Sturmの比較定理(Sturm comparison theorem)とは、2 階の線形微分方程式 $(p_1u')'+Q_1u=0$ と $(p_2v')'+Q_2v=0$ で $p_1\ge p_2>0$、$Q_2\ge Q_1$ のとき、$u$ の隣り合う零点の間に $v$ が零点をもつ(または区間の上で $v$ が $u$ の定数倍になる)という定理である。同じ方程式の 1 次独立な 2 つの解の零点が交互に並ぶという分離定理と合わせて、零点の間隔の評価、Kneser の振動判定、Bessel 方程式の解の零点の分布、Sturm–Liouville 問題の固有関数の零点の個数の下からの評価が従う。
Sturmの比較定理(Sturm comparison theorem)は、2 階の線形微分方程式
$$
(p(x)u')'+Q(x)u=0
$$
の解の零点の位置を、係数の大小だけから比べる定理である。$p\equiv1$、$Q$ が正の定数 $k^2$ なら解は $\sin(k(x-a))$ の形で、零点の間隔は $\pi/k$ である。$Q$ が大きいほど解は速く振動する。Sturm の比較定理は、係数が変化する場合にもこの直観が正しいことを保証する:$Q$ を大きく($p$ を小さく)した方程式の解は、もとの方程式の解の隣り合う零点の間に必ず零点をもつ。
解を具体的に求めなくても、零点の間隔の評価、解が無限回振動するかどうかの判定(Kneser の定理)、Bessel 方程式や Airy 方程式の解の零点の分布、Sturm–Liouville問題 の固有関数の零点の個数がこの定理から従う。この記事では、同じ方程式の 2 つの解の零点が交互に並ぶこと(Sturm の分離定理)を Wronski 行列式で示したあと、比較定理を Picone の恒等式で証明し、これらの応用を順に調べる。
多項式の実根の個数を符号の変化で数える Sturmの定理 は同じ C. Sturm による別の結果である。
以下、$J\subset\mathbb R$ を区間とし、$p\in C^1(J)$、$p>0$、$Q\in C(J)$ はすべて実数値とする。
$J$ 上の $C^2$ 級の実数値関数 $u$ で $(pu')'+Qu=0$ を満たすものを、この方程式の 解 という。恒等的に $0$ でない解を 非自明な解 という。
$w:=pu'$ とおくと方程式は $u'=w/p$、$w'=-Qu$ という連続な係数の 1 階の連立線形方程式になる。線形微分方程式 の定理「解の存在と解空間」により、各 $x_0\in J$ と $(u(x_0),u'(x_0))\in\mathbb R^2$ を与えると解がただ 1 つ $J$ 全体で定まり、解の全体は 2 次元のベクトル空間である。$w=pu'$ は $C^1$ 級なので $u'=w/p$ も $C^1$ 級で、解は $C^2$ 級である。$Q\equiv0$ の方程式 $(pu')'=0$ の解には定数関数 $u\equiv1$ がある。
$u$ を非自明な解とする。
1:$u(x_0)=u'(x_0)=0$ なら、$u$ は零関数と同じ初期値をもつので、解の一意性から $u\equiv0$ となり矛盾する。
2:有界閉区間 $[\alpha,\beta]\subset J$ に零点が無限個あれば、相異なる零点の列 $x_k$ が $x^*\in[\alpha,\beta]$ に収束する。連続性から $u(x^*)=0$ で、$u'(x^*)=\lim_k\bigl(u(x_k)-u(x^*)\bigr)/(x_k-x^*)=0$ となり、1 に反する。$\square$
2 により、非自明な解の零点 $a< b$ について、その間に零点がないとき $a,b$ を 隣り合う零点 と呼べる。$J$ の点 $a$ が $u$ の零点で、$a$ より右に零点があれば、右隣の零点がただ 1 つ決まる。1 により、解は零点で符号を変える。
