対数関数(logarithm)とは、指数関数 $\exp\colon\mathbb{R}\to(0,\infty)$ の逆関数 $\log\colon(0,\infty)\to\mathbb{R}$(自然対数)のことである。$\log x=\int_1^x dt/t$、$\log'x=1/x$ が成り立ち、積を和に直す $\log(xy)=\log x+\log y$ が基本の性質である。底 $a$ の対数は $\log_ax=\log x/\log a$ である。$\log x$ はどの正の冪 $x^\varepsilon$ よりも遅く増え、$-1<x\leq1$ で $\log(1+x)=x-x^2/2+x^3/3-\cdots$ である。複素数の対数は 1 つに決まらず、主値 $\operatorname{Log}$ は負の実軸で不連続で、積の公式は一般に成り立たない。
前提知識: 指数関数, 逆写像, 微分積分学の基本定理, 連鎖律
$2^{100}$ は何桁の数だろうか。$10$ を底とする対数を使うと、$\log_{10}2^{100}=100\log_{10}2=30.102\ldots$ なので $10^{30}\leq2^{100}<10^{31}$ であり、$2^{100}$ は $31$ 桁である(実際 $2^{100}=1267650600228229401496703205376$)。このように、対数は「掛け算を足し算に、冪を掛け算に直す」道具であり、$\log(xy)=\log x+\log y$、$\log(x^r)=r\log x$ が基本の規則である。解析学で単に対数というときは、ネイピア数 $e$ を底とする自然対数 $\log$ を指すことが多く、$\log2=0.693147\ldots$、$\log10=2.302585\ldots$ である。自然対数は $1/t$ のグラフの下の面積 $\int_1^x\frac{dt}t$ としても表される(thm-logf-integral)。
記法の注意:本記事の $\log$ は自然対数であり、$\ln$ とも書く。$10$ を底とする常用対数 $\log_{10}$ は桁数の計算に、$2$ を底とする対数 $\log_2$ は情報科学(ビット数)によく使われる。分野によって底の書かれていない $\log$ が $\log_{10}$ や $\log_2$ を意味することがあるので、文脈で確かめる必要がある。
指数関数 $\exp\colon\mathbb{R}\to(0,\infty)$ は全単射である(指数関数 の記事の命題「正値性と単調性」)ので、逆写像が存在する。
指数関数 $\exp\colon\mathbb{R}\to(0,\infty)$ の逆写像を $\log\colon(0,\infty)\to\mathbb{R}$ と書き、自然対数(natural logarithm)または対数関数(logarithm)という。すなわち $y>0$ について、$\log y$ は $e^x=y$ を満たすただ 1 つの実数 $x$ である。
定義から
$$
e^{\log y}=y\quad(y>0),\qquad\log(e^x)=x\quad(x\in\mathbb{R}),\qquad\log1=0,\qquad\log e=1
$$
である($e^0=1$、$e^1=e$ による)。
$a>0$、$a\ne1$ とする。$y>0$ について $\log_ay:=\dfrac{\log y}{\log a}$ と定め、$a$ を底とする対数という。$\log_ay$ は、$a^x=y$ を満たすただ 1 つの実数 $x$ である($a^x:=e^{x\log a}$)。
後半を確かめる。$a\ne1$ なので $\log a\ne0$ である($\log$ は単射で $\log1=0$)。$a^x=y$ は $e^{x\log a}=e^{\log y}$、すなわち $x\log a=\log y$ と同値であり($\exp$ は単射)、これを満たす $x$ は $\log y/\log a$ だけである。自然対数は $\log_e=\log$ である。
$\exp$ が「時間 $x$ で何倍になるか」を表すなら、$\log$ は「何倍になるのにどれだけ時間がかかるか」を表す。倍率を掛けることが時間を足すことに対応するので $\log(xy)=\log x+\log y$ となる。また、$\log x$ は $x$ が大きくなると限りなく大きくなるが、その増え方はどんな正の冪 $x^\varepsilon$ よりも遅い(prop-logf-growth)。$10$ 倍ごとに $\log_{10}$ が $1$ ずつ増えることは、桁数・音の大きさ(デシベル)・地震の規模のように、大きさが何桁にも広がる量を扱いやすくする。
