pro-代数的完備化(pro-algebraic completion)とは、群 $\Gamma$ と体 $k$ に対し、$k$ 上のアフィン群スキーム $\Gamma^{\mathrm{alg}}$ と準同型 $\Gamma\to\Gamma^{\mathrm{alg}}(k)$ の組で、$\Gamma$ から任意のアフィン群スキームの $k$ 点への準同型が一意に $\Gamma^{\mathrm{alg}}$ を経由するものである。$\Gamma$ の有限次元表現の圏に淡中双対性を当てて構成でき、その表現の圏は $\Gamma$ の有限次元表現の圏と同値になる。有限群では定数群スキームになり、標数 $0$ の代数閉体上の $\mathbb Z$ では、Jordan 分解を映して $k^\times$ の群環が定める対角化可能群と加法群の積になる。
群 $\Gamma$ の有限商をすべて集めると副有限完備化(副有限群)が得られる。体 $k$ 上の有限次元の線形表現をすべて集めて同じことをすると、$k$ 上のアフィン群スキーム $\Gamma^{\mathrm{alg}}$ が得られる。これが pro-代数的完備化 で、$\Gamma$ から代数群への準同型をすべて一度に受け止める普遍的な対象である。$\Gamma^{\mathrm{alg}}$ の有限次元表現は $\Gamma$ の有限次元表現とちょうど同じものになる。代数多様体や位相空間のホモトピー型を代数的に扱う schematization(モチーフ的ホモトピー型)では、基本群がこの完備化として現れる。
この記事では pro-代数的完備化を普遍性で定義し、淡中双対性(淡中圏)を使って存在と表現の圏の同値を証明する。有限群では定数群スキームになることを確かめ、標数 $0$ の代数閉体の上で整数の群 $\mathbb Z$ の完備化を、対角化可能な部分と加法群の積として決定する。この計算は行列の Jordan 分解(Jordan標準形)をそのまま映したものである。
$k$ を体とする。$k$ 上のアフィン群スキームとは、$k$ 代数の圏から群の圏への表現可能な関手のことで、その座標環 $\mathcal O(G)$ は可換な Hopf代数 になる(群スキーム、DM22 Proposition 2.1、p. 18)。$\mathcal O(G)$ が有限生成のとき $G$ を代数群という。$G$ の有限次元表現(各 $k$ 代数 $R$ で $G(R)\to GL(V\otimes_kR)$ を与える自然な準同型)の圏を $\operatorname{Rep}_k(G)$、抽象群 $\Gamma$ の $k$ 上の有限次元表現の圏を $\operatorname{Rep}_k(\Gamma)$ と書く(群の表現)。どちらもテンソル積と双対をもつ。
群の準同型 $\rho\colon\Gamma\to G(k)$ があると、$G$ の表現 $(V,r)$ に $\Gamma$ の表現 $(V,\,r(k)\circ\rho)$ を対応させる関手
$$
\rho^*\colon\operatorname{Rep}_k(G)\longrightarrow\operatorname{Rep}_k(\Gamma)
$$
が定まる。$\rho^*$ は下にあるベクトル空間と線形写像を変えない。
群 $\Gamma$ の $k$ 上の pro-代数的完備化(pro-algebraic completion)とは、$k$ 上のアフィン群スキーム $\Gamma^{\mathrm{alg}}$ と群の準同型 $\iota\colon\Gamma\to\Gamma^{\mathrm{alg}}(k)$ の組であって、次の普遍性をみたすものをいう:$k$ 上の任意のアフィン群スキーム $H$ と準同型 $\rho\colon\Gamma\to H(k)$ に対し、$f(k)\circ\iota=\rho$ となる群スキームの準同型 $f\colon\Gamma^{\mathrm{alg}}\to H$ がただ一つ存在する。
普遍性で定めたので、存在すれば同型を除いて一意である(二つあれば互いに準同型が一つずつ定まり、合成は普遍性の一意性により恒等写像になる)。アフィン群スキームは代数群の射影極限なので(DM22 Corollary 2.7、pp. 19–20)、$\Gamma^{\mathrm{alg}}$ は「$\Gamma$ が写るすべての代数群を一度に見る」対象である。$H$ を冪単な群(の射影極限)に限った同様の普遍対象は冪単完備化(pro-unipotent completion)と呼ばれる。
任意の群 $\Gamma$ と体 $k$ について、pro-代数的完備化 $(\Gamma^{\mathrm{alg}},\iota)$ が存在し、
$$
\iota^*\colon\operatorname{Rep}_k(\Gamma^{\mathrm{alg}})\longrightarrow\operatorname{Rep}_k(\Gamma)
