円周法

同義語:Hardy–Littlewoodの円周法Hardy–Littlewood法circle methodHardy–Littlewood method

概要

円周法(circle method)とは、整数 $n$ を $k$ 乗数などの和で表す方法の個数を、指数和 $f(\alpha)=\sum_{x\le P}e(\alpha x^k)$ の冪の積分 $\int_0^1f(\alpha)^se(-n\alpha)\,d\alpha$ で表し、積分区間を分母の小さい有理数の近くの主弧と残りの副弧に分けて評価する方法である。Hardy と Ramanujan が分割数の研究で始め、Hardy と Littlewood が Waring の問題に用いた。副弧の上では Weyl の不等式が指数和を各点で押さえ、Hua の補題がその平均を押さえるので、変数の個数 $s$ が $2^k+1$ 以上なら副弧の寄与は主項の大きさ $n^{s/k-1}$ より小さい。主弧からは、特異級数を含む主項が現れる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: Fourier級数, Landau記号, ディオファントス近似, 約数関数

円周法(circle method)は、整数 $n$ をある数の集合の元の和で表す方法の個数を、指数和の積分として書き、その積分を単位区間の部分ごとに評価して漸近式を得る方法である。Hardy と Ramanujan が分割数の研究で用いたのが始まりで、Hardy と Littlewood が Waringの問題 に用いて一般の方法にした(VW02 pp. 3, 8)。Hardy–Littlewood の方法 ともいう。Vinogradov は素数にわたる指数和の評価と組み合わせて、十分大きい奇数が 3 つの素数の和であることを示した(Goldbach予想 の定理「Vinogradovの定理」)。
この記事では $k$ 乗数の和の場合を扱う。表し方の個数を積分で書く式を示し、単位区間を、分母の小さい有理数の近くの 主弧 と、それ以外の 副弧 に分ける。そのうえで、副弧の上で指数和が小さいことを示す Weyl の不等式 と、指数和の高い冪の積分を評価する Hua の補題 を証明し、変数の個数が $2^k+1$ 以上なら副弧の寄与が主項より小さくなることを示す。主弧の上の計算は所在を示して述べる。

設定と積分表示

Weyl 和と表し方の個数

実数 $\alpha$ に対し $e(\alpha):=\exp(2\pi i\alpha)$、$\|\alpha\|:=\min_{m\in\mathbb{Z}}|\alpha-m|$(最も近い整数までの距離)とおく。$e$ は周期 $1$ をもつ。
$k\ge2$、$s\ge1$ を整数とする。正の整数 $n$ に対し、
$$ R_{s,k}(n):=\#\{(x_1,\dots,x_s)\in\mathbb{Z}^s : x_i\ge1,\ x_1^k+\dots+x_s^k=n\} $$
を、$n$ を $s$ 個の正の整数の $k$ 乗の和で表す方法の個数(順序を区別する)とする。実数 $P\ge1$ に対し
$$ f(\alpha)=f_P(\alpha):=\sum_{1\le x\le P}e(\alpha x^k) $$
とおき、Weyl 和 という。$f$ も周期 $1$ をもち、$f(0)=\lfloor P\rfloor$ である。

直交関係

整数 $m$ について
$$ \int_0^1e(m\alpha)\,d\alpha=\begin{cases}1&(m=0),\\0&(m\ne0)\end{cases} $$
である。

$m=0$ なら被積分関数は $1$ である。$m\ne0$ なら $e(m\alpha)$ は $\frac{1}{2\pi im}e(m\alpha)$ の導関数で、$e(m)=e(0)=1$ なので積分は $0$ である。$\square$

個数の積分表示

$n\ge1$、$P:=n^{1/k}$ とする。

  1. $\displaystyle R_{s,k}(n)=\int_0^1f(\alpha)^s\,e(-n\alpha)\,d\alpha$ である。
  2. 整数 $t\ge1$ について、$\displaystyle\int_0^1|f(\alpha)|^{2t}\,d\alpha$ は、$1\le x_i,y_i\le P$ を満たす整数の組 $(x_1,\dots,x_t,y_1,\dots,y_t)$ で $x_1^k+\dots+x_t^k=y_1^k+\dots+y_t^k$ となるものの個数に等しい。

1:$f(\alpha)^s$ を展開すると $\sum e\bigl(\alpha(x_1^k+\dots+x_s^k)\bigr)$(各 $x_i$ は $1\le x_i\le P$ を動く)になる。$e(-n\alpha)$ を掛けて項ごとに積分すると、lem-cm-orthogonality により $x_1^k+\dots+x_s^k=n$ となる組だけが $1$ を与える。$x_i\ge1$ で $x_1^k+\dots+x_s^k=n$ なら $x_i^k\le n$、つまり $x_i\le P$ なので、こうして数えた組は $R_{s,k}(n)$ の数える組のすべてである。2:$|f|^{2t}=f^t\,\overline{f}^t$ を展開すると $\sum e\bigl(\alpha(x_1^k+\dots+x_t^k-y_1^k-\dots-y_t^k)\bigr)$ になり、同じく lem-cm-orthogonality による。$\square$

$z=e(\alpha)$ とおけば、1 は $F(z)^s$($F(z)=\sum_{1\le x\le P}z^{x^k}$)の $z^n$ の係数を単位円周上の Cauchy の積分で取り出す式である。

