正規作用素(normal operator)とは、複素 Hilbert 空間上の有界線形作用素 $T$ で、随伴 $T^*$ と可換、すなわち $T^*T=TT^*$ を満たすもののことである。これは各ベクトル $x$ で $\|Tx\|=\|T^*x\|$ となることと同値で、自己共役作用素・ユニタリ作用素・$L^2$ 上の掛け算作用素が典型例である。正規作用素のスペクトルの点はすべて近似固有値であり、作用素ノルムはスペクトル半径に等しく、自己共役性やユニタリ性はスペクトルが実軸や単位円に含まれることで判定できる。可分な空間ではスペクトル定理によりスペクトル測度による積分で表され、有限次元の正規行列の対角化を無限次元へ広げる概念である。
有限次元の複素内積空間では、正規直交基底で対角化できる行列は、$AA^*=A^*A$ を満たす正規行列にちょうど一致する。自己共役な行列もユニタリ行列もこの仲間で、固有値が実数か絶対値 $1$ かの違いがあるだけである。
無限次元の Hilbert 空間では、固有ベクトルの基底は一般には存在しない。それでも $TT^*=T^*T$ という条件は強い性質を保つ。ノルムが随伴と同じ大きさで測れること、スペクトルが「ほとんど固有値」の集まりであること、作用素ノルムがスペクトル半径に等しいことである。この条件を満たす有界作用素を正規作用素という。自己共役作用素、ユニタリ作用素、$L^2$ 上の掛け算作用素、平行移動と可換な作用素はどれも正規作用素であり、自己共役作用素についての スペクトル定理 は正規作用素にも広がり、正規作用素はスペクトル測度による積分で表される。
以下、とくに断らない限り $H\ne\{0\}$ を複素 Hilbert 空間とし、内積は 随伴作用素 の記事と同じく第 1 変数に線形、第 2 変数に共役線形とする。$B(H)$ は $H$ 上の有界線形作用素全体で、$T\in B(H)$ のスペクトルを $\sigma(T)=\{\lambda\in\mathbb C:T-\lambda\text{ は全単射でない}\}$ と書く。全単射な有界作用素の逆は 有界逆写像定理 により有界なので、これは スペクトル半径 の記事の $B(H)$ でのスペクトルと同じである。$I$ は恒等作用素で、$T-\lambda$ は $T-\lambda I$ の略である。
$T\in B(H)$ が
$$
T^*T=TT^*
$$
を満たすとき、$T$ を正規作用素(normal operator)という。
自己共役作用素($T^*=T$)、歪自己共役作用素($T^*=-T$)、ユニタリ作用素($T^*T=TT^*=I$)は正規作用素である。$T$ が正規なら、$T^*$、複素数 $\lambda$ による $T-\lambda$、$T$ の多項式も正規である。有界でない作用素についても、定義域を込めて $T^*T=TT^*$ を課した正規作用素が考えられるが(Bre11 Comments on Chapter 6 の 4、p. 170)、この記事では有界な場合だけを扱う。
$T\in B(H)$ を $A=\frac12(T+T^*)$、$B=\frac1{2i}(T-T^*)$ とおいて $T=A+iB$ と書くと、$A,B$ は自己共役である。これを $T$ のCartesian 分解という。
$(X,\mu)$ を σ-有限な測度空間、$\varphi\in L^\infty(\mu)$ とし、$L^2(\mu)$ 上の掛け算作用素 $M_\varphi f=\varphi f$ を考える。随伴作用素 の節「行列、ずらし、掛け算作用素」のとおり $M_\varphi^*=M_{\overline\varphi}$ なので、
$$
M_\varphi^*M_\varphi=M_{\lvert\varphi\rvert^2}=M_\varphi M_\varphi^*
$$
であり、$M_\varphi$ は正規である。$X=\mathbb N$ に数え上げ測度を入れると、$\ell^2$ 上の対角作用素 $(x_k)\mapsto(a_kx_k)$($(a_k)$ は有界な複素数列)になる。$L^2(\mathbb R^n)$ 上の Fourier 乗数作用素は、Fourier 変換で掛け算作用素と移り合うので正規である(平行移動と可換な作用素)。
