極と極線

同義語:極線pole and polar

概要

極と極線(pole and polar)とは、2 次曲線 $F(x,y)=0$ の 2 次式 $F$ を偏極した式 $G(P;X)$($x^2$ を $x_0x$ に、$x$ を $\frac{x+x_0}2$ に替えたもの)について、点 $P$ に直線 $G(P;X)=0$($P$ の極線)を対応させる仕組みである。曲線の上の点の極線はその点での接線で、$G$ が対称なので「$R$ が $P$ の極線の上にある」と「$P$ が $R$ の極線の上にある」は同値になる(La Hire の定理)。そのため外の点の極線は 2 つの接点を結ぶ直線になり、楕円・双曲線・放物線の焦点の極線は準線になる。$P$ を通る直線と曲線の 2 交点に関して、極線との交点は $P$ の調和共役である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 円の接線と極線, 楕円(高校数学), 双曲線(高校数学), 放物線(高校数学)

高校での出発点:接点を結ぶ直線は円でなくても書ける

円 $x^2+y^2=r^2$ の外の点 $P(x_0,y_0)$ から 2 本の接線を引くと、2 つの接点を結ぶ直線は $x_0x+y_0y=r^2$ になる。この直線を $P$ の極線と呼ぶのだった(円の接線と極線)。同じ「$x^2$ を $x_0x$ に替える」規則が、双曲線や放物線でも働くかを数で確かめる。

双曲線で接点を結ぶ

双曲線 $x^2-y^2=1$ と点 $P(0,1)$ を考える。規則どおり $x^2$ を $0\cdot x$ に、$y^2$ を $1\cdot y$ に替えると、直線 $-y=1$、つまり $y=-1$ を得る。
双曲線と連立すると $x^2=2$ で、交点は $T_1(\sqrt2,-1)$、$T_2(-\sqrt2,-1)$ である。双曲線の点 $(x_1,y_1)$ での接線は $x_1x-y_1y=1$ なので(2次曲線の接線と光学的性質 の公式「2 次曲線の接線」)、$T_1$ での接線は $\sqrt2x+y=1$、$T_2$ での接線は $-\sqrt2x+y=1$ である。どちらも $P(0,1)$ を通る($0+1=1$)。

放物線で接点を結ぶ

放物線 $y^2=4x$ と点 $P(-2,1)$ を考える。$y^2$ を $1\cdot y$ に、1 次の項 $4x$ を $4\cdot\frac{x+(-2)}2=2(x-2)$ に替えると、直線 $y=2(x-2)$ を得る。
放物線と連立すると $(2x-4)^2=4x$、$x^2-5x+4=0$ で、$x=1,4$、交点は $T_1(1,-2)$、$T_2(4,4)$ である。放物線の点 $(x_1,y_1)$ での接線は $y_1y=2(x+x_1)$ なので、$T_1$ での接線は $-2y=2(x+1)$、$T_2$ での接線は $4y=2(x+4)$ である。$x=-2$、$y=1$ を代入すると、どちらも成り立つ($-2=-2$、$4=4$)。

放物線 y²=4x の外の点 P(−2,1) の極線 y=2x−4 が、P から引いた 2 本の接線の接点 T₁(1,−2)、T₂(4,4) を通ることを見る図。縦の直線は焦点 F(1,0) の極線 x=−1 で、準線に一致する 放物線 y²=4x の外の点 P(−2,1) の極線 y=2x−4 が、P から引いた 2 本の接線の接点 T₁(1,−2)、T₂(4,4) を通ることを見る図。縦の直線は焦点 F(1,0) の極線 x=−1 で、準線に一致する
図 1 の縦の直線は、後の thm-pp-focus で見る焦点の極線である。
2 つの例から、次の問いが出てくる。