$u,v$ を同じ方程式の解とし、$W:=p\,(uv'-u'v)$ とおく。$W$ は $J$ 上で定数であり、$W\ne0$ であることと $u,v$ が 1 次独立であることは同値である。
$W=u\,(pv')-v\,(pu')$ を微分すると $W'=u'pv'+u(pv')'-v'pu'-v(pu')'=u(-Qv)-v(-Qu)=0$ である。1 次従属なら一方が他方の定数倍なので $W\equiv0$ である。逆に $W(x_0)=0$ なら、$p(x_0)>0$ よりベクトル $(u(x_0),u'(x_0))$ と $(v(x_0),v'(x_0))$ は 1 次従属で、$(0,0)$ でない $(c_1,c_2)$ について $c_1u+c_2v$ は $x_0$ で値と微分が $0$ の解になる。一意性から $c_1u+c_2v\equiv0$ である。$\square$
これは 線形微分方程式 の定理「Liouville の公式」の 2 階の場合にあたる。
$u,v$ を同じ方程式 $(pu')'+Qu=0$ の 1 次独立な解とする。$a< b$ が $u$ の隣り合う零点なら、$v$ は $(a,b)$ にちょうど 1 つの零点をもつ。
$W=p(uv'-u'v)$ は prop-stc-wronskian により $0$ でない定数である。$v(a)=0$ なら $W(a)=-p(a)u'(a)v(a)=0$ となるので $v(a)\ne0$、同様に $v(b)\ne0$ である。$v$ が $(a,b)$ に零点をもたないとすると、$v$ は $[a,b]$ で $0$ にならず、$f:=u/v$ は $[a,b]$ で $C^1$ 級、$f(a)=f(b)=0$ である。Rolleの定理 により $f'(c)=0$ となる $c\in(a,b)$ があり、$f'=(u'v-uv')/v^2=-W/(pv^2)$ なので $W=0$ となって矛盾する。よって $v$ は $(a,b)$ に零点をもつ。
2 つ以上あれば、$(a,b)$ の中に $v$ の隣り合う零点 $c< d$ がとれる。$u$ と $v$ の役を入れ替えて前段を当てると、$u$ は $(c,d)\subset(a,b)$ に零点をもち、$a,b$ が隣り合う零点であることに反する。$\square$
$u=\sin x$、$v=\cos x$($u''+u=0$)の零点 $k\pi$ と $\pi/2+k\pi$ が交互に並ぶのが典型である。分離定理から、ある非自明な解が区間 $J$ に $N$ 個の零点をもてば、ほかの非自明な解は $J$ に少なくとも $N-1$ 個の零点をもつ。
2 つの方程式
$$
(p_1u')'+Q_1u=0,\qquad (p_2v')'+Q_2v=0\qquad(1)
$$
を考える。$p_1,p_2\in C^1(J)$ は正、$Q_1,Q_2\in C(J)$ とする。
下の thm-stc-main の $p_1=p_2$ の場合が Sturm の元の定理で、一般の $p_1\ge p_2$ への拡張は M. Picone による(Sturm–Picone の比較定理ともいう)。証明には次の恒等式を使う。
$u$、$v$ を (1) の解とし、開区間 $I\subset J$ の上で $v\ne0$ とする。$I$ の上で
$$
F:=\frac uv\bigl(p_1u'v-p_2uv'\bigr)=p_1uu'-p_2u^2\frac{v'}{v}
$$
とおくと
$$
F'=(Q_2-Q_1)u^2+(p_1-p_2)u'^2+p_2\Bigl(u'-u\frac{v'}{v}\Bigr)^2 .