主弧と副弧

$f(\alpha)$ の大きさは $\alpha$ の位置で大きく変わる。$\alpha=0$ では $f(0)=\lfloor P\rfloor$ で、項がすべてそろう。$\alpha$ が分母 $q$ の小さい既約分数 $a/q$ に近いと、$e(ax^k/q)$ は $x$ を $q$ で割った余りだけで決まるので、$f(\alpha)$ はおよそ
$$ q^{-1}S(q,a)\,v(\alpha-a/q),\qquad S(q,a):=\sum_{r=1}^qe(ar^k/q),\qquad v(\beta):=\int_0^Pe(\beta\gamma^k)\,d\gamma $$
になる(VW02 p. 8)。一方、分母の小さい有理数から離れた $\alpha$ では、項 $e(\alpha x^k)$ の向きがばらばらになり、$f(\alpha)$ は $P$ よりずっと小さくなると期待される。そこで単位区間を次のように分ける。

主弧と副弧

$0< \nu< \frac12$ を固定し、$P\ge1$ とする。$\mathfrak{U}:=(P^{\nu-k},\,1+P^{\nu-k}]$ とおく。整数 $1\le a\le q\le P^\nu$、$\gcd(a,q)=1$ に対し
$$ \mathfrak{M}(q,a):=\{\alpha\in\mathfrak{U} : |\alpha-a/q|\le P^{\nu-k}\} $$
とおき、その和集合 $\mathfrak{M}$ を 主弧(major arcs)、$\mathfrak{m}:=\mathfrak{U}\setminus\mathfrak{M}$ を 副弧(minor arcs)という。

$f(\alpha)^se(-n\alpha)$ は周期 $1$ をもつので、prop-cm-integral の積分は長さ $1$ の区間 $\mathfrak{U}$ 上の積分に等しく、
$$ R_{s,k}(n)=\int_{\mathfrak{M}}f(\alpha)^se(-n\alpha)\,d\alpha+\int_{\mathfrak{m}}f(\alpha)^se(-n\alpha)\,d\alpha $$
となる。$P$ が大きいと主弧どうしは交わらない。実際、$a/q\ne a'/q'$ なら $|a/q-a'/q'|\ge1/(qq')\ge P^{-2\nu}$ であり、これは $2P^{\nu-k}$ より大きい($k-3\nu>0$)。主弧の長さの合計は $\sum_{q\le P^\nu}q\cdot2P^{\nu-k}\le2P^{3\nu-k}$ 以下で、ごく短い。
主弧と副弧を分けるには、どの実数も分母の小さすぎない有理数で近似できることを使う。

Dirichlet の近似定理

$\alpha$ を実数、$Q\ge1$ を実数とする。整数 $a$、$q$ で
$$ 1\le q\le Q,\qquad \gcd(a,q)=1,\qquad \Bigl|\alpha-\frac aq\Bigr|< \frac1{qQ} $$
を満たすものがある。

要点:$N+2$ 個の点を $N+1$ 個の区間に入れる鳩の巣原理($N=\lfloor Q\rfloor$)。

詳しい証明を開く

$N:=\lfloor Q\rfloor\ge1$ とし、$[0,1]$ を $N+1$ 個の区間 $J_i:=[\frac i{N+1},\frac{i+1}{N+1})$($0\le i\le N-1$)と $J_N:=[\frac N{N+1},1]$ に分ける。$N+2$ 個の点 $\{0\alpha\},\{1\alpha\},\dots,\{N\alpha\}$ と $1$($\{y\}:=y-\lfloor y\rfloor$)のうち 2 つが同じ区間に入る。$\{q_1\alpha\}$ と $\{q_2\alpha\}$($q_1< q_2$)が同じ区間にあれば、$q:=q_2-q_1$、$p:=\lfloor q_2\alpha\rfloor-\lfloor q_1\alpha\rfloor$ について $|q\alpha-p|< \frac1{N+1}$ である。$\{q_1\alpha\}$ と $1$ が同じ区間 $J_N$ にあれば、$\{0\alpha\}=0\notin J_N$ なので $q:=q_1\ge1$ であり、$p:=\lfloor q_1\alpha\rfloor+1$ について $|q\alpha-p|\le\frac1{N+1}$ である。どちらでも $1\le q\le N\le Q$、$|q\alpha-p|\le\frac1{N+1}< \frac1Q$ である。$d:=\gcd(p,q)$ で割って $a:=p/d$、$q':=q/d$ とすると $\gcd(a,q')=1$、$1\le q'\le Q$ で、$|q'\alpha-a|=|q\alpha-p|/d< 1/Q$、つまり $|\alpha-a/q'|< 1/(q'Q)$ である。$\square$

Weyl の不等式

副弧の上の $\alpha$ について $f(\alpha)$ が $P$ より冪の分だけ小さいことを示すのが Weyl の不等式である。以下、$K:=2^{k-1}$ とおき、まず証明に使う 4 つの補題を示す。整数の区間 $I$(連続する整数の有限集合)と実数係数の多項式 $\psi$ に対し $T_I(\psi):=\sum_{x\in I}e(\psi(x))$ と書く。整数 $h$ に対し $\Delta_h\psi(x):=\psi(x+h)-\psi(x)$、$\Delta_{h_1,\dots,h_j}:=\Delta_{h_j}\circ\dots\circ\Delta_{h_1}$ とおき、$I\subset[1,N]$ と $h=(h_1,\dots,h_j)$ に対し
$$ I_j(h):=\Bigl\{x\in\mathbb{Z} : \text{どの部分集合 }S\subset\{1,\dots,j\}\text{ についても }x+\textstyle\sum_{i\in S}h_i\in I\Bigr\} $$
とおく。これは $I$ の平行移動の共通部分なので、$I$ に含まれる整数の区間である。

