積分の評価(estimation of integrals)とは、原始関数を求めずに、積分の単調性($f\le g$ なら $\int_a^bf\le\int_a^bg$)で積分の値の範囲・大小・極限を決める方法である。柱は 2 つで、被積分関数を積分できる関数で上下から挟むこと($\cos x\le1$ を繰り返し積分して得る $x\ge0$ での $x-\frac{x^3}6\le\sin x$ など)と、単調関数の値の和を積分と面積で比べることである。後者から $\log(n+1)<\sum_{k=1}^n\frac1k\le1+\log n$、$\frac{\sqrt[n]{n!}}n\to\frac1e$、区分求積の誤差が得られる。連続関数 $f\le g$ が 1 点で $f<g$ なら、積分の不等式は等号なしになる。和と積分の比較で単調性の仮定は省けない。
積分の値を知りたいとき、原始関数を求めて代入するのが正攻法である。しかし原始関数が長すぎたり、見つからなかったりすることは多い。また、欲しいのは正確な値ではなく「$0.8$ と $0.92$ の間」「どちらが大きいか」「$n\to\infty$ でどう振る舞うか」だけ、ということもよくある。そういうときは積分を計算せずに評価する。これが積分の評価である。
評価の基本の道具は、次の性質である。
積分の単調性:$f,g$ が $[a,b]$ で積分可能で $f\le g$ なら、$\int_a^bf\le\int_a^bg$ である(Leb26 Proposition 5.2.6)。
使い方の工夫は「被積分関数を、積分できる関数で上下から挟む」ことと、「和と積分を面積で比べる」ことの 2 つに分かれる。本記事では、この 2 つを支える命題を証明したあと、例ごとに何に目をつけ、どの手を試し、粗い評価をどう精密にするかを見る。
以下では、閉区間上の連続関数は積分でき、積分は線形で単調であることを前提とし、微分積分学の基本定理を次の形で使う(Leb26 Theorem 5.3.1):$G$ が $[a,b]$ で微分可能で $G'$ が連続なら $\int_a^bG'(x)\,dx=G(b)-G(a)$ である。また、上に有界な増加数列(下に有界な減少数列)は収束することを前提とする。$\log$ は自然対数である。
$a< b$、$f,g$ が $[a,b]$ で連続、$f\le g$ で、ある点 $c$ で $f(c)< g(c)$ ならば $\int_a^bf<\int_a^bg$ である。
$h:=g-f\ge0$ は連続で $h(c)>0$ である。連続性により、$c$ を含む長さ正の区間 $[p,q]\subset[a,b]$ で $h\ge\frac{h(c)}2$ となる。積分の単調性から $\int_a^bh\ge\int_p^qh\ge(q-p)\frac{h(c)}2>0$ である。$\square$
この性質で $\frac{22}7-\pi$ を小さな正の積分として表し $\pi$ を評価する例は 積分で円周率を評価する で扱う。
等号が 1 点でしか成り立たない不等式を積分すると、積分の不等式は等号なしになる。以下の例の評価が「$<$」になるのはこのためである。
$f,g$ が $[0,a]$ で $C^1$ 級(微分可能で導関数が連続)、$f(0)=g(0)$、$[0,a]$ で $f'\le g'$ ならば、$[0,a]$ で $f\le g$ である。
$0\le x\le a$ について、基本定理により $g(x)-f(x)=\int_0^x\bigl(g'(t)-f'(t)\bigr)\,dt$ であり、被積分関数は $0$ 以上なので右辺は $0$ 以上である。$\square$
$f$ が $[m,n]$($m< n$ は整数)で連続かつ減少($x\le y$ なら $f(x)\ge f(y)$)ならば
$$
\sum_{k=m+1}^nf(k)\le\int_m^nf(x)\,dx\le\sum_{k=m}^{n-1}f(k)
$$
である。増加関数なら不等号の向きが逆になる。
$k-1\le x\le k$ では $f(k)\le f(x)\le f(k-1)$ なので、積分の単調性から $f(k)\le\int_{k-1}^kf(x)\,dx\le f(k-1)$ である。$k=m+1,\dots,n$ について足せばよい。増加関数なら $-f$ に適用する。$\square$
和と積分の差が収束する定理と Euler の定数は 和と積分の差 で扱う。
図で言えば、幅 $1$ の長方形を右端の高さで並べると曲線の下に入り、左端の高さで並べると曲線からはみ出す。同じ考えを幅 $\frac1n$ の長方形で行うと、次の評価を得る。
$f$ が $[0,1]$ で連続かつ単調ならば、
