上から $4$ 個、$2$ 個、$1$ 個の点の行である。
$$ \begin{array}{llll} \bullet&\bullet&\bullet&\bullet\\ \bullet&\bullet&&\\ \bullet&&& \end{array} $$
この図を左上から右下への対角線で折り返すと、列が行になり、上から $3$ 個、$2$ 個、$1$ 個、$1$ 個の図、すなわち $7=3+2+1+1$ が得られる。点を正方形に置き換えた図は Young 図形とも呼ばれる(Young図形)。分割についての多くの等式は、Ferrers 図形の上の見やすい操作で証明できる。もう一つの道具は母関数であり、分割数の性質を形式的冪級数の等式に言い換える。

例と反例

分割数の表

$p(n)$ の値は次のとおりである。

$n$$0$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$$9$$10$
$p(n)$$1$$1$$2$$3$$5$$7$$11$$15$$22$$30$$42$
$n$$11$$12$$13$$14$$15$$16$$17$$18$$19$$20$
---------------------------------
$p(n)$$56$$77$$101$$135$$176$$231$$297$$385$$490$$627$

さらに $p(30)=5604$、$p(50)=204226$、$p(100)=190569292$、$p(200)=3972999029388$ である。はじめの数項 $1,1,2,3,5$ は Fibonacci数 と同じだが、$p(6)=11\neq8$ で一致は続かない。

反例:部分の順序を区別すると別の数になる

$4$ の分割は $4,\ 3+1,\ 2+2,\ 2+1+1,\ 1+1+1+1$ の $p(4)=5$ 通りだが、順序を区別する組成は $2^{3}=8$ 通りある($3+1$ と $1+3$、$2+1+1$ と $1+2+1$ と $1+1+2$ を区別する)。$p(n)$ は「並べ方」を数えるのではなく、「どの数を何個使うか」を数える。この違いのため、組成の個数の式 $2^{n-1}$ は分割数には使えない。

8 の分割と 2 種類の制限

$8$ の分割は $p(8)=22$ 通りある。そのうち部分がすべて相異なるものは
$$ 8,\quad 7+1,\quad 6+2,\quad 5+3,\quad 5+2+1,\quad 4+3+1 $$
の $6$ 通り、部分がすべて奇数のものは
$$ 7+1,\quad 5+3,\quad 5+1+1+1,\quad 3+3+1+1,\quad 3+1+1+1+1+1,\quad 1+1+1+1+1+1+1+1 $$
の $6$ 通りで、個数が一致する(KT17 §8.5, Figure 8.15)。$6$ でも相異なる部分への分割 $6,\ 5+1,\ 4+2,\ 3+2+1$ と奇数の部分への分割 $5+1,\ 3+3,\ 3+1+1+1,\ 1+1+1+1+1+1$ はどちらも $4$ 通りである。これは偶然ではなく、Euler の定理(thm-partition-function-euler)としてすべての $n$ で成り立つ。

性質

共役分割

共役分割

分割 $\lambda=(\lambda_1,\dots,\lambda_\ell)$ に対し、$j=1,\dots,\lambda_1$ について
$$ \lambda'_j:=\#\{\,i\mid \lambda_i\geq j\,\} $$
とおいた列 $\lambda'=(\lambda'_1,\dots,\lambda'_{\lambda_1})$ を $\lambda$ の共役分割(conjugate partition)という。$\lambda'_j$ は Ferrers 図形の $j$ 列目の点の個数であり、$\lambda'$ は Ferrers 図形を対角線で折り返した図形の行の長さの列である。

たとえば $(4,2,1)'=(3,2,1,1)$、$(5,3,3,2)'=(4,4,3,1,1)$ である(Bog §3.3.3, Problem 163–164)。

共役分割の性質

$\lambda$ を $n\geq1$ の分割とし、部分の個数を $\ell$、最大の部分を $\lambda_1$ とする。

  1. $\lambda'$ も $n$ の分割であり、その部分の個数は $\lambda_1$、最大の部分は $\ell$ である。
  2. $(\lambda')'=\lambda$ である。
点の数え方を入れ替える

