超尖点表現(supercuspidal representation)とは、非アルキメデス局所体 $F$ 上の $\operatorname{GL}_n(F)$ などの簡約群の既約 smooth 表現で、すべての真の放物型部分群 $P=MU$ について Jacquet 加群(冪単根基 $U$ に関する余不変部分)$V_U$ が $0$ になるものである。放物型誘導との Frobenius 相互律により、これは真の放物型部分群からの誘導表現の部分表現として現れないことと同値である。$\operatorname{GL}_2(F)$ では、有限群 $\operatorname{GL}_2(\mathbb{F}_q)$ の既約な尖点表現を $F^\times\operatorname{GL}_2(\mathcal{O})$ に延ばしてコンパクト誘導すると、既約な超尖点表現が得られる。
超尖点表現(supercuspidal representation)とは、非アルキメデス局所体 $F$ 上の簡約群、たとえば $\operatorname{GL}_n(F)$ の既約 smooth 表現のうち、どの真の放物型部分群に対しても Jacquet 加群が $0$ になるもののことである。言い換えると、より小さい Levi 部分群の表現から放物型誘導して得られる表現の中に、部分表現として現れない既約表現である。$\operatorname{GL}_n(F)$ の既約表現はどれも超尖点表現の「積」から誘導した表現の中に現れるので、超尖点表現は表現論の基本の部品になる。
有限体上の群では、尖点表現 は冪単根基の不変部分 $V^U$ の消滅で定義された。$p$ 進群では冪単根基 $U$ がコンパクトでなく平均をとれないので、代わりに余不変部分(Jacquet 加群)$V_U$ を使う。有限群では両者は同じものになる。
この記事では $G=\operatorname{GL}_n(F)$ に限り、Jacquet 加群の消滅の判定法、放物型誘導との Frobenius 相互律、それによる超尖点表現の特徴づけ(主定理)を証明する。さらに $\operatorname{GL}_2(F)$ について、有限群 $\operatorname{GL}_2(\mathbb{F}_q)$ の既約な尖点表現を中心を含む $F^\times\operatorname{GL}_2(\mathcal{O})$ に延ばしてからコンパクト誘導して超尖点表現を作り、既約性と超尖点性を証明する。
$F$ を非アルキメデス局所体、$\mathcal{O}$ を整数環、$\varpi$ を素元、$q$ を剰余体の位数とする。$G=\operatorname{GL}_n(F)$ は局所副有限群であり、表現はすべて複素数体上の smooth 表現(各ベクトルの固定部分群が開、局所副有限群の表現)とする。
$n=n_1+\dots+n_r$ に対し、対角ブロックの大きさが $n_1,\dots,n_r$ のブロック上三角行列全体を標準放物型部分群 $P$ とし、ブロック対角行列の群 $M\cong\prod_i\operatorname{GL}_{n_i}(F)$ を Levi 部分群、対角ブロックが単位行列のもの全体 $U$ を冪単根基という。$P=MU$、$U$ は $P$ の正規部分群で、$r\ge2$ のとき $P$ は真であるという(有限体の場合の 放物型誘導表現 の記事の定義「標準放物型部分群とLevi分解」と同じ形)。
$G$ の smooth 表現 $(\pi,V)$ と標準放物型部分群 $P=MU$ に対し、
$$
V(U):=\operatorname{span}\{\pi(u)v-v : u\in U,\ v\in V\},\qquad V_U:=V/V(U)
$$
とおく。$M$ は $U$ を正規化するので $V(U)$ を保ち、$V_U$ は $M$ の smooth 表現になる。これを $\pi$ の $P$ に関する Jacquet 加群(余不変部分)という。
文献によっては $V_U$ に $\delta_P^{-1/2}$($\delta_P$ は $P$ のモジュラー指標)を掛けて正規化する。指標を掛けても $V_U$ が $0$ かどうかは変わらないので、以下の議論には影響しない。
$M$ の smooth 表現 $(\sigma,W)$ を $U$ の上で自明として $P$ に延ばす。関数 $f\colon G\to W$ で、$f(pg)=\sigma(p)f(g)$($p\in P$)を満たし、ある開部分群 $K_f$ について $f(gk)=f(g)$($k\in K_f$)となるもの全体を $\operatorname{Ind}_P^G\sigma$ と書き、$G$ を右からの平行移動 $(\operatorname{Ind}(h)f)(g)=f(gh)$ で作用させる。これを放物型誘導(正規化しない形)という。