$$
\Bigl|\frac1n\sum_{k=1}^nf\Bigl(\frac kn\Bigr)-\int_0^1f(x)\,dx\Bigr|\le\frac{|f(1)-f(0)|}n
$$
である。とくに左辺は $n\to\infty$ で $0$ に近づく。
減少関数の場合を示す(増加なら $-f$ を考える)。prop-iest-sum-integral の証明と同じく、$\frac{k-1}n\le x\le\frac kn$ で $f(\frac kn)\le f(x)\le f(\frac{k-1}n)$ を積分して足すと、$R_n:=\frac1n\sum_{k=1}^nf(\frac kn)$、$L_n:=\frac1n\sum_{k=0}^{n-1}f(\frac kn)$ について $R_n\le\int_0^1f\le L_n$ である。$L_n-R_n=\frac{f(0)-f(1)}n$ なので、$\int_0^1f$ と $R_n$ の差はこれ以下である。$\square$
$\displaystyle\frac45<\int_0^1\frac{dx}{1+x^4}<\frac{41}{45}$ を示せ。(実際の値は $0.8669\ldots$ である。)
分母は $1+x^4$。$[0,1]$ では $x^4$ は小さく、$x^4\le x^2$ である。候補は (a) 部分分数分解で正確に計算する、(b) $\frac1{1+x^2}$ と比べる、(c) $\frac1{1+u}$ を $u$ の多項式で挟む、である。
(a) $1+x^4=(x^2+\sqrt2x+1)(x^2-\sqrt2x+1)$ と分解し、$\frac1{1+x^4}=\frac{Ax+B}{x^2+\sqrt2x+1}+\frac{Cx+D}{x^2-\sqrt2x+1}$ の係数を決め、$\log$ と $\arctan$ の項をまとめると値 $\frac{\pi+2\log(1+\sqrt2)}{4\sqrt2}$ が出る。できるが、欲しいのが「$0.8$ と $0.92$ の間」なら重すぎる。
(b) $[0,1]$ で $x^4\le x^2$ なので $\frac1{1+x^4}\ge\frac1{1+x^2}$、よって積分は $\frac\pi4=0.785\ldots$ 以上である。上からは $\frac1{1+x^4}\le1$ で $1$ 以下。$0.785$ と $1$ の間では幅が広すぎる。
そこで (c) を使う。$u\ge0$ について $(1+u)(1-u)=1-u^2\le1$、$(1+u)(1-u+u^2)=1+u^3\ge1$ なので
$$
1-u\le\frac1{1+u}\le1-u+u^2\qquad(u\ge0)
$$
であり、等号は $u=0$ のときだけである。$u=x^4$ とおいて $[0,1]$ で積分すると、prop-iest-strict により
$$
1-\frac15<\int_0^1\frac{dx}{1+x^4}<1-\frac15+\frac19=\frac{41}{45}
$$
である。
粗い評価 (b) から精密な評価 (c) へ進んだ鍵は、$\frac1{1+u}=1-u+u^2-\cdots$ の最初の数項で打ち切ると、上からと下からが交互に得られることである。項を増やせば幅は $\int_0^1x^{4k}\,dx=\frac1{4k+1}$ の程度まで縮む。「小さい量 $u$ の関数」は、$u$ の多項式で挟むのが第一手である。
$H_n:=1+\frac12+\cdots+\frac1n$ について $\log(n+1)< H_n\le1+\log n$ を示せ。また $H_n-\log n$ が $n\to\infty$ で収束することを示せ。
$\frac1k$ の和で、$\frac1x$ の積分は $\log x$ である。$\frac1x$ は減少関数である。候補は (a) $H_n$ を $n$ の簡単な式で書く、(b) prop-iest-sum-integral で積分と比べる、である。
(a) $\sum k=\frac{n(n+1)}2$ のような公式を探すと、階差の形 $\frac1k=F(k)-F(k-1)$ を満たす簡単な $F$ が要る。$\frac1{k(k+1)}=\frac1k-\frac1{k+1}$ のような分解は $\frac1k$ そのものにはなく、$H_n$ を閉じた式で書く方法は見つからない。