$$
$(p_1u')'=-Q_1u$ から $(p_1uu')'=(p_1u')'u+p_1u'^2=-Q_1u^2+p_1u'^2$ である。$(p_2v')'=-Q_2v$ から
$$
\Bigl(p_2v'\cdot\frac{u^2}{v}\Bigr)'=-Q_2u^2+2p_2\frac{uu'v'}{v}-p_2\frac{u^2v'^2}{v^2}
$$
である。差をとると $F'=(Q_2-Q_1)u^2+p_1u'^2-2p_2uu'v'/v+p_2u^2v'^2/v^2$ で、$p_1u'^2=(p_1-p_2)u'^2+p_2u'^2$ と分けて平方を完成すれば右辺を得る。$\square$
$J$ 上で
$$
p_1\ge p_2,\qquad Q_2\ge Q_1
$$
とし、$u$ を (1) の第 1 式、$v$ を第 2 式の非自明な解とする。$a< b$ が $u$ の隣り合う零点なら、次のどちらかが成り立つ。
要点:$v$ が $(a,b)$ で $0$ にならないとして、Picone の恒等式の $F$ が両端で $0$ に近づくことを示す。$F'$ の積分が $0$ になり、$F'$ の 3 つの項がすべて $0$ になる。
$v$ が $(a,b)$ に零点をもたないとする。$u$、$v$ を必要なら $-u$、$-v$ に替えて、$(a,b)$ の上で $u>0$、$v>0$ としてよい。lem-stc-picone の $F$ を $I=(a,b)$ で考える。
端点での極限.$x\downarrow a$ のとき $F(x)\to0$ を示す。$v(a)\ne0$ なら、$F$ は $a$ の近くで連続で、$u(a)=0$ から $F(a)=0$ である。$v(a)=0$ なら、lem-stc-zeros の 1 により $v'(a)\ne0$ で、$u(x)/(x-a)\to u'(a)$、$v(x)/(x-a)\to v'(a)$ から $u(x)/v(x)\to u'(a)/v'(a)$ である。すると $p_2u^2v'/v=p_2\cdot u\cdot(u/v)\cdot v'\to0$、$p_1uu'\to0$ なので $F(x)\to0$ である。$x\uparrow b$ でも同じである。
積分.$a<\alpha<\beta< b$ について $F(\beta)-F(\alpha)=\int_\alpha^\beta F'\,dx$ である。仮定 $Q_2\ge Q_1$、$p_1\ge p_2$、$p_2>0$ から $F'\ge0$ なので、$\alpha\downarrow a$、$\beta\uparrow b$ とすると、$\int_\alpha^\beta F'\,dx$ は単調に増えて $0$ に収束する。よって $(a,b)$ の各有界閉部分区間で $F'$ の積分は $0$ で、連続で $0$ 以上の $F'$ は $(a,b)$ で恒等的に $0$ である。
結論.$F'$ の 3 つの項はどれも $0$ 以上なので、すべて $(a,b)$ で $0$ である。$u>0$ なので $Q_1=Q_2$、また $(p_1-p_2)u'^2=0$ から $(p_1-p_2)u'=0$、$p_2>0$ から $u'v-uv'=0$、すなわち $(u/v)'=0$ である。よって $u=\kappa v$($\kappa>0$ は定数)が $(a,b)$ で成り立ち、連続性から 3 つの等式は $[a,b]$ で成り立つ。これは 2 である。最後の主張は、2 なら $Q_1=Q_2$ が $(a,b)$ で成り立つことから従う。$\square$
$p_1=p_2=p$ の場合は、$W:=p(u'v-uv')$ が $W'=(Q_2-Q_1)uv$ を満たすことからも示せる($(a,b)$ で $u,v>0$ なら $W(a)=p(a)u'(a)v(a)\ge0$、$W(b)=p(b)u'(b)v(b)\le0$ で、$W$ は単調増加なので $W\equiv0$)。分離定理のうち零点の存在の部分は、比較定理で 2 つの方程式を同じにした場合とみることもできる(1 次独立なら 2 は起こらない。零点がちょうど 1 つであることは、prf-stc-separation の後段のとおり $u$ と $v$ の役を入れ替えて示す)。
以下この節では $p\equiv1$ とし、$u$ を $u''+Qu=0$ の非自明な解とする。比べる相手は $\sin(k(x-a))$ と定数関数である。
1:零点が 2 個以上あれば、lem-stc-zeros の 2 により隣り合う零点 $a< b$ がとれる。thm-stc-main を $Q_1=Q$、$Q_2=0$、$v\equiv1$ で当てると、$v$ は $(a,b)$ に零点をもたず、$v(a)=1\ne0=u(a)$ なので $u$ の定数倍でもない。矛盾である。