正の整数 $N$ の 10 進法での桁数は $\lfloor\log_{10}N\rfloor+1$ である。$N$ が $d$ 桁なら $10^{d-1}\leq N<10^d$ であり、$\log_{10}$ は狭義単調増加なので $d-1\leq\log_{10}N< d$ となるからである($\lfloor\cdot\rfloor$ は床関数)。$N=2^{100}$ なら $\log_{10}N=100\log_{10}2=100\cdot\frac{\log2}{\log10}=30.102999\ldots$ で、桁数は $31$ である。同じく $2^{10}=1024$ は $\lfloor10\cdot0.30103\rfloor+1=4$ 桁である。
thm-logf-series で $x=1$ とおくと $\log2=1-\frac12+\frac13-\frac14+\cdots$ である。ただしこの級数の収束は遅く、第 10 項までの和は $0.645634\ldots$ で、$\log2=0.693147\ldots$ と小数第 1 位しか合わない。$x=-\frac12$ とおくと $\log\frac12=-\sum_{k\geq1}\frac1{k2^k}$、すなわち
$$
\log2=\sum_{k=1}^{\infty}\frac1{k\,2^k}=\frac12+\frac18+\frac1{24}+\frac1{64}+\cdots
$$
であり、第 10 項までの和 $0.693064\ldots$ は誤差 $8.3\times10^{-5}$ 未満である。
$\log(x+y)=\log x+\log y$ は一般に成り立たない。$x=y=1$ では左辺は $\log2=0.693\ldots$、右辺は $0$ である。対数が足し算に変えるのは積であって和ではない(thm-logf-product)。同じく $(\log x)^2$ と $\log(x^2)=2\log x$ も異なる($x=e$ で $1$ と $2$)。
$e^x>0$ なので、$e^x=-1$ を満たす実数 $x$ はない。実数の範囲では $\log$ は $(0,\infty)$ 上でしか定義されない。ところが $1/x$ は $x<0$ でも定義されていて、その原始関数は $\log|x|$ である。実際 $x<0$ で連鎖律により $\frac{d}{dx}\log(-x)=\frac{-1}{-x}=\frac1x$ である。ただし $\log|x|$ が $1/x$ の原始関数であるのは $(-\infty,0)$ と $(0,\infty)$ のそれぞれの上であり、$0$ をまたいで $\int_{-1}^1\frac{dx}x=\bigl[\log|x|\bigr]_{-1}^1=0$ と計算するのは誤りである($1/x$ は $[-1,1]$ 上で有界でなく、微分積分学の基本定理 の仮定を満たさない)。
$\log$ は $(0,\infty)$ 上で連続かつ微分可能であり、$\log'x=\dfrac1x$ である。
すべての $x>0$ について
$$
\log x=\int_1^x\frac{dt}t
$$
である($x<1$ のときは $\int_1^x:=-\int_x^1$)。逆に、$L(x):=\int_1^x\frac{dt}t$ で定めた関数 $L\colon(0,\infty)\to\mathbb{R}$ は $L(1)=0$、$L'(x)=1/x$ を満たし、指数関数の逆関数に一致する。
$x=1$ なら両辺とも $0$ である。$x>1$ とすると、$1/t$ は $[1,x]$ 上で連続なので Riemann積分 可能であり、thm-logf-derivative により $\log$ は $[1,x]$ 上で連続、$(1,x)$ 上で微分可能で導関数は $1/t$ である。微分積分学の基本定理 の記事の定理「原始関数による積分の計算」により $\int_1^x\frac{dt}t=\log x-\log1=\log x$ である。$0< x<1$ なら $[x,1]$ 上で同じ定理を使い、$\int_x^1\frac{dt}t=\log1-\log x=-\log x$ から従う。
後半:$L=\log$ はいま示したとおりである。$L(1)=0$ は定義から、$L'(x)=1/x$ は $\log'x=1/x$ から従う。$1/t$ が連続であることから 微分積分学の基本定理 の記事の系「連続関数の原始関数」を使って直接 $L'=1/x$ を示すこともできる。
thm-logf-integral は、対数関数を $\int_1^x\frac{dt}t$ で定義し、その逆関数として指数関数を定義する流儀(Leb §5.4、Proposition 5.4.1、pp. 207–208)と、本記事の流儀が同じ関数を与えることを示している。$\log x$ は、$1/t$ のグラフの下の $t=1$ から $t=x$ までの面積である。
