角の二等分線の定理(angle bisector theorem)とは、三角形 $ABC$ の角 $A$ の内角の二等分線が辺 $BC$ と交わる点を $D$ とすると $BD:DC=AB:AC$ となるという定理である。逆に、辺 $BC$ 上の頂点と異なる点 $D$ が $BD:DC=AB:AC$ を満たせば $AD$ は角 $A$ を 2 等分する。$AB\ne AC$ のとき、外角の二等分線は直線 $BC$ と線分の外の点 $E$ で交わり、$E$ は $BC$ を同じ比 $AB:AC$ に外分する($AB=AC$ なら外角の二等分線は $BC$ と平行)。大学数学では、$D$ と $E$ は $B$、$C$ に関して調和共役(複比 $-1$)であり、$\angle DAE=90^\circ$ から $A$ は $DE$ を直径とする Apollonius の円の上にある。
前提知識: 三角形の面積比, 平行線と線分の比, 内分点・外分点の座標, ベクトルの内積(高校数学)
三角形 $ABC$ の角 $A$ を 2 等分する線を引き、向かい合う辺 $BC$ と交わる点を $D$ とする。$D$ は辺 $BC$ をどんな比に分けるか。辺の中点になるとは限らない。具体的な三角形で計算してみる。
$AB=6$、$AC=4$、$BC=5$ の三角形を座標平面に置く。$B(0,0)$、$C(5,0)$ とし、$A(x,y)$($y>0$)とすると $x^2+y^2=36$、$(x-5)^2+y^2=16$ である。引き算すると $10x-25=20$ なので $x=\dfrac92$、$y^2=36-\dfrac{81}4=\dfrac{63}4$ より $y=\dfrac{3\sqrt7}2$ である。
辺 $BC$ を $AB:AC=6:4=3:2$ に分ける点は $D(3,0)$ である。$AD$ が角 $A$ を 2 等分していることを内積で確かめる(ベクトルの内積(高校数学))。
$$
\overrightarrow{AB}=\left(-\frac92,-\frac{3\sqrt7}2\right),\quad \overrightarrow{AC}=\left(\frac12,-\frac{3\sqrt7}2\right),\quad \overrightarrow{AD}=\left(-\frac32,-\frac{3\sqrt7}2\right)
$$
で、$|\overrightarrow{AD}|=\sqrt{\dfrac94+\dfrac{63}4}=\sqrt{18}=3\sqrt2$ である。内積は $\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AD}=\dfrac{27}4+\dfrac{63}4=\dfrac{45}2$、$\overrightarrow{AC}\cdot\overrightarrow{AD}=-\dfrac34+\dfrac{63}4=15$ なので
$$
\cos\angle BAD=\frac{45/2}{6\cdot3\sqrt2}=\frac{5\sqrt2}8,\qquad \cos\angle DAC=\frac{15}{4\cdot3\sqrt2}=\frac{5\sqrt2}8
$$
である。余弦が等しく、どちらの角も $0^\circ$ と $180^\circ$ の間にあるので $\angle BAD=\angle DAC$ である。角 $A$ の二等分線は、辺 $BC$ を $BD:DC=3:2=AB:AC$ に分けている。中点 $\left(\dfrac52,0\right)$ ではない。
$A(0,0)$、$B(3,0)$、$C(0,4)$ の直角三角形では、$\angle A=90^\circ$ の二等分線は直線 $y=x$ である。辺 $BC$ は直線 $\dfrac x3+\dfrac y4=1$、つまり $4x+3y=12$ なので、$y=x$ と連立して $7x=12$、$D\left(\dfrac{12}7,\dfrac{12}7\right)$ である。
$BC=5$ で、$D$ は $B$ から $C$ へ $x$ 座標が $3-\dfrac{12}7=\dfrac97$ だけ減った点である。$x$ 座標は $B$ から $C$ まで $3$ 減るので、$BD=5\cdot\dfrac{9/7}3=\dfrac{15}7$、$DC=5-\dfrac{15}7=\dfrac{20}7$ である。比は $BD:DC=15:20=3:4=AB:AC$ である。
2 つの例で、二等分線は対辺を「角をはさむ 2 辺の比」に分けた。この記事で答える問いは次の 4 つである。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 大学の言葉 |
|---|---|---|
| $BD:DC=AB:AC$ | 角の二等分線の定理 | $D$ は重み $(b:c)$ の重心、重心座標 $(0:b:c)$ |
| 外角の二等分線と $BE:EC=AB:AC$ | 外角の二等分線の定理 | 重み $(b:-c)$、重心座標 $(0:b:-c)$ |
| 同じ比の内分点と外分点 | 2 つの二等分線の足 | 調和共役(複比 $-1$) |
| $\angle DAE=90^\circ$ で $A$ は $DE$ を直径とする円の上 | 二等分線は垂直 | Apollonius の円 |