2:$v(x):=\sin(M(x-a))$ は $v''+M^2v=0$ の解で、零点は $a+k\pi/M$ である。$b-a<\pi/M$ なら $v$ は $(a,b)$ に零点をもたず、$v(b)\ne0=u(b)$ なので $u$ の定数倍でない。$Q_1=Q\le M^2=Q_2$ なので thm-stc-main に反する。
3:$w(x):=\sin(m(x-\alpha))$ は $w''+m^2w=0$ の解で、$\alpha$ と $\alpha+\pi/m$ が隣り合う零点である。thm-stc-main を $w$ を第 1 式の解($Q_1=m^2$)、$u$ を第 2 式の解($Q_2=Q\ge m^2$)として当てると、$u$ は $(\alpha,\alpha+\pi/m)$ に零点をもつか、$[\alpha,\alpha+\pi/m]$ の上で $w$ の定数倍である。後者なら $u(\alpha)=u(\alpha+\pi/m)=0$ である。どちらの場合も、$u(\alpha)=0$ なら $(\alpha,\alpha+\pi/m]$ に零点がある。$\square$
2 と 3 を合わせると、$J$ の上で $m^2\le Q\le M^2$ なら、隣り合う零点 $a< b$ の間隔は $\pi/M\le b-a\le\pi/m$ を満たす(上からの評価は $a+\pi/m\in J$ のとき)。これは Tes12 Problem 5.27(p. 174)で、1 の $Q<0$ の場合は Problem 5.26(p. 174)である(どちらも記号は $-u''+qu=0$ で、$q=-Q$)。
$u''+xu=0$($J=\mathbb R$)の非自明な解 $u$ を考える。$(-\infty,0]$ では $Q=x\le0$ なので、cor-stc-spacing の 1 により $u$ の零点は高々 1 個である。$x_0>0$ とすると、$[x_0,\infty)$ では $Q\ge x_0$ なので、3 により $u$ は長さ $\pi/\sqrt{x_0}$ の区間ごとに零点をもち、零点は無限個ある。さらに $0< a< b$ が隣り合う零点なら、$[a,b]$ で $Q\le b$、$[a,\infty)$ で $Q\ge a$ なので
$$
\frac{\pi}{\sqrt b}\le b-a\le\frac{\pi}{\sqrt a}
$$
である。零点の間隔は $x\to\infty$ で $\pi/\sqrt x$ の程度で $0$ に近づく。
$J=[x_0,\infty)$ とする。方程式 $(pu')'+Qu=0$ の非自明な解で $J$ に無限個の零点をもつものがあるとき、方程式は $J$ で 振動的 であるといい、そうでないとき 非振動的 であるという。振動的なら、分離定理により すべての 非自明な解が無限個の零点をもつ($u$ の零点は有界な区間に有限個しかないので $+\infty$ に向かって並び、ほかの解は隣り合う零点の各組の間に零点をもつ)。非振動的なら、どの非自明な解もある点から先では零点をもたない。
cor-stc-spacing から、$Q\le0$ なら非振動的、$Q\ge m^2>0$ なら振動的である。$Q(x)\to0$ のときは、$Q$ と $1/(4x^2)$ の比較で決まる。
$x_0>0$、$J=[x_0,\infty)$ とし、$u''+Qu=0$ を考える。
比べる相手は Euler 型の方程式 $y''+\frac{\mu}{x^2}y=0$ である。$y=x^s$ が解になるのは $s(s-1)+\mu=0$ のときである。
1:$\mu=\frac14$ では $s=\frac12$ で、$v(x)=\sqrt x$ は $v''+\frac1{4x^2}v=0$ の解であり($v''=-\frac14x^{-3/2}$)、$J$ で正である。$u$ に隣り合う零点 $a< b$ があれば、thm-stc-main を $Q_1=Q\le\frac1{4x^2}=Q_2$ で当てると、$v$ は $(a,b)$ に零点をもたず、$v(a)\ne0$ なので $u$ の定数倍でもない。矛盾である。$\limsup x^2Q<\frac14$ なら、ある $x_1\ge x_0$ から先で $x^2Q\le\frac14$ なので、零点は $[x_1,\infty)$ に高々 1 個である。