Weyl の差分法

$N\ge1$ を整数、$I\subset[1,N]$ を整数の区間、$\psi$ を実数係数の多項式とする。整数 $j\ge1$ について
$$ |T_I(\psi)|^{2^j}\le(2N)^{2^j-j-1}\sum_{|h_1|< N}\cdots\sum_{|h_j|< N}\bigl|T_{I_j(h)}(\Delta_{h_1,\dots,h_j}\psi)\bigr| $$
である(各 $h_i$ は $|h_i|< N$ の整数を動く)。

要点:$|T|^2$ を $y=x+h$ と書き直して差分の和にし、Cauchy–Schwarz の不等式で繰り返す。

詳しい証明を開く

$j=1$:$|T_I(\psi)|^2=\sum_{x,y\in I}e(\psi(y)-\psi(x))$ で、$y=x+h$ とおくと $|h|\le N-1$ なので $|T_I(\psi)|^2=\sum_{|h|< N}\sum_{x\in I_1(h)}e(\Delta_h\psi(x))=\sum_{|h|< N}T_{I_1(h)}(\Delta_h\psi)$ であり、右辺の各項の絶対値をとればよい(指数は $2-1-1=0$)。

$j$ から $j+1$ へ:仮定の不等式を 2 乗し、和の項数が $(2N-1)^j\le(2N)^j$ であることから Cauchy–Schwarz の不等式を使うと $|T_I(\psi)|^{2^{j+1}}\le(2N)^{2(2^j-j-1)+j}\sum_h|T_{I_j(h)}(\Delta_{h_1,\dots,h_j}\psi)|^2$ である。$j=1$ の場合を区間 $I_j(h)\subset[1,N]$ と多項式 $\Delta_{h_1,\dots,h_j}\psi$ に使うと、$|T_{I_j(h)}(\Delta_{h_1,\dots,h_j}\psi)|^2\le\sum_{|h_{j+1}|< N}|T_{I_{j+1}(h,h_{j+1})}(\Delta_{h_1,\dots,h_{j+1}}\psi)|$ である($x$ と $x+h_{j+1}$ がともに $I_j(h)$ に入る条件は、$x\in I_{j+1}(h,h_{j+1})$ と同じ)。指数は $2^{j+1}-2j-2+j=2^{j+1}-(j+1)-1$ である。$\square$

差分の次数と最高次の係数

$\psi(x)=\alpha x^k+(\text{次数 }k-1\text{ 以下の項})$ を実数係数の多項式とする。$1\le j\le k$ について、$\Delta_{h_1,\dots,h_j}\psi$ は $x$ の多項式で次数は $k-j$ 以下、$x^{k-j}$ の係数は $\alpha\,\frac{k!}{(k-j)!}\,h_1\cdots h_j$ である。とくに $\Delta_{h_1,\dots,h_{k-1}}\psi(x)=k!\,h_1\cdots h_{k-1}\,\alpha x+\beta$($\beta$ は $x$ によらない実数)である。

要点:$\Delta_h(cx^d)=cdh\,x^{d-1}+(\text{次数 }d-2\text{ 以下})$。

詳しい証明を開く

二項定理により $c(x+h)^d-cx^d=cdh\,x^{d-1}+\sum_{i\le d-2}c\binom di h^{d-i}x^i$ なので、$\Delta_h$ は次数 $d$ の多項式を次数 $d-1$ 以下の多項式にし、$x^{d-1}$ の係数は(最高次の係数)$\times dh$ になる。これを $j$ 回使うと $x^{k-j}$ の係数は $\alpha\cdot k h_1\cdot(k-1)h_2\cdots(k-j+1)h_j$ である。$\square$

等比数列の和

$\gamma$ を実数、$J$ を $L$ 個の整数からなる区間とすると $\bigl|\sum_{x\in J}e(\gamma x)\bigr|\le\min\bigl(L,\frac1{2\|\gamma\|}\bigr)$ である($\|\gamma\|=0$ のときは右辺を $L$ と読む)。

要点:等比数列の和の公式と $|\sin\pi t|\ge2\|t\|$。

詳しい証明を開く

各項の絶対値は $1$ なので和は $L$ 以下である。$\gamma\notin\mathbb{Z}$ なら、$J=\{b+1,\dots,b+L\}$ として和は $e(\gamma(b+1))\frac{e(\gamma L)-1}{e(\gamma)-1}$ である。分子の絶対値は $2$ 以下、分母の絶対値は $2|\sin\pi\gamma|$ である。$\sin$ は $[0,\frac\pi2]$ で上に凸なので $\sin\pi t\ge2t$($0\le t\le\frac12$)であり、$|\sin\pi\gamma|=\sin(\pi\|\gamma\|)\ge2\|\gamma\|$ となる。よって和の絶対値は $\frac{2}{4\|\gamma\|}=\frac1{2\|\gamma\|}$ 以下である。$\square$