以下、三角形 $ABC$ の辺の長さを $a=BC$、$b=CA$、$c=AB$ と書く。
三角形 $ABC$ で、角 $A$ を 2 つの等しい角に分ける半直線を、角 $A$ の 内角の二等分線 という。
辺 $CA$ を $A$ の先に延ばした半直線の上に点 $C'$ をとる。角 $BAC'$ を角 $A$ の 外角 といい、角 $BAC'$ を 2 等分する半直線と、それを $A$ の反対側へ延ばした半直線を合わせた直線を、角 $A$ の 外角の二等分線 という。
角 $A$ の大きさを $A$ で表すと、外角の大きさは $180^\circ-A$ である。内角の二等分線は半直線 $AB$ と $\dfrac A2$ の角をなし、外角の二等分線(の $C'$ の側の半直線)は半直線 $AB$ と $\dfrac{180^\circ-A}2$ の角をなす。2 本は $A$ で交わり、そのなす角は
$$
\frac A2+\frac{180^\circ-A}2=90^\circ
$$
である。つまり 内角の二等分線と外角の二等分線は垂直 である。
角の二等分線の上の点は、角をつくる 2 本の直線から等しい距離にある。これが証明の道具になる。
角 $YAZ$($0^\circ<\angle YAZ<180^\circ$)を 2 等分する半直線の上に、$A$ と異なる点 $X$ があるとする。このとき、$X$ と直線 $AY$ の距離と、$X$ と直線 $AZ$ の距離は等しい。
方針:$X$ から 2 直線に垂線を下ろし、できる 2 つの直角三角形が合同であることを示す。
段 1(垂線の足の位置)。$X$ から直線 $AY$、$AZ$ に下ろした垂線の足を $H$、$K$ とする。$\angle YAX=\dfrac12\angle YAZ<90^\circ$ なので、$H$ は半直線 $AY$ の上にあり、$H\ne A$ である($H=A$ なら $\angle YAX=90^\circ$、$H$ が反対側なら $\angle YAX>90^\circ$ となる)。同じように $K$ は半直線 $AZ$ の上にあって $K\ne A$ である。
段 2(合同)。直角三角形 $AHX$ と $AKX$ は、斜辺 $AX$ を共有し、$\angle HAX=\angle YAX=\dfrac12\angle YAZ=\angle ZAX=\angle KAX$ である。斜辺と 1 つの鋭角がそれぞれ等しいので、2 つの直角三角形は合同である。
段 3(結論)。合同な三角形の対応する辺なので $XH=XK$ である。$\square$
外角の二等分線の上の点にも lem-abt-equidistant が使える。$C'$ の側の半直線の上の点は角 $BAC'$ の二等分線の上にあり、直線 $AC'$ は直線 $AC$ と同じだからである。反対側の半直線の上の点は、角 $BAC'$ の対頂角(半直線 $AC$ と、半直線 $AB$ を $A$ の先に延ばした半直線がつくる角)を 2 等分する半直線の上にあり、やはり 2 直線 $AB$、$AC$ から等しい距離にある。逆に「2 直線から等しい距離の点は、内角か外角の二等分線の上にある」ことも成り立つ(三角形の内心と傍心 で証明されている)。
角 $A$ の内角の二等分線は角の内部を通るので、辺 $BC$ と、$B$、$C$ と異なる点で交わる。この点を以下 $D$ で表す(角の内部を通る半直線が向かい合う辺と交わることは、図形の基本的な性質として認め、証明しない)。
三角形 $ABC$ の角 $A$ の内角の二等分線が辺 $BC$ と交わる点を $D$ とすると
$$
BD:DC=AB:AC
$$
である。
証明を 2 通り書く。1 つ目は 三角形の面積比 の考え方、2 つ目は Euclid『原論』の証明で、平行線を 1 本引く。
方針:三角形 $ABD$ と $ADC$ の面積の比を、「底辺 $BD$、$DC$ と共通の高さ」と「底辺 $AB$、$AC$ と共通の高さ」の 2 通りで表す。
段 1(底辺を $BD$、$DC$ とみる)。2 つの三角形 $ABD$、$ADC$ は頂点 $A$ を共有し、底辺 $BD$、$DC$ は直線 $BC$ の上にある。$A$ は直線 $BC$ の上にないので、三角形の面積比 の「高さが等しい三角形の面積の比は底辺の比」により
$$
\frac{\triangle ABD}{\triangle ADC}=\frac{BD}{DC}
$$
である。
段 2(底辺を $AB$、$AC$ とみる)。$D$ は角 $A$ の二等分線の上にあって $A$ と異なるので、lem-abt-equidistant により、$D$ と直線 $AB$ の距離と、$D$ と直線 $AC$ の距離は等しい。これを $h$ とする。$D$ は $B$、$C$ と異なる辺 $BC$ の点なので直線 $AB$、$AC$ の上になく、$h>0$ である。三角形 $ABD$ の底辺を $AB$ とみると高さは $h$、三角形 $ADC$ の底辺を $AC$ とみると高さは $h$ なので
$$
\frac{\triangle ABD}{\triangle ADC}=\frac{\frac12\cdot AB\cdot h}{\frac12\cdot AC\cdot h}=\frac{AB}{AC}
$$
である。