  1. 「$x^2$ を $x_0x$ に、$x$ を $\frac{x+x_0}2$ に替える」規則は、一般の 2 次曲線で何を計算しているのか。→ def-pp-polarization、thm-pp-expand
  2. 曲線の上の点では、この規則で接線が得られるのはなぜか。→ thm-pp-tangent
  3. 曲線の外の点では、なぜ接点を結ぶ直線になるのか。→ thm-pp-lahire、cor-pp-contact
  4. 焦点の極線は何か。→ thm-pp-focus
    高校の計算この記事での見方ボックス
    $x^2\to x_0x$、$xy\to\frac{x_0y+y_0x}2$、$x\to\frac{x+x_0}2$2 次式の偏極def-pp-polarization
    接線の式 $\frac{x_0x}{a^2}+\frac{y_0y}{b^2}=1$偏極が $0$ になる直線は接線thm-pp-tangent
    2 本の接線の接点を結ぶ直線偏極の対称性(La Hire の定理)thm-pp-lahire、cor-pp-contact
    準線 $x=\frac{a^2}c$焦点の極線thm-pp-focus

2 次式の偏極と極線

この記事では、$x$、$y$ の 2 次式
$$ F(x,y)=ax^2+2hxy+by^2+2gx+2fy+c\qquad\bigl((a,h,b)\ne(0,0,0)\bigr) $$
で、方程式 $F(x,y)=0$ を満たす点全体を 2 次曲線 $K$ と呼ぶ。楕円 $\frac{x^2}{p^2}+\frac{y^2}{q^2}=1$ は $a=\frac1{p^2}$、$b=\frac1{q^2}$、$c=-1$(ほかは $0$)、放物線 $y^2=4px$ は $b=1$、$g=-2p$(ほかは $0$)の場合である。

偏極・極線・極

2 点 $P(x_0,y_0)$、$X(x,y)$ に対して
$$ G(P;X)=ax_0x+h(x_0y+y_0x)+by_0y+g(x_0+x)+f(y_0+y)+c $$
と定め、これを $F$ の 偏極 という。$X$ についての 1 次式 $G(P;X)$ の $x$、$y$ の係数を並べたベクトルを
$$ \vec n_P=(ax_0+hy_0+g,\ hx_0+by_0+f) $$
と書く。$\vec n_P\ne\vec0$ のとき、直線 $G(P;X)=0$ を、2 次曲線 $K$ に関する $P$ の 極線 という。直線 $m$ がある点 $P$ の極線であるとき、$P$ を $m$ の 極 という。

$G(P;X)$ には次の 3 つの性質がある。どれも式を見れば分かる。

  • $P$ と $X$ を入れかえても値は変わらない:$G(P;X)=G(X;P)$。
  • $X=P$ とおくと $F$ に戻る:$G(P;P)=F(P)$。
  • $P$ を固定すると $X$ の 1 次式で、$G(P;X)=\vec n_P\cdot\overrightarrow{OX}+(gx_0+fy_0+c)$ である。
    円 $x^2+y^2+lx+my+n=0$ では、これは 円と直線の位置関係 の定義「2 次式の偏極」と同じものである。
極線を書く
  1. 楕円 $\frac{x^2}4+y^2=1$、$P(3,0)$:$G(P;X)=\frac{3x}4-1$ で、極線は $x=\frac43$。
  2. 双曲線 $x^2-y^2=1$、$P(0,1)$:$G(P;X)=-y-1$ で、極線は $y=-1$(ex-pp-start-hyperbola)。
  3. 放物線 $y^2-4x=0$、$P(-2,1)$:$b=1$、$g=-2$ で、$G(P;X)=y-2(-2+x)$、極線は $y=2x-4$(ex-pp-start-parabola)。
  4. 楕円 $\frac{x^2}4+y^2=1$ の中心 $O$:$\vec n_O=\vec0$ で、$G(O;X)=-1$ は直線にならない。中心には極線を定めない。

偏極が何を計算しているかは、$F$ を点 $P$ のまわりで展開すると分かる。

偏極による展開

点 $P$ とベクトル $\vec u=(u_1,u_2)$、実数 $t$ について、$Q(\vec u)=au_1^2+2hu_1u_2+bu_2^2$ とおくと
$$ F(P+t\vec u)=F(P)+2t\,(\vec n_P\cdot\vec u)+t^2Q(\vec u),\qquad G(P;P+t\vec u)=F(P)+t\,(\vec n_P\cdot\vec u) $$
が成り立つ。ここで $P+t\vec u$ は、$P$ から $t\vec u$ だけ進んだ点を表す。