最も近い整数までの距離の逆数の和

$\alpha$ を実数、整数 $a$、$q\ge1$ が $\gcd(a,q)=1$、$|\alpha-a/q|\le q^{-2}$ を満たすとする。整数 $X\ge1$ と実数 $Y\ge1$ について
$$ \sum_{m=1}^X\min\Bigl(Y,\frac1{\|\alpha m\|}\Bigr)\le\Bigl(\frac Xq+1\Bigr)\bigl(4Y+2q(1+\log q)\bigr) $$
である($\|\alpha m\|=0$ の項は $Y$ と読む)。

要点:$m$ を $q$ 個ずつの組に分けると、組の中の $\alpha m$ は法 $1$ で間隔 $1/q$ の点のそばに 1 つずつ並ぶ。

詳しい証明を開く

連続する $q$ 個の整数 $m=m_0+r$($0\le r\le q-1$)の組を考える。$\delta:=\alpha-a/q$ とおくと $\alpha m=\alpha m_0+\frac{ar}q+r\delta$ で、$|r\delta|\le(q-1)/q^2< 1/q$ である。$\gcd(a,q)=1$ なので、$ar$ を $q$ で割った余り $j_r$ は $r$ が組を動くとき $0,1,\dots,q-1$ を 1 回ずつとる。$v_j:=\alpha m_0+j/q$ とおくと $\|\alpha m\|\ge\|v_{j_r}\|-\frac1q$ である。

点 $v_0,\dots,v_{q-1}$ は法 $1$ で間隔 $1/q$ に並ぶ。$\|u\|< \frac1q$ となる $u$ の範囲は法 $1$ で長さ $\frac2q$ の開区間なので、そこに入る $v_j$ は 2 個以下である。整数 $t\ge1$ について $\frac tq\le\|u\|< \frac{t+1}q$ となる範囲は長さ $\frac1q$ の半開区間 2 つなので、そこに入る $v_j$ も 2 個以下である。よって $\|v_j\|< \frac2q$ となる $j$ は 4 個以下で、それらの項は $Y$ 以下である。残りの $j$ は $\frac tq\le\|v_j\|< \frac{t+1}q$($t\ge2$、$\|v_j\|\le\frac12$ なので $t\le\frac q2$)を満たし、その項は $\frac1{\|\alpha m\|}\le\frac q{t-1}$ 以下で、各 $t$ について 2 個以下である。したがって 1 つの組の和は $4Y+2\sum_{u=1}^{q}\frac qu\le4Y+2q(1+\log q)$ 以下である。$m=1,\dots,X$ は $\lceil X/q\rceil\le X/q+1$ 個の組(最後の組は一部だけでもよい)で覆えるので、主張が従う。$\square$

以上の補題から次が従う。

Weyl の不等式

$k\ge2$ を整数、$\varepsilon>0$ とする。$k$ と $\varepsilon$ だけで決まる定数 $C$ があって、次が成り立つ。$\varphi(x)=\alpha x^k+\alpha_{k-1}x^{k-1}+\dots+\alpha_0$ を実数係数の多項式、$N\ge1$ を整数とし、整数 $a$、$q\ge1$ が $\gcd(a,q)=1$ と $|\alpha-a/q|\le q^{-2}$ を満たすとする。このとき
$$ \Bigl|\sum_{x=1}^Ne(\varphi(x))\Bigr|\le C\,N^{1+\varepsilon}\Bigl(\frac1q+\frac1N+\frac q{N^k}\Bigr)^{1/K} $$
である。

差分をとって 1 次の指数和にする

$T:=\sum_{x=1}^Ne(\varphi(x))$ とおく。$q>N^k$ なら $(q/N^k)^{1/K}>1$ で、$|T|\le N$ なので $C\ge1$ なら成り立つ。以下 $q\le N^k$ とする。
差分をとる。 lem-cm-differencing を $I=[1,N]$、$j=k-1$ で使い、lem-cm-difference-polynomial と lem-cm-geometric を合わせると、
$$ |T|^K\le(2N)^{K-k}\sum_{|h_1|< N}\cdots\sum_{|h_{k-1}|< N}\min\Bigl(N,\frac1{2\|k!\,h_1\cdots h_{k-1}\alpha\|}\Bigr) $$
となる($2^{k-1}-(k-1)-1=K-k$)。
残りは、$h$ を積 $m=k!\,|h_1\cdots h_{k-1}|$ ごとにまとめ(重複は約数の個数で数える)、lem-cm-min-sum で $m$ について足す計算である。

詳しい計算を開く

$h$ をまとめる。 ある $h_i$ が $0$ の組は $(k-1)(2N)^{k-2}$ 個以下で、各項は $N$ 以下なので、合計は $(k-1)(2N)^{k-2}N$ 以下であり、$(2N)^{K-k}$ を掛けた $\lvert T\rvert^K$ への寄与は $(k-1)(2N)^{K-1}$ 以下である。どの $h_i$ も $0$ でない組は $m:=k!\,|h_1\cdots h_{k-1}|$($1\le m\le k!N^{k-1}$)ごとにまとめる。$\|{-\gamma}\|=\|\gamma\|$ なので項は $\min(N,1/\|\alpha m\|)$ 以下であり、同じ $m$ を与える組の個数は、$m/k!$ を $k-1$ 個の正の整数の積に並べて書く方法の数の $2^{k-1}$ 倍以下、つまり $2^{k-1}d(m/k!)^{k-2}$ 以下である($d$ は約数の個数。1 つ目の因数を約数から選び、残りの数の約数から 2 つ目を選び、と続けると最後の因数は決まる)。約数関数 の定理「約数の個数の上界」により、これは $C_1N^{\varepsilon}$ 以下である($C_1$ は $k$、$\varepsilon$ だけで決まる)。