段 3(結論)。段 1 と段 2 の左辺は同じなので $\dfrac{BD}{DC}=\dfrac{AB}{AC}$、つまり $BD:DC=AB:AC$ である。$\square$
3 辺が 6、4、5 の三角形で、D から直線 AB、AC に下ろした垂線の長さ h が等しいことを見る図。三角形 ABD と ADC の面積の比は、底辺 AB、AC の比 6:4 にも、底辺 BD、DC の比 3:2 にも等しい
方針:$C$ を通り $AD$ に平行な直線を引き、直線 $BA$ との交点 $F$ をつくる。三角形 $ACF$ が二等辺三角形になり、$AC$ の長さを直線 $BA$ の上に移せる。あとは平行線と線分の比を使う。
段 1(点 $F$)。直線 $BA$ は直線 $AD$ と $A$ で交わるので $AD$ に平行でない。よって、$C$ を通り $AD$ に平行な直線は直線 $BA$ と 1 点で交わる。これを $F$ とする。
段 2(比を移す)。三角形 $BFC$ で、$A$ は直線 $BF$ の上、$D$ は辺 $BC$ の上にあり、$AD\parallel FC$ である。平行線と線分の比(平行線と線分の比)により $BA:AF=BD:DC$ であり、$D$ は $B$ と $C$ の間にあるので、$A$ は $B$ と $F$ の間にある。
段 3(角)。$A$ が $B$ と $F$ の間にあるので、$\angle BAD$ と $\angle AFC$ は平行線 $AD$、$FC$ と直線 $BF$ がつくる同位角で、$\angle AFC=\angle BAD$ である。また $F$ と $D$ は直線 $AC$ の反対側にある($F$ は $A$ をはさんで $B$ と反対側にあり、$D$ は $B$ と同じ側にある)ので、$\angle DAC$ と $\angle ACF$ は錯角で、$\angle ACF=\angle DAC$ である。$\angle BAD=\angle DAC$ なので $\angle AFC=\angle ACF$ である。
段 4(二等辺三角形)。三角形 $ACF$ で 2 つの角 $\angle AFC$、$\angle ACF$ が等しいので、向かい合う辺も等しく $AF=AC$ である。
段 5(結論)。段 2 と段 4 から $BD:DC=BA:AF=AB:AC$ である。$\square$
C を通り AD に平行な直線と直線 BA の交点 F。三角形 ACF は AF=AC の二等辺三角形で、BD:DC=BA:AF=6:4 となることを見る図
ex-abt-start の $A\left(\dfrac92,\dfrac{3\sqrt7}2\right)$、$B(0,0)$、$C(5,0)$、$D(3,0)$ で計算する。$\overrightarrow{AD}=\left(-\dfrac32,-\dfrac{3\sqrt7}2\right)$ は $(1,\sqrt7)$ に平行なので、$C$ を通り $AD$ に平行な直線は $(5+s,\ \sqrt7s)$ と書ける。直線 $BA$ は $t\left(\dfrac92,\dfrac{3\sqrt7}2\right)$ と書ける。$y$ 座標を比べて $\sqrt7s=\dfrac{3\sqrt7}2t$ より $s=\dfrac32t$、$x$ 座標を比べて $5+\dfrac32t=\dfrac92t$ より $t=\dfrac53$ である。よって $F=\dfrac53A=\left(\dfrac{15}2,\dfrac{5\sqrt7}2\right)$ である。
$F$ は $B$ から見て $A$ の $\dfrac53$ 倍の位置なので $BF=\dfrac53\cdot6=10$、$AF=10-6=4=AC$ である。$BA:AF=6:4=3:2$ で、$BD:DC=3:2$ と一致する(図 2)。
正弦定理(高校数学) を三角形 $ABD$ と $ADC$ に使うと
$$
\frac{BD}{\sin\angle BAD}=\frac{AB}{\sin\angle ADB},\qquad \frac{DC}{\sin\angle DAC}=\frac{AC}{\sin\angle ADC}
$$
である。$\angle ADB+\angle ADC=180^\circ$ なので $\sin\angle ADB=\sin\angle ADC$(三角比と鈍角への拡張)、また $\angle BAD=\angle DAC$ なので、2 つの式を割ると $\dfrac{BD}{DC}=\dfrac{AB}{AC}$ となる。
定理から、$D$ の位置を 3 辺の長さで書ける。
$BD=\dfrac{ac}{b+c}$、$DC=\dfrac{ab}{b+c}$ である。
方針:$BD+DC=a$ と $BD:DC=c:b$ を連立する。
thm-abt-main より $BD:DC=c:b$ なので、正の数 $k$ で $BD=ck$、$DC=bk$ と書ける。$D$ は $B$ と $C$ の間にあるので $BD+DC=BC=a$、つまり $(b+c)k=a$、$k=\dfrac a{b+c}$ である。よって $BD=\dfrac{ac}{b+c}$、$DC=\dfrac{ab}{b+c}$ である。$\square$
三角形 $ABC$ の辺 $BC$ の上の点 $D'$($D'\ne B$、$D'\ne C$)が $BD':D'C=AB:AC$ を満たすならば、$AD'$ は角 $A$ の内角の二等分線である。