$$
はテンソル圏の圏同値である。
構成。 $\mathcal C:=\operatorname{Rep}_k(\Gamma)$ は、テンソル積 $V\otimes W$($\gamma$ は $\gamma\otimes\gamma$ で作用)、双対 $V^\vee$($\gamma$ は ${}^t\!\rho(\gamma)^{-1}$ で作用)、単位対象 $k$(自明な作用)をもつ剛なアーベルテンソル圏で、$\operatorname{End}(k)=k$ である。下のベクトル空間をとる関手 $\omega\colon\mathcal C\to\mathrm{Vec}_k$ は完全・忠実・$k$ 線形なテンソル関手である。よって $\mathcal C$ は中立淡中圏(淡中圏、DM22 Definition 2.19、p. 25)であり、淡中双対性(DM22 Theorem 2.11、p. 21)により、$k$ 代数 $R$ に $\omega$ のテンソル自己同型の群 $\operatorname{Aut}^\otimes(\omega)(R)$ を対応させる関手はアフィン群スキーム $G$ で表現され、$V\mapsto(\omega(V),\text{自然な }G\text{ の作用})$ はテンソル圏の圏同値 $\Phi\colon\mathcal C\to\operatorname{Rep}_k(G)$ を与える。
$\gamma\in\Gamma$ に、各表現 $(V,\rho_V)$ の $\rho_V(\gamma)$ を並べた族 $\iota(\gamma):=(\rho_V(\gamma))_V$ を対応させる。$\Gamma$ 同変な線形写像は $\rho_V(\gamma)$ と可換で、$\rho_{V\otimes W}(\gamma)=\rho_V(\gamma)\otimes\rho_W(\gamma)$、単位対象では恒等写像なので、$\iota(\gamma)\in\operatorname{Aut}^\otimes(\omega)(k)=G(k)$ であり、$\iota\colon\Gamma\to G(k)$ は準同型である。
表現の圏。 $\Phi(V)$ を $\iota$ で引き戻すと、$\gamma$ は $\iota(\gamma)_V=\rho_V(\gamma)$ で作用するので、$\iota^*\circ\Phi$ は $\mathcal C$ の恒等関手である。$\Phi$ は圏同値なので、$\iota^*$ は $\Phi$ の準逆であり、テンソル圏の圏同値である。
普遍性。 $H$ をアフィン群スキーム、$\rho\colon\Gamma\to H(k)$ を準同型とし、$F:=\Phi\circ\rho^*\colon\operatorname{Rep}_k(H)\to\operatorname{Rep}_k(G)$ とおく。$F$ はテンソル関手で下のベクトル空間を変えないので、DM22 Corollary 2.9(p. 21)により $F=f^*$ となる準同型 $f\colon G\to H$ がただ一つある。$V\in\operatorname{Rep}_k(H)$ と $\gamma\in\Gamma$ について、$f(\iota(\gamma))$ が $V$ に作用する写像は、$\iota(\gamma)$ が $f^*V=\Phi(\rho^*V)$ に作用する写像、すなわち $\rho(\gamma)$ の作用に等しい。$H(k)$ の元は $\operatorname{Rep}_k(H)$ のすべての対象への作用で決まる($H\to\operatorname{Aut}^\otimes(\omega_H)$ は同型。DM22 Proposition 2.8、p. 20)ので、$f(k)\circ\iota=\rho$ である。
一意性:$f'\colon G\to H$ も $f'(k)\circ\iota=\rho$ をみたすとする。各 $V\in\operatorname{Rep}_k(H)$ について $\iota^*f^*V=\rho^*V=\iota^*f'^*V$ なので、$\operatorname{id}_V$ は $\iota^*f^*V$ から $\iota^*f'^*V$ への射である。$\iota^*$ は充満なので $\operatorname{id}_V$ は $f^*V$ から $f'^*V$ への $G$ 同変写像であり、$f^*V=f'^*V$ である。よって $f^*=f'^*$ で、Corollary 2.9 の一意性から $f=f'$ である。$(\Gamma^{\mathrm{alg}},\iota):=(G,\iota)$ が求めるものである。$\square$
$\Gamma$ が自由群のとき、座標環 $\mathcal O(\Gamma^{\mathrm{alg}})$ は、$\Gamma$ 上の $k$ 値関数のうち、右移動で生成される空間が有限次元になるもの(有限次元表現の行列成分)の全体と同一視できる(KPT09 §3、p. 26。この記事では証明しない)。