そこで (b)、$f(x)=\frac1x$ に prop-iest-sum-integral を使う。$m=1$ とすると $\sum_{k=2}^n\frac1k\le\int_1^n\frac{dx}x=\log n$、すなわち $H_n\le1+\log n$ である。区間を $[1,n+1]$ にすると $\log(n+1)=\int_1^{n+1}\frac{dx}x\le\sum_{k=1}^n\frac1k=H_n$ であり、$\frac1x$ は各小区間で定数でないので prop-iest-strict により等号は成り立たない。$n=100$ では $4.615< H_{100}\le5.606$ であり、実際 $H_{100}=5.187\ldots$ である。
収束を示す。$c_n:=H_n-\log n$ とおくと
$$
c_n-c_{n+1}=\log(n+1)-\log n-\frac1{n+1}=\int_n^{n+1}\Bigl(\frac1x-\frac1{n+1}\Bigr)dx>0
$$
なので $c_n$ は減少し、$c_n>\log(n+1)-\log n>0$ なので下に有界である。よって $c_n$ は収束する。
和を閉じた式にできなくても、減少関数の和なら積分で上下から挟める。挟んだ上下の幅が $1$ 程度しかないので、$H_n$ は $\log n$ と「定数程度の差」で増えることが分かる。極限 $\lim(H_n-\log n)=0.5772\ldots$ は Euler の定数と呼ばれる(値は数値計算によるもので、本記事では証明しない)。
$a_n:=\sum_{k=1}^n\frac n{n^2+k^2}$ について、$\frac\pi4-\frac1{2n}\le a_n<\frac\pi4$ を示し、$a_n\to\frac\pi4$ を示せ。
分子と分母を $n^2$ で割ると $\frac1n\cdot\frac1{1+(k/n)^2}$ である。$\frac1n\sum f(\frac kn)$ の形になっている。候補は (a) 和を直接計算する、(b) 区分求積として積分 $\int_0^1\frac{dx}{1+x^2}$ に直す、である。
(a) $\frac n{n^2+k^2}$ は $k$ について階差の形にならず、和は閉じた式にならない。$n=10$ で $a_{10}=0.7599\ldots$ と数値は出るが、極限は見えない。
そこで (b)。$f(x)=\frac1{1+x^2}$ は $[0,1]$ で連続かつ減少で、$a_n=\frac1n\sum_{k=1}^nf(\frac kn)$ である。cor-iest-riemann の証明から $R_n=a_n\le\int_0^1f=\frac\pi4\le L_n=a_n+\frac{f(0)-f(1)}n=a_n+\frac1{2n}$ であり、$f$ は定数でないので $a_n<\frac\pi4$ である。よって $\frac\pi4-\frac1{2n}\le a_n<\frac\pi4$ で、はさみうちにより $a_n\to\frac\pi4$ である。$n=10$ では $0.7354\le a_{10}<0.7854$ となり、確かに $a_{10}=0.7599\ldots$ はこの範囲にある。
例 2 は「積分で和を評価」、例 3 は「和の極限を積分で求める」で、向きが逆である。どちらも prop-iest-sum-integral の長方形の比較にすぎない。$f$ が単調なら、区分求積は極限だけでなく誤差の大きさ(ここでは $\frac1{2n}$ 以下)も教えてくれる(cor-iest-riemann)。
$n\ge1$ について $n\log n-n+1\le\log n!\le(n+1)\log(n+1)-n$ を示し、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{\sqrt[n]{n!}}n=\frac1e$ を示せ。
$\log n!=\sum_{k=1}^n\log k$ は増加関数 $\log x$ の値の和である。$\int\log x\,dx=x\log x-x$ は部分積分で分かる。候補は (a) 素朴な不等式 $n!\le n^n$ などで挟む、(b) prop-iest-sum-integral で $\int\log x\,dx$ と比べる、である。
(a) $1\le k\le n$ なら $k\le n$ なので $n!\le n^n$、よって $\frac{\sqrt[n]{n!}}n\le1$ である。下からは、後半の $\frac n2$ 個の因子がどれも $\frac n2$ 以上なので $n!\ge(\frac n2)^{n/2}$($n$ が偶数のとき)、よって $\frac{\sqrt[n]{n!}}n\ge\frac1{\sqrt{2n}}$ である。上は $1$、下は $0$ に近づき、極限は決まらない。
そこで (b)。$\log x$ は増加関数なので、prop-iest-sum-integral(増加関数の向き)から