方針:本当の二等分線の足 $D$ も同じ比に分けることを thm-abt-main で示し、辺を決まった比に内分する点がただ 1 つであることから $D'=D$ を出す。
段 1。角 $A$ の内角の二等分線が辺 $BC$ と交わる点を $D$ とすると、thm-abt-main により $BD:DC=AB:AC$ である。
段 2。prf-abt-length と同じ計算で、辺 $BC$ の上にあって $BX:XC=c:b$ を満たす点 $X$ は $BX=\dfrac{ac}{b+c}$ を満たす。辺 $BC$ の上で $B$ からの距離が決まれば点は 1 つに決まるので、そのような $X$ はただ 1 つである(内分点・外分点の座標)。
段 3。$D$ も $D'$ も段 2 の条件を満たすので $D'=D$ であり、$AD'$ は角 $A$ の内角の二等分線である。$\square$
$A(0,0)$、$B(8,0)$、$C(0,6)$ の直角三角形では $AB=8$、$AC=6$、$BC=10$ である。辺 $BC$ を $4:3$ に分ける点は
$$
D'=\frac{3B+4C}7=\left(\frac{24}7,\frac{24}7\right)
$$
である。$BD':D'C=4:3=8:6=AB:AC$ なので、thm-abt-converse により $AD'$ は直角 $A$ の二等分線で、$\angle BAD'=45^\circ$ である。実際 $D'$ は直線 $y=x$ の上にあり、直線 $y=x$ と $x$ 軸のなす角は $45^\circ$ である。
外角の二等分線は、いつも直線 $BC$ と交わるわけではない。
三角形 $ABC$ で、角 $A$ の外角の二等分線が直線 $BC$ と交わるのは $AB\ne AC$ のとき、そのときに限る。交わるとき、交点 $E$ は線分 $BC$ の外にある。
方針:外角の二等分線 $\ell$ は内角の二等分線 $AD$ に垂直である。$\ell$ が $BC$ と平行になることと、$AD$ が $BC$ に垂直になることが同じであり、それが二等辺三角形のときだけ起こることを示す。
段 1(平行と垂直)。$\ell\perp AD$ なので、$\ell\parallel BC$ であることと $AD\perp BC$ であることは同値である。また $\ell$ は $A$ を通り、$A$ は直線 $BC$ の上にないので、$\ell$ と直線 $BC$ は一致しない。したがって、$\ell$ が直線 $BC$ と交わらないことと $AD\perp BC$ は同値である。
段 2($AB=AC$ なら垂直)。$AB=AC$ とする。三角形 $ABD$ と $ACD$ は、$AB=AC$、$AD$ が共通、$\angle BAD=\angle CAD$ なので、2 辺とその間の角が等しく合同である。よって $\angle ADB=\angle ADC$ で、2 つの和は $180^\circ$ なので、どちらも $90^\circ$ であり、$AD\perp BC$ である。
段 3(垂直なら $AB=AC$)。$AD\perp BC$ とする。三角形 $ABD$ と $ACD$ は、$\angle BAD=\angle CAD$、$AD$ が共通、$\angle ADB=\angle ADC=90^\circ$ なので、1 辺とその両端の角が等しく合同である。よって $AB=AC$ である。
段 4(交わる条件)。段 1〜3 から、$\ell$ が直線 $BC$ と交わらないことと $AB=AC$ は同値である。つまり、$\ell$ が直線 $BC$ と交わることと $AB\ne AC$ は同値である。
段 5(交点は線分の外)。$\ell$ は $A$ を通り $AD$ に垂直な直線なので、平面を 2 つに分ける。点 $X$ が $D$ と同じ側にあることは、$\overrightarrow{AX}\cdot\overrightarrow{AD}>0$、つまり $\angle XAD<90^\circ$ と同値である。$\angle BAD=\angle CAD=\dfrac A2<90^\circ$ なので、$B$ と $C$ はどちらも $D$ と同じ側にある。同じ側にある 2 点を結ぶ線分は $\ell$ と交わらないので、交点 $E$ は線分 $BC$ の上にない。$\square$
三角形 $ABC$ で $AB\ne AC$ とし、角 $A$ の外角の二等分線が直線 $BC$ と交わる点を $E$ とすると
$$
BE:EC=AB:AC
$$
である。つまり $E$ は線分 $BC$ を $AB:AC$ に外分する。
方針:prf-abt-main-area と同じく、三角形 $ABE$ と $ACE$ の面積の比を 2 通りに表す。
段 1(底辺を $BE$、$CE$ とみる)。prop-abt-external-meets により $E$ は線分 $BC$ の外にあり、$E\ne B$、$E\ne C$ である。三角形 $ABE$、$ACE$ は頂点 $A$ を共有し、底辺 $BE$、$CE$ は直線 $BC$ の上にあるので、三角形の面積比 により $\dfrac{\triangle ABE}{\triangle ACE}=\dfrac{BE}{CE}$ である。