$G=\operatorname{GL}_n(F)$ の既約 smooth 表現 $(\pi,V)$ が超尖点表現(supercuspidal representation)であるとは、すべての真の標準放物型部分群 $P=MU$ について $V_U=0$ となることをいう。
BZ76(3.18, p. 34)はこの条件を満たす表現を「quasi-cuspidal」、さらに許容的なものを「cuspidal」と呼ぶ。既約 smooth 表現は自動的に許容的である(同 Theorem 3.25, p. 35)ので、$\operatorname{GL}_n(F)$ の文献では超尖点表現を単に尖点表現と呼ぶこともある。Wed00((2.2.2), p. 22)は「真の放物型部分群からの誘導表現の部分商として現れない」ことで定義しており、この定義と上の定義は同値である(BZ76 Proposition 3.19・Theorem 3.25(pp. 34–35)と Corollary 3.27・3.28 の Proposition(p. 36)・3.13 (b)(p. 32)から従う。この記事では証明しない)。
$U$ はコンパクトではないが、コンパクト開部分群の増大列の和になる。$t=\operatorname{diag}(1,\varpi,\dots,\varpi^{n-1})$ とし、$U_k:=U\cap t^{k}\operatorname{GL}_n(\mathcal{O})t^{-k}$ とおくと、$U_k$ は $(i,j)$ 成分($i< j$)が $\varpi^{-k(j-i)}\mathcal{O}$ に入る $U$ の元全体であり、$U_0\subset U_1\subset\cdots$、$\bigcup_kU_k=U$ である。
$(\pi,V)$ を $G$ の smooth 表現、$v\in V$ とする。$v\in V(U)$ であるための必要十分条件は、ある $k$ について
$$
\int_{U_k}\pi(u)v\,du=0
$$
となることである($du$ は $U_k$ の Haar 測度)。
要点:$V(U)$ の元は有限個の $u_j$ しか使わないので、それらを含む $U_k$ で平均すると消える。逆に平均が $0$ なら $v$ は「$v$ と平均の差」として $V(U)$ に入る。
$e_k v:=\operatorname{vol}(U_k)^{-1}\int_{U_k}\pi(u)v\,du$ と書く。$v$ を固定する開部分群 $K'$ をとると、$U_k\cap K'$ は $U_k$ の開部分群で指数は有限であり、剰余類の代表 $u_1,\dots,u_N$ について $e_kv=\frac1N\sum_i\pi(u_i)v$ である。
必要性:$v=\sum_j(\pi(u_j)w_j-w_j)$ と有限和で書き、すべての $u_j$ を含む $U_k$ をとる。Haar 測度の不変性から $e_k\pi(u_j)w_j=e_kw_j$ なので $e_kv=0$ である。
十分性:$e_kv=0$ なら $v=v-e_kv=\frac1N\sum_i(v-\pi(u_i)v)\in V(U)$ である。$\square$
この判定法は BZ76 2.33(p. 25)の補題を $\operatorname{GL}_n$ の冪単根基に当てたものである。これから、Jacquet 加群をとる操作が完全列を保つことも従う(同 2.35, p. 25 と 3.13 (a), p. 32)。
$G$ の smooth 表現 $(\pi,V)$ と $M$ の smooth 表現 $(\sigma,W)$ について、自然な同型
$$
\operatorname{Hom}_G(\pi,\operatorname{Ind}_P^G\sigma)\cong\operatorname{Hom}_M(V_U,\sigma)
$$
がある。
$A\in\operatorname{Hom}_G(\pi,\operatorname{Ind}_P^G\sigma)$ に対し $\alpha(v):=A(v)(1)$ とおく。$p\in P$ なら $\alpha(\pi(p)v)=A(v)(p)=\sigma(p)\alpha(v)$ なので $\alpha$ は $P$ 準同型である。$\sigma$ は $U$ の上で自明なので $\alpha(\pi(u)v-v)=0$ であり、$\alpha$ は $V_U$ を経由して $M$ 準同型 $\bar\alpha\colon V_U\to W$ を与える。
逆に $\lambda\in\operatorname{Hom}_M(V_U,W)$ に対し、$v\in V$ の類を $\bar v$ と書いて $B(v)(g):=\lambda(\overline{\pi(g)v})$ とおく。$v$ を固定する開部分群 $K_v$ について $B(v)(gk)=B(v)(g)$ である。$m\in M$、$u\in U$ について、$\overline{\pi(u)w}=\bar w$ だから $B(v)(mug)=\lambda(\overline{\pi(m)\pi(g)v})=\sigma(m)B(v)(g)$ である。よって $B(v)\in\operatorname{Ind}_P^G\sigma$ で、$B(\pi(h)v)(g)=B(v)(gh)$ だから $B$ は $G$ 準同型である。