$F$ を有限群、$F_k$ を対応する定数群スキーム(群スキーム の例「定数群スキーム」)とする。準同型 $\Gamma^{\mathrm{alg}}\to F_k$ と群の準同型 $\Gamma\to F$ は、$f\mapsto f(k)\circ\iota$ で一対一に対応する。
$F_k=\coprod_{x\in F}\operatorname{Spec}k$ なので $F_k(k)=F$ である。普遍性を $H=F_k$ に当てはめればよい。$\square$
したがって $\Gamma^{\mathrm{alg}}$ の有限な商を見れば、副有限完備化の情報が回収できる。$\Gamma^{\mathrm{alg}}$ はそれに加えて、無限位数の元を連続的な群($\mathbb G_m$ や $\mathbb G_a$ など)に送る表現の情報を含む。
$\Gamma$ が有限群なら、定数群スキーム $\Gamma_k$ と恒等写像 $\iota\colon\Gamma\to\Gamma_k(k)=\Gamma$ の組は $\Gamma$ の pro-代数的完備化である。
$H$ をアフィン群スキーム、$\rho\colon\Gamma\to H(k)$ を準同型とする。スキームの射 $f\colon\Gamma_k=\coprod_{\gamma}\operatorname{Spec}k\to H$ は、各成分の行き先の点 $f(\gamma)\in H(k)$ の族と一対一に対応する。$\Gamma_k\times\Gamma_k=\coprod_{(\gamma,\delta)}\operatorname{Spec}k$ なので、二つの射 $\Gamma_k\times\Gamma_k\to H$ が等しいことは各点で値が等しいことと同値であり、$f$ が群スキームの準同型であることは $\gamma\mapsto f(\gamma)$ が群の準同型であることと同値である。よって $f(\gamma)=\rho(\gamma)$ で定まる $f$ が、$f(k)\circ\iota=\rho$ をみたすただ一つの準同型である。$\square$
thm-pac-existence と合わせると、$\operatorname{Rep}_k(\Gamma_k)\simeq\operatorname{Rep}_k(\Gamma)$ であり、$\Gamma_k$ の表現は $\Gamma$ の通常の表現にほかならない。
この節では $k$ を標数 $0$ の代数閉体とする。可換群 $M:=k^\times$(乗法群を抽象群とみたもの)の群環 $k[M]$ は、$\Delta(m)=m\otimes m$、$\varepsilon(m)=1$、$S(m)=m^{-1}$ で Hopf 代数になる。$D:=\operatorname{Spec}k[M]$ とおくと $D(R)=\operatorname{Hom}(M,R^\times)$(群の準同型の全体)である。加法群 $\mathbb G_a=\operatorname{Spec}k[t]$($\Delta(t)=t\otimes1+1\otimes t$)と合わせて $D\times\mathbb G_a$ を考え、
$$
\iota_0\colon\mathbb Z\to(D\times\mathbb G_a)(k),\qquad 1\mapsto(\operatorname{id}_M,\ 1)
$$
とおく($\operatorname{id}_M\in\operatorname{Hom}(M,k^\times)=D(k)$)。
$V$ を有限次元の $k$ ベクトル空間とする。
表現は余作用 $c\colon V\to V\otimes\mathcal O$ で、余結合律と余単位律をみたすものと同じである(DM22 Proposition 2.2、p. 19)。
1. $c(v)=\sum_mp_m(v)\otimes m$ と書く(各 $v$ で有限和)。余結合律 $(c\otimes\operatorname{id})c=(\operatorname{id}\otimes\Delta)c$ の $m\otimes m'$ の係数を比べると $p_{m'}p_m=\delta_{mm'}p_m$、余単位律から $\sum_mp_m=\operatorname{id}$ である。よって $p_m$ は直交する射影で $V=\bigoplus_m\operatorname{Im}p_m$ となり、逆に次数付けから $c$ が定まる。$d\in D(R)=\operatorname{Hom}(k[M],R)$ は $c$ を通して $\sum_mp_m\otimes d(m)$ と作用する。