$x,y>0$ と実数 $r$ について
$$
\log(xy)=\log x+\log y,\qquad\log\frac xy=\log x-\log y,\qquad\log(x^r)=r\log x
$$
である。ここで $x^r:=e^{r\log x}$ である(有理数の $r$ については通常の冪に一致する。指数関数 の記事の命題「有理数乗との一致」)。
指数関数 の記事の定理「指数法則」により $e^{\log x+\log y}=e^{\log x}e^{\log y}=xy$ である。$\log(xy)$ は $e^u=xy$ を満たすただ 1 つの $u$ なので、$\log(xy)=\log x+\log y$ である。$y$ の代わりに $1/y$ を使うと、$\log y+\log(1/y)=\log1=0$ から $\log(1/y)=-\log y$ となり、2 つめの式を得る。3 つめは $\log(x^r)=\log(e^{r\log x})=r\log x$ である。
導関数による別証明もある。$y>0$ を固定し $g(x):=\log(xy)-\log x$ とおくと、連鎖律により $g'(x)=\frac{y}{xy}-\frac1x=0$ なので $g$ は定数で、$g(1)=\log y$ である(平均値の定理 の記事の系「導関数が0なら定数」)。Leb Proposition 5.4.1(p. 207)は、積分表示 $\int_1^x\frac{dt}t$ に置換 $u=yt$ を行う証明で同じ式を示している。
$a,b>0$、$a,b\ne1$、$x,y>0$ について
$$
\log_ax=\frac{\log_bx}{\log_ba},\qquad\log_a(xy)=\log_ax+\log_ay,\qquad\log_a(x^r)=r\log_ax
$$
である。
def-logf-base により $\frac{\log_bx}{\log_ba}=\frac{\log x/\log b}{\log a/\log b}=\frac{\log x}{\log a}=\log_ax$ である。残りの 2 式は、thm-logf-product の両辺を $\log a$ で割ればよい。
$\log$ は $(0,\infty)$ 上で狭義単調増加であり、$(0,\infty)$ から $\mathbb{R}$ への全単射である。また $\lim_{x\to\infty}\log x=\infty$、$\lim_{x\to+0}\log x=-\infty$ である。$0< x<1$ なら $\log x<0$、$x>1$ なら $\log x>0$ である。
$\log'x=1/x>0$ なので、平均値の定理 の記事の系「導関数の符号と増減」により狭義単調増加である。全単射な写像の逆写像は全単射である。$M>0$ に対し $x>e^M$ なら $\log x>\log e^M=M$ なので $\log x\to\infty$($x\to\infty$)であり、$0< x< e^{-M}$ なら $\log x<-M$ なので $\log x\to-\infty$($x\to+0$)である。最後の主張は $\log1=0$ と単調性による。
すべての $x>0$ について
$$
1-\frac1x\leq\log x\leq x-1
$$
であり、どちらの等号も $x=1$ のときに限る。
指数関数 の記事の命題「正値性と単調性」の 3 により、すべての実数 $u$ で $e^u\geq1+u$ であり、等号は $u=0$ に限る。$u=\log x$ とおくと $x\geq1+\log x$、すなわち $\log x\leq x-1$ で、等号は $\log x=0$、すなわち $x=1$ に限る。$x$ の代わりに $1/x$ を代入すると $-\log x\leq\frac1x-1$、すなわち $\log x\geq1-\frac1x$ で、等号は $x=1$ に限る。
右の不等式は、$y=\log x$ のグラフが $x=1$ での接線 $y=x-1$ の下にあることを述べている。$x=2$ なら $0.5\leq\log2=0.693\ldots\leq1$ である。
任意の $\varepsilon>0$ について
$$
\lim_{x\to\infty}\frac{\log x}{x^\varepsilon}=0,\qquad\lim_{x\to+0}x^\varepsilon\log x=0
$$
である。
$x>1$ とし $t:=\varepsilon\log x>0$ とおくと、$x^\varepsilon=e^{\varepsilon\log x}=e^t$、$\log x=t/\varepsilon$ なので
$$
\frac{\log x}{x^\varepsilon}=\frac1\varepsilon\,t\,e^{-t}
$$