$B(v)(1)=\lambda(\bar v)$ であり、逆に $A(v)(g)=A(\pi(g)v)(1)=\bar\alpha(\overline{\pi(g)v})$ だから、2 つの対応は互いに逆である。$\square$
これは BZ76 3.13 (b)(p. 32)にあたり、有限群の 放物型誘導表現 の記事の定理「放物型Frobenius相互律」は誘導を $\operatorname{Hom}$ の左に置き不変部分 $V^U$ を使う形である。$p$ 進群では不変部分 $V^U$ を使う形は一般には成り立たず、誘導を右に置き余不変部分 $V_U$ を使うこの形になる。
$G=\operatorname{GL}_n(F)$ の既約 smooth 表現 $(\pi,V)$ について、次は同値である。
1 ⇒ 2:$V_U=0$ なら thm-scr-frobenius の右辺は $0$ である。
2 ⇒ 1:対偶を示す。ある真の $P=MU$ で $V_U\ne0$ とする。$V_U$ は $M$ の smooth 表現なので、$\sigma:=V_U$ ととれる。恒等写像 $\mathrm{id}\in\operatorname{Hom}_M(V_U,\sigma)$ は $0$ でないから、thm-scr-frobenius により $0$ でない $G$ 準同型 $A\colon\pi\to\operatorname{Ind}_P^G\sigma$ がある。$\ker A$ は $\pi$ の部分表現で $V$ 全体ではないから、$\pi$ の既約性により $\ker A=0$ であり、$A$ は埋め込みである。$\square$
2 の $\sigma$ を既約な表現に限っても同じことが成り立つ。実際、既約な $\pi$ は 1 つのベクトルで生成されるので $V_U$ も有限生成であり(BZ76 3.13 (e), p. 33)、既約な商 $\rho$ をもつ(同 2.6, p. 16)。$V_U\to\rho$ から $\pi\hookrightarrow\operatorname{Ind}_P^G\rho$ が得られる。さらに $\rho$ が超尖点表現(の積)になるように $P$ を選べる(同 Proposition 3.19, p. 34 と Corollary 3.27, p. 36。この記事では証明しない)。こうして $\operatorname{GL}_n(F)$ のすべての既約表現は、ある $\operatorname{GL}_{n_1}(F)\times\dots\times\operatorname{GL}_{n_r}(F)$ の超尖点表現の外部テンソル積からの誘導表現に埋め込まれる。
既約 smooth 表現 $\pi$ が超尖点表現であることは、すべての行列係数 $g\mapsto\langle\tilde v,\pi(g)v\rangle$ の台が中心を法としてコンパクトであることと同値である(BZ76 Theorem 3.21, pp. 34–35。この記事では証明しない)。この特徴づけから、超尖点表現の反傾表現も超尖点表現である(同 3.24, p. 35)。
$n=1$ では真の標準放物型部分群がないので、定義の条件は空であり、$F^\times$ の既約 smooth 表現(指標 $F^\times\to\mathbb{C}^\times$)はすべて超尖点表現である。
$n\ge2$ とし、指標 $\chi\colon F^\times\to\mathbb{C}^\times$ から $\pi=\chi\circ\det$ を作る。冪単根基の元の行列式は $1$ なので $U$ は自明に作用し、$V(U)=0$、$V_U=V\ne0$ である。よって $\pi$ は既約だが超尖点表現でない。破れている条件は $V_U=0$ である。
$n=2$、$B=TU$ を上三角行列の Borel 部分群とし、$T$ の指標 $\chi_1\boxtimes\chi_2$ から $\operatorname{Ind}_B^G(\chi_1\boxtimes\chi_2)$ を作る。thm-scr-main により、この表現の既約部分表現は超尖点表現でない。たとえば $\chi_1=\chi_2=1$ のとき $\operatorname{Ind}_B^G1$ は射影直線 $B\backslash G=\mathbb{P}^1(F)$ 上の局所定数関数の空間で、定数関数は $1$ 次元の部分表現(自明表現)をなす。これは ex-scr-one-dim とも合っている。