2. $c(v)=\sum_iN_i(v)\otimes t^i$ と書く。$\Delta(t^j)=\sum_{a+b=j}\binom{j}{a}t^a\otimes t^b$ なので、余結合律から $N_aN_b=\binom{a+b}{a}N_{a+b}$、余単位律から $N_0=\operatorname{id}$ である。$N:=N_1$ とおくと帰納的に $N_i=N^i/i!$(標数 $0$ で $i!$ は可逆)。$V$ は有限次元なので $c$ は有限個の $t^i$ しか使わず、十分大きい $i$ で $N^i=0$、すなわち $N$ は冪零である。逆に冪零な $N$ から $c(v)=\sum_iN^iv/i!\otimes t^i$ は余作用を与え、$s\in R$ は $\exp(sN)$ で作用する。
3. $(D\times\mathbb G_a)(R)=D(R)\times R$ なので、表現は作用が互いに可換な $D$ の表現と $\mathbb G_a$ の表現の組である。$R=k[M]\otimes k[t]$ の普遍的な点 $(d,s)$ では $d$ は $\sum_mp_m\otimes m$、$s$ は $\exp(tN)$ として作用し、両者が可換であることは $t$ の係数を比べて $N$ が各 $p_m$ と可換であること、すなわち $N$ が各 $V_m$ を保つことと同値である。$\square$
$k$ を標数 $0$ の代数閉体とする。$(D\times\mathbb G_a,\iota_0)$ は $\mathbb Z$ の $k$ 上の pro-代数的完備化である。
$\mathbb Z$ の表現は、可逆な線形写像 $A\colon V\to V$($1$ の作用)と同じものである。lem-pac-reps の 3 の表現 $(V,(V_m),N)$ を $\iota_0$ で引き戻すと、$1$ は
$$
A=A_s\exp(N),\qquad A_s|_{V_m}=m\cdot\operatorname{id}
$$
で作用する。証明の要点は、逆に可逆な $A$ がこの形にただ一通りに書けることで、これは $A$ を半単純な部分 $A_s$ と冪単な部分 $\exp(N)$ に分ける乗法的 Jordan 分解(Jordan–Chevalley分解 の命題「乗法的な分解」)である。
1. $\iota_0^*$ は圏同値である。 本質的全射:$V$ 上の可逆な $A$ をとる。$k$ は代数閉体なので、$V$ は一般固有空間 $V_\lambda:=\operatorname{Ker}(A-\lambda)^{\dim V}$($\lambda\in k^\times$)の直和である。$A_s$ を $V_\lambda$ 上で $\lambda$ 倍として定めると、$A_u:=A_s^{-1}A$ は各 $V_\lambda$ を保ち、$A_u-1$ は冪零である。標数 $0$ なので $N:=\log A_u=\sum_{i\ge1}(-1)^{i+1}(A_u-1)^i/i$(有限和)は冪零で各 $V_\lambda$ を保ち、形式的な等式 $\exp(\log(1+x))=1+x$ から $\exp(N)=A_u$ である。よって $(V,(V_\lambda),N)$ の引き戻しは $A$ である。
充満忠実:$\iota_0^*$ は線形写像を変えないので忠実である。$(V,(V_m),N)$、$(W,(W_m),N')$ を表現とし、$A=A_s\exp(N)$、$B=B_s\exp(N')$ とする。$\exp(N)$ は冪単なので $V_m$ は $A$ の固有値 $m$ の一般固有空間であり、$N=\log(A_s^{-1}A)$ である。線形写像 $f\colon V\to W$ が $fA=Bf$ をみたすとすると、$(B-m)^nf=f(A-m)^n$ から $f(V_m)\subset W_m$ である。すると $f$ は $A_s,B_s$(各成分で $m$ 倍)と可換になり、$A_s^{-1}A$ の多項式である $N$ についても $fN=N'f$ となる。$f$ は各射影 $p_m$ と $N$ に絡むので、lem-pac-reps の 3 の証明の普遍的な点 $(d,s)$ での作用 $\sum_mp_m\otimes m$ と $\exp(tN)$ にも絡み、$D\times\mathbb G_a$ の表現の射である。よって $\iota_0^*$ は充満である。
2. 比較の準同型。 thm-pac-existence の普遍性により、$f(k)\circ\iota=\iota_0$ となる準同型 $f\colon\mathbb Z^{\mathrm{alg}}\to D\times\mathbb G_a$ がある。$\iota^*\circ f^*=(f(k)\circ\iota)^*=\iota_0^*$ で、$\iota^*$ と $\iota_0^*$ はどちらも圏同値(thm-pac-existence と 1)なので、$f^*\colon\operatorname{Rep}_k(D\times\mathbb G_a)\to\operatorname{Rep}_k(\mathbb Z^{\mathrm{alg}})$ も圏同値である。