$m$ について足す。 lem-cm-min-sum を $X=k!N^{k-1}$、$Y=N$ で使い、$q\le N^k$ から $1+\log q\le1+k\log N\le C_2N^{\varepsilon}$ を使うと、 $\displaystyle \sum_{m=1}^{k!N^{k-1}}\min\Bigl(N,\frac1{\|\alpha m\|}\Bigr)\le C_3N^{\varepsilon}\Bigl(\frac{N^{k-1}}q+1\Bigr)(N+q)\le 4C_3N^{k+\varepsilon}\Bigl(\frac1q+\frac1N+\frac q{N^k}\Bigr)$ である(展開した 4 項 $\frac{N^k}q$、$N^{k-1}$、$N$、$q$ を、$N\le N^{k-1}$ を使って括弧の中の 3 項で押さえた)。

まとめる。 以上から $|T|^K\le(k-1)(2N)^{K-1}+(2N)^{K-k}\,C_1N^{\varepsilon}\cdot4C_3N^{k+\varepsilon}\bigl(\frac1q+\frac1N+\frac q{N^k}\bigr)$ であり、$(2N)^{K-1}=2^{K-1}N^K\cdot\frac1N$ なので、ある定数 $C_4$ について $|T|^K\le C_4N^{K+2\varepsilon}\bigl(\frac1q+\frac1N+\frac q{N^k}\bigr)$ となる。$K$ 乗根をとり、$\varepsilon$ を $\varepsilon K/2$ に取り替えればよい。$\square$

Hua の補題

prop-cm-integral の 2 により、$\int_0^1|f|^{2t}$ は方程式 $x_1^k+\dots+x_t^k=y_1^k+\dots+y_t^k$ の解の個数である。$x_i=y_i$ と並べ替えた解だけで $\lfloor P\rfloor^t$ 個程度あり、全体の組は $\lfloor P\rfloor^{2t}$ 個ある。Hua の補題は、$t=2^{j-1}$ のとき解の個数がほぼ $P^{2t-j}$ で押さえられることを述べる。

Hua の補題

$k\ge2$ を整数、$\varepsilon>0$ とする。$k$ と $\varepsilon$ だけで決まる定数 $C$ があって、整数 $N\ge1$ と $g(\alpha):=\sum_{x=1}^Ne(\alpha x^k)$ について、$1\le j\le k$ のとき
$$ \int_0^1|g(\alpha)|^{2^j}\,d\alpha\le C\,N^{2^j-j+\varepsilon} $$
である。$P\ge1$ が実数なら、$f_P=g$($N=\lfloor P\rfloor$)なので $\int_0^1|f_P|^{2^j}\le C\,P^{2^j-j+\varepsilon}$ でもある。

$j$ についての帰納法で示す。$j=1$ のとき、積分は $x^k=y^k$($1\le x,y\le N$)の解の個数で、$x=y$ に限るから $N$ である。
$1\le j\le k-1$ で $j$ のときに成り立つとし、$j+1$ のときを示す。$|h_i|< N$ の整数の組 $h=(h_1,\dots,h_i)$ に対し $D_i(x;h):=\Delta_{h_1,\dots,h_i}(x^k)$、$T_i(\alpha;h):=\sum_{x\in I_i(h)}e(\alpha D_i(x;h))$($I=[1,N]$。$T_0=g$)とおく。prf-cm-differencing の $j=1$ の計算から $|T_{i-1}(\alpha;h)|^2=\sum_{|h_i|< N}T_i(\alpha;h,h_i)$ という等式が成り立つ。$j\ge2$ なら lem-cm-differencing($j-1$ のとき、$\psi=\alpha x^k$)を 2 乗し、組 $h'$ の個数 $(2N)^{j-1}$ 以下で Cauchy–Schwarz の不等式を使うと($j=1$ なら等式そのもの)、
$$ |g(\alpha)|^{2^j}\le(2N)^{2^j-j-1}\,\Sigma_j(\alpha),\qquad \Sigma_j(\alpha):=\sum_{h}T_j(\alpha;h)=\sum_{h'}|T_{j-1}(\alpha;h')|^2\ge0 $$
が得られる($h$ は $j$ 個、$h'$ は $j-1$ 個の組を動く)。$|g|^{2^j}=g^{2^{j-1}}\overline g^{\,2^{j-1}}=\sum_mc(m)e(\alpha m)$ と展開すると、$c(m)$ は $\sum_{i\le2^{j-1}}(x_i^k-y_i^k)=m$ となる組 $(x,y)\in[1,N]^{2^j}$ の個数で、$c(0)=\int_0^1|g|^{2^j}$、$\sum_mc(m)=N^{2^j}$ である。lem-cm-orthogonality により
$$ \int_0^1|g|^{2^{j+1}}\le(2N)^{2^j-j-1}\int_0^1\Sigma_j(\alpha)|g(\alpha)|^{2^j}\,d\alpha=(2N)^{2^j-j-1}\sum_{h}\sum_{x\in I_j(h)}c\bigl(-D_j(x;h)\bigr) $$
である。右辺の和を $D_j(x;h)=0$ の項とそれ以外に分ける。
$D_j(x;h)=0$ となる項は、ある $h_i$ が $0$ の場合に限り、帰納法の仮定で $c(0)$ を押さえる。$D_j(x;h)=m\ne0$ となる項は、$D_j=h_1\cdots h_j\,p_j$($p_j$ は正の整数値をとり $x$ について増加)と約数の個数の評価から、各 $m$ について $(h,x)$ が $N^{\varepsilon}$ 程度しかないことで押さえる。