1:$j\leq j'$ なら $\{i\mid\lambda_i\geq j'\}\subset\{i\mid\lambda_i\geq j\}$ なので $\lambda'_j\geq\lambda'_{j'}$ であり、$j\leq\lambda_1$ なら $\lambda_1\geq j$ より $\lambda'_j\geq1$ である。よって $\lambda'$ は正の整数の非増加列で、部分の個数は $\lambda_1$ である。組 $(i,j)$ で $1\leq i\leq\ell$、$1\leq j\leq\lambda_i$ を満たすもの(Ferrers 図形の点)の個数を、$i$ ごとに数えると $\sum_i\lambda_i=n$、$j$ ごとに数えると $\sum_j\lambda'_j$ なので、$\sum_j\lambda'_j=n$ である。最大の部分は $\lambda'_1=\#\{i\mid\lambda_i\geq1\}=\ell$ である。
2:$(\lambda')'_i=\#\{j\mid\lambda'_j\geq i\}$ である。$\lambda'_j\geq i$ は「$\lambda_1,\dots,\lambda_i$ がすべて $j$ 以上」と同値であり($\lambda$ が非増加なので、$j$ 以上の部分が $i$ 個以上あることは $\lambda_i\geq j$ と同値)、よって $\lambda_i\geq j$ と同値である。したがって $(\lambda')'_i=\#\{j\mid 1\leq j\leq\lambda_i\}=\lambda_i$ である。

部分の個数と最大の部分

$n,k\geq1$ とする。

  1. $n$ のちょうど $k$ 個の部分への分割の個数は、最大の部分がちょうど $k$ である $n$ の分割の個数に等しい。
  2. $n$ の $k$ 個以下の部分への分割の個数は、すべての部分が $k$ 以下である $n$ の分割の個数に等しい。
共役による全単射

prop-partition-function-conjugate の 2 により、共役 $\lambda\mapsto\lambda'$ は $n$ の分割全体の集合からそれ自身への全単射(自分自身が逆写像)である。1 により、部分の個数が $k$ の分割は最大の部分が $k$ の分割に移り、逆も同じである。これで 1 が示された。1 を $k$ 以下のすべての値について足し合わせると 2 を得る。

たとえば $n=7$ でちょうど $k$ 個の部分への分割の個数は $k=1,\dots,7$ について $1,3,4,3,2,1,1$ であり(和は $p(7)=15$)、最大の部分が $k$ の分割の個数も同じ列になる。Mos11 p. 4 もこの 2 つの等式を共役から直ちに導いている。

母関数

分割数の母関数

形式的冪級数の環 $\mathbb{Z}[\![x]\!]$ において
$$ \sum_{n=0}^{\infty}p(n)\,x^n=\prod_{k=1}^{\infty}\frac{1}{1-x^k} $$
が成り立つ。ここで右辺の無限積は、各 $n$ について $x^n$ の係数が $k\leq n$ の因子だけで決まる($k>n$ の因子 $1/(1-x^k)=1+x^k+\cdots$ は $x^n$ 以下の係数を変えない)ことによって定める。

各部分を何回使うかで数える

$n\geq0$ を固定する。$\dfrac1{1-x^k}=\sum_{j=0}^{\infty}x^{kj}$ なので、$\prod_{k=1}^{n}\dfrac1{1-x^k}$ の $x^n$ の係数は、$\sum_{k=1}^{n}k\,j_k=n$ を満たす $0$ 以上の整数の組 $(j_1,\dots,j_n)$ の個数である。このような組に、$k$ をちょうど $j_k$ 個含む分割(部分を大きい順に並べたもの)を対応させる。$n$ の分割の部分はすべて $n$ 以下なので、$n$ の分割 $\lambda$ に「$\lambda$ に含まれる $k$ の個数を $j_k$ とする組」を対応させる写像が逆写像になり、この対応は全単射である。よって $x^n$ の係数は $p(n)$ である。$k>n$ の因子は $x^n$ の係数を変えないので、無限積の $x^n$ の係数も $p(n)$ である。

同じ考え方で、部分に制限を付けた分割の母関数も得られる。部分がすべて奇数の分割の母関数は $\prod_{k\geq1}(1-x^{2k-1})^{-1}$、部分がすべて相異なる分割の母関数は $\prod_{k\geq1}(1+x^k)$ である(後者では各 $k$ を $0$ 回か $1$ 回使うので、$k$ ごとの因子が $1+x^k$ になる)。数え上げ組合せ論 の記事の注意「整数の分割の母関数」も参照。