3. $f$ は同型である。 $f^*$ は充満忠実で、$f^*X'$ の部分表現 $Y$ は、ある $Y'$ と射 $Y'\to X'$ の像として得られる($f^*$ は本質的全射かつ充満で、下の線形写像を変えないので単射のまま)。よって DM22 Proposition 2.21 の (a)(p. 26)により $f$ は忠実平坦である。また $\operatorname{Rep}_k(\mathbb Z^{\mathrm{alg}})$ の対象はすべて $f^*X'$ の形の対象と同型なので、同 (b) により $f$ は閉埋め込みである。閉埋め込みなので $f^\sharp\colon\mathcal O(D\times\mathbb G_a)\to\mathcal O(\mathbb Z^{\mathrm{alg}})$ は全射、忠実平坦なので単射であり、$f$ は同型である。$f(k)\circ\iota=\iota_0$ なので、$(D\times\mathbb G_a,\iota_0)$ も普遍性をみたす。$\square$
$D(k)=\operatorname{Hom}(k^\times,k^\times)$ は非常に大きな群で、$\iota_0(1)$ はその中の恒等写像である。$\mathbb Z$ から代数群 $H$ への準同型、すなわち元 $h\in H(k)$ を一つ与えると、$h$ の像は thm-pac-integers の準同型を通して、$D$ の側で $h$ の半単純部分の固有値を、$\mathbb G_a$ の側で冪単部分を受け持つ。$\mathbb Z$ の有限商 $\mathbb Z\to\mathbb Z/n$ は、cor-pac-finite-quotients により準同型 $D\times\mathbb G_a\to(\mathbb Z/n)_k$ に対応する。
thm-pac-integers の仮定(代数閉体、標数 $0$)を一つずつ外す。どちらの場合も $\iota_0$ は同じ式で定める($M:=k^\times$)。thm-pac-existence により、真の完備化では $\iota^*$ が圏同値なので、$\iota_0^*$ が圏同値でなければ $(D\times\mathbb G_a,\iota_0)$ は完備化でない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 代数閉体 | $k=\mathbb R$、$\mathbb R^2$ の $90^\circ$ 回転 $A$ | $\iota_0^*$ の本質的全射 |
| 標数 $0$ | $k=\overline{\mathbb F}_p$、$s\mapsto\begin{pmatrix}1&s\\0&1\end{pmatrix}$ と $s\mapsto\begin{pmatrix}1&s^p\\0&1\end{pmatrix}$ | $\iota_0^*$ の充満性 |
1 行目:$k=\mathbb R$ は標数 $0$ なので lem-pac-reps はそのまま成り立ち、$\iota_0^*$ の像の $1$ の作用は $A_s\exp(N)$($A_s$ は実数倍の和、$\exp(N)$ は冪単で $A_s$ と可換)の形で、固有値はすべて実数である。回転 $A$ の固有値は $\pm i$ なので、$A$ は像に入らない。2 行目:標数 $p$ では $(s+s')^p=s^p+s'^p$ なので、二つの式はどちらも $\mathbb G_a\to GL_2$ の準同型で、$D$ を自明に作用させると $D\times\mathbb G_a$ の表現になる。$\iota_0$ で引き戻すと、どちらも $1$ が $\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix}$ で作用する $\mathbb Z$ の同じ表現になり、$\operatorname{id}$ は $\mathbb Z$ 同変である。ところが $R=k[s]$ の点 $s$ で比べると $s\neq s^p$ なので、$\operatorname{id}$ は $\mathbb G_a$ 同変でない。
Toën の schematization は、基点付き連結な単体的集合 $X$(位相空間なら特異単体的集合)に、体 $k$ 上のアフィン群スキームを使って作る「代数的なホモトピー型」$(X\otimes k)^{\mathrm{sch}}$ を対応させる。Katzarkov–Pantev–Toën は次を示した(KPT09 Theorem 2.2 とその直後の 1・2・3、p. 5。この記事では証明しない)。
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