詳しい計算を開く

差分の形。 $D_j(x;h)=h_1\cdots h_j\,p_j(x;h)$、$p_j(x;h):=\frac{k!}{(k-j)!}\int_{[0,1]^j}(x+t_1h_1+\dots+t_jh_j)^{k-j}\,dt$ と書ける(最後の「差分の形の確かめ」)。$x\in I_j(h)$ なら点 $x+\sum_{i\in S}h_i$ がすべて $[1,N]$ にあり、$x+\sum t_ih_i$ はそれらの凸結合なので $1$ 以上である。よって $j\le k-1$ のとき $p_j(x;h)\ge1$ であり、$p_j$ は $x$ について狭義に増加し、整数値をとる。

$D_j=0$ の項。 $p_j\ge1$ なので、ある $h_i$ が $0$ のときに限る。そのような $(h,x)$ は $j(2N)^{j-1}N$ 個以下で、各項は $c(0)\le C'N^{2^j-j+\varepsilon}$(帰納法の仮定)である。合計は $C''N^{2^j+\varepsilon}$ 以下である。

$D_j=m\ne0$ の項。 どの $h_i$ も $0$ でなく、$|m|=|h_1|\cdots|h_j|\,p_j\le k!N^k$ である。$|m|$ を $j+1$ 個の正の整数の積 $|h_1|\cdots|h_j|\,p_j$ に並べて書く方法は $d(|m|)^j$ 通り以下、符号は $2^j$ 通り以下で、$h$ と $p_j$ の値が決まれば $p_j$ の単調性から $x$ は高々 1 つに決まる。約数関数 の定理「約数の個数の上界」により、各 $m\ne0$ について $D_j(x;h)=m$ となる $(h,x)$ は $C'''N^{\varepsilon}$ 個以下である。よってこの部分の和は $C'''N^{\varepsilon}\sum_mc(m)=C'''N^{2^j+\varepsilon}$ 以下である。

合わせると $\int_0^1|g|^{2^{j+1}}\le(2N)^{2^j-j-1}(C''+C''')N^{2^j+\varepsilon}$ であり、指数は $2^{j+1}-(j+1)+\varepsilon$ である。

差分の形の確かめ。 $C^1$ 級の関数 $u$ について $\Delta_hu(x)=\int_0^1h\,u'(x+th)\,dt$ であり、$\Delta_h$ は微分・積分と交換するので、帰納的に $\Delta_{h_1,\dots,h_j}u(x)=h_1\cdots h_j\int_{[0,1]^j}u^{(j)}(x+t_1h_1+\dots+t_jh_j)\,dt$ である。$u(x)=x^k$ なら $u^{(j)}(y)=\frac{k!}{(k-j)!}y^{k-j}$ である。

整数値:整数係数の多項式 $Q(x,h_1,\dots,h_i)$ について $Q(x+h,\dots)-Q(x,\dots)$ は整数係数の多項式環で $h$ で割り切れる。よって $D_j=h_1\cdots h_jQ_j$($Q_j$ は整数係数の多項式)と書ける。$p_j$ と $Q_j$ はどちらも多項式で、どの $h_i$ も $0$ でないところで一致するので恒等的に等しく、$p_j$ は整数値をとる。

単調性:$x$ で微分すると $\frac{k!}{(k-j)!}(k-j)\int(x+\sum t_ih_i)^{k-j-1}dt$ で、$k-j\ge1$ と底が $1$ 以上であることから正である。区間 $I_j(h)$ の上で $p_j(\cdot\,;h)$ は狭義に増加する。

凸結合:$t\in[0,1]^j$ に対し $x+\sum t_ih_i=\sum_{S}\bigl(\prod_{i\in S}t_i\prod_{i\notin S}(1-t_i)\bigr)\bigl(x+\sum_{i\in S}h_i\bigr)$ であり、係数は $0$ 以上で和が $1$ である。$\square$

副弧の寄与

副弧の評価

$k\ge2$、$0< \nu< \frac12$ とし、主弧・副弧は def-cm-arcs のとおりとする。

  1. 任意の $\varepsilon>0$ について、$k,\nu,\varepsilon$ だけで決まる $C$ と $P_0$ があって、$P\ge P_0$ なら $\displaystyle\sup_{\alpha\in\mathfrak{m}}|f(\alpha)|\le C\,P^{1-\nu/K+\varepsilon}$ である。
  2. $s\ge2^k+1$ なら、$k,s,\nu$ だけで決まる $C$ があって、$P\ge1$ について $\displaystyle\int_{\mathfrak{m}}|f(\alpha)|^s\,d\alpha\le C\,P^{s-k-\nu/(2K)}$ である。
  3. とくに $s\ge2^k+1$、$P=n^{1/k}$ なら
    $$ R_{s,k}(n)=\int_{\mathfrak{M}}f(\alpha)^se(-n\alpha)\,d\alpha+O\bigl(n^{s/k-1-\nu/(2kK)}\bigr)\qquad(n\to\infty) $$
    である。