$t$ の次数ごとに係数を集める

方針:$x=x_0+tu_1$、$y=y_0+tu_2$ を代入し、$t$ の次数ごとにまとめる。
段 1(2 次の項)。$t^2$ が出るのは $ax^2$、$2hxy$、$by^2$ だけで、係数は $au_1^2+2hu_1u_2+bu_2^2=Q(\vec u)$ である。
段 2(1 次の項)。$ax^2$ からは $2ax_0u_1t$、$2hxy$ からは $2h(x_0u_2+y_0u_1)t$、$by^2$ からは $2by_0u_2t$、$2gx$ からは $2gu_1t$、$2fy$ からは $2fu_2t$ が出る。合計は
$$ 2t\bigl\{(ax_0+hy_0+g)u_1+(hx_0+by_0+f)u_2\bigr\}=2t\,(\vec n_P\cdot\vec u) $$
である。
段 3(定数項)。$t=0$ とおけば $F(P)$ である。
段 4(偏極)。$G(P;X)$ は $X$ の 1 次式で、$x$、$y$ の係数が $\vec n_P$ なので、$X=P+t\vec u$ とおくと $G(P;P+t\vec u)=G(P;P)+t\,(\vec n_P\cdot\vec u)=F(P)+t\,(\vec n_P\cdot\vec u)$ である。$\square$

主定理 1:曲線の上の点の極線は接線

円では「共有点が 1 個」を接することの定義にできたが、放物線 $y^2=4x$ と直線 $y=1$ は共有点が 1 個でも接していない(放物線 $y=x^2$ と直線 $x=1$ での同じ現象は 円と直線の位置関係 の例「共有点が 1 個でも接しない」にある)。そこで、一般の 2 次曲線では「重解」で接線を定める。

2 次曲線の接線

2 次曲線 $K$ の上の点 $P$ と、$P$ を通る直線 $X=P+t\vec u$($\vec u\ne\vec0$)について、$t$ の多項式 $F(P+t\vec u)$ が $t^2$ で割り切れるとき、この直線を $P$ での $K$ の 接線 という。

円では、thm-pp-expand の $Q(\vec u)=|\vec u|^2$ が正なので、この定義は「共有点がちょうど 1 個」と同じになる。

曲線の上の点の極線は接線

$P$ が 2 次曲線 $K$ の上にあり、$\vec n_P\ne\vec0$ とする。$P$ での $K$ の接線はちょうど 1 本あり、それは $P$ の極線 $G(P;X)=0$ である。

定数項が消えるので 1 次の項を見る

$F(P)=0$ なので、thm-pp-expand から $F(P+t\vec u)=t\bigl(2\,\vec n_P\cdot\vec u+tQ(\vec u)\bigr)$ である。これが $t^2$ で割り切れるのは、$t$ の 1 次の係数 $2\,\vec n_P\cdot\vec u$ が $0$ のとき、つまり $\vec u\perp\vec n_P$ のときである。$\vec n_P\ne\vec0$ なので、$P$ を通り $\vec n_P$ に垂直な直線はただ 1 本で、それは $\vec n_P\cdot\overrightarrow{PX}=0$ である。thm-pp-expand の第 2 式で $F(P)=0$ とおくと、この直線は $G(P;X)=0$ と一致する。$\square$

楕円・双曲線・放物線の標準形では、曲線の上で $\vec n_P\ne\vec0$ が成り立つ(楕円 $\frac{x^2}{p^2}+\frac{y^2}{q^2}=1$ では $\vec n_P=\left(\frac{x_0}{p^2},\frac{y_0}{q^2}\right)$ が $\vec0$ になるのは原点だけで、原点は曲線の上にない。双曲線 $\frac{x^2}{p^2}-\frac{y^2}{q^2}=1$ でも同じである。放物線 $y^2=4px$ では $\vec n_P=(-2p,y_0)\ne\vec0$)。したがって、2次曲線の接線と光学的性質 の公式「2 次曲線の接線」の 3 つの式は、すべて極線の式として一度に得られる。

主定理 2:La Hire の定理と接点を結ぶ直線

La Hire の定理

2 点 $P$、$R$ の極線がどちらも定まるとき($\vec n_P\ne\vec0$、$\vec n_R\ne\vec0$)、「$R$ が $P$ の極線の上にある」ことと「$P$ が $R$ の極線の上にある」ことは同値である。