正規でない作用素の典型は $\ell^2(\mathbb Z_{\ge0})$ の片側シフト $S(x_0,x_1,\dots)=(0,x_0,x_1,\dots)$ である。$S^*S=I$ だが $SS^*$ は第 $0$ 成分を $0$ にする直交射影であり、$S^*S\ne SS^*$ である。正規作用素の和や積は正規とは限らない。和については、どの $T$ も Cartesian 分解で自己共役な $A$ と正規な $iB$ の和に書けるので、正規でない $T$(上の片側シフト $S$ など)がそのまま例になる。積については、たとえば $\mathbb C^2$ 上の自己共役な $P=\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix}$、$Q=\begin{pmatrix}1&1\\1&1\end{pmatrix}$ の積 $PQ=\begin{pmatrix}1&1\\0&0\end{pmatrix}$ は、$(PQ)^*(PQ)=\begin{pmatrix}1&1\\1&1\end{pmatrix}$、$(PQ)(PQ)^*=\begin{pmatrix}2&0\\0&0\end{pmatrix}$ なので正規でない。
$T\in B(H)$ について次は同値である。
1 ⇔ 2:$D=T^*T-TT^*$ は自己共役で、
$$
\|Tx\|^2-\|T^*x\|^2=\langle T^*Tx,x\rangle-\langle TT^*x,x\rangle=\langle Dx,x\rangle
$$
である。1 なら右辺は $0$ である。2 ならすべての $x$ で $\langle Dx,x\rangle=0$ であり、自己共役作用素 の命題「2 次形式によるノルムとスペクトルの端」の 1 により $\|D\|=\sup_{\|x\|=1}\lvert\langle Dx,x\rangle\rvert=0$、すなわち $D=0$ である。
1 ⇔ 3:$T^*=A-iB$ なので、
$$
T^*T=A^2+B^2+i(AB-BA),\qquad TT^*=A^2+B^2-i(AB-BA)
$$
であり、$T^*T-TT^*=2i(AB-BA)$ である。$\square$
$T\in B(H)$ を正規作用素とする。
1:前半は prop-no-char の 2 から従う。後半は 随伴作用素 の命題「核と像の直交補」の $\overline{\operatorname{ran}T}=(\ker T^*)^\perp$ に前半を使う。2:$T-\lambda$ は正規で $(T-\lambda)^*=T^*-\overline\lambda$ なので、1 を $T-\lambda$ に使う。3:$Tx=\lambda x$、$Ty=\mu y$、$\lambda\ne\mu$ とすると、2 から $T^*y=\overline\mu y$ なので
$$
\lambda\langle x,y\rangle=\langle Tx,y\rangle=\langle x,T^*y\rangle=\langle x,\overline\mu y\rangle=\mu\langle x,y\rangle
$$
であり、$\langle x,y\rangle=0$ である。$\square$
正規でない作用素では 1 の前半が崩れる。片側シフトでは $\ker S=\{0\}$ だが $\ker S^*$ は第 $0$ 成分だけの列からなる 1 次元の空間である。
一般の有界作用素では、$\lambda\in\sigma(T)$ であっても $T-\lambda$ が下に有界(ある $c>0$ ですべての $x$ について $\|(T-\lambda)x\|\ge c\|x\|$)なことがある。片側シフトの $\lambda=0$ がその例で、$S$ は等長だが全射でない。正規作用素ではこれが起こらず、スペクトルの点はすべて「近似的な固有値」である。
$T\in B(H)$ を正規作用素とする。
1:そのような列があれば $T-\lambda$ は有界な逆をもたない(逆 $R$ があれば $1=\|x_k\|\le\|R\|\,\|(T-\lambda)x_k\|\to0$ となる)ので、$\lambda\in\sigma(T)$ である。逆に、そのような列がないとすると、ある $c>0$ ですべての $x$ について $\|(T-\lambda)x\|\ge c\|x\|$ となる。$N=T-\lambda$ とおく。$N$ は正規なので、prop-no-char から $\|N^*x\|=\|Nx\|\ge c\|x\|$ であり、$\ker N^*=\{0\}$ である。随伴作用素 の命題「核と像の直交補」により $\overline{\operatorname{ran}N}=(\ker N^*)^\perp=H$ である。さらに $\operatorname{ran}N$ は閉じている:$Nx_k\to y$ なら $\|x_k-x_l\|\le c^{-1}\|Nx_k-Nx_l\|$ から $(x_k)$ は Cauchy 列で、極限 $x$ について $Nx=y$ である。よって $N$ は全射であり、下に有界なので単射でもある。したがって $\lambda\notin\sigma(T)$ である。