1:$\alpha\in\mathfrak{m}$ とする。lem-cm-dirichlet を $Q=P^{k-\nu}$ で使い、$1\le q\le P^{k-\nu}$、$\gcd(a,q)=1$、$|\alpha-a/q|< \frac{1}{qP^{k-\nu}}$ となる $a,q$ をとる。$q\le P^{k-\nu}$ なので $|\alpha-a/q|\le q^{-2}$ である。
$q>P^\nu$ であること。 $q\le P^\nu$ と仮定する。$|\alpha-a/q|< P^{\nu-k}/q\le P^{\nu-k}$ である。$a\le0$ なら $\alpha< a/q+P^{\nu-k}\le P^{\nu-k}$ となり、$\alpha\in\mathfrak{U}$ に反する。$a\ge q+1$ なら $\alpha> 1+\frac1q-\frac{P^{\nu-k}}q$ であり、$P$ が大きいと $P^{\nu-k}(q+1)\le P^{2\nu-k}+P^{\nu-k}< 1$ なので $\alpha> 1+P^{\nu-k}$ となって、やはり $\alpha\in\mathfrak{U}$ に反する。よって $1\le a\le q\le P^\nu$ で $\alpha\in\mathfrak{M}(q,a)$ となり、$\alpha\in\mathfrak{m}$ に反する。
Weyl の不等式を使う。 $N:=\lfloor P\rfloor\ge P/2$ とし、thm-cm-weyl を $\varphi(x)=\alpha x^k$ に使う。$\frac1q< P^{-\nu}$、$\frac1N\le\frac2P\le2P^{-\nu}$、$\frac q{N^k}\le\frac{2^kP^{k-\nu}}{P^k}=2^kP^{-\nu}$ なので、$|f(\alpha)|\le C\,N^{1+\varepsilon}(2^{k+2}P^{-\nu})^{1/K}\le C'P^{1+\varepsilon-\nu/K}$ である。
2:$\varepsilon:=\nu/(4K)$ とおく。$P< P_0$ では $|f|\le P$ から自明なので、$P\ge P_0$ とする。$|f|^s\le\bigl(\sup_{\mathfrak{m}}|f|\bigr)^{s-2^k}|f|^{2^k}$ と、1 と thm-cm-hua($j=k$)から
$$ \int_{\mathfrak{m}}|f|^s\le\bigl(C\,P^{1-\nu/K+\varepsilon}\bigr)^{s-2^k}\int_0^1|f|^{2^k}\le C'\,P^{(s-2^k)(1-3\nu/(4K))}\,P^{2^k-k+\nu/(4K)} $$
である($\int_{\mathfrak{m}}\le\int_{\mathfrak{U}}=\int_0^1$ は周期性による)。$s-2^k\ge1$ なので指数は $s-k-(s-2^k)\frac{3\nu}{4K}+\frac{\nu}{4K}\le s-k-\frac{\nu}{2K}$ である。
3:def-cm-arcs の後の分解と 2 から、副弧の積分の絶対値は $C\,P^{s-k-\nu/(2K)}=C\,n^{s/k-1-\nu/(2kK)}$ 以下である。$\square$

主項はおよそ $n^{s/k-1}$ の大きさなので(次の節)、3 は副弧の寄与が主項より $n$ の正の冪だけ小さいことを意味する。効いているのは、各点での評価(Weyl)と平均の評価(Hua)の組み合わせである。

主弧と漸近式

主弧 $\mathfrak{M}(q,a)$ の上では $f(\alpha)$ を $q^{-1}S(q,a)v(\alpha-a/q)$ で置き換えることができ、その積分を計算すると、$s$ が $k$ に比べて十分大きいとき
$$ R_{s,k}(n)\sim\frac{\Gamma(1+1/k)^s}{\Gamma(s/k)}\,\mathfrak{S}(n)\,n^{s/k-1},\qquad \mathfrak{S}(n):=\sum_{q=1}^\infty\ \sum_{\substack{1\le a\le q\\ \gcd(a,q)=1}}\bigl(q^{-1}S(q,a)\bigr)^se(-an/q) $$
が得られる(VW02 p. 8、(9.1) は p. 10)。$\mathfrak{S}(n)$ を 特異級数(singular series)という。$\Gamma$ は Γ関数 である。この漸近式が $s\ge2^k+1$ で成り立つことは Hua による(VW02 p. 11 の Table 3)。特異級数は素数 $p$ ごとの因子の積に分かれ、方程式 $x_1^k+\dots+x_s^k=n$ が $p$ 進的に解けるかどうかを反映する。$k\ge3$ のとき、$s\ge4k$ なら($k$ が 2 の冪でなければ $s\ge\max\{2k,4\}$ なら)$\mathfrak{S}(n)$ は $n$ によらない正の定数以上である(VW02 p. 9)。$k=3$ では $2^k+1=9\ge6$、$k\ge4$ では $2^k+1\ge4k$ なので、これらを合わせると、$k\ge3$ のとき十分大きい $n$ はすべて $2^k+1$ 個の正の整数の $k$ 乗の和で表せる。この記事では主弧の計算と特異級数の評価を証明しない。