偏極は入れかえても同じ

$R$ が $P$ の極線の上にあるとは $G(P;R)=0$、$P$ が $R$ の極線の上にあるとは $G(R;P)=0$ のことである。偏極の対称性 $G(P;R)=G(R;P)$ から、2 つは同じ条件である。$\square$

接点を結ぶ直線

$P$ は 2 次曲線 $K$ の上にない点とし、$K$ の上の点 $T$ は $\vec n_T\ne\vec0$ を満たすとする。$T$ での接線が $P$ を通ることと、$T$ が $P$ の極線の上にあることは同値である。とくに、$P$ から $K$ に引いた 2 本の接線の接点を $T_1\ne T_2$ とすると、$P$ の極線は直線 $T_1T_2$ である。

La Hire の定理で読みかえる

段 1($P$ の極線は定まる)。$\vec n_P=\vec0$ なら $G(P;X)$ は $X$ によらない定数で、$X=P$ とおくとその値は $F(P)\ne0$ である。このとき $G(P;T)\ne0$ で、$G(T;P)\ne0$ だから $T$ での接線は $P$ を通らない。したがって、$P$ を通る接線が 1 本でもあれば $\vec n_P\ne\vec0$ である。
段 2(同値)。thm-pp-tangent から $T$ での接線は $G(T;X)=0$ なので、それが $P$ を通るのは $G(T;P)=0$ のときである。対称性からこれは $G(P;T)=0$、つまり $T$ が $P$ の極線の上にあることである。
段 3(2 本の接線)。段 2 から $T_1$、$T_2$ はどちらも $P$ の極線の上にある。相異なる 2 点を通る直線はただ 1 本なので、極線は直線 $T_1T_2$ である。$\square$

ex-pp-start-hyperbola と ex-pp-start-parabola で見たことは、この系の特別な場合である。楕円での例は 円の接線と極線 の例「楕円の極線」にある。

主定理 3:焦点の極線は準線

焦点の極線は準線
  1. 楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$($a>b>0$、$c=\sqrt{a^2-b^2}$)の焦点 $(\pm c,0)$ の極線は、直線 $x=\pm\dfrac{a^2}c$(複号同順)である。
  2. 双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$($c=\sqrt{a^2+b^2}$)の焦点 $(\pm c,0)$ の極線は、直線 $x=\pm\dfrac{a^2}c$(複号同順)である。
  3. 放物線 $y^2=4px$($p\ne0$)の焦点 $(p,0)$ の極線は、準線 $x=-p$ である。
    1 と 2 の直線は、それぞれの曲線の準線である。
偏極の式に焦点を入れる

1:$P=(c,0)$ では $G(P;X)=\frac{cx}{a^2}-1$ なので、極線は $x=\frac{a^2}c$ である。$P=(-c,0)$ では $-\frac{cx}{a^2}-1=0$、つまり $x=-\frac{a^2}c$ である。
2:同じく $G(P;X)=\frac{\pm cx}{a^2}-1$ で、極線は $x=\pm\frac{a^2}c$ である。
3:$F=y^2-4px$ では $b=1$、$g=-2p$ なので、$P=(p,0)$ で $G(P;X)=0\cdot y-2p(p+x)$ である。$p\ne0$ なので、極線は $x=-p$ で、これは 放物線(高校数学) の定理「放物線の方程式(標準形)」の準線である。
1 と 2 の直線が準線であること:離心率 $e=\frac ca$ を使うと $\frac{a^2}c=\frac ae$ で、楕円・双曲線の準線は $x=\pm\frac ae$ である(2次曲線の焦点と準線 の系「楕円の準線」「双曲線の準線」)。$\square$

焦点の極線を確かめる
  1. 楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}{16}=1$ では $c=3$ で、焦点 $(3,0)$ の極線は $x=\frac{25}3$ である。$e=\frac35$ なので $\frac ae=\frac{25}3$ と一致する。
  2. 双曲線 $\frac{x^2}9-\frac{y^2}{16}=1$ では $c=5$ で、焦点 $(5,0)$ の極線は $x=\frac95$ である。
  3. 放物線 $y^2=4x$ の焦点 $(1,0)$ の極線は $x=-1$ である。