2:まず一般の $T\in B(H)$ について $\|T^*T\|=\|T\|^2$ である。実際 $\|Tx\|^2=\langle T^*Tx,x\rangle\le\|T^*T\|\,\|x\|^2$ であり、逆に 随伴作用素 の命題「ノルムと二重随伴」の $\|T^*\|=\|T\|$ から $\|T^*T\|\le\|T\|^2$ である。$T$ が正規なら、prop-no-char を $Tx$ に使って $\|T^2x\|=\|T(Tx)\|=\|T^*(Tx)\|$ なので
$$
\|T^2\|=\|T^*T\|=\|T\|^2
$$
である。$T^{2^{j}}$ も正規なので、これを繰り返して $\|T^{2^k}\|=\|T\|^{2^k}$ を得る。スペクトル半径 の定理「Gelfand のスペクトル半径公式」を部分列 $n=2^k$ で使うと $r(T)=\lim_k\|T^{2^k}\|^{2^{-k}}=\|T\|$ である。一般の $n$ では、$\|T^n\|\le\|T\|^n$ と、スペクトル半径 の命題「スペクトル半径の基本性質」の 1 による $\|T\|^n=r(T)^n=r(T^n)\le\|T^n\|$ から等号が成り立つ。
3:右辺を $w(T)$ とおくと、Cauchy–Schwarz の不等式から $w(T)\le\|T\|$ である。$\lambda\in\sigma(T)$ とし、1 の列 $(x_k)$ をとると
$$
\lvert\langle Tx_k,x_k\rangle-\lambda\rvert=\lvert\langle(T-\lambda)x_k,x_k\rangle\rvert\le\|(T-\lambda)x_k\|\to0
$$
なので $\lvert\lambda\rvert\le w(T)$ である。$\lambda$ を $\sigma(T)$ で動かして $r(T)\le w(T)$ を得るので、2 と合わせて $\|T\|=r(T)\le w(T)\le\|T\|$ である。$\square$
2 の等式 $\|T^*T\|=\|T\|^2$ は C-代数の公理の 1 つ(C 等式)であり、$r(T)=\|T\|$ は C-代数の正規元で一般に成り立つ(Sun00 Proposition 3.3.10、pp. 111–112 の、正規元 $x$ について $C(\sigma(x))$ から $x$ の生成する C-部分代数への等長同型による)。
$T\in B(H)$ を正規作用素とする。
3 では次の事実を使う。$T$ が可逆なら、$\mu\ne0$ について $T^{-1}-\mu=-\mu T^{-1}(T-\mu^{-1})$ なので、$\sigma(T^{-1})=\{\lambda^{-1}:\lambda\in\sigma(T)\}$ である。また $(T^{-1})^*=(T^*)^{-1}$ なので、正規作用素の逆は正規である。
1:$\sigma(T)=\{0\}$ なら thm-no-spectrum の 2 から $\|T\|=r(T)=0$ である。逆は明らかである。
2:自己共役なら $\sigma(T)\subset\mathbb R$ であることは 自己共役作用素 の定理「自己共役作用素のスペクトル」にある。逆に $\sigma(T)\subset\mathbb R$ とし、実数 $b\ne0$ をとる。$ib\notin\sigma(T)$ なので $R=(T-ib)^{-1}$ は存在して正規であり、$\sigma(R)=\{(\lambda-ib)^{-1}:\lambda\in\sigma(T)\}$ の点の絶対値は $\lvert b\rvert^{-1}$ 以下である。thm-no-spectrum の 2 を $R$ に使うと $\|R\|=r(R)\le\lvert b\rvert^{-1}$、すなわち $\|(T-ib)x\|\ge\lvert b\rvert\,\|x\|$ である。左辺の 2 乗を展開すると
$$
\|Tx\|^2-2b\operatorname{Im}\langle Tx,x\rangle+b^2\|x\|^2\ge b^2\|x\|^2
$$