段 2(底辺を $AB$、$AC$ とみる)。$E$ は外角の二等分線の上にあって $A$ と異なる($E$ は直線 $BC$ の上、$A$ はその外)ので、lem-abt-equidistant(とその後の注意)により、$E$ と直線 $AB$、$AC$ の距離は等しい。これを $k$ とする。$E$ は直線 $BC$ の上にあって $B$、$C$ と異なるので、直線 $AB$、$AC$ の上になく、$k>0$ である。よって $\dfrac{\triangle ABE}{\triangle ACE}=\dfrac{\frac12\cdot AB\cdot k}{\frac12\cdot AC\cdot k}=\dfrac{AB}{AC}$ である。
段 3(結論)。段 1 と段 2 から $BE:EC=AB:AC$ である。$E$ は線分 $BC$ の外にあるので、これは外分である。$\square$
$c>b$ なら $E$ は $C$ の側の延長の上にあり、$BE=\dfrac{ac}{c-b}$、$EC=\dfrac{ab}{c-b}$ である。$c< b$ なら $E$ は $B$ の側の延長の上にあり、$BE=\dfrac{ac}{b-c}$、$EC=\dfrac{ab}{b-c}$ である。
方針:$E$ が線分 $BC$ の外にあるので、$BE$ と $EC$ の差が $a$ になることを使う。
段 1。thm-abt-external より正の数 $k$ で $BE=ck$、$EC=bk$ と書ける。$c>b$ なら $BE>EC$ なので、$E$ は $B$ より $C$ に近い。$E$ は線分の外にあるので、$C$ は $B$ と $E$ の間にあり、$BE-EC=BC$、つまり $(c-b)k=a$ である。よって $k=\dfrac a{c-b}$、$BE=\dfrac{ac}{c-b}$、$EC=\dfrac{ab}{c-b}$ である。
段 2。$c< b$ なら $EC>BE$ で、$B$ は $E$ と $C$ の間にあり、$EC-BE=a$、$(b-c)k=a$ である。あとは段 1 と同じである。$\square$
ex-abt-start では $c=6>b=4$ なので、$BE=\dfrac{5\cdot6}{2}=15$、$EC=\dfrac{5\cdot4}2=10$ で、$E(15,0)$ と一致する(ex-abt-external-meets (2))。$BE:EC=15:10=3:2=AB:AC$ である。
ex-abt-start-right の直角三角形($c=3< b=4$)では、$E$ は $B$ の側の延長の上にあり、$BE=\dfrac{5\cdot3}{1}=15$、$EC=\dfrac{5\cdot4}1=20$ である。座標では $E=\dfrac{4B-3C}{4-3}=(12,-12)$ で、外角の二等分線 $y=-x$ の上にある。$B(3,0)$ との距離は $\sqrt{81+144}=15$、$C(0,4)$ との距離は $\sqrt{144+256}=20$ である。
外角の二等分線の定理にも逆がある。
直線 $BC$ の上で線分 $BC$ の外にある点 $E'$ が $BE':E'C=AB:AC$ を満たすならば、$AE'$ は角 $A$ の外角の二等分線である。
方針:prf-abt-converse と同じく、比が決まれば外分点が 1 つに決まることを使う。
段 1($AB\ne AC$)。$E'$ が線分 $BC$ の外にあるので、$B$、$C$ のうち一方は $E'$ ともう一方の間にあり、$|BE'-E'C|=BC>0$ である。よって $BE'\ne E'C$ であり、仮定の比から $AB\ne AC$ である。
段 2。prop-abt-external-meets と thm-abt-external により、外角の二等分線は直線 $BC$ と線分の外の点 $E$ で交わり、$BE:EC=AB:AC$ である。
段 3。線分 $BC$ を $1$ でない比に外分する点はただ 1 つである(prf-abt-external-length と同じ計算で $B$ からの距離と向きが決まる。内分点・外分点の座標)。$E$ と $E'$ は同じ比の外分点なので $E'=E$ であり、$AE'$ は外角の二等分線である。$\square$
内角の二等分線の足 $D$ と外角の二等分線の足 $E$ は、どちらも線分 $BC$ を同じ比 $c:b$ に分ける。一方は内分、もう一方は外分である。この 2 点の組は、大学の射影幾何で 調和共役 と呼ばれる特別な組になっている。
内分と外分を 1 つの式で扱うために、符号つきの比を使う(内分点・外分点の座標)。
直線の上の点 $X$($X\ne C$)について、$\overrightarrow{BX}=\lambda\,\overrightarrow{XC}$ を満たす実数 $\lambda$ を $X$ の 符号つきの比 といい、$\dfrac{\overline{BX}}{\overline{XC}}$ と書く。$X$ が線分 $BC$ の内部にあれば $\lambda=\dfrac{BX}{XC}>0$、線分の外にあれば $\lambda=-\dfrac{BX}{XC}<0$ である。
直線 $BC$ の上の 2 点 $D$、$E$(どちらも $B$、$C$ と異なる)が
$$
\frac{\overline{BD}}{\overline{DC}}=-\frac{\overline{BE}}{\overline{EC}}