La Hire の定理と組み合わせると、次の性質が得られる。

焦点を通る弦

thm-pp-focus の曲線と焦点 $S$ について、$S$ を通る直線が曲線と 2 点 $T_1\ne T_2$ で交わり、$T_1$、$T_2$ での接線が点 $R$ で交わるとする。このとき $R$ は $S$ に対応する準線の上にある。

2 回の La Hire

段 1($R$ の極線が定まる)。3 つの標準形で $\vec n_R=\vec0$ となるのは、楕円・双曲線の中心(原点)だけである。原点 $O$ では $G(O;X)=-1$ なので $G(T_1;O)=G(O;T_1)\ne0$ で、$T_1$ での接線は原点を通らない。よって $R\ne O$ で、$\vec n_R\ne\vec0$ である。
段 2($R$ の極線は $T_1T_2$)。$R$ は $T_i$ での接線 $G(T_i;X)=0$ の上にあるので $G(T_i;R)=0$、対称性から $G(R;T_i)=0$ である($i=1,2$)。よって $T_1$、$T_2$ は $R$ の極線の上にあり、$R$ の極線は直線 $T_1T_2$ で、これは $S$ を通る。
段 3(La Hire)。焦点 $S$ では $\vec n_S\ne\vec0$ である(prf-pp-focus で極線が直線になった)。thm-pp-lahire から $R$ は $S$ の極線の上にあり、thm-pp-focus からそれは準線である。$\square$

放物線の焦点を通る弦

$y^2=4x$ の焦点 $(1,0)$ を通る直線 $y=\frac43(x-1)$ は、放物線と $T_1(4,4)$、$T_2\left(\frac14,-1\right)$ で交わる。接線は $4y=2(x+4)$ と $-y=2\left(x+\frac14\right)$ で、連立すると $\frac x2+2=-2x-\frac12$ から $x=-1$、$y=\frac32$ である。交点 $\left(-1,\frac32\right)$ は準線 $x=-1$ の上にある。

極線と調和共役

極線と調和点列

$P$ は 2 次曲線 $K$ の上にない点で、$\vec n_P\ne\vec0$ とする。$P$ を通る直線 $X=P+s\vec u$ が $K$ と相異なる 2 点 $A=P+s_A\vec u$、$B=P+s_B\vec u$ で交わり、$P$ の極線と点 $Q=P+s_Q\vec u$ で交わるとする。このとき
$$ \frac2{s_Q}=\frac1{s_A}+\frac1{s_B} $$
が成り立つ。

解と係数の関係を使う

方針:$s_A$、$s_B$ は $s$ の 2 次方程式の解、$s_Q$ は 1 次方程式の解である。thm-pp-expand で両方を書き、解と係数の関係で比べる。$k=\vec n_P\cdot\vec u$ とおく。
段 1($s_A$、$s_B$)。thm-pp-expand から、$P+s\vec u$ が $K$ の上にある条件は $Q(\vec u)s^2+2ks+F(P)=0$ である。この方程式が相異なる 2 つの解をもつので $Q(\vec u)\ne0$($Q(\vec u)=0$ なら 1 次以下の方程式で、解は 1 個以下か、$k=F(P)=0$ のときすべての $s$ だが $F(P)\ne0$)。解と係数の関係から $s_A+s_B=-\dfrac{2k}{Q(\vec u)}$、$s_As_B=\dfrac{F(P)}{Q(\vec u)}$ で、$F(P)\ne0$ から $s_A$、$s_B$ はどちらも $0$ でない。
段 2($s_Q$)。thm-pp-expand の第 2 式から、$P+s\vec u$ が極線の上にある条件は $F(P)+ks=0$ である。$k=0$ ならこれは $F(P)=0$ となって解がないので、交点 $Q$ があることから $k\ne0$ で、$s_Q=-\dfrac{F(P)}k\ne0$ である。
段 3(比べる)。$\dfrac1{s_A}+\dfrac1{s_B}=\dfrac{s_A+s_B}{s_As_B}=-\dfrac{2k}{F(P)}=\dfrac2{s_Q}$ である。$\square$