なので、すべての実数 $b\ne0$ について $2b\operatorname{Im}\langle Tx,x\rangle\le\|Tx\|^2$ である。$b\to\pm\infty$ として $\operatorname{Im}\langle Tx,x\rangle=0$ を得る。すべての $x$ で $\langle Tx,x\rangle$ が実数なので、随伴作用素 の節「自己随伴・正規・ユニタリ」のとおり、偏極恒等式により $T=T^*$ である。
3:$T$ がユニタリなら $\|T\|=\|T^{-1}\|=1$ なので、$\sigma(T)$ は $\lvert\lambda\rvert\le1$ と(逆のスペクトルの式から)$\lvert\lambda\rvert\ge1$ の両方に含まれる。逆に $\sigma(T)$ が単位円に含まれるとすると、$0\notin\sigma(T)$ なので $T$ は可逆で、$T$ と $T^{-1}$ はどちらも正規でスペクトルが単位円に含まれる。thm-no-spectrum の 2 から $\|T\|=\|T^{-1}\|=1$ であり、$\|x\|=\|T^{-1}Tx\|\le\|Tx\|\le\|x\|$ となる。よって $\langle T^*Tx,x\rangle=\|x\|^2$ がすべての $x$ で成り立ち、prop-no-char の証明と同じく自己共役な $T^*T-I$ は $0$ である。$T^*T=I$ と $T$ の可逆性から $T^*=T^{-1}$、したがって $TT^*=I$ である。$\square$
正規性を仮定しないと、どの同値も成り立たない。$N=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}$ は $\sigma(N)=\{0\}\subset\mathbb R$ だが $N\ne0$ で、自己共役でもない。
ex-no-multiplication の掛け算作用素では、スペクトルとノルムが関数の値から直接読める。$\varphi$ の本質的値域 $R(\varphi)$ は 本質的上限 の定義「本質的値域」のとおりとする。
$(X,\mu)$ を $\mu(X)>0$ の σ-有限な測度空間、$\varphi\in L^\infty(\mu)$ とする。
1:$\lambda\notin R(\varphi)$ なら、ある $\varepsilon>0$ で $\mu(\{\lvert\varphi-\lambda\rvert<\varepsilon\})=0$ なので、$\psi=1/(\varphi-\lambda)$ は(零集合を除いて)$\lvert\psi\rvert\le\varepsilon^{-1}$ を満たし、$M_\psi$ が $M_\varphi-\lambda=M_{\varphi-\lambda}$ の有界な逆である。$\lambda\in R(\varphi)$ なら、各 $k$ について $E_k=\{\lvert\varphi-\lambda\rvert<1/k\}$ は正の測度をもち、σ-有限性から $0<\mu(F_k)<\infty$ の可測集合 $F_k\subset E_k$ がとれる。$x_k=\mu(F_k)^{-1/2}\mathbf 1_{F_k}$ とおくと $\|x_k\|=1$、$\|(M_\varphi-\lambda)x_k\|\le1/k$ なので、thm-no-spectrum の 1 により $\lambda\in\sigma(M_\varphi)$ である。ノルムは thm-no-spectrum の 2 と 本質的上限 の命題「本質的値域と本質的上限」の 3 から $\|M_\varphi\|=r(M_\varphi)=\max\{\lvert\lambda\rvert:\lambda\in R(\varphi)\}=\|\varphi\|_\infty$ である。
2:$M_\varphi f=\lambda f$ は、ほとんどいたるところ $(\varphi-\lambda)f=0$、すなわち $f$ が $\{\varphi=\lambda\}$ の外でほとんどいたるところ $0$ であることと同値である。$\mu(\{\varphi=\lambda\})>0$ なら、その部分集合で測度が正かつ有限なものの指示関数が固有ベクトルになる。測度が $0$ なら $f=0$ しかない。$\square$
たとえば $L^2([0,1])$ 上の $M_t f(t)=tf(t)$ は $\sigma=[0,1]$ で固有値をもたない(スペクトル定理 の命題「掛け算作用素のスペクトル」)。$\ell^2$ の対角作用素 $(a_kx_k)$ のスペクトルは $\{a_k\}$ の閉包で、固有値は $a_k$ たちである。