2:$\beta:=\sqrt{c-\frac14}>0$ とおくと $s=\frac12\pm i\beta$ で、実部 $w(x)=\sqrt x\cos(\beta\log x)$ は $w''+\frac c{x^2}w=0$ の解である。その零点 $x_k=\exp\bigl((k+\frac12)\pi/\beta\bigr)$($k\in\mathbb Z$)は $+\infty$ に向かって並ぶ。$x_k\ge x_0$ となる $k$ について、thm-stc-main を $w$($Q_1=c/x^2$)と $u$($Q_2=Q\ge c/x^2$)で当てると、$u$ は $[x_k,x_{k+1}]$ の中の $x_k$ より右に零点をもつ。よって $u$ の零点は無限個である。$\liminf x^2Q>\frac14$ なら、$\frac14< c<\liminf x^2Q$ をとれば、ある点から先で $x^2Q\ge c$ である。$\square$
これは Tes12 Theorem 5.26(p. 174、$-u''+qu=0$ の形で $q=-Q$)で、証明も同じ比較による。境界の値 $\frac14$ では、$x^2Q(x)\to\frac14$ だけからはどちらとも決まらない。$Q=\frac1{4x^2}$ は 1 により非振動的である。一方、$x_0>1$、$\mu>\frac14$ として $Q(x)=\frac1{4x^2}+\frac{\mu}{x^2(\log x)^2}$ とすると $x^2Q\to\frac14$ だが、$u(x)=\sqrt x\,z(\log x)$ とおけば $u''+Qu=x^{-3/2}\bigl(z''(s)+\frac{\mu}{s^2}z(s)\bigr)$($s=\log x$)となり、$z$ の方程式は 2 により $[\log x_0,\infty)$ で振動的なので、もとの方程式も振動的である。
$\nu\in\mathbb R$ とし、$y$ を Bessel 方程式 $x^2y''+xy'+(x^2-\nu^2)y=0$ の $(0,\infty)$ 上の非自明な実数値の解とする(第 1 種 Bessel 関数 $J_\nu$ など)。$u:=\sqrt x\,y$ とおくと、計算により
$$
u''+\Bigl(1+\frac{1/4-\nu^2}{x^2}\Bigr)u=0
$$
であり、$u$ と $y$ の零点は同じである。
$y=x^{-1/2}u$ を代入すると $x^2y''+xy'+(x^2-\nu^2)y=x^{3/2}\bigl(u''+(1+(\frac14-\nu^2)x^{-2})u\bigr)$ である($x^2y''=\frac34x^{-1/2}u-x^{1/2}u'+x^{3/2}u''$、$xy'=-\frac12x^{-1/2}u+x^{1/2}u'$)。$Q(x):=1+(\frac14-\nu^2)/x^2$ について:
1.$x^2Q(x)\to\infty$ なので、thm-stc-kneser の 2 により $y$ は正の零点を無限個もつ。
2.$|\nu|<\frac12$ なら $Q>1$ なので、cor-stc-spacing の 3($m=1$)と thm-stc-main の最後の主張から、隣り合う零点の間隔は $\pi$ より小さい。$|\nu|>\frac12$ なら $Q<1$ なので、2($M=1$)から間隔は $\pi$ 以上で、同じ理由で $\pi$ より大きい。$|\nu|=\frac12$ なら $u''+u=0$ で、間隔はちょうど $\pi$ である。
3.$\varepsilon\in(0,1)$ について、$x$ が十分大きければ $(1-\varepsilon)^2\le Q(x)\le(1+\varepsilon)^2$ なので、そこでの間隔は $\pi/(1+\varepsilon)$ 以上 $\pi/(1-\varepsilon)$ 以下である。したがって隣り合う零点の間隔は $\pi$ に収束する。
Sturm–Liouville問題 の定義「正則 Sturm–Liouville 問題」で、両端の条件を Dirichlet 条件 $y(a)=y(b)=0$ とし、固有値をその記事の定理「正則な分離問題の展開定理」のとおり $\lambda_1<\lambda_2<\cdots$ と並べる。固有値は実数で(定理「Lagrange の恒等式と固有関数の直交性」)、係数も実数なので、固有関数の実部と虚部も同じ方程式と境界条件を満たし、そのどちらかは $0$ でない。よって固有関数は実数値にとれ、定数倍を除いて一意である(定理「各固有値の固有関数の自由度」)。それを $\phi_n$ とする。固有方程式 $-(p\phi')'+q\phi=\lambda r\phi$ は
$$
(p\phi')'+(\lambda r-q)\phi=0
$$
と書けるので、$Q=\lambda r-q$ として比較定理が使える。$r>0$ なので、$\lambda$ を大きくすると $Q$ はすべての点で真に大きくなる。