$P$ を座標 $0$ とする直線上の座標で見ると、この式は 調和点列 の命題「調和点列の 3 つの言いかえ」の (R3) の形である(調和点列 の定義「調和共役と調和点列」の 4 点を、$P$、$Q$、$A$、$B$ の順に当てはめる)。よって $B$ は $P$、$Q$ に関して $A$ の調和共役であり、4 点は調和点列をなす(4 点は相異なる:$P$ は $K$ の上になく、$Q$ は $s_Q\ne0$ で $P$ と異なり、$Q$ が $A$ か $B$ なら、たとえば $s_Q=s_A$ のとき上の式から $\frac1{s_A}=\frac1{s_B}$、つまり $A=B$ となって反する)。円の場合は 円の接線と極線 の命題「極線と調和点列」で、長さ $1$ の $\vec u$ を使って示されている。

楕円で調和平均を確かめる

楕円 $\frac{x^2}4+y^2=1$、$P(3,0)$、直線は $x$ 軸($\vec u=(1,0)$)とする。$x$ 軸と楕円の交点は $x=\pm2$ で、$s_A=2-3=-1$、$s_B=-2-3=-5$ である。極線 $x=\frac43$(ex-pp-polar の 1)との交点は $s_Q=\frac43-3=-\frac53$ である。$\frac1{s_A}+\frac1{s_B}=-1-\frac15=-\frac65$、$\frac2{s_Q}=-\frac65$ で一致する。

極と、点と直線の入れかえ

楕円・双曲線・放物線では、どの直線が極線になるか(極をもつか)が具体的に分かる。

直線の極
  1. 楕円・双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2}+\varepsilon\dfrac{y^2}{b^2}=1$($\varepsilon=1$ または $-1$)について、直線 $\alpha x+\beta y=\gamma$ が極をもつのは $\gamma\ne0$(原点を通らない)のときで、極はただ 1 つ $\left(\dfrac{a^2\alpha}\gamma,\ \dfrac{\varepsilon b^2\beta}\gamma\right)$ である。
  2. 放物線 $y^2=4px$($p\ne0$)について、直線 $\alpha x+\beta y=\gamma$ が極をもつのは $\alpha\ne0$(軸に平行でない)のときで、極はただ 1 つ $\left(-\dfrac\gamma\alpha,\ -\dfrac{2p\beta}\alpha\right)$ である。
直線の式の係数を比べる

2 つの式 $\alpha x+\beta y=\gamma$ と $\alpha'x+\beta'y=\gamma'$ が同じ直線を表すのは、係数の組 $(\alpha,\beta,\gamma)$ と $(\alpha',\beta',\gamma')$ が比例するときである。
1:点 $(x_0,y_0)$(原点以外)の極線は $\frac{x_0}{a^2}x+\frac{\varepsilon y_0}{b^2}y=1$ で、右辺が $1\ne0$ なので原点を通らない。よって $\gamma=0$ の直線は極をもたない。$\gamma\ne0$ なら、比例の比は右辺から $\frac1\gamma$ に決まり、$\frac{x_0}{a^2}=\frac\alpha\gamma$、$\frac{\varepsilon y_0}{b^2}=\frac\beta\gamma$ から極はただ 1 つで、$\varepsilon^2=1$ を使うと上の式になる。
2:点 $(x_0,y_0)$ の極線は $y_0y-2p(x_0+x)=0$、つまり $-2px+y_0y=2px_0$ で、$x$ の係数が $-2p\ne0$ である。よって $\alpha=0$ の直線は極をもたない。$\alpha\ne0$ なら比例の比は $x$ の係数から $-\frac{2p}\alpha$ に決まり、$y_0=-\frac{2p\beta}\alpha$、$2px_0=-\frac{2p\gamma}\alpha$ から極はただ 1 つで、上の式になる。$\square$

点と直線の入れかえ

prop-pp-pole の曲線で、直線 $m$ が極 $M$ をもつとする。$m$ の上の点 $R$(極線が定まるもの)の極線は、すべて $M$ を通る。逆に、$M$ を通る直線で極をもつものの極は、すべて $m$ の上にある。