可分な Hilbert 空間の上の正規作用素は、スペクトルの上の射影値の測度による積分として表される。この記事では証明しないが、次が成り立つ(Sun00 Theorem 4.1.2、p. 148)。可分な複素 Hilbert 空間 $H$ 上の正規作用素 $T$ には、$\sigma(T)$ の Borel 集合 $E$ に直交射影 $P(E)$ を対応させるスペクトル測度 $P$ がただ 1 つあって、
$$
\langle Tx,y\rangle=\int_{\sigma(T)}\lambda\,d\langle P(\lambda)x,y\rangle\qquad(x,y\in H)
$$
となる。さらに、$T$ と $T^*$ と $I$ で生成される von Neumann 環は、$\sigma(T)$ 上のある有限測度についての $L^\infty$ と等長な $*$-同型になる(Sun00 Proposition 4.1.5、p. 150。von Neumann環 の節「例」も参照)。可分な Hilbert 空間上のコンパクトな正規作用素では、$0$ でないスペクトルは有限重複度の固有値の列で、固有ベクトルの正規直交系で $T$ が対角化される(Sun00 Proposition 4.3.7、p. 162)。掛け算作用素とのユニタリ同値の形は スペクトル定理 の定理「正規作用素のスペクトル定理(掛け算作用素の形)」にあり、自己共役な場合の射影値測度の形も同じ記事が扱う。
実 Hilbert 空間でも def-no-main は同じ式で定める。prop-no-char の 1 ⇔ 2 と cor-no-eigen は同じ証明で成り立つ(自己共役作用素のノルムを 2 次形式で表す式は実 Hilbert 空間でも成り立つ。Bre11 Proposition 6.9、pp. 165–167)。一方、スペクトルについての thm-no-spectrum の 3 は実数体では成り立たない。$\mathbb R^2$ の $90^\circ$ 回転 $J(x_1,x_2)=(-x_2,x_1)$ は $J^*J=JJ^*=I$ を満たす正規作用素だが、すべての $x$ で $\langle Jx,x\rangle=0$ であり、$\|J\|=1$ と一致しない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 正規性 | $\mathbb C^2$ 上の $N=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}$ | $r(T)=\|T\|$(thm-no-spectrum の 2) |
| 正規性 | $\ell^2(\mathbb Z_{\ge0})$ の片側シフト $S$ | スペクトルの点に近似固有ベクトルがあること(thm-no-spectrum の 1) |
| 正規性 | $\mathbb C^2$ 上の $A=\begin{pmatrix}1&1\\0&2\end{pmatrix}$ | 異なる固有値の固有ベクトルの直交性(cor-no-eigen の 3) |
| 係数体が複素数であること | $\mathbb R^2$ の $90^\circ$ 回転 $J$ | $\|T\|=\sup_{\|x\|=1}\lvert\langle Tx,x\rangle\rvert$(thm-no-spectrum の 3) |
1 行目:$N^2=0$ なので $r(N)=\lim\|N^n\|^{1/n}=0$ だが $\|N\|=1$ である。$N^*N=\begin{pmatrix}0&0\\0&1\end{pmatrix}$、$NN^*=\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix}$ で正規でない。2 行目:$S$ は全射でないので $0\in\sigma(S)$ だが、$\|Sx\|=\|x\|$ なので $\|Sx_k\|\to0$ となる単位ベクトルの列はない。3 行目:固有値 $1,2$ の固有ベクトルは $(1,0)$ と $(1,1)$ で、内積は $1$ である。$A^*A$ の $(1,1)$ 成分は $1$、$AA^*$ の $(1,1)$ 成分は $2$ なので正規でない。4 行目は前の節のとおりである。
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