$$
を満たすとき、$D$ と $E$ は $B$、$C$ に関して 調和共役 であるという。
三角形 $ABC$ で $AB\ne AC$ とし、角 $A$ の内角・外角の二等分線が直線 $BC$ と交わる点を $D$、$E$ とする。このとき
方針:1 は内角と外角の二等分線が垂直であること、2 は thm-abt-main と thm-abt-external を符号つきの比で書き直すことである。
段 1(1)。def-abt-bisectors の後で見たとおり、内角の二等分線と外角の二等分線は垂直である。$D$ は内角の二等分線の上、$E$ は外角の二等分線の上にあり、どちらも $A$ と異なるので、$\angle DAE=90^\circ$ である。
段 2($D$ の比)。$D$ は線分 $BC$ の内部にあり、thm-abt-main により $\dfrac{BD}{DC}=\dfrac cb$ なので、符号つきの比は $\dfrac{\overline{BD}}{\overline{DC}}=\dfrac cb$ である。
段 3($E$ の比)。$E$ は線分 $BC$ の外にあり(prop-abt-external-meets)、thm-abt-external により $\dfrac{BE}{EC}=\dfrac cb$ なので、符号つきの比は $\dfrac{\overline{BE}}{\overline{EC}}=-\dfrac cb$ である。
段 4。段 2 と段 3 から $\dfrac{\overline{BD}}{\overline{DC}}=-\dfrac{\overline{BE}}{\overline{EC}}$ であり、$D$ と $E$ は調和共役である。$\square$
ex-abt-start では、$x$ 軸の上で $B=0$、$C=5$、$D=3$、$E=15$ である。$\overrightarrow{BD}=3$、$\overrightarrow{DC}=2$ なので $\dfrac{\overline{BD}}{\overline{DC}}=\dfrac32$、$\overrightarrow{BE}=15$、$\overrightarrow{EC}=-10$ なので $\dfrac{\overline{BE}}{\overline{EC}}=-\dfrac32$ である。
4 つの数 $d,e,b,c$ の複比 $\dfrac{(d-b)(e-c)}{(d-c)(e-b)}$(内分点・外分点の座標 の記事の複比と同じ並び)を計算すると
$$
\frac{(3-0)(15-5)}{(3-5)(15-0)}=\frac{30}{-30}=-1
$$
である。調和共役であることは、複比が $-1$ であることと同じである(内分点・外分点の座標)。
複比は 1 次分数変換で変わらない(内分点・外分点の座標 の記事の注意を参照。複比)。そのため「調和共役」は、長さや角を測らない射影幾何でも意味をもつ。角の二等分線は角という計量的な概念を使って定義されるが、その足の組は、射影で保たれる「複比 $-1$」という性質をもつ。完全四辺形を使って定規だけで調和共役な点を作図する方法は 調和点列 で扱う。
prop-abt-harmonic の 1 から、$A$ は $DE$ を直径とする円の上にある(直径に対する円周角が $90^\circ$ であることの逆。直径に対する円周角)。
ex-abt-start では $D(3,0)$、$E(15,0)$ なので、$DE$ を直径とする円は中心 $(9,0)$、半径 $6$ である。$A\left(\dfrac92,\dfrac{3\sqrt7}2\right)$ と中心の距離は
$$
\sqrt{\left(9-\frac92\right)^2+\frac{63}4}=\sqrt{\frac{81}4+\frac{63}4}=\sqrt{36}=6
$$
で、$A$ はこの円の上にある(図 3)。
3 辺が 6、4、5 の三角形の角 A の内角の二等分線(赤)と外角の二等分線(青)。D と E は線分 BC を同じ比 3:2 に内分・外分し、角 DAE は直角で、A は DE を直径とする円(緑の破線)の上にあることを見る図
この円の上の点 $P$ はどれも $PB:PC=AB:AC=3:2$ を満たす。つまり、この円は「$B$、$C$ からの距離の比が $3:2$ の点の集まり」である。これを Apollonius の円 といい、次の記事 Apolloniusの円 で、角の二等分線の定理を使って証明する。座標で軌跡として求める方法は 軌跡の求め方 にある。
cor-abt-length は、位置ベクトルで $D=\dfrac{bB+cC}{b+c}$ と書ける($B$ に重さ $b$、$C$ に重さ $c$ を置いた重心。位置ベクトルと内分点)。外分点は $E=\dfrac{bB-cC}{b-c}$ で、重さ $b$ と $-c$ の「重心」である。
この見方をすると、内心 $I$ が $\dfrac{aA+bB+cC}{a+b+c}$(重心座標 $(a:b:c)$)、角 $A$ に向かい合う傍心が $\dfrac{-aA+bB+cC}{-a+b+c}$ になることが自然に分かる(証明は 三角形の内心と傍心)。$A$ と $I$ を結ぶ直線は、$A$ の重さを $0$ にした点 $\dfrac{bB+cC}{b+c}=D$ を通る。$A$ の重さの符号を変えると内心が傍心に変わり、$B$ か $C$ の重さの符号を変えると $D$ が $E$ に変わる。重心座標の一般論は 重心座標 にある。