$$
\log n!=\sum_{k=2}^n\log k\ge\int_1^n\log x\,dx=n\log n-n+1,\qquad \log n!=\sum_{k=1}^n\log k\le\int_1^{n+1}\log x\,dx=(n+1)\log(n+1)-n
$$
である。$n$ で割って $\log n$ を引くと
$$
-1+\frac1n\le\frac{\log n!}n-\log n\le\log\Bigl(1+\frac1n\Bigr)+\frac{\log(n+1)}n-1
$$
となる。$n\to\infty$ で左辺は $-1$、右辺も $-1$ に近づく($\frac{\log(n+1)}n\to0$ は、$x\ge1$ で $\log x\le2\sqrt x$ から従う。$\log x\le2\sqrt x$ は $x=1$ で成り立ち、両辺の導関数 $\frac1x\le\frac1{\sqrt x}$ から lem-iest-integrate と同じ議論で分かる)。はさみうちにより $\log\frac{\sqrt[n]{n!}}n\to-1$、すなわち $\frac{\sqrt[n]{n!}}n\to\frac1e$ である。
(a) が失敗したのは、各因子を最大値や一部だけで置き換えたからである。和 $\sum\log k$ を積分 $\int\log x\,dx$ と比べると、因子全体の「平均的な大きさ」が $\frac ne$ であることが見える。この評価をさらに精密にすると $n!$ の漸近公式(Stirlingの公式)になる。
$S:=\int_0^{\pi/2}\frac{\sin x}x\,dx$ について、$1.355< S<1.372$ を示せ。(実際の値は $1.3707\ldots$ である。)
$\frac{\sin x}x$ は $x=0$ で定義されないが、$x\to0$ で $1$ に近づく。$x=0$ での値を $1$ と定めると $[0,\frac\pi2]$ で連続である。以下この約束で積分する。候補は (a) 部分積分で原始関数を探す、(b) $\sin x\le x$ などの不等式で挟む、である。
(a) $F=\frac1x$、$G=-\cos x$ とすると $\int\frac{\sin x}x\,dx=-\frac{\cos x}x-\int\frac{\cos x}{x^2}\,dx$ となり、分母の次数が上がるだけで閉じない。$F=\sin x$、$G=\log x$ としても $\int\cos x\log x\,dx$ が残る。原始関数はこのやり方では見つからない。
(b) まず $\sin x\le x$ から $\frac{\sin x}x\le1$、よって $S\le\frac\pi2=1.57\ldots$ である。下からは $\frac{\sin x}x\ge0$ しかすぐには言えない。これでは粗すぎる。
そこで lem-iest-integrate を繰り返して、$\sin x$ の不等式を精密にする。$x\ge0$ で考える。
$A:=\int_0^{\pi/2}\sin(\sin x)\,dx$ と $B:=\int_0^{\pi/2}\cos(\cos x)\,dx$ のどちらが大きいか。答は $A< B$ である($A=0.8932\ldots$、$B=1.2019\ldots$)。
どちらも三角関数の中に三角関数が入っていて、原始関数は見つかりそうにない。欲しいのは大小だけである。候補は (a) $A,B$ をそれぞれ評価して比べる、(b) 被積分関数どうしを各点で比べる、である。
(a) $\sin y\le y$ から $\sin(\sin x)\le\sin x$ なので $A\le\int_0^{\pi/2}\sin x\,dx=1$ である。$\cos$ は $[0,1]$ で減少なので $\cos(\cos x)\ge\cos1$、よって $B\ge\frac\pi2\cos1=0.848\ldots$ である。$A\le1$ と $B\ge0.848$ からは大小が決まらない。$B$ の下からの評価を定数 $\cos1$ で済ませたのが粗すぎたのである。例 5 の 2 段目の $\cos y\ge1-\frac{y^2}2$ を $y=\cos x$ に使えば、$\int_0^{\pi/2}\cos^2x\,dx=\frac\pi4$ から $B\ge\int_0^{\pi/2}\bigl(1-\frac{\cos^2x}2\bigr)dx=\frac{3\pi}8=1.178\ldots>1\ge A$ となり、大小は決まる。ただ、別々に評価するやり方では、どこまで精密にすればよいかは計算してみないと分からない。