$x_0:=a< x_1<\cdots< x_k< x_{k+1}:=b$ を、$\phi_n$ の $(a,b)$ の零点 $x_1,\dots,x_k$ に両端を加えたものとする。$\phi_{n+1}$ は各区間 $(x_{j},x_{j+1})$($0\le j\le k$)に零点をもつ。とくに $\phi_n$ は $(a,b)$ に少なくとも $n-1$ 個の零点をもつ。
Dirichlet 条件から $x_0,\dots,x_{k+1}$ はすべて $\phi_n$ の零点で、$x_j$ と $x_{j+1}$ は隣り合う零点である。thm-stc-main を $p_1=p_2=p$、$Q_1=\lambda_nr-q$、$Q_2=\lambda_{n+1}r-q$ で当てる。$Q_2-Q_1=(\lambda_{n+1}-\lambda_n)r>0$ なので、最後の主張から $\phi_{n+1}$ は $(x_j,x_{j+1})$ に零点をもつ。区間は $k+1$ 個で互いに交わらないので、$\phi_{n+1}$ の零点の個数は $\phi_n$ の零点の個数より 1 以上多い。$\phi_1$ の零点は $0$ 個以上なので、帰納法で $\phi_n$ の零点は $n-1$ 個以上である。$\square$
実際には $\phi_n$ の $(a,b)$ の零点はちょうど $n-1$ 個である(一般の分離境界条件でも成り立つ。Tes12 Theorem 5.17、p. 169。証明には Prüfer 変換 $u=\rho\sin\theta$、$pu'=\rho\cos\theta$ による角度 $\theta$ の比較を使う。この記事では証明しない)。この個数を認めると、prop-stc-eigen の $n$ 個の区間に $\phi_{n+1}$ の $n$ 個の零点が 1 つずつ入るので、$\phi_n$ と $\phi_{n+1}$ の零点は交互に並ぶ(Tes12 Lemma 5.21、p. 171)。$p=r=1$、$q=0$、$[a,b]=[0,\pi]$ なら $\phi_n=\sin nx$ で、零点 $k\pi/n$ がこのとおりに並んでいる。
thm-stc-main と thm-stc-separation の条件を 1 つずつ外すと、結論が成り立たなくなる。$J=\mathbb R$、$u=\sin x$、$a=0$、$b=\pi$ とする。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $Q_2\ge Q_1$ | $p_1=p_2=1$、$Q_1=1$、$Q_2=0$、$v\equiv1$ | $v$ が $(0,\pi)$ に零点をもつ |
| $p_1\ge p_2$ | $p_1=1$、$p_2=4$、$Q_1=Q_2=1$、$v=\cos(x/2)$ | $v$ が $(0,\pi)$ に零点をもつ |
| 解が実数値 | $p_1=p_2=1$、$Q_1=Q_2=1$、$v=e^{ix}$ | $v$ が $(0,\pi)$ に零点をもつ |
| 分離定理の 1 次独立 | 同じ方程式 $u''+u=0$、$v=u$ | $v$ が $(0,\pi)$ にちょうど 1 つの零点をもつ |
各行は左の列の条件だけを破っている。
どの行でも $u=\sin x$ は $u''+u=0$ の解で、$0$ と $\pi$ は隣り合う零点である。
1 行目:$v\equiv1$ は $v''=0$ の解で、零点をもたず、$u$ の定数倍でない。$p_1\ge p_2$ は成り立ち、$Q_2=0<1=Q_1$ だけが破れている。
2 行目:$v=\cos(x/2)$ は $(4v')'=-\cos(x/2)=-v$ を満たすので $(4v')'+v=0$ の解である。$(0,\pi)$ で $x/2\in(0,\pi/2)$ なので $v>0$ で、$u$ の定数倍でない。$Q_1=Q_2$ は成り立ち、$p_1=1<4=p_2$ だけが破れている。
3 行目:$v=e^{ix}=\cos x+i\sin x$ は $v''+v=0$ を満たす複素数値の関数で、$|v|=1$ なので零点をもたない。$u$ の(複素数の)定数倍でもない($v(0)=1$、$u(0)=0$)。係数の条件は等号で成り立つ。実部 $\cos x$ と虚部 $\sin x$ はそれぞれ実数値の解で、実部は $(0,\pi)$ に零点 $\pi/2$ をもつ。
4 行目:$v=u$ の零点は $u$ の零点と一致し、$(0,\pi)$ には零点がない。比較定理の結論は 2(定数倍)の側で成り立っている。
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する