以下 $n=2$、$K=\operatorname{GL}_2(\mathcal{O})$、$Z\cong F^\times$ を中心とし、$J:=ZK=\varpi^{\mathbb{Z}}\times K$ とおく。還元 $K\to\operatorname{GL}_2(\mathbb{F}_q)$ を $k\mapsto\bar k$ と書く。$(\tau,V_\tau)$ を $\operatorname{GL}_2(\mathbb{F}_q)$ の既約な尖点表現(尖点表現 の定義「尖点表現」、上三角の冪単群 $N$ について $V_\tau^{N}=0$)とし、$\tilde\tau(\varpi^mk):=\tau(\bar k)$ で $J$ の表現に延ばす。
関数 $f\colon G\to V_\tau$ で、$f(jg)=\tilde\tau(j)f(g)$($j\in J$)を満たし、台が有限個の右剰余類 $Jg$ の和に含まれるもの全体を $\operatorname{c\text{-}Ind}_J^G\tilde\tau$ と書き、$G$ を右からの平行移動で作用させる。
各 $f$ は、$f$ を固定する開部分群が台の有限個の剰余類ごとにとれるので smooth である。$v\in V_\tau$ に対し、台が $J$ で $f_v(j)=\tilde\tau(j)v$ となる関数を $f_v$ と書く。
$\pi:=\operatorname{c\text{-}Ind}_J^G\tilde\tau$ は $\operatorname{GL}_2(F)$ の既約な超尖点表現である。
方針:(a) で $J$ の外の両側剰余類が $\tilde\tau$ と絡み合わないことを尖点条件から示し、(b) でそこから既約性を、(c) で lem-scr-jl を使って Jacquet 加群の消滅を導く。
(a) 絡作用素の消滅:$g\notin J$ に対し $H_g:=J\cap g^{-1}Jg$、$\operatorname{Hom}_{H_g}(\tilde\tau,\tilde\tau^g)=0$ を示す。$g'=j_1gj_2$ なら $T\mapsto\tilde\tau(j_1)T\tilde\tau(j_2)$ が $\operatorname{Hom}_{H_g}(\tilde\tau,\tilde\tau^g)$ と $\operatorname{Hom}_{H_{g'}}(\tilde\tau,\tilde\tau^{g'})$ の同型を与える($H_{g'}=j_2^{-1}H_gj_2$)。Cartan 分解 $G=\bigsqcup_{a\le b}K\operatorname{diag}(\varpi^a,\varpi^b)K$(BZ76 3.2, p. 29)と中心で割ることにより、$g=\operatorname{diag}(1,\varpi^m)$、$m\ge1$ としてよい。$g^{-1}\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}g=\begin{pmatrix}a&\varpi^mb\\\varpi^{-m}c&d\end{pmatrix}$ なので、$H_g$ は下三角の冪単群 $N^-(\mathcal{O})$ を含む。$x\in N^-(\mathcal{O})$ では $gxg^{-1}$ の $(2,1)$ 成分が $\varpi^m\mathcal{O}$ に入るので $\tilde\tau^g(x)=1$、一方 $\tilde\tau(x)=\tau(\bar x)$ で $\bar x$ は $N^-(\mathbb{F}_q)$ 全体を動く。絡作用素 $T$ は $T\tau(\bar x)=T$ を満たすので、$\tau(\bar x)w-w$ の形のベクトルをすべて消す。$N^-(\mathbb{F}_q)$ は有限群なので $V_\tau$ はそれらの張る空間と $V_\tau^{N^-}$ の直和であり、$V_\tau^{N^-}=\tau(w_0)V_\tau^{N}=0$($w_0$ は反対角の置換行列)だから $T=0$ である。
(b) 既約性:$f\in\pi$ を両側剰余類 $JgJ$ ごとの部分の和に分けると、$\pi|_J=\bigoplus_{JgJ}W_g$ で、$W_g$(台が $JgJ$ の関数)は $\varphi(y)=f(gy)$ により $\operatorname{Ind}_{H_g}^J\tilde\tau^g$(指数有限の誘導)と同型である。Frobenius 相互律と (a) により $g\notin J$ なら $\operatorname{Hom}_J(\tilde\tau,W_g)=0$ である。$\varpi$ は $\pi$ にも $\tilde\tau$ にも自明に作用するので $J$ 準同型は $K$ 準同型と同じであり、smooth な $K$ 表現は有限商を経由する有限次元表現の和なので、$K$ の群環の冪等元 $e_\tau$($\tau$ 成分への射影。$f$ を固定する開部分群を法とした有限和)は $W_1$ 上で恒等写像、$g\notin J$ の $W_g$ 上で $0$ になる。