そこで (b)、2 つの被積分関数を同じ形にそろえる。$\cos(\cos x)=\sin\bigl(\frac\pi2-\cos x\bigr)$ である。$0\le x\le\frac\pi2$ では $\sin x\in[0,1]$、$\frac\pi2-\cos x\in[\frac\pi2-1,\frac\pi2]$ で、どちらも $\sin$ が増加する区間 $[0,\frac\pi2]$ に入る。さらに
$$
\sin x+\cos x=\sqrt2\sin\Bigl(x+\frac\pi4\Bigr)\le\sqrt2<\frac\pi2
$$
なので $\sin x<\frac\pi2-\cos x$ である。$\sin$ の増加性から $\sin(\sin x)<\sin\bigl(\frac\pi2-\cos x\bigr)=\cos(\cos x)$ がすべての $x\in[0,\frac\pi2]$ で成り立つ。prop-iest-strict により $A< B$ である。
積分の大小を比べるときは、まず被積分関数を各点で比べられないかを考える。比べにくい形なら、$\cos\theta=\sin(\frac\pi2-\theta)$ のような変形で同じ単調関数の中身の比較に直す。鍵になった不等式 $\sin x+\cos x\le\sqrt2<\frac\pi2$ は、差が $0.157$ ほどしかない微妙なものである。
単調でない関数では、和と積分を prop-iest-sum-integral のようには比べられない。
$f(x)=\sin^2(\pi x)$ は $[0,\infty)$ で連続で $0\le f\le1$ であるが、単調ではない。すべての整数 $k$ で $f(k)=0$ なので $\sum_{k=1}^nf(k)=0$ である。一方 $\sin^2(\pi x)=\frac{1-\cos2\pi x}2$ から $\int_0^nf(x)\,dx=\frac n2$ である。和と積分の差は $n\to\infty$ で限りなく大きくなる。
この反例は「$f$ が有界な連続関数なら、$\sum_{k=1}^nf(k)$ と $\int_0^nf(x)\,dx$ の差は有界である」という含意を破る。prop-iest-sum-integral の仮定「単調」は省けない。長方形の高さ $f(k)$ が、区間の中での $f$ の最大値・最小値とかけ離れることがあるからである。
表の各行は、括弧内の例や命題で確かめた形をもとにまとめたものである。例で扱っていない関数($e^u$、$\sqrt{1+u}$、$e^x$ など)は、同じ手を試す候補として挙げたもので、本記事では計算していない。「駄目なら次の手」のうち例で試していないものは、その旨を書いた。
| 知りたいこと・形 | 最初に試す手 | 駄目なら次の手 |
|---|---|---|
| 小さい量 $u$ を含む $\frac1{1+u}$、$e^u$、$\sqrt{1+u}$ | $u$ の多項式で上下から挟む(例 1) | 項を増やして挟み直す(例 5 で段を進めたのと同じ手) |
| $\sin x$、$\cos x$、$e^x$ を含み原始関数が見つからない | $\cos x\le1$ などを 0 から繰り返し積分して多項式で挟む(例 5) | (例では別の手を試していない) |
| 減少関数・増加関数の値の和($\sum\frac1k$、$\sum\log k$) | 積分と長方形で比べる(例 2・4) | 端の項を別に扱って精密にする(例 2 で $k=1$ の項を別にした) |
| $\frac1n\sum f(\frac kn)$ の形の和の極限($f$ は $[0,1]$ で連続) | 区分求積で積分に直す(例 3) | $f$ が単調なら誤差 $\frac{\lvert f(1)-f(0)\rvert}n$ も得る |
| 2 つの積分の大小 | 被積分関数を各点で比べる。比べにくければ $\cos\theta=\sin(\frac\pi2-\theta)$ のような変形で同じ単調関数の中身の比較に直す(例 6 (b)) | それぞれを評価して比べる(例 6 (a)。どこまで精密にすればよいかは計算しないと分からない) |
| 評価が「$\le$」でなく「$<$」かを問われる | prop-iest-strict:連続関数で 1 点でも真に小さければ等号は外れる | — |
| 単調でない関数の和 | prop-iest-sum-integral は使えない(ex-iest-nonmonotone) | (例では別の手を試していない) |
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