一次の場合の主項

$k=1$ でも prop-cm-integral の 1 は同じ証明で成り立つ。このとき $R_{s,1}(n)$ は $n$ を $s$ 個の正の整数の和(順序を区別)で表す方法の数で、$n-1$ 個のすきまから $s-1$ 個の区切りを選ぶので $R_{s,1}(n)=\binom{n-1}{s-1}\sim\frac{n^{s-1}}{(s-1)!}$ である。一方、$k=1$ では $q\ge2$ について $S(q,a)=\sum_{r=1}^qe(ar/q)=0$($\gcd(a,q)=1$)なので $\mathfrak{S}(n)=1$ であり、上の式の右辺は $\frac{\Gamma(2)^s}{\Gamma(s)}n^{s-1}=\frac{n^{s-1}}{(s-1)!}$ となって一致する。

法 16 で解けない場合

$k=4$ で $x^4$ を $16$ で割った余りは $0$ か $1$ である($x$ が偶数なら $16\mid x^4$、奇数なら $x^2=8m+1$ から $x^4=64m^2+16m+1$)。よって $s\le14$ なら、$16$ で割って $15$ 余る $n$ について $x_1^4+\dots+x_s^4\equiv n\pmod{16}$ には整数解がなく、$R_{s,4}(n)=0$ である。このように、ある素数冪を法として解がない $n$ では特異級数は $0$ になる(VW02 p. 9)。同じ余りの計算から、$16^m\cdot31$ の形の数は 15 個以下の 4 乗数の和で表せないことも分かる(Waringの問題 の定理「4 乗数の場合の下からの評価」)。

反例:条件を外すと成り立たない

外す条件反例成り立たなくなること
Weyl の不等式の $\lvert\alpha-a/q\rvert\le q^{-2}$$\varphi=0$($\alpha=0$)、$a=1$、$q=\lceil N^{k/2}\rceil$右辺は $N$ の $1$ より小さい冪で押さえられるが、左辺は $N$
Weyl の不等式の $\gcd(a,q)=1$$\varphi=0$、$a=0$、$q=\lceil N^{k/2}\rceil$同上($\lvert0-0/q\rvert=0\le q^{-2}$ は満たす)
副弧の評価の $\alpha\in\mathfrak{m}$$\alpha=1\in\mathfrak{M}(1,1)$$\lvert f(1)\rvert=\lfloor P\rfloor$ で、$C\,P^{1-\nu/K+\varepsilon}$ を超える
Hua の補題の $j\le k$$j=k+1$$\int_0^1\lvert g\rvert^{2^{k+1}}\ge N^{2^{k+1}-k}/2^{k}$ で、$N^{2^{k+1}-(k+1)+\varepsilon}$ の定数倍を超える
反例の確かめ

表の各行は、それぞれの条件だけを破っている。

確かめを開く

1・2:$q=\lceil N^{k/2}\rceil$ なら $\frac1q\le N^{-k/2}\le N^{-1}$、$\frac q{N^k}\le\frac{2N^{k/2}}{N^k}\le\frac2N$ なので、右辺は $C\,N^{1+\varepsilon}(4/N)^{1/K}$ 以下であり、$\varepsilon< 1/K$ なら $N\to\infty$ で $N$ より小さくなる。$N\ge2$ なら $q\ge2$ なので 1 では $|0-1/q|=1/q>1/q^2$、2 では $\gcd(0,q)=q\ne1$ で、それぞれの条件だけが破れている。

3:$1\in\mathfrak{U}$ で、$|1-1/1|=0$ なので $1\in\mathfrak{M}(1,1)$ である。$f(1)=\sum_{x\le P}1=\lfloor P\rfloor\ge P/2$ であり、$\varepsilon< \nu/K$ なら $P\to\infty$ で $C\,P^{1-\nu/K+\varepsilon}$ を超える。

4:$t=2^k$ とし、$r(m)$ を $x_1^k+\dots+x_t^k=m$($1\le x_i\le N$)の解の個数とすると、prop-cm-integral の 2 の証明と同じく $\int_0^1|g|^{2t}=\sum_mr(m)^2$ である。$\sum_mr(m)=N^t$ で、$r(m)\ne0$ となる $m$ は $tN^k$ 個以下なので、Cauchy–Schwarz の不等式から $\sum_mr(m)^2\ge N^{2t}/(tN^k)=N^{2^{k+1}-k}/2^k$ である。$\varepsilon< 1$ なら、これは $N^{2^{k+1}-(k+1)+\varepsilon}$ の定数倍より大きくなる。

補足

  • 素数の場合.Goldbach予想 の定理「Vinogradovの定理」では、$k$ 乗数の代わりに素数を変数とする指数和を使い、副弧の上ではその指数和の評価を使う。
  • 分割数.円周法は、分割数 の定理「Hardy–Ramanujanの漸近公式」を導いた Hardy と Ramanujan の論文に始まる(VW02 p. 3)。
  • 大きい $k$.$k$ が大きいときは、Hua の補題の代わりに Vinogradov の平均値定理を使う評価が強い。Ford は、$s\ge k^2(\log k+\log\log k+O(1))$ で漸近式が成り立つことを示した(VW02 p. 11 の Table 4)。

関連項目

参考文献

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