La Hire の定理を使う

$m$ は $M$ の極線なので、$R$ が $m$ の上にあることは「$R$ が $M$ の極線の上にある」ことである。thm-pp-lahire から、これは「$M$ が $R$ の極線の上にある」ことと同値である。逆向きも同じ議論である。$\square$

楕円の内部にある極

楕円 $\frac{x^2}4+y^2=1$ と直線 $x+2y=4$($\alpha=1$、$\beta=2$、$\gamma=4$)では、極は $\left(\frac{4\cdot1}4,\frac{1\cdot2}4\right)=\left(1,\frac12\right)$ である。実際、$\left(1,\frac12\right)$ の極線は $\frac x4+\frac y2=1$、つまり $x+2y=4$ である。極 $\left(1,\frac12\right)$ は楕円の内部にあり($\frac14+\frac14<1$)、極線 $x+2y=4$ は楕円と交わらない($x=4-2y$ を代入すると $2y^2-4y+3=0$ で、判別式 $16-24<0$)。

点を極線に、直線を極に移すこの入れかえで、「3 点が 1 直線の上にある」は「3 本の直線が 1 点で交わる」に移る(cor-pp-duality)。この入れかえで、円や楕円に内接する六角形の Pascalの定理 から、外接する六角形の Brianchonの定理 が得られる。

例と反例

外す条件反例成り立たなくなること
$\vec n_P\ne\vec0$楕円 $\frac{x^2}4+y^2=1$ の中心極線が直線として定まる(ex-pp-polar の 4)
$P$ は曲線の上にない(cor-pp-contact)楕円 $\frac{x^2}4+y^2=1$ の上の点 $(2,0)$極線が 2 つの接点を結ぶ(ex-pp-on-curve)
接線が 2 本引ける(cor-pp-contact)楕円の内部の点 $\left(1,\frac12\right)$極線が接点を通る(ex-pp-pole:極線は楕円と交わらない)
直線が曲線と 2 点で交わる(thm-pp-harmonic)放物線 $y^2=4x$、$P(-2,1)$、直線 $y=1$調和平均の式が意味をもつ(ex-pp-one-point)
曲線の上の点の極線

楕円 $\frac{x^2}4+y^2=1$ の上の点 $(2,0)$ の極線は $\frac{2x}4=1$、つまり $x=2$ で、$(2,0)$ での接線である(thm-pp-tangent)。楕円と共有する点は $(2,0)$ だけで、「2 つの接点を結ぶ直線」にはならない。

軸に平行な直線

放物線 $y^2=4x$ と $P(-2,1)$ で、軸に平行な直線 $y=1$($\vec u=(1,0)$、$Q(\vec u)=0$)は放物線と $\left(\frac14,1\right)$ の 1 点だけで交わる。$s_A=\frac14+2=\frac94$ である。極線 $y=2x-4$ との交点は $x=\frac52$ で、$s_Q=\frac92$ である。この場合は $\frac2{s_Q}=\frac49=\frac1{s_A}$ となり、thm-pp-harmonic の式で $\frac1{s_B}$ を $0$ にしたもの(もう 1 つの交点が限りなく遠くにある)になっている。$A$ は線分 $PQ$ の中点である。

さらに先へ

  • 点 $(x,y)$ を 3 つの数の組 $(x,y,1)$ とみると、偏極は 3 変数の対称な双線形形式になり、中心の極線は「無限遠直線」、放物線の軸に平行な直線の極は「無限遠点」と考えられる(円の接線と極線 の注意「3 つの座標で見る極と極線」、射影平面)。こうすると prop-pp-pole の例外がなくなり、非退化な円錐曲線では点と直線が 1 対 1 に対応する(円錐曲線 の節「極と極線」)。
  • thm-pp-harmonic は、4 点の 複比 が $-1$ であることとも言いかえられる(調和点列)。
  • 極と極線は、射影幾何の基本的な道具として、総合的な(座標を使わない)方法でも展開される(Leh17 第 6 章。極線を調和共役の点の集まりとして定め(§96)、La Hire の定理(§99)と接点を結ぶ弦の作図(§101)を示している)。そこでは焦点の極線を準線と呼ぶ(Leh17 §157)。

関連項目

参考文献

Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する