3 本の内角の二等分線は内心で交わる。内心が各二等分線をどんな比に分けるかは、角の二等分線の定理を 2 回使うと分かる。
三角形 $ABC$ の内接円の中心を $I$ とする。角 $A$、$B$、$C$ の内角の二等分線が向かい合う辺と交わる点を、それぞれ $A'$、$B'$、$C'$ とする。次を示せ。
$$
\frac14<\frac{AI\cdot BI\cdot CI}{AA'\cdot BB'\cdot CC'}\le\frac8{27}
$$
(出典:国際数学オリンピック(1991 年)第 1 問 Oly91。問題文は英文からの和訳。)
方針:thm-abt-main を 2 回使って $\dfrac{AI}{AA'}$ を 3 辺で表す。3 つの比は和が $2$ で、どれも $\dfrac12$ より大きい。上からは相加平均と相乗平均の不等式、下からは展開で評価する。
段 1($\dfrac{AI}{AA'}$ を求める)。$a=BC$、$b=CA$、$c=AB$ とする。cor-abt-length により $BA'=\dfrac{ac}{b+c}$ である。三角形 $ABA'$ で、$BI$ は角 $B$($=\angle ABA'$)の二等分線であり、辺 $AA'$ と $I$ で交わる($I$ は 3 本の二等分線の交点)。thm-abt-main を三角形 $ABA'$ の角 $B$ に使うと
$$
AI:IA'=BA:BA'=c:\frac{ac}{b+c}=(b+c):a
$$
である。よって
$$
x:=\frac{AI}{AA'}=\frac{b+c}{a+b+c}
$$
である。同じように $y:=\dfrac{BI}{BB'}=\dfrac{c+a}{a+b+c}$、$z:=\dfrac{CI}{CC'}=\dfrac{a+b}{a+b+c}$ である。示すべきことは $\dfrac14< xyz\le\dfrac8{27}$ である。
段 2(和と範囲)。$x+y+z=\dfrac{2(a+b+c)}{a+b+c}=2$ である。三角形の成立条件 $b+c>a$ から $2(b+c)>a+b+c$、つまり $x>\dfrac12$ である。同じく $y>\dfrac12$、$z>\dfrac12$ である。
段 3(上からの評価)。$x,y,z$ は正なので、3 つの数の相加平均と相乗平均の不等式(相加平均・相乗平均と凸関数)により
$$
xyz\le\left(\frac{x+y+z}3\right)^3=\left(\frac23\right)^3=\frac8{27}
$$
である。等号は $x=y=z=\dfrac23$、つまり $a=b=c$(正三角形)のときに成り立つ。
段 4(下からの評価)。$x=\dfrac12+p$、$y=\dfrac12+q$、$z=\dfrac12+r$ とおくと、段 2 より $p,q,r>0$、$p+q+r=2-\dfrac32=\dfrac12$ である。展開すると
$$
xyz=\frac18+\frac14(p+q+r)+\frac12(pq+qr+rp)+pqr
$$
である。$pq+qr+rp>0$、$pqr>0$ なので
$$
xyz>\frac18+\frac14\cdot\frac12=\frac14
$$
である。$\square$
$a=5$、$b=4$、$c=6$ では $x=\dfrac{10}{15}=\dfrac23$、$y=\dfrac{11}{15}$、$z=\dfrac9{15}=\dfrac35$ である(図 4)。座標で確かめると、内心は $I\left(\dfrac72,\dfrac{\sqrt7}2\right)$、$A'=D=(3,0)$ で、$I$ は $A$ から $A'$ へ向かう線分を $2:1$ に分けている($\dfrac{A+2A'}3$ を計算すると $I$ になる)。積は
$$
xyz=\frac23\cdot\frac{11}{15}\cdot\frac35=\frac{22}{75}\approx0.293
$$
で、$\dfrac14=0.25$ と $\dfrac8{27}\approx0.296$ の間にある。
3 辺が 6、4、5 の三角形の 3 本の内角の二等分線と内心 I。I は AA'、BB'、CC' をそれぞれ AI/AA'=2/3、BI/BB'=11/15、CI/CC'=3/5 の位置で分けることを見る図
段 1 の $x=\dfrac{b+c}{a+b+c}$ は $1-\alpha$ と書ける。ここで $\alpha=\dfrac a{a+b+c}$ は、内心の重心座標 $(a:b:c)$ を和が $1$ になるようにそろえた $(\alpha,\beta,\gamma)=\left(\dfrac a{a+b+c},\dfrac b{a+b+c},\dfrac c{a+b+c}\right)$ の第 1 成分である(rem-abt-weights)。問題は、関数
$$
F(\alpha,\beta,\gamma)=(1-\alpha)(1-\beta)(1-\gamma)
$$