Euler の定理

Eulerの分割定理

すべての $n\geq0$ について、部分がすべて奇数である $n$ の分割の個数と、部分がすべて相異なる $n$ の分割の個数は等しい。

2 通りの証明を与える。1 つ目は母関数の等式、2 つ目は具体的な全単射による。

母関数による証明

$\mathbb{Z}[\![x]\!]$ で $D(x):=\prod_{k\geq1}(1+x^k)$、$O(x):=\prod_{k\geq1}(1-x^{2k-1})^{-1}$ とおく。これらがそれぞれ相異なる部分への分割、奇数の部分への分割の母関数であることは prf-partition-function-generating と同じ議論で分かる。$D(x)=O(x)$ を示せばよい。
以下の無限積は、どれも $k$ 番目の因子が $1$ と $x^k$ 以上の次数の項の和であり、$x^n$ の係数は有限個の因子で決まるので、有限積と同じように因子を並べ替えたりまとめたりしてよい。$(1+x^k)(1-x^k)=1-x^{2k}$ なので
$$ D(x)\prod_{k\geq1}(1-x^k)=\prod_{k\geq1}(1-x^{2k}) $$
である。左辺の $\prod_{k\geq1}(1-x^k)$ を $k$ の偶奇で分けると $\prod_{k\geq1}(1-x^{2k})\cdot\prod_{k\geq1}(1-x^{2k-1})$ となる。$\prod_{k\geq1}(1-x^{2k})$ は定数項が $1$ なので $\mathbb{Z}[\![x]\!]$ で可逆であり、両辺をこれで割ると
$$ D(x)\prod_{k\geq1}(1-x^{2k-1})=1 $$
を得る。よって $D(x)=\prod_{k\geq1}(1-x^{2k-1})^{-1}=O(x)$ であり、両辺の $x^n$ の係数を比べると主張が従う。

2 進展開による全単射

すべての正の整数は、奇数 $m$ と $0$ 以上の整数 $e$ によって $m\cdot2^{e}$ とただ一通りに書ける($2$ で割れるだけ割る)。また $0$ 以上の整数 $c$ は、相異なる $2$ の冪の和としてただ一通りに書ける(2 進展開)。
奇数の部分への分割 $\mu$ から相異なる部分への分割 $\Phi(\mu)$ を次のように作る。$\mu$ に奇数 $m$ がちょうど $c_m$ 個含まれるとし、$c_m=2^{e_1}+\cdots+2^{e_r}$($e_1>\cdots>e_r\geq0$)と 2 進展開する。$c_m$ 個の $m$ を、$r$ 個の部分 $m\cdot2^{e_1},\dots,m\cdot2^{e_r}$ に置き換える。これをすべての $m$ について行い、大きい順に並べたものを $\Phi(\mu)$ とする。部分の和は $\sum_m m\,c_m$ のまま変わらない。$\Phi(\mu)$ の部分はすべて相異なる:部分 $m\cdot2^{e}$ から $m$(奇数部分)と $e$ が一意に決まり、同じ $m$ について $e$ は相異なるからである。
逆に、相異なる部分への分割 $\nu$ から、$\nu$ の各部分を $m\cdot2^{e}$($m$ 奇数)と書き、奇数 $m$ ごとに現れる $e$ の集合 $E_m$ を集め、$c_m:=\sum_{e\in E_m}2^{e}$ 個の $m$ からなる奇数の部分への分割 $\Psi(\nu)$ を作る。$\nu$ の部分は相異なるので、同じ $m$ について同じ $e$ が 2 回現れることはなく、$c_m$ の 2 進展開はちょうど $E_m$ を与える。したがって $\Psi\circ\Phi$ と $\Phi\circ\Psi$ はどちらも恒等写像であり、$\Phi$ は $n$ の奇数の部分への分割全体から $n$ の相異なる部分への分割全体への全単射である。