である。$x\to\infty$ のとき prop-logf-monotone により $t\to\infty$ であり、指数関数 の記事の命題「指数関数はどの冪よりも速く増える」($m=1$)により $te^{-t}\to0$ なので、前半を得る。後半は $x=1/u$ とおくと $x^\varepsilon\log x=-\frac{\log u}{u^\varepsilon}$ であり、$x\to+0$ のとき $u\to\infty$ なので前半から従う。
たとえば $\log x/\sqrt x$ は $x=10^{10}$ で $23.02\ldots/10^5$ と小さい。調和級数の部分和 $1+\frac12+\cdots+\frac1n$ は $\log n$ とほぼ同じ速さで増え、差は Euler の定数 $0.5772\ldots$ に収束する(調和級数 の記事の定理「Eulerの定数の存在」)。
$-1< x\leq1$ を満たす実数 $x$ について
$$
\log(1+x)=\sum_{k=1}^{\infty}\frac{(-1)^{k-1}}{k}x^k=x-\frac{x^2}2+\frac{x^3}3-\cdots
$$
が成り立つ。特に $\log2=1-\frac12+\frac13-\frac14+\cdots$ である。
$t\ne-1$ と $n\geq1$ について、有限の等比数列の和の公式から
$$
\frac1{1+t}=\sum_{k=0}^{n-1}(-t)^k+\frac{(-t)^n}{1+t}
$$
である。連鎖律により $\frac{d}{dt}\log(1+t)=\frac1{1+t}$($t>-1$)なので、$-1< x\leq1$ について両辺を $0$ から $x$ まで積分すると(微分積分学の基本定理 の記事の定理「原始関数による積分の計算」。$x<0$ なら $\int_0^x:=-\int_x^0$)
$$
\log(1+x)=\sum_{k=1}^{n}\frac{(-1)^{k-1}}{k}x^k+r_n(x),\qquad r_n(x):=(-1)^n\int_0^x\frac{t^n}{1+t}\,dt
$$
を得る。$r_n(x)\to0$($n\to\infty$)を示せばよい。
$0\leq x\leq1$ のとき、$0\leq t\leq x$ で $0\leq\frac{t^n}{1+t}\leq t^n$ なので $|r_n(x)|\leq\int_0^xt^n\,dt=\frac{x^{n+1}}{n+1}\leq\frac1{n+1}\to0$ である。
$-1< x<0$ のとき、$x\leq t\leq0$ で $1+t\geq1+x>0$、$|t|^n\leq|x|^n$ なので $|r_n(x)|\leq\int_x^0\frac{|t|^n}{1+t}\,dt\leq\frac{|x|^n\,|x|}{1+x}$ であり、$|x|<1$ なので $0$ に収束する。
積分の大小の比較には Riemann積分 の記事の命題「積分の単調性と絶対値の評価」を使った。
$|x|<1$ の範囲では、$\frac1{1+t}$ の冪級数を項別に積分しても同じ式が得られる(冪級数 の記事の例「対数の冪級数」)。上の証明は剰余 $r_n(x)$ を直接評価するので、端点 $x=1$ も含めて一度に示せる。$x=-1$ では右辺は $-\bigl(1+\frac12+\frac13+\cdots\bigr)$ となって発散し(調和級数)、左辺の $\log0$ も定義されない。$|x|>1$ では項が $0$ に近づかないので右辺は発散する。
複素数 $w$ について $e^w=z$ となる $w$ を $z$ の対数という。指数関数 の記事の節「複素数の指数関数」で見たとおり、$e^w$ は $0$ にならず、$0$ でないすべての複素数の値をとるが、周期 $2\pi i$ をもつ。したがって $z\ne0$ の対数は存在するが 1 つに決まらず、$2\pi i$ の整数倍だけ異なるものが無数にある。1 つを選ぶ標準的な方法が主値である。
$0$ でない複素数 $z$ について、その偏角(複素数 の記事の定義「偏角と極形式」)のうち $-\pi<\theta\leq\pi$ を満たすただ 1 つのものを $\operatorname{Arg}z$ と書き、偏角の主値という。
$$
\operatorname{Log}z:=\log|z|+i\operatorname{Arg}z
$$
を $z$ の対数の主値という。Euler の公式(三角関数 の記事の定理「Euler の公式」)により $e^{\operatorname{Log}z}=|z|\,(\cos\operatorname{Arg}z+i\sin\operatorname{Arg}z)=z$ である。