を、$\alpha+\beta+\gamma=1$、$0<\alpha,\beta,\gamma<\dfrac12$(三角形の成立条件)の範囲で調べることになる。この範囲は、重心座標の三角形 $\alpha,\beta,\gamma\ge0$ の 3 辺の中点を結んだ三角形の内部である。$F$ はその中心 $\alpha=\beta=\gamma=\dfrac13$ で最大値 $\dfrac8{27}$ をとる。境界の上、たとえば $\alpha=\dfrac12$ の辺では $\beta+\gamma=\dfrac12$ なので $F=\dfrac12(1-\beta)(1-\gamma)=\dfrac12\left(\dfrac12+\beta\gamma\right)=\dfrac14+\dfrac12\beta\gamma$ であり、$F$ が $\dfrac14$ に近づくのは、3 辺の中点を結んだ三角形の頂点(たとえば $\alpha=\beta=\dfrac12$、$\gamma=0$。$a=b$ で $c$ が $0$ に近いつぶれた三角形)に近づくときである。たとえば $a=b=1$、$c=\dfrac1{100}$ では $F=\dfrac{(b+c)(c+a)(a+b)}{(a+b+c)^3}\approx0.2512$、$c=\dfrac1{1000}$ では $\approx0.2501$ である。下限 $\dfrac14$ が達成されないのは、範囲の境界が三角形でないものに当たるからである。
どの仮定を外すと何が崩れるかを一覧にする。
| 外した仮定 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 線が角を 2 等分する | $BD:DC=AB:AC$ | ex-abt-cx-median |
| $AB\ne AC$ | 外角の二等分線が直線 $BC$ と交わる | ex-abt-external-meets (1) |
| 点が辺 $BC$ の上(内分) | 逆の結論(内角の二等分線になる) | ex-abt-cx-converse |
| 変換が向きの違う 2 辺の比 $AB:AC$ を保つ | 変換した三角形でも、もとの二等分線の足の像が二等分線の足になる($BD:DC=AB:AC$ がそのまま移る) | ex-abt-cx-affine |
ex-abt-start の三角形で、辺 $BC$ の中点 $M\left(\dfrac52,0\right)$ と $A$ を結ぶ中線を考える。$BM:MC=1:1\ne3:2=AB:AC$ なので、thm-abt-main の対偶により中線 $AM$ は角 $A$ を 2 等分しない。実際 $\overrightarrow{AM}=\left(-2,-\dfrac{3\sqrt7}2\right)$ で $|\overrightarrow{AM}|=\sqrt{4+\dfrac{63}4}=\dfrac{\sqrt{79}}2$、内積は $\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AM}=9+\dfrac{63}4=\dfrac{99}4$、$\overrightarrow{AC}\cdot\overrightarrow{AM}=-1+\dfrac{63}4=\dfrac{59}4$ なので
$$
\cos\angle BAM=\frac{99/4}{6\cdot\sqrt{79}/2}=\frac{33}{4\sqrt{79}},\qquad \cos\angle MAC=\frac{59/4}{4\cdot\sqrt{79}/2}=\frac{59}{8\sqrt{79}}
$$
で、$\dfrac{66}{8\sqrt{79}}\ne\dfrac{59}{8\sqrt{79}}$ である。中線と二等分線が一致するのは $AB=AC$ のときに限る。
ex-abt-start の $E(15,0)$ も $BE:EC=15:10=3:2=AB:AC$ を満たす。しかし $E$ は辺 $BC$ の上になく、$AE$ は内角の二等分線ではなく外角の二等分線である(ex-abt-external-meets (2))。thm-abt-converse で「$D'$ が辺 $BC$ の上にある」と仮定したのは、長さの比だけでは内分点と外分点を区別できないからである。符号つきの比(def-abt-harmonic)なら $\dfrac32$ と $-\dfrac32$ で区別できる。
三角形の面積比 では、面積の比の問題は三角形を $x$ 方向に引き伸ばすなどの変換(アフィン変換)で計算しやすい形に移してよいことを見た。角の二等分線はそうはいかない。$A(0,0)$、$B(1,0)$、$C(0,1)$ では $AB=AC$ なので、二等分線は辺 $BC$ を中点で分ける。$x$ 方向に $2$ 倍すると $B'(2,0)$、$C'(0,1)$ となり、中点は $\left(1,\dfrac12\right)$ に移る。しかし $A'B'=2$、$A'C'=1$ なので、cor-abt-length により角 $A'$ の二等分線の足は $B'C'$ を $2:1$ に分ける点 $\dfrac{B'+2C'}3=\left(\dfrac23,\dfrac23\right)$ である。引き伸ばしで向きの違う 2 辺 $A'B'$、$A'C'$ の比が $1:1$ から $2:1$ に変わったので、二等分線は保たれない。
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