たとえば $14$ の奇数の部分への分割 $5+3+3+1+1+1$ では $c_5=1$、$c_3=2$、$c_1=3=2+1$ なので、$\Phi$ で $5,\ 3\cdot2=6,\ 1\cdot2=2,\ 1\cdot1=1$ に移り、$6+5+2+1$ という相異なる部分への分割になる。母関数による証明は KT17 §8.5, Theorem 8.16 と Mos11 p. 4 にある。Euler は Naudé から出された分割の問題をきっかけに分割の母関数を研究した(Dic20 Chapter III, pp. 101–102)。

五角数定理と漸化式

Eulerの五角数定理

$\mathbb{Z}[\![x]\!]$ において
$$ \prod_{k=1}^{\infty}(1-x^k)=\sum_{j=-\infty}^{\infty}(-1)^jx^{j(3j-1)/2}=1-x-x^2+x^5+x^7-x^{12}-x^{15}+\cdots $$
が成り立つ。右辺の指数 $j(3j-1)/2$($j\in\mathbb{Z}$)は $0,1,2,5,7,12,15,22,26,\dots$ で、一般五角数と呼ばれる。

五角数定理の証明の出典と漸化式

左辺の $x^n$ の係数は、$n$ の相異なる部分への分割のうち部分の個数が偶数のものの個数から奇数のものの個数を引いた差である。Franklin は、Ferrers 図形の最下行と右上の斜めの列を入れ替える操作により、この 2 種類の分割の間の対応をつくり、対応がつかない例外が $n$ が一般五角数のときにちょうど $1$ つだけ残ることを示して定理を証明した(Mos11 pp. 4–5。Moser は人名を挙げていない。Bog §3.3.3, Problem 177 も参照)。
prop-partition-function-generating の母関数と五角数定理の左辺の積は $1$ になるので、両辺の $x^n$($n\geq1$)の係数を比べると
$$ p(n)=p(n-1)+p(n-2)-p(n-5)-p(n-7)+p(n-12)+p(n-15)-\cdots $$
($m<0$ では $p(m)=0$)という漸化式を得る(Mos11 p. 5)。たとえば $p(10)=p(9)+p(8)-p(5)-p(3)=30+22-7-3=42$ である。和の項数は $\sqrt n$ 程度なので、この漸化式で $p(n)$ の表を効率よく計算できる。

大きさ

分割数は $n$ とともに単調に増える。$n$ の分割に部分 $1$ を $1$ つ付け加えると $n+1$ の分割が得られ、この対応は単射だから $p(n)\leq p(n+1)$ である。下の prop-partition-function-upper-bound から、どんな $a>1$ についても十分大きい $n$ では $p(n)< a^n$ となる($\pi\sqrt{2n/3}< n\log a$ となるので)。一方、thm-partition-function-hardy-ramanujan によれば $p(n)$ は $n$ のどんな多項式よりも速く増える。上からの評価は母関数から完全に証明できる。

分割数の上からの評価

すべての $n\geq1$ について
$$ p(n)<\exp\Bigl(\pi\sqrt{\tfrac{2n}{3}}\Bigr) $$
である。

母関数に実数を代入する

実数 $0< x<1$ を固定する。各 $k$ について $\dfrac1{1-x^k}=\sum_{j\geq0}x^{kj}$ は正項の収束級数であり、有限個の正項収束級数の積は項ごとに展開して並べ替えてよいので、prf-partition-function-generating と同じ数え上げにより
$$ \prod_{k=1}^{n}\frac1{1-x^k}=\sum_{m=0}^{\infty}p_n(m)\,x^m $$
である。ここで $p_n(m)$ はすべての部分が $n$ 以下である $m$ の分割の個数であり、$p_n(n)=p(n)$ である。右辺の各項は正なので
$$ p(n)\,x^n\leq\prod_{k=1}^{n}\frac1{1-x^k} $$
である。両辺の対数(対数関数)をとり、$-\log(1-u)=\sum_{j\geq1}u^j/j$($0< u<1$)を使うと
$$ \log p(n)+n\log x\leq\sum_{k=1}^{n}\sum_{j=1}^{\infty}\frac{x^{kj}}{j}\leq\sum_{j=1}^{\infty}\frac1j\sum_{k=1}^{\infty}x^{kj}=\sum_{j=1}^{\infty}\frac1j\cdot\frac{x^j}{1-x^j} $$
である(正項の二重級数なので和の順序を変えてよい)。$1-x^j=(1-x)(1+x+\cdots+x^{j-1})\geq(1-x)\,j\,x^{j-1}$ なので $\dfrac{x^j}{1-x^j}\leq\dfrac{x}{j(1-x)}$ であり、$\sum_{j\geq1}1/j^2=\pi^2/6$ を使うと
$$ \log p(n)\leq\frac{\pi^2}{6}\cdot\frac{x}{1-x}-n\log x $$
を得る。$t:=x/(1-x)>0$ とおくと $x=t/(1+t)$、$-\log x=\log(1+1/t)<1/t$ なので
$$ \log p(n)<\frac{\pi^2}{6}\,t+\frac{n}{t} $$
である。$t=\sqrt{6n}/\pi$ を選ぶと右辺は $\pi\sqrt{n/6}+\pi\sqrt{n/6}=\pi\sqrt{2n/3}$ となり、主張が従う。