$0$ でない部分表現 $X\subset\pi$ と $0$ でない $f\in X$ をとり、$f(x)\ne0$ なる $x$ で $f':=\pi(x)f$ とすると $f'(1)\ne0$、$e_\tau f'\in X$ は $f'$ の $W_1$ 成分で $e_\tau f'(1)=f'(1)\ne0$ である。$X\cap W_1$ は既約な $W_1\cong\tilde\tau$ の $0$ でない部分表現なので $W_1\subset X$ である。台が $Jx$ の関数 $f$ は $\pi(x)f\in W_1$ を満たすので $f=\pi(x^{-1})\pi(x)f\in X$ であり、$\pi$ の元はそのような関数の有限和だから $X=\pi$ である。
(c) 超尖点性:真の標準放物型部分群は $B$ だけで、$U=\Bigl\{\begin{pmatrix}1&x\\0&1\end{pmatrix}\Bigr\}$、$U_m$ を $x\in\varpi^{-m}\mathcal{O}$ の部分とする。$\pi$ は $\pi(g)f_v$ の和で張られるので、各 $g,v$ について $\int_{U_m}\pi(u)\pi(g)f_v\,du=0$($m$ が大きいとき)を示せば lem-scr-jl により $V(U)=V$ となる。Iwasawa 分解(BZ76 3.2, p. 29)で $g=bk$($b\in B$、$k\in K$)と書くと、$U_g:=U\cap gJg^{-1}=bU(\mathcal{O})b^{-1}$ はコンパクトで($U\cap J=U(\mathcal{O})$ は行列式を比べて分かる)、$H:=g^{-1}U_gg=k^{-1}U(\mathcal{O})k$ の像は $\bar k^{-1}N(\mathbb{F}_q)\bar k$ である。$m$ を $U_g\subset U_m$ となるようにとり、$y\in G$ を固定する。$yug\in J$ となる $u\in U_m$ がなければ $\int_{U_m}f_v(yug)\,du=0$ である。あれば 1 つ $u_0$ をとると、そのような $u$ の全体は $u_0U_g$ で、$f_v(yu_0u'g)=\tilde\tau(yu_0g)\tilde\tau(g^{-1}u'g)v$($u'\in U_g$)だから、積分は $\tilde\tau(yu_0g)$ に $H$ 上の $\tilde\tau$ の平均を $v$ に当てたものの定数倍になる。その平均は $\tau(\bar k^{-1})$ と、$N(\mathbb{F}_q)$ 上の平均($V_\tau^N=0$ への射影)と、$\tau(\bar k)$ の合成なので $0$ である。$\square$
この構成は、有限群の尖点表現(尖点表現)が $p$ 進群の超尖点表現の「種」になることを示している。(a) で使ったのは尖点条件 $V_\tau^{N}=0$ であり、(c) でも同じ条件が Jacquet 加群の消滅を導いている。$\tau$ を尖点表現でない表現に取り替えると、次の表のように結論が崩れる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\tau$ が尖点表現 | $\tau=1$(自明表現) | $\operatorname{c\text{-}Ind}_J^G\tilde\tau$ の既約性 |
| 中心 $Z$ を含む $J$ から誘導する | $\operatorname{c\text{-}Ind}_K^G(\tau\circ\text{還元})$ | 既約性 |
| thm-scr-main の $P$ が真 | $P=G$、$\sigma=\pi$ | $\pi$ が誘導表現に埋め込まれないこと |
各行は表の条件だけを外している。
1 行目:$\tau=1$ なら $\pi$ は $J\backslash G$ 上の有限台の関数の空間で、$f\mapsto\sum_{x\in J\backslash G}f(x)$ は $0$ でない $G$ 不変な線型形式である。その核は $0$ でも全体でもない部分表現($J\backslash G$ は無限集合)なので、$\pi$ は既約でない。
2 行目:$\varpi$ の作用 $\pi(\varpi)$ は $G$ の作用と可換で、台が $K$ の関数を台が $K\varpi^{-1}$ の関数に写すので、スカラー倍ではない。既約 smooth 表現なら Schur の補題により中心はスカラーで作用する(Wed00 (2.1.16), p. 19)ので、この表現は既約でない。
3 行目:$\operatorname{Ind}_G^G\pi=\pi$ なので恒等写像が埋め込みになる。$P=G$ も条件 2 に含めると、どの表現も条件 2 を満たさなくなる。
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