正の実数 $x$ では $\operatorname{Arg}x=0$ なので $\operatorname{Log}x=\log x$ であり、主値は実数の自然対数の拡張になっている。$\operatorname{Log}(-1)=i\pi$、$\operatorname{Log}i=i\pi/2$ である。負の実軸を除いた $\mathbb{C}\setminus(-\infty,0]$ の上では、$\operatorname{Log}$ は正則関数で導関数は $1/z$ である(Cauchyの積分定理 の記事の命題「対数の主値の正則性」)。より一般に、単連結(単連結空間)な領域で $0$ にならない正則関数の対数(対数の分枝)がとれることは、同記事の系「単連結領域上の原始関数と対数の分枝」にある。
$\operatorname{Log}$ は負の実数の各点で連続でない。
$a<0$ とし、$z_n:=a-i/n$ とおくと $z_n\to a$ である。$\operatorname{Im}z_n<0$ なので、$\theta_n:=\operatorname{Arg}z_n$ は $\sin\theta_n=\operatorname{Im}z_n/|z_n|<0$ を満たし、$-\pi<\theta_n\leq\pi$ と合わせて $-\pi<\theta_n<0$ である。したがって $\operatorname{Im}\operatorname{Log}z_n=\theta_n<0$ である。もし $\operatorname{Log}$ が $a$ で連続なら $\operatorname{Im}\operatorname{Log}z_n\to\operatorname{Im}\operatorname{Log}a=\operatorname{Arg}a=\pi$ となるが、$\theta_n<0$ なので極限は $0$ 以下であり(数列の極限 の記事の命題「極限は大小関係を保つ」)、矛盾する。
$z=w=-1$ とすると、$zw=1$ なので $\operatorname{Log}(zw)=0$ であるが、$\operatorname{Log}z+\operatorname{Log}w=i\pi+i\pi=2\pi i$ である。負の実軸を避けても同じことが起こる。$z=w=e^{2\pi i/3}=-\frac12+\frac{\sqrt3}2i$ とすると $\operatorname{Log}z=\operatorname{Log}w=\frac{2\pi i}3$ であるが、$zw=e^{4\pi i/3}=e^{-2\pi i/3}$ なので $\operatorname{Log}(zw)=-\frac{2\pi i}3$ であり、$\operatorname{Log}z+\operatorname{Log}w=\frac{4\pi i}3$ とは $2\pi i$ だけ違う。
主値 $\operatorname{Log}$ は「$e^{\operatorname{Log}z}=z$」と「正の実数では $\log$ に一致する」という性質を満たすが、実数の場合の thm-logf-product($\log(xy)=\log x+\log y$)は満たさない。$\log|zw|=\log|z|+\log|w|$ なので、ずれは $i\bigl(\operatorname{Arg}(zw)-\operatorname{Arg}z-\operatorname{Arg}w\bigr)$ だけである。積の偏角は偏角の和なので(複素数 の記事の命題「極形式での乗法」)、$\operatorname{Arg}z+\operatorname{Arg}w$ も $zw$ の偏角の 1 つであり、$\operatorname{Arg}(zw)$ とは $2\pi$ の整数倍だけ違う。和が $(-\pi,\pi]$ からはみ出すと、主値に戻すときにこのずれが $0$ でなくなる。
$\int_1^x\frac{dt}t$ による対数関数の定義と、$L(1)=0$、$L'=1/x$、狭義単調増加・全単射・極限、$L(xy)=L(x)+L(y)$、有理数乗の公式は Leb Proposition 5.4.1(pp. 207–208)にあり、同書は $\ln$ の記法と「数学者はふつう $\log$ と書く」ことを p. 208 で注意している。底の変換は Exercise 5.4.2(p. 211)、$\log(1+x)$ の級数($x=1$ を含む)は Exercise 5.4.4、$H_n$ と $\log n$ の比較は Exercise 5.4.6、$\log x/x\to0$ は Exercise 5.4.7(いずれも p. 212)で演習として挙げられている。微分可能な関数は連続であることは Leb Proposition 4.1.6(p. 157)である。
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