ここで使った $\sum_{j\geq1}1/j^2=\pi^2/6$ は Basel 問題の答であり、$\zeta(2)=\pi^2/6$ とも書く(Riemannゼータ関数)。この値を使わず $\sum_{j\geq1}1/j^2<2$ で済ませると、同じ議論で $p(n)<\exp(2\sqrt{2n})$ が得られる。たとえば $n=100$ では評価の右辺 $\exp(\pi\sqrt{200/3})$ は約 $1.38\times10^{11}$ であり、$p(100)\approx1.9\times10^8$ より大きい。実際の $p(n)$ は、指数の部分は同じで、それに $1/n$ 程度の因子が掛かった大きさである。

Hardy–Ramanujanの漸近公式

$$ p(n)\sim\frac{1}{4\sqrt3\,n}\exp\Bigl(\pi\sqrt{\tfrac{2n}{3}}\Bigr)\qquad(n\to\infty) $$
である。ここで $\sim$ は両辺の比が $1$ に近づくことを表す。

漸近公式の出典と数値

G. H. Hardy と S. Ramanujan が 1918 年に、母関数の複素関数としての性質を調べる方法(のちの円周法)で証明した(HR18。KT17 §8.5 も参照)。比 $p(n)\big/\bigl(\frac{1}{4\sqrt3\,n}e^{\pi\sqrt{2n/3}}\bigr)$ は $n=10$ で約 $0.873$、$n=100$ で約 $0.956$、$n=1000$ で約 $0.986$ であり、ゆっくり $1$ に近づく。

Ramanujan の合同式

Ramanujanの合同式

すべての $n\geq0$ について
$$ p(5n+4)\equiv0\pmod 5,\qquad p(7n+5)\equiv0\pmod 7,\qquad p(11n+6)\equiv0\pmod{11} $$
が成り立つ。

Ramanujanの合同式の出典

S. Ramanujan が 1919 年に、MacMahon が計算した $p(n)$ の表に見られる性質として論じた(Ram19)。このうち法 $5,7$ の証明は Ram19 にあるが、法 $11$ の証明は Ramanujan の死後、1921 年に発表された遺稿による(Ram21)。たとえば $p(4)=5$、$p(9)=30$、$p(14)=135$ は $5$ の倍数、$p(5)=7$、$p(12)=77$ は $7$ の倍数、$p(6)=11$、$p(17)=297=11\cdot27$ は $11$ の倍数である(ex-partition-function-table)。$p(n)$ の定義は足し算だけで述べられるのに、その値がこのような割り算の規則に従うことは驚くべきことである。証明には保型形式の理論などを使うので、本記事では扱わない。

関連項目

参考文献

[4]
Leonard Eugene Dickson, History of the Theory of Numbers, Vol. II: Diophantine Analysis, Carnegie Institution of Washington, 1920, Chapter III(Partitions), pp. 101–102(Leibniz の問い、Euler の研究と Naudé の問題)
[6]
S. Ramanujan, Some properties of p(n), the number of partitions of n, Proceedings of the Cambridge Philosophical Society, 1919, pp. 207–210
[7]
S. Ramanujan, Congruence properties of partitions, Mathematische Zeitschrift, 1921, pp. 147–153

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